説明

高純度の金属酸化物粒子及びそれにより製造される材料の製造方法

本発明は、金属酸化物及び混合された金属酸化物粒子を製造する方法に関する。本発明の方法は、非常に高い金属酸化物収率で、水相中において、金属アルコキシド等の金属源、界面活性剤、及び第1アルコールから形成される混合物を処理することを含む。前記混合物を触媒を用いて反応させ、該混合物において所望の粒子サイズを有する金属酸化物粒子を形成させる。本発明の方法は、特に、シリカ粒子の形成に好適である。その後、前記金属酸化物粒子を熱処理して、例えば、合成溶融シリカ等の合成溶融金属酸化物を形成させることができる。
【選択図面】
図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、本明細書において参照によりその全体において組み込まれる、2010年2月8日付で出願された、米国実用特許出願番号第12/701,862号、発明の名称「高純度の金属酸化物粒子及びそれにより製造される材料の製造方法」からの利益を主張する。
【0002】
技術分野
開示される技術は、金属酸化物の粒子を製造する方法、及びそれから製造される材料を生産する方法に関し、合成溶融シリカ(fused synthetic silica)材料のための合成シリカ粒子の合成における具体的な利用可能性を見出す。
【背景技術】
【0003】
金属及び混合金属酸化物は、耐熱性/熱伝導性を提供する機能材料、構造材料、粒子径や、形状、内部多孔性、及び表面積等の形態が重要であろう、燃料電池、太陽電池、触媒、制御輸送(controlled delivery)、コーティング、散光器、化粧料、セラミックガラス等のための複合材料として有用である。そのような化合物において使用される金属のなかで、アルミニウ等の低原子価の金属も特に有用ではあるが、ジルコニウム、バナジウム、チタン、ケイ素、及びイットリウム等の四価の金属が包含される。比較的豊富であるため、酸化ケイ素が、ポリマー複合物において使用されるナノ粒子から、半導体応用のための超高純度の溶融クォーツ材料の生産用の合成シリカまで、幅広い商業的使用のための材料の選択肢となってる。
【0004】
幅広い商業適用のため、制御された粒子サイズ、標的表面積、及び標的多孔性が近年の関心事となっている。しかし、金属酸化物を生産するための現在の技術には、数多くの制限があり、幅広い範囲の物性を提供する単一の化学的構造(chemistry)を提供しない。
【0005】
金属ケイ素及びその対応する二酸化ケイ素(シリカ)についてより具体的には、現在の合成シリカ粉末の合成技術は、ゾルゲル法、ケイ酸ナトリウムガラスのイオン交換、ならびに酸素及び水素の存在下における四塩化ケイ素の火炎加水分解法からの溶融シリカのゾルゲル細孔充填(pore filling)に基づく。商業的に入手可能な合成シリカガラスは、主に、(1)酸水素フレーム中における四塩化シリカ又はオルガノシリコン材料の分解によって生じたフュームを沈積させ基体上で成長させる方法、(2)例えば、シリコンアルコキシドの加水分解及びゲル化によって得られたシリカゲルを焼き、それにより得られる合成シリカ粉末をさらに焼締めてガラスを製造する方法、又は(3)通常より小さい部品に使用される直接ゾル−ゲルプロセス、を利用して製造される。
【0006】
しかし、方法(1)は製造コストが非常に高いという問題を有する。一方、シリカゲル、特にシリコンアルコキシド由来のシリカゲルを採用する方法(2)においては、比較的低い含有量の少数の不純物を含む合成シリカ粉末を得ることが可能であるが、所望の不純物レベルは必ずしも満足されない。
【0007】
シリカゾルは、従来、水ガラスと呼ばれるケイ酸ナトリウム溶液を出発材料として用いることにより、製造されてきた。この方法において、ケイ酸ナトリウム溶液は、出発材料の純度を高めるため、ケイ酸ナトリウム中のナトリウムイオンのようなイオンを除去するように、陽イオン交換樹脂を用いて処理される。その後、結果物をシリカゾルの生産に使用する。そのような技術は、参照により組み込まれる、米国公開公報第2007/0237701において開示されている。しかし、上記方法は、精製にイオン交換樹脂を採用するため、その純度はある程度制限される。従って、電子材料での使用に求められる、アルカリ金属(例えばナトリウム)、銅、鉛、及び/又はアルミニウム等の金属不純物の含有量が1ppm以下のシリカゾルを生産することは困難である。
【0008】
或いは、比較的高純度の合成シリカ粒子の製造方法は、アルコキシシランを加水分解及び縮合することを含み、また粉体化技術を使用することを含む。高純度の合成シリカの応用に有用なシリカ粒子調製のための粉体化技術を使用する方法の例は、参照として組み込まれる、米国特許番号第6,131,409号に開示されている。出発材料の純度及び最終粒子サイズを達成するために必要とされる多くの加工工程に関する制限のため、様々な他の加工が試みられてきた。
【0009】
しかし、これらの方法及び技術もまた、多くの制限を有する。例えば、それらは非常に高い収率でシリカを生産することができない。また、米国特許番号第4,767,433に開示されるように、これらの方法及び技術は、いくつかの溶融プロセスによって必要とされる200〜300ミクロンの粒子サイズのような所望の粒子サイズを有するシリカを形成しない。これらの比較的大きな粒子サイズ範囲もまた、半導体用の坩堝や、例えばラック、窓及び格納容器等の半導体加工に有用なガラス物品、ならびに光ファイバーの生産において有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高純度の金属酸化物、金属水酸化物、金属オキシ水酸化物、金属炭酸塩、及び/又は金属酸窒化物粒子を製造する方法に関する。1つの実施態様において、本発明の方法は、合成シリカの製造に特に好適である。本発明の方法は、金属源、界面活性剤系、及び相エンハンサー(phase enhancer)を含有する水性懸濁液から形成される混合物を処理することを包含する。前記混合物は、触媒と反応させて、前記混合物の高い固形分でのゲル化を伴わずに所望のサイズを有する金属酸化物粒子を形成する。
【0011】
より具体的には、本発明は、1つの側面において、水、金属源、第1触媒、第1界面活性剤、及び第1アルコールの混合物を含む第1相を形成すること、前記第1相を、水、第2アルコール、及び第2界面活性剤を含む第2相に添加してブレンドを形成すること、前記ブレンドを計量された相エンハンサーにより処理すること、ならびに前記ブレンドと第2触媒を反応させて粒子を形成することを含む、粒子を製造する方法を提供する。
【0012】
1つの側面において、粒子は、塩基触媒により金属酸化物粒子へと縮合され、懸濁液のゲル化を伴わずに所望のサイズの粒子を形成する。
【0013】
本出願人らは、例えばブタノールのようなわずかに極性のアルコールを相エンハンサーとして使用することが、第2触媒の添加及び更なる硬化(curing)の間の過剰な粒子凝集を防止することを見出した。相エンハンサーの量及びタイプを、粒子凝集の速度及び程度を制御するために使用することができる。例えば、より少ない相エンハンサーは全反応マス(entire reaction mass)のゲル化を引き起こす可能性があることが見出されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、高純度の金属酸化物粒子を製造する方法を図示するフローチャートを示す。
【図2】図2は、図1の方法の側面を図示するフローチャートを示す。
【図3】図3は、本発明の方法の1つの実施態様において形成された高純度のシリカ粒子の光学顕微鏡を示す。
【図4】図4は、本発明の方法より得られた高純度のシリカ粒子の走査電子顕微鏡を示す。
【図5】図5は、本発明の方法の1つの実施態様による第2触媒の添加の初期に形成された高純度の合成シリカの粒子サイズ分布を同定するグラフを示す。
【図6】図6は、本発明の方法の1つの実施態様による第2触媒の添加完了後に形成された高純度の合成シリカの粒子サイズ分布を同定するグラフを示す。
【図7】図7は、本発明の方法の1つの実施態様において形成された高純度のケイ酸チタンの粒子サイズ分布を同定するグラフを示す。
【図8】図8は、本発明の方法の1つの実施態様において第2触媒の添加の初期の高純度のメチル化シリカの粒子サイズ分布を同定するグラフを示す。
【図9】図9は、本発明の方法の1つの実施態様による、第2触媒の添加完了後の高純度のメチル化シリカの粒子サイズ分布を同定するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の方法は、様々な適用における使用のための高収率で高純度な合成金属酸化物粒子を生成することに関する。1つの実施態様において、本発明の方法は、合成溶融シリカ製品の生産に使用され得る合成シリカ粒子の形成に使用される。本発明の方法より形成され得る他の金属酸化物の非限定的な例は、例えば、TiO2、Fe23、SiO2、Al23、ZrO2、Nb23、Y23、希土類酸化物、それらの分子混合物及び化合物、ならびにそれらの複合物及び修飾された構造物(decorated structures)を包含する。また、用語、金属酸化物は、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属オキシ炭酸塩、金属ヒドロキシ炭酸塩、メチル化金属酸化物等を含んでもよい。便宜上、以下の記載は、合成される粒子がシリカ粒子であり、従って、本発明のプロセスにおいて使用され、生成される材料が当該実施態様に特異的である特定の実施態様を詳述又は参照することがある。しかしながら、一般的なプロセスは、全ての金属酸化物粒子の合成について同様であり、従って、一般的な意味において、対応する原材料及び製品のみを具体的な相違として、これらの記載及び加工工程は本発明のプロセスから製造されるいかなる金属酸化物粒子に対しても適用されると考えられるべきであろう。
【0016】
本発明の方法は、所望の範囲の粒子サイズを有する高純度の合成粒子の形成が可能である。当該方法において、所望のサイズに合成粒子の成長を制御することは、以下の少なくとも1種の特性を制御することにより成し遂げられる。即ち、粒子反応器pH、粒子反応器の温度、非イオン界面活性剤の分子量、塩基触媒を粒子反応器に添加する濃度と速度、相エンハンサーのタイプ及び量、ならびに/又は酸加水分解の間の温度。
【0017】
現在の合成シリカ及び他の金属酸化物粒子を生産する方法又は技術と異なり、本発明の方法は、極性の高くない、又はわずかに極性のアルコール等の相エンハンサーを添加し、ミセル粒子からの粒子成長を実現するものとして安定な乳濁液を製造することを包含し得る。また、公知の方法又は技術と異なり、本発明の方法は、更に、反応マスのゲル化を伴わずに緩やかな粒子成長を可能とする第2触媒の計量された添加速度を包含する。この第2触媒の計量された添加速度は、所望のサイズへの粒子成長を可能とし、相エンハンサーの分子量タイプの関数(function)である。
【0018】
公知の方法又は技術とは更に相違し、本発明の方法は、ゲルブロックを形成し、その後それらのゲルブロックを細かく砕いたり、粉体化して粒子を形成する必要なく、高純度の金属酸化物粒子を提供する。
【0019】
図1及び2は、金属酸化物粒子を製造する方法の側面を図示する。図1より、金属水酸化物を形成する方法10は、ブロック20に示されるように、水、金属源、第1触媒、第1界面活性剤、及び第1アルコールを含む第1相を提供することを包含する。ブロック30では、前記方法は、水、第2アルコール、及び第2界面活性剤を含む第2相を提供することを包含する。ブロック40では、第1相は第2層に添加されてブレンドを形成する。ブロック50では、第1及び第2相から形成された前記ブレンドは、相エンハンサーで処理される。ブロック60では、第2触媒が前記ブレンドに添加され金属酸化物粒子を形成する。
【0020】
図2は、図1に記載される方法10の更なる側面を図示する。1つの側面において、第1及び第2相を提供することは、第1及び/又は第2相を調製することを包含してもよい。第1及び第2相の調製は、容器、槽(vessel)、反応器等として本明細書中に参照され得るシステムに適切な構成成分を添加することによって達成される。方法10は、金属酸化物、金属水酸化物等を形成することを包含し得る。前記方法は、第1相を含む加水分解物反応器110、及び第2相を含む粒子反応器120を提供又は調製するためのシステム100を採用してもよい。加水分解物反応器の内容物は、以下に詳述される、反応を実施するために粒子反応器に充填(charged)又は添加される。
【0021】
前記方法は、第1相を形成又は調製するために加水分解物反応器110を採用する。第1相は、オリゴマーの形成を促進する金属源の量に応じて、第1界面活性剤112、第1触媒114、第1アルコール116、及び水を反応器110に添加することによって、加水分解物反応器110中に形成されてもよい。
【0022】
第1触媒は、酸触媒又は塩基触媒を含んでもよい。1つの実施態様において第1触媒は、酸性タイプの触媒である。好適な酸触媒の例は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ素酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、p−トルエンスルホン酸、又はこれらの2以上の組み合わせを包含するが、これらに限定されない。1つの実施態様において、第1触媒は、水酸化アンモニウム、水酸化第4級アンモニウム、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンの誘導体、アミノピリジン、又はこれらの2以上の組み合わせから選択される塩基触媒を含む。1つの実施態様において、塩基触媒の濃度は、約0.01重量%〜約10重量%である。
【0023】
第1アルコールは、第1級アルコール、第2級アルコール、又はこれらの2以上の組み合わせから選択され得る。1つの実施態様において、第1級アルコールは、1〜10炭素を有するアルコールである。好適なアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、又はこれらの2以上の組み合わせを包含するが、これらに限定されない。
【0024】
1つの側面において、第1界面活性剤は、補助界面活性剤系であってもよい。補助界面活性剤は、例えば、低分子量のポリメトキシシロキサン等の金属酸化物オリゴマーを含有するミセルへ溶液を輸送することを補助する。1つの実施態様において、補助界面活性剤系は、非極性化合物及びわずかに極性の化合物の混合物を包含する。非極性化合物は、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の炭化水素、ならびにメチルシクロヘキサン、p−アルキルシクロヘキサン等のこれらの誘導体、イソペンタン、イソヘキサン、イソオクタン等の炭素数5〜12を有する直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素及びこれらのアルキル誘導体、又は2以上の非極性化合物の組み合わせであってもよい。補助界面活性剤系のわずかに極性の化合物は、わずかに極性のアルコールであってもよい。特に好適なわずかに極性のアルコールは、例えば、第3級アルコール、環式アルコール、又はこれらの2以上の組み合わせから選択され得る。好適な第3級アルコールは、例えば、第3級ブチルアルコール、2−メチル2ブタノール若しくは第3級アミルアルコール、又は2−メチル2−ペンタノール、2−メチル2−ヘキサノール等のそれらの誘導体を包含する。好適な環式アルコールの非限定的な例は、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、及び4−メチルシクロヘキサノール等のそれらのアルキル誘導体を包含する。
【0025】
補助界面活性剤に好適な界面活性剤の更なる例は、例えば、アルコール溶媒又はケトン溶媒を包含する。好適なアルコール溶媒の例は、例えば、第3級アミルアルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノール、i−プロパノール、b−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、4−メチル2−ペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール及び/又はグリセロールを包含する。好適なケトン溶媒の例は、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン又はアセチルアセトンを包含する。
【0026】
第1相は、金属源118を含む。金属源は、単一の金属に基づく材料又は複数の金属に基づく材料を含んでもよい。1つの側面において、金属源は、いかなる加水分解性金属源であってもよい。金属源は、例えば、金属アルコキシド、加水分解性有機金属化合物、オキソ金属オリゴマー、又はこれらの2以上の混合物を包含し得る。もちろん、最終産物として所望の金属酸化物が金属源の同一性を決定するであろう。従って、所望の産物が合成シリカである1つの実施態様において、金属源118はケイ素アルコキシドである。シリカ源の例は、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラプロピルオルトシリケート(TPOS)、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリメトキシシラン(MTES)、フェニルトリメトキシシラン及びイソブチルトリメトキシシラン、及び高級テトラアルコキシシラン(higher tetraalkoxysilanes)、アルコキシシランから得られるシロキサンオリゴマー、ミセル形成が受け入れられ得る限り、メチルシリメート等のポリメトキシシランのテトラマーを包含する、ポリメトキシシロキサン等の予め重合されたアルコキシシランを包含するが、これらに限定されない。1つの実施態様において、第1相は、少なくとも1種のシロキサンヘプタマー、環状シロキサン、又はこれらの混合物を提供するために、アルコキシシランから得られるシロキサンオリゴマーに対するモル比の水を有する。アルコキシシラン等の高純度シリカ源は、参照により組み込まれる、E.G. Rochow,“Methyl Silicate from Silicon and Methanol,”Jl.Amer.Chem.Soc.70,2170−2171(1948)、米国特許番号第4,727,173号、4,999,446号及び5,084,590号において例示されるもののように、銅等の金属触媒の存在下における金属ケイ素とメタノールの反応より形成されるもの等のクルードソース(crude source)から得ることができる。アルコキシシランの精製は、参照により組み込まれる、米国特許番号第5,902,893号において提供される蒸留によって達成され得る。
【0027】
他の金属酸化物粒子の生産のための他の金属源の例は、イソプロポキシド、アセテート、アセチルアセトネート、オキシレート、ブトキシド、メトキシド、エトキシド、クロロメトキシ、クロロエトキシ、メチル、エチル等のような金属化合物を包含する。他の好適な金属の例は、Ti、Fe、Al、Zr、Nb、Y、希土類及びこれらの2以上の組み合わせを包含するが、これらに限定されない。
【0028】
1つの実施態様において、第1相は、最初に、加水分解物反応層110に水、第1界面活性剤112、第1触媒114、及び第1アルコール116を充填することにより形成されてもよい。金属源118は、加水分解反応層110に制御された又は計量された方式により添加され得る。金属源は、加水分解物反応器において反応し、金属酸化物オリゴマーを形成する。金属源は、系の温度上昇を制御するために加水分解物反応層に添加されてもよい。例えば、1つの実施態様において、シリカ源は、断熱温度上昇が約10°〜約100℃の温度範囲、好ましくは約72℃までの温度上昇となる速度で加水分解物反応器に添加される。シリカ源は、メトキシシランが使用された場合、加水分解物反応器110において反応し、メトキシシロキサンのオリゴマーを形成することができる。1つの実施態様において、シリカ源を添加する速度は、2300gmバッチサイズに対して約5〜15gm/分であってもよい。1つの実施態様において、金属源は、約20〜約120分間に亘って第1層に添加されてもよい。1つの実施態様において、金属源は、金属アルコキシドを含み、第1層における金属アルコキシド源に対する水のモル比は、約0.5〜約4.0である。
【0029】
図2において、個別に表わされていないが、第1界面活性剤112は、金属源118の添加の後、加水分解物反応器110に添加され得ることが理解されるであろう。例えば補助界面活性剤等の第1界面活性剤は、計量された若しくは制御された方式で添加されるか、又は加水分解物反応器110に全ての金属源が添加された後に添加され得る。粒子反応器における界面活性剤と同様に、補助界面活性剤は、相平衡により規定されるミセル構造内での金属酸化物ポリマーの形成を容易にする。
【0030】
第2相は、粒子反応器120において形成されてもよい。これは、水、第2界面活性剤122、及び第2アルコール124を粒子反応器に添加することによって達成され得る。
【0031】
1つの実施態様において、第2界面活性剤122は、非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤の分子量は、エトキシレート、ポリエトキシレート、ポリプロポキシレート、フェノラート、又はポリオール等に基づくものを包含するが、これらに限定されず、約400〜約100,000であってもよい。好適な非イオン界面の例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、フェノラート、ポリオール、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ノニルフェノキシポリ(エチレノキシ)エタノール、ノニルフェノキシポリ(エチレノキシ)エタノール、及びこれらの2以上の組み合わせを包含するが、これらに限定されない。
【0032】
第2アルコール124は、第1級アルコール、第2級アルコール、又はこれらの2以上の組み合わせから選択され得る。好適な第1級アルコールは、第1アルコールに関して前述されたもの等の1〜10炭素を有する第1級アルコールを包含する。第2アルコールは第1アルコールと同一であってもよく、又は異なってもよい。
【0033】
本出願人らは、相エンハンサーに好適な材料は、粒子形成の安定性を向上し、懸濁液のゲル化を防止するために好適な材料を包含することを見出した。相エンハンサー126として好適には、例えば、わずかに極性のアルコールが包含される。第2相エンハンサーとして使用されるわずかに極性のアルコールの例は、低炭素アルコールを包含する。相エンハンサー126は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の1〜10炭素の第1級アルコールを包含し得る。また、相エンハンサーは、イソプロパノール、イソブタノール、イソペンタノール等を包含するが、これらに限定されない1〜10炭素原子のアルコールのアルキル誘導体から選択されてもよい。第2級アルコールもまた、相エンハンサーとしての使用に好適であろう。
【0034】
1つの実施態様において、相エンハンサー126は、加水分解物反応器110の内容物を粒子反応器120に添加することによって第1相が添加された後に、系に添加される。相エンハンサー126を、粒子反応器に添加し、平衡化させる。粒子反応器に触媒を添加する前の相エンハンサー126の添加は、大きな粒子形成の安定性を高め、一貫した粒子成長の生成を可能にし、懸濁液のゲル化を防止する。
【0035】
本発明の方法は、加水分解物反応器110の内容物を粒子反応器120に添加することを包含する。第1及び第2相は、その後、粒子反応器120において共に混合され、ブレンドを形成する。混合は、粒子成長及び最終粒子サイズと同様に、初期ミセル径のサイズにも影響を与える。勢いよく混合すると、より小さい粒子を生成し、ほぼ均一な粒子サイズの分布を生じる傾向がある。より穏やかにゆっくりと混合すると、(1)幅広い粒子サイズ分布を生じ、且つ(2)金属酸化物粒子が未熟なまま粒子反応器の底に沈積し、さらなる粒子成長に達する前に不必要に堅く固まった粒子の形成を引き起こす傾向がある。従って、好適な混合レジームは、最終の安定な粒子サイズ及び分布のため、ミセルからのクラスター成長のような大きな粒子を効果的に阻止するために望ましい。この好適な混合レジームは、更に、撹拌機のタイプ及び翼端速度インペラー速度(tip speed impeller velocity)によって規定され得る。翼端速度インペラー速度は、毎秒約0.2〜0.8フィートであってもよい。1つの実施態様において、第1相は、約30分〜約150分間に亘って第2相に添加されてもよい。
【0036】
第1相の第2相への添加の後、懸濁液又は乳濁液の外観により示される二相系を形成する。第2界面活性剤は、相平衡によって規定されるサイズまでミセルを形成るすることを補助する。粒子反応器は、ミセルからの粒子成長を可能とする二相系を含む。第1層の温度は、約30°〜約80℃であってもよく、第2相の温度は約30°〜約100℃であってもよい。初期乳濁液の温度は、粒子反応器において形成された二相系を更に高めるために約30〜80℃であってもよい。1つの実施態様において、温度は、非イオン界面活性剤PEGの曇点である約50〜60℃である。
【0037】
上述のように、相エンハンサー126は、加水分解物反応器からの第1相が粒子反応器に添加された後に系に添加されてもよい。相エンハンサー126の添加の後、本発明の方法は、粒子反応器120への第2触媒128の計量された又はプログラム化された添加を包含する。望ましくないゲル化された懸濁液の形成、又は水素結合による粒子と粒子の接着に反するように、第2触媒128は、混合物内の金属酸化物オリゴマーが所望の金属酸化物粒子を形成するように粒子反応器120に計量された又はプログラム化された方式で添加される。従って、第2触媒128の計量された添加は、非界面活性剤の層が部分的に開くことを補助し、図3及び図4に示される粒子成長の様式のように、粒子が他の粒子と相互作用して金属酸化物結合を形成することを可能とする。
【0038】
シリカ粒子の形成の具体例を考慮すると、シリカ粒子間のシロキサン結合の形成は、より大きな粒子の形成を可能とするのに対し、オリゴマーは内部の自己縮合又は硬化を経る。一方、一時の過剰な触媒の添加は、界面活性剤の断片を引き起こす可能性があり、部分的に転換されたポリメトキシシロキサンを含有するミセル粒子、又は水及び有機物及び可用性シリケートを含有するより高度な架橋ゲルの形成を結果として生じる、それに由来するより高いオリゴマーを露出する。これは、ミセル粒子の回収が全くできない、懸濁液の半永久的なゲル化を結果として生じる。従って、計量された又はプログラム化された触媒の添加は、粒子の表面からの界面活性剤の制御されたデスクリプション(description)を可能とする。
【0039】
第2触媒128は、酸又は塩基から選択されてもよい。例示的な態様において、第2触媒128は塩基である。好適な塩基触媒材料は、例えば、有機塩基、求核置換を促進する非金属塩基、又はこれらの2以上の組み合わせのような非アルカリ金属塩基を包含する。好適な非アルカリ金属塩基の例は、炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムの水溶液と同様に、水酸化アンモニウムを包含する。有機塩基の好適な例は、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化第4級アルキルアンモニウムを包含する。求核置換を促進する非金属塩基の好適な例は、ヒドロキシラミン、及びN,N−ジメチルヒドロキシラミン、N,N−ジエチルヒドロキシラミン等の有機ヒドロキシラミン、ならびに4−ジメチルアミノピリミジンを包含する。
【0040】
また、酸触媒を使用することもできるが、粒子成長への反応性は緩徐である。好適な酸触媒の例は、塩酸、硝酸及び硫酸等の無機酸を包含する。
【0041】
1つの実施態様において、塩基触媒の濃度は、0.01重量%〜約10重量%である。他の実施態様において、塩基触媒の濃度は、約0.05重量%〜約5重量%であってもよい。本発明の方法がシリカ粒子の形成に用いられる1つの実施態様において、塩基触媒は、ミセル中でシリカ粒子がポリメトキシシロキサンの自己縮合又はシリカに対するそのオリゴマーを形成することを可能とするように、望ましくは比較的低濃度であり、さもなければ、懸濁液の望ましくない架橋及びゲル化が生じ、可溶性シリケートの形成を併発する(concomitant formation of soluble silicates)。
【0042】
塩基触媒は、所望の平均シリカ粒子サイズが得られるまで混合物に添加される。通常、シリカ粒子サイズは、臨界的なpHまで粒子反応器に添加される触媒の量に伴って増加する。シリカ粒子サイズは、例えば、Horiba LA950システム等の計測システムを使用して粒子径として計測される。初期の触媒添加の間、懸濁液のpHは約1.3であってもよい。加水分解物において使用されたアルコキシシラン及び酸触媒のレベルに依存して、塩基触媒の添加量により、混合物のpHはpH約5まで増加してもよい。望ましくは、混合物のpHは、第2触媒によって処理される前に約3.5以下であり、第2触媒による処理工程の間約6以下である。一旦シリカ粒子が所望のサイズに成長すると、触媒はもはや添加されず、シリカ粒子を粒子反応器の温度でエージングさせる。
【0043】
また、上記条件はシリカ粒子の形成に関して記載されるが、そのような操作条件及び手法は他の金属酸化物粒子の形成において好適であろうと理解されるであろう。
【0044】
懸濁された金属酸化物粒子のエージングの後、有機物を除去又はストリッピングして金属酸化物140の水性スラリー又は懸濁液130を本質的に得る。有機物は主に再利用可能なアルコール及び非極性炭化水素である。有機物の除去は、最も高い沸点の化合物を超えた高温蒸発、従来公知の低温及び負圧ストリッピングの使用等の様々な方法において達成され得る。
【0045】
得られた金属酸化物粒子は、水に懸濁された高純度の金属酸化物粒子である。この溶液中の水の濃度は、約50重量%〜約99重量%であってもよい。この水性スラリー中の金属酸化物粒子の濃度は、約1重量%〜50重量%であってもよい。1つの実施態様において、金属酸化物粒子の濃度は、約25%である。更に、得られた金属酸化物粒子は、高純度であり、通常、金属、アルカリ、及びホウ素等の不純物を含まない。1つの実施態様において、金属酸化物は全量で100ppb未満の不純物を有し、他の実施態様において、不純物の全量は50ppb未満であってもよい。また、他の実施態様において、金属不純物の全量は、約10ppb未満であってもよい。更に他の実施態様において、不純物の全量は1ppbであってもよい。特定の実施態様において、本発明の方法は、1ppb未満のFeを有するシリカ粒子を提供する。汚染物の大多数は、アルコキシシラン等の原材料や、典型的に金属の使用又は金属補助反応(metal assisted reaction)によらず調製された酸/塩基又は有機物等の促進化学剤に由来すると考えられる。更に、後者は、単純な蒸留により精製することができ、回収されてプロセスに再利用され、これらの有機物はガラス分離カラムに通された場合、本質的に金属フリーである。
【0046】
上記方法は、金属酸化物に対し、金属源又はそれに由来するオリゴマーの約100%までの収率、ならびに所望の粒子サイズ及び範囲での粒子に関する高い収率を見込み、且つ提供することが可能である。1つの実施態様において、本発明の方法によって形成された金属酸化物粒子は、約0.5ミクロン〜約100ミクロンの一次粒子サイズを有してもよい。1つの実施態様において、少なくとも約80%の一次粒子が、一次粒子サイズの平均径の+/−15%内である。また、一次粒子は凝集粒子であってもよい。1つの実施態様において、一次粒子は、150ミクロン〜350ミクロンの範囲の平均粒子サイズを有する、約5ミクロン〜約1000ミクロンのサイズまで凝集し得る。1つの実施態様において、開示される本発明の方法を用いて得られる金属酸化物粒子は、約50〜約600ミクロンの範囲であってもよい。これに対し、公知の研磨及び粉体化技術における収率は、70%の理論上の金属酸化物収率を超えないが、本発明の方法においては、粒子収率は、60〜600ミクロンの範囲において95%を超え得る。1つの実施態様において、少なくとも80%の金属酸化物粒子は、約70〜約350ミクロンのサイズを有する。金属酸化物粒子のサイズは、例えば、Horiba LA950システム等の好適な計測ステムを用いて粒子径として計測され得る。焼成及び焼締前の本発明の方法によって得られるシリカ粒子の表面積は、例えば、約150〜約800m2/gであり、平均孔の半径は約15〜45オングストロームであってもよい。
【0047】
所望のサイズを有する形成された金属酸化物粒子は、その後、更に処理されて溶融、合成金属酸化物を形成し得る。シリカ粒子を洗浄、速い沈積(fast settling)による脱水、乾燥状態までの加熱、焼成、及び焼締(又は焼結)等して合成溶融シリカ材料を形成する、多くの公知のあらゆる工程を金属酸化物粒子に行って合成金属酸化物を形成させることができる。
【実施例】
【0048】
以下の合成金属酸化物の生産に関する実施例は、本発明による方法及び実施態様を例証することのみを意図するものであり、請求項に対する限定を課するものとして解釈されるべきではない。特に規定されない限り、特定される全ての材料又は基材は通常の化学製造業者から商業的に入手可能である。
【0049】
実施例1
以下は、粒子反応器の生産が以下の通り形成されたことを例証する。即ち、350.7グラムの高純度水を、5.25グラムの電子級(electronic grade)の1500MWポリエチレングリコールに添加した。これに、39.4グラムのブタノールを添加して乳濁液の外観(presence)を示す粒子反応器を形成する。この混合物を還流下で52℃に保持した。
【0050】
加水分解物反応器を以下の通り調製した。即ち、40.89グラムのブタノールを21グラムの水及び0.8グラムの37%HClに添加する。温度上昇が約72℃に達するように、高純度テトラメチルオルトシリカ(TMOS)を徐々に添加する。添加されたTMOSの総量は、有機物フリー基準で25%シリカを生じるような量である。全てのTMOSが添加された後、23.6グラムのシクロヘキサン及び76.02グラムの高純度の第3級アミルアルコールを用いて別々に形成された補助界面活性剤を添加し、十分に混合する。
【0051】
加水分解物を、5分間で52〜54mlの速度で粒子反応器に添加する。温度は、継続的な還流の下でほぼ等温の52℃である。全ての加水分解物を添加した後、約150グラムのブタノールを添加し、20分間エージングする。エージングの後、水酸化アンモニウム水(例えば、7%水酸化アンモニウム)を制御された速度で添加し、縮合及び粒子成長を促進する。典型的な速度は3gm/分である。この反応段階において、pHはまだ約3.0の酸性である。水酸化アンモニウム添加の初期段階における粒子サイズ分布の例が図5に示される。
【0052】
図6に示されるような平均粒子サイズが得られるまで、水酸化アンモニウムを徐々に添加し続けた。最終pHは約4.0であり、縮合反応/粒子成長は約1.5時間で生じた。シリカ粒子を、粒子サイズ分布が安定する時点までエージングさせた。
【0053】
結果として得られた混合物に真空ストリップを行い、ほとんどがブタノールである有機相と共に、補助界面活性剤を除去した。残余水及びシリカを更に引き続き水洗処理し、主にポリエチレングリコールである残留有機物を除去した。この残余混合物中、シリカ収率は約25重量%であり、これに対して水は残余75重量%であった。所望の粒子サイズ分布を得るために乾燥シリカ粒子を分類する必要はなかった。更に、微細なものと粗大なものの篩分けによる分類に伴う顕著なシリカ粒子量の損失がある、粉体化によって得られるゾルゲル技術とは異なり、シリカ粒子回収率はTMOSの量に基づいてほぼ100%であった。
【0054】
実施例2
以下の実施例は、例えば、光触媒や、極端紫外線露光、宇宙衛星、勾配屈折率(grated refractive index)用の超低膨張ガラス等の光学応用、ならびに工作機械の対比標準試験片(reference blocks)にも有用であろう、ケイ酸チタンの合成を例証する。粒子反応器は以下の通り形成された。即ち、577.45グラムの高純度水を、5.625グラムの電子級の1500MWポリエチレングリコールに添加する。これに、42.1875グラムのブタノールを添加して乳濁液の外観を示す粒子反応器を形成する。この混合物を還流下で52℃に保持した。
【0055】
加水分解物反応器を以下のように調製した。即ち、54.76グラムのブタノールを、28.125グラムの水及び0.9813グラムの37%HClに添加する。本実施例において金属アルコキシドはTMOS及びオルトチタン酸テトライソプロピルである。オルトチタン酸テトライソプロピルは、20.9431グラムのオルトチタン酸テトライソプロピル及び271.0744グラムのブタノールを含む溶液として提供される。オルトチタン酸テトライソプロピル溶液及び240グラムのTMOSを、69分間で加水分解物前駆体への添加が完了するような速度でブタノール/水/HCl混合物に同時に添加する。金属アルコキシドが添加された後、73.9113グラムの第3級アミルアルコール及び44.775グラムのシクロヘキサンにより別々に形成された補助界面活性剤を添加し、十分に混合する。
【0056】
加水分解物反応器を粒子反応器に毎分13.93の速度で添加する。即ち、粒子反応器の撹拌機を205RPMに設定する。全ての加水分解物が添加された後、約169グラムのブタノールを添加する。温度は、継続的な還流下においてほぼ等温の52℃である。平衡化の後、水酸化アンモニウムの0.5%水溶液を制御された速度で添加し、縮合及び及び粒子成長を促進し、そして混合物を撹拌(反応器の撹拌機の速度を240RPMに増加する)し、ケイ酸チタン粒子を得る。図7は、実施例2において得られたケイ酸チタンの粒子サイズ分布を図示する。図7に示されるように、粒子は237ミクロンの単峰形に近い粒子サイズを有する。
【0057】
実施例3
以下の実施例は、化粧料分野における応用やフラットパネルスクリーンの散光器として有用であろう、比較的狭い粒子サイズ分布を有するメチル化シリカの合成を例証する。
【0058】
粒子反応器は以下の通り調製された。即ち、1016.028グラムの水を、25.857グラムの300MWのポリエチレングリコールに添加する。これに、38.025グラムのブタノールを添加し、乳濁液の外観を示す粒子反応器を形成する。この混合物を還流下で56℃に保持した。
【0059】
加水分解物反応器を以下のように調製した。即ち、45.63グラムのブタノールを、17.49グラムの水及び0.5628グラムの37%HClに添加する。本実施例においてシリコンアルコキシドは、1.35モルのメチルトリメトキシシラン及び0.14モルのテトラメチルシロキサンから調製される混合物である。シリコンアルコキシド組成物を、(粒子反応器中の)最終メチル化シリカの固体負荷(solid loading)が最終バッチの約7.33%になるように加水分解物反応器に添加する。シリコンアルコキシド混合物を、34分間で加水分解物反応器に添加し、激しく撹拌しながら加水分解を断熱条件に保持する。加水分解物を室温まで冷却し、その後、114.08グラムの第3級アミルアルコール及び38.03グラムのシクロヘキサンを添加し、十分に混合して数分間エージングした。
【0060】
一旦エージングが行われると、4ブレード、45°ピッチの撹拌機を用いて360RPMで継続的に撹拌しながら、加水分解物を毎分22.73グラムの速度で粒子反応器に流し入れた。加水分解物の流入の最後に、還流下で56℃に保持された粒子反応器に150グラムのブタノールを添加した。一旦温度が平衡化されると、0.37%水酸化アンモニウム溶液を所望の粒子サイズが得られるまで粒子反応器に徐々に添加した。
【0061】
図8は、33分のブタノール添加の後の粒子サイズ分布を示す。図8に示されるように、粒子は6.8ミクロンの平均粒子サイズを有していた。図9は、反応が完了した後(約118分後)の粒子サイズ分布を示す。図9に示されるように、粒子は、11.73ミクロンの平均粒子サイズを有していた。最終粒子は、ほぼ均一な粒子サイズを有し、狭い粒子サイズ分布(わずか0.81ミクロンの標準偏差を伴う)を有していた。
【0062】
本発明の実施態様は上記に説明されており、言うまでもなく、本明細書を読み、理解することによって、他の金属酸化物粒子を生産するための金属アルコキシド源の同一性を変更することを包含する修飾及び変更が、他者に生じるであろう。以下の請求項は、本請求項の範囲内又はその等価物に含まれる限り全ての修飾及び変更を包含することが企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の製造方法であって、
水、金属源、第1触媒、第1界面活性剤及び第1アルコールの混合物を含む第1相を形成すること、
水、第2アルコール及び第2界面活性剤を含む第2相に前記第1相を添加してブレンドを形成すること、
前記ブレンドを計量された相エンハンサーで処理すること、ならびに
前記ブレンドを第2触媒と反応させて粒子を形成すること
を含む前記製造方法。
【請求項2】
前記金属を含有する粒子におけるカチオン性不純物の全量が100ppb未満である、請求項1に記載される方法。
【請求項3】
前記金属を含有する粒子におけるカチオン性不純物が10ppb未満である、請求項2に記載される方法。
【請求項4】
前記金属源が、金属アルコキシド、加水分解性有機金属化合物、オキソ金属オリゴマー、又はこれらの2以上の混合物を含む、請求項1に記載される方法。
【請求項5】
前記金属源が、金属アルコキシドを含み、且つ第1相における金属アルコキシド源に対する水のモル比が約0.5〜約4.0である、請求項4に記載される方法。
【請求項6】
前記金属源がシリカ源を含む、請求項1に記載される方法。
【請求項7】
前記シリカ源が、アルコキシシランに由来するシロキサンオリゴマーを含み、且つアルコキシシランに由来するシロキサンオリゴマーに対する水のモル比がシロキサンヘプタマー、環状シロキサン、又はこれらの混合物の少なくとも1種を提供する、請求項6に記載される方法。
【請求項8】
前記シリカ源が、テトラメチルオルトシリケート、及びテトラエチルオルトシリケート若しくはテトラアルキルオルトシリケート、ビニルオルトシリケート、アリールオルトシリケート、又はこれらの2以上の組合わせの少なくとも1種を含む、請求項6に記載される方法。
【請求項9】
前記第1及び/又は第2アルコールが1〜10炭素原子の構造を有する直鎖状アルコールを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項10】
前記第1界面活性剤が非極性化合物及び僅かに極性の化合物を含む補助界面活性剤系である、請求項1に記載される方法。
【請求項11】
前記わずかに極性の化合物が第3級アルコールである、請求項10に記載される方法。
【請求項12】
前記第2界面活性剤が非イオン界面活性剤を含む、請求項1に記載される方法。
【請求項13】
前記非イオン界面活性剤がポリエトキシレート、ポリプロポキシレート、フェノラート、分子量400〜100,000を有するポリオール、又はこれらの2以上の組み合わせから選択される、請求項12に記載される方法。
【請求項14】
前記金属アルコキシド源が、断熱温度上昇が約10℃〜約100℃の範囲内であるように添加される、請求項4に記載される方法。
【請求項15】
前記第2相に第1相を添加する速度が、約30分〜約150分の範囲に相当する、請求項1に記載される方法。
【請求項16】
前記第1相の形成が、水、第1界面活性剤及び第1アルコールを含む混合物に金属源を添加することを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項17】
前記第1相に金属源を添加する速度が、約20〜約120分の範囲である、請求項16に記載される方法。
【請求項18】
前記第1相の形成が、水、第1触媒及び第1アルコールの混合物に前記金属源を添加すること、ならびに前記金属源の添加の後に第1界面活性剤を添加することを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項19】
前記相エンハンサーが、わずかに極性のアルコールを含む、請求項1に記載される方法。
【請求項20】
前記第2触媒とブレンドを反応させる前の前記ブレンドのpHが約3.5以下であり、前記反応工程の間の前記混合物のpHが約6以下である、請求項1に記載される方法。
【請求項21】
一次粒子が、約5ミクロン〜約1000ミクロンのサイズまで凝集する、請求項20に記載される方法。
【請求項22】
前記金属酸化物粒子が、約0.5ミクロン〜約100ミクロンの一次粒子サイズを有する、請求項1に記載される方法。
【請求項23】
少なくとも80%の金属酸化物粒子が約70〜約350ミクロンのサイズを有する、請求項22に記載される方法。
【請求項24】
前記第1触媒が酸触媒又は塩基触媒を含む、請求項1に記載される方法。
【請求項25】
前記第1触媒が、水酸化アンモニウム、水酸化第4級アンモニウム、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミンの誘導体、アミノピリジン、又はこれらの2以上の組み合わせから選択される塩基触媒を含む、請求項24に記載される方法。
【請求項26】
前記塩基触媒の濃度が約0.01重量%〜約10重量%である、請求項24に記載される方法。
【請求項27】
前記金属酸化物粒子が、水の量が約50重量%〜約99重量%の水性溶媒中に形成される、請求項1に記載される方法。
【請求項28】
前記ブレンドが、毎秒約0.2〜約0.8フィートの翼端速度の任意の撹拌翼について、粒子懸濁及び狭い粒子分布を促進する条件下で混合される、請求項1に記載される方法。
【請求項29】
高純度の合成シリカを製造するための方法であって:
水、アルコキシシラン、第1触媒、第1界面活性剤、及び第1アルコールの混合物を含む第1相を形成すること、
前記第1相を、水、第2アルコール、及び第2界面活性剤を含む第2相に添加してブレンドを形成すること、
前記ブレンドを計量された相エンハンサーで処理すること、
前記ブレンドを第2触媒で処理してシリカ粒子を形成すること、ならびに
前記シリカ粒子を熱処理して合成溶融シリカを形成すること
を含む前記製造方法。
【請求項30】
前記相エンハンサーがわずかに極性のアルコールを含む、請求項29に記載される方法。
【請求項31】
前記第2触媒でブレンドを処理する前の混合物のpHが約3.5以下であり、該処理工程の間の該混合物のpHが約6以下である、請求項29に記載される方法。
【請求項32】
前記第1界面活性剤が非極性化合物及びわずかに極性の化合物を含む補助界面活性剤系である、請求項29に記載される方法。
【請求項33】
前記第2界面活性剤が非イオン界面活性剤である、請求項29に記載される方法。
【請求項34】
前記非イオン界面活性剤が、ポリエトキシレート、ポリプロポキシレート、フェノラート、もしくは分子量約400〜約100,000を有するポリオール、又はこれらの2以上の組み合わせから選択される、請求項32に記載される方法。
【請求項35】
前記第1相の温度が約30°〜約80℃である、請求項29に記載される方法。
【請求項36】
前記第2相の温度が約30℃〜約100℃である、請求項29に記載される方法。
【請求項37】
前記ブレンドが、毎秒約0.2〜約0.8フィートの翼端速度の任意の撹拌翼について、粒子懸濁及び狭い粒子分布を促進する条件下で混合される、請求項29に記載される方法。
【請求項38】
請求項29に記載される方法により生産されるシリカ粒子。
【請求項39】
約0.5ミクロン〜約100ミクロンの一次粒子サイズを有する、請求項29に記載されるシリカ粒子。
【請求項40】
約80%を超える一次粒子が一次粒子の平均直径の+/−15%内である請求項39に記載されるシリカ粒子。
【請求項41】
金属不純物の全量が50ppb未満である請求項38に記載されるシリカ粒子。
【請求項42】
1ppb未満のFeを有する請求項38に記載されるシリカ粒子。
【請求項43】
請求項1に記載される方法により形成される金属酸化物粒子。
【請求項44】
約80%を超える一次粒子が一次粒子の平均直径の+/−15%内の直径を有する、請求項22に記載される方法により形成される金属酸化物粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−518801(P2013−518801A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552097(P2012−552097)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/023695
【国際公開番号】WO2011/097444
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】