説明

高級アルコールの製造方法

【課題】ユーグレナから、色相が良好で、臭いの低減された高級アルコールを効率よく製造できる方法の提供。
【解決手段】ユーグレナを培養して得られる脂質を、水素化触媒の存在下に水素化する工程を含む、高級アルコールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーグレナを用いた高級アルコールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高級アルコールは、各種界面活性剤の原料や食品等に使用される。
高級アルコールは、その供給源の多くをヤシやパーム核等の油糧植物に依存している。しかし、油糧植物を栽培可能な地域は限定され、さらに、高級アルコール供給のために耕地を利用することは食料用途等と競合することも懸念される。
従って、油糧植物に頼らない、高級アルコール供給技術の開発が望まれている。
【0003】
また、油糧植物に由来する高級アルコールには炭素数の分布がある。界面活性剤としては、炭素数12乃至14の高級アルコールから誘導される界面活性剤が好ましく用いられるため、需要と供給の調整が必要となり、高級アルコールの生産量を伸長させる際の障壁となっている。
【0004】
一方、原生動物ユーグレナが炭素数14のアルキル基を有する脂質を産生することが見出され、当該脂質をケン化分解して高級アルコールを製造する方法が報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−118090号公報
【特許文献2】特開平5−177140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーグレナは、その高い増殖性・脂質生産性により高級アルコールの供給原料として極めて有用であると考えられる。
しかしながら、従来のケン化分解により得られた高級アルコールは、濃い赤褐色を呈し、ユーグレナ特有の臭気が強いものであった。高級アルコールの色相が悪く、異臭がすると、該高級アルコールそのもの、及び該高級アルコールの誘導体である界面活性剤等の洗浄剤組成物等への配合の自由度が著しく制限される。また、ケン化分解では多量の脂肪酸石鹸が副生するために高級アルコール収率も低く、工業的な製造方法としては不利である。
【0007】
一方で、高級アルコールの製造方法の1つとして水素添加法が知られているが(例えば、特許文献2)、油脂を直接水素化するのではなく、一度メチルエステルに転換し、精製した後に反応を行うのが一般的で、該方法を不純物を多く含む天然脂質に適用できるとは限らない。
【0008】
したがって、本発明の課題は、ユーグレナから、色相が良好で、臭いの低減された高級アルコールを効率よく製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、水素化触媒を用いてユーグレナを培養して得られる脂質の水素化反応を行うと、意外にも反応が進行して高級アルコールが効率よく得られることを見出した。また、反応が進行するのみならず、色相が大幅に改善され、さらにユーグレナ特有の臭気が低減された高級アルコールが得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、ユーグレナを培養して得られる脂質を水素化触媒の存在下に水素化する工程を含む、高級アルコールの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、色相が良好で、臭いの低減された高級アルコールを効率よく得ることができる。この高級アルコールは、炭素数14のアルコール成分に富むため、界面活性剤原料として有用である。また、容易に増殖可能な原生動物を用いるため、油糧植物のように栽培地域が限定されたり、食料用途等との競合が発生したりすることもない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において用いられるユーグレナ(euglena)は、動物学上は鞭毛虫綱(mastigophorea)、植物学上はユーグレナ藻綱(euglenophyceae)に属する微細藻類の一種である。具体的には、Euglena gracilisEuglena gracilis var. bacillarisEuglena viridisAstasia longa等が挙げられる。
本発明のユーグレナには、変種や上記株と実質的に同一の菌学的性質を有する菌株の変異株も包含される。
なかでも、取扱容易性の点から、Euglena gracilisEuglena gracilis var. bacillaris及びその変種や変異株が好ましい。
【0013】
ユーグレナは、従来公知の培地を用いて培養することができる。例えば、Cramer−Myers培地、Hutner培地、及びKoren−Hutner培地(「ユーグレナ 生理と生化学」、北岡正三朗 編、株式会社学会出版センター、p242〜243)等の文献記載の培地を用いることができる。
また、グルコース、アラビノース、キシロース、マンノース、フラクトース、ガラクトース、シュークロース、マルトース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、イノシット、グリセリン、可溶性澱粉、廃糖蜜、転化糖、酢酸等の資化しうる有機酸、エタノール等の炭素源;アンモニア、アンモニウム塩等の無機・有機アンモニウム塩、コーングルテンミール、大豆粉、酵母エキス、肉エキス、魚肉エキス、ポリペプトン、各種アミノ酸、ソイビーンミール等の窒素源;更に必要に応じてリン酸、Mg2+、Ca2+、Mn2+、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Na+、K+等の無機塩;ビタミンB1、ビタミンB12等のビタミン類を添加した固体培地、液体培地等を用いることができる。
【0014】
培地に接種するユーグレナの量は特に制限されないが、培地中に1〜50質量%(以下、単に「%」とする)が好ましく、2〜15%がより好ましい。
【0015】
培養方法は、特に限定されず、通気培養、嫌気培養、攪拌培養、振盪培養、静置培養等が挙げられる。ユーグレナの脂質生産性の点から、好気的条件下で培養した後、嫌気的条件下で培養するのが好ましい。
【0016】
好気的条件下で培養する場合、培養温度は20〜33℃が好ましく、28〜30℃がより好ましい。このとき培地の初発pH(25℃)は2〜7が好ましく、3〜5がより好ましい。
また、通気は、培養液1Lあたり0.01〜2L/分が好ましく、0.1〜0.5L/分がより好ましい。
好気的条件下での培養期間は、48〜720時間が好ましく、72〜360時間がより好ましい。
【0017】
嫌気的条件下で培養する場合、培養温度は20〜33℃が好ましく、28〜30℃がより好ましい。このとき培地の初発pH(25℃)は2〜11が好ましく、3〜8がより好ましい。
嫌気的条件には、例えば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、その他不活性ガスを1種又は2種以上組み合わせることが可能で、なかでも窒素ガス又は炭酸ガス雰囲気下の条件とするのが好ましい。例えば、窒素ガスの通気は、培養液1Lあたり0.01〜2L/分が好ましい。
嫌気的条件下での培養期間は6〜360時間が好ましく、8〜240時間がより好ましい。
【0018】
培地のpHを調整する緩衝剤としては、例えば、炭酸、酢酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸等の有機酸塩、リン酸、塩酸、硫酸等の無機塩、水酸化ナトリウム等の水酸化物、アンモニア又はアンモニア水等が挙げられ、これらを単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
ユーグレナの培養は、暗所下に行っても、光照射下に行ってもよい。光照射は、光合成が可能な条件であればよく、人工光又は太陽光のいずれでもよい。照度は1000〜20000Luxが好ましく、2000〜8000Luxがより好ましい。
また、攪拌、振盪速度は細胞への損傷を考慮して設定すればよく、10〜300r/minとするのが好ましい。
【0020】
培養終了後、通常の遠心分離法、濾過等によって藻体を回収し、溶媒抽出を行うことにより脂質を採取することができる。ここで脂質とは、単純脂質、複合脂質、誘導脂質のいずれかを含むものである。
単純脂質は、脂肪酸とアルコールから生成するエステルであり、メタノール、エタノール等の低級アルコールと脂肪酸とのエステル、炭素数8〜24の高級アルコールと脂肪酸とのエステルワックス、グリセリンと脂肪酸とのエステルであるグリセリド等が挙げられる。
複合脂質とは、単純脂質に、さらにリンや窒素等を含有する脂質であり、リン脂質等が挙げられる。
誘導脂質とは、単純脂質及び複合脂質から誘導される脂質であり、脂肪酸類、並びにカロテノイド、スクアレン等の炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
【0021】
回収した藻体はそのまま用いてもよく、溶媒抽出に先立って前処理を施してもよい。回収藻体の前処理としては、例えば、破砕・粉砕、凍結融解、水熱処理等が挙げられる。破砕・粉砕の方法としては、例えば、超音波、ビーズミル(ダイノミル等)、フレンチプレス、ホモジネーション等が挙げられる。凍結融解の方法としては、例えば、−80〜−20℃で凍結後、5〜80℃で融解する方法が挙げられる。水熱処理としては、80〜350℃で0〜20分処理する方法が挙げられる。
【0022】
溶媒抽出に用いる有機溶媒としては、特に制限されず、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶媒を変えて繰り返し行うことも可能である。
なかでも、脂質溶解性が高く、高収率で脂質を得ることができるという点から、非極性溶媒と極性溶媒の混合溶媒が好ましく、極性溶媒としてアルコール類を含有するものが好ましい。かかる混合溶媒としては、クロロホルム−メタノール混合液が好ましい。
また、純度の高い脂質の取得、又は水素化反応性の向上という点から、非極性溶媒を使用することが好ましい。かかる溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、又は芳香族炭化水素類が好ましく、更に炭化水素類が好ましい。炭化水素類としては、ヘキサンが好ましい。
【0023】
有機溶媒の使用量の下限値は、抽出効率の点から、回収藻体1容量に対し、0.005容量が好ましく、0.01容量がより好ましく、0.05容量が更に好ましい。有機溶媒の使用量の上限値は、操作性の点から、回収藻体1容量に対し、20容量が好ましく、10容量がより好ましく、5容量が更に好ましい。
【0024】
抽出方法は、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出等のいずれでもよい。例えば、「生物化学実験法24 植物脂質代謝実験法」(山田晃弘 編著、株式会社学会出版センター、p3−4)に記載の方法を参考にすることができる。
抽出の温度は、特に限定されないが、脂質溶解性の点から、10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
【0025】
このようにユーグレナを培養して得られる脂質を、水素化触媒の存在下、水素化することによって高級アルコールが得られる。
【0026】
水素化に先立ち、脂質の前処理を行ってもよい。脂質の前処理としては、水にて洗浄する処理、前記のような極性溶媒による洗浄処理、吸着剤による吸着処理、スチーミング処理、カラムクロマトグラフィーを用いた分画処理等を挙げることができ、これらの何れか若しくはこれらの組合せを用いることができる。
【0027】
水にて洗浄する処理においては、酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を使用することもできる。酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を調製するために、上記培地のpHを調整する緩衝剤を使用することができる。なかでも、高級アルコールの色相及び臭いを改善する点から、酸性水溶液を使用するのが好ましく、クエン酸の水溶液を使用するのがより好ましい。
水として酸性水溶液を使用する場合の酸性水溶液のpH(25℃)は1〜6が好ましく、1.5〜5がより好ましく、2〜4が更に好ましい。酸性水溶液のpHの下限値は、設備の腐食による高級アルコールの色相の悪化を回避する点から、1が好ましく、1.5がより好ましく、2が更に好ましい。酸性水溶液のpHの上限値は、高級アルコールの色相及び臭いを改善する点から、6が好ましく、5がより好ましく、4が更に好ましい。
【0028】
脂質を水にて洗浄する処理において、水の使用量は、脂質に対し、0.01〜50質量倍が好ましく、0.1〜30質量倍がより好ましく、0.5〜20質量倍が更に好ましく、0.8〜5質量倍が更に好ましい。水の使用量の下限値は、十分に不純物を除去するという点から、脂質に対し、0.01質量倍が好ましく、0.1質量倍がより好ましく、0.5質量倍が更に好ましく、0.8質量倍が更に好ましい。水の使用量の上限値は、脂質のロスを防止する点、又は操作性の点から、脂質に対し、50質量倍が好ましく、30質量倍がより好ましく、20質量倍が更に好ましく、5質量倍が更に好ましい。
【0029】
水の温度は5〜100℃が好ましく、20〜95℃がより好ましく、40〜90℃が更に好ましい。水の温度の下限値は、不純物を十分に除去するという点から、5℃が好ましく、20℃がより好ましく、40℃が更に好ましい。また、油脂が固化しない条件が好ましい。水の温度の上限値は、脂質のロスを防止する点、又は操作性の点から、100℃が好ましく、95℃がより好ましく、90℃が更に好ましい。
【0030】
水洗時間は1〜120分が好ましく、5〜60分がより好ましく、10〜30分が更に好ましい。
水洗時間の下限値は、不純物を十分に除去するという点から、1分が好ましく、5分がより好ましく、10分が更に好ましい。水洗時間の上限値は、操作性の点から、120分が好ましく、60分がより好ましく、30分が更に好ましい。
【0031】
水洗は1回でも複数回(例えば2回、3回)繰り返してもよい。水洗後は、遠心分離等により水相を分離除去、減圧又は加温等の操作による水分の留去、吸着脱水による水分除去等を行ってもよい。脂質中の残存水分量は、例えば、0.001〜1%が好ましく、0.001〜0.1%がより好ましい。
【0032】
水洗の効果のメカニズムは必ずしも明らかではないが、水洗により、水洗後の脂質を水素化することにより得られる高級アルコールの色相や臭いの原因物質、及び/又はその原因物質の前駆体が除去されると考えられる。
【0033】
脂質の吸着処理において用いられる吸着剤としては、例えば、白土、活性炭、珪藻土又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、高級アルコールの色相及び臭いを改善する点から、白土、活性炭又はこれらの組み合わせを用いることが好ましい。
ここでいう白土とは、モンモリロナイトを主体とする粘土のことをいう。なお、特に限定されるものではないが、食品の製造工程においては通常、酸性白土を用いる場合が多い。また、酸性白土は活性化処理を施されている場合もあり、これを活性白土という場合もある。本発明における白土とは、酸性白土及び活性白土の何れも含む。具体的には、水澤化学(株)製の酸性白土(ガレオンアースシリーズ)が挙げられる。
【0034】
活性炭は、おが屑、木材チップ、木炭、ヤシ殻炭、石炭、ピート炭等を原料として公知の方法によって製造されたものを用いることができる。具体的には、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル(株)製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(日本エンバイロケミカルズ(株)製)等の市販品を用いることができる。
【0035】
吸着処理時の脂質と吸着剤の混合物の温度は、高級アルコールの色相及び臭いを改善する点から、5℃〜200℃が好ましく、20〜150℃であることがより好ましく、40〜120℃であることがより好ましい。混合物の温度の下限値は、不純物を十分に除去する点及び混合物の操作性の点から、5℃が好ましく、20℃がより好ましく、40℃が更に好ましい。混合物の温度の上限値は、脂質のロスを防止する点及び操作性の点から、200℃が好ましく、150℃がより好ましく、120℃が更に好ましい。
【0036】
吸着処理時の脂質と吸着剤の接触時間は1〜120分が好ましく、5〜60分がより好ましく、10〜30分が更に好ましい。接触時間の下限値は、不純物を十分に除去するという点から、1分が好ましく、5分がより好ましく、10分が更に好ましい。接触時間の上限値は、操作性の点から、120分が好ましく、60分がより好ましく、30分が更に好ましい。圧力は、減圧下でも常圧でもよいが、酸化抑制及び脱色性の点から減圧下が好ましい。
【0037】
吸着処理時の吸着剤の使用量は、脂質100質量部に対し、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部であることが更に好ましい。吸着剤の使用量の下限値は、高級アルコールの色相及び臭いを改善する点から、脂質100質量部に対し、0.001質量部が好ましく、0.01質量部がより好ましく、0.1質量部が更に好ましい。吸着剤の使用量の上限値は、吸着剤の分離に要する時間を短縮する点から、脂質100質量部に対し、10質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、3質量部が更に好ましい。
このような吸着剤による吸着処理においては、必ずしも同定されていないが、処理後の脂質を水素化することにより得られる高級アルコールの色相や臭いの原因物質、及び/又はその原因物質の前駆体が吸着剤に吸着されて脂質から除去されると考えられる。
【0038】
本発明において用いられる水素化触媒としては、公知の水素化触媒のいずれも使用することができる。例えば、銅、コバルト、クロム、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム等から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する触媒が挙げられる。なかでも銅系触媒が好ましく、銅−クロム系触媒、銅−亜鉛系触媒、銅−鉄−アルミニウム系触媒、銅−シリカ系触媒等を好適に用いることができる。
【0039】
水素化触媒は、触媒金属を、例えば、炭素(活性炭)、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ゼオライト等の担体に担持させた固体触媒の形態で用いることもできる。
【0040】
水素化触媒は、市販のものを用いてもよく、従来公知の方法にて調製してもよい。例えば、沈殿法、イオン交換法、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、混練法等により担持固体触媒を調製することができる。
【0041】
水素圧力は、常圧でもよいが、加圧下で行うことが好ましく、ゲージ圧で0.1〜35MPaが好ましく、3〜30MPaがより好ましい。
【0042】
反応温度は、触媒の活性によって適宜選択することができるが、30〜300℃が好ましく、130〜270℃がより好ましく、150〜250℃が更に好ましい。
【0043】
本発明において、脂質の水素化は、水素化触媒の存在下、バッチ式、懸濁床連続方式、固定床連続方式等いずれの反応方式によって行うことができる。
バッチ式の場合、反応時間は、0.5〜7時間が好ましく、1〜6時間がより好ましく、3〜5時間が更に好ましい。水素化触媒の使用量は、反応温度あるいは反応圧力に応じて、実用的な反応収率が得られる範囲内において任意に選択できるが、脂質100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましい。
懸濁床連続方式の場合、反応時間は、0.5〜7時間が好ましい。反応時間とは、設定した反応温度に保持されている時間をいう。水素化触媒の使用量は、脂質100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましい。
【0044】
固定床方式の場合、液空間速度(LHSV)は、生産性及び反応性を考慮し、反応条件に応じて任意に決定することができるが、0.2〜5.0〔Hr-1〕の範囲が好ましい。
【0045】
水素化反応は、溶媒下で行うことも可能であるが、生産性を考慮した場合には無溶媒下で行うのが好ましい。溶媒を用いる場合は、アルコール類、ジオキサン、パラフィン等の反応に悪影響を与えないものが好ましい。
反応終了後、通常の蒸留、カラム分離等の分離精製手段により目的の高級アルコールを単離精製することができる。また、反応終了品から分離された残渣を回収し、原料の一部として更に水素化反応に供することができる。
【0046】
本発明において、高級アルコールの収率は50%以上、更に65%以上、特に70%以上であることが製造効率の点から好ましい。
【0047】
本発明方法により得られる高級アルコールは、炭素数12〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル鎖を有するアルコールの混合物である。炭素数12〜16のアルコールの含有量は、90%以上、好ましくは98%以上である。そのなかでも、炭素数14の含有量は40%以上が好ましく、より好ましくは45%以上である。
【0048】
また、本発明方法により得られる高級アルコールは、色相に優れる。光路長1cmの石英セルにおける波長440nmの吸光度が好ましくは100以下であり、より好ましくは50以下であり、更に好ましくは20以下であり、特に好ましくは10以下である。
また、本発明方法により得られる高級アルコールは、ユーグレナに由来する臭いが低減されている。
【0049】
高級アルコールは、各種界面活性剤原料、合成皮革柔軟剤、香粧品油剤/基剤、金属圧延油等として有用である。
【0050】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の製造方法を開示する。
<1>
ユーグレナを培養して得られる脂質を、水素化触媒の存在下に水素化する工程を含む、高級アルコールの製造方法。
<2>
ユーグレナが、Euglena gracilisEuglena gracilis var. bacillaris、その変種又はその変異株である、前記<1>に記載の高級アルコールの製造方法。
<3>
水素化を常圧又は加圧下、好ましくは加圧下、更に好ましくは0.1〜35MPaの水素圧力、更に好ましくは3〜30MPaの水素圧力で行う、前記<1>又は<2>に記載の高級アルコールの製造方法。
<4>
水素化を30〜300℃、好ましくは130〜270℃、更に好ましくは150〜250℃で行う、前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<5>
水素化触媒が、銅、コバルト、クロム、白金、ロジウム、パラジウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する触媒であり、好ましくは銅−クロム系触媒、銅−亜鉛系触媒、銅−鉄−アルミニウム系触媒及び銅−シリカ系触媒から選ばれる少なくとも1種の触媒である、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<6>
脂質100質量部に対し、水素化触媒を0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部用いる、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<7>
水素化を行う前に、脂質の前処理を行う工程を含む、前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<8>
脂質の前処理が、脂質を水にて洗浄する工程を含む、前記<7>に記載の高級アルコールの製造方法。
<9>
脂質を、脂質に対し0.01質量倍以上、好ましくは0.1質量倍以上、更に好ましくは0.5質量倍以上、更に好ましくは0.8質量倍以上の水にて洗浄する、前記<8>に記載の高級アルコールの製造方法。
<10>
脂質を、脂質に対し50質量倍以下、好ましくは30質量倍以下、更に好ましくは20質量倍以下、更に好ましくは5質量倍以下の水にて洗浄する、前記<8>又は<9>に記載の高級アルコールの製造方法。
<11>
脂質を、脂質に対し0.01〜50質量倍、好ましくは0.1〜30質量倍、更に好ましくは0.5〜20質量倍、更に好ましくは0.8〜5質量倍の水にて洗浄する、前記<8>に記載の高級アルコールの製造方法。
<12>
脂質を5℃以上、好ましくは20℃以上、更に好ましくは40℃以上の水にて洗浄する、前記<8>〜<11>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<13>
脂質を100℃以下、好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下の水にて洗浄する、前記<8>〜<12>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<14>
脂質を5〜100℃、好ましくは20〜95℃、更に好ましくは40〜90℃の水にて洗浄する、前記<8>〜<11>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<15>
水として酸性水溶液を使用する、前記<8>〜<14>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<16>
酸性水溶液のpHが1以上、好ましくは1.5以上、更に好ましくは2以上である、前記<15>に記載の高級アルコールの製造方法。
<17>
酸性水溶液のpHが6以下、好ましくは5以下、更に好ましくは4以下である、前記<15>又は<16>に記載の高級アルコールの製造方法。
<18>
酸性水溶液のpHが1〜6、好ましくは1.5〜5、更に好ましくは2〜4である、前記<15>に記載の高級アルコールの製造方法。
<19>
脂質の前処理が、吸着剤による吸着処理を含む、前記<7>〜<18>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<20>
吸着処理に用いる吸着剤が、白土、活性炭、珪藻土又はこれらの組み合わせであり、好ましくは白土、活性炭又はこれらの組み合わせである、前記<19>に記載の高級アルコールの製造方法。
<21>
吸着処理時の脂質と吸着剤の混合物の温度が5℃以上、好ましくは20℃以上、更に好ましくは40℃以上である、前記<19>又は<20>に記載の高級アルコールの製造方法。
<22>
吸着処理時の脂質と吸着剤の混合物の温度が200℃以下、好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下である、前記<19>〜<21>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<23>
吸着処理時の脂質と吸着剤の混合物の温度が5℃〜200℃、好ましくは20〜150℃、更に好ましくは40〜120℃である、前記<19>又は<20>に記載の高級アルコールの製造方法。
<24>
吸着処理時の吸着剤の使用量が、脂質100質量部に対し、0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上である、前記<19>〜<23>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<25>
吸着処理時の吸着剤の使用量が、脂質100質量部に対し、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である、前記<19>〜<24>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
<26>
吸着処理時の吸着剤の使用量が、脂質100質量部に対し、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である、前記<19>〜<23>のいずれか1に記載の高級アルコールの製造方法。
【実施例】
【0051】
<分析方法>
試料は適宜希釈してクロロホルムで抽出し、ガスクロマトグラフィー(GC)にて分析した。
GC分析の条件は下記のとおりである。
カラム:Frontier LAB社製 Ultra ALLOY−1(MS/HT)
オーブン温度:60℃(2min hold)−[10℃/min.]−350℃(15min hold)
キャリアガス:He、5.8mL/min
インジェクター:スプリット比14:1、注入口温度300℃
【0052】
<50%クエン酸水溶液のpHの測定>
pHは、50%クエン酸水溶液そのものを25℃において、pHメーター(HORIBA製D−51S)で測定した。
【0053】
<収率の算出法>
次式により、高級アルコールの収率を算出した。
高級アルコール収率(%)=高級アルコール質量/前処理ユーグレナ脂質質量×100
【0054】
<色相の評価>
試料をヘキサンで希釈し、光路長1cmの石英セルを用い、波長440nmにおける吸光度を測定した(紫外可視分光光度計 日立 U−2000)。希釈倍数を掛けて原液の吸光度とし、その値が小さいほど色相良好とした。
【0055】
<臭いの評価>
パネル8人で行った。評価基準は原料(水洗ユーグレナ脂質)の臭い評価を5として次に示す規準に従い、その平均値を評価値とした。
6:臭いが非常に強い
5:臭いが強い
4:臭いがやや強い
3:臭いが少ない
2:臭いがほとんどない
1:臭いがない
【0056】
製造例1 (脂質の製造)
グルコース400g、ポリペプトン100g、硫酸アンモニウム5g、リン酸1カリウム5g、硫酸マグネシウム・7水和物 10g、炭酸カルシウム2.4g、Na2EDTA 1g、硫酸アンモニウム鉄(II)・六水和物 1g、硫酸亜鉛0.5g、硫酸マンガン・五水和物0.4g、チアミン塩酸塩0.05g、シアノコバラミン0.00002gを含む培地20Lを30L容ジャーファーメンターに仕込み1N塩酸によりpHを4に調整した後、滅菌(121℃、30分)した。
これに同組成の培地で前培養したユーグレナ・グラシリスの培養液を4%接種し、28℃で暗所にて4日間通気撹拌培養した。このときの通気量は6.6L−Air/分とし、撹拌回転数は153r/minとした。
その後さらに通気を窒素に切り替えて1L−N2/分とした以外は上記と同じ条件で培養を8日間継続した。初発pHは3であった。
なお、用いたユーグレナは国立環境研究所微生物系統保存施設より入手したユーグレナ・グラシリスNIES−48であり、同じ株は請求により入手できる。
【0057】
培養開始後12日後に遠心分離によりユーグレナ細胞を回収した。次に得られた回収ケーク1容量に対し20℃のクロロホルム−メタノール混合液(クロロホルム:メタノール(容量比)=1:2)3.75容量を加え30分静置後、1.25容量のクロロホルム及び1%KClをそれぞれ加え混合した。静置後にクロロホルム層を回収し、クロロホルムを留去することによりユーグレナ脂質を得た。
【0058】
製造例2 (脂質の製造)
製造例1と同組成の培地1200Lを用いて、これに同組成の培地で前培養したユーグレナ・グラシリスの培養液を5%接種し、28℃で暗所にて4日間通気撹拌培養した。
その後さらに通気を窒素に切り替えた以外は製造例1と同じ条件で培養を8日間継続した。
【0059】
培養開始後12日後に遠心分離によりユーグレナ細胞を回収した。次に得られた回収ケーク1容量に対し20℃のヘキサン9容量を加え2時間撹拌後、一昼夜静置した。静置後にヘキサン層を回収し、ヘキサン層からヘキサンを留去することによりユーグレナ脂質を得た。
【0060】
実施例1
(1)製造例1で得られたユーグレナ脂質に対して1質量倍の60℃の温水を加え、温浴中で70℃に加熱し、20分間、撹拌しながら洗浄を行った。
その後、全量を遠心管に移し、7000r/minで20分間、遠心分離を行った。
遠心管より、油相を取り出し、105℃、8kPaの条件下に、撹拌しながら脱水処理を行った。これを「水洗ユーグレナ脂質」とした。水洗ユーグレナ脂質のユーグレナ脂質に対する歩留まりは87%であった。
得られた水洗ユーグレナ脂質の水分は、0.1%であった。
【0061】
(2)特許文献2(特開平5−177140号公報)の実施例5記載の方法に従って、TiO2上にCuO、ZnO、BaOを担持させた触媒前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を円柱状に打錠成形した後、400℃で2時間焼成することにより、下記のような組成を有する直径3mm、高さ3mmの成形触媒前駆体を得た。
CuO:ZnO:BaO:TiO2=44%:2%:4%:50%
【0062】
得られた成形触媒前駆体30g(酸化物換算重量)を水素雰囲気下で活性化処理し、前述の水洗ユーグレナ脂質180gと共に500mLのオートクレーブに仕込んだ。そして、水素を5NL/minで流通させて、800r/minで撹拌しつつ、250℃、22.5MPa(ゲージ圧)の条件で、5時間反応を行い高級アルコールを得た。
反応終了油のGC分析結果から、121gの高級アルコールが得られた。水洗ユーグレナ脂質を基準とする高級アルコールの収率は67%であった。
高級アルコールの組成分析値を表1に示し、色相及び臭い評価の結果を表2に示した。
【0063】
実施例2
(1)製造例2で得られたユーグレナ脂質230gに対して、50%クエン酸水溶液(pH2.4)を0.9g加え、90℃で20分間撹拌した後、水5.5gを加え、さらに90℃で5分間撹拌した。その後、全量を遠心管に移し、3000rpm/minで10分間、遠心分離を行った。
遠心管より上層を取り出し、ユーグレナ脂質222gを得た。これを「水洗ユーグレナ脂質」とした。
【0064】
(2)上記(1)で得られた水洗ユーグレナ脂質を用いたこと以外は実施例1(2)と同様に水素化反応を行い、高級アルコールを得た。
反応終了油のGC分析結果から、146gの高級アルコールが得られた。水洗ユーグレナ脂質を基準とする高級アルコールの収率は81%であった。
色相及び臭い評価の結果を表2に示した。
【0065】
実施例3
(1)製造例2で得られたユーグレナ脂質230gに対して、活性白土(水澤化学(株)製)4.6gを加え、120℃、8kPaで20分間撹拌した。その後、全量をろ過して活性白土を取り除き、ユーグレナ脂質218gを得た。これを「白土処理ユーグレナ脂質」とした。
【0066】
(2)水洗ユーグレナ脂質の代わりに白土処理ユーグレナ脂質を用いたこと以外は実施例1(2)と同様に水素化反応を行い、高級アルコールを得た。
反応終了油のGC分析結果から、147gの高級アルコールが得られた。白土処理ユーグレナ脂質を基準とする高級アルコールの収率は81%であった。
色相及び臭い評価の結果を表2に示した。
【0067】
実施例4
(1)製造例2で得られたユーグレナ脂質230gに対して、活性炭(シグマ・アルドリッチ社製)4.6gを加え、60℃で1時間撹拌した。その後、全量をろ過して活性炭を取り除き、ユーグレナ脂質224gを得た。これを「活性炭処理ユーグレナ脂質」とした。
【0068】
(2)水洗ユーグレナ脂質の代わりに活性炭処理ユーグレナ脂質を用いたこと以外は実施例1(2)と同様に水素化反応を行い、高級アルコールを得た。
反応終了油のGC分析結果から、146gの高級アルコールが得られた。活性炭処理ユーグレナ脂質を基準とする高級アルコールの収率は81%であった。
色相及び臭い評価の結果を表2に示した。
【0069】
比較例1(脂質のケン化)
実施例1と同様にして得た水洗ユーグレナ脂質10gを1N水酸化カリウム−95%エタノール水溶液250mLに加え、85℃で3時間放置しケン化反応を行った。
反応液に250mLの水を添加し室温まで冷却し、250mLのヘキサンを用いて2回抽出を行った。抽出液500mLを濃縮、乾固し3.9gの高級アルコールを含む反応終了油を得た。水洗ユーグレナ脂質を基準とする高級アルコールの収率は39%であった。色相及び臭い評価の結果を表2に示した。
【0070】
比較例2
比較例1で得られた高級アルコールを含む反応終了油に対して1質量倍の60℃の温水を加え、温浴中で70℃に加熱し、20分間、撹拌しながら洗浄を行った。その後、全量を遠心管に移し、7000r/minで20分間、遠心分離を行った。
遠心管より、油相を取り出し、60℃、25torrの条件下に、撹拌しながら脱水処理を行った。色相及び臭い評価の結果を表2に示した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
上記のとおり、本発明の方法により得られた高級アルコールは、色相が良好でユーグレナ特有の臭気が低減された品質の高いものであった。また、本発明の方法によれば、高級アルコールの収率(歩留まり)は高く、製造方法としては十分な効率であった。
他方、ケン化したものは、赤褐色で、臭いが強く、収率も低かった。また、ケン化後、更に水洗しても色相が高く、臭いが強いままであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーグレナを培養して得られる脂質を、水素化触媒の存在下に水素化する工程を含む、高級アルコールの製造方法。
【請求項2】
水素化を0.1〜35MPaの水素圧力で行う、請求項1記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項3】
水素化を30〜300℃で行う、請求項1又は2記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項4】
水素化触媒が、銅、コバルト、クロム、白金、ロジウム、パラジウム及びイリジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含有する触媒である、請求項1〜3のいずれか1項記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項5】
脂質100質量部に対し、水素化触媒を0.1〜30質量部用いる、請求項1〜4のいずれか1項記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項6】
水素化を行う前に、脂質の前処理を行う工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項7】
脂質の前処理が、脂質を水にて洗浄する工程を含む、請求項6に記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項8】
脂質を、脂質に対し0.01〜50質量倍の水にて洗浄する、請求項7記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項9】
脂質を5〜100℃の水にて洗浄する、請求項7又は8記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項10】
水として酸性水溶液を使用する、請求項7〜9のいずれか1項記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項11】
酸性水溶液のpHが1〜6である、請求項10に記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項12】
酸性水溶液が、クエン酸の水溶液である請求項10又は11に記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項13】
脂質の前処理が、吸着剤による吸着処理を含む、請求項6〜12のいずれか1項記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項14】
吸着処理時の脂質と吸着剤の混合物の温度が5℃〜200℃である、請求項13に記載の高級アルコールの製造方法。
【請求項15】
吸着剤が白土、活性炭又はこれらの組み合わせである、請求項13又は14に記載の高級アルコールの製造方法。

【公開番号】特開2012−136515(P2012−136515A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−268219(P2011−268219)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】