説明

高純度の2,4’−ジメチル−3−ピペリジノ−プロピオフェノン(トルペリゾン)、これを含む医薬品組成物の製造法、並びにトルペリゾン含有活性物質組成物

本発明は、副成物の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合が公知の方法に比べ実質的に低下している高純度の2,4’−ジメチル−3−ピペリジノ−プロピオフェノン(トルペリゾン)(式I),その医薬品として許容し得る塩、塩酸塩および水和物の製造法に関する。また本発明は、アルツハイマー病の患者の治療および処置を行う組合せ調合物の製造に特に適したトルペリゾン含有活性物質組成物に関する。また本発明は望ましくない副成物の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の含まれている割合が活性物質100重量%に関し50ppmより、好ましくは10ppmより、特に好ましくは7ppmより、さらに好ましくは3ppmより少ないかまたは0ppm(検出限界以下)である局所施用組成物、放出制御型(CR)組成物、および経皮性治療システム、例えば活性物質のプラスターに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高純度の2,4’−ジメチル−3−ピペリジノ−プロピオフェノン(トルペリゾン(Tolperison))、その医薬品として許容し得る塩、塩酸塩および水和物、これ(ら)を含む医薬品組成物の製造法、並びにトルペリゾン含有活性物質組成物、トルペリゾン含有局所施用組成物、トルペリゾン含有放出制御型(CR、Controlled Release)組成物、およびトルペリゾン含有経皮性治療システム、例えば活性物質含有プラスター(膏薬)に関する。
【背景技術】
【0002】
トルペリゾンは筋肉の緊張を緩和する下記構造の試薬(筋肉弛緩剤)である。
【0003】
【化1】

【0004】
トルペリゾンの主要な適応症は、痛みを伴った筋肉の凝りを生じる病気、例えば脊柱症候群、職業およびスポーツによる過負荷症候群、および線維筋痛症候群である。
【0005】
トルペリゾンを用いて治療を行う利点は、機能的なパラメータ、例えば患者の運動能力が改善されることである。一般に重大な副作用がないために、トルペリゾンを長期間服用している患者は治療率が良好であり、この薬をさらに服用することについて治療を成功させるのに必要な基礎的な信頼性が得らている。これに対する前提は、活性物質のトルペリゾンができるだけ純粋な形で製造され、従って望ましくない副成物が可能な限り僅かしか含まれていないことである。
【0006】
トルペリゾンの製造法は特許文献1〜9、並びに非特許文献1および2から公知である。
【0007】
しかしこれらの文献には、特に重要な不純物である2−メチル−l−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)を永続的に減少させ安定化さ得る方法は記載されておらず、また不純物の2−メチル−l−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)をppm範囲に減少させる方法も記載されていない。
【0008】
これらの合成法の根本的な欠点は、副反応および化学的な不純物のために、得られるトルペリゾン含有最終生成物が望ましくない物質、特に4−MMPPOをトルペリゾンで治療されている患者に対して有毒な濃度で含有しており、また貯蔵条件下において生成し得ることである。
【0009】
使用される合成法に依存して、活性物質のトルペリゾンの中には次のような不純物が見出だされる:ピペリジン塩酸塩、2−メチル−1−(3−メチルフェニル)−3−(1−ピペリジニル)−プロパノン塩酸塩(3−トルペリゾン塩酸塩)、1−(4−メチルフェニル)−プロパノン(4−メチルプロピオフェノン)、2−メチル−l−(4−メチルフ
ェニル)−プロペノン(4−MMPPO)、並びに2−メチル−l−(2−メチルフェニル)−3−(1−ピペリジニル)−プロパノン塩酸塩(2−トルペリゾン塩酸塩)。
【0010】
可能な不純物に関する概要は下記の表から推測することができる。
【0011】
【表1】

【0012】
この場合、特に不純物の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)に注意しなければならない。何故ならこの化合物はその化学的な構造および実際的な試験管試験に基づけば潜在的な遺伝毒性物質と分類されなければならないからである。遺伝毒性物質に関するFDAおよびEMEAの最も新しいガイドライン(遺伝毒性物質の限界に関するガイドライン、CPMP/SWP/5199/02)は医薬品としての活性物質中におけるこの物質の最高含量を1日当たり1.5μgより少ない量であると定義しており、その結果治療薬として用いられるトルペリゾンの投与量の場合、活性物質および完成製品中における4−MMPPOの潜在的限界値は最高25ppm〜1ppmになる。従って、トルペリゾン組成物に対するFDAの許可はこの限界値を下回る場合においてのみ得ることができる。
【0013】
従来公知のいずれの合成法においても、常に公知の望ましくない下記式の副成物である2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)が生じる。
【0014】
【化2】

【0015】
副成物の4−MMPPOはβ−位での離脱によりトルペリゾンから生じる。
【0016】
【化3】

【0017】
この副成物はトルペリゾンの製造の際に生じ、また貯蔵している場合にも生じる。活性物質およびその医薬品組成物の製造および貯蔵の際にも同じことが言え、4−MMPPOが分解生成物として生じる可能性がある。下記の表には市販のトルペリゾン組成物中における4−MMPPOの濃度に関してその概要が示されている。
【0018】
【表2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】オーストリア特許第413 539号明細書。
【特許文献2】米国特許願第20060041141号明細書。
【特許文献3】日本特許第04005283号、1992年1月9日。
【特許文献4】日本特許第54032480号、1979年3月9日。
【特許文献5】日本特許第54036274号、1979年3月16日。
【特許文献6】日本特許第54030178号、1979年3月6日。
【特許文献7】日本特許第54027571号、1979年3月1日。
【特許文献8】日本特許第520,390号(1965年)。
【特許文献9】ハンガリー特許第144,997号(1956年)。
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Ditriech等、(1999年)、J.Labeled Cpd. Radiopharm誌、42巻、1125〜1134頁。
【非特許文献2】Kazuharu等、(1994年)、Chem.Pharm.Bulletin誌、42巻、8号、1676頁。
【発明の概要】
【0021】
従って本発明の目的は、2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合が少なくともFDAおよびEMEAによって要求される最高値より少ない高純度の2,4’−ジメチル−3−ピペリジノ−プロピオフェノン(トルペリゾン)、およびその医薬品として許容し得る塩、塩酸塩および水和物の製造法を提供することである。
【0022】
本発明に従えば、触媒として1種またはそれ以上の酸を存在させ、4−メチルプロピオフェノン
【0023】
【化4】

【0024】
を、ピペリジン塩酸塩
【0025】
【化5】

【0026】
および、1,2−ジオキソラン
【0027】
【化6】

【0028】
と反応させ、冷却した後反応混合物から粗製物としてトルペリゾンを遊離した形、またはその医薬品として許容される塩酸塩、水和物、および付加塩の形で濾別し、この際トルペリゾンの粗製物を結晶化させることにより2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を減少させる上述の種類の方法が提供される。本発明方法に従えば、4−MMPPOの割合を著しく低減させることができ、特に「0」まで減少させることが可能であり、従って本発明方法により得られるトルペリゾンは4−MMPPOを全く含んでいないか、または検出限界以下しか含んでいない。
【0029】
例えば本発明により得られるトルペリゾンでは粗製物100重量%に関し4−MMPPOが0.15重量%より少ない量まで減少している。
【0030】
また本発明方法によればトルペリゾンの粗製物100重量%に関し2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を0.15重量%より、特に0.002重量%より少ない量まで減少させることができる。この場合2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を10ppmより少な
い量まで減少させることも可能である。特に2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を7ppmより、或いは3ppmより少ない量まで減少させることもできる。最後に本発明方法においては2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を1.5ppmより少ない量まで、或いは0ppm(即ち検出限界以下)まで減少させることができる。
【0031】
これらの方法の有利な実施態様は以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0032】
さらに本発明方法においては、4−MMPPOと一緒にに生じる分解生成物であり、やはり原料として使用される不純物のピペリジン塩酸塩の割合も、100ppmより少ない値ないし0ppm(検出限界)まで減少させることができる。
【0033】
本発明はさらに、1種またはそれ以上の医薬品を担持する担体と組み合わされて、本発明方法により製造された活性物質のトルペリゾンが遊離した形、或いは医薬品として許容される塩、塩酸塩および水和物の形で含まれている医薬品組成物に関する。可能な実施態様は錠剤、カプセル、粒状物、懸濁物、シロップ、ゲル、軟膏およびクリーム、並びに経皮性治療システム、例えば活性物質のプラスターである。
【0034】
本発明に従えば、活性物質100重量%に関し2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)割合が50ppmより少ない、好ましくは10ppmより少ない、特に好ましくは7ppmより少ない、さらに好ましくは3ppmより少ないか或いは0ppm(即ち検出限界以下)のトルペリゾンを活性物質として純粋な形、塩の形、塩酸塩または水和物の形で使用する。
【0035】
錠剤としては好ましくは瞬間放出性をもったフィルム錠剤が推奨され、この場合活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩および水和物は、医薬品として許容される担体並びに少なくとも1種の添加物、即ち医薬品として許容される塩、好ましくは無水のクエン酸と組み合わされて存在している。このようなフィルム錠剤を製造するためには溶媒を用い無水条件下において処理が行われる。
【0036】
活性物質のトルペリゾンがマトリックスの中に埋め込まれ、目的に適った活性物質の放出(制御された放出)が行われるようにした場合、特に有利な医薬品組成物が提供される。
【0037】
また本発明方法によりつくられた活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩および水和物を含む組成物がカルボマー(Carbomer、カルボキシビニルポリマー)、水酸化ナトリウム溶液、アルコールおよび水から成る混合物をベースにし、医薬品として許容される安定化用の酸、好ましくはクエン酸を加え、ゲルを生じるようにしてつくられた場合、特に有利な医薬品組成物が得られる。
【0038】
本発明方法によりつくられた活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩および水和物を含む組成物がセチルステアリルアルコール、羊毛脂アルコール(Wollwachsalkohol)およびワセリンから成る混合物をベースにし、医薬品として許容される安定化用の酸、好ましくはクエン酸を加え、軟膏を生じるようにしてつくられた場合、さらに他の特に有利な医薬品組成物が得られる。
【0039】
本発明方法によりつくられた活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩および水和物を含む組成物がポリソルベート、セチルステアリルアルコール、グリセリン、ワセリン、羊毛脂アルコールおよび水から成る混合物をベースにし、医薬品として許容される安定化用
の酸、好ましくはクエン酸を加え、クリームを生じるようにしてつくられた場合、さらに他の特に有利な医薬品組成物が得られる。
【0040】
多重性硬化症(Multiple Sklerose(MS))のような慢性の患者にトルペリゾンを筋肉弛緩剤として使用する場合、活性物質の投与形態は活性物質がゆっくりと連続的に放出されるような投与形態が必要である。この場合TTS、即ち経皮性の治療システムは適切な投与形態である。
【0041】
TTSは活性物質を透過させない裏面、例えば重合体の箔または金属箔、好ましくはアルミニウム箔を含んで成っている。この裏面に取り付けられた貯蔵層は重合体のマトリックスおよびその中に埋め込まれた活性物質から成っている。本発明に従えば、2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合が活性物質100重量%に関し50ppmより少ない、好ましくは10ppmより少ない、特に好ましくは7ppmより少ない、さらに好ましくは3ppmより少ないか或いは0ppm(即ち検出限界以下)のトルペリゾンが純粋な形、塩の形、塩酸塩または水和物の形で活性物質として使用される。
【0042】
この場合重合体のマトリックスは基質重合体と通常の添加物から成っている。重合体は例えばゴム、合成品の単独−、ブロック−および共重合体、ポリアクリレート、ポリウレタン、およびシリコーンである。
【0043】
基質重合体には軟化剤、例えば高級アルコール、グリセリド、並びにポリエトキリル化したアルコールを加える。
【0044】
浸透助剤としては生理的に問題のないカルボン酸を使用する。
【0045】
本発明による経皮性治療システムは、活性物質を接着性をもった貯蔵層と共に、随時溶液の中で均一に混合し、活性物質を透過させない裏側に塗布し、随時溶媒を除去しててつくられる。次に接着層に対応する保護層を取り付ける。
【0046】
また本発明は、本発明方法に従ってつくられた活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩および水和物を含む医薬品組成物の製造法に関し、この際無水の条件下において1種またはそれ以上の溶媒中で活性物質を少なくとも1種の無水の添加物、即ち医薬品として許容される酸、好ましくはクエン酸と混合して医薬品用担体の上に塗布し、それぞれの場合の所望の投与形態に変化させる。酸を使用すること、および無水条件下で処理することにより、組成物の製造の際に4−MMPPOの含量を減少(Abreicherung)させ、貯蔵の際に生成物を安定化させることができる。
【0047】
さらに本発明は、2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合が、並びに活性物質組成物100重量%に関し50ppmより少ない、好ましくは10ppmより少ない、特に好ましくは7ppmより少ない、さらに好ましくは3ppmより少ないか或いは0ppm(即ち検出限界以下)の純粋な形、塩、塩酸塩または水和物の形のトルペリゾンを含む活性物質組成物に関する。
【0048】
酸性の安定剤を添加することが特に有利である。何故なら活性物質組成物を貯蔵する際、塩基が存在すると下記の反応式に従って2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)が生成するからである。
【0049】
【化7】

【0050】
安定剤として酸性の安定剤、例えば人体に許容される無機または有機性の酸が活性物質組成物に加えられている場合、上記の望ましくない副反応を防止することができる。
【0051】
【化8】

【0052】
本発明はアルツハイマー病のような神経変性による病気の処置および治療を行うための医薬品の製造における本発明による活性物質の使用に関する。
【0053】
驚くべきことには、アルツハイマー病に罹患している患者を治療する際、本発明によるトルペリゾンを含む活性物質の組成物をアルツハイマー病の治療に用いられる公知の調合物と一緒に用いると、患者の身体的並びに精神的な状態が著しく改善されることが認められた。この治療においては、病状が進行したために最早話せなくなった84才の患者に本発明によるトルペリゾンを含んだ活性物質の組成物と組み合わせてMemantinを投与した。ほぼ2週間後、患者は話し始め、看護人を認識した。このことは疑いもなくここで用いられた組合せ治療法によるものと考えることができる。この方法は他の公知のアルツハイマー病治療用調合物、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤と組合せて行った場合も同じような結果を与えることができる。
【0054】
さらに本発明は、2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合が並びに該活性物質および局所的組成物に通常存在する添加物100重量%に関し50ppmより少ない、好ましくは10ppmより少ない、特に好ましくは7ppmより少ない、さらに好ましくは3ppmより少ないか或いは0ppm(即ち検出限界以下)の純粋な形、塩、塩酸塩または水和物の形のトルペリゾンを活性物質として含む局所施用組成物に関する。
【0055】
さらに本発明は芯、および該芯の上に取り付けられた少なくとも一つの放出遅延性皮膜を含む放出制御型(CR)組成物であって、該芯は2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合が活性物質100重量%に関し50ppmより少ない、好ましくは10ppmより少ない、特に好ましくは7ppmより少ない、さらに好ましくは3ppmより少ないか或いは0ppm(即ち検出限界以下)の純粋な形、その塩、塩酸塩および水和物の形の活性物質のトルペリゾンが埋め込まれた成分を含んでいる放出制御型組成物に関する。
【0056】
さらに本発明は貯蔵層を含む経皮性の治療システム、例えば活性物質のプラスターであ
って、該貯蔵層には2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合が活性物質100重量%に関し50ppmより少ない、好ましくは10ppmより少ない、特に好ましくは7ppmより少ない、さらに好ましくは3ppmより少ないか或いは0ppm(即ち検出限界以下)の純粋な形、その塩、塩酸塩および水和物の形のトルペリゾンが活性物質として埋め込まれている経皮性治療システムに関する。
【0057】
本発明を実施する可能な実施態様を参照して本発明を下記に説明する。
【0058】
本発明の可能な実施態様の実施例並びに特許文献1記載の現行技術による対照例を下記表に掲げる。
【0059】
【表3】

【0060】
トルペリゾンの粗製物は下記の合成図式に従って製造される。
【0061】
【化9】

【0062】
原料としては4−メチルプロピオフェノン、ピペリジン塩酸塩を用い、反応の相手および溶媒として1,2−ジオキソランを使用する。フォルムアルデヒドの代りに1,2−ジオキソランを用い、トルペリゾン粗製物を直接分離して高い収率を得るためには、工業的規模においてもこの一段階工程は経済的である。
【0063】
下記の可能な変形法並びに現行の技術による対照例を参照して結晶化によるトルペリゾン粗製物の精製を詳細に説明する。
【0064】
特許文献1の現行技術による方法:トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノールから成る85:15の混合物に30分間還流させながら撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、熱いうちに溶液を濾過する。この溶液を5℃に冷却し、7時間撹拌する。得られた結晶性の沈澱を濾別し、2−ブタノンで洗浄し、次いで真空中において45〜85℃で乾燥する。
【0065】
HPLC−MS/MS法で分析し500ppmの割合の4−MMPPOを検出した。この方法により得られたトルペリゾンの最終生成物は、長い間貯蔵すると4−MMPPOの値がさらに増加することが示された。
【0066】
本発明方法による可能な変形法:
変形法(I) 1回ないし数回の結晶化法:
トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノールから成る85:15の混合物に30分間還流させながら撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、熱いうちに溶液を濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。得られた結晶性の沈澱を濾別し、2−ブタノンで洗浄し、次いで真空中において45〜85℃で乾燥する。濾別は吸着剤、例えば活性炭またはシリカゲルを添加して行うことができる。
【0067】
HPLC−MS/MS法で分析し0.14重量%の割合の4−MMPPOを検出した。さらにもう1回結晶化すると、この値は130ppmに減少させることができた。
【0068】
変形法(II) 結晶化および1%のHCl−イソプロパノール混合物による洗浄:
トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノールから成る85:15の混合物に12時間還流させながら撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、熱いうちに溶液を濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。結晶性の沈澱を濾別し、1%のHCl−イソプロパノール混合物により洗浄し、次いで真空中において45〜85℃で乾燥する。
【0069】
HPLC−MS/MS法で分析して1.5〜10ppmの範囲の4−MMPPOの割合を検出した。
【0070】
変形法(III) 1%のHCl−IPA−MEK混合物を用いる洗浄:
トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノールから成る85:15の混合物に12時間還流させながら撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、この溶液を熱いうちに濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。結晶性の沈澱を濾別し、MEKで洗浄し、次いで真空中において45〜85℃で乾燥する。
【0071】
HPLC−MS/MS法で分析し0ppm(検出できない)〜10ppmの範囲の4−MMPPOの割合を検出した。
【0072】
変形法(IIIa) 1%のHCl−IPA−MEK+5%のクエン酸混合物を用いる
結晶化:
トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノールから成る85:15の混合物中において1%のHClおよび5%のクエン酸を加え還流させながら12時間撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、この溶液を熱いうちに濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。結晶性の沈澱を濾別し、MEKで洗浄し、次いで真空中において45〜85℃で乾燥する。
【0073】
HPLC−MS/MS法で分析し0ppm(検出できない)〜10ppmの範囲の4−MMPPOの割合を検出した。これらの変形法は、トルペリゾンの最終生成物中にクエン酸が存在し、それによって安定化効果が検出できることが利点を示している。
【0074】
変形法(IV) 1%のHCl−IPA−MEK混合物+5%のクエン酸混合物を用いて結晶化した後、酸を加えて洗浄:
トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノールから成る85:15の混合物中において1%のHClおよび5重量%(活性物質に関し)のクエン酸を加え還流させながら12時間撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、この溶液を熱いうちに濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。結晶性の沈澱を濾別し、MEK、0.5%のHClおよび5%のクエン酸で洗浄し、次いで真空中において45〜85℃で乾燥する。
【0075】
HPLC−MS/MS法で分析し0ppm(検出できない)〜8ppmの範囲の4−MMPPOの割合を検出した。
【0076】
変形法(V) 1%のHCl−IPA−MEK混合物+5%のクエン酸を用いて結晶化した後、さらに容易に揮発するエーテル溶媒を用いて洗浄:
トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノールから成る85:15の混合物中において1%のHClおよび5重量%のクエン酸を加え還流させながら12時間撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、この溶液を熱いうちに濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。結晶性の沈澱を濾別し、MEK、0.5%のHClおよび5%のクエン酸で洗浄し、さらにもう1回同容積のt−ブチルメチルエーテルで洗浄した後、真空中において45〜85℃で乾燥する。
【0077】
HPLC−MS/MS法で分析し0ppm(検出できない)〜10ppmの範囲の4−MMPPOの割合を検出した。
【0078】
変形法(Va) 1%のHCl−IPA−MEK混合物+5%のクエン酸を用いて結晶化した後、さらに容易に揮発するエーテル溶媒+5%のクエン酸を用いて洗浄:
トルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK)およびイソプロパノール(IPA)から成る85:15の混合物中において1%のHClおよび5重量%のクエン酸を加え還流させながら12時間撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、この溶液を熱いうちに濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。結晶性の沈澱を濾別し、MEK、0.5%のHClで洗浄し、さらにもう1回同容積のt−ブチルメチルエーテル、5%のクエン酸で洗浄した後、真空中において50℃で乾燥する。
【0079】
HPLC−MS/MS法で分析し<1ppmの範囲の4−MMPPOの割合を検出した。
【0080】
HPLCでピペリジン塩酸塩の割合を再検査し、100ppmより少なく0ppm(即ち検出できない)までの範囲の値を検出した。
【0081】
変形法(Vb) 工業的規模における実施例:
1%のHCl−IPA−MEK混合物+5%のクエン酸を用いて結晶化した後、さらに容易に揮発するエーテル溶媒+5%のクエン酸を用いる洗浄:
165.4kgのトルペリゾン粗製物を2−ブタノン(MEK、900kg)およびイソプロパノール(IPA、75kg)から成る85:15の混合物中において1%のHCl(6.6L)および5重量%のクエン酸(8kg)を加え還流させながら12時間撹拌して溶解する。温度を80℃に低下させ、この溶液を熱いうちに濾過する。この溶液を5℃に冷却し、5℃で7時間撹拌する。結晶性の沈澱を濾別し、MEK(50L)、0.5%のHClで洗浄し、さらにもう1回同容積のt−ブチルメチルエーテル、5%のクエン酸で洗浄した後、真空中において50℃で乾燥する。収率99.9kg(60.4%)。
【0082】
HPLC−MS/MS法で分析し<1ppmの範囲の4−MMPPOの割合、および<100ppmのピペリジン塩酸塩の割合を検出した。
実施例によって得られた活性物質のトルペリゾンはこの分析によれば通常の方法で医薬品組成物の製造に使用することができ、この際活性物質をそれぞれの医薬品用担体と混合、粒状化、または錠剤化するか、或いは懸濁液またはシロップをつくるために担体の中に活性物質を取り込む。
【0083】
瞬間放出特性をもったフィルム錠剤をつくるためには、例えば下記の実施態様が選ばれる。
【実施例1】
【0084】
湿式粒状化による錠剤化
無水のクエン酸、ブタノン、およびイソプロピルアルコールから溶液をつくる。本発明に従ってつくられたトルペリゾン塩酸塩を造粒機に移す。この中には既につくられた溶液が入っている。これらの混合物を均一にし、次いで乾燥機の中で60℃において乾燥する。生じた粒状物を1.8mmの篩を通して篩にかける。二酸化珪素およびタルクをこれに加え、同時に混合する。次にステアリン酸マグネシウムと混合する。直径が8mm、重さが155.8〜172.2gの錠剤がつくられる。エタノール/水、染料および添加物中にヒプロメロース/ヒプロメロースフタレートを含んで成る懸濁液を用い、加熱被覆機の中で温度55〜60℃において仕上げられた粒状物に被覆する。次に被覆された錠剤を室温で乾燥する。
【実施例2】
【0085】
直接圧縮法
下記の組成をもつ混合物をつくる。
【0086】
【表4】

【0087】
1.8mmの篩を用いてこの混合物を篩にかけ、錠剤圧縮機の中で直接圧縮する。
【実施例3】
【0088】
乾燥粒状化
下記の組成をもつ混合物をつくる。
【0089】
【表5】

【0090】
活性物質および混合成分を乾燥緻密化器の中で緻密化し、次いで粉砕する。この粒状物を錠剤圧縮機で圧縮して錠剤の芯にする。
【0091】
制御された放出速度をもつ医薬品組成物をつくるために、例えば次のような処方に従って処理を行う:4−MMPPOを50ppmより少ない割合で含むラセミ形のトルペリゾンを、2−ブタノン中にEudragit RSを含む溶液を用いて粒状化する。次にEudragit SおよびEudragit Lを均一に撹拌して混入する。この混合物にトルペリゾンおよび4−MMPPOの100重量%に関し5重量%のクエン酸を加える。この混合物を乾燥し、篩にかける。篩にかけた粒状化材料をさらに他の添加物、例えば放出遅延剤と混合し、錠剤化して錠剤の芯を得る。その直径は約8mmであり、重さは190mgである。次にこの錠剤の芯をEudragit L、着色顔料、およびブタノールに溶解した他の添加物から成るフィルムで被覆する。
【0092】
【表6】

【0093】
錠剤製造工程において酸を使用し、また無水条件下で処理を行うと、4−MMPPOの
割合は少なくとも変化せずに保たれ、むしろさらに減少する。
【0094】
本発明による経皮性治療システムは例えば活性物質を含んだプラスターとしてつくられ、この場合4−MMPPOの割合が10ppmより少ない活性物質のトルペリゾンおよび接着性貯蔵層に対する成分を随時溶液中において均一に混合し、活性物質を透過させない裏側に被覆し、随時溶媒を除去する。次に接着層にそれに対応した保護層を装着する。
【0095】
下記に可能な実施態様を要約する:10.0gのオクタン酸および10.0gのミリスチン酸イソプロピルを撹拌しながら混合する。次いで4−MMPPOの割合が50ppmより少ないトルペリゾン塩酸塩を加え、固体が完全に溶解するまで撹拌する。その後アクリル酸2−エチルヘキシル、酢酸ビニルおよびアクリル酸を溶媒混合物(酢酸エチル:ヘプタン;イソプロパノール:トルエン:アセチルアセトン=37:26:26:4:1)中に含む46%溶液から成る130.0gの自己交叉結合性アクリレート重合体を均一に混合する。次いで撹拌しながらメタクリル酸ジメチルアミノメチルおよび中性のアクリル酸メチルエステルをベースにしたアクリル酸メチル共重合体10gを追加して混入し、室温で3時間撹拌する。
【0096】
活性物質を含む52.8%の接着剤溶液150gが得られ、これをアルミニウムおよび珪素がメッキされたポリエチレンフィルムの上に被覆する。60℃で乾燥した後、ポリエステルの箔を有する接着フィルムを剥がす。適当な切断器具を用いそれぞれ活性物質を含むプラスターを打ち抜くことができる。
【0097】
4−MMPPOを10ppmより少ない割合で含むトルペリゾンを含有した本発明による局所施用組成物は、ゲル、クリームまたは軟膏として皮膚の上に塗布することができる。組成物を生体に対し問題なく使用できる許容性を高め、同時に高い安定性を得るために、カルボン酸を添加物として組成物に加えて使用することができる。この場合活性物質を他の鎮痛剤と組合せて使用することができる。
【0098】
ゲルをつくるためには水(145g)および水酸化ナトリウム溶液(6g/5%溶液)を混合する。この混合物の中に撹拌しながらカルボマー(lg)をゆっくりと加える。次に2−プロパノール(50g)を撹拌しながら混入し、4−MMPPO含量が10ppmより少ないトルペリゾン塩酸塩(2g)の形の活性物質を撹拌しながら加える。
【0099】
クリームをつくるにはワセリン(50g)およびセチルステアリルアルコール(20g)を透明な相が生じるまで一緒に熔融する。同時にポリソルベート(10g)、グリセリン(20g)および水(98g)+クエン酸(3g)から成る混合物と4−MMPPO含量が50ppmより少ないトルペリゾン塩酸塩(2g)とを撹拌し、熔融した塊にした後撹拌しながら冷却する。
【0100】
トルペリゾンの軟膏をつくるためには、白色ワセリン(92.5g)、セチルステアリルアルコール(0.5g)、羊毛脂アルコール(6g)、クエン酸(l.5g)および4−MMPPO含量が50ppmより少ないトルペリゾン塩酸塩(1g)を一緒に熔融し、撹拌しながら冷却する。
【0101】
結論として、医薬品的な活性物質中における副作用の原因となる物質の割合についての現在施行されているガイドラインを考慮した際、本発明方法によって初めて、4−MMPPOの割合が許容し得る最高値を下回るようにし得ると言うことができる。
【0102】
遺伝毒性物質に関するFDAおよびEMEAの最も新しいガイドライン(遺伝毒性をもつ不純物の限界に関するガイドライン、CPMP/SWP/5199/02)には、医薬
品としての活性物質中におけるその所望の含有量は1日当たり<1.5μgであると記載されており、これを越えると新しい医薬品の許可は得られないから、この点に関し上記のことは重要である。4−MMPPOの場合、遺伝毒性または発癌性作用が試験管試験で検出されており、従って生体試験でもそのことが推測されるから、一つの医薬品組成物においては10ppmより少ない範囲の値だけしか許容されないということが要求される。この特に厳しい基準も本発明方法により初めて満たされ、この基準はまた医薬品組成物の製造の際少なくとも1種の無水の添加物、好ましくは無水のクエン酸を存在させるという無水の条件により満たされる。貯蔵用のトルペリゾン含有活性物質組成物に酸性の安定剤を添加した場合には、4−MMPPOが生成する望ましくない副反応を阻止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度の2,4’−ジメチル−3−ピペリジノ−プロピオフェノン(トルペリゾン)、その医薬品として許容し得る塩、塩酸塩および水和物の製造方法において、4−メチルプロピオフェノン
【化1】

を、ピペリジン塩酸塩
【化2】

および1,2−ジオキソラン
【化3】

と、触媒として1種またはそれ以上の酸を存在させて反応させ、冷却した後、遊離した形、またはその医薬品として許容し得る塩酸塩、水和物および付加塩の形のトルペリゾン粗製物を反応混合物から濾別し、この際トルペリゾン粗製物を結晶化させることにより2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)
【化4】

の割合を減少させることを特徴とする方法。
【請求項2】
触媒量の塩化水素水溶液の存在下において反応を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
溶媒中で反応を行うことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
1,2−ジオキソランを溶媒としてその中の濃度範囲を1〜6、好ましくは3.6モル/Lとして反応を行うことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の反対溶媒(Gegenloesungsmittel)、例えば酢酸エチルおよびメチルt−ブチルエーテルを加えることによりトルペリゾン粗製物を反応混合物から沈澱させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載された方法。
【請求項6】
エーテルおよびアルコールから成る溶媒混合物から結晶化を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載された方法。
【請求項7】
結晶化の際に酸を添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載された方法。
【請求項8】
多段階で結晶化を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載された方法。
【請求項9】
結晶化を行った後乾燥工程、好ましくは真空乾燥を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載された方法。
【請求項10】
結晶化を行う際、吸着剤、好ましくは活性炭またはシリカゲルを使用することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載された方法。
【請求項11】
トルペリゾン、その塩、水和物および塩酸塩はラセミ体、S−またはR−エナンチオマー、或いはキラルな混合物として得られることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載された方法。
【請求項12】
2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合をトルペリゾン粗製物100重量%に関し0.15重量%より、特に0.002重量%より少なくなるまで減少させることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載された方法。
【請求項13】
2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合をトルペリゾン粗製物100重量%に関し10ppmより少なくなるまで減少させることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載された方法。
【請求項14】
2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を7ppmより少なくなるまで減少させることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載された方法。
【請求項15】
2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を3ppmより少なくなるまで減少させることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載された方法。
【請求項16】
2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を1.5ppmより少なくなるか、或いは0ppm(即ち検出限界以下)になるまで減少させることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一つに記載された方法。
【請求項17】
他の不純物、特にピペリジン塩酸塩の割合を100ppmより少ないか、好ましくは0ppm(即ち検出限界以下)になるまで減少させることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載された方法。
【請求項18】
活性物質として請求項1〜17のいずれか一つに記載された方法でつくられたトルペリゾン、その塩、塩酸塩または水和物が、1種またはそれ以上の医薬品用の担体と組み合わされて含まれていることを特徴とする医薬品組成物。
【請求項19】
錠剤、カプセル、粒状物、懸濁液またはシロップの形の請求項18記載の医薬品組成物。
【請求項20】
活性物質のトルペリゾンおよびその医薬品用担体の他に、医薬品として許容し得る酸、
好ましくはクエン酸の形の少なくとも1種の添加物が存在することを特徴とする瞬間放出特性をもったフィルム錠剤の形の請求項19記載の医薬品組成物。
【請求項21】
活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩または水和物が、合成および/または天然の重合体および/または共重合体から成る医薬品として許容し得るマトリックスの中に埋め込まれていることを特徴とする請求項18記載の医薬品組成物。
【請求項22】
活性物質のトルペリゾンは医薬品として許容し得る酸、好ましくは無水のクエン酸の形の少なくとも1種の添加物を含んでいることを特徴とする請求項21記載の医薬品組成物。
【請求項23】
該重合体および/または共重合体はアクリル酸および/またはメタクリル酸のエステル、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルおよび/またはエチル、並びにそれらの混合物から成る群から選ばれることを特徴とする請求項21または22のいずれか一つに記載された医薬品組成物。
【請求項24】
活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩または水和物は医薬品として許容し得るマトリックスから成る錠剤の芯の中に埋め込まれ、該錠剤の芯は活性物質の放出を遅らせる被覆に取り囲まれていることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一つに記載された医薬品組成物。
【請求項25】
トルペリゾン、その塩、塩酸塩または水和物の活性物質の投与量は50〜1800mg、好ましくは150〜300mgの範囲にあることを特徴とする請求項18〜24のいずれか一つに記載された医薬品組成物。
【請求項26】
活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩または水和物はラセミ体の形で存在することを特徴とする請求項18〜25のいずれか一つに記載された医薬品組成物。
【請求項27】
活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩または水和物は主として(+)−エナンチオマーとして存在することを特徴とする請求項18〜25のいずれか一つに記載された医薬品組成物。
【請求項28】
活性物質のトルペリゾン、その塩、塩酸塩または水和物は主として(−)−エナンチオマーとして存在することを特徴とする請求項18〜25のいずれか一つに記載された医薬品組成物。
【請求項29】
2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合はトルペリゾン100重量%に関し0.15重量%より少ないことを特徴とする請求項18〜28のいずれか一つに記載された医薬品組成物。
【請求項30】
該組成物は0.05重量%より少ない2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項29記載の医薬品組成物。
【請求項31】
該組成物は10ppmより少ない2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項30記載の医薬品組成物。
【請求項32】
該組成物は7ppmより少ない2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項31記載の医薬品組成物。
【請求項33】
該組成物は3ppmより少ない2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項32記載の医薬品組成物。
【請求項34】
該組成物は1.5ppmより少ないかまたは0ppm(即ち検出限界以下)の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項33記載の医薬品組成物。
【請求項35】
1種またはそれ以上の溶媒中で無水条件下において医薬品として許容し得る酸、好ましくはクエン酸の形の少なくとも1種の添加物と活性物質のトルペリゾンとを混合し、それぞれ所望の投与形態に変えることを特徴とする請求項18〜34のいずれか一つに記載された医薬品組成物を製造する方法。
【請求項36】
純粋な形、その塩、塩酸塩または水和物の形のトルペリゾン、並びに活性物質組成物100重量%に関し50ppmより少ない割合の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)を含んで成ることを特徴とする活性物質組成物。
【請求項37】
該組成物は該組成物100重量%に関し10ppmより少ない2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項36記載の活性物質組成物。
【請求項38】
該組成物は該組成物100重量%に関し7ppmより少ない2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項36記載の活性物質組成物。
【請求項39】
該組成物は該組成物100重量%に関し3ppmより少ない2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項36記載の活性物質組成物。
【請求項40】
該組成物は該組成物100重量%に関し1.5ppmより少ないかまたは0ppm(検出限界以下)の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)の割合を示すことを特徴とする請求項36記載の活性物質組成物。
【請求項41】
該組成物は酸性の安定剤を含んでいることを特徴とする請求項36〜40のいずれか一つに記載された活性物質組成物。
【請求項42】
該安定剤は人体に支障を与えない無機または有機性の酸であることを特徴とする請求項41記載の活性物質組成物。
【請求項43】
酸性の安定剤の割合は活性物質組成物100重量%に関し0.5〜2重量%であることを特徴とする請求項41または42のいずれか一つに記載された活性物質組成物。
【請求項44】
神経変性疾患、例えばアルツハイマー病の処置および治療を行うための医薬品の製造に対する請求項36〜43のいずれか一つに記載された活性物質組成物の使用。
【請求項45】
活性物質として純粋な形、その塩、塩酸塩および水和物の形のトルペリゾン、および活性物質および局所施用組成物に通常用いられる添加物100重量%に関し50ppmより、好ましくは10ppmより、特に好ましくは7ppmより、さらに好ましくは3ppmより少ないかまたは0ppm(検出限界以下)の割合の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)を含んで成ることを特徴とする局所施用組成物。
【請求項46】
芯、および該芯の上に取り付けられた少なくとも一つの放出遅延用の皮膜を含み、芯の成分は、純粋な形、その塩、塩酸塩および水和物の形のトルペリゾン、並びに活性物質100重量%に関し50ppmより、好ましくは10ppmより、特に好ましくは7ppmより、さらに好ましくは3ppmより少ないかまたは0ppm(検出限界以下)の割合の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)が埋め込まれた成分を含んでいることを特徴とする制御放出型(CR)組成物。
【請求項47】
経皮性の治療システム、例えば活性物質のプラスターであって、該システムは純粋な形、その塩、塩酸塩および水和物の形の活性物質のトルペリゾン、並びに活性物質100重量%に関し50ppmより、好ましくは10ppmより、特に好ましくは7ppmより、さらに好ましくは3ppmより少ないかまたは0ppm(検出限界以下)の割合の2−メチル−1−(4−メチルフェニル)−プロペノン(4−MMPPO)が埋め込まれた貯蔵層を含んでいることを特徴とする治療システム。

【公表番号】特表2010−524977(P2010−524977A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504375(P2010−504375)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000149
【国際公開番号】WO2008/131469
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(507031701)サノヘミア・フアルマツオイテイカ・アクチエンゲゼルシヤフト (6)
【Fターム(参考)】