説明

高純度の含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド、その製造方法及びそれを用いた光学活性含フッ素アミン誘導体の製造方法

【課題】不純物が少なく、フェニル化反応等に利用した際に十分に高い収率が得られる高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド、その製造方法及びそれを用いた光学活性含フッ素アミン誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式


(式中、mは1〜3、nは0〜2の整数であり、且つ、m+n=3である。*は不斉点を表し、R体、S体またはR体とS体の混合物のいずれかである。)で表される含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドであって、不純物の含フッ素化合物の含有量が、CHnFm部位の総計として、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対して10モル%未満であることを特徴とする高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに関する。より詳細には、医薬中間体として重要な光学活性含フッ素アミン誘導体の前駆体として用いられる高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド、その製造法及びそれを用いた光学活性含フッ素アミン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素原子を有する有機分子は卓越した性質を有することから、様々な用途分野において検討されている。その中で、一般式(10)
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、R、R'、R''は置換基を有していてもよいアルキル基、アリル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
で表されるようなα位に置換基を有する光学活性含フッ素アミン誘導体は、医薬中間体として重要であり、盛んに検討されている。例えば、特許文献1、非特許文献1に示されるα位にアリール基を有する光学活性含フッ素アミン化合物は、骨粗鬆薬としての優れた薬効を示すことが報告されている。また、特許文献2、非特許文献2に示される含フッ素β−ヒドロキシアミノ酸誘導体は、次世代の優れた抗癌剤として検討されている。
【0005】
これらα位に置換基を有する光学活性含フッ素アミン化合物を得るための出発原料として、通常、含フッ素イミン化合物が利用されている。特に、含フッ素イミン化合物が不斉認識部位を有する場合は、含フッ素イミン化合物からジアステレオ選択的にα−置換光学活性含フッ素アミン化合物が得られることから、極めて効率的な合成法となる。
このような不斉認識部位を有するイミン化合物として、非フッ素系化合物については多くの検討例がある。特に、非特許文献3において報告されたエチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドは、高いジアステレオ選択性を示すことが報告されており、また、温和な条件で窒素上の保護基を切断することができるため、極めて利用価値の高い有用な化合物である。含フッ素化合物については、検討例は少ないが、光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドについて、非特許文献4において報告されている。
【0006】
非特許文献4において、光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドは、光学活性2−メチルプロパンスルフィンアミドと含フッ素アセトアルデヒド水和物をゼオライト存在下で反応させる方法により合成されている(スキーム1)。
【0007】
【化2】

【0008】
ここで、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの場合、フッ素原子を含まないエチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドと異なり、電子吸引性のフッ素が隣接するため、その合成時に中間体として生成するヘミアミナール中間体Aからの脱水反応が難しい問題を有する。その結果、ヘミアミナール中間体Aが残留し易い上、ヘミアミナール中間体Aと含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドが反応したり、原料である含フッ素アセトアルデヒド水和物が含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドと反応する場合があるなど複雑な生成物が生成する。この際、フッ素原子を含有しないエチリデン−2−メチルプロパンスルフィンイミンの場合は、非特許文献3に示されるように、シリカゲルカラムによるカラム精製等により容易に精製を行うことができる。一方、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの場合は、イミン部位が非常に高い反応性を有していることから、カラム充填剤に極めて吸着され易く、この方法で精製することができない。このため、非特許文献4では、光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを合成した際の反応混合物を精製することなく、そのままフェニル化反応等に使用している。この際、反応混合物であるトルエン溶液中には、出発原料である含フッ素アルデヒド水和物、ヘミアミナール中間体Aあるいはこれらと含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの反応物等の不純物が含まれる。これら、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに含まれる不純物は、α位に置換基を有する光学活性含フッ素アミン化合物を合成する際に悪影響を及ぼし易い。実際に非特許文献3においては、フェニル化反応を行った際に十分な収率が得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO04/033445パンフレット
【特許文献2】WO 03/013503パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Org. Chem., 2009, 74, 1605
【非特許文献2】J. Fluor. Chem., 2004, 125, 487
【非特許文献3】J. Org. Chem., 1999, 64, 1278
【非特許文献4】Organic Letters, 2007, 9, 683
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこれらの課題に鑑みてなされたものである。即ち、不純物が少なく、フェニル化反応等に利用した際に十分に高い収率が得られる高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド、その製造方法及びそれを用いた光学活性含フッ素アミン誘導体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の不純物の含量が特定量未満である高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド、この高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法及びそれを用いた光学活性含フッ素アミン誘導体の製造方法を見出し、本発明を完成させたものである。即ち、本発明は下記の要旨に係るものである。
【0013】
(1) 下記一般式(1)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、mは1〜3、nは0〜2の整数であり、且つ、m+n=3である。*は不斉点を表し、R体、S体またはR体とS体の混合物のいずれかである。)
で表される含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドであって、
下記一般式(2)
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、m、nは前記定義に同じ。)
で表わされる含フッ素アセトアルデヒド水和物、下記一般式(3)
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表わされる含フッ素ヘミアミナール、下記一般式(4)
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表される含フッ素化合物、下記一般式(5)
【0022】
【化7】

【0023】
(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表される含フッ素化合物又は下記一般式(6)
【0024】
【化8】

【0025】
(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表される含フッ素化合物の含有量が、CHnFm部位の総計として、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対して10モル%未満であることを特徴とする高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド。
【0026】
(2) 一般式(7)
【0027】
【化9】

【0028】
(式中、*は不斉点を表し、R体、S体またはR体とS体の混合物のいずれかである。)
で表される光学活性2−メチルプロパンスルフィンアミドと一般式(2)
【0029】
【化4】

【0030】
(式中、mは1〜3、nは0〜2の整数であり、且つ、m+n=3である。)
で表される含フッ素アセトアルデヒド水和物をゼオライト及びpKa(水中)が2以上6以下のブレンステッド酸の存在下で反応させることを特徴とする前記一般式(1)で表される(1)に記載の高純度含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【0031】
(3)ブレンステッド酸が有機弱塩基の強酸塩及びカルボン酸類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(2)に記載の高純度含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【0032】
(4)有機弱塩基の強酸塩がピリジニウム塩及びアニリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である(3)に記載の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【0033】
(5)前記一般式(1)で表される(1)に記載の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法であって、前記一般式(5)で表される光学活性2−メチルプロパンスルフィンアミドと前記一般式(2)で表される含フッ素アセトアルデヒド水和物をゼオライト及びpKa(水中)が2以上6以下のブレンステッド酸の存在下にて反応させた後、80℃以下の温度で蒸留精製することを特徴とする高純度含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【0034】
(6)前記一般式(1)で表される(1)に記載の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを下記一般式(8)
RpXqM (8)
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。Xはハロゲン原子、Mは1A族、2A族、2B族又は3B族の元素を表す。pは1〜3の整数、qは0〜2の整数を表し、p+qはMの価数に等しい。)
で表される有機金属化合物と反応させることを特徴とする、下記一般式(9)
【0035】
【化10】

【0036】
(R、m、nおよび*は前記定義に同じ)
で表される光学活性含フッ素アミン誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド及びこの高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを製造する方法が提供される。高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを出発原料として用いると、医薬中間体として重要なα位に置換基を有する光学活性含フッ素アミン誘導体を高収率で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下にさらに詳細に本発明を説明する。
【0039】
本発明の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドは、前記一般式(1)で表わされる。一般式(1)において、mは1〜3、nは0〜2の整数であり、且つ、m+n=3である。また、*は不斉点を表し、R体、S体またはR体、S体の混合物のいずれかである。このような高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの具体例として、N−(2−フルオロエチリデン)−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(2−フルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(2,2−ジフルオロエチリデン)−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(2,2−ジフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド及びそれぞれのR体、S体の任意の割合における混合物が挙げられる。
【0040】
本発明の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドは、一般式(2)〜(6)で表わされる含フッ素化合物の含有量が、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対して、CHnFm部位の総計として10モル%未満であるという特徴を有する。このような高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを用いることにより、医薬中間体として重要な、前述の一般式(10)のα位に置換基を有する光学活性含フッ素アミン化合物に変換した際の収率が著しく増大する効果が発現される。
【0041】
含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド中にCHnFm部位の総計として10モル%未満の含量で含まれる化合物である前記一般式(2)の化合物は、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの合成原料として用いられる含フッ素アセトアルデヒド水和物であり、モノフルオロアセトアルデヒド水和物、ジフルオロアセトアルデヒド水和物またはトリフルオロアセトアルデヒド水和物が挙げられる。
【0042】
含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド中にCHnFm部位の総計として10モル%未満の含量で含まれる化合物である前記一般式(3)の化合物は、前記スキーム1中のヘミアミナール中間体Aの場合であり、例えば、N−(1−ヒドロキシ−2−フルオロエチル)−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(1−ヒドロキシ−2−フルオロエチル)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(1−ヒドロキシ−2,2−ジフルオロエチル)−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(1−ヒドロキシ−2,2−ジフルオロエチル)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル)−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−(1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド等が挙げられる。
【0043】
また、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド中にCHnFm部位の総計として10モル%未満の含量で含まれる化合物である前記一般式(4)の化合物は、前記一般式(3)の含フッ素ヘミアミナールと含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドが反応した化合物である。このような化合物として、例えば、N−{1−[1’−(N−t−ブチルスルフィニルアミノ)−2’−フルオロエトキシ]−2−フルオロエチル}−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−{1−[1’−(N−t−ブチルスルフィニルアミノ)−2’,2’−ジフルオロエトキシ]−2,2−ジフルオロエチル}−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−{1−[1’−(N−t−ブチルスルフィニルアミノ)−2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ]−2,2,2−トリフルオロエチル}−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−{1−[1’−(N−t−ブチルスルフィニルアミノ)−2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ]−2,2,2−トリフルオロエチル}−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド等を挙げることができる。
【0044】
また、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド中にCHnFm部位の総計として10モル%未満の含量で含まれる化合物である前記一般式(5)の化合物は、前記一般式(2)の含フッ素アセトアルデヒド水和物と含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドが1:1で反応した化合物である。このような化合物として、例えば、N−{1−[1’−ヒドロキシ−2’−フルオロエトキシ]−2−フルオロエチル}−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−{1−[1’−ヒドロキシ−2’,2’−ジフルオロエトキシ]−2,2−ジフルオロエチル}−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−{1−[1’−ヒドロキシ−2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ]−2,2,2−トリフルオロエチル}−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−{1−[1’−ヒドロキシ−2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ]−2,2,2−トリフルオロエチル}−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド等を挙げることができる。
【0045】
また、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド中にCHnFm部位の総計として10モル%未満の含量で含まれる化合物である前記一般式(6)の化合物は、前記一般式(2)の含フッ素アセトアルデヒド水和物と含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドが1:2で反応した化合物である。このような化合物として、例えば、1,1−ビス[1’−(N−t−ブチルスルフィニルアミノ)−2’−フルオロエトキシ]−2−フルオロエタン、1,1−ビス[1’−(N−t−ブチルスルフィニルアミノ)−2’,2’−ジフルオロエトキシ]−2,2−ジフルオロエタン、1,1−ビス[1’−(N−t−ブチルスルフィニルアミノ)−2’,2’,2’−トリフルオロエトキシ]−2,2,2−トリフルオロエタン等を挙げることができる。
【0046】
このような前記一般式(2)〜(6)の化合物の含有量は、19F−NMRの測定により簡便かつ正確に求めることができる。
【0047】
例えば、2,2,2−トリフルオロエチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドは、CF基隣接炭素が炭素−窒素二重結合構造であり、19F−NMRにおいて、クロロトリフルオロメタンを内部標準として約−71ppmにCF基のピークが観測される(類似構造に関して、J. Org. Chem., 61 (1996) 6567ページ、J. Org. Chem., 62 (1997) 8829ページ等に記載)。これに対し、前記一般式(2)〜(6)の化合物は、例えばCHnFmがCF3基の場合、いずれもCF3基が、隣接炭素に酸素原子2個、または酸素原子と窒素原子がそれぞれ1個結合した部分構造を有しており、このような部分構造を有するCF基のピークは、19F−NMRにおいて、約10ppm程度高磁場側にシフトした−87〜−78ppmに観測される(類似構造に関して、J. Fluor. Chem., 125 (2004) 767ページ等に記載)。即ち、約−71ppmのピークの積分値と−87〜−78ppmのピークの積分値の総計の比が、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対する一般式(2)〜(6)で表される化合物中のCHnFm部位の総計のモル比を示す。
【0048】
次に、本発明の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造法について説明する。光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドは、一般式(2)で表される含フッ素アセトアルデヒド水和物と一般式(7)で表される光学活性な2−メチルプロパンスルフィンアミドを溶媒中でゼオライトを存在させることにより合成することができる。特に、一般式(2)〜(6)で表わされる化合物の含有量が、CHnFm部位の総計として、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対して10モル%未満である高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドは、pKa(水中)が2以上6以下のブレンステッド酸を存在させることにより得られる。pKa(水中)が2未満のブレンステッド酸を使用した場合、反応中に2−メチルプロパンスルフィンアミド基の分解が併発する可能性があり、pKa(水中)が6を超えるブレンステッド酸を使用した場合は効果が発現しない。
【0049】
水中でのpKaが2〜6のブレンステッド酸としては、有機弱塩基の強酸塩及びカルボン酸類からなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。有機弱塩基の強酸塩としては、ピリジニウムクロライド、ピリジニウムブロマイド、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、ピリジニウムメタンスルホナート、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、2−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホナート、2,4,6−ピリジニウム−p−トルエンスルホナート、2−クロロピリジニウム−p−トルエンスルホナート、2,6−ジクロロピリジニウム−p−トルエンスルホナート等のピリジニウム塩、N,N−ジメチルアニリニウムクロライド、N,N−ジメチルアニリニウム−p−トルエンスルホナート、N,N−ジエチルアニリニウム−p−トルエンスルホナート等のアニリニウム塩等が挙げられる。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0050】
これらブレンステッド酸のうち、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの収率または純度の面から、ピリジニウム塩、アニリニウム塩が特に望ましい。なお、pKa(水中)が2以上6以下のブレンステッド酸の使用量は、特に制限されないが、通常、含フッ素アセトアルデヒド水和物に対しモル比で0.01倍から0.5倍である。
【0051】
また、原料として用いられる一般式(2)で表される含フッ素アセトアルデヒド水和物は、モノフルオロアセトアルデヒド水和物、ジフルオロアセトアルデヒド水和物またはトリフルオロアセトアルデヒド水和物である。これらは通常、水を不純物として含有するが、そのまま使用することができる。また、原料として用いられる2−メチルプロパンスルフィンアミドはR体、S体またはR体、S体の任意の割合の混合物を用いることができる。2−メチルプロパンスルフィンアミドの使用量は、含フッ素アセトアルデヒド水和物に対し、モル比で0.9倍から1.1倍である。
【0052】
脱水剤として用いられるゼオライトとしては、細孔径として3〜9オングストロームのサイズを有するA型ゼオライト、X型ゼオライト等を用いることができる。カチオン交換サイトはNa型、K型、Ca型及びH型等を用いることができる。ゼオライトの使用量は、特に制限されないが、通常、含フッ素アセトアルデヒド水和物に対し、重量比で0.5倍から50倍である。
【0053】
溶媒としては、生成した含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドと反応性から非プロトン性溶媒が望ましい。非プロトン性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等のアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、モノグライム、ジグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。溶媒の使用量は、通常、含フッ素アセトアルデヒド水和物に対し、重量比で0.5〜100倍である。
【0054】
反応温度は、0℃〜100℃、好ましくは20℃〜60℃である。反応温度が0℃未満の場合は十分な反応速度が得られず、100℃を超える場合は副反応が顕著に進行するため、目的とする高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドが得られない場合がある。また、反応時間は特に制限されないが、通常1時間から100時間である。
【0055】
上記の方法により、pKa(水中)が2以上6以下のブレンステッド酸を存在させて反応させた場合、反応液は、一般式(2)〜(6)で表わされる化合物の含有量が、CHnFm部位の総計として、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対して10モル%未満となる。このため、反応後にゼオライトをろ過あるいはデカンテーション等により分離し、溶媒を蒸留除去することにより、所望の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを得ることができる。また、光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを蒸留精製することにより更に高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを単離することも可能である。この際、釜液の温度が80℃以下となるように圧力を制御する必要がある。釜液の温度が80℃を超えると、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの分解が顕著となり、高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを得ることが困難になる場合がある。
【0056】
また、反応後にゼオライトを除いた後、溶媒を除去せずに、一般式(9)のα位に置換基を有する光学活性含フッ素アミン化合物の合成反応等に使用することも可能である。
【0057】
次に、得られた高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを前記一般式(8)の有機金属化合物と反応させ、前記一般式(9)の光学活性含フッ素アミン誘導体を製造する方法について説明する。
【0058】
一般式(8)で表される有機金属化合物において、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリル基または置換基を有していてもよいアリール基である。ここで、置換基とは、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等を挙げることができる。Xは塩素、臭素等のハロゲン原子である。また、Mは、1A族、2A族、2B族、3B族の元素であり、リチウム、マグネシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等を挙げることができる。pは1〜3の整数、qは0〜2の整数であり、p+qはMの価数に等しい。このような有機金属化合物として、例えば、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム、4−メトキシフェニルリチウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化アリルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルボラン、トリエチルアルミニウム等を挙げることができる。有機金属化合物の使用量は、特に制限されないが、通常、光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対し、モル比で0.5〜2倍である。
【0059】
反応は非プロトン性溶媒の存在下に行うことができ、非プロトン性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等のアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、モノグライム、ジグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。これら溶媒の使用量は、通常、光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対し、重量比で0.5〜100倍である。
【0060】
なお、一般式(9)の光学活性含フッ素アミン誘導体の一例として、例えば、N−[(R)−1−エチル−2,2,2−トリフルオロエチル]−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(R)−1−エチル−2,2,2−トリフルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−エチル−2,2,2−トリフルオロエチル]−(R)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−エチル−2,2,2−トリフルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−ブチル−2,2,2−トリフルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−アリル−2,2,2−トリフルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−フェニル−2,2−ジフルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド、N−[(S)−1−フェニル−2−フルオロエチル]−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド等を挙げることができる。
【0061】
また、反応温度は、−100℃から100℃、反応時間は1分から100時間である。なお、反応は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、十分な攪拌を行いながら行うことが望ましい。反応後、反応液は水等と接触させて残留する有機金属化合物を失活後、公知の抽出法や蒸留法あるいはクロマトグラフ法により目的の光学活性含フッ素アミン誘導体を単離することができる。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0063】
実施例1
20mlシュレンク管中に(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド 0.50g(4.1mmol)、トリフルオロアセトアルデヒド水和物 0.48g(4.1mmol)、ピリジニウム−p−トルエンスルホナート(水中のpKa=5.4)0.05g(0.2mmol)、ジクロロメタン 12g、ゼオライト(東ソー製 ゼオラムA−4)2.5gを入れ、40℃で加熱した。23時間後、ゼオライト2.5gを追加添加し40℃で反応させた。12時間後、反応液をろ過し、ろ液にゼオライトを2.5g添加し、3時間40℃で反応させた。反応終了後、ろ過によりゼオライトを除去し、ジクロロメタンを減圧留去した。濃縮液を19F−NMRで分析したところ、N−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対する、一般式(2)〜(6)で表わされる化合物に由来するCF3部位の総計は4モル%(即ち、−71ppmのピークの積分値を100とした−87〜−78ppmのピークの積分値の総計が4)であった。
【0064】
実施例2
実施例1で得られたN−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド濃縮液をクーゲルロール蒸留設備にて、0.6kPaの圧力で液温40℃にて蒸留精製を行った。得られた留分を19F−NMRで分析したところ、一般式(2)〜(6)で表わされる化合物に由来するCF3部位の総計は0.9モル%(即ち、−71ppmのピークの積分値を100とした−87〜−78ppmのピークの積分値の総計が0.9)であった。
【0065】
実施例3(α位にフェニル基を有する光学活性含フッ素アミン化合物の合成)
20mlシュレンク管にブロモベンゼン 0.77g(4.9mmol)、テトラヒドロフラン 3mlを入れ、ドライアイス−アセトン浴中で−78℃に冷却した。次いで、1mol/L n−ブチルリチウム n−ヘキサン溶液 4.1ml(4.1mmol)を添加し、同温度で1時間攪拌した(溶液Aとする)。
【0066】
別の20mlシュレンク管に実施例1で得られたN−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミドを純分として 0.75g(3.8mmol)、テトラヒフドロフラン 5mlを入れ、−78℃に冷却した。この溶液をステンレス管を用いて、溶液A中に窒素で圧送した。5分間攪拌後、反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を19F−NMRで分析したところ(ベンゾトリフルオリドを内部標準として使用)、目的とするN−(1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2−メチルプロパンスルフィンアミドの収率は85%であった。なお、ジアステレオ選択性は98:2と高い値であった。
【0067】
実施例4
ゼオライトの使用量を計6.0g(2.0g 3回)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、N−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミドを合成した。濃縮液を19F−NMRで分析したところ、一般式(2)〜(6)で表わされる化合物に由来するCF3部位の総計は9モル%(即ち、−71ppmのピークの積分値を100とした−87〜−78ppmのピークの積分値の総計が9)であった。
【0068】
実施例5(α位にフェニル基を有する光学活性含フッ素アミン化合物の合成)
実施例4で得られたN−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド(純分として 3.8mmol)を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行った。抽出液を19F−NMRで分析したところ(ベンゾトリフルオリドを内部標準として使用)、目的とするN−(1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2−メチルプロパンスルフィンアミドの収率は84%であった。なお、ジアステレオ選択性は98:2と高い値であった。
【0069】
実施例6(α位にフェニル基を有する光学活性含フッ素アミン化合物の合成)
実施例2で得られたN−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド(純分として 3.8mmol)を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行った。抽出液を19F−NMRで分析したところ(ベンゾトリフルオリドを内部標準として使用)、目的とするN−(1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2−メチルプロパンスルフィンアミドの収率は85%であった。なお、ジアステレオ選択性は98:2と高い値であった。
【0070】
比較例1
ピリジニウム−p−トルエンスルホナートを使用しなかった以外、実施例1と同様の操作を行いN−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミドを合成した。濃縮液を19F−NMRで分析したところ、一般式(2)〜(6)で表わされる化合物に由来するCF3部位の総計は33モル%(即ち、−71ppmのピークの積分値を100とした−87〜−78ppmのピークの積分値の総計が33)であった。
【0071】
比較例2(α位にフェニル基を有する光学活性含フッ素アミン化合物の合成)
比較例1で得られたN−(2,2,2−トリフルオロエチリデン)−(S)−2−メチルプロパンスルフィンアミド(純分として 3.8mmol)を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行った。抽出液を19F−NMRで分析したところ(ベンゾトリフルオリドを内部標準として使用)、目的とするN−(1−フェニル−2,2,2−トリフルオロエチル)−2−メチルプロパンスルフィンアミドの収率は62%であった。なお、ジアステレオ選択性は98:2であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の高純度の光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドから、医薬品中間体として有用なα位に置換基を有する光学活性含フッ素アミン誘導体を高収率で得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化3】

(式中、mは1〜3、nは0〜2の整数であり、且つ、m+n=3である。*は不斉点を表し、R体、S体またはR体とS体の混合物のいずれかである。)
で表される含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドであって、
下記一般式(2)
【化4】

(式中、m、nは前記定義に同じ。)
で表わされる含フッ素アセトアルデヒド水和物、下記一般式(3)
【化5】

(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表わされる含フッ素ヘミアミナール、下記一般式(4)
【化6】

(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表される含フッ素化合物、下記一般式(5)
【化7】

(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表される含フッ素化合物又は下記一般式(6)
【化8】

(式中、m、n、*は前記定義に同じ。)
で表わされる含フッ素化合物の含有量が、CHnFm部位の総計として、含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドに対して10モル%未満であることを特徴とする高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミド。
【請求項2】
一般式(7)
【化9】

(式中、*は不斉点を表し、R体、S体またはR体とS体の混合物のいずれかである。)
で表される光学活性2−メチルプロパンスルフィンアミドと一般式(2)
【化4】

(式中、mは1〜3、nは0〜2の整数であり、且つ、m+n=3である。)
で表される含フッ素アセトアルデヒド水和物をゼオライト及びpKa(水中)が2以上6以下のブレンステッド酸の存在下で反応させることを特徴とする前記一般式(1)で表される請求項1に記載の高純度含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【請求項3】
ブレンステッド酸が有機弱塩基の強酸塩及びカルボン酸類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の高純度含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【請求項4】
有機弱塩基の強酸塩がピリジニウム塩及びアニリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【請求項5】
前記一般式(1)で表される請求項1に記載の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法であって、前記一般式(7)で表される光学活性2−メチルプロパンスルフィンアミドと前記一般式(2)で表される含フッ素アセトアルデヒド水和物をゼオライト及びpKa(水中)が2以上6以下のブレンステッド酸の存在下にて反応させた後、80℃以下の温度で蒸留精製することを特徴とする高純度含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドの製造方法。
【請求項6】
前記一般式(1)で表される請求項1に記載の高純度光学活性含フッ素エチリデン−2−メチルプロパンスルフィンアミドを下記一般式(8)
RpXqM (8)
(式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アリル基または置換基を有していてもよいアリール基を表す。Xはハロゲン原子、Mは1A族、2A族、2B族又は3B族の元素を表す。pは1〜3の整数、qは0〜2の整数を表し、p+qはMの価数に等しい。)
で表される有機金属化合物と反応させることを特徴とする、下記一般式(9)
【化10】

(R、m、nおよび*は前記定義に同じ)
で表される光学活性含フッ素アミン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2011−20939(P2011−20939A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165720(P2009−165720)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】