説明

高線形性信号処理増幅器

【課題】高線形性信号処理増幅器を提供する。
【解決手段】クランプポイント能動回路が提供される。クランプポイント能動回路は、少なくとも2つのレベル間で遷移する装置から出力を受信するように構成されたレート増幅器を含む。クランプポイント能動回路は、レート増幅器から出力を受信するように構成された少なくとも1つのスイッチ素子を有する。少なくとも1つのスイッチ素子は、レート増幅器の少なくとも1つのそれぞれのフィードバックループにある。少なくとも1つのスイッチ素子のスイッチングは、レート増幅器に、所望の動作範囲で高い線形性をもって増幅させ、所望の動作範囲の外にある遷移装置から受信された出力を一定レベルに固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高線形性信号処理増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]光ファイバジャイロスコープ(FOG)において、回転速度の情報は、ファイバコイルを通じて反対方向に伝播する2つの波の間の光位相で符号化される。次いで、それらの波は光検出器にともに衝突させられ、回転によって引き起こされる位相は光干渉強度及び結果として生じる光電流を決定する。次いで、この電流は、通常、おそらくは追加のアナログ又はデジタル利得が印加されて、信号処理のために電圧へとトランスインピーダンス増幅される。高性能FOGでは、回転信号対雑音比を最大化するために、電圧信号は、通常、できるだけ大きな利得で増幅される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0002]ジャイロスコープの信号処理経路において使用されるある電子コンポーネントは、最大の使用可能な利得に制限を課すことがあり得る。例えば、多くの高性能FOGは、光検出器信号をデジタル化するためにアナログ−デジタル変換器(ADC)を使用する。これらのADCはやや狭い損傷しきい値をしばしば有し、安全な入力電圧範囲を、例えば0V−5Vに制限する。この制限された安全な入力電圧範囲は、ADCにつながる電子装置チェーン(electronics chain)に適用することができる最大利得を低減する。
【0004】
[0003]電圧を安全な入力電圧範囲に固定するために現在利用可能な回路は、入力電圧波形をかなり変形させ、さらに、大きなジャイロスコープ過渡事象(transient events)がレートジャイロスコープ回路の捕捉領域で終了することを可能にする。そのような歪みは、雑音、バイアス変調ピックアップ、スケールファクター(倍率)非線形性及び他の要因を増加させ、ジャイロスコープの性能を悪化させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0004]本願はクランプポイント(clamp-point)能動回路に関連する。クランプポイント能動回路は、少なくとも2つのレベル間で遷移装置から出力を受信するように構成されたレート増幅器を含む。クランプポイント能動回路は、レート増幅器から出力を受信するように構成された少なくとも1つのスイッチ素子を有する。少なくとも1つのスイッチ素子は、レート増幅器の少なくとも1つのそれぞれのフィードバックループに存在する。少なくとも1つのスイッチ素子の切り替えは、レート増幅器に、所望の動作範囲の高線形性をもって増幅させ、所望の動作範囲の外にある移行している装置から受信される出力を一定のレベルに固定させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】[0005]通常の動作中の方形波変調による干渉計光ファイバジャイロスコープ(IFOG)のフォトダイオード出力を示す。
【図1B】[0006]過渡事象中の方形波変調による閉ループ干渉計光ファイバジャイロスコープ(IFOG)の動作を示す。
【図2】[0007] 図2Aは例示的な理想的及び理想的でないクランプ(clamping)を示す。図2Bは例示的な理想的及び理想的でないクランプを示す。図2Cは例示的な理想的及び理想的でないクランプを示す。図2Dは例示的な理想的及び理想的でないクランプを示す。図2Eは例示的な理想的及び理想的でないクランプを示す。図2Fは例示的な理想的及び理想的でないクランプを示す。
【図3】[0008]本発明によるクランプポイント能動回路の実施例を示す。
【図4】[0009] 図4Aはシミュレートされた区分的に線形の入力波形を示す。 [0010] 図4Bは理想的な線形回路、従来技術のクランプ回路及び図1の回路へ入力される図4Aの入力波形に応答したシミュレートされた出力波形を示す。
【図5】[0011]本発明によるクランプポイント能動回路の実施例を示す。
【図6】本発明によるクランプポイント能動回路の実施例を示す。
【図7】[0012]従来技術のクランプ回路及び図6の回路へ入力される入力三角波形に応答したシミュレートされた出力波形を示す。
【図8】[0013]従来技術のクランプ回路を示す。
【図9】[0014]本発明による、動作範囲を拡張して回路の出力の線形性を改善する方法を表す流れ図である。
【図10】[0015]本発明による、動作範囲を拡張し、干渉計光ファイバジャイロスコープから入力を受信する回路の出力の線形性を改善する方法を表す流れ図である。
【0007】
[0016]一般的慣習に従って、様々な記載された特徴は縮尺どおりには描かれず、本発明に関連する特徴を強調するように描かれる。同様の参照文字は図面及びテキストの全体にわたって同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017]信号処理経路中のクランプ回路の実施例が本明細書に記載される。これらのクランプ回路は、電子コンポーネントの安全動作範囲内にそうでなければ存在する電圧波形の歪みがない、FOG又は干渉計光ファイバジャイロスコープ(IFOG)信号処理における拡張された利得の使用を可能にする。回路は、脆弱な電子コンポーネントへの入力電圧を安全動作範囲(電圧損傷しきい値又は他の望ましいしきい値Vより下)へとどめるために使用される。望ましいしきい値Vは、最大の安全な電圧又は最大レベルの所望の動作範囲である。理想的なクランプ回路は、1)歪みなしに、V≦Vとなるように所望のクランプレベルに制限されたいくらか選択されたクランプ電圧V内の電圧を通し;2)選択されたクランプ範囲に対する電圧損傷しきい値又は他の望ましいしきい値Vより上の電圧可動域を回避又は制限することができる。選択されたクランプ範囲は、正常動作電圧範囲以上である。正常動作電圧範囲はまた、「正常なジャイロ動作範囲Vgor」と本明細書において呼ばれる。
【0009】
[0018]上述のADC損傷しきい値の考えが及ばないような、所望のクランプレベルV(また、クランプ電圧V又は一定レベルVと本明細書において呼ばれる)を選択する他の基準があってもよい。例えば、演算増幅器が飽和しないことを保証することが望ましいかもしれない;飽和は演算増幅器に対して損傷リスクをもたらさないが、にもかかわらず、各飽和事象の後の非常に長く予測不能の回復時間という形での性能劣化につながることがある。この場合、所望のクランプレベルV<VであってVが演算増幅器の飽和レベルであり、Vが回路のクランプレベルであるように、クランプ回路を設計することが望ましいかもしれない。クランプレベルVの特定の値が異なる適用に応じて変化する場合があることが理解されるべきである。
【0010】
[0019]図1Aは、正常動作中の方形波変調による干渉計光ファイバジャイロスコープ(IFOG)のフォトダイオード出力を示す。本明細書において定義されるように、過渡事象がIFOGによって経験されていない場合、「干渉計光ファイバジャイロスコープの正常動作」はIFOGの動作である。方形波変調によるIFOGの正常動作において、変調波形25によって示されるように、光検出器出力は、方形波の各遷移における非常に短いスパイク31又はグリッチ31とともに、出力波形30として示される、実質的には方形波である。「フォトダイオード出力」という用語は、フォトダイオードの光電流出力を直接的に指すか、又は光電流を電圧に変換するトランスインピーダンス増幅器の電圧出力を指す。交流の(alternating)方形波の位相はAとBとラベル付けされる。レベルAからレベルBへの遷移は、「遷移事象」及び「線形遷移事象」と本明細書において呼ばれる。レベルAからレベルBへの又はレベルBからレベルAへの線形遷移事象は、本明細書において「正常な遷移」と呼ばれ、クランプ(clamping)を必要としない。ジャイロスコープが1つの方向に回転している場合、方形波復調によって通常得られる差信号(A−B)は0より大きく、ジャイロスコープが他の(反対)方向に回転している(スピンしている)場合、差信号(A−B)は0より小さい。光ビームに位相補正を提供することにより、「閉ループ」IFOG回路はこのA−B差信号をゼロにする(無効にする)。信号をゼロにするのに要する補正の量は、コイル(ジャイロ)が回している速度に比例する。
【0011】
[0020]IFOG応用について、線形のA及びB信号は正確な回転速度値を得ることにとって重要である。応答が線形でない場合、IFOG速度測定の性能に誤差が存在する。高性能IFOGレート増幅器は、回転速度を正確に測定するために、A及びB信号の両方の線形性を示さなければならない。バイアス変調についてA位相からB位相へ回転する場合、電子装置はジャイロスコープの最大出力(インターフェログラムのピーク)を超えて動作点を迅速に移動させ、このポイントにおいて、光パワー中のスパイクが生成される(例えば、スパイク31)。
【0012】
[0021]光検出器波形30の方形波は通常非常に振幅が低い。この実施例の1つの実施において、振幅は、開ループジャイロスコープのゼロ回転速度又は閉ループジャイロスコープのゼロ加速度に対してゼロである。いくつかの回転速度及び/又は加速度条件については、方形波の振幅は所望のクランプレベルVに近づく。この場合、クランプ回路が、V≦Vの任意のVに対して光検出器波形30の一般に方形の形状を歪ませないことが重要である。別の方法で述べると、入力電圧が所望のクランプレベルV以下である限り、クランプ出力が方形波入力電圧(すなわち、方形波変調波形25)において線形であることが重要である。そのようなクランプ線形性はジャイロスコープの良好なスケールファクター線形性を保証するために必要である。
【0013】
[0022]本明細書に記載された回路は、信号処理電子装置の増加した動作範囲を提供し、この所望の動作範囲における高い線形性を提供し、過渡事象の場合でさえ動作範囲を超えて迅速にクランプするように設計されている。図1Bは、過渡事象中の方形波変調による干渉計光ファイバジャイロスコープ(IFOG)の動作を示す。過渡事象は、所望のクランプレベルVを超過し、下流の電子装置の飽和損傷しきい値(V又はV)を越える、光検出器波形40中のパルス35を生成する。レベルA又はレベルBから例示的なレベルCへの遷移は、「過渡事象」と本明細書において呼ばれる。レベルAからレベルC又はレベルBからレベルCへの過渡事象は、通常、クランプがない場合、信号レベルを、下流の電子装置の飽和しきい値又は損傷しきい値を超えさせる、まれな事象である。過渡事象は、本明細書に記載された回路によって、選択された所望のクランプレベルV≦V(例えば、定義された範囲)に固定される。
【0014】
[0023]本明細書に記載された回路の利点を明確に概説するために、理想的な及び理想的でないクランプの影響が記載される。図2A−2Fは、例示的な理想的及び理想的でないクランプを示す。図2A−2Bは、それぞれ、Vin及びVoutに対する理想的なクランプを示す。図2Aに示される例示的な入力電圧パルスVinは、図2Bに示される例示的な出力電圧パルスVoutとして、最大の所望のクランプレベルVに固定される。出力電圧パルスVoutは水平である。例示的なジャイロスコープ動作範囲Vgorの電圧は、クランプ電圧Vよりわずかに小さいように示される。この理想的な場合では、ジャイロスコープ動作範囲Vgor内のいかなる入力電圧もクランプ回路に影響されず、Vout/Vin比(図2Eに示される)は、ジャイロスコープ動作範囲Vgorの全体にわたって、及びクランプ電圧Vまで、一定であり、1(1.0)に等しい。
【0015】
[0024]図2C−2Dは理想的でないクランプを表す。図2Cに示される例示的な入力電圧パルスVinは、クランプ電圧V以下の電圧において歪みを有する理想的でない例示的な出力電圧パルスVout(図2D)として固定される(クランプされる)。この理想的でない場合では、例示的な出力電圧パルスVoutは、理想的でないクランプのために、Vinの貧弱な表現である。 図2Dに示されるように、Vinがジャイロスコープ動作範囲Vgor内にある場合でさえ、出力電圧Voutの一部はVinと異なる。図2Fに示されるように、理想的でない場合については、Vout/Vin比は、ジャイロスコープ動作範囲Vgor内で1より小さい。Vout/Vin比がジャイロスコープ動作範囲Vgor内で1より小さい場合、ジャイロスコープ信号は悪くなる。
【0016】
[0025]過渡事象はクランプ回路の必要性を要求する。行き過ぎたスパイクが、変調スキームのランダム化が使用される不感帯抑制により、光ファイバジャイロスコープに周期的に生じてもよい。変調スキームのランダム化は、任意の振幅及び方向の方形パルスによって(通常、持続時間におけるマイクロ秒のオーダーで)周期的に変調される光検出器波形を生成する。信号処理電子装置の高い利得により、そのようなパルスは、電圧飽和しきい値又は損傷しきい値V又はVを十分超えて増幅することができる。クランプ回路は損傷又は飽和を防ぐために必要である。
【0017】
[0026]他の過渡事象は放射事象及び機械的衝撃である。放射事象において、光検出器は光電流で簡単にいっぱいになって、電圧飽和しきい値又は損傷しきい値V又はVの上限より上の電圧スパイクを潜在的に作成する。同様に、機械的衝撃は、迅速な光損失過渡信号を生成して、低電圧飽和しきい値又は損傷しきい値V又はVに近い電圧を駆動し得る。これらの過渡事象は光パワーの高速な一時的減少又は増加を引き起こし、通常、IFOGの速度測定の精度を低減する。IFOGの速度測定精度を低減する大きな光遷移又はグリッチは、本明細書において「大規模なジャイロスコープレート事象」と呼ばれる。本明細書に記載された回路の実施例は、正常な動作範囲で線形性を増加させ、クランプ処理中に高調波歪みを低減する。
【0018】
[0027]ジャイロスコープ・ファームウェアは、遷移事象中に獲得サンプルをスキップすることによってグリッチ又はスパイクを拒絶するように構成されてもよい。しかし、クランプ回路(clamping circuitry)によって生成された歪みは、グリッチ雑音が遷移事象を超えて延在してジャイロスコープ信号を悪化させることを可能にしてもよい。
【0019】
[0028]本明細書に記載された回路は、増幅器からの線形出力を要求する応用に適用可能であり、増幅器は2つ以上のレベル間で遷移する装置から信号を受信する。本明細書に記載された回路は、拡張されたダイナミックレンジにわたって線形動作範囲(すなわち、差動利得誤差が低い)を生成し、レート増幅器が動作範囲の末端において非線形になる可能性を低減する。
【0020】
[0029]本明細書に記載された回路は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)などの能動スイッチ素子を使用して、所望のクランプレベルまで改善された線形伝達関数(すなわち、クランプ関数)を提供する。本明細書に記載された回路は、必要に応じて又は回路のユーザーによって望まれる所望の動作範囲を含むように設計される。本明細書において定義されるように、回路から出力される「改善された線形伝達関数」は、従来技術のクランプ回路から出力される伝達関数の改善されたものである。
【0021】
[0030]図3は、本発明によるクランプポイント能動回路10の実施例を示す。クランプポイント能動回路10はまた本明細書において回路10と呼ばれる。回路10は、レート増幅器100、PNPバイポーラ接合トランジスタ200(または「能動スイッチ素子200」及び「スイッチ素子200」と本明細書において呼ばれる)、NPNバイポーラ接合トランジスタ201(または「能動スイッチ素子201」又は「スイッチ素子201」と本明細書において呼ばれる)、正電圧源210、第1のダイオード220、第2のダイオード221、負電圧源211、第3のダイオード230及び第4のダイオード231を含む。レート増幅器100の反転入力105は入力抵抗252を介して装置50からパルスを受信する。レート増幅器100の非反転入力106は接地したラインに接続される。レート増幅器100の出力107から出力信号を受信するために、出力抵抗器255及び出力キャパシタ256が連続して配置される。出力信号は、装置50によって提供される技術的応用の種類によって、必要に応じて、バックエンド・ジャイロスコープ処理回路(図示せず)へ提供される。
【0022】
[0031]レート増幅器100は、2つのレベルの間で切り替わっている装置50から出力を受信する。この実施例の1つの実施において、装置50は干渉計光ファイバジャイロスコープのレート光検出器である。そのような実施例では、レート増幅器100はレートジャイロスコープ増幅器100である。したがって、「レート増幅器」及び「レートジャイロスコープ増幅器」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。PNPバイポーラ接合トランジスタ200及びNPNバイポーラ接合トランジスタ201は、レートジャイロスコープ増幅器100のそれぞれのフィードバックループにある。PNPバイポーラ接合トランジスタ200及びNPNバイポーラ接合トランジスタ201は、レートジャイロスコープ増幅器100から出力を受信する。回路10中のバイポーラ接合トランジスタのスイッチング動作は、回路10のバイポーラ接合トランジスタスイッチング動作を含まない従来技術のクランプ回路において増幅器から出力される信号よりもより線形である、所望の動作範囲内の伝達関数を有する信号を、レートジャイロスコープ増幅器100に出力させる。例示的な従来技術のクランプ回路が図8に示される。
【0023】
[0032]回路10は対称的な方法で2つのバイポーラ接合トランジスタ200及び201並びに4つのダイオード220、221、230及び231を使用する。PNPバイポーラ接合トランジスタ200、第1のダイオード220及び第2のダイオード221は、前半回路(first-half circuit)21を形成する。レートジャイロスコープ増幅器100の出力107があらかじめ選択された電圧を超過する場合、PNPバイポーラ接合トランジスタ200は、レートジャイロスコープ増幅器100の出力107からレートジャイロスコープ増幅器100の反転入力105への低インピーダンスフィードバック経路を提供する。この実施例の1つの実施においては、あらかじめ選択された電圧は1V+VBE(約+1.6V)であり、VBEはトランジスタのベースエミッタ(base-emitter)電圧である。第1のダイオード220(または本明細書においてPNダイオード220と呼ばれる)は逆電圧ブレークダウンの破損からPNPバイポーラ接合トランジスタ200ベースエミッタ接合を保護する。第2のダイオード221(又は本明細書においてショットキーダイオード221と呼ばれる)は、PNPバイポーラ接合トランジスタ200のコレクタ/エミッタ(CE)飽和を防ぎ、動作速度を改善する。
【0024】
[0033]同様の動作が、NPNバイポーラ接合トランジスタ201、第4のダイオード231(または本明細書においてPNダイオード231と呼ばれる)及び第3のダイオード230(または本明細書においてショットキーダイオード230と呼ばれる)を含む、後半回路(second-half circuit)22で生じる。ここで、レートジャイロスコープ増幅器100の出力があらかじめ選択された値の負数を下回る場合、NPNバイポーラ接合トランジスタ201は、レートジャイロスコープ増幅器100の出力107からレートジャイロスコープ増幅器100の反転入力105への低インピーダンスフィードバック経路を提供する。この実施例の1つの実施においては、あらかじめ選択された電圧の負数は−1V−VBE(約−1.6V)である。第4のダイオード231は逆電圧ブレークダウンの破損からNPNバイポーラ接合トランジスタ201ベースエミッタ接合を保護する。第3のダイオードは、NPNバイポーラ接合トランジスタ201のコレクタ/エミッタ(CE)飽和を防ぎ、動作速度を改善する。前半回路21及び後半回路22は、ともに、動作範囲、最大動作範囲及び動作範囲を超える迅速なクランプの高い線形性をもたらす。
【0025】
[0034]正電圧源210の出力、第1のダイオード220のアノード225及び第2のダイオード221のカソード227は、PNPバイポーラ接合トランジスタ200のベース272に接続される。本明細書において定義されるように、2つの回路素子間の接続は、それら素子間の直接的な接続又は別の回路素子(例えば、抵抗器又はインダクタ)を介してなされる素子間の接続のいずれかである。この実施例の1つの実施においては、接続は回路基板上のトレースラインである。PNPバイポーラ接合トランジスタ200のコレクタ270は、レートジャイロスコープ増幅器100の反転入力105に接続される。第2のダイオード221のアノード228は、PNPバイポーラ接合トランジスタ200のコレクタ270及びレートジャイロスコープ増幅器100の反転入力105に接続される。第1のダイオード220のカソード226は抵抗器254を介してレートジャイロスコープ増幅器100の出力107に接続され、また、PNPバイポーラ接合トランジスタ200のエミッタ271に接続される。PNPバイポーラ接合トランジスタ200のエミッタ271は抵抗器254を介してレートジャイロスコープ増幅器100の出力107に接続される。
【0026】
[0035]負電圧源211の出力、第3のダイオード230のアノード235及び第4のダイオード231のカソード237は、NPNバイポーラ接合トランジスタ201のベース282に接続される。NPNバイポーラ接合トランジスタ201のコレクタ280は、レートジャイロスコープ増幅器100の反転入力105に接続される。第3のダイオード230のカソード236は、NPNバイポーラ接合トランジスタ201のコレクタ280及びレートジャイロスコープ増幅器100の反転入力105に接続される。第4のダイオード231のアノード238は抵抗器253を介してレートジャイロスコープ増幅器100の出力107に接続され、また、NPNバイポーラ接合トランジスタ201のエミッタ281に接続される。NPNバイポーラ接合トランジスタ201のエミッタ281は抵抗器253を介してレートジャイロスコープ増幅器100の出力107に接続される。
【0027】
[0036]フィードバック抵抗器251及びフィードバックキャパシタ250はレートジャイロスコープ増幅器100と平行に構成される。フィードバック抵抗器251及びフィードバックキャパシタ250は、レートジャイロスコープ増幅器100の出力107からレートジャイロスコープ増幅器100の反転入力105に接続される。このように、フィードバックがレートジャイロスコープ増幅器100に提供される。クランプポイント能動回路10のクランプ範囲は、精密電源210及び211を異なる値の精密電源210及び211で置き換えることにより容易に調節される。この実施例の1つの実施において、精密電源210及び211は調整可能な電源であり、クランプポイント能動回路10のクランプ範囲は、精密電源210及び211を調整することにより調節される。
【0028】
[0037]スイッチ素子200及び201のスイッチングは、回路10の線形動作範囲を拡張し、同時に、その他の方法では動作範囲を超過し得る過渡事象をクランプする最も大きな可能性を保証する。図3の回路10中のスイッチ素子200及び201のスイッチングは、レート増幅器100に、所望の動作範囲の高い線形性をもって増幅させ、所望の動作範囲(例えば、Vより大きい)の外にある遷移する装置(transitioning device)50から受信される過渡事象を一定レベルVへとどめさせる。装置50が少なくとも2つのレベルのうちの少なくとも1つのレベル(例えば、図1BのレベルBを超えてレベルCへ)移行する場合、レート増幅器100がクランプされる。拡張された動作範囲にわたって固定された(クランプされた)過渡事象の割合を最大化するために、回路10は選択された素子をもって設計される。
【0029】
[0038]この実施例の1つの実施においては、固定された過渡事象の割合は99.99%に増加(改善)される。この実施例の別の実施では、固定された過渡事象の割合は99.99%に増加される。さらに別の実施例において、固定された過渡事象の割合は99.999%に増加される。拡張された動作範囲にわたる固定された過渡事象の所望の割合を保証するために、回路10は選択された素子をもって設計される。まだこの実施例のさらにの実施では、固定された過渡事象の割合は拡張された動作範囲にわたって最大化される。
【0030】
[0039]この実施例の1つの実施において、第1のダイオード220はダイオード1N4148であり、第2のダイオード221はダイオード1N5711であり、PNPバイポーラ接合トランジスタ200はトランジスタ2N2907Aであり、第3のダイオード230はダイオード1N5711であり、第4のダイオード231はダイオード1N4148であり、NPNバイポーラ接合トランジスタ201はトランジスタ2N2222Aである。この実施例の別の実施では、フィードバック抵抗器251は6000オームの抵抗器であり、フィードバックキャパシタ250は4pFのキャパシタであり、抵抗器254は200オームの抵抗器であり、抵抗器253は200オームの抵抗器である。この実施例では、入力抵抗252は2000オームの抵抗器であり、出力抵抗器255は84.5オームの抵抗器であり、出力キャパシタ256は1pFのキャパシタである。この実施例の別の実施では、回路10は他のダイオード及びトランジスター、並びに抵抗器及びキャパシタについての他の値を含む。
【0031】
[0040]図4Aはシミュレートされた区分的に線形の入力波形50を示す。図4Bは、理想的な線形回路、従来技術のクランプ回路及び図1の回路10へ入力される図4Aの入力波形50に応答する、シミュレートされた出力波形60、70及び80をそれぞれ示す。図4Bの出力波形60は(ブレークポイントの前の比較について)純粋な線形出力を示す。出力波形70は、出力波形60に重ねられ、回路中のバイポーラ接合トランジスタのスイッチング動作を欠く例示的な理想的でない従来技術のクランプ回路(図8を参照)からの出力を示す。出力波形80は、出力波形60及び70に重ねられ、回路10(図3)からの出力を示し、従来技術の回路からの出力波形70より線形である。出力波形80が従来技術の出力波形70より線形であるので、出力波形80の動作範囲は、従来技術の出力波形70の動作範囲を超えて拡張される。理想的には、出力波形80は、ブレークポイントの前に3ボルト/マイクロ秒に近い理想的なスルーレートを有する。この動作は、意図的に、ブレークポイント未満に縮小されたレートにおける正確なレート決定のためにIFOG A−B統合をサポートする。したがって、図3の回路10は、従来技術のクランプ回路より高く固定し、ジャイロスコープの光遷移事象の統計的集合の歪みを低減する、クランプポイントを提供する。
【0032】
[0041]好ましい線形関数は、ある定義されたしきい値、おそらくは100ppm未満だけ理想と異なる関数である;言いかえれば、Vout/Vinが100ppm内で1.0と等しい場合、回路は高度に線形である。ここで別の定義によれば、高度な線形関数は、10ppm未満だけ理想と異なる関数である。ここでの1つの定義によれば、クランプが生じる領域は、クランプが生じる領域が、クランプが生じる全体の時間の初期の時間の5%未満の間、クランプ電圧Vの1%未満の振動(共鳴)を含む場合、高度に線形であると考えられる。ここでの1つの定義によれば、クランプが生じる領域は、クランプが生じる領域が、クランプが生じる全体の時間の初期の時間の10%未満の間、クランプ電圧Vの3%未満の振動(共鳴)を含む場合、高度に線形であると考えられる。ここでの1つの定義によれば、クランプが生じる領域が、従来技術のクランプ回路から利用可能なクランプ電圧Vの10%の共鳴ではなくクランプ電圧Vの1%未満の振動(共鳴)を含む場合、伝達関数は高度に線形である。ここでの1つの定義によれば、クランプが生じる全体の時間の20%の間に生じる従来技術のクランプ回路における共鳴ではなく、クランプが生じる全体の時間の5%未満の間、共鳴が生じるように、伝達関数の線形性が改善される。
【0033】
[0042]クランプ回路の他の実施例は、レートフィードバックネットワークの外部にある電圧やネットワークを必要としない。レートフィードバックネットワークの外の電圧又はネットワーク(回路素子を含む)が回路に余分な雑音を導入し得るので、これらの実施例は、外部ソース/回路を必要とする回路に関して、ランダムな及び系統的な雑音のレベルを低減することができる。レートフィードバックネットワーク回路の外部の電圧又はネットワークを必要としないクランプ回路の実施例は、従来技術のクランプ回路より、クランプ機能を行い/解放する際にかなり高速である。そのような回路は、温度又は他の環境変化に関して従来技術のクランプ回路より良好なスケールファクター線形性性能を生成し、有利である。理想的なレート増幅器は振幅及び温度に関して線形に動作し、クランプするが、記載される動作条件の下では飽和しない。
【0034】
[0043]図5は、本発明によるクランプポイント能動回路11の実施例を示す。クランプポイント能動回路11はまた本明細書において回路11と呼ばれる。回路11は、レート増幅器101、PNPバイポーラ接合トランジスタ300(また「能動スイッチ素子300」及び「スイッチ素子300」とも本明細書において呼ばれる)、第1の抵抗器310、第2の抵抗器311及びフィードバックキャパシタ341を含む。レート増幅器101、PNPバイポーラ接合トランジスタ300、第1の抵抗器310及び第2の抵抗器311は、ともに、レートジャイロスコープ増幅器101へのレートフィードバックネットワーク85を形成する。回路11はまた、入力抵抗350、出力抵抗器342及び出力キャパシタ343を含む。レート増幅器101の反転入力115は入力抵抗350を介して電流を受信する。レート増幅器101の非反転入力116は接地される。
【0035】
[0044]レート増幅器101は、2つのレベルの間で切り替わる装置50から出力を受信する。この実施例の1つの実施では、装置50は干渉計光ファイバジャイロスコープのレート光検出器である。この場合、レート増幅器101はレートジャイロスコープ増幅器101である。PNPバイポーラ接合トランジスタ300はレートジャイロスコープ増幅器101のフィードバックループにある。PNPバイポーラ接合トランジスタ300はレートジャイロスコープ増幅器101から出力を受信する。回路11中のバイポーラ接合トランジスタのスイッチング動作は、正常動作電圧範囲における改善された線形性及びこの範囲の上の改善されたクランプを備えた伝達関数をレートジャイロスコープ増幅器101に与える。
【0036】
[0045]PNPバイポーラ接合トランジスタ300のエミッタ371はレートジャイロスコープ増幅器101の出力117に接続される。PNPバイポーラ接合トランジスタ300のコレクタ370は、レートジャイロスコープ増幅器101の反転入力115に接続される。PNPバイポーラ接合トランジスタ300のベース372は、互いに直列な第1の抵抗器310と第2の抵抗器311との間のノード312に接続される。第1の抵抗器310及び第2の抵抗器311はレートジャイロスコープ増幅器101の反転入力115及び出力117と並列である。フィードバックキャパシタ341はまた、レートジャイロスコープ増幅器101の反転入力115及び出力117と並列である。クランプポイント能動回路11のクランプ範囲は、抵抗器311を別の値の抵抗器311で置き換えることにより容易に調節される。
【0037】
[0046]この実施例の1つの実施では、PNPバイポーラ接合トランジスタ300はMM3906トランジスタであり、フィードバック抵抗器310は3650オームの抵抗器であり、フィードバック抵抗器311は665オームの抵抗器であり、フィードバックキャパシタ341は18pFのキャパシタであり、抵抗器342は169オームの抵抗器であり、抵抗器350は383オームの抵抗器である。この実施例の別の実施では、回路11は別のトランジスタ、並びに抵抗器及びキャパシタについて他の値を含む。
【0038】
[0047]図5の回路11中のスイッチ素子300のスイッチングは、回路11の線形動作範囲を拡張し、同時に、その他の方法では動作範囲を超過し得る過渡事象をクランプする最も大きな可能性を保証する。スイッチ素子300のスイッチングは、レート増幅器101に、所望の動作範囲で高い線形性で増幅させ、所望の動作範囲の外にある遷移装置50から受信された過渡事象を一定レベル(クランプ電圧)Vへ固定させる。装置50が少なくとも2つのレベルA及びB(図1B)のうち少なくとも1レベルを超えて(例えば、図1BのレベルCへのレベルBを超えて)移行する場合、レート増幅器101はクランプされる。拡張された動作範囲にわたって固定された過渡事象の割合を最大化するために、回路11は選択された素子をもって設計される。
【0039】
[0048]図6は、本発明によるクランプポイント能動回路12の実施例を示す。クランプポイント能動回路12はまた、「回路12」及び「カスコード回路12」と本明細書において呼ばれる。回路12は、レート増幅器102、PNPバイポーラ接合トランジスタ400(また「能動スイッチ素子400」及び「スイッチ素子400」と本明細書において呼ばれる)、NPNバイポーラ接合トランジスタ401(また「能動スイッチ素子401」及び「スイッチ素子401」と本明細書において呼ばれる)、第1の抵抗器320、第2の抵抗器321、フィードバックキャパシタ340、抵抗器323及び抵抗器322を含む。レート増幅器102、PNPバイポーラ接合トランジスタ400、NPNバイポーラ接合トランジスタ401、第1の抵抗器320、第2の抵抗器321、フィードバックキャパシタ340、抵抗器323及び322は、ともに、レートジャイロスコープ増幅器102へのレートフィードバックネットワーク86を形成する。回路12はまた、入力抵抗351、出力抵抗器344及び出力キャパシタ345を含む。レート増幅器102の反転入力125は入力抵抗351を介して電流を受信する。レート増幅器102の非反転入力126は接地したラインに接続される。
【0040】
[0049]レート増幅器102は、少なくとも2つのレベル(例えば、レベルA及びB)の間で切り替わっている装置50から出力を受信する。この実施例の1つの実施では、装置50は干渉計光ファイバジャイロスコープのレート光検出器であり、レート増幅器102はレートジャイロスコープ増幅器102である。PNPバイポーラ接合トランジスタ400及びNPNバイポーラ接合トランジスタ401は、レートジャイロスコープ増幅器102のフィードバックループにある。回路12中のバイポーラ接合トランジスタのスイッチング動作は、レートジャイロスコープ増幅器102に、改善された伝達関数を出力させる。
【0041】
[0050]PNPバイポーラ接合トランジスタ400のエミッタ461はレートジャイロスコープ増幅器102の出力127に接続される。PNPバイポーラ接合トランジスタ400のコレクタ460は、抵抗器323を介してレートジャイロスコープ増幅器102の反転入力125に接続される。PNPバイポーラ接合トランジスタ400のベース462は、互いに直列の第1の抵抗器320と第2の抵抗器321との間のノード412に接続される。第1の抵抗器320及び第2の抵抗器321はレートジャイロスコープ増幅器102の反転入力125及び出力127と並列である。フィードバックキャパシタ340はまた、レートジャイロスコープ増幅器102の反転入力125及び出力127と並列である。
【0042】
[0051]NPNバイポーラ接合トランジスタ401のエミッタ471は、抵抗器322を介して、レートジャイロスコープ増幅器102の反転入力125に接続される。NPNバイポーラ接合トランジスタ401のコレクタ470はレートジャイロスコープ増幅器102の出力127に接続される。NPNバイポーラ接合トランジスタ401のベース472は、抵抗器323を介して、レートジャイロスコープ増幅器102の反転入力125に接続される。ベース472はまた、PNPバイポーラ接合トランジスタ400のコレクタ460に接続される。クランプポイント能動回路11のクランプ範囲は、抵抗器321を別の値の抵抗器321で置き換えることにより容易に調節される。
【0043】
[0052]回路12は高速で高度に線形な応答を可能にするカスコード回路12である。回路11又は12は、それぞれ、レートフィードバックネットワーク85又は86の外の電圧から独立しており、したがって外部の電圧によって生成される余分な雑音とは無関係である。
【0044】
[0053]この実施例の1つの実施では、PNPバイポーラ接合トランジスタ400はトランジスタMM3906であり、NPNバイポーラ接合トランジスタ401はトランジスタMPS2222であり、フィードバック抵抗器320は3711オームの抵抗器であり、フィードバック抵抗器321は604オームの抵抗器であり、フィードバックキャパシタ340は7pFのキャパシタであり、抵抗器323は10Kオームの抵抗器であり、抵抗器322は1オームの抵抗器である。この実施例の別の実施では、入力抵抗351は383オームの抵抗器であり、出力抵抗器344は169オームの抵抗器である。この実施例の別の実施では、回路12は他のトランジスター、並びに抵抗器及びキャパシタについて他の値を含む。
【0045】
[0054]図6の回路12中のスイッチ素子400及び401のスイッチングは、回路12の線形動作範囲を拡張し、同時に、その他の方法では動作範囲を超過し得る過渡事象をクランプする最も大きな可能性を保証する。スイッチ素子400及び401のスイッチングは、レート増幅器102に、所望の動作範囲で高い線形性で増幅させ、所望の動作範囲の外にある、遷移装置50から受信された過渡事象を一定レベル(クランプ電圧)Vへ固定させる。装置50が少なくとも2つのレベルA及びB(図1B)のうち少なくとも1つのレベルを超えて(例えば、図1BのレベルCに対してレベルBを超えて)移行する場合、レート増幅器102はクランプされる。拡張された動作範囲にわたってクランプされた過渡事象の割合を最大化するために、回路12は選択された素子をもって設計される。
【0046】
[0055]図7は、従来技術のクランプ回路13及び図6の回路12へ入力される入力三角波形150に応答する、シミュレートされた出力波形170及び180を示す。図8は従来技術のクランプ回路13を示す。
【0047】
[0056]図7の入力波形150は純粋な線形入力を示す。三角波形151は、回路12(図6)のレート増幅器102の反転入力ノード125においてオフセット回路によって出力波形150から取り除かれたDCオフセット差である。出力波形170は、回路中のバイポーラ接合トランジスタのスイッチング動作を欠く、例示的な理想的でない従来技術のクランプ回路13(図9)からの出力を示す。出力波形180は、カスコード回路12(図6)からの出力を示す。
【0048】
[0057]回路11の線形性と歪みの性能は従来技術のクランプ回路13(図8)よりよいが、カスコード回路12のそれよりは小さい。有利なことに、回路11は、より少数のコンポーネントが高線形性を提供することを要求する。回路12の線形性と歪みの性能は非常に高いが、回路12は回路11に要求されるコンポーネントの2倍より多くのものを必要とする。バイポーラ接合トランジスタスイッチング動作は、正常動作電圧範囲Vgorにおいてより線形である伝達関数を提供しつつ、それぞれ回路10、11及び12中のレートジャイロスコープ増幅器100、101及び102の出力を、所望のクランプレベルV≦Vに固定する。回路10、11及び12中のバイポーラ接合トランジスタのスイッチング動作は、それぞれ、レートジャイロスコープ増幅器100、101及び102に、回路10、11又は12のバイポーラ接合トランジスタのスイッチング動作のない増幅器から出力される信号より線形である伝達関数を備えた所望のクランプレベルVより下の信号を出力させる。実施例において、本明細書に記載された回路は、記載された要素と直列の及び/又は並列の追加の素子を含む。
【0049】
[0058]異なるジャイロスコープの適用されたバイアス変調振幅(変調深さ)に基づき、本明細書に示された回路10、11及び12の異なる実施例が好ましい。例えば、図5及び6の回路11及び12は3/4π変調を有するジャイロスコープにとってよりよい回路である一方、図3の回路10はπ/2変調を有するジャイロスコープにとってよりよい回路である。
【0050】
[0059]図9は、本発明による、動作範囲を拡張し、回路の出力の線形性を改善する方法900を表す流れ図である。方法900に関して記載された回路は回路10、11又は12のいずれかである。
【0051】
[0060]ブロック902において、少なくとも2つのレベルの間で切り替わる装置50からの出力は、回路10、11又は12中のレート増幅器100、101又は102の反転入力において、それぞれ受信される。
【0052】
[0061]ブロック904において、フィードバックが、少なくとも1つのスイッチ素子を介して、レート増幅器100、101又は102に提供される。この実施例の1つの実施では、スイッチ素子は少なくとも1つのPNPバイポーラ接合トランジスタである。回路10において、図3に関して上に記載されるように、フィードバックは、バイポーラ接合トランジスタ200及び201を介してレート増幅器100に提供される。回路11において、図5に関して上に記載されるように、フィードバックは、PNPバイポーラ接合トランジスタ300を介してレート増幅器101に提供される。回路12において、図6に関して上に記載されるように、フィードバックは、PNPバイポーラ接合トランジスタ400及びNPNバイポーラ接合トランジスタ401を介してレート増幅器102に提供される。
【0053】
[0062]ブロック906において、装置が少なくとも2つのレベルのうち少なくとも1つのレベルを超えて移行する場合にレート増幅器の出力がクランプされる一方、同時に、回路の線形動作範囲が拡張される。例えば、回路10、11及び12のレート増幅器100、101及び102はそれぞれ、装置がレベルAからレベルCなどのレベルBを超えたレベルへ遷移する場合、クランプされる。
【0054】
[0063]複数の遷移事象(transitioning events)(あるレベルから別のレベルへの装置50のスイッチング)について、線形の遷移事象(例えば、必要に応じてクランプあり又はクランプなしで所望のクランプレベルV≦Vを下回る遷移事象)の割合は、拡張された動作範囲にわたって増加させられる。複数の過渡事象について、固定された(クランプされた)過渡事象(例えば、所望のクランプレベルV≦Vに固定される過渡事象)の割合は、拡張された動作範囲について増加される。本明細書において定義されるように、線形の遷移事象は、レート増幅器からの高度に線形な伝達関数をもたらす遷移事象である。したがって、線形の遷移事象は、その他の方法では電子コンポーネントの安全動作範囲内にある電圧波形の歪みを低減する。
【0055】
[0064]図10は、本発明による、動作範囲を拡張し、干渉計光ファイバジャイロスコープ(IFOG)から入力を受信する回路の出力の線形性を改善する方法1000を表す流れ図である。方法1000に関して記載された回路は回路10、11又は12のいずれかである。
【0056】
[0065]ブロック1002において、2つのレベル間で遷移するIFOG50からの出力は、回路10、11又は12のレートジャイロスコープ増幅器100、101又は102の入力において、それぞれ受信される。
【0057】
[0066]ブロック1004において、フィードバックは、スイッチ素子を介して、レートジャイロスコープ増幅器100、101又は102に提供される。この実施例の1つの実施では、スイッチ素子は少なくとも1つのPNPバイポーラ接合トランジスタである。回路10において、図3に関して上に記載されるように、フィードバックは、レート増幅器100の反転入力105にPNPバイポーラ接合トランジスタ200のコレクタ270を接続し;レート増幅器100の反転入力105にNPNバイポーラ接合トランジスタ201のコレクタ280を接続し;正電圧源210の出力、第1のダイオード220のアノード225、及び第2のダイオード221のカソード227をPNPバイポーラ接合トランジスタ200のベース272へ接続し;負電圧源211の出力、第3のダイオード230のアノード235及び第4のダイオード231のカソード237を、NPNバイポーラ接合トランジスタ201のベース282へ接続することによって、バイポーラ接合トランジスタ200及び201を介してレート増幅器100に提供される。
【0058】
[0067]回路11において、図5に関して上に記載されるように、フィードバックは、PNPバイポーラ接合トランジスタ300のエミッタ371にレート増幅器101の出力117を接続し;レート増幅器101の反転入力115にPNPバイポーラ接合トランジスタ300のコレクタ370を接続し;互いに直列な第1の抵抗器310と第2の抵抗器311との間のノード312へPNPバイポーラ接合トランジスタ300のベース372を接続することによって、PNPバイポーラ接合トランジスタ300を介してレート増幅器101に提供される。
【0059】
[0068]回路12において、図6に関して上に記載されるように、フィードバックは、PNPバイポーラ接合トランジスタ400のエミッタ461にレート増幅器102の出力127を接続し; 抵抗器323を介してレート増幅器102の反転入力125にPNPバイポーラ接合トランジスタ400のコレクタ460を接続し;互いに直列である第1の抵抗器320と第2の抵抗器321との間のノード412にPNPバイポーラ接合トランジスタ400のベース462を接続し;NPNバイポーラ接合トランジスタ401のベース472にPNPバイポーラ接合トランジスタ400のコレクタ460を接続し;レート増幅器102の出力127にNPNバイポーラ接合トランジスタ401のコレクタ470を接続し;第3の抵抗器322を介してレート増幅器102の入力125にNPNバイポーラ接合トランジスタ400のエミッタ471を接続することによって、PNPバイポーラ接合トランジスタ400及びNPNバイポーラ接合トランジスタ401を介してレート増幅器102に提供される。
【0060】
[0069]ブロック1006において、IFOG50が少なくとも2つのレベルのうち少なくとも1つのレベルを超えて移行する場合、レートジャイロスコープ増幅器100、101又は102の出力はクランプされる。例えば、IFOG50がレベルAからレベルCなどのレベルBを超えたレベルへ移行する場合、回路10、11及び12のレートジャイロスコープ増幅器100、101及び102は、それぞれ、所望のクランプレベルVに固定される。複数の遷移事象(あるレベルから別のレベルへのIFOG50のスイッチング)について、線形の遷移事象(例えば、必要に応じてクランプあり又はクランプなしに所望のクランプレベルV≦Vを下回る遷移事象)の割合は、拡張された動作範囲にわたって増加させられる。複数の過渡事象について、固定された過渡事象(例えば、所望のクランプレベルV≦Vに固定される過渡事象)の割合は、拡張された動作範囲について増加される。回路10(図3)において、精密電源210及び211はクランプ調節をもたらすために切り替えられる。この実施例の1つの実施では、精密電源210及び211は調整可能であり、精密電源210及び211はクランプ調節をもたらすために調整される。回路11及び12(それぞれ図5及び6)において、抵抗器311又は321は、クランプ動作電圧に対して調節をもたらすために、異なる抵抗値の抵抗器で置き換えられる。この実施例の1つの実施では、抵抗器311又は321は調整可能であり、抵抗値はクランプ動作電圧に対して調節をもたらすために調整される。このように、複数の遷移事象について、固定された過渡事象の割合は、拡張された動作範囲に対して増加される。
【0061】
[0070]特定の実施例が本明細書において示され記載されたが、当業者であれば、同じ目的を達成することを意図した任意の構成が、開示された特定の実施例の代わりに用いられてもよいことが理解されよう。本出願は、本発明についての任意の適応及び変更を含むように意図される。したがって、本発明が請求項及びその均等物によってのみ限定されることが明白に意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのレベル間で遷移する装置(50)から出力を受信するように構成されたレート増幅器(100、101、102)と、
前記レート増幅器の少なくとも1つのそれぞれのフィードバックループ中にあり、前記レート増幅器からの出力を受信するように構成された少なくとも1つのスイッチ素子(200)であって、前記少なくとも1つのスイッチ素子のスイッチングは、前記レート増幅器に、所望の動作範囲で高い線形性で増幅させ、前記所望の動作範囲の外にある前記遷移装置から受信された出力を一定レベルに固定させる、少なくとも1つのスイッチ素子と
を備えるクランプポイント能動回路(10、11、12)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスイッチ素子(200)は、
PNPバイポーラ接合トランジスタ(300)を含み、前記PNPバイポーラ接合トランジスタのエミッタ(371)は前記レート増幅器(101)の出力に接続され、前記PNPバイポーラ接合トランジスタのコレクタ(370)は前記レート増幅器(101)の反転入力(115)に接続され、前記PNPバイポーラ接合トランジスタのベース(372)は互いに直列の第1の抵抗器(310)と第2の抵抗器(311)との間のノード(312)に接続される請求項1に記載の回路(11)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスイッチ素子(200)は、
NPNバイポーラ接合トランジスタ(401)をさらに含み、前記NPNバイポーラ接合トランジスタのベース(472)は前記PNPバイポーラ接合トランジスタのコレクタ(470)に接続され、前記NPNバイポーラ接合トランジスタのコレクタは前記レート増幅器(102)の出力に接続され、前記NPNバイポーラ接合トランジスタのエミッタ(471)は第3の抵抗器(322)を介して前記レート増幅器(102)の反転入力(125)に接続される請求項2に記載の回路(12)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスイッチ素子(200)は、
NPNバイポーラ接合トランジスタ(201)であって、前記NPNバイポーラ接合トランジスタのコレクタ(280)は前記レート増幅器(100)の反転入力(105)に接続される、NPNバイポーラ接合トランジスタと、
PNPバイポーラ接合トランジスタ(200)であって、前記PNPバイポーラ接合トランジスタのコレクタ(270)は前記レート増幅器の反転入力に接続される、PNPバイポーラ接合トランジスタと、
正電圧源(210)と、
第1のダイオード(220)と、
第2のダイオード(221)であって、前記正電圧源の出力、前記第1のダイオードのアノード(225)及び前記第2のダイオードのカソード(227)は前記PNPバイポーラ接合トランジスタ(200)のベース(272)に接続される、第2のダイオードと、
負電圧源(211)と、
第3のダイオード(230)と、
第4のダイオード(231)であって、前記負電圧源の出力、前記第3のダイオードのアノード(235)及び前記第4のダイオードのカソード(237)は前記NPNバイポーラ接合トランジスタ(201)のベース(282)に接続される、第4のダイオードと
を含む請求項1に記載の回路(10)。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−191616(P2012−191616A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−50230(P2012−50230)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】