説明

高純度テキサフィリン金属錯体

【課題】高純度のテキサフィリン金属錯体、該錯体の作製方法、ならびに癌およびアテローム性動脈硬化症が含まれる疾患等を治療するための該錯体使用方法の提供。
【解決手段】下記抗癌活性を有するテキサフィリン金属錯体。


(式中、MはGd+3等の3価金属陽イオン、Xは、OH等、R〜Rは、独立して、H、OH等、R、Rは、独立して、HまたはC〜Cアルキル、Xは、独立に2〜6より選択される。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
高純度のテキサフィリン金属錯体、このような錯体の作製方法、ならびに疾患、障害、
および容態(癌およびアテローム性動脈硬化症が含まれる)を治療するためのこのような
高純度のテキサフィリン金属錯体の使用を本明細書中に開示する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
癌は、現代社会における深刻な脅威である。世界的に見て、年間1000万人超が癌と
診断され、この数は、2020年までに毎年新たに1500万人に増加すると見積もられ
ている。年間600万人の死因が癌であり、すなわち、全世界の12%が癌で死亡してい
る。現在の治療法の選択肢は、しばしば制限されるが、広範な選択肢がある。米国で年間
120万人の新たに癌と診断された患者のうち、約50%が初期疾患管理の一部として放
射線療法を使用して治療されている。米国で約150,000人のさらなる再発性癌患者
が毎年放射線療法を受け得る。米国で年間約350,000人の癌患者が化学療法を受け
ている。
【0003】
高レベルの循環コレステロールは、アテローム性動脈硬化症に関連し、それにより、心
臓および脳への血管の生命にかかわる閉塞を引き起こし得る。不安定アンギナ、心筋梗塞
(心臓発作)、および虚血性突然死は、依然として先進国における罹患率および死亡率の
主な原因である。現在の概算では、米国で毎年110万人が新規または再発性の冠状動脈
性発作(coronary attack)を発症し、これらの患者の45%超が冠状動
脈性発作によって死亡し得る。
【0004】
テキサフィリンは、いくつかの金属原子のうちの1つを含む環状の化学構造を有する小
分子である。テキサフィリン分子の物理的および化学的特徴は、環の性質および環に挿入
された金属原子の型によって決定される。テキサフィリンを、血管内の腫瘍細胞およびア
テローム硬化性プラークなどの罹患組織中に選択的に集中するようにデザインする。罹患
細胞内で、テキサフィリンは、細胞代謝における重要段階を遮断し、生体エネルギープロ
セスを破壊する。テキサフィリンを、広範な疾患に対して有益な治療アプローチが得られ
るようにデザインする。これらを、種々の疾患(癌、アテローム性動脈硬化症および心血
管疾患、場合によっては、神経変性疾患、炎症性疾患、およびHIV/AIDSが含まれ
る)の治療のために使用することができる。
【発明の概要】
【0005】
(発明の概要)
テキサフィリン錯体上の置換基の同一性がサンプル中の全てのテキサフィリン錯体上の
置換基と少なくとも約98%同一である高純度のテキサフィリン金属錯体を含む組成物を
本明細書中に開示する。高純度のテキサフィリン錯体の高純度の合成前駆体を含む組成物
も本明細書中に開示する。このような高純度のテキサフィリン金属錯体およびこのような
高純度の前駆体を合成する方法も本明細書中に開示する。芳香族部分上のポリ(エチレン
グリコール)置換基の同一性がサンプル中の全芳香族部分上の置換基と少なくとも約98
%同一である芳香族部分のペグ化方法も本明細書中に開示する。このような高純度のテキ
サフィリン金属錯体を含む薬学的組成物も本明細書中に開示する。有効量のこのような高
純度のテキサフィリン金属錯体を患者に投与する工程を含む、ヒト患者における障害、疾
患、または病体を治療する方法も本明細書中に開示する。
【0006】
本明細書中に開示する第1の態様は、式1:
【0007】
【化1】

(式中、
Mは、Gd+3およびLu+3からなる群から選択される3価の金属陽イオンであり、各
Xは、OH、AcO、Cl、Br、I、F、HPO、ClO、Cl
、ClO、ClO、HCO、HSO、NO、N、CN
、SCN、およびOCNからなる群から独立して選択され、R、R、R、R
、R、およびRは、独立して、H、OH、C(2n+1)、またはOC
(2n+1)であり、R、Rは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり
、ここで、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、少な
くとも1つのヒドロキシル置換基を有するC(2n+1)またはOC(2n
+1)であり、nは、1〜11の正の整数であり、yは0またはn以下の正の整数で
あり、各xは、2、3、4、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物
を含む高純度の組成物であって、ここで、前記組成物中の式1の化合物の少なくとも約9
8.4%が同一の構造を有する、高純度の化合物である。1つの実施形態では、MはGd
+3である。1つの実施形態では、RおよびRはCOHであり、RおよびR
はCであり、RおよびRはCHであり、RおよびRはHである。1つ
の実施形態では、各xは3である。1つの実施形態では、各XはAcOである。別の実
施形態では、MはLu+3である。1つの実施形態では、RおよびRはCOH
であり、RおよびRはCであり、RおよびRはCHであり、Rおよび
はHである。1つの実施形態では、各xは3である。1つの実施形態では、各XはA
cOである。さらなる実施形態または別の実施形態では、各Xは、糖誘導体、コレステ
ロール誘導体、PEG酸、有機酸、有機硫酸塩、有機リン酸塩、リン酸塩、または無機リ
ガンドからなる群から選択される。さらなる実施形態または別の実施形態では、Xは、グ
ルコン酸、グルクロン酸、コール酸、デオキシコール酸、メチルホスホン酸、フェニルホ
スホン酸、リン酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、3,6,9−トリオキソデ
カン酸、3,6−ジオキソヘプタン酸、2,5−ジオキソヘプタン酸、メチル吉草酸、グ
リコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマ
ル酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸
、3−フルオロ安息香酸、4−アミノ安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、およびp−トルエ
ン−スルホン酸からなる群から選択される酸に由来する。
【0008】
1つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.4%が同一の分子
量を有し、同一の分子量は、同位体変形物(isotopic variations)
が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.7%
が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態で
は、組成物中の式1の化合物の少なくとも約99%が同一の分子量を有し、同一の分子量
は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少なく
とも約99.3%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。
1つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.5%が同一の分子量
を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の
式1の化合物の少なくとも約98.7%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、組
成物中の式1の化合物の少なくとも約99%が同一の構造を有する。1つの実施形態では
、組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する。1つの実施
形態では、組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.5%が同一の構造を有する。
【0009】
本明細書中に開示する第2の態様は、式2:
【0010】
【化2】

(式中、R、R、R、R、R、およびRは、独立して、H、OH、C
2n+1)、またはOC(2n+1)であり、R、Rは、独立して、H
またはC〜Cアルキルであり、ここで、R、R、R、R、R、およびR
のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのヒドロキシル置換基を有するC(2n
+1)またはOC(2n+1)であり、nは、1〜11の正の整数であり、
yは0またはn以下の正の整数であり、各xは、2、3、4、5、および6からなる群か
ら独立して選択される)の化合物および許容可能なその酸付加塩を含む高純度の組成物で
あって、組成物中の式2の化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造を有する、高純
度の組成物である。1つの実施形態では、RおよびRはCOHであり、R
よびRはCであり、RおよびRはCHであり、RおよびRはHである
。1つの実施形態では、各xは3である。1つの実施形態では、許容可能な酸付加塩は、
塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、およびサリチル酸からなる群から選択される。1つの実施形態では、
許容可能な酸付加塩は、塩酸塩である。
【0011】
1つの実施形態では、組成物中の式2の化合物の少なくとも約98.4%が同一の分子
量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中
の式2の化合物の少なくとも約98.7%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位
体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式2の化合物の少なくとも約9
9%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形
態では、組成物中の式2の化合物の少なくとも約99.3%が同一の分子量を有し、同一
の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式2の化合物
の少なくとも約99.5%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除
される。1つの実施形態では、組成物中の式2の化合物の少なくとも約98.7%が同一
の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式2の化合物の少なくとも約99%が
同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式2の化合物の少なくとも約99
.3%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式2の化合物の少なくと
も約99.5%が同一の構造を有する。
【0012】
本明細書中に開示する第3の態様は、式4:
【0013】
【化3】

(式中、
およびRは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、各xは、2、3、4
、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物を含む高純度の組成物であ
って、組成物中の式4の化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造を有する、高純度
の組成物である。1つの実施形態では、RおよびRはHである。1つの実施形態では
、各xは3である。
【0014】
1つの実施形態では、組成物中の式4の化合物の少なくとも約98.4%が同一の分子
量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中
の式4の化合物の少なくとも約98.7%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位
体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式4の化合物の少なくとも約9
9%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形
態では、組成物中の式4の化合物の少なくとも約99.3%が同一の分子量を有し、同一
の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式4の化合物
の少なくとも約99.5%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除
される。1つの実施形態では、組成物中の式4の化合物の少なくとも約98.7%が同一
の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式4の化合物の少なくとも約99%が
同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式4の化合物の少なくとも約99
.3%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式4の化合物の少なくと
も約99.5%が同一の構造を有する。
【0015】
本明細書中に開示する第4の態様は、式5:
【0016】
【化4】

(式中、
およびRは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、各xは、2、3、4
、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物を含む高純度の組成物であ
って、組成物中の式5の化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造を有する、高純度
の組成物である。1つの実施形態では、RおよびRはHである。1つの実施形態では
、各xは3である。
【0017】
1つの実施形態では、組成物中の式5の化合物の少なくとも約98.4%が同一の分子
量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中
の式5の化合物の少なくとも約98.7%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位
体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式5の化合物の少なくとも約9
9%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形
態では、組成物中の式5の化合物の少なくとも約99.3%が同一の分子量を有し、同一
の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式5の化合物
の少なくとも約99.5%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除
される。1つの実施形態では、組成物中の式5の化合物の少なくとも約98.7%が同一
の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式5の化合物の少なくとも約99%が
同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式5の化合物の少なくとも約99
.3%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式5の化合物の少なくと
も約99.5%が同一の構造を有する。
【0018】
本明細書中に開示する第5の態様は、式4:
【0019】
【化5】

(式中、
およびRは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、各xは、2、3、4
、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物の精製サンプルを合成する
方法であって、精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造を
有し、以下の工程:
式5:
【0020】
【化6】

の化合物を約90%のHNOを含むAcOHと約0〜5℃で少なくとも30分間反応さ
せる工程と、精製サンプル中に形成された式4の化合物の少なくとも約98.4%が同一
の構造を有することを含む、方法である。1つの実施形態では、RおよびRはHであ
る。1つの実施形態では、各xは3である。
【0021】
1つの実施形態では、精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約98.4%が同一
の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、精
製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約98.7%が同一の分子量を有し、同一の分
子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、精製サンプル中の式4の化合
物の少なくとも約99%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除さ
れる。1つの実施形態では、精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約99.3%が
同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では
、精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約99.5%が同一の分子量を有し、同一
の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、精製サンプル中の式4の
化合物の少なくとも約98.7%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、精製サン
プル中の式4の化合物の少なくとも約99%が同一の構造を有する。1つの実施形態では
、精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する。1つ
の実施形態では、精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約99.5%が同一の構造
を有する。
【0022】
本明細書中に開示する第6の態様は、式5:
【0023】
【化7】

(式中、
およびRは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、各xは、2、3、4
、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物の精製サンプルを合成する
方法であって、精製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造を
有し、以下の工程:
式7:
【0024】
【化8】

のトシル化化合物を、式6:
【0025】
【化9】

のo−ジヒドロキシベンゼンとKeCOおよび非プロトン性溶媒の存在下で反応させる
工程と、混合物を約65℃で約24時間加熱する工程を含み、精製サンプル中に形成され
た式5の化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造を有する、方法である。さらなる
実施形態または別の実施形態では、混合物を、非プロトン性溶媒の還流温度で加熱する。
【0026】
1つの実施形態では、非プロトン性溶媒は、アルデヒド、ケトン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、
酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、二酸化硫黄、テトラ
ヒドロフラン、およびヘキサメチルホスホルアミドからなる群から選択される。1つの実
施形態では、非プロトン性溶媒はテトラヒドロフランである。さらなる実施形態または別
の実施形態では、RおよびRはHである。1つの実施形態では、各xは3であり、さ
らに、非プロトン性溶媒はテトラヒドロフランである。
【0027】
1つの実施形態では、精製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約98.4%が同一
の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、精
製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約98.7%が同一の分子量を有し、同一の分
子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、精製サンプル中の式5の化合
物の少なくとも約99%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除さ
れる。1つの実施形態では、精製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約99.3%が
同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では
、精製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約99.5%が同一の分子量を有し、同一
の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、精製サンプル中の式5の
化合物の少なくとも約98.7%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、精製サン
プル中の式5の化合物の少なくとも約99%が同一の構造を有する。1つの実施形態では
、精製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する。1つ
の実施形態では、精製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約99.5%が同一の構造
を有する。
【0028】
本明細書中に開示する第7の態様は、式1の化合物および薬学的に許容可能なキャリア
を含む薬学的組成物であって、薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.4%
が同一の構造を有する、薬学的組成物である。1つの実施形態では、MはGd+3である
。1つの実施形態では、RおよびRはCOHであり、RおよびRはC
であり、RおよびRはCHであり、RおよびRはHである。1つの実施形態
では、各xは3である。1つの実施形態では、各XはAcOである。別の実施形態では
、MはLu+3である。さらなる実施形態では、RおよびRはCOHであり、
およびRはCであり、RおよびRはCHであり、RおよびRはH
である。さらなる実施形態では、各xは3である。さらなる実施形態では、各XはAcO
である。さらなる実施形態または別の実施形態では、各Xは、糖誘導体、コレステロー
ル誘導体、PEG酸、有機酸、有機硫酸塩、有機リン酸塩、リン酸塩、または無機リガン
ドからなる群から選択される。さらなる実施形態または別の実施形態では、Xは、グルコ
ン酸、グルクロン酸、コール酸、デオキシコール酸、メチルホスホン酸、フェニルホスホ
ン酸、リン酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、3,6,9−トリオキソデカン
酸、3,6−ジオキソヘプタン酸、2,5−ジオキソヘプタン酸、メチル吉草酸、グリコ
ール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸
、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸、3
−フルオロ安息香酸、4−アミノ安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、およびp−トルエン−
スルホン酸からなる群から選択される酸に由来する。
【0029】
1つの実施形態では、薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.4%が同一
の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、薬
学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.7%が同一の分子量を有し、同一の分
子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、薬学的組成物中の式1の化合
物の少なくとも約99%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除さ
れる。1つの実施形態では、薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が
同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では
、薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.5%が同一の分子量を有し、同一
の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、薬学的組成物中の式1の
化合物の少なくとも約98.7%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、薬学的組
成物中の式1の化合物の少なくとも約99%が同一の構造を有する。1つの実施形態では
、薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する。1つ
の実施形態では、薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.5%が同一の構造
を有する。1つの実施形態では、薬学的に許容可能なキャリアは、非経口投与に適切であ
る。
【0030】
本明細書中に開示する第8の態様は、有効量の式1の化合物、またはその薬学的に許容
可能な塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、アナログ、もしくはプロドラッグ
を含む精製組成物を必要とする被験体に投与する工程と、前記精製組成物中の式1の化合
物の少なくとも約98.4%が同一の分子量を有することを含む、癌の治療方法である。
1つの実施形態では、本方法は、さらに、手術、放射線療法、化学療法、遺伝子療法、免
疫療法、またはこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態では、癌は、膠芽細胞腫、リ
ンパ腫、白血病、腎細胞癌、頭頸部癌、乳癌、前立腺癌(prostrate canc
er)、卵巣癌、および肺癌からなる群から選択される。
【0031】
本明細書中に開示する第9の態様は、有効量の式1の化合物、またはその薬学的に許容
可能な塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、アナログ、もしくはプロドラッグ
を含む精製組成物を必要とする被験体に投与する工程と、精製組成物中の式1の化合物の
少なくとも約98.4%が同一の分子量を有することを含む、心血管疾患の治療方法であ
る。1つの実施形態では、心血管疾患は、冠状動脈疾患、大伏在静脈移植片疾患、および
末梢動脈疾患からなる群から選択される。さらなる実施形態では、MはLu+3であり、
被験体は、光力学療法をさらに受ける。1つの実施形態では、被験体が式1の化合物を投
与された後に光力学療法を受ける。別の実施形態では、約725nmと760nmとの間
の波長を有する光で標的領域を照射する。さらなる実施形態または別の実施形態では、各
Xは、糖誘導体、コレステロール誘導体、PEG酸、有機酸、有機硫酸塩、有機リン酸塩
、リン酸塩、または無機リガンドからなる群から選択される。さらなる実施形態または別
の実施形態では、Xは、グルコン酸、グルクロン酸、コール酸、デオキシコール酸、メチ
ルホスホン酸、フェニルホスホン酸、リン酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、
3,6,9−トリオキソデカン酸、3,6−ジオキソヘプタン酸、2,5−ジオキソヘプ
タン酸、メチル吉草酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コ
ハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、安息香酸、サリチル酸、3−フルオロ安息香酸、4−アミノ安息香酸、桂皮酸、マン
デル酸、およびp−トルエン−スルホン酸からなる群から選択される酸に由来する。
【0032】
上記第8および第9の態様の1つの実施形態では、MはGd+3である。1つの実施形
態では、RおよびRはCOHであり、RおよびRはCであり、R
およびRはCHであり、RおよびRはHである。1つの実施形態では、各xは3
である。1つの実施形態では、各XはAcOである。別の実施形態では、MはLu+3
である。さらなる実施形態では、RおよびRはCOHであり、RおよびR
はCであり、RおよびRはCHであり、RおよびRはHである。さらな
る実施形態では、各xは3である。さらなる実施形態では、各XはAcOである。さら
なる実施形態または別の実施形態では、各Xは、糖誘導体、コレステロール誘導体、PE
G酸、有機酸、有機硫酸塩、有機リン酸塩、リン酸塩、または無機リガンドからなる群か
ら選択される。さらなる実施形態または別の実施形態では、Xは、グルコン酸、グルクロ
ン酸、コール酸、デオキシコール酸、メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、リン酸、
ギ酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、3,6,9−トリオキソデカン酸、3,6−ジ
オキソヘプタン酸、2,5−ジオキソヘプタン酸、メチル吉草酸、グリコール酸、ピルビ
ン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエ
ン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸、3−フルオロ安息
香酸、4−アミノ安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、およびp−トルエン−スルホン酸から
なる群から選択される酸に由来する。
【0033】
上記第8および第9の態様の1つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少なくと
も約98.4%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1
つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.7%が同一の分子量を
有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式
1の化合物の少なくとも約99%が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物
が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%
が同一の分子量を有し、同一の分子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態で
は、組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.5%が同一の分子量を有し、同一の分
子量は、同位体変形物が排除される。1つの実施形態では、組成物中の式1の化合物の少
なくとも約98.7%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式1の化
合物の少なくとも約99%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物中の式1
の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する。1つの実施形態では、組成物
中の式1の化合物の少なくとも約99.5%が同一の構造を有する。
【0034】
本明細書中に記載される場合、用語「化学療法」は、種々の方法(静脈内、経口、筋肉
内、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、口腔内、吸入、または座剤の形態が含まれる)による
癌患者への1つまたは複数の抗癌薬および/または他の薬剤の投与をいう。
【0035】
本明細書中で記載される場合、用語「以前のプロセス(old process)」は
、Sesslerらの米国特許第5,994,535号(その全体が本明細書中で参考と
して援用される)に記載のプロセスをいう。
【0036】
用語「精製サンプル」または「精製組成物」は、特定の一般化学式を有する化合物の化
学構造(または分子量(同位体変形物を除く))の均一度が高い組成物をいう。すなわち
、組成物中の複数の化合物は、特定の一般化学式の種であり得るが、精製サンプルまたは
精製組成物中で、このような化合物が高い比率で同一の化学式(または分子量(同位体変
形物を除く))を有する。用語「高度」または「高比率」の値は、本明細書中で、例えば
、少なくとも約98.4%および少なくとも約98.7%などの特定の値と規定する。精
製サンプルまたは精製組成物には、他の化学物質(溶媒和物、塩、試薬、薬学的賦形剤、
およびさらなる治療薬などが含まれる)が含まれ得る。決定的な態様は、組成物が特定の
一般化学式(または分子量(同位体変形物を除く))を有する化合物、特に、式1、式2
、式3、式4、および式5の構造を有する化合物の化学構造(または分子量(同位体変形
物を除く))の均一度が高いことである。特定の精製組成物または精製サンプルの均一性
を、種々の分析方法(ほんの一例として、クロマトグラフィおよび分光学的方法および分
光測定法が含まれる)によって決定することができる。
【0037】
本明細書中で記載される場合、用語「非経口投与」は、消化管以外の手段による少なく
とも1つの薬剤の投与をいう。非経口投与経路は、身体の種々の区画(静脈内、皮下、筋
肉内、および腹腔内などであるが、これらに限定されない)への注入を含む。
【0038】
本明細書中で記載される場合、用語「薬学的有効量」または「有効量」は、無毒である
が、所望の生物学的、治療的、および/または予防的結果を得るのに十分な量をいう。所
望の結果には、疾患の徴候、症状、または原因の軽減および/または緩和、または生物系
の任意の他の所望の変化が含まれる。当業者は、任意の個々の場合の有効量を、日常的実
験を使用して決定することができる。
【0039】
本明細書中で記載される場合、用語「薬学的に許容可能な」または「薬理学的に許容可
能な」は、生物学的でないか、望ましくないわけではない材料を意味し得る(すなわち、
含まれる組成物の任意の成分にいかなる望ましくない生物学的影響を及ぼさないか、有害
な様式で相互作用することなく固体に材料を投与することができる)。
【0040】
本明細書中で記載される場合、用語「光力学療法」は、光源を光感作薬(光によって活
性化される薬物)と組み合わせた治療をいう。
【0041】
本明細書中で記載される場合、用語「放射線療法」は、患者を高エネルギー照射(x線
、γ線、および中性子が含まれるが、これらに限定されない)に曝露することをいう。治
療型には、遠隔照射療法、体内照射療法、インプラント照射、近接照射療法、全身照射療
法、および放射線療法が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「同一の分子量」は、同一の分子量を有する化合物
(同位体変形物および対イオンの同一性は除外する)をいう。すなわち、化合物の分子量
を、式中の全原子(しかし、対イオン(すなわち、式1中のX基)を除外する)の原子量
の加算によって決定する。特に、化合物は、この定義の目的上、構造中のHの代わりに
Hを有するので、別の化合物と分子量が異ならない(すなわち、同位体変形物は異なる
分子量を構成しない)。ほんの一例として、式1と同一の分子量を有する化合物は、同一
のM、R、R、R、R、R、R、R、およびR基を有し、n、y、およ
びxが同一の値であるが、X基の同一性が異なり得る。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「同一の構造」は、同一の化学構造を有する化合物
(同位体変形物および対イオンは除外する)をいう。ほんの一例として、式1と同一の構
造を有する化合物は、同一のM、R、R、R、R、R、R、R、およびR
基を有し、n、y、およびxが同一の値であるが、X基の同一性が異なり得る。
【0044】
本明細書中で記載される場合、用語「手術」は、治癒効果、矯正効果、または診断効果
を得るためにヒトまたは他の哺乳動物の身体に対する手または装置を使用した手による系
統的活動を含む任意の治療手順または診断手順をいう。
【0045】
本明細書中で記載される場合、用語「治療」およびその文法上の等価物は、治療上の利
点および/または予防上の利点を達成するか達成するように試みることをいう。治療上の
利点は、治療される基礎をなす障害の少なくとも一部の根絶または改善を意味する。例え
ば、癌患者では、治療上の利益には、基礎をなす癌の少なくとも一部の根絶または改善が
含まれる。また、治療上の利益には、患者が依然として基礎をなす障害を罹患し得るにも
かからず、患者に改善が認められるような基礎をなす障害に関連する1つまたは複数の生
理学的症状の少なくとも一部の根絶または改善が含まれる。予防上の利点について、容態
が診断されない場合でさえ、癌発症リスクのある患者またはこのような容態の1つまたは
複数の生理学的症状が報告されている患者に対して、本明細書中に開示の方法を実施する
か、本明細書中に開示の組成物を投与することができる。
【0046】
(参考としての援用)
他で記載されない限り、本明細書中に言及した全ての刊行物および特許出願は、個別の
刊行物または特許出願が具体的且つ個別に参考として援用されるように示されるのと同一
の範囲で本明細書中で参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本明細書中に記載のテキサフィリン金属錯体の例示的合成を概略的にまとめている。
【図2】図2は、以前のプロセスによって合成した式4の化合物の純度と本明細書中に開示の改良プロセスによるものとを比較した例示的クロマトグラムを示す。
【図3】図3は、以前のプロセスによって合成した式1の化合物の純度と本明細書中に開示の改良プロセスによるものとを比較した例示的クロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
(発明の詳細な説明)
テキサフィリン
Sesslerらは、米国特許第5,994,535号(その全体が本明細書中で参考
として援用される)で、730nm〜770nmの組織透過範囲で強く吸収する「テキサ
フィリン」の合成を報告している。この化合物は、その両方が遊離塩基形態で存在し、種
々の金属陽イオン(Cd2+、Hg2+、In3+、Y3+、Nd3+、Eu3+、Sm
3+、La3+、Lu3+、Gd3+など)およびランタノイド系列の他の陽イオンとの
錯体の形成を補助することができる。テキサフィリンは、癌およびアテローム性動脈硬化
症の治療で使用されている。
以前のプロセスによって合成されたテキサフィリンの組成物は、ポリエチレングリコー
ル鎖長で多分散系である(すなわち、以前のプロセスによって合成されたテキサフィリン
の組成物は、構造が異なるが共通の一般的化学構造を共有する複数の種を含んでいた)。
この構造の多様性は、少なくとも一部は、ポリエチレングリコール置換基の同一性が不均
一であることに由来する。結果として、高純度サンプル(すなわち、ポリエチレングリコ
ール鎖の多分散性が約1.6%未満である)は、治療で利用不可能であった。本明細書中
に開示の合成プロセスにより、高純度のテキサフィリン(すなわち、ポリエチレングリコ
ール鎖の多分散性が約1.6%未満である)の合成方法を得ることによって、この領域が
飛躍的に進歩する。
【0049】
サンプル中の純度の低さに関して多数の不都合(ほんの一例として、薬剤の有効濃度が
調製によって異なり得るような薬学的処方物中の溶解性の至適化が困難であること、薬物
の投薬量の至適化が困難であること、および処方物の安定化が困難であること)が存在す
る。本明細書中に開示の化合物の純度の改良により、このような溶解性、容量の至適化、
薬物の安定化の不都合が克服される。純度の改良により、さらに、低純度の薬学的処方物
に関連する副作用が減少し、測定した処方物の半減期が改良され、薬物ターゲティングが
改良され得る。
高純度のサンプルまたは組成物の代表的合成
本明細書中に記載の組成物および方法の範囲に制限されないが、テキサフィリン金属錯
体の代表的合成を、図1に示す。式8(各xは3である)の化合物を、式7の化合物にト
シル化する。式7のトシル化化合物を、KCOおよび非プロトン性溶媒の存在下で式
6のo−ジヒドロキシベンゼン誘導体で処理して、式5の化合物を得る。非プロトン性溶
媒を、ほんの一例として、アルデヒド、ケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド、ピリジン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、
酢酸ブチル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、二酸化硫黄、テトラヒドロフラン、およ
びヘキサメチルホスホルアミドなどからなる群から選択することができる。本明細書中に
開示の1つの実施形態では、溶媒はテトラヒドロフランである。
【0050】
式5の化合物を硝酸および酢酸の存在下でニトロ化し、式4の化合物を得る。このよう
にして、式4の構造を有する高純度のサンプルが得られ、高純度のサンプル中の式4の化
合物の少なくとも約98.4%は、同一の構造(および同一の分子量(同位体変形物が排
除される))を有する(すなわち、芳香族部分の両ポリエチレングリコール鎖長は、同一
鎖長を有する)。
【0051】
本明細書中に開示のいくつかの実施形態では、高純度のサンプル中の式4の化合物の少
なくとも約98.7%、99%、99.3%、または99.5%は、同一の構造(および
同一の分子量(同位体変形物が排除される))を有する(すなわち、芳香族部分の両ポリ
エチレングリコール鎖長は、同一鎖長を有する(一般式当たり同一の「x」値を含む))
。図2は、以前のプロセスによって合成された式4の化合物を含む組成物の純度と本明細
書中に開示のプロセスによるものとのクロマトグラムによる比較である。
【0052】
表1は、以前のプロセスおよび本明細書中に開示のプロセスによって作製された式4の
化合物を含む組成物の純度を比較している。
【0053】
(表1−式4の化合物を含む組成物の純度)
【0054】
【表1】

より高い純度の化合物は、式5の化合物の形成で使用した溶媒に起因し得る。式4の化
合物の構築中に、1つの特定の不純物が、以下に示す構造:
【0055】
【化10】

を有することがわかった。この不純物は、式8の化合物中に含まれるエチレングリコール
モノメチルエーテル量に基づいて予想される量よりも多い量で見出された。本明細書中に
記載の組成物および方法の範囲に制限されないが、この不純物が、以下:
【0056】
【化11】

に示す中間体Aを介した式7の化合物からの式5の化合物の合成の反応工程に由来すると
予想される。1,4−ジオキサン型分子Aは、トシレートに置換するためのエーテル酸素
の分子内攻撃によって形成される。式6のo−ジヒドロキシベンゼン誘導体は、Aと反応
して、式5の化合物または以下:
【0057】
【化12】

に示すモノエチレングリコール/トリエチレングリコール不純物(モノ/トリ)のいずれ
かを形成することができる。
【0058】
本明細書中に記載の組成物および方法の範囲に制限されないが、1,4−ジオキサン陽
イオンAを、以前のプロセスで使用したエタノール溶媒中で安定化することができると予
想される。本明細書中に開示の方法では、THFは、モノ/トリ不純物の形成を最小にす
る。表2は、異なる溶媒中で得られるモノ/トリ不純物の比率(%)を示す。エタノール
により、0.43%のモノ/トリ不純物が得られるのに対して、THFにより、0.08
%のモノ/トリ不純物が得られる。
【0059】
(表2−異なる溶媒中のモノ/トリ不純物の比較)
【0060】
【表2】

反応後の式4の化合物から式3aのフェニレンジアミンが得られ、これと式3bの化合
物との縮合によって高純度のサンプルが得られ、高純度のサンプル中の式2の構造を有す
る化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造(および同一の分子量(同位体変形物が
排除される))を有する(すなわち、芳香族部分の両ポリエチレングリコール鎖長は、同
一鎖長を有する)。本明細書中に開示のいくつかの実施形態では、高純度のサンプル中の
式2の化合物の少なくとも約98.7%、99%、99.3%、または99.5%は、同
一の構造(および同一の分子量(同位体変形物が排除される))を有する(すなわち、芳
香族部分の両ポリエチレングリコール鎖長は、同一鎖長を有する(一般式当たり同一の「
x」値を含む))。
【0061】
式2の化合物は、3価の金属陽イオン(M)と酸化的に錯体を形成して高純度のサンプ
ルが得られ、高純度のサンプル中の式1の構造を有する化合物の少なくとも約98.4%
が同一の構造(および同一の分子量(同位体変形物が排除される))を有する(すなわち
、芳香族部分の両ポリエチレングリコール鎖長は、同一鎖長を有する)。本明細書中に開
示のいくつかの実施形態では、高純度のサンプル中の式1の化合物の少なくとも約98.
7%、99%、99.3%、または99.5%は、同一の構造(および同一の分子量(同
位体変形物が排除される))を有する(すなわち、芳香族部分の両ポリエチレングリコー
ル鎖長は、同一鎖長を有する(一般式当たり同一の「x」値を含む)。適切なMには、ほ
んの一例として、Mn+3、Co+3、Ni+3、Y+3、In+3、Pr+3、Nd
、Sm+3、Eu+3、Gd+3,Tb+3、Dy+3、Er+3、Fe+3、Ho
、Ce+3、Tm+3、Yb+3、Lu+3、La+3、およびU+3が含まれ、Mの
さらなる例には、Mn+2、Co+2、Ni+2、およびFe+2などの2価の金属陽イ
オンが含まれる。本明細書中に開示のいくつかの実施形態では、3価の金属陽イオンは、
Gd+3またはLu+3である。表3は、以前のプロセスおよび本明細書中に開示のプロ
セスによって作製された式1の化合物サンプルの純度を比較している。以前のプロセスに
よって純度96.6%になるのに対して、本明細書中に開示のプロセスにより、純度が少
なくとも98.4%に改善する。図3は、以前のプロセスおよび本明細書中に開示のプロ
セスによって作製した式1の化合物を含む組成物の純度のクロマトグラムによる比較であ
る。
【0062】
(表3−式1の化合物を含む組成物の純度)
【0063】
【表3−1】

【0064】
【表3−2】

式3aと3bとの縮合工程では、分子のトリピロール部分の種々の置換基の導入を、置
換フェニレンジアミンとの縮合前の合成工程でのピロール環の3位および/または4位で
の適切な置換によって行うことができる。ベンゼン環の置換基を、ピロール環との縮合前
のベンゼン環における適切な置換によって得ることができる。
サンプルまたは組成物の純度を決定するための例示的方法
本明細書中に開示の組成物および方法の範囲に制限されないが、化合物の純度を決定す
るためのいくつかの方法を記載する。
【0065】
純度決定のために使用されることが意図されるクロマトグラフ法は、ほんの一例として
、分子サイズ排除クロマトグラフィ、未変性ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィ(
HPLC)、液体クロマトグラフィ(LC)、質量分析と組み合わせた液体クロマトグラ
フィ(LC/MS)、ガスクロマトグラフィ(GC)、質量分析と組み合わせたガスクロ
マトグラフィ(GC/MS)、超臨界分析クロマトグラフィ、ゲル浸透クロマトグラフィ
、イオン交換クロマトグラフィ、および逆相高速液体クロマトグラフィである。
【0066】
純度決定のために使用されることが意図される他の方法は、ほんの一例として、末端基
分析、蒸気圧オスモメトリー、凝固点降下法/沸点上昇法(ebulliometry)
(氷点降下/沸点上昇)、粘性解析、小角X線散乱、レーザー光線散乱、光吸収および光
散乱、超遠心分離法、場流動分画法、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間
(MALDI−TOF)質量分析、核磁気共鳴分析法、および結晶化である。
癌ターゲティング法
本明細書中に開示の組成物および方法の範囲に制限されないが、本方法を使用して、い
くつかの特定の癌または腫瘍を治療する。癌型(そのうちのいくつかは、範囲が重複し得
る)には、ほんの一例として、副腎皮質癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、
骨の癌、骨転移、成人CNS脳腫瘍、小児CNS脳転移、脳転移、乳癌、キャッスルマン
病、子宮頸癌、小児期非ホジキンリンパ腫、結腸癌および直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、
ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、眼球の癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間
質腫瘍、消化管絨毛性疾患、血液悪性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓癌、咽頭癌お
よび下咽頭癌、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、小児白血病、慢性リンパ球性
白血病、慢性骨髄性白血病、肝臓癌、肺癌、肺カルチノイド腫瘍、非ホジキンリンパ腫、
男性乳癌、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔癌および副鼻腔癌、鼻咽
喉癌、神経芽細胞腫、口腔癌および口腔咽頭癌、骨肉種、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂
体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(成人軟部組織癌)、黒
色腫皮膚癌、非黒色腫皮膚癌、胃癌、睾丸癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰
癌、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症が含まれる。1つの実施形態では
、癌は、転移性脳腫瘍、肺癌、膠芽細胞腫、リンパ腫、白血病、腎細胞癌(腎臓癌)、頭
頸部癌、乳癌、前立腺癌、および卵巣癌からなる群から選択される。
【0067】
式1の高純度の組成物の投与を含む肺癌を治療するための方法および組成物を本明細書
中に開示する。肺癌のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み合わせて患
者に施すことができる)には、ほんの一例として、手術、免疫療法、放射線療法、化学療
法、光力学療法、またはこれらの組み合わせが含まれる。肺癌治療のためのいくつかの可
能な外科的選択肢は、区域切除術または楔状切除術、肺葉切除術、または肺切除術である
。放射線療法は、遠隔照射療法または近接照射療法であり得る。
【0068】
式1の高純度の組成物の投与を含むCNS新生物を治療するための方法および組成物を
本明細書中に開示する。CNS新生物のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与
と組み合わせて患者に施すことができる)には、ほんの一例として、手術、放射線療法、
免疫療法、発熱療法、遺伝子療法、化学療法、および放射線療法と化学療法との組み合わ
せが含まれる。医師はまた、CNS内部の腫脹を軽減するためにステロイドを処方するこ
とができる。
【0069】
式1の高純度の組成物の投与を含む腎臓癌を治療するための方法を本明細書中に開示す
る。腎臓癌(腎細胞癌または腎腺癌とも呼ばれる)は、腎臓内の細管の内膜に悪性細胞が
認められる疾患である。腎臓癌のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み
合わせて患者に施すことができる)には、ほんの一例として、手術、放射線療法、化学療
法、および免疫療法が含まれる。腎臓癌治療のためのいくつかの可能な外科的選択肢は、
ほんの一例として、腎部分切除術、単純腎摘除術、および根治的腎摘除術が含まれる。放
射線療法は、遠隔照射療法または近接照射療法であり得る。幹細胞移植を使用して、腎臓
癌を治療することができる。
【0070】
1つの実施形態では、式1の高純度の組成物の投与を含むリンパ腫を治療するための方
法を本明細書中に開示する。リンパ腫のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与
と組み合わせて患者に施すことができる)には、ほんの一例として、化学療法、免疫療法
、放射線療法、および幹細胞移植と組み合わせた高用量化学療法が含まれる。放射線療法
は、遠隔照射療法または近接照射療法であり得る。
【0071】
式1の高純度の組成物の投与を含む乳癌を治療するための方法を本明細書中に開示する
。乳癌のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み合わせて患者に施すこと
ができる)には、ほんの一例として、手術、免疫療法、放射線療法、化学療法、内分泌療
法、またはこれらの組み合わせが含まれる。乳腺腫瘤摘出および乳房切除術は、乳癌患者
が利用可能な2つの可能な外科的手順である。
【0072】
式1の高純度の組成物の投与を含む卵巣癌を治療するための方法を本明細書中に開示す
る。卵巣癌のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み合わせて患者に施す
ことができる)には、ほんの一例として、手術、免疫療法、化学療法、ホルモン療法、放
射線療法、またはこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの可能な手術手順には、減量
、片側または両側の卵巣摘出術および/または片側または両側の卵管切除術が含まれる。
【0073】
式1の高純度の組成物の投与を含む子宮頸癌を治療するための方法を本明細書中に開示
する。子宮頸癌のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み合わせて患者に
施すことができる)には、ほんの一例として、手術、免疫療法、放射線療法、および化学
療法が含まれる。いくつかの可能な手術手順は、凍結手術、子宮摘出術、および広汎性子
宮全摘出術である。子宮頸癌患者のための放射線療法には、遠隔照射療法または近接照射
療法が含まれる。
【0074】
式1の高純度の組成物の投与を含む前立腺癌を治療するための方法を本明細書中に開示
する。前立腺癌のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み合わせて患者に
施すことができる)には、ほんの一例として、手術、免疫療法、放射線療法、凍結手術、
ホルモン療法、および化学療法が含まれる。前立腺癌を治療するための可能な手術手順に
は、ほんの一例として、広汎性恥骨後前立腺切除術、広汎性会陰前立腺切除術、および腹
腔鏡下前立腺全摘除術が含まれる。いくつかの放射線療法の選択肢は、遠隔照射療法(三
次元原体照射法が含まれる)、強度変調放射線療法、および原体プロトンビーム放射線療
法(conformal proton beam radiation therap
y)である。近接照射療法(種移植または組織内放射線療法)はまた、利用可能な前立腺
癌の治療方法。凍結手術は、局在した前立腺癌細胞を治療するために使用される別の可能
な方法である。アンドロゲン除去療法またはアンドロゲン抑制療法とも呼ばれるホルモン
療法を使用して、前立腺癌を治療することができる。この療法でいくつかの方法(アンド
ロゲンの90%が産生される睾丸を除去する精巣摘除術が含まれる)を利用可能である。
別の方法は、アンドロゲンレベルを低下させるための黄体形成ホルモン放出ホルモン(L
HRH)アナログの投与である。利用可能なLHRHアナログには、ロイプロリド、ナフ
ァレリン、ゴセレリン、トリプトレリン、およびヒストレリンが含まれる。アバレリクス
などのLHRHアンタゴニストを投与することもできる。体内のアンドロゲン活性を遮断
する抗アンドロゲン薬は、別の利用可能な療法である。このような薬剤には、フルタミド
、ビカルタミド、およびニルタミドが含まれる。この療法を、典型的には、LHRHアナ
ログ投与または精巣摘除術と組み合わせ、これを、複合アンドロゲン遮断(CAB)と呼
ぶ。前立腺腫瘍が前立腺外に拡大してホルモン療法が有効でない場合、化学療法は適切で
あり得る。抗癌薬を投与して、前立腺癌の成長を遅延させ、症状を軽減し、生活の質を改
善することができる。
【0075】
式1の高純度の組成物の投与を含む白血病を治療するための方法を本明細書中に開示す
る。白血病のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み合わせて患者に施す
ことができる)には、ほんの一例として、免疫療法、放射線療法、化学療法、骨髄移植、
または末梢血幹細胞移植が含まれる。放射線療法には、遠隔照射療法が含まれ、これには
、副作用が伴い得る。抗癌薬を化学療法で使用して、白血病を治療することができる。モ
ノクローナル抗体療法を使用して、AML患者を治療することができる。投与前に小分子
または放射性化学物質を患者に供して、体内の白血病細胞の死滅手段を得ることができる
。AML細胞上のCD33に結合するモノクローナル抗体であるゲムツズマブオゾガマイ
シンを使用して、事前の化学療法レジメンを許容できないAML患者を治療することがで
きる。骨髄移植または末梢血幹細胞移植を使用して、AML患者を治療することができる
。いくつかの可能な移植手順は、同種異系移植または自家移植である。
【0076】
式1の高純度の組成物の投与を含む頭頸部癌を治療するための方法を本明細書中に開示
する。頭頸部癌のための治療選択肢(式1の高純度の組成物の投与と組み合わせて患者に
施すことができる)には、ほんの一例として、手術、照射、化学療法、集学的治療、遺伝
子療法、これらの単独または組み合わせが含まれる。
心血管疾患の治療方法
心血管疾患の治療方法を本明細書中に開示する。心血管疾患は、以下の2つの主な構成
要素を有する:心臓(心)の疾患および血管(血管)の疾患。
冠状動脈疾患
これらは、血液を心筋に供給する動脈の疾患である。しばしばCADとして公知の冠状
動脈疾患は、先進工業国における心疾患の最も一般的な形態であり、他とは掛け離れた心
臓発作の主な原因である。冠状動脈疾患は、一般に、動脈を介した血流が正常に機能しな
いことを意味する。閉塞が発生する最も一般的な方法は、アテローム性動脈硬化症(おお
むね予防可能な血管疾患型)と呼ばれる容態による。これらの動脈(通常、内面は滑らか
である)は、脂肪塊、コレステロール、および他の物質でゆっくりと詰まるようになり得
る(アテローム硬化性プラークと呼ばれる)。結果として、心筋に向かう血液(酸素およ
び栄養素を含む)の供給が妨げられる(心筋虚血)。心筋の酸素要求が酸素供給を超えた
場合、冠状動脈が狭くなるので、胸痛(狭心症)を発症する。酸素供給の不均衡が数分を
超えて持続した場合、心筋は死滅し始め、心臓発作(心筋梗塞)を引き起こし得る。これ
は、特に糖尿病患者で無症状で起こり得る(無症候性心臓発作)。さらに、血液の欠如は
、短期間でさえ、不整脈または律動異常として公知の心拍リズムの重篤な障害を引き起こ
し得る。冠状動脈疾患は、いかなる事前の警告もなく不整脈によって突然死を引き起こし
得る。心臓発作は、例えば、鬱血性心不全を引き起こし得、これらの両容態は、心血管疾
患型である。他の心血管疾患は、ほんの一例として、心筋症、心臓弁膜症、心膜疾患、先
天性心疾患、および鬱血性心不全である。
【0077】
血管疾患には、ほんの一例として、高血圧、動脈瘤、閉塞性動脈疾患、脈管炎、静脈血
栓症が含まれる。
末梢動脈疾患(PAD)
PADでは、脂肪性沈着物が動脈壁の内面に蓄積する。これらの遮断物によって、主に
腎臓、胃、腕、脚、および足に至る動脈の血液循環が制限される。その初期段階では、共
通の症状は、活動中の脚および臀部の痙攣および疲労である。このような痙攣は、患者が
静止している場合に治まる。これを、「間欠性跛行症」という。PAD患者は、しばしば
、心臓および脳の動脈中に脂肪が蓄積される。この関連性により、PAD患者は、心臓発
作および卒中による死亡リスクがより高い。治療には、ほんの一例として、歩行距離の改
善を補助する薬物、抗血小板薬、およびコレステロール低下薬(スタチン)が含まれる。
血管形成術または手術が必要であり得る。
大伏在静脈移植片疾患
この用語は、バイパス移植片として使用した伏在静脈の一部の狭窄(局在化またはびま
ん性のいずれか)をいう。バイパス手術を受けた患者の連続追跡研究は、最大10%の静
脈移植片が退院時までに閉塞し、術後最初の年の年末までに20%に増加することを示し
た。経時的に、疾患の発症および進行が続き、その結果、10年後までに1年間で閉塞し
ない静脈移植片のたった1/3が有意に罹患しない。10年後までに約20%の患者が再
手術が必要になる。治療には、ほんの一例として、薬物療法、手術、および血管形成術が
含まれる。
【0078】
本明細書中に開示の方法は、式1の化合物または式1の化合物の投与と上記段落中に特
定した少なくとも1つの治療(ほんの一例として、手術、放射線療法、化学療法、移植療
法など含まれる)との組み合わせによって上記疾患を罹患した患者に有益な影響を与える
ことができる。本明細書中に開示の組成物と同時投与することができる療法の選択は、治
療を受ける容態に一部依存する。例えば、癌治療のために、式1の化合物を、放射線療法
、モノクローナル抗体療法、化学療法、骨髄移植、遺伝子療法、免疫療法、またはこれら
の組み合わせと組み合わせて使用することができる。別の例として、CADまたはPAD
の治療のために、式1の化合物を、手術、放射線療法、化学療法、または移植療法と組み
合わせて使用することができる。
処方物、投与経路、および有効用量
本明細書中に開示の別の態様は、式1の化合物および薬学的に許容可能な賦形剤を含む
薬学的組成物に関する。このような薬学的組成物を使用して、本明細書中に記載の方法に
おいて癌または心血管疾患を治療することができる。
【0079】
式1の化合物をプロドラッグとして提供し、そして/または投与後にin vivoで
式1の化合物に相互転換することができる。式1の化合物および/またはそのプロドラッ
グまたは薬学的に許容可能な塩を、本明細書中に開示の方法で使用するための処方物の開
発で使用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、化合物を、1つまたは複
数の他の化合物または1つまたは複数の他の形態と組み合わせて使用することができる。
式1の化合物を、同一の投薬形態(例えば、1つのクリーム、静脈内で適切な処方物、溶
液、座剤、錠剤、またはカプセル)で処方することができる。
【0080】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書中に開示の化合物の生物学的有効性および
性質を保持し、生物学的に、またはそれ以外で望ましくない塩を意味する。例えば、薬学
的に許容可能な塩は、癌治療において、本明細書中に開示の化合物の有利な有益な影響を
妨害しない。
【0081】
典型的な塩には、ほんの一例として、リン酸緩衝液などの適切な緩衝液中での式1の化
合物の混合または適切なイオン交換カラムへの式1の化合物の通過によって形成された塩
が含まれる。さらに、本明細書中に開示の化合物がカルボキシル基または他の酸性基を含
む場合、この化合物を、無機塩基または有機塩基との薬学的に許容可能な付加塩に変換す
ることができる。適切な塩基の例には、ほんの一例として、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、アンモニア、トロメタミン、メグルミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキ
シル−アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンが
含まれる。
【0082】
式1の高純度の組成物を、上記の参照として援用される患者および患者への適用に記載
の類似の有用性を有する薬剤の許容可能な任意の投与様式(直腸、口腔、鼻腔内、および
経皮経路、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、吸入、含
浸またはコーティングされたデバイス(例えば、ステント(すなわち、動脈挿入円筒形ポ
リマー)など)が含まれる)によって単回用量または複数回用量のいずれかで投与するこ
とができる。
【0083】
1つの投与様式は、非経口(例として、注射が含まれる)である。式1の高純度の組成
物を注射による投与のために組み込むことができる形態には、ゴマ油、トウモロコシ油、
綿実油、またはラッカセイ油との水性または油性懸濁液または乳濁液ならびにエリキシル
、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および類似の薬学的賦形剤が含ま
れる。生理食塩水も従来どおり注射に使用される。エタノール、グリセロール、プロピレ
ングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど(ならびにこれらの適切な混合物
)、シクロデキストリン誘導体、および植物油も使用することができる。例えば、レシチ
ンなどのコーティングの使用、分散液の場合の必要な粒子サイズの維持、および界面活性
剤の使用によって適切な流動性を保持することができる。種々の抗菌薬および抗真菌薬(
例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびチロメサールな
ど)によって、微生物作用を防止することができる。
【0084】
滅菌注射液を、必要に応じて、適切な溶媒中の必要量の式1の高純度の組成物に上に列
挙した種々の他の成分を組み込み、その後に滅菌濾過することによって調製する。一般に
、分散液を、塩基性分散媒および必要な上記列挙の他の成分を含む滅菌ビヒクル(veh
icle)へ種々の滅菌された式1の高純度の組成物を組み込むことによって調製する。
滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、その予め濾過滅菌した溶液から
式1の高純度の組成物および任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる真空乾燥技術お
よび凍結乾燥技術である。
【0085】
式1の高純度の組成物を、本開示を考慮して当業者に公知の手順を使用して、例えば、
拡散によって含浸させるか、例えば、ゲル形態などでステントにコーティングすることが
できる。
【0086】
経口投与は、式1の高純度の組成物の別の投与経路である。実施形態には、胃内での式
1の高純度の組成物の分解を防止するカプセルまたは腸溶性錠剤などを介した経口投与が
含まれる。少なくとも式1の高純度の組成物を含む薬学的組成物の作製では、有効成分を
、通常、賦形剤によって希釈し、そして/またはカプセル、サシェ、紙、または他の容器
の形態であり得るこのようなキャリア内に封入する。賦形剤が希釈剤としての役割を果た
す場合、賦形剤は、式1の高純度の組成物のビヒクル、キャリア、または媒質として作用
する固体、半固体、または液体の材料(上記)であり得る。したがって、組成物は、錠剤
、丸薬、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁液、乳濁液、溶液、シロッ
プ、エアゾール(固体または液体媒質として)、軟膏(例えば、式1の高純度の組成物の
10重量%までを含む)、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセル、滅菌注射液、
ならびに滅菌包装粉末の形態であり得る。
【0087】
適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビ
トール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ト
ラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン
、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが含まれる。処方物は、さら
に、以下を含み得る:潤滑剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱物油など)
、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、防腐剤(メチル−およびプロピルヒドロキシ−ベンゾエ
ートなど)、甘味剤、および香味物質。
【0088】
式1の高純度の組成物を、当該分野で公知の手順の使用による患者への投与後に式1の
高純度の組成物が迅速に、持続して、または遅延して放出されるように処方することがで
きる。経口投与のための制御放出薬物送達系には、ポリマーコーティングしたリザーバま
たは薬物−ポリマーマトリックス処方物を含む浸透ポンプ系および溶出系が含まれる。制
御放出系の例は、米国特許第3,845,770号、同第4,326,525号、同第4
,902,514号、および同第5,616,345号に記載されている。本明細書中に
記載の方法での使用のための別の処方物は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する
。このような経皮パッチを使用して、制御された量の式1の高純度の組成物を連続または
不連続に注入することができる(例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,9
92,445号、および同第5,001,139号を参照のこと)。このようなパッチを
、医薬品(pharmaceutical agent)の連続的、拍動的、または必要
に応じた送達のために構築することができる。
【0089】
組成物を、任意選択的に、単位投薬形態で処方する。用語「単位投薬形態」は、ヒト被
験体および他の哺乳動物の単回投薬物として適切な物理的に個別の単位をいい、各単位は
、適切な薬学的賦形剤(例えば、錠剤、カプセル、アンプル)と組み合わせた所望の治療
効果が得られるように計算された所定量の活性物質(active material)
を含む。式1の高純度の組成物は、広い投薬量範囲にわたって有効であり、一般に、薬学
的有効量で投与される。経口投与のために、各投薬単位は、10mg〜2gの式1の高純
度の組成物を含み、非経口投与については、10〜700mg(約350mgが含まれる
)の式1の高純度の組成物を含む。実際に投与される化合物の量を、関連する状況(治療
される容態、選択した投与経路、実際に投与した化合物およびその相対活性、患者の年齢
、体重、および反応性、および患者の症状の重症度などが含まれる)を考慮して、医師が
決定する。
【0090】
錠剤などの固体組成物の調製のために、式1の高純度の組成物を薬学的賦形剤と混合し
て、式1の高純度の組成物の均一な混合物を含む固体処方物を形成する。これらの予備処
方組成物が均一であるという場合、有効成分が組成物全体に均一に分散され、その結果、
組成物を容易に等しく有効な単位投薬形態(錠剤、丸薬、およびカプセルなど)に再分割
することができることを意味する。
【0091】
本明細書中に記載の錠剤または丸薬を、コーティングするか、そうでなければ調合して
、作用が延長されるという利点が得られる投薬形態を得るか、胃の酸性条件から防御する
ことができる。例えば、錠剤または丸薬は、内側の調剤成分および外側の調剤成分を含み
得、後者は、前者の全体を覆った外皮の形態である。2つの成分を、胃内での崩壊に耐え
、内側の成分を十二指腸にインタクトなまま通過させるか、放出を遅延させることができ
る腸溶層によって分離することができる。種々の材料を、このような腸溶層またはコーテ
ィングのために使用することができる。このような材料には、多数の高分子酸および高分
子酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物を含
む。
【0092】
吸入または吹送のための組成物は、薬学的に許容可能な水性溶媒または有機溶媒または
その混合物を含む溶液および懸濁液ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、本明
細書中に記載の適切な薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。局所的効果または全身的効
果を得るために、このような組成物を、経口または鼻呼吸器経路によって投与する。不活
性ガスの使用によって、組成物を含む薬学的に許容可能な溶媒を、噴霧することができる
。噴霧溶液を、噴霧デバイスから直接吸入することができるか、噴霧デバイスを、フェイ
スマスクテントまたは間欠的陽圧呼吸器に取り付けることができる。溶液、懸濁液、また
は粉末の組成物を、適切な様式で処方物を送達させるデバイスから経口または鼻腔内に投
与することができる。
【0093】
特定の用量は、選択された式1の特に高純度の組成物、従うべき投与レジメン、および
特定の治療エネルギー(thrapeutic energy)、または投与される薬剤
に応じて変化し、約0.01mg/kg/治療〜約100mg/kg/治療、好ましくは
約0.1mg/kg/治療〜約50mg/kg/治療の範囲内の投薬量を使用する。溶解
性、親油性、低毒性、および安定性の改良などの広範な利用可能な性質により、選択され
た先端リガンド(apical ligand)に応じて最も有効な用量が特異的に異な
る。
光力学療法の実施
例として、テキサフィリン中に金属としてルテチウムを有する式1の高純度の組成物を
、溶液中(任意選択的に、5%マンニトールUSP)に投与することができる。約1.0
〜2.0mg/kg〜約4.0〜7.0mg/kg(3.0mg/kgが含まれる)の投
薬量を使用するが、いくつかの場合、最大耐量はより高く、例えば、約5mg/kgであ
り得る。テキサフィリンを、静脈内注射によって投与し、その後に最短で数分または約3
時間から最長で約72時間または96時間まで(行われる治療に依存する)待機して、光
照射前に細胞内取り込みおよび血漿および細胞外マトリックスからのクリアランスを促進
する。
【0094】
一定の用途のための服用レベルは、単回用量または複数回投与(例えば、各光照射前)
における約0.05mg/kg〜約20mg/kgの範囲であり得る。例えば、動脈内注
射または含浸ステントに、より低い投薬量範囲を適用可能であろう。
【0095】
式1の高純度の組成物と光治療との間の時間の最適な長さを、投与形式、投与形態、お
よび標的組織の型に応じて変化させることができる。典型的には、式1の高純度の組成物
は、式1の高純度の組成物、処方、用量、注入速度、組織の型、および組織サイズに応じ
て、数分から数時間持続する。
【0096】
光力学療法を使用する場合、標的領域を、光(例えば、約740±16.5nm)で処
置する。式1の光感作高純度組成物を投与した後、治療組織を、式1の高純度の組成物の
吸光度に類似の波長(通常、約440nm〜540nm、約700〜800nm、約45
0〜520nm、約720〜780nm、約460nm〜500nm、または約725〜
760nm)で光照射する。光源は、レーザー、発光ダイオード、または、例えば、キセ
ノンランプ由来のフィルタリングした光であり得る。光を、局所的、内視鏡的、間質(例
えば、光ファイバーのプローブによる)、または動脈内に投与することができる。1つの
実施形態では、光を、細隙灯送達系を使用して投与する。光照射治療中のフルエンスおよ
び放射照度は、組織の型、標的組織の深さ、および重複する流体または血液の量に応じて
変化し得る。例えば、約100J/cmの総光エネルギーを、標的組織に応じて、20
0mW〜250mWの出力で送達させることができる。
化学療法薬の投与
式1の高純度の組成物を、1つまたは複数の化学療法薬の投与前、同時、または投与後
に投与することができる。式1の高純度の組成物を、単回用量として投与することができ
るか、時間的間隔によって複数回に分けて投与することができる。式1の高純度の組成物
を、化学療法薬の投与と同時、投与から約1分〜約12時間後、好ましくは、約5分〜約
5時間後、より好ましくは約4〜5時間後に投与することができる。投与プロトコールを
、例えば、1回〜3回繰り返すことができる。in vivoで首尾のよい時間枠は、化
学療法薬の投与から約5分〜約5時間後の式1の高純度の組成物の投与であり、このプロ
トコールを、1週間に1回、3週間にわたって行う。投与は、動脈内注射、静脈内、腹腔
内、筋肉内、皮下、経口、局所、またはステントなどのデバイスによる投与であり得る。
【0097】
被験体への式1の高純度の組成物および化学療法薬を、血管介入前、同時、血管介入後
に投与することができる。本方法を、血管介入(例えば、血管形成手順など)とおおよそ
同時に開始することができる。この手順の前、同時、または後に複数回または単回の治療
を使用することができる。「血管介入とほぼ同時」は、血管介入の効果の範囲内の期間を
いう。典型的には、式1の高純度の組成物および化学療法薬の初期投与は、血管介入の6
〜12時間以内、好ましくは介入後6時間以内である。1週間毎、2週間毎、または1ヶ
月毎に追跡投与を行うことができる。特定のプロトコールのデザインは、各被験体、被験
体の容態、投薬レベルのデザイン、および担当医の判断に依存する。
放射線感作のための投与
金属がガドリニウムである式1の高純度の組成物を、約2mMの式1の化合物を含む溶
液(任意選択的に、5%マンニトールUSP/水(滅菌非発熱物質溶液))中に投与する
ことができ、さらなる組成物または別の組成物において、溶液は、約2.2mMの式1の
化合物(本明細書中に記載の他の化合物に加えて)を含む。0.1mg/kgから約29
.0mg/kgの投薬量を送達させ、好ましくは、約3.0〜約15.0mg/kg(約
90〜450mLの体積)を使用することができる。任意選択的に、約6.0mg/kg
を超えて投与する場合、制吐薬を使用した前投薬と共に使用することができる。化合物を
、約5〜10分間にわたって静脈内注入を介して投与し、その後に、約2〜5時間待機し
て、照射前に細胞内取り込みおよび血漿および細胞外マトリックスからのクリアランスを
促進する。
【0098】
全脳放射線療法を使用する場合、10回からなる30Gyの一連の照射を、終末および
休日を除いて連日にわたって実施することができる。脳転移の治療では、60Co遠隔療
法またはアイソセンター技術、対向側方向電場を使用し、レンズがない(exclusi
on of the eyes)アイソセンター間距離が少なくとも80cmの≧4MV
線形加速装置を使用して、全脳メガボルト放射線療法を行う。中心軸上の脳内の中央平面
での最小線量率は、約0.5Gy/分である。
【0099】
照射感作薬として使用した式1の高純度の組成物を、電離放射線の照射前、同時、また
は照射後に投与することができる。式1の高純度の組成物を、注入物として単回用量で投
与することができるか、時間間隔によって分けた2回またはそれを超える用量で投与する
ことができる。式1の高純度の組成物を2つまたはそれを超えた用量で投与する場合、式
1の高純度の組成物の投与間隔は、1分〜数日、約5分〜約1日、または約10分〜約1
0時間であり得る。投与プロトコールを、例えば、1〜10回またはそれを超えて繰り返
すことができる。放射線感作のための投与レベルは、約0.05mg/kg〜約20mg
/kgの範囲であり得、これを、単回または複数回(例えば、各放射前)で投与する動脈
内注射または含浸ステントには、より低い投薬量範囲が好ましい。
【0100】
投与は、動脈内注射、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、経口、局所、またはステント(
例えば、動脈挿入円筒形ポリマー)などの含浸またはコーティングされたデバイスであり
得る。本明細書中に記載の治療方法の1つの態様では、再狭窄患者または再狭窄リスクの
ある患者に、各光照射毎に一定用量の式1の高純度の組成物を投与することができる。
【0101】
被験体への式1の高純度の組成物を、血管介入前、同時、血管介入後に投与することが
でき、介入後に光照射を行う。本方法を、例えば、血管介入の前(約24〜48時間前な
ど)またはおおよそ同時に開始することができる。この手順の前、同時、または後に複数
回または単回の治療を使用することができる。「血管介入とほぼ同時」は、血管介入の効
果の範囲内の期間をいう。典型的には、式1の高純度の組成物の初期投与は、血管介入の
1〜24時間以内、好ましくは介入後約5〜24時間以内である。1週間毎、2週間毎、
1ヶ月毎、またはそれより長い間隔で追跡投与を行うことができる。特定のプロトコール
のデザインは、各被験体、被験体の容態、投薬レベルのデザイン、および担当医の判断に
依存する。
音響力学療法
音響力学療法でのテキサフィリンの使用は、米国特許出願第09/111,148号に
記載されており、この出願は、米国特許仮出願第60/155,256号に変換され、2
001年1月5日に継続出願されたが(米国特許出願番号第09/755,824号)、
現在は放棄されている(本明細書中で参考として援用される)。テキサフィリンを、超音
波投与の前に投与する。テキサフィリンを、単回用量で投与することができるか、時間間
隔によって分けた2回またはそれを超える用量で投与することができる。非経口投与(静
脈内注射および動脈内注射が含まれる)が典型的である。他の一般的な投与経路も使用す
ることができる。
【0102】
電力増幅器によって駆動する集束アレイ振動子(focused array tra
nsducer)によって超音波を発生させる。振動子は、超音波出力の集束を変動する
ために直径および球面曲率を変化させることができる。市販の治療用超音波デバイスを、
このような方法の実施で使用することができる。持続時間および波の周波数(使用した波
の型が含まれる)を変化させることができ、好ましい治療持続時間を、担当医の判断の範
囲内で症例によって変化させる。進行波モードのパターンおよび定常波パターンの両方に
より、罹患組織が首尾よくキャビテーションした。進行波を使用した場合、第2高調波を
、基本波上に有利に重複させることができる。このような方法で使用した超音波の型は、
低強度の超音波、非熱的超音波(すなわち、約0.1MHzおよび5.0MHzの波長お
よび約3.0W/cmと5.0W/cmとの間の強度の範囲内で生成された超音波)
である。
【0103】
さらなる適用では、MがGd+3である式1の化合物を、活性酸素種が生成するほぼ生
理学的条件下で、NAD(P)H、アスコルビン酸塩、および他の還元剤と共に投与する
ことができる。これらの還元剤の枯渇により、in vivoで活性酸素種によって負わ
された損傷を修復するために還元剤が使用される生化学経路が阻害される。このような方
法を使用して、癌および心血管疾患を治療することができる。米国特許第6,825,1
86号(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。式1の化合物を
含む組成物がこれらの還元剤の酸化を触媒する能力は、組成物の純度が改善されるにつれ
て改善されると予想される。したがって、本明細書中に記載の高純度の組成物は、触媒的
有効性および治療的有効性が改善されると予想される。
【0104】
実施形態を本明細書中に示し、且つ説明しているが、このような実施形態は例示のみを
目的として提供していることが当業者に明らかである。当業者は、本発明を逸脱すること
なく、多数の変形形態、変更形態、および置換形態を直ちに実施するであろう。本明細書
中に記載の実施形態の種々の代替形態を本発明の実施で使用することができると理解すべ
きである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およ
びその等価物の範囲内の方法および構造が対象とされることが意図される。
【実施例】
【0105】
全ての溶媒および試薬は、試薬グレードの品質であり、市販されており、入荷時に使用
した。
【0106】
(実施例1)
式7の化合物(x=3)の合成
0〜10℃に維持しながら、式8の化合物(x=3;74g)のテトラヒドロフラン(
39g)溶液を、水酸化ナトリウム水溶液(25%、235g)に添加した(図1を参照
のこと)。温度をこの範囲内に維持することが重要である。0〜10℃で、p−トルエン
スルホニルクロリド(TsCl、78g)のテトラヒドロフラン(126g)溶液を、式
8の化合物に4時間にわたって添加した。反応混合物を、90分間まで撹拌し、0〜10
℃の希塩酸(33%、115g)の添加によって中和した。下の水層を破棄し、有機層を
、ブライン(24%、55ml)で2回洗浄した。得られた式7の化合物のテトラヒドロ
フラン溶液を、次の工程で直接使用する。
【0107】
(実施例2)
式5の化合物(x=3;R=R=H)の合成
o−ジヒドロキシベンゼン(25g)、炭酸カリウム(61g)、および式7の化合物
(x=3)の溶液を混合し、式7の化合物の残存率が0.5%以下になるまで(24〜4
8時間)還流した(図1を参照のこと)。反応混合物を濾過し、濾過ケーキをテトラヒド
ロフラン(92g)で2回洗浄した。合わせた濾過物を、110℃までの減圧下で濃縮し
た。残渣を冷却し、20〜30℃の水酸化ナトリウム水溶液(6.5%、315g)で処
理した。ジクロロメタン(106ml)を添加し、混合物を撹拌し、分離した。有機相を
、水(150ml)で洗浄し、100℃までの大気圧下で蒸留乾燥させた。残渣を、酢酸
(約60g)に溶解し、酢酸溶液として次の工程で使用した。
【0108】
(実施例3)
式4の化合物(x=3;R=R=H)の合成
式5の化合物5(x=3;R=R=H)の酢酸溶液を、0〜5℃の90%硝酸(5
80g)に添加した。反応物を、この温度で30〜60分間撹拌し、次いで、0〜10℃
の水(620ml)の添加によって反応を停止させた。反応混合物を、ジクロロメタン(
265ml、その後に130ml)で2回抽出し、合わせた有機相を、pH5.5〜8.
5の水酸化ナトリウム水溶液(5%、約360kg)で洗浄し、次いで、水(350ml
)で洗浄した。ジクロロメタンを減圧下で蒸留し、IPA(50g)と置換し、これも蒸
留して、50〜60℃でオイルとして式4の粗化合物が遊離された。式4の粗化合物を、
2〜6℃(臨界パラメータ)でIPA(600g)にゆっくり添加し、混合物を、この温
度で少なくとも1時間保持した。沈殿した式4の化合物を濾過し、冷IPAで洗浄した。
湿ったケーキを50〜60℃で融解し、結晶化手順を繰り返した。湿ったケーキを、減圧
下にて25℃で乾燥させた。
【0109】
【化13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

(式中、
Mは、Gd+3およびLu+3からなる群から選択される3価の金属陽イオンであり、各
Xは、OH、AcO、Cl、Br、I、F、HPO、ClO、Cl
、ClO、ClO、HCO、HSO、NO、N、CN
、SCN、およびOCNからなる群から独立して選択され、R、R、R、R
、R、およびRは、独立して、H、OH、C(2n+1)、またはOC
(2n+1)であり、R、Rは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり
、ここで、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、少な
くとも1つのヒドロキシル置換基を有するC(2n+1)またはOC(2n
+1)であり、
nは、1〜11の正の整数であり、yは0またはn以下の正の整数であり、各xは、2、
3、4、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物を含む高純度の組成
物であって、
ここで、前記組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.4%が同一の構造を有する、
高純度の組成物。
【請求項2】
前記MがGd+3である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記RおよびRがCOHであり、前記RおよびRがCであり、前記
およびRがCHであり、前記RおよびRがHである、請求項2に記載の組成
物。
【請求項4】
前記各xが3である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記各XがAcOである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記精製組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の分子量を有する、請
求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記精製組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する、請求
項1に記載の組成物。
【請求項8】
式4:
【化2】

(式中、
およびRは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、各xは、2、3、4
、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物の精製サンプルを合成する
方法であって、前記精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約99%が同一の構造を
有し、以下の工程:
式5:
【化3】

の化合物を約90%のHNOを含むAcOHと約0〜5℃で少なくとも30分間反応さ
せる工程を含み、ここで、前記精製サンプル中に形成された式4の化合物の少なくとも約
99%が同一の分子量を有する、方法。
【請求項9】
前記各xが3である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記精製サンプル中の式4の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する、請
求項8に記載の方法。
【請求項11】
式5の化合物が、式7:
【化4】

のトシル化化合物を、式6:
【化5】

のo−ジヒドロキシベンゼンとKeCOおよび非プロトン性溶媒の存在下で反応させる
工程と、前記混合物を約65℃で約24時間加熱する工程を含む方法によって合成された
精製サンプルとして得られ、前記精製サンプル中に形成された式5の化合物の少なくとも
約98.4%が同一の構造を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記非プロトン性溶媒が、アルデヒド、ケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド、ピリジン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、
酢酸ブチル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、二酸化硫黄、テトラヒドロフラン、およ
びヘキサメチルホスホルアミドからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記非プロトン性溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記各xが3である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記精製サンプル中の式5の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する、請
求項11に記載の方法。
【請求項16】
式1:
【化6】

(式中、
Mは、Gd+3およびLu+3からなる群から選択される3価の金属陽イオンであり、各
Xは、OH、AcO、Cl、Br、I、F、HPO、ClO、Cl
、ClO、ClO、HCO、HSO、NO、N、CN
、SCN、およびOCNからなる群から独立して選択され、R、R、R、R
、R、およびRは、独立して、H、OH、C(2n+1)、またはOC
(2n+1)であり、R、Rは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり
、ここで、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、少な
くとも1つのヒドロキシル置換基を有するC(2n+1)またはOC(2n
+1)であり、
nは、1〜11の正の整数であり、yは0またはn以下の正の整数であり、各xは、2、
3、4、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物および薬学的に許容
可能なキャリアを含む薬学的組成物であって、前記薬学的組成物中の式1の化合物の少な
くとも約98.4%が同一の構造を有する、薬学的組成物。
【請求項17】
前記MがGd+3である、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記RおよびRがCOHであり、前記RおよびRがCであり、前記
およびRがCHであり、前記RおよびRがHである、請求項17に記載の薬
学的組成物。
【請求項19】
前記各xが3である、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記各XがAcOである、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の分子量を有する、
請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記薬学的組成物中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する、請
求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記薬学的に許容可能なキャリアが非経口投与に適切である、請求項16に記載の薬学的
組成物。
【請求項24】
有効量の式1:
【化7】

(式中、
Mは、Gd+3およびLu+3からなる群から選択される3価の金属陽イオンであり、X
は、OH、AcO、Cl、Br、I、F、HPO、ClO、ClO
、ClO、ClO、HCO、HSO、NO、N、CN
SCN、およびOCNからなる群から独立して選択され、R、R、R、R
、およびRは、独立して、H、OH、C(2n+1)、またはOC
2n+1)であり、R、Rは、独立して、HまたはC〜Cアルキルであり、
ここで、R、R、R、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、少なく
とも1つのヒドロキシル置換基を有するC(2n+1)またはOC(2n+
1)であり、
nは、1〜11の正の整数であり、yは0またはn以下の正の整数であり、各xは、2、
3、4、5、および6からなる群から独立して選択される)の化合物、またはその薬学的
に許容可能な塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、代謝産物、アナログ、もしくはプロド
ラッグを含む精製組成物を必要とするヒト患者に投与する工程を含み、ここで、前記精製
組成物中の式1の化合物の少なくとも約98.4%は同一の分子量を有する、癌の治療方
法。
【請求項25】
前記MがGd+3である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記RおよびRがCOHであり、前記RおよびRがCであり、前記
およびRがCHであり、前記RおよびRがHである、請求項25に記載の方
法。
【請求項27】
前記各xが3である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記各XがAcOである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記精製サンプル中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の分子量を有する、
請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記精製サンプル中の式1の化合物の少なくとも約99.3%が同一の構造を有する、請
求項24に記載の方法。
【請求項31】
手術、放射線療法、化学療法、遺伝子療法、免疫療法、またはこれらの組み合わせからな
る群から選択されるさらなる治療法をヒト患者に施す工程をさらに含む、請求項24に記
載の方法。
【請求項32】
前記癌が転移性脳腫瘍である、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14602(P2013−14602A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−196895(P2012−196895)
【出願日】平成24年9月7日(2012.9.7)
【分割の表示】特願2008−532201(P2008−532201)の分割
【原出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(399031229)ファーマサイクリクス,インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】