説明

高確率の伝令付き単一光子源及び関連方法

伝令付き単一光子のための光源のためのシステム及び方法であって、対の数を奇数又は偶数とすることができる複数の光子対のバーストを提供する相関光子対生成装置であって、各対の一方が第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方が第2の特性であるが第1の特性ではない特性を有する、相関光子対生成装置と、第1の特性を有する対の光子のための第1の光の経路と、第2の特性を有する対の光子のための第2の光の経路と、光子のバーストごとに、バーストにおける光子対の数が偶数であるか奇数であるかに応じて、第1の経路における第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減する第1の光の経路における二光子吸収体と、バーストにおける光子の数が奇数である場合に表示するために伝令信号を出力する第2の経路における光子検出器と、第2の光の経路の出力に結合され、伝令信号に応答して作動するように接続された光スイッチとを備える伝令付き単一光子のための光源のためのシステム及び方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、量子暗号(量子鍵配送)のために、及び従来のコンピューティングより大きく進歩したことを表すのに十分大きなスケールで光量子コンピュータを構築するために有用な、ほぼ決定論的な単一光子源に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、参照によりその内容が本明細書に組み込まれている、2009年9月4日に出願した特許仮出願第61/240,162号の優先権を主張するものである。
【0003】
現在の単一光子源は、量子計算又は量子通信において使用するには重大な限界を有する。理想的には、単一光子源は、任意選択で要求されたときに(要求に応じて)でも又は明確に定義された時間間隔で(周期的に)でも、正確に1つの光子を確実にかつ繰り返して放出することであろう。実際には、現在利用可能な光源は、事実上非決定論的である。ランダムのときに光子を放出して、量子論理プロセッサなどのシステムにおいて必要とされる複数の光源を調整することを難しくする光源もある。周期的に駆動することができる光源は、通常、連続パルスで放出される光子の数(例えば、ゼロ、1つ、又は2つ以上)でのランダムの配送を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7019875号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】B.C. Jacobs, T.B. Pittman, and J.D. Franson, "Single-photon source using laser pulses and two-photon absorption," Phys. Rev. A, vol. 74, 010303(R) (2006)
【非特許文献2】B. Lounis and M. Orrit, "Single Photon Sources,"Reports on Progress in Physics, vol. 68, 1129 (2005)
【非特許文献3】T.B. Pittman, B.C. Jacobs, and J.D. Franson, "Single photons on pseudo-demand from stored parametric down-conversion," Phys. Rev. A, vol. 66, 042303 (2002)
【非特許文献4】E. Jeffrey, N.A. Peters, and P.G. Kwiat, "Towards a periodic deterministic source of arbitrary single-photon states," New Journal of Phys., vol. 6, 100 (2004)
【非特許文献5】A.L. Migdall, D. Branning, and S. Castelletto, "Tailoring single-photon and multiphoton probabilities of a single-photon on-demand source," Phys. Rev. A, vol. 66, 053805 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所与のクロックサイクルでの単一光子放出の確率は、特に多光子放出の確率を最小化するために通常の手法が使用される場合は、しばしば非常に低い。多光子放出は、量子論理ゲートにおいてエラーを生じさせる、又は量子通信リンク上のセキュリティもしくはスループットを低下させる情報を漏洩する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一目的は、前の手法より高い光子対生成の確率を可能にすることである。
【0008】
他の目的は、いくつかの従来技術の手法において必要とされる資源の数及び複雑性を低減し、それによってコストを削減することである。
【0009】
他の目的は、いくつかの従来技術の手法において必要とされるサイクルの数を低減し、従来の手法に記載されている弱くポンプする方法でゼロ光子イベント(zero photon events)を生成して浪費される最初のレーザポンプのサイクルの数を低減して出力の反復率を高めながら損失特性を改善することである。
【0010】
要約すると、本発明は、対の数を奇数又は偶数とすることができる複数の光子対のバーストを提供する相関光子対生成装置であって、各対の一方が第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方が第2の特性であるが第1の特性ではない特性を有する、相関光子対生成装置と、第1の特性を有する対の光子のための第1の光の経路と、第2の特性を有する対の光子のための第2の光の経路と、光子のバーストごとに、バーストにおける光子対の数が偶数か奇数かに応じて第1の経路における第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減する第1の光の経路における二光子吸収体(「TPA」)と、バーストにおける光子の数が奇数であるか偶数であるかに応じて伝令信号を出力する第2の経路における光子検出器とを有する伝令付き単一光子のための光源を備える。一実施形態では、光スイッチが第2の光の経路の出力に結合され、伝令信号に応答して作動するように接続される。出力された伝令信号はまた、そのような信号を必要とする任意の装置上でゲーティング信号として使用されることが可能である。
【0011】
光子検出器は、バーストのための第1の光パルスにおける光子の数が奇数であり、かつ光スイッチが、伝令信号が存在する場合を除いて、正常に閉じる場合は伝令信号を提供する光子数決定検出器(photon number−resolving detector)とすることができる。代替的実施形態では、光子検出器は、バーストのための第1の光パルスにおける光子の数が偶数であり、かつ光スイッチが、伝令信号が存在する場合を除いて、正常に開く場合は伝令信号を提供する光子数決定検出器とすることができる。
【0012】
さらに、光源は第2のTPAを含むことができ、第2のTPAは光子検出器の前に第2の光の経路に配置され、光子検出器は、光子が第2のTPAから出力される場合は伝令信号を提供する光子非数決定検出器(photon non−number−resolving detector)である。
【0013】
他の代替的実施形態では、光源は、(i)パルスパラメトリックダウンコンバージョン光源(pulsed parametric down−conversion source)、又は(ii)χ3ベースの(chi−3 based)四波混合光源のうちの少なくとも1つを備えることができ、これらはどちらも、それによって光子を2つの区別可能なモードに分けることができる特性を生成する。
【0014】
第1の特性及び第2の特性は、偏波、空間モード、モーメンタムモード(momentum mode)、又は光子の周波数特性のうちの1つとすることができ、相関光子対生成装置は、複数の光子対の対ごとに1つの水平偏波光子及び1つの垂直偏波光子を生成するパラメトリックダウンコンバージョン(PDC)光源又はχ3ベースの四波混合光源などのレーザによってポンプされる非線形媒体を備えることができる。
【0015】
光子検出器は、例えば、(i)少なくとも1つのシリコンアバランシェフォトダイオード、(ii)インジウムガリウム砒素アバランシェフォトダイオード、(iii)トランジションエッジセンサ(transition edge sensor)、(iv)ソリッドステートフォトマルチプライヤ(solid state photo multiplier)、(v)可視光線光子カウンタ、又は(vi)超伝導ナノワイヤ検出器のうちの1つを備えることができる。
【0016】
光源が第2のTPAを含む場合は、光子検出器は、例えば、(i)少なくとも1つのシリコンアバランシェフォトダイオード、(ii)インジウムガリウム砒素アバランシェフォトダイオード、(iii)トランジションエッジセンサ、(iv)ソリッドステートフォトマルチプライヤ、(v)可視光線光子カウンタ、又は(vi)超伝導ナノワイヤ検出器のうちの少なくとも1つを備えることができ、光遅延を光スイッチの出力に結合することができる。
【0017】
他の実施形態では、対の数を奇数又は偶数とすることができる複数の光子対のバーストを提供する相関光子対生成装置であって、各対の一方は第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方は第2の特性であるが第1の特性ではない特性を有する、相関光子対生成装置と、第1の特性を有する対の光子のための複数のNの第1の光の経路と、第2の特性を有する対の光子のための複数のNの第2の光の経路と、複数のTPAであって、1つが、光子のバーストごとに、バーストにおける光子対の数が偶数であるか又は奇数であるかに応じて、第1の光の経路における第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減する第1の光の経路のそれぞれに配置される複数のTPAと、複数の光子検出器であって、各第2の経路における1つが奇数の検出又は偶数の検出に応じて伝令信号を出力する複数の光検出器とを備える伝令付き単一光子のための光源が提供される。伝令信号を使用して単一光子を必要とするシステムにおいて検出器をゲートすることが可能であり、例えば、伝令信号を使用して、Nの入力及び少なくとも1つの出力を有する光スイッチであって、1つがそれぞれ第2の光の経路のうちの1つの出力に結合され、伝令信号の対応する1つに応答して開き、出力において1つの光子を提供するように接続される光スイッチをゲートする。
【0018】
本発明は、相関光子のP対のバーストを生成するステップであって、Pは対の数を奇数又は偶数とすることができ、各対の一方は第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方は第2の特性であるが第1の特性ではない特性を有する、ステップと、光子を、第1の特性を有する対の光子のための第1の光の経路と第2の特性を有する対の光子のための第2の光の経路とに分けるステップと、光子のバーストごとに第1の光の経路において2つの光子をP/2回吸収し、それによって、Pが偶数であるか奇数であるかに応じて、第1の経路における第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減するステップと、バーストのための第2の経路における光子の数が奇数であるか偶数であるかを示すために出力される伝令信号を提供するステップとを備える、伝令付き単一光子を提供する方法と呼ぶことができる。再度、伝令信号は、例えば伝令信号に応答して第2の光の経路の出力に結合された光スイッチを作動させることにより、ゲーティング信号として使用されることが可能である。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、相関光子のP対のバーストを生成するステップであって、Pは対の数が奇数又は偶数とすることができ、各対の一方は第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方は第2の特性であるが第1の特性ではない特性を有する、ステップと、第1の特性を有する対の光子のための複数の第1の光の経路と第2の特性を有する対の光子のための複数の第2の光の経路とに光子を分けるステップと、光子のバーストごとに第1の光の経路のそれぞれにおいて2つの光子をP/2回吸収し、それによって、Pが偶数であるか奇数であるかに応じて、各第1の光の経路における第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減するステップと、バーストのための第2の経路における光子の数が奇数であるか偶数であるかを示すために第2の経路ごとに出力される伝令信号を提供するステップと、伝令信号に応答して第2の光の経路の出力のそれぞれに結合された光スイッチを作動させるステップとを備える、伝令付き単一光子のための方法と呼ぶことができる。
【0020】
前述の全般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、本願発明を単に例示し説明するものであり、制限するものではないことを理解することが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、様々な実施形態を例示する。
【図1】第1のTPAを使用する本発明の第1の実施形態を例示する図である。
【図2】第1のTPA及び第2のTPAを使用する本発明の他の実施形態を例示する図である。
【図3】光子ストレージデバイスを使用する本発明のさらに他の実施形態を例示する図である。
【図4】複数の伝令付き光子生成モジュールを使用する本発明のさらに他の実施形態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、説明のために、限定のためにではなく、ステップの特定の順序、インターフェース、及び構成などの特定の技法及び実施形態を説明して、本明細書に提示する技法の完全な理解を提供する。技法及び実施形態は、添付の図面のコンテキストで主に説明されるが、技法及び実施形態はまた、他の光学的及び/又は電子的装置又はシステムで実施されることが可能であることを当業者はさらに理解するであろう。
【0023】
次に、その実施例が添付の図面に例示されている本発明の例示的実施形態について詳細に述べる。可能な限り、全図面にわたって同じ参照数字を使用して同じ又は同様の部分を示す。
【0024】
本発明は、レーザポンプのクロックサイクルごとに(少なくとも1つの従来技術における25%と比較して)約50%までの確率で、一度に正確に1つの伝令付き光子を放出する方法を開示する。ストレージループ又は他の知られている技法と結合されて、これは量子計算又は量子通信のための決定論的な単一光子源への主なステップを表す。多光子対イベントを生成するために駆動される対放出光源の1つの出力における光子数決定検出器は、対応する出力に奇数の数の光子が存在することを予告し、TPAは比較可能な確率で光子の数をゼロ又は1のどちらかに低減する。
【0025】
好ましい実施形態では、非線形媒体が高対生成モードで作動され、その結果、ゼロ光子の出力はほとんどないが、前の解決策は、低対放出モードで光子対資源を実行して多対放出を回避する。低対放出モードの結果として、前の解決策における大部分の光子対生成の試みは、ゼロ光子を放出する。光子を生成する高い確率を得るためには、多くの試みを行わなければならない。試みの数が多いほど、ストレージサイクルの数が多くなる。
【0026】
多光子状況において本発明の対生成機構を実行することにより、各パルスが奇数の数の光子対を含む可能性が約50%になり、最終的には、伝令付きモード(heralded mode)の奇数の数の光子は、TPAを通った後に単一光子に低減する。各ポンプパルスが単一光子を生成する確率が約50%であり、どのパルスを保持するべきかが知られているとすれば、パルスは、ストレージ、又は時間多重化方式もしくは空間多重化方式を利用することにより決定論的にされる可能性がある。
【0027】
さらに、奇数(又は偶数)光子数の多光子パルスをトリガオフすることにより、光子生成パルスは、前の手法の条件付の制御によって利益を受ける。
【0028】
図1に示すように、伝令付き単一光子生成モジュール200は、レーザ100によってポンプされる。伝令付き単一光子生成モジュール200の中には、例えば、四波混合又はSPDCを使用することによる場合のように、レーザ100によってポンプされたときに対を生成する非線形媒体110がある。非線形媒体110は、レーザポンプパルスごとに平均2、3の光子対を生成するためにポンプされ、したがって、非線形媒体110の2つのモードのそれぞれに平均3つ以上の光子が抜け出る。
【0029】
光子数決定検出器120を使用してモードAの光子数が測定され、エネルギー保存のために、共役モードBにおける光子数が決定される。光子数が偶数又はゼロである場合は、TPA130がこのパルスを真空に低減するので、さらなる動作は必要とされない。しかし、光子数が奇数である場合は、共役モードの奇数光子数パルスのTPA130の通過は、単一光子源出力170におけるパルスに単一光子しか残らなくなるまで光子対を除去する。検出器120は、例えば、(i)シリコンアバランシェフォトダイオード、(ii)インジウムガリウム砒素アバランシェフォトダイオード、(iii)トランジションエッジセンサ、(iv)ソリッドステートフォトマルチプライヤ、(v)可視光線光子カウンタ、又は(vi)超伝導ナノワイヤ検出器のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0030】
このようにして、伝令付き単一光子パルスは、非特許文献1における場合のように、平均1つのポンプパルスおきにまで生成され、光子数のエキゾチック量子非破壊測定を必要としない。単一光子及び伝令信号140を使用して、平均1つのクロックサイクルおきにまで生成され、光子は、従来技術の方法、例えば、非特許文献2、Pittmanらの2006年3月28日発行の特許文献1、名称「Method and apparatus for single-photon source and quantum memory」、非特許文献3、非特許文献4、及び/又は非特許文献5の方法に従って周期的に作成されることが可能であり、ずっと少ないオーバヘッドを使用し、したがって、周期的単一光子源の効率を上げる。
【0031】
図2に示され、単一光子生成モジュール210と表示されている代替的実施形態は、追加のTPA115とその後に続くモードAにおける光子非数決定検出器125を使用して、光子数決定検出器120を置き換える。追加のTPA115は、非線形媒体110からモードAに放出された最初の光子数に応じて、単一光子しか残らないか又は光子が1つも残らなくなるまで光子の対をモードAから減じる。このようにして、TPA115及び光子非数決定検出器125は、モードAにおける光子数のパリティ測定として働き、これは、モードAにおいてと等しい数の光子がモードBにおいて存在するので、モードBにおける単一光子生成の可能性を予告する。検出器125は、例えば、(i)シリコンアバランシェフォトダイオード、(ii)インジウムガリウム砒素アバランシェフォトダイオード、(iii)トランジションエッジセンサ、(iv)ソリッドステートフォトマルチプライヤ、(v)可視光線光子カウンタ、又は(vi)超伝導ナノワイヤ検出器のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0032】
単一光子源生成モジュールの他の実施形態を図3に例示する。原則として、単一光子生成モジュール200又は210のどちらも使用することができるが、簡単にするために、単一光子生成モジュール200の統合のみを示す。
【0033】
より具体的には、図3は、どのように単一光子生成モジュール200を1つのシステムに統合して、高い確率であるがランダムである出力を知られている技法に基づいて周期的出力に変えることができるかを示す。単一光子が光子数決定検出器120によって予告された後は、光スイッチ制御140は、光スイッチ150の状態を変えて、光子を光遅延160に格納する。単一光子は、光遅延160に何時スイッチされたかに応じて、サイクルのセット数の間、光遅延160に格納され、その結果、単一光子は、レーザ100の周波数より低い周波数で狭い時間ウィンドウにおいて高い確率で放出される。
【0034】
図4は、どのように単一光子生成モジュール200を、1×Nのスプリッタ250を利用してレーザポンプを複数の単一光子生成モジュール200に割り当てる1つのシステムに統合することができるかを示し、複数の単一光子生成モジュール200の出力は、N×1のスイッチ260と結合され、高い確率であるがランダムである出力を他の知られている技法に基づいて周期的出力に変える。単一光子が任意の単一光子生成モジュール200から予告された後は、N×1のスイッチ260の状態が、予告された単一光子のみを送信するようにセットされる。複数の単一光子が予告された場合は、1つの伝令信号のみがN×1のスイッチに送信されて、対応する単一光子をスイッチアウトする。複数の単一光子生成モジュール200を使用することにより、少なくとも1つが任意の所与のレーザ100のクロックサイクル上で伝令付き光子を生成する。
【0035】
奇数の数の光子が検出された場合は、伝令信号は、通常、真の状態にある。しかし、光スイッチ又は他のゲートされた装置が適切に調整された場合は、逆の場合もあり得る。伝令信号によって有用に作動される任意の装置は、本発明では「ゲート」とみなすものとする。
【0036】
前述の説明は、例示のために提示されたものである。前述の説明は、網羅的ではなく、本発明を開示された厳密な形態又は実施形態に限定するものではない。本発明の開示された実施形態の詳細及び実施の考察から本発明の変更形態及び適応形態を作成することができる。例えば、前述の方法の1つ又は複数のステップを、異なる順序で又は同時に実行して、それでもなお望ましい結果を達成することができる。
【0037】
本発明の他の実施形態は、本明細書で開示された本発明の詳細及び実施の考察から当業者には明らかになるであろう。詳細及び実施例は、単なる例示とみなされ、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲によって示されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対の数を奇数又は偶数とすることができる複数の光子対のバーストを提供する相関光子対生成装置であって、各対の一方が第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方が前記第2の特性であるが前記第1の特性ではない特性を有する、相関光子対生成装置と、
前記第1の特性を有する前記対の光子のための第1の光の経路と、
前記第2の特性を有する前記対の光子のための第2の光の経路と、
光子のバーストごとに、前記バーストにおける前記光子対の数が偶数であるか奇数であるかに応じて、前記第1の経路における前記第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減する前記第1の光の経路における二光子吸収体と、
前記バーストにおける前記光子の数の前記偶数/奇数の特性に応じて伝令信号を出力する前記第2の経路における光子検出器と
を備えることを特徴とする伝令付き単一光子のための光源。
【請求項2】
光スイッチが前記第2の光の経路の前記出力に結合され、前記伝令に応答して作動するように接続されることを特徴とする請求項1に記載の伝令付き単一光子のための光源。
【請求項3】
前記第2の経路における前記光子検出器が前記バーストにおいて奇数の数の光子を検出するとすぐ伝令信号を出力すること、及び
前記第2の光の経路の前記出力に結合された前記光スイッチが前記伝令信号に応答して正常に開閉すること
を特徴とする請求項2に記載の光源。
【請求項4】
前記第2の経路における前記光子検出器が前記バーストにおいて偶数の数の光子を検出するとすぐ伝令信号を出力すること、及び
前記第2の光の経路の前記出力に結合された前記光スイッチが前記伝令信号に応答して正常に開閉すること
を特徴とする請求項2に記載の光源。
【請求項5】
前記光子検出器が、バーストのための前記第1の光パルスにおける前記光子の数が奇数である場合に表示するために前記伝令信号を提供する写真数決定検出器であることを特徴とする請求項1に記載の光源。
【請求項6】
第2の二光子吸収体をさらに含み、前記第2の二光子吸収体が、数決定検出器か又は非数決定検出器であり得る前記光子検出器の前に前記第1の光の経路に配置され、前記第2の二光子吸収体に結合されている前記光子検出器が光子パリティ検出器であって、光子が前記第2の二光子吸収体から出力され、前記光子パリティ検出器によって測定されたときに前記伝令信号を提供する光子パリティ検出器であることを特徴とする請求項1に記載の光源。
【請求項7】
前記第1の特性及び前記第2の特性が、偏光、空間モード、モーメンタムモード、又は周波数のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載の光源。
【請求項8】
前記相関光子対生成装置がレーザによってポンプされる非線形媒体を備えることを特徴とする請求項1に記載の光源。
【請求項9】
前記相関光子対生成装置が(i)パルスパラメトリックダウンコンバージョン光源、又は(ii)パルスχ3ベースの四波混合光源のうちの少なくとも1つを備え、これらはどちらも、それによって対の光子を2つの区別可能なモードに分けることができる特性を生成することを特徴とする請求項1に記載の光源。
【請求項10】
前記光子検出器が(i)シリコンアバランシェフォトダイオード、(ii)インジウムガリウム砒素アバランシェフォトダイオード、(iii)トランジションエッジセンサ、(iv)ソリッドステートフォトマルチプライヤ、(v)可視光線光子カウンタ、又は(vi)超伝導ナノワイヤ検出器のうちの1つを備えることを特徴とする請求項1に記載の光源。
【請求項11】
前記光スイッチの前記出力に結合された光遅延をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の光源。
【請求項12】
伝令付き単一光子のための光源であって、
それぞれが対の数を奇数又は偶数とすることができる複数の光子対のバーストをそれぞれが提供する複数の相関光子対生成装置であって、各対の一方が第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方が前記第2の特性であるが前記第1の特性ではない特性を有する、相関光子対生成装置と、
前記第1の特性を有する前記対の光子のための複数のNの第1の光の経路と、
前記第2の特性を有する前記対の光子のための複数のNの第2の光の経路と、
複数の二光子吸収体であって、1つが、光子のバーストごとに、前記バーストにおける前記光子対の数が偶数であるか奇数であるかに応じて、その第1の経路における前記第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減する各前記第1の光の経路に配置される、複数の二光子吸収体と、
複数の光子検出器であって、各前記第2の経路における1つが、前記バーストにおけるその第2の経路における前記光子の数が奇数である場合に表示する伝令信号を出力する、複数の光子検出器と
を備えることを特徴とする伝令付き単一光子のための光源。
【請求項13】
Nの入力及び少なくとも1つの出力を有する光スイッチであって、1つがそれぞれ前記第2の光の経路のうちの1つの前記出力に結合され、前記伝令信号の対応する1つに応答して開き、前記出力において1つの光子を提供するように接続される光スイッチをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の伝令付き単一光子のための光源。
【請求項14】
伝令付き単一光子を提供する方法であって、
P対の相関光子のバーストを生成する方法であって、Pは対の数を奇数又は偶数とすることができ、各対の一方が第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方が前記第2の特性であるが前記第1の特性ではない特性を有する、ステップと、
前記第1の特性を有する前記対の光子のための第1の光の経路と前記第2の特性を有する前記対の光子のための第2の光の経路とに前記光子を分けるステップと、
光子のバーストごとに前記第1の光の経路において2つの光子をP/2回吸収し、それによって、Pが偶数であるか奇数であるかに応じて、前記第1の経路における前記第1の特性の光子の数をゼロ又は1に低減するステップと、
前記バーストのための前記第2の経路における前記光子の数が奇数であるか偶数であるかに応じて出力される伝令信号を提供するステップと、
前記伝令信号に応答して前記第2の光の経路の前記出力に結合されたゲートを作動させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記伝令信号を提供するステップが、バーストのための前記第1の光パルスにおける前記光子の数が奇数である場合に前記伝令信号を提供する光子数決定検出器を使用するステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
光子のバーストごとに前記第2の光の経路において2つの光子をP/2回吸収し、それによって、Pが偶数であるか奇数であるかに応じて前記第2の経路における第2の特性の前記光子の数をゼロ又は1に低減するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の特性及び前記第2の特性が偏光、空間モード、モーメンタム、又は周波数のうちの1つであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
レーザによってポンプされる非線形媒体を使用してP対の相関光子の前記バーストを生成することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
(i)パルスパラメトリックダウンコンバージョン光源、及び(ii)χ3ベースの四波混合(FWM)光源のうちの1つによってP対の相関光子の前記バーストを生成し、これらの光源はどちらも、(a)偏光、(b)周波数、(c)モーメンタムモード、又は(d)空間モードによって区別可能である各対における光子を生成することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
(i)シリコンアバランシェフォトダイオード、(ii)インジウムガリウム砒素アバランシェフォトダイオード、(iii)トランジションエッジセンサ、(iv)ソリッドステートフォトマルチプライヤ、(v)可視光線光子カウンタ、又は(vi)超伝導ナノワイヤ検出器のうちの少なくとも1つを使用して、前記伝令信号出力を何時生成するべきかを判定することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記光スイッチが作動するとすぐ利用可能になる光子を格納するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
伝令付き単一光子のための方法であって、
P対の相関光子のバーストを生成するステップであって、Pは対の数を奇数又は偶数とすることができ、各対の一方が第1の特性であるが第2の特性ではない特性を有し、各対の他方が前記第2の特性であるが前記第1の特性ではない特性を有する、ステップと、
前記光子を前記第1の特性を有する前記対の光子のための複数の第1の光の経路と前記第2の特性を有する前記対の光子のための複数の第2の光の経路とに分けるステップと、
光子のバーストごとに各前記第1の光の経路において2つの光子をP/2回吸収し、それによって、Pが偶数であるか奇数であるかに応じて、各第1の経路における第1の特性の前記光子の数をゼロ又は1に低減するステップと、
前記バーストのための第2の経路における前記光子の数が奇数である場合は第2の経路ごとに出力される伝令信号を提供するステップと、
前記伝令信号に応答して前記第2の光の経路の前記出力のそれぞれに結合されたゲートを作動させるステップと
を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−509600(P2013−509600A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528027(P2012−528027)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/047609
【国際公開番号】WO2011/028857
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【Fターム(参考)】