説明

高純度スルホン酸電解質溶液

電気化学的方法で使用する水溶液が開示され、該水溶液は、スルホン酸を含み、低濃度の低原子価または還元されやすい高原子価の硫黄化合物を有し、電着、電池、導電性ポリマーおよびスケール除去方法への使用を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度のスルホン酸及びそれらの電気化学的方法における使用、かかる高純度酸の調製方法、高純度金属−スルホン酸塩またはスルホン酸溶液の調製方法、ならびにかかる方法や溶液の使用により形成される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学的方法は、導電性を付与し、それにより必要電圧を減らし、金属または金属酸化物の溶解(例えば、金属塩の形成やスケール除去)を促進し、水溶液からの金属の析出(例えば、電着)を促進するために酸電解質を含むことがあり、また、プロトン伝導をもたらす導電性ポリマーの合成や、亜鉛および鉛などの金属の溶解や溶媒和を促進するための電池において使用されることがある。
【0003】
ホスホン酸やスルホン酸はもちろん、硫酸、硝酸、燐酸、スルファミン酸および塩酸など、上述の用途において使用され得る酸は多く存在する。酸の選択は、用途や酸の純度に非常に左右される。例えば、塩酸は、一般的に、鉄(II)系金属をスケール除去することには金属上に腐食で穴を開ける性質(孔食)のため使用されない。硫酸は、この酸中で金属沈澱を生じる可能性があるため銀系または鉛系合金の電着にはあまり使用されない。
【0004】
一般に、酸にもいろいろな等級や純度が存在し、その等級の選択は、たいてい産業上の用途による。例えば、硫酸は、工業用、試薬用、エレクトロニクス用およびマイクロエレクトロニクス用として購入が可能である。工業用は最も不純物が多く、それゆえ、マイクロエレクトロニクス分野において必要とされる金属電着溶液には使用されない。
【0005】
近年、スルホン酸(アルカンスルホン酸を含む)は、(a)硫酸などの酸に不溶の金属を可溶化でき、典型的な塩酸のような耐食性の酸であり、(b)硝酸とは異なり還元性の酸であり、(c)低位から中位のpHでおよび高められた温度でスルファミン酸より安定している、ことが主な理由で多くの工業用用途において受け入れられている。
【0006】
さらに、電気めっきの溶液および技術の改良により(a)高まるめっきの規格を満たすことや(b)極めて厳しい状況下でめっきすることが可能となってきている。
【0007】
たいていの改良は、所望の結果を得るような、抑制剤、促進剤およびレベリング剤などの有機添加剤の使用に焦点を当てていた。
【0008】
しかし、電気めっき工程における改良に関してすらも、電子デバイスでのビアまたは溝またはスルーホール等の陥凹部での被覆率が不充分であるため、めっき不良となるのが現状であろう。析出金属の耐食性が低く、内部応力が高すぎるので、金属被覆のひび割れを招き、または粗く市場で受け入れられないような被覆となってしまう。これらの不良は、所望の金属被覆を得ようとして添加した有機添加剤の不均衡による結果として起こり得る。
【0009】
また、多くの金属電着電解質の有効耐用寿命は、有機添加剤、特に硫黄を含有する促進剤の分解により左右される。
【0010】
酸性の、銅、ニッケル、コバルトおよび鉄溶液中で使用される、典型的な低原子価硫黄を含有する促進剤タイプの添加剤を用いることによって、特に、低〜高アスペクト比ビアやマイクロビア、プリント回路基板でのスルーホール等の他のめっきが困難な電子部品の形状への、均一なめっきが可能であることは産業上よく知られている。
【0011】
一般的な促進剤または光沢剤は、1価またはそれ以上の低原子価の硫黄原子を含み、一般に、窒素原子は含まず、約1500以下の分子量である。いずれにせよ、低原子価硫黄の促進剤または光沢剤が、所望の効果を与えるよう分解する。
【0012】
しかし、一般には、様々な低原子価の硫黄化合物の組み合わせは、加工品の表面で相互作用が拮抗するため望まれない。
【0013】
そのため、狭い範囲(たいてい、mg/Lの範囲)において、求める低原子価の硫黄添加剤の濃度を制御し、酸性の補充溶液からの不必要な低原子価の硫黄不純物分子との相互作用が発生しないよう防ぐことが望ましいであろう。
【0014】
ポリアニリン等の導電性ポリマーの合成に、プロトンのドーピングにより導電率を与えるためスルホン酸を使用することもある。Synthetic Metals社のチェ(Choi)氏および共同研究者らは、ドデシルベンゼンスルホン酸の存在下でのアニリン重合が良好な導電率を与えることを明らかにした。Synthetic Metals社のドミニス氏および共同研究者らは、ノニルナフタレンスルホン酸を含む溶液中でのポリアニリンの合成を研究し、スルホン酸が有機媒質での導電性ポリマーの溶媒和を促進することを発見した。これらの研究にて使用されたスルホン酸の純度に関しては何も言及はされていなかった。
【0015】
ニッケル、鉄およびコバルトの電着中は、金属被覆物に光沢を与え、金属被覆における応力を低下させ、構成する回路基板の防食を増大するために、または所望の審美的外観に達するために、添加剤を電気めっき水溶液に使用してもよい。
【0016】
電気めっき溶液で使用される添加剤の組成物は、所望の金属被覆に依存する。しかし、一般に、これら金属電気めっき浴用の添加剤は、Lowenheim著、Modern Electroplating、3rd Ed.に記載のように、硫黄成分を含み得る。クラス1の光沢剤は、金属被覆の粒径を減少するが、わずか約0.03%の量の硫黄も混入する。鋼の防食において、二層ニッケルめっき法は、第一層のニッケル(例えば、鋼に近接しているニッケル)は被覆物中に硫黄を含まないことが要求される。添加剤が最終的にニッケル上で共析されるかもしれない還元可能な硫黄化合物を含まないように、ニッケル電解質は調製される。二層のうちの上面ニッケル層は少量の硫黄を含み、第一層の硫黄フリーニッケル被覆に比べて優先的に腐食される。Bodnevas氏およびZahavi氏は、“Plating and Surface Finishing”(Dec.1994、pg.75)において、ニッケル被覆の内部応力、ニッケル被覆剤への硫黄混入、ならびに溶液中の硫黄添加濃度と硫酸塩系溶液でめっきされたニッケル被覆中の硫黄元素の混入との関係、に及ぼす硫黄含有添加剤の効果を教示した。もし、ニッケル電解質が、還元されたまたは容易に還元可能な硫黄化合物を含む不純物含有のスルホン酸を使用して作製されているのならば、硫黄混入の可能性は著しく増加し、被覆物における応力、金属被覆の光沢および腐食性に影響を及ぼす。
【0017】
航空宇宙の用途に使用するために、スルファミン酸系溶液から低応力ニッケル被覆を析出させる際においては、たとえ、従来の1,3,5,ナフタレントリスルホン酸(NTS)などの硫黄を含有した応力緩和剤を使用しても、硫黄は被覆物の上に共析されなかった。NTS中では、硫黄は+6の酸化状態を有し容易には還元されない。しかし、還元可能な硫黄化合物が、もし不純物を含有したスルホン酸中で存在するならばニッケル被覆物の粒径を変え、その結果として金属ニッケル被覆物での応力が変わるであろう。
【0018】
スルホン酸の合成は複雑であり、様々な望ましくない不純物が所望のスルホン酸中に存在し、電気化学的方法におけるスルホン酸の使用を困難にすることがある。スルホン酸は、ハロゲン化アルカンスルホニルの加水分解、またはジメチルジスルフィドの酸化により、対応するチオールの酸化を経て作製される。様々な不純物は、酸化または加水分解反応の間に生成され、使用の前に除去も行わなければならない。スルホン酸中に存在する、硫黄(II)または硫黄(IV)等の多くの低原子価の硫黄化合物ならびに還元されやすい硫黄(VI)化合物等の高原子価の硫黄分子は、悪臭や臭気を生じ、進行中の電気化学的方法を妨げ、または最終生成物を変化させてしまうことがある。
【0019】
低原子価の、または酸性媒質中で容易に還元可能な硫黄化合物も望ましくない硫黄の悪臭を生ずるであろう。この悪臭は、微量の硫化水素、ジメチルスルフィドまたは二酸化硫黄で形成されたものから生じる。これらの物質は、望ましくなく、電気化学的方法の実施の間に危険を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、高純度のスルホン酸に基づいた新規な電気化学組成物を提供することが望ましいであろう。金属またはポリマーの被覆における臭気や欠点等の悪影響がなく、スズ、亜鉛および鉄などの強い還元性を有する金属を用いて効果的に使用されることが可能な新規なスルホン酸組成物を提供することが特に望ましいであろう。そのような組成物は、電着、電池、導電性ポリマーおよびスケール除去の用途において使用可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、電気化学的方法で使用する水溶液を提供する。この水溶液は、スルホン酸と、低濃度の低原子価硫黄(II)化合物および硫黄(IV)化合物ならびに還元されやすい高原子価硫黄(VI)化合物とを含み、補充および使用の間に望ましくない臭気が、ならびに電気分解の間に望ましくない効果が生じる可能性がある。
【発明の効果】
【0022】
本発明の組成物は、電子回路、導電性ポリマー、電着やスケール除去効果に関し、より厳しい要求を満たすように構成された方法において有効である。
【0023】
本発明の組成物は、金属の被覆、スケール付着した金属表面の改質または洗浄、電池での酸性電解質としての使用あるいは導電性ポリマー合成中における使用として有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の組成物は、金属溶解中に臭気を発生するまたは電気分解プロセスを阻害する可能性のある、低濃度の還元されたまたは容易に還元可能な硫黄種を有するスルホン酸を適宜に含む。
【0025】
高純度のスルホン酸組成物が、電気化学的方法での使用時に、補充および使用の間に臭気を生成せず、市場で受け入れられる金属被覆物、清浄な表面及びポリマー被覆物を得られることが今や見出された。
【0026】
本発明の重要な点は、電着、電池、導電性ポリマーおよびスケール除去等の電気化学的方法における高純度のスルホン酸の使用が予期せぬ卓越性を有することである。
【0027】
本発明で使用されるスルホン酸は、低濃度の還元された硫黄化合物または還元されやすい高酸化状態である硫黄化合物を有しており、これらは使用中および金属−スルホン酸塩の補給中に望ましくない臭気を生じ得る。これらの望ましくない低原子価の硫黄化合物は、金属−スルホン酸塩溶液から生成された粗いあるいは市場では受け入れられない電着も生じる可能性がある。もし低原子価の硫黄化合物がかなりの高濃度で充分に存在するならば、それらは、金属被覆に混入して金属の防食性を変化させる。低原子価の硫黄化合物は、導電性ポリマーを形成するための有機モノマーの重合を妨げる可能性もある。
【0028】
本発明のスルホン酸電解質は、低濃度の、還元された硫黄化合物または活性金属によって若しくは電気分解により硫化物などの低原子価硫黄化合物(臭気を引き起こす不純物)に還元されやすい高酸化状態の硫黄化合物、を含むことを重要な特徴部分とする。
【0029】
特に、好ましい本発明の高純度溶液において、還元された硫黄化合物の合計濃度は、約50mg/L未満、より好ましくは、5mg/L未満、さらに好ましくは、1mg/L未満である。
【0030】
加えて、本発明の高純度のスルホン酸溶液とともに使用される他の化合物は、スルホン酸金属塩または他の無機もしくは有機金属塩、例えば結晶粒微細化剤、レベラー、促進剤、伝導塩、緩衝剤、キレート剤のようなめっき添加剤などである。
【0031】
本発明のスルホン酸は、さらに酸化剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、界面活性剤、乳化剤、粘度調整剤、湿潤剤、潤滑剤、石鹸および補助溶剤を含むことができる。付加的な添加剤または緩衝剤の選択は、電着、スケール除去、有機モノマー重合、エネルギー蓄積装置などの作業の選択に依存し、上記化合物の混合物は、所望の効果的結果を得るために使用できる。
【0032】
また、本発明は、高純度スルホン酸を使用した金属塩の生成にも関する。金属スルホン酸塩溶液は、高純度スルホン酸中での金属の電溶や、さまざまな金属酸化物、炭酸塩または他の金属塩の溶解など、さまざまな方法から生成することが可能である。
【0033】
本発明は、この発明のスルホン酸を使用した製品も包含する。これらには、プリント回路基板、マルチチップモジュール、半導体集積回路、機械電子機械装置(mechanical−electronic machine devices)(すなわち、MEMSデバイス)等のエレクトロニックパッケージング装置、亜鉛−ハロゲン、亜鉛−ランタノイドなどの電池やバナジウム系エネルギー蓄積装置、ポリアニリンやポリピロール等の導電性ポリマー、亜鉛めっき鋼、スズ−めっき鋼、自動車部品、航空宇宙部品および他の本発明記載のスルホン酸を使用した製品が含まれる。
【0034】
本発明の高純度のスルホン酸は、まず不純物を含んだスルホン酸から低原子価の硫黄分子を除去するよう調製される。すなわち、不純物質または低原子価硫黄分子の原子価を高めるために、不純物を含んだスルホン酸に酸化剤を添加し、低原子価の硫黄化合物を高酸化状態の硫黄化合物に完全またはほぼ完全に酸化するため充分な時間をかけて、25℃〜約95℃の温度において酸化しながらスルホン酸を混合することにより除去処理される。随意に残留酸化剤を除去または分解するためスルホン酸を高温に熱することや、随意にスルホン酸中に残っている残留不純物を除去するため活性炭粉末を加えることもある。
【0035】
過酸化水素、硝酸、過マンガン酸塩イオン、アノード電流、モノペルオキシ硫酸塩、塩素水溶液またはカルボン酸溶液中のハロゲン等の多くの異なる酸化剤が使用され得る。
【0036】
本発明で使用されるスルホン酸は、低原子価硫黄(II)化合物もしくは硫黄(IV)化合物または還元されやすい高原子価硫黄(VI)化合物等の不純物を含み、臭いのする硫黄化合物を形成し得る。例えば、ジメチルスルホン(CH3SO2CH3)は二酸化硫黄(SO2)またはジメチルスルフィド((DMS)(CH3SCH3))に還元されるであろう。DMSO2中の硫黄の酸化状態は+6であるのに対して、SO2中では硫黄は+4の酸化状態でありDMS中では+2であった。MMTS(CH3SO2SCH3)は、硫黄(II)成分および硫黄(VI)成分をともに有するが、金属または電気化学的によりジメチルジスルフィド(CH3SSCH3)へと還元されて、それによって両方の硫黄ともすぐに+2の酸化状態となる。
【0037】
本発明において使用されるスルホン酸は、大部分において、アルキルモノスルホン酸、アルキルポリスルホン酸、アリールモノスルホン酸またはアリールポリスルホン酸のように、低濃度の、還元されたまたは容易に還元可能な硫黄化合物を有することを特徴とし、下記のものとして導入される:
【化1】

(ここで、a+b+c+y=4であり;R、R’及びR”は、同一または異なるものであり、それぞれ独立して、水素、フェニル、Cl、F、Br、I、CF3、または(CH2n(ここで、nは1〜23である)等の低級アルキル基(これは非置換であってもよく、酸素、Cl、F、Br、I、CF3または−SO2OHにより置換されていてもよい)である。)。
【0038】
好ましいアルキルスルホン酸は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびプロパンスルホン酸であり;好ましいアルキルポリスルホン酸は、メタンジスルホン酸、モノクロロメタンジスルホン酸、ジクロロメタンジスルホン酸、1,1−エタンジスルホン酸、2−クロロ−1,1−エタンジスルホン酸、1,2−ジクロロ−1,1−エタンジスルホン酸、1,1−プロパンジスルホン酸、3−クロロ−1,1−プロパンジスルホン酸、1,2−エチレンジスルホン酸、1,3−プロピレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、およびペンタンスルホン酸であり;および好ましいアリールスルホン酸は、フェニルスルホン酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸;またはそれらの混合物である。
【0039】
このスルホン酸は、溶液1リットル当たり1g未満〜1480gの間の濃度範囲で、より好ましくは、溶液1リットル当たり約10〜約700gの濃度で、さらに好ましくは、溶液1リットル当たり約30〜約500gの濃度で使用が可能である。
【0040】
本発明のスルホン酸溶液は−2〜13のpHを有する。
【0041】
本発明のスルホン酸は、他の無機または有機酸を有するスルホン酸の混合物である酸性水溶液であり得る。
【0042】
上述のように、本発明の電気めっき溶液、電池およびスケール除去組成物は、特に、スズ、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛等の活性金属や、銅および銀などのより貴な金属を、望ましくない臭気を生成することなく可溶化するのに効果的である。
【0043】
本発明の純粋なスルホン酸または金属スルホン酸塩溶液は、一般に、少なくとも1つの可溶性金属塩、酸性電解質、随意に緩衝剤、随意に一般にレベリング剤、光沢剤、抑制剤、伝導性、導電性塩等と呼ばれるめっき浴添加剤、および随意にハロゲンイオンを含む。とりわけ、本発明の電気めっき組成物は、好ましくは、本発明のアルキルまたはアリールスルホン酸金属塩;好ましくは、スルホン酸溶液等の酸性水溶液電解質であり、随意に緩衝剤、一般に随意にレベリング剤、光沢剤、抑制剤等と呼ばれるめっき浴添加剤および随意にハロゲンイオン等を有する。
【0044】
さまざまな金属塩は、本発明のスルホン酸電解質中でも存在することができ、厳密な組成は所望の最終的な金属仕上げおよび金属被覆剤の特性に依存する。周期表の1B、2B、3A、3B、4A、4B、5A、5B、6B、7B、8B族、ランタノイドおよびアクチノイド金属並びにアンモニウムイオンまたはその混合物から選択されたスルホン酸金属塩が使用される。
【0045】
アルカンスルホン酸金属塩は、本発明の電気めっき溶液において使用される。金属塩の陰イオン部分のアルカンスルホン酸および遊離酸は、上記の式を有するアルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸として導入される。好ましいアルキルスルホン酸、アルキルポリスルホン酸およびアリールスルホン酸は、上述のとおりである。メタンスルホン酸金属塩は、特に、好ましい金属塩である。
【0046】
用語、スルホン酸金属塩は、本発明においては金属および合金を含む。金属および合金は、アンモニウムイオンまたはそれらの混合物、ならびに周期表の1B、2B、3A、3B、4A、4B、5A、5B、6B、7B、8B族、ランタノイドおよびアクチノイド金属の中の金属から選択される。
【0047】
アルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸の金属塩は、一般に、次式を有する:
【化2】

(ここで、a+b+c+y=4であり、
R、R’及びR”は、同一または異なるものであり、それぞれ独立して、水素、フェニル、Cl、F、Br、I、CF3、または(CH2n(ここで、nは1〜23である)等のC1-9アルキル基(これは非置換であってもよく、酸素、Cl、F、Br、I、CF3または−SO2OHにより置換されていてもよい)である。)。
【0048】
スルホン酸金属塩は、比較的広い濃度範囲において、本発明のスルホン酸水溶液中に適宜存在し得る。金属塩は、好ましくは、めっき溶液1リットル当たり約1g未満〜約500gの濃度で、より好ましくは、めっき溶液1リットル当たり約20〜約300gの濃度で、より好ましくはめっき溶液1リットル当たり約40〜約175gの濃度で使用できる。
【0049】
加えて、硫酸塩、硝酸塩、スルファミド酸塩の金属塩、ならびに周期表の1B、2B、3B、4A、4B、5A、5B、6B、7B、8B族、ランタノイドおよびアクチノイド金属からなる塩化物、ならびにアンモニウムイオンまたはそれらの混合物も、本発明で使用可能である。
【0050】
好ましいメタンスルホン酸金属塩は、亜鉛、銅、ニッケル、鉄(II)、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を含む塩である。
【0051】
この電解質は、効率のよい電池および電着方法に必要とされる溶液の導電率増加のため遊離酸も含むことができる。好ましい遊離酸は、金属塩陰イオンのような陰イオンを有するものであるが、酸類の混合物も本発明の適用範囲である。中でも、硫酸、塩酸、スルファミン酸、酢酸、プロピオン酸、ホスホン酸、酒石酸、シュウ酸、ホスホン酸および硝酸等の酸類は、本発明において使用することができる。
【0052】
遊離酸の濃度は、1リットル当たり約1g未満〜約900gで、より好ましくは、めっき溶液1リットル当たり約2〜約700gの濃度で、さらにより好ましくは、溶液1リットル当たり約10〜約500gの濃度で変動する。
【0053】
本発明は、添加された無機酸または有機酸が実質的にまたは完全に存在しないスルホネート溶液も含み、中性または塩基性(例えば、少なくとも約7〜約13未満のpH)もありうる。かかるスルホネート電解質組成物は、ここで開示された他の組成物と同様の成分を用いた同様の方法において適宜に調製される。ただし、添加された遊離スルホン酸は使用しない。
【0054】
本発明の電気化学スルホン酸溶液は、ハロゲン化物イオン源、特に、塩化物イオン源を用いることができる。他の適したハロゲン化物の例としては、フッ化物、臭化物およびヨウ化物を含む。(もしハロゲン化物イオンが使用されるならば)広範囲のハロゲン化物イオン濃度が、例えば、溶液中1リットル当たり約0g(ハロゲン化物イオンを使用しない場合)〜500g、より好ましくは、ハロゲン化物イオン源がスルホン酸溶液中1リットル当たり約10〜約400gで、適宜に利用されるであろう。
【0055】
金属塩に加えて、本発明の、酸性水溶液の電解質は、随意に、電着の業界において周知である様々な他の成分を含むことができる。これら成分は、抑制剤、促進剤、レベリング剤等の添加剤としてよく呼ばれるものである。抑制剤との組み合わせでの緩衝剤の使用は、特に促進剤または光沢剤が好ましく、特にめっきが困難な形状に関して非常にめっき性能を向上させた。
【0056】
緩衝剤は、本発明のスルホン酸とともに使用が可能である。電気分解の間、緩衝剤がpHを調整する。適した緩衝剤の例としては、クエン酸、酒石酸、酒石酸カリウムナトリウム、アミノ酸、シュウ酸、窒素含有カルボン酸およびホスホン酸等のモノカルボン酸、ジカルボン酸およびトリカルボン酸を含む。好ましくは、ホウ酸である。
【0057】
有用な光沢剤は、以下の式を含む:
【化3】

(ここで、上記の式において、Rは、随意としての置換アルキル基であり、好ましくは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基であり、より好ましくは、1〜4の炭素原子を有するアルキル基であり、;Arは、随意としての置換フェニルまたはナフチル等の随意としての置換アリール基;およびXは、アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム等の適した対イオンである。具体的な適する光沢剤としては、例えば、n,n−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)エステル;3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル;3−メルカプトプロピルスルホン酸(ナトリウム塩);3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(カリウム塩)含有炭酸−ジチオ−o−エチルエステル−s−エステル;ビススルホプロピルジスルフィド;3−(ベンゾチアゾリル−s−チオ)プロピルスルホン酸(ナトリウム塩);ピリジニウムプロピルスルホベタイン;1−ナトリウム−3−メルカプトプロパン−1−スルホネート;米国特許第3,778,357号に開示された、スルホアルキルスルフィド化合物;ジアルキルアミノ−チオキソ−メチル−チオアルカンスルホン酸の過酸化物の酸化生成物;および上記を組み合わせたもの、を含む。その他の適する光沢剤は、米国特許第3,770,598号、同4,374,709号、同4,376,685号、同4,555,315号および同4,673,469号においても記載されており、すべて本願に引用して援用する。本発明のめっき組成物での使用に、特に好ましい光沢剤は、n,n−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)エステルおよびビス−ナトリウム−スルホノプロピルジスルフィドである。)
【0058】
本発明で有用な界面活性剤は、例えば、エトキシ化アミン、ポリオキシアルキレンアミンおよびアルカノールアミン等のアミン類;アミド類;ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコールおよびポリオキシアルキレングリコール等のポリグリコール型湿潤剤;高分子量ポリエーテル;ポリエチレンオキシド(分子量100,000〜3,000,000);ポリオキシ−アルキレンのブロックコポリマー;アルキルポリエーテルスルホン酸塩;アルコキシルジアミン等の錯化された界面活性剤を含み、;本発明のめっき組成物にとって特に適した界面活性剤は、ポリエチレンコポリマーを含んだ市販のポリエチレングリコールコポリマーである。
【0059】
湿潤剤は、本発明のスルホン酸とともに使用することができる。この湿潤剤は、カチオン性、アニオン性、または非イオン性分子から選択される。
【0060】
本発明は、もし本発明のスルホン酸を電着またはスケール除去方法で使用するならば、特に、金属用の錯化剤を使用することもできる。適した錯化剤の例として、クエン酸、酒石酸、酒石酸カリウムナトリウム、アミノ酸、特にグリシン、シュウ酸、アルキルアミン、アルキルアルカノールアミン、EDTAおよびホスホン酸等の、モノカルボン酸、ジカルボン酸およびトリカルボン酸が含まれる。
【0061】
本発明の電気化学的方法は、室温未満〜高温で行うことができる。好ましくは、電気化学的方法は、使用時のプロセスにより約−20℃〜約95℃の間で使用される。
【0062】
スルホン酸溶液は、混濁していてもよく、または、好ましくは使用中に、空気噴霧器、加工品の物的移動、超音波放射、衝撃または他の適した方法を使用するなどして混合される。
【0063】
電気分解は、方法や電解質特性に依存し、好ましくは、0.1未満〜3000アンペア/平方フィート(ASF)で変動する電流密度で行われる。
【0064】
電気分解時間は、加工品の難しさや所望の仕上げに依存し、約1分未満〜少なくとも24時間以上と変動が可能である。
【0065】
本願記載の発明は、市販の金属またはポリマーコーティング効果的に製造するための、直流、パルスまたはPR電流の波形の使用をも含む。
【0066】
本願記載の発明は、可溶性もしくは不溶性または不活性の電極材に使用することができる。
【0067】
広範囲の種類の基板に、上述のように、本発明の組成物を用いた導電性ポリマーを、電気めっきやスケール除去または被覆することが可能である。本発明の組成物は、特に、小直径や低アスペクトのビアまたはスルーホールを有する回路基板材料、低アスペクト比のビアを有する集積回路、高アスペクト比のマイクロビアを有する集積回路および他の電子部品の形状などの、電気めっきの困難な加工物に有用である。本発明のめっき組成物は、特に、成形された半導体デバイス等の集積回路装置をめっきすることにも有用であろう。本発明のスルホン酸は、金属のスケール除去にも使用可能であろう。本発明のスルホン酸は、電池や他のエネルギー蓄積装置内や、導電性ポリマーを形成するために有機モノマーを重合させている間の電解質としても使用されるであろう。
【0068】
上記の本発明の記載は、単にそれらの実例に過ぎず、請求の範囲で説明したような発明の要旨を逸脱しない範囲で、変更や改良を行うことができるのは言うまでもない。
【実施例】
【0069】
例1
A. 高濃度のメタンチオスルホン酸メチル[MMTS、(CH3SO2SCH3)]を含む、市販の70%メタンスルホン酸(MSA)を、以下の手順により精製した。:
(1)12ppmを含む70%メタンスルホン酸250mlを500mlビーカーに入れた。
(2)30%過酸化水素溶液1.125gを加えて、MSAを華氏140度(60℃)で3時間加熱した。
(3)メタンスルホン酸溶液を室温に冷まして、MMTSを分析した。
【0070】
過酸化水素処理後のMMTSの濃度は、ガスクロマトグラフィー法によっては検出されなかった。精製後、水を加え、MSAを15%に希釈した。
【0071】
B. 例1Aにしたがって作製した15%メタンスルホン酸(MSA)試料を、純スズのアノードと、不溶性の酸化イリジウムを被覆したチタンのカソードとを使用して電解質とした。電気分解の間、スズは15%MSA中に溶解した。トリクロロメチルメチルスルホン(TCMS)を徐々に添加すると、電気化学セル上のヘッドスペースガスは、検出可能な程度の臭気を有した。TCMS約0.9ppmを添加後、臭気は顕著に表れた。
【0072】
例2
例1Aで作製した15%メタンスルホン酸(MSA)試料を、純スズのアノードと、不溶性の酸化イリジウムを被覆したチタンのカソードとを使用して電解質とした。
【0073】
電気分解の間、スズが15%MSA中に溶解した。メタンチオスルホン酸メチル(MMTS)を徐々に添加すると、電気化学セル上のヘッドスペースガスは、検出可能な程度の臭気を有した。MMTS約0.25ppmを添加後、臭気は顕著に表れた。MMTSは、クロマトグラフ法を用いて、まず電解セル中でジメチルジスルフィド(DMDS)分析を試みた。メチルメルカプタン(CH3SH)およびジメチルスルフィド(DMS)も、電気分解後、ともに臭気を有する不純物と認められた。
【0074】
例3
例1Aで作製した15%メタンスルホン酸(MSA)試料を、純スズのアノードと、不溶性の酸化イリジウムを被覆したチタンのカソードとを使用して電解質とした。
【0075】
電気分解の間、スズが15%MSA中に溶解した。メタンチオスルホン酸メチル(MMTS)を0.85ppmになるまで徐々に添加した。臭気が認められた。この溶液にトリクロロメチルスルホン(TCMS)1.0ppmを添加した。望ましくない臭気を生じる2つの不純物間における相互作用を示す、ひどい刺激臭が認められた。
【0076】
例4
例1Aで作製した15%メタンスルホン酸(MSA)試料を、純スズのアノードと、不溶性の酸化イリジウムを被覆したチタンのカソードとを使用して電解質とした。
【0077】
電気分解の間、スズが15%MSA中に溶解した。トリクロロメチルスルホン(TCMS)を添加して電気分解した後、ジメチルスルフィドおよびジメチルジスルフィドを含んだ電解セル中のMSAは、望ましくない臭気を生じた。
【0078】
例5
例1Aで作製した15%メタンスルホン酸(MSA)試料を、純スズのアノードと、不溶性の酸化イリジウムを被覆したチタンのカソードとを使用して電解質とした。
【0079】
電気分解の間、スズが15%MSA中に溶解した。電気分解の後、MSAは望ましくない低原子価の硫黄化合物を含んでいなかった。MMTS 1ppmをMSAに添加して同様の研究を行った。電気分解の後に臭気が認められ、分析により、ジメチルスルフィド、メチルスルフィド、ジメチルジスルフィドおよびジメチルトリスルフィドがMSA中に存在したことが示された。
【0080】
例6
2つのメタンスルホン酸(MSA)の純度を試験した。
【0081】
一方は、市販の70%MSAであり、;もう一方は、例1の手順(希釈しなかったことは除く)により作製した本発明の70%MSAであった。
【0082】
各組成物における不純物とその量は以下のとおりである:
【表1】

【0083】
亜鉛メタンスルホネート溶液は、上記のように、70%メタンスルホン酸中で、亜鉛炭酸を溶解することにより調製した。亜鉛イオン終末濃度は、65g/Lであった。不純物を含む70%MSA中で亜鉛を溶解している間は、刺激臭が認められたが、一方、純粋な70%MSAを用いて調製された亜鉛溶液では有意な臭気は発しなかった。さらに、それぞれの亜鉛メタンスルホネート溶液に1モルの遊離MSAを添加した。この70%MSAは亜鉛電解質の調製に用いたものと同じである。各溶液での亜鉛の電着は、60アンペア/平方フィート(ASF)できれいな鋼板上に起こった。純粋な70%MSA電解質から被覆した亜鉛被覆物は、つやのない灰色で均一であった。一方、不純物を有する70%亜鉛溶液から被覆した亜鉛被覆物は、黒ずみ粗くなって市場には受け入れられない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホン酸と、低濃度の低原子価硫黄(II)化合物および硫黄(IV)化合物並びに還元されやすい高原子価硫黄(VI)化合物とを含む、電気化学的方法において使用するための水溶液。
【請求項2】
前記低原子価硫黄(II)化合物および硫黄(IV)化合物並びに高原子価硫黄(VI)化合物が、ジメチルジスルフィド、ジメチルスルフィド、ジメチルスルホン、トリクロロメチルメチルスルホン、ジクロロメチルメチルスルホン、メタンチオスルホン酸メチル、及びメタンスルホン酸メチルである請求項1の水溶液。
【請求項3】
電着、電池、導電性ポリマー及びスケール除去方法における使用のための請求項1の水溶液。
【請求項4】
還元された硫黄(IV)化合物の総量が50mg/L未満である請求項1の水溶液。
【請求項5】
還元された硫黄(II)化合物の濃度が50mg/L未満である請求項1の水溶液。
【請求項6】
前記スルホン酸が、アルキルモノスルホン酸、アルキルポリスルホン酸、アリールモノスルホン酸またはアリールポリスルホン酸から誘導された請求項1の水溶液。
【請求項7】
前記スルホン酸が以下のものである請求項1の水溶液:
【化1】

(ここで、a+b+c+y=4であり、R、R’及びR”は、同一または異なるものであり、それぞれ独立して、水素、フェニル、Cl、F、Br、I、CF3または低級C1-9アルキル基(これは非置換であってもよく、酸素、Cl、F、Br、I、CF3または−SO2OHにより置換されていてもよい)である。)。
【請求項8】
前記スルホン酸が、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、メタンジスルホン酸、モノクロロメタンジスルホン酸、ジクロロメタンジスルホン酸、1,1−エタンジスルホン酸、2−クロロ−1,1−エタンジスルホン酸、1,2−ジクロロ−1,1−エタンジスルホン酸、1,1−プロパンジスルホン酸、3−クロロ−1,1−プロパンジスルホン酸、1,2−エチレンジスルホン酸、1,3−プロピレンジスルホン酸、トリフルオルメタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、フェニルスルホン酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸またはそれらの混合物である請求項7の水溶液。
【請求項9】
前記スルホン酸が遊離アルカンスルホン酸であり、1〜1480g/Lの濃度範囲を有する請求項7の水溶液。
【請求項10】
前記遊離アルカンスルホン酸の濃度が、溶液1リットル当たり約10〜約700gである請求項9の水溶液。
【請求項11】
前記遊離アルカンスルホン酸の濃度が、溶液1リットル当たり約30〜約500gである請求項9の水溶液。
【請求項12】
pHが−2〜13である、請求項1の水溶液。
【請求項13】
前記酸が、スルホン酸と、他の無機または有機酸との混合物である請求項1の水溶液。
【請求項14】
スルホン酸金属塩または他の金属塩および遊離スルホン酸を含み、電着、電池、導電性ポリマーまたはスケール除去方法においての使用を目的とした請求項1の水溶液。
【請求項15】
前記金属塩が、下記式のアルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸として導入された請求項14の水溶液:
【化2】

(ここで、a+b+c+y=4であり、Mは、周期表の1B、2B、3A、3B、4A、4B、5A、5B、6B、7B、8B族、ランタノイドもしくはアクチノイド金属の中の金属、およびアンモニウムイオンまたはそれらの混合物から選択され、R、R’及びR”は、同一または異なるものであり、それぞれ独立して、水素、フェニル、Cl、F、Br、I、CF3またはC1-23アルキル基(これは非置換であってもよく、酸素、Cl、F、Br、I、CF3または−SO2OHにより置換されていてもよい)である。)。
【請求項16】
金属塩の陰イオン部分のスルホン酸および遊離スルホン酸が、下記式のアルキルスルホン酸として導入されたものである請求項14の水溶液:
【化3】

(ここで、a+b+c+y=4であり、
R、R’及びR”は、同一または異なるものであり、それぞれ独立して、水素、フェニル、Cl、F、Br、I、CF3またはC1-23アルキル基(これは非置換であってもよく、酸素、Cl、F、Br、I、CF3または−SO2OHにより置換されていてもよい)である。)。
【請求項17】
前記金属塩が、水溶液1リットル当たり約1〜約600gの濃度で使用される請求項14の水溶液。
【請求項18】
前記スルホン酸が、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはそれらの混合物である請求項14の水溶液。
【請求項19】
前記スルホン酸金属塩または他の金属塩の金属が、周期表の1B、2B、3A、3B、4A、4B、5A、5B、6B、7B、8B族、ランタノイドもしくはアクチノイド金属の中の金属、およびアンモニウムイオンまたはそれらの混合物から選択される請求項14の水溶液。
【請求項20】
前記スルホン酸金属塩がメタンスルホン酸亜鉛である請求項14の水溶液。
【請求項21】
前記スルホン酸金属塩がメタンスルホン酸銅である請求項14の水溶液。
【請求項22】
前記スルホン酸金属塩がメタンスルホン酸ニッケルである請求項14の水溶液。
【請求項23】
前記スルホン酸金属塩がメタンスルホン酸鉄(II)である請求項14の水溶液。
【請求項24】
前記スルホン酸金属塩がアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩である請求項14の水溶液。
【請求項25】
前記スルホン酸塩または他の金属塩が、周期表の1B、2B、3A、3B、4A、4B、5A、5B、6B、7B、8B族、ランタノイドおよびアクチノイド金属の中の金属、ならびにアンモニウムイオンから選択される、金属のスルホン酸塩の混合物として提供される請求項14の水溶液。
【請求項26】
前記水溶液のpH調整のために緩衝剤が加えられた請求項1の水溶液。
【請求項27】
前記緩衝剤がホウ酸である請求項26の水溶液。
【請求項28】
アニリンまたは置換アニリンまたはピロールから選択される有機モノマーを含む請求項1の水溶液。
【請求項29】
遊離のアルカンスルホン酸に、低原子価硫黄分子の原子価を高めるのに充分な酸化剤を添加し、
このスルホン酸を25℃〜約95℃の範囲の温度において低原子価硫黄分子の原子価を高めるのに充分な時間混合し、
随意にこのアルカンスルホン酸を高温に加熱して残留酸化剤を除去し、
そして随意に活性炭粉末を添加して残留不純物を除去する
ことによって遊離のアルカンスルホン酸を処理して低原子価硫黄を除去する、高純度アルカンスルホン酸の調製方法。
【請求項30】
前記酸化剤が、過酸化水素、硝酸、過マンガン酸塩、アノード電流、モノペルオキシ硫酸塩、塩素水溶液、カルボン酸溶液中のハロゲンから選択される請求項29の方法。
【請求項31】
請求項1に記載の水溶液中に1g/L〜500g/Lの範囲の金属イオン濃度をもたらすのに充分な純金属、金属炭酸塩、金属酸化物またはその他の金属塩を溶解させることによる、スルホン酸金属塩溶液の製造方法。
【請求項32】
基板上に金属または合金を電気めっきするため溶液中に電流を通すことを含む、請求項14の水溶液からの金属析出方法。
【請求項33】
前記基板が、半導体デバイス、プリント回路基板、不活性電極、鋼、銅もしくは銅−合金、ニッケルもしくはニッケル−合金、コバルトもしくはコバルト合金、耐火性金属もしくは酸化物、炭素または有機基材である請求項32の方法。
【請求項34】
前記スルホン酸がメタンスルホン酸である請求項32の方法。
【請求項35】
前記水溶液が、スルホン酸と、他の無機または有機酸との混合物を含む請求項32の方法。
【請求項36】
電流が、直流、パルス電流またはPR電流である請求項32の方法。
【請求項37】
可溶性または不溶性もしくは不活性なアノードに使用される請求項32の方法。
【請求項38】
前記金属スルホン酸電解質の温度が、0℃〜95℃である請求項32の方法。
【請求項39】
前記金属が、純金属または合金であり、1B、2B、3A、3B、4A、4B、5A、5B、6B、7B、8B族、ランタノイドもしくはアクチノイド金属の中の金属またはそれらの合金から選択される請求項32の方法。
【請求項40】
スケール層を表面に有する金属部材を請求項6の水溶液中に浸積させ、スケール層を除去するため溶液中に電流を通すこと、を含む金属部材のスケール除去方法。
【請求項41】
前記金属部材が、半導体デバイス、プリント回路基板、不活性電極、鋼、銅もしくは銅−合金、ニッケルもしくはニッケル−合金、コバルトもしくはコバルト合金、耐火性金属もしくは酸化物、炭素または有機基材である請求項40の方法。
【請求項42】
前記酸がメタンスルホン酸である請求項40の方法。
【請求項43】
前記水溶液は、スルホン酸と、他の無機または有機酸の混合物とを含む請求項40の方法。
【請求項44】
電流が、直流、パルス電流またはPR電流である請求項40の方法。
【請求項45】
可溶性また不溶性もしくは不活性な電極が使用される請求項40の方法。

【公表番号】特表2006−529005(P2006−529005A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532471(P2006−532471)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/012887
【国際公開番号】WO2004/101860
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】