説明

高精度解析法による無線測位システム

【目的】本発明は、電波強度の変化特性を取り入れて各発信機から受信機までの距離の計測を行うことで、距離計測の精度を向上せしめ、ひいては無線測位システム自体の信頼性を大きく高めることができる高精度解析法による無線測位システムを提供することを目的とする。
【構成】電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際して、各発信機から受信機までの距離の変化に対する電波強度の変化特性を考慮して計測を行い、電波強度の変化特性を考慮した計測値を用いて受信機の位置を計測する、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線によって位置の測定が行える無線測位システムに係り、特に該システムの測位誤差を少なくして高精度に測位が行える高精度解析法による無線測位システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線電波の通信電波強度を利用し、該通信電波強度から電波発信機器の位置を測定する技術が開発されている(特許公表番号2010−509571号)。
【0003】
ここで、前記従来の通信電波強度を利用した位置の測定システムは、座標が既知となっている複数台の受信機が存在する環境においては、それぞれの場所が既知な発信機から発信された電波を各受信機が受信した際の電波強度から、それぞれの場所が既知な発信機からの受信機までの距離を推定し、もってそれぞれの受信機の座標と、それぞれの発信機―受信機間の距離から、受信機の位置を計算するものであった(図7、図8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−509571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のシステムでは、受信機の位置の計算における、誤差の補正において、各発信機から受信機までの間の距離とは一切関係なくそれぞれ同じ誤差をもつものとして計測していた。
これは、従来のシステムでは、いわゆるGPSによる測位方法をそのまま利用していることによると考えられる。すなわち、従来のGPSによる測位方法は、電波の伝搬時間を利用して距離を算出しているため、誤差補正値も受信機と時計誤差を原因として、各発信機から受信機までの距離とは一切関係ないと考えているからと思われる。
【0006】
しかし、発信機から発信される電波の電波強度減衰度は、発信した距離に比例して一律に減衰するのではない。
図4から理解されるように、例えば、略50m程度までは、急激に減衰するが、略50mを過ぎると電波強度はほとんど変動しないことが判明している。
しかるに従来では、誤差補正値は各発信機から受信機までの距離に関係なくそれぞれ同じ値としていたため、前記距離計測の精度が低くなってしまい、もって従来の無線測位システム自体の精度には難点があるとの課題が生じていたのである。
【0007】
かくして、本発明は、前記従来システムの課題を解消するために創案されたものであり、通信電波強度の減衰度は、各発信機から受信機までの距離が短いときには電波強度の変化度が大きい、すなわち、大きく電波強度が減衰し電波強度により推定した距離の精度が高い(誤差が小さい)、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さく、すなわち電波強度はほとんど変化しないことから電波強度により推定した距離の精度が低い(誤差が大きい)、との電波強度の変化特性を考慮しなければならないのである。
そして、本発明では、前記電波強度の変化特性を取り入れて各発信機から受信機までの距離の計測を行うことで、距離計測の精度を向上せしめ、ひいては無線測位システム自体の信頼性を大きく高めることができる高精度解析法による無線測位システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による高精度解析法による無線測位システムは、
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際して、各発信機から受信機までの距離の変化に対する電波強度の変化特性を考慮して計測を行い、
前記電波強度の変化特性を考慮した計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とし、
または、
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際し、各発信機から受信機までの距離が短いときに電波強度の変化度が大きく、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さい、との電波強度の変化特性を考慮した数値を利用して計測を行い、
前記計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とし、
または、
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際し、各発信機から受信機までの距離が短いときに電波強度の変化度が大きく、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さい、との電波強度の変化特性を考慮した計算式を形成し、該計算式で算出された数値を利用して計測を行い、
前記計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とし、
または、
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際し、各発信機から受信機までの距離が短いときに電波強度の変化度が大きく、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さい、との電波強度の変化特性を考慮した計算式を、電波強度値を算出する計算式と各発信機から受信機までも距離を算出する計算式から形成し、前記形成された計算式により算出された数値を利用して計測を行い、
前記計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とし、
または、
前記電波強度値を算出する計算式は、

であり、
各発信機から受信機までの距離を算出する計算式は、

であり、
前記電波強度特性を考慮した計算式は、

である、
(なお、

とする。対象を3次元として考えた場合には、上記の式にZ項を加えた式となる。ssiは電波強度値,Ptxは送信電力,fは周波数,riは前記距離,nはパラメータ。)

ことを特徴とし、
または、
前記位置を計測する受信機は、複数個である、
ことを特徴とし、
または、
前記位置を計測する受信機は、移動する、
ことを特徴とし、
または、
前記各発信機は、無線LANのアクセスポイントであり、前記受信機は、前記無線LANのアクセスポイントからの信号を受信する端末機器である、
ことを特徴とし、
または、
前記場所が既知な発信機を場所が既知な受信機に換えると共に、前記受信機を場所が不知な発信機に換えて、該受信機の無線測位が行える、
ことを特徴とし、
または、
作業エリア内において前記受信機を作業者及び作業車両に取り付け、前記高精度解析法による高精度解析法による無線測位システムを作動して、前記作業エリア内の受信機の位置情報を計測すると共に、該位置情報をコンピュータに送信して取得させ、コンピュータでは、取得した位置情報から作業エリアにおける作業員の把握が行えると共に、前記位置情報から作業車両の作業員への接近に対し警告を発しうるシステムが構築できる、
ことを特徴とし、
または、
前記受信機を地下街及び商業施設内の人員に携帯させ、前記高精度解析法による無線測位システムを作動して、前記受信機の位置情報を計測すると共に、該位置情報をコンピュータに送信して取得させ、コンピュータでは、取得した位置情報から地下街及び商業施設内における人員の把握が行えると共に、前記位置情報から緊急避難誘導路を随時形成できるシステムが構築できる、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明による高精度解析法による無線測位システムであれば、通信電波強度の減衰度は、発信距離と比例して減衰するものではなく、各発信機から受信機までの距離が短いときには電波強度の変化度が大きい、すなわち、大きく電波強度が減衰し、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さく、すなわち電波強度はほとんど変化しない、との電波強度の変化特性を考慮し、もって、当該電波強度の変化特性を取り入れて各発信機から受信機までの距離の計測を行うことで、距離計測の精度を向上せしめ、ひいては高精度解析法による無線測位システム自体の信頼性を大きく高めることができるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施例の概略構成を説明する概略構成説明図である。
【図2】本発明の使用状態を説明する説明図である。
【図3】従来の方法と本発明の誤差比較を説明する説明図である。
【図4】電波強度の減衰状態を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施例を説明する実施例構成説明図である。
【図6】測位計算用サーバコンピュータの概略構成を説明する構成説明図である。
【図7】従来例のシステム構成を説明する説明図(1)である。
【図8】従来例のシステム構成を説明する説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、場所が既知な発信機である無線LANのアクセスポイント1a、1b、1c、1dを設置し、その中に、受信機である無線端末2を配置し、この無線端末2の測位計測を行った例を示したものである。
【0013】
この例において、それぞれの無線LANのアクセスポイント1a、1b、1c、1dの電波強度値は、アクセスポイント1aが−42.4、アクセスポイント1bが−70.8、アクセスポイント1cが−55.5、アクセスポイント1dが−63.2と測定されている。
【0014】
しかしながら、本発明ではこの電波強度値を場所が既知な発信機から受信機までの距離の計測にそのまま使用するものではない。前記したように、電波強度の減衰は、図4から理解されるように、例えば略50m程度までは、急激に減衰するが、略50mを過ぎると電波強度はほとんど変動しないものであり、このように電波強度の減衰度は、発信距離と比例して減衰するものではなく、各発信機から受信機までの距離が短いときには電波強度の変化度が大きい、すなわち、大きく電波強度が減衰し、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さく、すなわち電波強度はほとんど変化しない、との電波強度の変化特性を有している。
よって、発信機から受信機までの距離の計測に際しては、前記電波強度の変化特性を充分に考慮して計測する必要がある。
【0015】
そこで本発明では、この電波強度の変化特性を考慮したいわゆる「推定電波強度値」を求め、当該数値を計測に利用するものとした。
【0016】
そのため下記の式を使用する。ところで、下記の数2の式などは、対象を2次元平面として考えた場合の式としてある。よって、図7、図8の従来例のように対象を3次元として考えた場合には、下記の数2などの式にZ項を加えた式となる。

まず、電波強度と距離の関係式を数1に示す。
【0017】
【数1】


ここで、ssiは電波強度値,Ptxは送信電力,fは周波数,riは前記距離,nはパラメータ
を示す。
次に、無線LANの各アクセスポイント1a、1b、1c、1dと受信機である無線端末2との間の距離を求める式を数2に示す。
【0018】
【数2】


これら数1と数2の式から、下記の関係式が得られる。
【0019】
【数3】

なお、

とする。

前記数3の式がいわゆる「推定電波強度値」を求める式となる。すなわち、各発信機から受信機までの距離が短いときには電波強度の変化度が大きいため、大きく電波強度が減衰し、各発信機から受信機までの距離が長いときには、電波強度の変化度が小さく、電波強度はほとんど変化しない、との電波強度の変化特性を考慮した「推定電波強度値」を求めることができるのである。
【0020】
ここで、まず、各アクセスポイント1a、1b、1c、1dの実際の電波強度値は、アクセスポイント1aが−42.4、アクセスポイント1bが−70.8、アクセスポイント1cが−55.5、アクセスポイント1dが−63.2であることすでに述べた。

次に、「推定電波強度値」

を求める。
「推定電波強度値」

は前記の数3の式より、下記の式が導かれる。
【0021】
【数4】

そして、数3の式と数4の式とよりそれぞれの推定電波強度値が求められ、次いで実際の電波強度値と、前記推定された電波強度値の残差(Δssi)が求められる。
【0022】
【数5】

すなわち、上記の式により、各アクセスポイント1a、1b、1c、1dごとに、実際に測定された電波強度値と、推定された電波強度値の残差(Δssi)が求められるのである。

さらに、各アクセスポイント1a、1b、1c、1dごとに求められた電波強度値の残差(Δssi)が充分に小さくなるまで更新する。
【0023】
すなわち、下記に示す数6の式を各アクセスポイント1a、1b、1c、1dごとに連立させて,各パラメータの変化量(Δx,Δy,Δn)を求め、初期値(図2参照)を更新していくのである。
【0024】
【数6】


ここで、Δssiは先ほど求めた残差,δssi/δx,δssi/δy,δssi/δnは数3の式を偏微分することによって得ることができる数値である。
【0025】
以上により、図2に示す様な補正距離が計測される。図2では、第1回目の補正距離と第3回目の補正距離を示してある。
【0026】
次に、本発明による計測結果を図3に示す。図3から理解されるように、実際の無線端末2の位置は、X座標値が4.50m、Y座標値が1.00mであるのに対し、本発明の手法では、X座標値が1.15m、Y座標値が2.46mであり、その誤差は、3.66mにすぎない。
これに対し、従来手法では、X座標値が4.53m、Y座標値が7.64mで、その誤差は6.64mとなっている。
このように、本発明では、従来手法に比較し、実際の無線端末2の位置と測位結果の斜距離が小さいものとなる。
【0027】

図5は、本発明の高精度解析法による無線測位システムを利用し、作業エリアであるトンネル3内における作業員4・・・の把握や作業車両5の作業員4への急激な接近などを警告するなど作業管理システムを構築した例を示すものである。
図5において、各作業員4や作業車両5は受信機となる無線端末2を有しており、かつトンネル3の幅方向両側には所定の間隔をおいて無線LANのアクセスポイント1・・・が設けられている。また、このネットワーク内に例えば測位計算用サーバコンピュータ6が配置されている。
【0028】
なお、当該測位計算用サーバコンピュータ6は、送信部8、受信部9、CPUなどで構成される制御部10、ハードディスクなどで構成される記憶部11、キーボードなどの入力部12、ディスプレイ7などを有して構成されている。
そして、前記各作業員4や各作業車両5が有する各無線端末2・・・からの各無線LANのアクセスポイント1・・・に対しての各々の電波強度値は、前記測位計算用サーバコンピュータ6へ送出され、該測位計算用サーバコンピュータ6では、制御部10によって、前記記憶部11に格納されているデータや各種演算式が参照されて計測され、もって前記推定電波強度値が計測され、各作業員4や各作業車両5が有する各無線端末2・・・の位置が計測されることとなる。
【0029】
この計測されたそれぞれの位置は、前記測位計算用サーバコンピュータ6のディスプレイ7上、あるいは前記各作業員4や各作業車両5が有する各無線端末2・・・のディスプレイ7上には、例えばトンネル3内の全体画像が前記記憶部11から取り出されて描画され、その全体画像上に各作業員4や各作業車両5の画像が各作業員4や各作業車両5の位置として表示される。
【0030】
そして、例えば作業車両5としてのダンプが特定の作業員4に急接近してきた場合には、「ダンプ接近中」とのメッセージを画像上に掲載すると共に、警告音を発するよう前記制御部10によって制御され、該警告は送信部8から各作業員4や各作業車両5の無線端末2に送信される。そして、該無線端末2側では、図5から理解されるようにそのディスプレイ7上に描画された作業エリアの全体画像(トンネル内の画像)に「ダンプ接近中」との文字が描かれると共に、所定の警告音が発せられるよう構成されている。
【0031】
このように、本発明の高精度解析法による無線測位システムは、作業エリアの管理システムとして利用でき、システム構築することができる。そして、この際の各作業員4や各作業車両5の位置認識は、極めて高い精度で行える。また、各作業員4や各作業車両5が移動している場合でも、連続的に位置認識することができる。
【0032】
また、前記受信機となる無線端末2・・・を地下街及び商業施設内の人員に携帯させ、かつ地下街及び商業施設内に所定の間隔をおいて複数の無線LANアクセスポイント1・・・を配置しておき、これにより高精度解析法による無線測位システムを利用した地下街及び商業施設管理システムを構築することもできる。
【0033】
そして、前記高精度解析法による無線測位システムを作動して、前記受信機となる無線端末2・・・の電波強度値を測位計算用サーバコンピュータ6に送出し、前記制御部10で前記無線端末2・・・の位置を計測すると共に、該位置情報を測位計算用サーバコンピュータ6の記憶部11に記憶、取得させる。
【0034】
すなわち、測位計算用サーバコンピュータ6では、前記制御部10によって推定電波強度値が計測され、地下街及び商業施設内の人員が有する各無線端末2・・・の位置が計測、確認される。
また、この計測されたそれぞれの位置は、前記測位計算用サーバコンピュータ6のディスプレイ7上、あるいは前記各地下街及び商業施設内の人員が有する各無線端末2・・・のディスプレイ7上に表示された地下街及び商業施設内の全体画像上に地下街及び商業施設内の人員の位置として表示される。
【0035】
そして、地下街及び商業施設内における人員の把握が容易にかつ連続的に行えると共に、前記位置情報を基に例えば地下街及び商業施設内における緊急避難誘導路を前記制御部10及び記憶部11によって随時形成できるシステムが構築できるものとなる。
なお、前記した受信機となる無線端末2・・・について、受信部分について外して携帯できるような無線端末2・・・とし、その受信部分を、前記地下街及び商業施設内における人員のポケットに入れる、あるいは身につけさせるように構成してもかまわない。
また、前記地下街及び商業施設内における人員が有しているクレジットカードや運転免許証などに受信機能を付帯させ、これによって本発明のシステムを構築してもかまわないものである。さらには前記地下街及び商業施設内における人員が着ている衣服などに受信機構を備えた機器をあらかじめ取り付けておくことも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
よって、本発明は、建設工事だけでなく、商業施設や、地下街などの人間の把握にも利用、活用でき、突発的に起きる災害時の人数の把握や緊急避難誘導路の構築などに活用可能である。
【0037】
また、前記屋内での本発明による高精度解析法による無線測位システムを、屋外についてのGPSによる測位システムと連動させることにより、屋外、屋内についても連続的に位置認識できるシステムを構築することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 無線LANのアクセスポイント
2 無線端末
3 トンネル
4 作業員
5 作業車両
6 測位計算用サーバコンピュータ
7 ディスプレイ
8 送信部
9 受信部
10 制御部
11 記憶部
12 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際して、各発信機から受信機までの距離の変化に対する電波強度の変化特性を考慮して計測を行い、
前記電波強度の変化特性を考慮した計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とする高精度解析法による無線測位システム。

【請求項2】
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際し、各発信機から受信機までの距離が短いときに電波強度の変化度が大きく、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さい、との電波強度の変化特性を考慮した数値を利用して計測を行い、前記計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とする高精度解析法による無線測位システム。

【請求項3】
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際し、各発信機から受信機までの距離が短いときに電波強度の変化度が大きく、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さい、との電波強度の変化特性を考慮した計算式を形成し、該計算式で算出された数値を利用して計測を行い、
前記計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とする高精度解析法による無線測位システム。
【請求項4】
電波を発信する複数の場所が既知な発信機と、前記複数の場所が既知な発信機から発信された電波を受信する受信機とを備え、前記発信された電波の電波強度値を利用して各発信機から受信機までの距離を計測し、計測したそれぞれの距離から受信機の位置を測定する無線測位システムであり、
前記電波強度値を使用しての各発信機から受信機までの距離の計測に際し、各発信機から受信機までの距離が短いときに電波強度の変化度が大きく、各発信機から受信機までの距離が長いときに電波強度の変化度が小さい、との電波強度の変化特性を考慮した計算式を、電波強度値を算出する計算式と各発信機から受信機までも距離を算出する計算式から形成し、前記形成された計算式により算出された数値を利用して計測を行い、前記計測値を用いて受信機の位置を計測する、
ことを特徴とする高精度解析法による無線測位システム。
【請求項5】
前記電波強度値を算出する計算式は、

であり、
各発信機から受信機までの距離を算出する計算式は、

であり、
前記電波強度特性を考慮した計算式は、

である、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載された高精度解析法による無線電波測位システム。
なお、

とする。また、対象を3次元として考えた場合には、上記の式にZ項を加えた式となる。
ssiは電波強度値,Ptxは送信電力,fは周波数,riは前記距離,nはパラメータ

【請求項6】
前記位置を計測する受信機は、複数個である、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載された高精度解析法による無線測位システム。
【請求項7】
前記位置を計測する受信機は、移動する、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載された高精度解析法による無線測位システム。
【請求項8】
前記各発信機は、無線LANのアクセスポイントであり、前記受信機は、前記無線LANのアクセスポイントからの信号を受信する端末機器である、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載された高精度解析法による無線測位システム。
【請求項9】
前記場所が既知な発信機を場所が既知な受信機に換えると共に、前記受信機を場所が不知な発信機に換えて、該受信機の無線測位が行える、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載された高精度解析法による無線測位システム。
【請求項10】
作業エリア内において前記受信機を作業者及び作業車両に取り付け、前記請求項1ないし請求項8のいずれかに記載された高精度解析法による無線測位システムを作動して、前記作業エリア内の受信機の位置情報を計測すると共に、該位置情報をコンピュータに送信して取得させ、コンピュータでは、取得した位置情報から作業エリアにおける作業員の把握が行えると共に、前記位置情報から作業車両の作業員への接近に対し警告を発しうるシステムが構築できる、
ことを特徴とする作業管理システム。
【請求項11】
前記受信機を地下街及び商業施設内の人員に携帯させ、前記請求項1ないし請求項8のいずれかに記載された高精度解析法による無線測位システムを作動して、前記受信機の位置情報を計測すると共に、該位置情報をコンピュータに送信して取得させ、コンピュータでは、取得した位置情報から地下街及び商業施設内における人員の把握が行えると共に、前記位置情報から緊急避難誘導路を随時形成できるシステムが構築できる、
ことを特徴とする商業施設内管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−185047(P2012−185047A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48634(P2011−48634)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000235543)飛島建設株式会社 (132)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(300023615)株式会社ノーチラス・テクノロジーズ (3)
【Fターム(参考)】