説明

高級アミンの製造方法

【課題】2級又は3級の高級アミンを製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、1級又は2級のアミンと、アルコールとの反応を、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化水素、又は、ハロゲン化水素を生成させる化合物(1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライド等)の存在下に行い、高級アミンを製造する方法である。原料のアミンが1級アミンである場合、2級及び3級の高級アミンを製造することができる。また、原料のアミンが2級アミンである場合、3級の高級アミンを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1級又は2級のアミンと、アルコールとを反応させて、2級又は3級の高級アミンを製造する方法に関する。本明細書において、「高級アミン」とは、アミノ基を有し、炭素原子数が6以上である化合物を意味する。
【背景技術】
【0002】
高級アミンは、工業的に多様な用途に好適な化合物であり、例えば、芳香族アミンは、医農薬分野の中間体、電子材料、光記録材料、染料の中間体、ウレタンフォームの原料、界面活性剤、防錆剤、防蝕剤、殺菌剤、乳化剤、帯電防止剤、潤滑油添加剤、石油添加剤、ゴム・プラスチック用添加剤、アスファルト添加剤、水処理剤、顔料分散剤、繊維柔軟剤、浮遊選鉱剤、エポキシ樹脂硬化剤等の形成のために広く用いられている。そのため、これまでに、目的に応じた構造を有するアミン製造方法が検討されており、例えば、特許文献1〜5及び非特許文献1〜4が知られている。
【0003】
特許文献1には、芳香族臭化物又は芳香族ヨウ化物と、アミン化合物とを、パラジウム触媒(2価のパラジウム化合物)の存在下で反応させ、芳香族アミン化合物を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、アミン化合物、臭素化芳香族化合物及び無機ヨウ化物を、銅元素含有触媒、塩基及び複素環式第3級アミン化合物の存在下で反応させ、アリールアミンを製造方法が開示されている。
また、特許文献3には、リン原子を含むカチオン部位と、アニオン部位とからなるイオン性化合物及び塩基の存在下で、金属化合物を触媒として、アミン化合物と、ハライドとを反応させる工程を含み、アミン化合物及びハライドの少なくとも一方はアリール基を有する芳香族アミン化合物の製造方法が開示されている。
【0004】
非特許文献1〜4には、アルコールを酸化させてアルデヒドやケトンとした後、イリジウム、ルテニウム、銅等の遷移金属触媒の存在下、低級アミンと反応させてイミンとし、次いで、イミンを再還元しアニリン誘導体やスルホンアミドを製造する方法が開示されている。
また、非特許文献5には、Bi(OTf)等の金属トリフラートの存在下、基質としてアリルアルコール及び(スルホン)アミドを反応させて、N−アリル化物を製造する方法が開示されている。
更に、アミン及びアルコールをカップリングさせる炭素−窒素結合形成反応を利用した高級アミンの製造方法も知られている。この方法は、アルコールの水酸基をハロゲン又はトシラート若しくはメチラートに変換した後、低級アミンと反応させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−275130号公報
【特許文献2】特開2006−347964号公報
【特許文献3】特開2002−308413号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Org.Lett. 4(2002) 2691
【非特許文献2】Org.Lett. 10(2008) 181
【非特許文献3】J.Org.Chem. 49(1984) 3359
【非特許文献4】Angew.Chem.Int.Ed. 48(2009) 5912
【非特許文献5】Angew.Chem.Int.Ed. 46(2007) 409
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の高級アミンの製造方法においては、一般に、目的とする化合物(高級アミン)の構造に応じて、原料が選択され、用いられてきた。これは、原料としてアミンを含む場合に、アミンの塩基性の程度が高いものから低いものまで多様であり、金属元素を含む触媒を用いたときの反応性や、金属への配位能が異なるからである。また、例えば、酸性条件下、アニリンを原料として用い、高級アミンを製造する場合には、フリーデル−クラフツ反応による副生成物が反応系に含まれる等、の不具合が見られることがあった。
更に、非特許文献1〜4の方法では、不飽和結合(例えば、炭素−炭素二重結合)を含む反応基質を用いた場合、不飽和結合が水素化されて飽和炭化水素を与えるという不具合がある。また、非特許文献5の方法では、N−モノアルキル化物(2級アミン)が得られないという不具合がある。
従って、従来技術によれば、原料であるアミンの構造及び性質に依存することなく、1級又は2級アミンの、N−アルキル化物(2級アミン)及びN,N−ジアルキル化物(3級アミン)を選択的に製造することが困難である。
本発明の目的は、1級アミン又は2級モノアミンと、アルコールとを用いて、2級又は3級の高級アミンを、高い収率で効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、又は、1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライドの存在下、1級アミンであるアニリンと、反応性の低いベンジルアルコールとを、モル比1で反応させたところ、高級アミンである、ベンジルフェニルアミン(2級アミン)及びジベンジルフェニルアミン(3級アミン)を得ることができた。また、アニリン及びベンジルアルコールの使用量(モル比)を変化させたところ、上記生成物のいずれか一方を選択性に製造可能であることが分かった。
本発明は、2級又は3級の高級アミンを製造する方法において、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化水素、又は、このハロゲン化水素を生成させる化合物の存在下、1級又は2級のアミン(以下、「原料アミン」又は「原料アミン(A)」という)と、アルコール(以下、「原料アルコール」又は「原料アルコール(B)」という)とを反応させる反応工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水以外の副生を抑制しつつ、2級又は3級の高級アミンを、高い収率で効率よく製造することができる。そして、原料であるアミンの構造及び性質に依存することなく、1級又は2級アミンの、N−アルキル化物(2級アミン)及びN,N−ジアルキル化物(3級アミン)を選択的に製造することができる。特に、原料アミンが1級アミンである場合、原料アミン及びアルコールのモル比に依存して、2級の高級アミン又は3級の高級アミンの選択性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】アニリン(原料アミン)及びベンジルアルコール(原料アルコール)のモル比を変えて高級アミンを製造したときの生成物の収率を示すグラフである(実施例2−1)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、1級の原料アミン(以下、「原料アミン(A1)」という)、又は、2級の原料アミン(以下、「原料アミン(A2)」という)と、原料アルコール(B)とを反応させて、2級又は3級の高級アミンを製造する方法である。
【0012】
以下、原料成分について、説明する。
原料アミン(A1)及び(A2)は、脂肪族アミン、脂環族アミン及び芳香族アミンのいずれでもよい。これらの化合物は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等を含む、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、アルキルチオ基等の官能基や、ハロゲン原子を有してもよい。
【0013】
上記脂肪族アミンは、通常、炭素原子数が1〜40の化合物であれば、飽和化合物及び不飽和化合物のいずれでもよい。また、この化合物における炭化水素基は、直鎖状であってよいし、分岐状であってもよい。
上記脂環族アミンは、通常、炭素原子数の合計が3〜20の化合物であれば、飽和化合物及び不飽和化合物のいずれでもよい。また、環構造は、炭素原子のみから形成されていてよいし、炭素原子と、窒素原子、硫黄原子、酸素原子等の他の原子とから形成されていてもよい。
また、上記芳香族アミンは、ベンゼン環を含む、通常、炭素原子数の合計が6〜26の単環式化合物又は多環式化合物である。また、ベンゼン環を構成する少なくとも2つの炭素原子を含む環構造を有する化合物であってもよい。その場合、この環構造は、炭素原子のみから形成されていてよいし、炭素原子と、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の他の原子とから形成されていてもよい。
【0014】
1級の原料アミン(A1)が脂肪族アミンである場合、その具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−へプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン等が挙げられる。
【0015】
また、1級の原料アミン(A1)が脂環族アミンである場合、その具体例としては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、シクロノニルアミン、シクロデシルアミン、シクロウンデシルアミン、シクロドデシルアミン等のシクロアルキルアミン類;1−(2−アミノエチル)ピペリジン、1−(3−アミノプロピル)ピペリジン等のピペリジン類;1−(2−アミノエチル)ピロリジン、1−(3−アミノプロピル)ピロリジン等のピロリジン類;N−(2−アミノエチル)モルホリン、1−(3−アミノプロピル)モルホリン等のモルホリン類;N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−ベンジルピペラジン、2−メチルピペラジン、2−ベンジルピペラジン等のピペラジン類等が挙げられる。
【0016】
更に、1級の原料アミン(A1)が芳香族アミンである場合、その具体例としては、アニリン、ベンジルアミン、α−フェネチルアミン、β−フェネチルアミン(=2−フェニルエチルアミン)、o−トルイジン(=2−メチルアニリン)、m−トルイジン(=3−メチルアニリン)、p−トルイジン(=4−メチルアニリン)、2,3−キシリジン、2,4−キシリジン、2,5−キシリジン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、o−アニシジン(=2−メトキシアニリン)、m−アニシジン(=3−メトキシアニリン)、p−アニシジン(=4−メトキシアニリン)、フルオロアニリン、クロロアニリン、ブロモアニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、ニトロアニリン、トリルアニリン、アミノキノリン、3−アミノビフェニル、シアノアミン等が挙げられる。
【0017】
2級の原料アミン(A2)が脂肪族アミンである場合、その具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルtert−ブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、2級の原料アミン(A2)が脂環族アミンである場合、その具体例としては、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルエチルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、アザシクロヘプタン、アザシクロオクタン、アザシクノナン、アザシクロデカン、アザシクロウンデカン、アザシクロドデカン等のシクロアルキルアミン類;1−シクロヘキシルピペラジン等のピペラジン類;1,N−ジメチルピペリジン−3−アミン、2−(ピペリジニル)メタノール等のピペリジン類;2−メチルピロリジン、3−ブチルピロリジン、プロリンメチルエステル等のピロリジン類;モルホリン、シス−2,6−ジメチルモルホリン等のモルホリン類等が挙げられる。
【0018】
更に、2級の原料アミン(A2)が芳香族アミンである場合、その具体例としては、N−メチルベンジルアミン、N−イソプロピルベンジルアミン、N−tert−ブチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−(4−ニトロソフェニル)アニリン、N−フェニルベンジルアミン、N−フェニル(4−メトキシベンジル)アミン、4−アミノ−1−ベンジルピペリジン、1−フェニルピペラジン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、N−メチル−8−アミノキノリン等が挙げられる。
【0019】
一方、原料アミン(A)との反応に供される原料アルコール(B)は、−OH基を1つ有する化合物であり、脂肪族アルコール、脂環族アルコール及び芳香族アルコールのいずれでもよい。これらの化合物は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子等を含む、アルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基等の官能基や、ハロゲン原子を有してもよい。
【0020】
上記脂肪族アルコールは、通常、炭素原子数が1〜25の化合物であり、飽和化合物及び不飽和化合物のいずれでもよい。また、この化合物における炭化水素基は、直鎖状であってよいし、分岐状であってもよい。
上記脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、ネオペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、ゲラニオール、ネロール、2−オクテン−1−オール、5−オクテン−1−オール、6−ノネン−1−オール、ゲラニオール、ネロール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール等の1級アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、2−デカノール、3−デカノール等の2級アルコール;2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ヘプタノール、tert−アミルアルコール等の3級アルコールが挙げられる。
【0021】
上記脂環族アルコールは、通常、炭素原子数の合計が1〜25の化合物であり、飽和化合物及び不飽和化合物のいずれでもよい。また、環構造は、炭素原子のみから形成されていてよいし、炭素原子と、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の他の原子とから形成されていてもよい。
上記脂環族アルコールとしては、シクロヘキシルアルコール、シクロヘキサンメタノール、シクロペンチルアルコール、シクロへプチルアルコール、4−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロペンタノール、3−エチルシクロペンタノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノール、シクロデカノール、シクロウンデカノール、シクロドデカノール、アダマンタン−2−オール、アダマンタン−1−オール、2−メチル−2−アダマンタノール等が挙げられる。
【0022】
また、上記芳香族アルコールは、ベンゼン環を含む、通常、炭素原子数の合計が6〜25の単環式化合物又は多環式化合物である。また、ベンゼン環を構成する少なくとも2つの炭素原子を含む環構造を有する化合物であってもよい。その場合、この環構造は、炭素原子のみから形成されていてよいし、炭素原子と、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の他の原子とから形成されていてもよい。
上記芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコール(=シンナミルアルコール)、メチルベンジルアルコール、エチルベンジルアルコール、プロピルベンジルアルコール、ブチルベンジルアルコール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール、2−メチルフェネチルアルコール、3−メチルフェネチルアルコール、4−メチルフェネチルアルコール、α−ジメチルフェネチルアルコール、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、ジフェニルメタノール、1,2−ジフェニルエタノール、1,3−ジフェニル−2−プロパノール、メトキシベンジルアルコール、エトキシベンジルアルコール、3,4−ジメトキシフェニルメチルアルコール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、2−ベンジルオキシエタノール、クロロベンジルアルコール、ブロモベンジルアルコール、ヨードベンジルアルコール、1,3−ジフェニル−2−プロペン−1−オール、(トリフルオロメチル)フェニルメチルアルコール、シアノフェニルメチルアルコール、ニトロフェニルメチルアルコール等が挙げられる。
【0023】
次に、本発明に係る反応工程について、説明する。
反応工程における、原料アミン(A)及び原料アルコール(B)の反応は、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)及びヨウ化水素(HI)から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化水素、又は、このハロゲン化水素を生成させる化合物(以下、「ハロゲン化水素生成化合物」という)の存在下に行われる。原料アミン(A)及び原料アルコール(B)の反応は、通常、後述の反応溶媒中で行われるが、無溶媒で行うこともできる。
ハロゲン化水素生成化合物は、好ましくは、上記の原料アミン(A1)又は(A2)との併存下、酸塩基反応によって、ハロゲン化水素と上記アミンとの塩を形成することができる等の条件下、その反応系にハロゲン化水素を生成する化合物であり、1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライド、塩化ホスホリル(POCl)、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)、クロロリン酸ジエチル(EtO)POCl等が挙げられる。これらのうち、1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライドが好ましい。尚、上記ハロゲン化水素生成化合物は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明において、上記のハロゲン化水素及びハロゲン化水素生成化合物は、それぞれ、単独で用いてよいし、互いに組み合わせて用いてもよい。
上記のハロゲン化水素及びハロゲン化水素生成化合物の使用量は、原料アミン(A)及び原料アルコール(B)の反応性の観点から、原料アルコール(B)に対して、いずれも、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは5〜30モル%である。
【0025】
また、高級アミンの収率を向上させるために、上記のハロゲン化水素及び/又はハロゲン化水素生成化合物を、リン酸等の他の化合物と組み合わせて用いてもよい。他の化合物の使用量は、原料アルコール(B)に対して、好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは1〜15モル%である。
好ましい組み合わせの例としては、塩化水素(HCl)及びリン酸の組み合わせ、臭化水素(HBr)及びリン酸の組み合わせ、ヨウ化水素(HI)及びリン酸の組み合わせである。
【0026】
反応工程では、上記のように、反応溶媒が用いられる。反応溶媒は、好ましくは炭化水素系有機溶剤である。この炭化水素系有機溶剤は、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素及び脂肪族炭化水素のいずれでもよい。好ましい反応溶媒としては、例えば、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,4,5,6−ヘキサメチルベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン及びトルエンが特に好ましい。
【0027】
反応工程における反応温度は、通常、25℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは、不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。反応系に、溶存酸素が含まれると、反応速度が低下し、好ましくない。また、反応系が黒ずむことがある。
【0028】
原料アミン(A)との反応に供される原料アルコール(B)の使用量は、両者の反応効率の観点から、原料アミン(A)1モルに対して、好ましくは0.1〜5.0モル、より好ましくは0.5〜2.5モルである。
【0029】
原料アミン(A)として、1級アミン、即ち、原料アミン(A1)を用いた場合、下記スキーム(1)に示すように、原料アミン(A1)と、原料アルコール(B)との反応により、2級の高級アミン(以下、「高級アミン(H1)」ともいう)、及び/又は、3級の高級アミン(以下、「高級アミン(H2)」ともいう)を製造することができる。
【化1】

(式中、R、R及びRは、互いに同一又は異なって、1価の有機基である。)
【0030】
上記スキーム(1)においては、原料アミン(A1)及び原料アルコール(B)の種類によるものの、原料アルコール(B)の使用量が原料アミン(A1)1モルに対して、例えば、1.7モル以上、好ましくは2.0モル以上と過多であれば、3級の高級アミン(H2)の収率が向上する。尚、3級の高級アミン(H2)を選択的に得るための原料アルコール(B)の使用量の上限は、通常、10モルである。一方、原料アルコール(B)の使用量が原料アミン(A1)1モルに対して、例えば、1.0モル未満、好ましくは0.8モル以下と過少であれば、2級の高級アミン(H1)の収率が向上する。尚、2級の高級アミン(H1)を選択的に得るための原料アルコール(B)の使用量の下限は、通常、0.1モルである。従って、原料アミン(A1)及び原料アルコール(B)の使用量(モル比)を制御することにより、所望の高級アミンを選択的に製造することができる。
尚、原料アルコール(B)の使用量が原料アミン(A1)1モルに対して、1.0〜1.7モル程度であると、通常、高級アミン(H1)及び(H2)の混合物が得られる。
【0031】
また、原料アミン(A)として、2級アミン、即ち、原料アミン(A2)を用いた場合、下記スキーム(2)に示すように、原料アミン(A2)と、アルコール(B)との反応により、3級の高級アミン(以下、「高級アミン(H3)」ともいう)を製造することができる。
【化2】

(式中、R、R及びRは、互いに同一又は異なって、1価の有機基である。)
【0032】
上記スキーム(2)においては、原料アルコール(B)の使用量が、原料アミン(A2)1モルに対して、好ましくは0.2〜5.0モル、より好ましくは0.4〜3.0モルであると、3級の高級アミン(H3)の収率が向上する。
【0033】
上記スキーム(1)及び(2)から明らかなように、反応工程においては、副生物が主として水であり、2級又は3級の高級アミンを製造する方法としては、極めて簡便であり、金属元素を含む触媒を使用しないことから、廃触媒を処理する工程を備える必要がなく、経済的である。
また、ハロゲン化水素生成化合物である1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライドは、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを反応させる簡便な方法により製造することができるので、1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライドを用いることは、経済的である。
【0034】
本発明の製造方法は、上記反応工程の後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。即ち、反応溶媒の除去、生成物の洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。
【0035】
本発明の製造方法によれば、所望の構造を有する高級アミンを、原料アミン(A)及び原料アルコール(B)の使用量の制御することにより高収率で製造することができる。高級アミンの収率は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは75%以上とすることができる。尚、上記「収率」とは、原料アルコール(B)のモル量に基づき算出される値である。
【実施例】
【0036】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0037】
1.ベンジルフェニルアミンの製造(1)
ハロゲン化水素等の種類を変えて、アニリン及びベンジルアルコールから、ベンジルフェニルアミンを製造した。
【0038】
実施例1−1
372.5mg(4mmol)のアニリンと、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールと、0.5mLの1,2,4−トリメチルベンゼン(反応溶媒)とを、シュレンクフラスコに収容した。その後、このフラスコに、2M−HClのエーテル溶液を、塩化水素(HCl)の使用量が、ベンジルアルコールに対するモル比で30%に相当する量となるように添加し、これらの混合物を、アルゴンガス雰囲気下、160℃で撹拌しながら12時間反応を行った。
その後、反応系を室温まで冷却し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液10mLを添加した。次いで、エーテルによる抽出を行い、有機層を回収した。その後、硫酸ナトリウムにより脱水し、減圧下、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=10/90)により精製し、以下に示す、白色固体のベンジルフェニルアミン(2級アミン)を得た。内部標準として1,1,2,2−テトラクロロエタンを用いたH−NMR測定により収率23%を得た。
また、NMR測定における化学シフト(ppm)は、以下の通りである。
(1)H−NMR(400MHz、溶媒:CDCl
δ4.00(brs,1H)、4.32(s,2H)、6.62−6.64(d,J=7.6Hz,2H)、6.71(t,J=7.3Hz,1H)、7.16(t,J=7.9Hz,2H)、7.26−7.37(m,5H)
(2)13C−NMR(100MHz、溶媒:CDCl
δ48.3、112.8、117.5、127.2、127.4、128.6、129.2、139.4、148.1
【化3】

【0039】
実施例1−2
2M−HClのエーテル溶液に代えて、臭化水素(HBr)の使用量が、ベンジルアルコールに対するモル比で30%に相当する量となるように、47質量%臭化水素酸水溶液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、ベンジルフェニルアミンを得た。収率は28%であった。
【0040】
実施例1−3
2M−HClのエーテル溶液に代えて、ヨウ化水素(HI)の使用量が、ベンジルアルコールに対するモル比で30%に相当する量となるように、57質量%ヨウ化水素酸水溶液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、ベンジルフェニルアミンを得た。収率は60%であった。
【0041】
実施例1−4
2M−HClのエーテル溶液に加えて、更に、リン酸の使用量が、ベンジルアルコールに対するモル比で15%に相当する量となるように、無色固体のリン酸を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、ベンジルフェニルアミンを得た。収率は51%であった。
【0042】
実施例1−5
2M−HClのエーテル溶液に代えて、ベンジルアルコールに対するモル比で5%に相当する量となるように、1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライド(34.8mg、0.1mmol)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、ベンジルフェニルアミンを得た。収率は92%であった。
【0043】
比較例1−1
2M−HClのエーテル溶液に代えて、硫酸の使用量が、ベンジルアルコールに対するモル比で30%に相当する量となるように、98質量%硫酸水溶液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、ベンジルフェニルアミンを得た。収率は4%であった。
【0044】
比較例1−2
2M−HClのエーテル溶液に代えて、硫酸の使用量が、ベンジルアルコールに対するモル比で10%に相当する量となるように、98質量%硫酸水溶液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、ベンジルフェニルアミンを得た。収率は3%であった。
【0045】
以上の結果から明らかなように、塩化水素、臭化水素又はヨウ化水素の存在下、あるいは、1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライドの存在下で、アニリン及びベンジルアルコールを反応させると、20%以上の収率をもって、ベンジルフェニルアミンを製造可能であることが分かった。
【0046】
2.ベンジルフェニルアミンの製造(2)
実施例2−1
1,2,4−トリメチルベンゼンに代えて、1,3,5−トリメチルベンゼンを反応溶媒として用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例1−5と同様にして、アニリン及びベンジルアルコールを反応させた。このとき、アニリン及びベンジルアルコールのモル比(ベンジルアルコール/アニリン)を、それぞれ、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25及び2.5とした。反応生成物である、ベンジルフェニルアミン(2級アミン)、及び、以下に示すジベンジルフェニルアミン(3級アミン)の収率を図1に示した。
【化4】

(Phはフェニル基を示す)
【0047】
図1から明らかなように、アニリン及びベンジルアルコールのモル比(ベンジルアルコール/アニリン)が大きいほど、即ち、ベンジルアルコールの使用量が過多であると、ジベンジルフェニルアミン(3級アミン)の収率が高くなった。一方、アニリン及びベンジルアルコールのモル比(ベンジルアルコール/アニリン)が小さいほど、即ち、ベンジルアルコールの使用量が過少であると、ベンジルフェニルアミン(2級アミン)の収率が高くなった。
【0048】
3.他の高級アミンの製造
実施例3−1
372.5mg(4mmol)のアニリンと、244.3mg(2mmol)の4−メチルベンジルアルコールと、0.5mLの1,2,4−トリメチルベンゼン(反応溶媒)とを、シュレンクフラスコに収容した。その後、このフラスコに、34.8mg(0.1mmol)の1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライドを添加し、これらの混合物を、アルゴンガス雰囲気下、160℃で撹拌しながら24時間反応を行った。
その後、実施例1−1と同様の操作を行い、以下に示す(4−メチルベンジル)フェニルアミンを得た。収率は76%であった。
【化5】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.33 (s, 3H), 3.95 (brs, 1H), 4.26 (s, 2H), 6.60-6.62 (m, 2H), 6.69-6.71 (m, 1H), 7.13-7.19 (m, 4H), 7.24-7.25 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 21.0, 48.0, 112.7, 117.4, 127.7, 129.1, 129.3, 136.3, 136.8, 148.1〕
【0049】
実施例3−2
4−メチルベンジルアルコールに代えて、276.3mg(2mmol)の4−メトキシベンジルアルコールを用い、反応温度を140℃とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(4−メトキシベンジル)フェニルアミンを得た。収率は55%であった。
【化6】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.77 (s, 3H), 3.91 (brs, 1H), 4.22 (s, 2H), 6.60-6.62 (m, 2H), 6.69-6.71 (m, 1H), 6.85-6.86 (m, 2H), 7.13-7.17 (m, 2H), 7.25-7.27 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 47.7, 55.2, 112.7, 113.9, 117.4, 128.7, 129.1, 131.3, 148.1, 158.7〕
【0050】
実施例3−3
4−メチルベンジルアルコールに代えて、244.3mg(2mmol)の3−メチルベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(3−メチルベンジル)フェニルアミンを得た。収率は86%であった。
【化7】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.34 (s, 3H), 3.98 (brs, 1H), 4.28 (s, 2H), 6.64 (d, J=8.3 Hz, 2H), 6.71 (t, J=7.1 Hz, 1H), 7.07-7.25 (m, 6H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 21.3, 48.2, 112.7, 117.4, 124.4, 127.8, 128.1, 128.4, 129.1, 138.1, 139.3, 148.1〕
【0051】
実施例3−4
4−メチルベンジルアルコールに代えて、276.3mg(2mmol)の3−メトキシベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(3−メトキシベンジル)フェニルアミンを得た。収率は83%であった。
【化8】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.7 (s, 3H), 4.0 (brs, 1H), 4.29 (s, 2H), 6.62 (d, J=7.8 Hz, 2H), 6.71 (t, J=7.8 Hz, 1H), 6.79-6.82 (m, 1H), 6.92-6.96 (m, 2H), 7.16 (t, J=7.6 Hz, 2H), 7.23-7.25 (m, 1H)〕
【0052】
実施例3−5
4−メチルベンジルアルコールに代えて、252.3mg(2mmol)の4−フルオロベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(4−フルオロベンジル)フェニルアミンを得た。収率は98%であった。
【化9】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.95 (s, 1H), 4.23 (s, 2H), 6.57 (d, J=8.3 Hz, 2H), 6.68-6.71 (m, 1H), 6.96-7.00 (m, 2H), 7.12-7.16 (m, 2H), 7.26-7.29 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 47.4, 112.7, 115.2, 115.4, 117.6, 128.6, 128.9, 129.2, 135.0, 135.1, 147.8, 160.7, 163.1〕
【0053】
実施例3−6
4−メチルベンジルアルコールに代えて、285.2mg(2mmol)の4−クロロベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(4−クロロベンジル)フェニルアミンを得た。収率は81%であった。
【化10】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.03 (brs, 1H), 4.3 (s, 2H), 6.6 (d, J=8.0 Hz, 2H), 6.72 (t, J=7.3 Hz, 1H), 7.16 (t, J=7.8 Hz, 2H), 7.29 (s, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 47.4, 112.7, 117.6, 128.6, 128.7, 129.2, 132.7, 137.9, 147.4〕
【0054】
実施例3−7
4−メチルベンジルアルコールに代えて、374.1mg(2mmol)の4−ブロモベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(4−ブロモベンジル)フェニルアミンを得た。収率は79%であった。
【化11】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.04 (brs, 1H), 4.28 (s, 2H), 6.59 (d, J=7.6 Hz, 2H), 6.71 (t, J=7.3 Hz, 1H), 7.16 (t, J=7.6 Hz, 2H), 7.22-7.24 (m, 2H), 7.43-7.45 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 47.4, 112.7, 117.6, 120.7, 128.9, 129.2, 131.5, 138.4, 147.6〕
【0055】
実施例3−8
4−メチルベンジルアルコールに代えて、468.1mg(2mmol)の2−ヨードベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(2−ヨードベンジル)フェニルアミンを得た。収率は83%であった。
【化12】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.08 (brs, 1H), 4.24 (s, 2H), 6.52-6.55 (m, 2H), 6.67-6.71 (m, 1H), 6.88-6.92 (m, 1H), 7.10-7.15 (m, 2H), 7.20-7.24 (m, 1H), 7.30-7.32 (m, 1H), 7.79-7.81 (m, 1H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 53.1, 98.4, 112.8, 117.6, 128.2, 128.6, 128.8, 129.1, 139.3, 140.8, 147.4〕
【0056】
実施例3−9
4−メチルベンジルアルコールに代えて、244.3mg(2mmol)の2−フェニルエタノールを用い、反応温度を180℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すフェネチルフェニルアミンを得た。収率は71%であった。
【化13】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.91 (t, J=7.1 Hz, 2H), 3.39 (m, 2H), 3.66 (s, 1H), 6.6 (d, J=8.0 Hz, 2H), 6.70 (t, J=7.3 Hz, 1H), 7.15-7.24 (m, 5H), 7.29-7.33 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 35.3, 44.9, 112.8, 117.3, 126.3, 128.5, 128.6, 129.1, 139.2, 147.9〕
【0057】
実施例3−10
4−メチルベンジルアルコールに代えて、260.5mg(2mmol)の1−オクタノールを用い、反応温度を180℃とし、反応時間を24時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すオクチルフェニルアミンを得た。収率は94%であった。
【化14】

【0058】
実施例3−11
4−メチルベンジルアルコールに代えて、256.4mg(2mmol)の(E)−2−オクテン−1−オールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(E)−オクタ−2−エニルフェニルアミン(=N−(2−オクテニル)アニリン)を得た。収率は94%であった。
【化15】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, J=7.0 Hz, 3H), 1.25-1.38 (m, 6H), 2.00-2.05 (m, 2H), 3.68-3.69 (m, 2H), 5.52-5.58 (m, 1H), 5.66-5.73 (m, 1H), 6.60-6.63 (m, 2H), 6.67-6.71 (m, 1H), 7.14-7.18 (m, 1H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 14.0, 25.5, 28.9, 31.3, 32.2, 46.1, 112.9, 117.3, 126.6, 129.1, 133.5, 148.2〕
【0059】
実施例3−12
4−メチルベンジルアルコールに代えて、284.5mg(2mmol)の(Z)−6−ノネン−1−オールを用い、反応時間を72時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(Z)−ノン−6−エニルフェニルアミン(=N−(6−ノネニル)アニリン)を得た。収率は70%であった。
【化16】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.95 (t, J=7.5Hz, 3H), 1.37-1.40 (m, 4H), 1.58-1.62 (m, 2H), 1.99-2.07 (m, 4H), 3.08 (t, J=7.1 Hz, 2H), 3.56 (brs, 1H), 5.38-5.40 (m, 2H), 6.58 (d, J=8.8 Hz, 2H), 6.67 (t, J=7.3 Hz, 1H), 7.13-7.21 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 14.3, 20.4, 26.7, 26.9, 29.4, 29.5, 43.8, 112.6, 117.0, 128.8, 129.1, 131.8, 148.5〕
【0060】
実施例3−13
4−メチルベンジルアルコールに代えて、244.3mg(2mmol)の1−フェニルエタノールを用い、反応温度を140℃とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すフェニル−(1−フェニルエチル)アミン(=α−メチルベンジルフェニルアミン)を得た。収率は55%であった。
【化17】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.49 (d, J=6.6 Hz, 3H), 4.05 (s, 1H), 4.41 (q, J=6.8 Hz, 1H), 6.34-6.36 (m, 2H), 7.12-7.14 (m, 2H), 7.22-7.24 (m, 1H), 7.30-7.31 (m, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 24.9, 53.4, 108.7, 114.8, 125.6, 126.9, 128.6, 131.7, 144.5, 146.1〕
【0061】
実施例3−14
4−メチルベンジルアルコールに代えて、304.5mg(2mmol)のアダマンタン−1−オールを用い、反応温度を180℃とし、反応時間を72時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すアダマンタン−1−イル−フェニルアミンを得た。収率は78%であった。
【化18】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.63 (s, 6H), 1.87 (s, 6H), 2.1 (s, 3H); 3.2 (brs, 1H), 6.70-6.80 (m, 3H), 7.12-7.25 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 29.7, 36.4, 43.4, 52.1, 119.0, 119.1, 128.7, 146.0〕
【0062】
実施例3−15
アニリンに代えて、428.6mg(4mmol)のp−トリルアミン(=4−メチルアニリン)を用い、4−メチルベンジルアルコールに代えてベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(4−メチルベンジル)フェニルアミン(=N−ベンジル−4−メチルアニリン)を得た。収率は77%であった。
【化19】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.33 (s, 3H), 3.95 (brs, 1H), 4.26 (s, 2H), 6.60-6.62 (m, 2H), 6.69-6.71 (m, 1H), 7.13-7.19 (m, 4H), 7.24-7.25 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 21.0, 48.0, 112.7, 117.4, 127.7, 129.1, 129.3, 136.3, 136.8, 148.1〕
【0063】
実施例3−16
アニリンに代えて、428.6mg(4mmol)のm−トリルアミン(=3−メチルアニリン)を用い、4−メチルベンジルアルコールに代えてベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−m−トリルアミン(=N−ベンジル−3−メチルアニリン)を得た。収率は98%であった。
【化20】

13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 21.6, 48.3, 109.9, 113.6, 118.4, 127.1, 127.5, 128.6, 129.1, 138.9, 139.5, 148.1〕
【0064】
実施例3−17
アニリンに代えて、428.6mg(4mmol)のo−トリルアミン(=2−メチルアニリン)を用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−o−トリルアミン(=N−ベンジル−2−メチルアニリン)を得た。収率は96%であった。
【化21】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.16 (s, 3H), 3.85 (s, 1H), 3.85 (s, 2H), 6.61 (d, J=7.8 Hz, 1H), 6.65-6.69 (m, 1H), 7.06-7.11 (m, 2H), 7.24-7.40 (m, 5H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 17.5, 48.3, 109.9, 117.1, 121.9, 127.1, 127.2, 127.5, 128.6, 130.0, 139.4, 146.1〕
【0065】
実施例3−18
アニリンに代えて、492.6mg(4mmol)の4−メトキシフェニルアミンを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す(4−メトキシベンジル)フェニルアミン(=N−ベンジル−4−メトキシアニリン)を得た。収率は76%であった。
【化22】

【0066】
実施例3−19
アニリンに代えて、444.5mg(4mmol)の4−フルオロフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−(4−フルオロロフェニル)アミン(=N−ベンジル−4−フルオロアニリン)を得た。収率は81%であった。
【化23】

【0067】
実施例3−20
アニリンに代えて、444.5mg(4mmol)の3−フルオロフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−(3−フルオロフェニル)アミン(=N−ベンジル−3−フルオロアニリン)を得た。収率は87%であった。
【化24】

【0068】
実施例3−21
アニリンに代えて、444.5mg(4mmol)の2−フルオロフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−(2−フルオロフェニル)アミン(=N−ベンジル−2−フルオロアニリン)を得た。収率は56%であった。
【化25】

【0069】
実施例3−22
アニリンに代えて、510.3mg(4mmol)の4−クロロフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−4−クロロフェニルアミン(=N−ベンジル−4−クロロアニリン)を得た。収率は79%であった。
【化26】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.99 (s, 1H), 4.23 (s, 2H), 6.46-6.50 (m, 2H), 7.05-7.08 (m, 2H), 7.24-7.31 (m, 5H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 48.2, 113.8, 121.9, 127.2, 127.3, 128.6, 128.9, 138.8, 146.5〕
【0070】
実施例3−23
アニリンに代えて、552.5mg(4mmol)の3−ニトロフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−(3−ニトロフェニル)アミン(=N−(3−ニトロフェニル)ベンジルアミン)を得た。収率は74%であった。
【化27】

【0071】
実施例3−24
アニリンに代えて、644.5mg(4mmol)の3−トリフルオロメチルフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−(3−トリフルオロメチルフェニル)アミン(=N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ベンジルアミン)を得た。収率は61%であった。
【化28】

【0072】
実施例3−25
アニリンに代えて、576.7mg(4mmol)のキノリン−8−イル−アミン(=8−アミノキノリン)を用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジル−キノリン−8−イル−アミン(=N−ベンジルキノリン−8−アミン)を得た。収率は99%であった。
【化29】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.52 (s, 2H), 6.61-6.63 (m, 2H), 7.02 (d,J=7.9 Hz, 1H), 7.23-7.33 (m, 5H), 7.40-7.42 (m, 2H), 8.00-8.02 (m, 1H), 8.68-8.70 (m, 1H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 47.6, 105.1, 114.1, 121.3, 127.1, 127.3, 127.7, 128.5, 128.6, 135.9, 138.1, 139.1, 144.5, 146.8〕
【0073】
実施例3−26
アニリンに代えて、428.6mg(4mmol)のベンジルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すジベンジルアミンを得た。収率は74%であった。
【化30】

【0074】
実施例3−27
アニリンに代えて、484.7mg(4mmol)の2−フェニルエチルアミン(=β−フェネチルアミン)を用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN−ベンジルフェネチルアミンを得た。収率は98%であった。
【化31】

【0075】
実施例3−28
アニリンに代えて、396.7mg(4mmol)のシクロヘキシルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジルシクロヘキシルアミンを得た。収率は47%であった。
【化32】

【0076】
実施例3−29
アニリンに代えて、452.8mg(4mmol)のシクロヘプチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジルシクロヘプチルアミンを得た。収率は58%であった。
【化33】

【0077】
実施例3−30
アニリンに代えて、517.0mg(4mmol)のオクチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジルオクチルアミンを得た。収率は52%であった。
【化34】

【0078】
実施例3−31
アニリンに代えて、741.4mg(4mmol)のドデシルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジルドデシルアミンを得た。収率は57%であった。
【化35】

【0079】
実施例3−32
アニリンに代えて、517.0mg(4mmol)のオクチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、260.5mg(2mmol)の1−オクタノールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すジオクチルアミンを得た。収率は53%であった。
【化36】

【0080】
実施例3−33
アニリンに代えて、266.4mg(2mmol)の1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す1−ベンジル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを得た。収率は85%であった。
【化37】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.99-2.04 (m, 2H), 2.81 (t, J=6.2 Hz, 2H), 3.36 (t, J=5.7Hz, 2H), 4.47 (s, 2H), 6.49 (d, J=8.5 Hz, 1H), 6.56 (t, J=7.3 Hz, 1H), 6.94-6.98 (m, 2H), 7.22-7.32 (m, 5H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 22.3, 28.2, 49.8, 55.1, 110.9, 115.8, 122.2, 126.5, 126.7, 127.1, 128.5, 128.9, 138.9, 145.5〕
【0081】
実施例3−34
アニリンに代えて、266.4mg(2mmol)の1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応系に8μL(0.1mmol)のDMFを添加し、反応温度を180℃とし、反応時間を48時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す1−ベンジル−1,2,3,4−テトライソヒドロキノリンを得た。収率は73%であった。
【化38】

【0082】
実施例3−35
アニリンに代えて、214.3mg(2mmol)のN−メチルフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−26と同様の操作を行い、以下に示すベンジルメチルフェニルアミンを得た。収率は85%であった。
【化39】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.0 (s, 3H), 4.52 (s, 2H), 6.70-6.75 (m, 3H), 7.21-7.30 (m, 7H)〕
【0083】
実施例3−36
アニリンに代えて、366.5mg(2mmol)のベンジルフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、ジベンジルフェニルアミンを得た。収率は55%であった。
【0084】
実施例3−37
アニリンに代えて、242.4mg(4mmol)のN−ベンジルメチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を180℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すジベンジルメチルアミンを得た。収率は67%であった。
【化40】

【0085】
実施例3−38
アニリンに代えて、394.6mg(4mmol)のN,N−ジベンジルアミンを用い、反応温度を180℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すトリベンジルアミンを得た。収率は81%であった。
【化41】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.54 (s, 6H), 7.18-7.21 (m, 3H), 7.27-7.31 (m, 6H), 7.38-7.40 (m, 6H)〕
【0086】
実施例3−39
アニリンに代えて、258.5mg(2mmol)のN,N−ジブチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジルジブチルアミンを得た。収率は60%であった。
【化42】

【0087】
実施例3−40
アニリンに代えて、258.5mg(2mmol)のN,N−ジイソブチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すベンジルジイソブチルアミンを得た。収率は68%であった。
【化43】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.86 (d, J=6.6 Hz, 12H), 1.73-1.79 (m, 2H), 2.07 (d, J=7.3 Hz, 4H), 3.46 (s, 4H), 7.17-7.21 (m, 1H), 7.25-7.28 (m, 2H), 7.32-7.33 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 20.9, 25.8, 26.3, 59.8, 63.4, 126.4, 127.9, 128.8, 140.5〕
【0088】
実施例3−41
アニリンに代えて、174.2mg(2mmol)のモルホリンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を200℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す4−ベンジルモルホリンを得た。収率は89%であった。
【化44】

【0089】
実施例3−42
アニリンに代えて、230.3mg(2mmol)の2,6−ジメチルモルホリンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す4−ベンジル−2,6−ジメチルモルホリンを得た。収率は97%であった。
【化45】

【0090】
実施例3−43
アニリンに代えて、336.6mg(2mmol)の1−シクロヘキシルピペラジンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示す1−ベンジル−4−シクロヘキシルピペラジンを得た。収率は60%であった。
【化46】

【0091】
実施例3−44
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、N,N−ジベンジルフェニルアミンを得た。収率は75%であった。
【0092】
実施例3−45
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールの使用量を、305.4mg(2.5mmol)とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(4−メチルベンジル)フェニルアミンを得た。収率は86%であった。
【化47】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.35 (s, 6H), 4.52 (s, 4H), 6.67 (t, J=7.3 Hz, 1H), 6.72 (d, J=8.3 Hz, 2H), 7.11-7.18 (m, 10H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 21.0, 53.7, 112.4, 116.4, 126.6, 129.1, 129.2, 135.5, 136.3, 149.2〕
【0093】
実施例3−46
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、305.4mg(2.5mmol)の3−メチルベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(3−メチルベンジル)フェニルアミンを得た。収率は71%であった。
【化48】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.30 (s, 6H), 4.59 (s, 4H), 6.65 (m, 3H), 7.01-7.04 (m, 6H), 7.12-7.20 (m, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 21.4, 54.0, 112.3, 116.4, 123.6, 127.2, 127.5, 128.6, 129.1, 138.2, 138.6, 149.2〕
【0094】
実施例3−47
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、345.4mg(2.5mmol)の4−メトキシベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(4−メトキシベンジル)フェニルアミンを得た。収率は96%であった。
【化49】

【0095】
実施例3−48
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、345.4mg(2.5mmol)の3−メトキシベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(3−メトキシベンジル)フェニルアミンを得た。収率は95%であった。
【化50】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.73 (s, 6H), 4.6 (s, 4H), 6.66-6.84 (m, 9H), 7.12-7.25 (m, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 54.2, 55.1, 112.0, 112.3, 112.5, 116.7, 118.9, 129.1, 129.6, 140.4, 149.1, 159.9〕
【0096】
実施例3−49
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、315.3mg(2.5mmol)の4−フルオロベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(4−フルオロベンジル)フェニルアミンを得た。収率は90%であった。
【化51】

【0097】
実施例3−50
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、356.5mg(2.5mmol)の4−クロロベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(4−クロロベンジル)フェニルアミンを得た。収率は82%であった。
【化52】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.54 (s, 4H), 6.67-6.73 (m, 3H), 7.12-7.18 (m, 6H), 7.24-7.29 (m, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 53.7, 112.7, 117.3, 128.0, 128.7, 129.3, 132.6, 136.8, 148.6〕
【0098】
実施例3−51
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、467.6mg(2.5mmol)の4−ブロモベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(4−ブロモベンジル)フェニルアミンを得た。収率は81%であった。
【化53】

【0099】
実施例3−52
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、585.1mg(2.5mmol)の2−ヨードベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ビス(2−ヨードベンジル)フェニルアミンを得た。収率は57%であった。
【化54】

【0100】
実施例3−53
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、305.4mg(2.5mmol)の2−フェニルエタノールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジフェネチルフェニルアミンを得た。収率は75%であった。
【化55】

【0101】
実施例3−54
アニリンの使用量を、93.1mg(1mmol)とし、4−メチルベンジルアルコールに代えて、325.6mg(2.5mmol)の1−オクタノールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジオクチルフェニルアミンを得た。収率は74%であった。
【化56】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 0.88 (t, J=7.1 Hz, 6H), 1.27-1.30 (m, 20H), 1.49-1.56 (m, 4H), 3.23 (t, J=8.5Hz, 4H), 6.58-6.63 (m, 3H), 7.16-7.20 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 14.0, 22.6, 27.2, 27.3, 29.3, 29.5, 31.8, 51.0, 111.6, 115.0, 129.1, 148.1〕
【0102】
実施例3−55
アニリンに代えて、107.2mg(1mmol)のp−トリルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジル−p−トリルアミンを得た。収率は62%であった。
【化57】

【0103】
実施例3−56
アニリンに代えて、107.2mg(1mmol)のm−トリルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジル−m−トリルアミンを得た。収率は90%であった。
【化58】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.23 (s, 3H), 4.62 (s, 4H), 6.52-6.58 (m, 3H), 7.05 (t, J=8.0 Hz, 1H), 7.22-7.25 (m, 6H), 7.29-7.33 (m, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 21.8, 53.8, 109.6, 112.9, 117.6, 126.6, 126.7, 128.5, 129.0, 138.6, 138.8, 149.2〕
【0104】
実施例3−57
アニリンに代えて、107.2mg(1mmol)のo−トリルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジル−o−トリルアミンを得た。収率は61%であった。
【化59】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.44 (s, 3H), 4.06 (s, 4H), 6.92-6.96 (m, 2H), 7.01-7.04 (m, 1H), 7.18-7.26 (m, 11H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 18.5, 56.8, 122.4, 123.4, 126.0, 126.8, 128.0, 128.6, 131.0, 131.05, 138.5, 149.8〕
【0105】
実施例3−58
アニリンに代えて、123.2mg(1mmol)の4−メトキシフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジル−(4−メトキシフェニル)アミンを得た。収率は96%であった。
【化60】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.67 (s, 3H), 4.53 (s, 4H), 6.65-6.74 (m, 4H), 7.20-7.23 (m, 6H), 7.26-7.30 (m, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 55.1, 55.7, 114.5, 114.7, 126.8, 126.9, 128.5, 138.9, 143.8, 151.6〕
【0106】
実施例3−59
アニリンに代えて、111.1mg(1mmol)の4−フルオロフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジル−(4−フルオロフェニル)アミンを得た。収率は76%であった。
【化61】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.58 (s, 4H), 6.61-6.64 (m, 2H), 6.82-6.86 (m, 2H), 7.21-7.26 (m, 6H), 7.33-7.36 (m, 4H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 54.9, 113.7, 113.8, 115.3, 115.6, 126.6, 126.9, 128.6, 145.6, 154.3, 156.6 (2 peaks more)〕
【0107】
実施例3−60
アニリンに代えて、127.6mg(1mmol)の4−クロロフェニルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジル−(4−クロロフェニル)アミンを得た。収率は89%であった。
【化62】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.60 (s, 4H), 6.59-6.62 (m, 2H), 7.05-7.07 (m, 2H), 7.17-7.32 (m, 10H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3) δ 54.4, 113.6, 121.5, 126.5, 127.0, 128.6, 128.9, 138.9, 147.6〕
【0108】
実施例3−61
アニリンに代えて、107.2mg(1mmol)のベンジルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、トリベンジルアミンを得た。収率は86%であった。
【0109】
実施例3−62
アニリンに代えて、121.2mg(1mmol)のβ−フェネチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、270.4mg(2.5mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジルフェネチルアミンを得た。収率は65%であった。
【化63】

1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.67-2.71 (m, 2H), 2.78-2.81 (m, 2H), 3.62 (s, 4H), 7.13-7.40 (m, 15H)〕
【0110】
実施例3−63
アニリンに代えて、99.2mg(1mmol)のシクロヘキシルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジルシクロヘキシルアミンを得た。収率は52%であった。
【化64】

【0111】
実施例3−64
アニリンに代えて、113.2mg(1mmol)のシクロヘプチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジルシクロヘプチルアミンを得た。収率は48%であった。
【化65】

【0112】
実施例3−65
アニリンに代えて、129.2mg(1mmol)のオクチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジルオクチルアミンを得た。収率は79%であった。
【化66】

【0113】
実施例3−66
アニリンに代えて、185.4mg(1mmol)のドデシルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、216.3mg(2mmol)のベンジルアルコールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すN,N−ジベンジルドデシルアミンを得た。収率は82%であった。
【化67】

【0114】
実施例3−67
アニリンに代えて、129.2mg(1mmol)のオクチルアミンを用い、4−メチルベンジルアルコールに代えて、325.6mg(2.5mmol)の1−オクタノールを用い、反応温度を200℃とし、反応時間を36時間とした以外は、実施例3−1と同様の操作を行い、以下に示すトリオクチルアミンを得た。収率は57%であった。
【化68】

【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明により得られる、2級又は3級の高級アミンは、医農薬分野の中間体、電子材料、光記録材料、ウレタンフォームの原料、界面活性剤、防錆剤、防蝕剤、殺菌剤、乳化剤、帯電防止剤、潤滑油添加剤、石油添加剤、ゴム・プラスチック用添加剤、アスファルト添加剤、水処理剤、顔料分散剤、繊維柔軟剤、浮遊選鉱剤、エポキシ樹脂硬化剤等の形成材料等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2級又は3級の高級アミンを製造する方法において、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化水素、又は、該ハロゲン化水素を生成させる化合物の存在下、1級又は2級のアミンと、アルコールとを反応させる反応工程を備えることを特徴とする高級アミンの製造方法。
【請求項2】
上記ハロゲン化水素を生成する化合物が、1,3,5−トリアゾ−2,4,6−トリホスホリン−2,2,4,4,6,6−クロライドである請求項1に記載の高級アミンの製造方法。
【請求項3】
上記反応工程で用いるアミンが1級アミンである場合、2級の高級アミン、及び/又は、3級の高級アミンが製造される請求項1又は2に記載の高級アミンの製造方法。
【請求項4】
上記反応工程で用いるアミンが2級アミンである場合、3級の高級アミンが製造される請求項1又は2に記載の高級アミンの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−62281(P2012−62281A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208526(P2010−208526)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】