説明

高緩和能、高耐薬品性および機械的安定性を有する、マイクロパターン化層のための複合組成物

a)以下の加水分解物および/または縮合物:少なくとも1つのアルキル基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルシラン、少なくとも1つのアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アリールシランもしくは少なくとも1つのアルキルアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルアリールシラン、およびエポキシ基を含む少なくとも1つの加水分解性シラン、b)少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの有機化合物、ならびにc)カチオン開始剤を含む、重合性複合組成物は、硬化されると、パターン化コーティングを有する支持体またはパターン成形品を提供する。得えられるパターン化コーティンおよび成形品は、高緩和能、高耐薬品性および機械的安定性を示す。高形状安定性を有するマイクロパターンが得られ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ基を含む有機および無機成分に基づく複合組成物(composite composition)、この複合組成物から得られるパターン化コーティングを有する支持体およびパターン化成形品、ならびにこのような支持体および成形品の製造方法に関する。パターンはマイクロパターンを含み得る。
【背景技術】
【0002】
ゾル−ゲル由来の無機材料は、典型的に、高耐温度性、高耐薬品性、および高機械的安定性を有する。欠点の1つは、完全に濃密な系を得るために処理の間に高温を使用する必要があることである。いわゆるハイブリッド材料または無機−有機分子複合体は、これらの欠点を一部克服し得るが、依然として高度の三次元架橋を有する網目構造に起因して、依然として高緩和能(high relaxation ability)の欠如に苦しむ。したがって、応力のない(stress-free)フィルムまたはコーティングが製造されなければならない場合、この種の材料は、深刻な問題を引き起こし得る。特に、この種の材料を使用することは、応力が完全に不適当である適用について(例えば、光学またはマイクロエレクトロニクス、特に、高感度の光学またはマイクロエレクトロニクスにおいて)、極めて困難である。
【0003】
文献は、多くのハイブリッド材料を記載しているが、それらの全ては、上述の問題を示す三次元的に架橋された骨格を特徴とする。これらの材料へ有機ポリマーを添加することによって、これらの問題を克服しようとする多くの試みが存在している。この方法で、緩和挙動は改善され得るが、機械的安定性を犠牲にし、そして有機溶媒に対する耐性が低下する。これにより、有機溶媒中でポリマー成分が膨潤したりまたは溶解したりさえし、そしてマイクロパターニング(micropatteming)後に形状を維持するために特に重要である所望の機械的安定性が達成され得ない。
【0004】
マイクロパターン化可能な系が関与する場合、形状安定性、耐薬品性、緩和、および材料設計に関する要件は遥かにより複雑となり、何故ならば、フォトパターニングプロセスのために使用される有機モノマーの大半が、上述の要件について不十分な特性を有するためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、パターン系中における高い残留応力を避けるに十分な緩和挙動を有し、かつ、同時に、化学的に耐性であり、かつ、高い形状安定性を有する、例えばフォトリソグラフィーによる、マイクロパターンの作製のためのフィルム形成系(film-forming system)を提供することであった。さらに、該系は、対応のパターン化成形品の製造に好適であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、この目的は、以下を含む複合組成物によって達成された:
a)以下の加水分解物および/または縮合物:a1)少なくとも1つのアルキル基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルシラン(好ましくは、ここで、少なくとも1つのアルキル基は、少なくとも3つの炭素原子を含む)、a2)少なくとも1つのアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アリールシランもしくは少なくとも1つのアルキルアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルアリールシラン、およびa3)エポキシ基を含む少なくとも1つの加水分解性シラン、
b)少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの有機化合物、ならびに
c)カチオン開始剤。
【0007】
この複合組成物を使用して、顕著な(outstanding)特性を有するパターン化層を得ることができる。したがって、本発明はまた、
A)支持体へ前記複合組成物を塗布するかまたは型にそれを配置する工程、
C)部分硬化のために該複合組成物の形成された層をパターン照射する工程、
D)さらなる硬化のために熱処理へ該コーティングを供する工程、ならびに
E)それを溶媒で処理することによって該コーティングを現像する(develop)工程、
によって得られ得る、パターン化コーティングを有する支持体またはパターン化成形品を提供する。
【0008】
得られる支持体および成形品上の層は、実質的にまたは完全に応力フリー(stress-free)であり、そして、特にマイクロパターンについて、顕著な形状安定性を示す。さらに、得られる系は、ケミカル攻撃(アルカリ性媒体によるものであってさえ)に対する優れた耐性を示す。
【0009】
いかなる理論によっても拘束されることを望まないが、本発明の系の優れた特性は、少なくとも一部分において、含まれる成分の複雑な相互作用から生じると考えられる。エポキシ基を含むシラン(本明細書中以下において、エポキシシランと呼ぶ)と有機多官能性エポキシドとの組合せは、光開始剤によって開始される重縮合反応において、共に連結され得る。この反応はまた、フォトリソグラフィー加工の適用のための基礎である。しかし、この組合せだけでは、反応の間、強い収縮を示し、高残留応力へ至る。予想外なことに、これは、アルキルシラン、好ましくはモノアルキルシランおよび/またはジアルキルシラン、ならびにアリールシランまたはアルキルアリールシランをさらに使用することによって克服され得る。改善された緩和挙動を生じさせることによって前記層において達成された応力の低下は、主にアルキルシランによって達成されると考えられる。実際に、より長いアルカリ鎖(例えば、ヘキシル基)を有するこのようなアルキルシランの使用は、完全に応力フリーなフィルムへ導く。したがって、3個またはそれ以上の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を有するアルキルシランが、好ましくは使用される。同一の挙動は、より低い架橋密度を有する線形構造を形成する、2つのアルキル基を有するアルキルシラン(ジアルキルシラン)について観察され得る。他方で、アリールシランまたはアルキルアリールシランは、フォトリソグラフィー等のパターン形成プロセスによって現像されるマイクロパターンの観察される良好な形状安定性に大いに寄与するようである。
【0010】
良好なフォトパターニング挙動について、エポキシ基のカチオン光重合反応の活性種は、照射後もしばらくの間活性であり、そしてこれらの種の活性は、熱による後処理工程(例えば、90℃で数分)の間にさらに促進され、その結果、カチオン重合されたエポキシ基は、高分子量ポリエーテル構造単位に変換される。エポキシシランを介して予め縮合された無機網目構造と共に作製された有機ポリエーテル単位の三次元架橋によって、十分に高いガラス転移温度を有する高度に架橋された構造が形成され、これは、ケトン等の有機現像溶媒(organic developing solvents)に対して高い耐性を示し、かつ、例えば200℃まで等の高温での熱による後処理(形状安定性)の間に流動しない。他方で、無機網目構造部分におけるアリールシランまたはアルキルアリールシランは、重合されていない領域の溶解性を改善し、その結果、現像工程が、例えばケトンよりも低い溶解力の溶媒(例えば、アルコール)を用いて可能にさえなる。
【0011】
本発明に従う複合組成物から得られる材料の高緩和能は、少なくとも3つの炭素原子のより長いアルキル鎖(例えば、ヘキシル)を好ましくは有するアルキルシランに、見かけ上は起因する。これらは、嵩高い側鎖を網目構造へ導入し、網目構造連結性(network connectivity)を僅かに減少させ、そして同時に、網目構造鎖のセグメント移動能(segmental movement ability)を増加させ(内部可塑剤)、該材料中における低下された内部応力へ導くと考えられる。また、2つのアルキル基を有するアルキルシラン、例えば、ジアルキルジアルコキシシランは、網目構造密度を低下させ、かつ、より高い可塑性を有する線形構造単位を形成する。この改善はまた、使用されるジアルキルシランが3またはそれ以上のC原子を有するアルキル基を含まない場合も、高い程度まで達成され得る。メチル基でさえ好適であり得る(例えば、ジメチルジアルコキシシラン)。
【0012】
さらに、エポキシ基の光重合反応において形成された高分子量有機ポリエーテル構造は、高い加水分解安定性を示し(例えば、ポリメタクリレート構造とは対照的に)、そして塩基性媒体からの加水分解攻撃からシラン網目構造を保護し、有機および無機の両方の構造単位の有利な組み合わせへと導く。
【0013】
したがって、高緩和能および高耐薬品性および機械的安定性を有するマイクロパターン化層を得ることができる。パターニング処理は、好ましくは、フォトリソグラフィー等のフォトパターニングプロセスである。
【0014】
硬化された複合組成物は、加水分解性シランから形成されたシロキサンフレームワーク(無機フレームワーク)と、エポキシ基(これらは、エーテル結合によって連結される)を有する多官能性化合物によって形成された有機フレームワークとを含む。この方法で、硬化された複合組成物は、有機成分および無機成分が組み合わせられている、ハイブリッド材料となる。下記において、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の複合組成物は、以下の加水分解および/または縮合生成物を含む:a1)少なくとも1つのアルキル基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルシラン、ここで、好ましくは、少なくとも1つのアルキル基は少なくとも3つの炭素原子を含む、a2)少なくとも1つのアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アリールシランもしくは少なくとも1つのアルキルアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルアリールシラン、ならびにa3)エポキシ基を含む少なくとも1つの加水分解性シラン。加水分解性シランは、少なくとも1つの加水分解性置換基を含む。
【0016】
加水分解性アルキルシランは、Si原子へ直接結合されている少なくとも1つのアルキル基を含む。該Siへ直接結合されたアルキル基は、一般的に知られているように、非加水分解性基である。アルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基は、非置換のアルキルがより好ましいが、塩素等の置換基を有してもよい。アルキル基は、一般的に、C−C30アルキル、好ましくはC−C20アルキル、そしてより好ましくはC−C12アルキルである。ヘキシル基が特に好ましい。アルキルシランは、Siへ直接結合された追加のアルキル基を含んでもよい。加水分解性基は、一般的に使用され、そして当業者に周知であるものである。
【0017】
加水分解性アルキルシランは、好ましくは、一般式(I)によって示される化合物から選択される:
SiX(4−a) (I)
式中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、アルキル置換基であり、それらの少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも3つの炭素原子を有し、Xは、加水分解性置換基であり、そしてaは、1〜3の整数である。nは、好ましくは1または2、そしてより好ましくは1である。少なくとも3つの炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を有するアルキルシランは、好ましくは、モノアルキルシランである。
【0018】
一般式(I)において、加水分解性置換基Xは、同一であっても互いに異なっていてもよく、例えば、水素またはハロゲン(F、Cl、BrもしくはI)、アルコキシ(好ましくはC1−6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、およびtert−ブトキシ)、アリールオキシ(好ましくは、C6−10アリールオキシ、例えば、フェノキシ)、アシルオキシ(好ましくは、C1−6アシルオキシ、例えば、アセトキシまたはプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル(好ましくは、C2−7アルキルカルボニル、例えば、アセチル)、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ(好ましくは1〜12の、特には1〜6の、炭素原子を有する)である。好ましい加水分解性基は、ハロゲン、アルコキシ基、およびアシルオキシ基である。特に好ましい加水分解性基は、C1−4アルコキシ基、特にメトキシおよびエトキシである。
【0019】
非加水分解性置換基Rは、同一であってもまたは互いに異なってもよく、典型的にC1−30アルキルから選択される、アルキル基である。R基の少なくとも1つは、好ましくは、C−C20アルキル、より好ましくはC−C12アルキルから選択される。ヘキシル基が最も好ましい。アルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチルおよびt−ブチル、ならびに直鎖または分岐鎖のペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシルが挙げられる。より高次の分岐アルキルの例は、2−エチルヘキシルである。アルキル基としてはまた、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル等のシクロアルキルが挙げられる。R基は、ハロゲン等の1またはそれ以上の置換基を含んでもよいが、これは好ましくない。
【0020】
前記加水分解性アルキルシランの具体的な非限定的な例は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、およびデシルトリエトキシシランである。
【0021】
加水分解性アリールシランまたなアルキルアリールシランは、Si原子へ直接結合されている少なくとも1つのアリールまたはアルキルアリール基を含む。Siへ直接結合された該基は、一般的に知られているように、非加水分解性基である。アリールまたはアルキルアリール基は、置換されていてもまたは置換されていなくてもよく、そして非重合性基である。置換基は、ハロゲン(例えば、塩素または臭素)、およびアルキル(例えば、上述のもの)であり得る。
【0022】
したがって、アリールはアリールアルキルをも包含する。好ましいアリール基は、置換または非置換フェニルである。加水分解性アリールシランまたはアルキルアリールシランはまた、上述のアルキル基等の他の非加水分解性基を含んでもよい。
【0023】
加水分解性アリールシランまたはアルキルアリールシランは、好ましくは、一般式(II)によって表される化合物から選択される:
R’SiX(4−a) (II)
式中、R’は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル、アリール、およびアルキルアリールから選択される非加水分解性置換基であり、これらの少なくとも1つは、アリールまたはアルキルアリール基であり、Xは、加水分解性置換基であり、そしてaは、1〜3の整数、好ましくは1または2である。
【0024】
X基は、一般式(I)におけるのと同一の意味を有する。非加水分解性基R’としてアルキルが含まれる場合、好適なアルキル基についての一般式(I)の定義が参照され得る。アリールまたはアルキルアリール基R’の例は、置換または非置換のフェニル、ナフチル、ベンジルおよびトリルである。R’は、ハロゲン、アルキル、およびアルコキシ等の1またはそれ以上の置換基を含んでもよい。R’は、例えば、6〜20の炭素原子を含み得る。
【0025】
前記加水分解性アリールシランまたはアルキルアリールシランの具体的な非限定的な例は、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、およびジフェニルジエトキシシランである。
【0026】
エポキシシランとも呼ばれる、エポキシ基を含む加水分解性シランは、少なくとも1つの加水分解性置換基と、少なくとも1つのエポキシ基を含む少なくとも1つの非加水分解性置換基とを含む。エポキシ基は、カチオン開始剤によって重合または架橋され得るカチオン重合性基である。エポキシ基としては、グリシジルおよびグリシジルオキシ基が挙げられる。
【0027】
好ましいエポキシ基を有する加水分解性シランは、一般式(III)の化合物である:
Si(R)(3−b) (III)
式中、Rcは、エポキシ基を有する非加水分解性置換基であり、Rは、非加水分解性置換基であり、Xは、加水分解性置換基であり、そしてbは、0〜2の整数、好ましくは0である。X基は、上記の一般式(I)および一般式(II)において規定される通りである。Rは、式(I)におけるRについてまたは式(II)におけるR’について規定されるような、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり得る。
【0028】
非加水分解性基置換基Rcは、少なくとも1つそして好ましくは1つだけのエポキシド基(例えば、グリシジルまたはグリシジルオキシ基)を含み、これは、二価の有機基、例えば、シクロアルキレンを含むアルキレンおよびアルケニレン架橋基(これは、酸素または−NH−基によって割り込まれ得る)によってケイ素原子へ結合されている。前記架橋(bridge)は、ハロゲンまたはアルコキシ等の1またはそれ以上の従来の置換基を含み得る。架橋は、好ましくはC1−20アルキレン、より好ましくはC1−6アルキレンであり、これらは置換されていてもよく、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレン、特にはプロピレンまたはシクロヘキシルアルキル、特にはシクロヘキシルエチルである。
【0029】
前記置換基Rcの具体例は、グリシジルまたはグリシジルオキシC1−20アルキル、例えば、γ−グリジジルプロピル、β−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、δ−グリシジルオキシブチル、ε−グリシジルオキシペンチル、ω−グリシジルオキシヘキシル、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルである。最も好ましい置換基Rcは、グリシジルオキシプロピルおよびエポキシシクロヘキシルエチルである。
【0030】
対応のシランの具体例は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシラン(GPTES)、グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、およびグリシジルオキシプロピルジメチルモノアルコキシシラン(ここで、アルコキシは、メトキシまたはエトキシである)、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ならびにエポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランである。しかし、本発明は、上述の化合物に限定されない。
【0031】
一般的に、加水分解物および/または縮合物は、当業者に公知であるゾル・ゲル法に従って、前記出発化合物の加水分解および縮合により製造される上述の加水分解性シランの加水分解および/または縮合生成物である。ゾル・ゲル法は、一般的に、必要に応じて酸または塩基触媒によって助けられる、前記加水分解性シランの加水分解を含む。加水分解された種は、典型的に、部分的に縮合する。加水分解および縮合反応により、例えばヒドロキシ基および/またはオキソ架橋を有する縮合生成物が形成される。加水分解/縮合生成物は、所望の縮合度および粘度を得るために、パラメータ(例えば、加水分解のための水含量、温度、時間、pH値、溶媒タイプ、および溶媒量等)を好適に調節することによって制御され得る。
【0032】
さらに、加水分解を触媒するためおよび縮合度を制御するために、金属アルコキシドを添加することも可能である。該金属アルコキシドについては、以下に規定される加水分解性金属化合物、特に、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド(titanium alkoxide)、ジルコニウムアルコキシドが使用され得、そして対応の錯体化合物(例えば、錯体配位子(complex ligand)としてアセチルアセトンを用いる)が好適である。
【0033】
ゾル・ゲル法において、溶媒を使用してもよい。しかし、溶媒無しでゾル・ゲル法を行うことも可能である。通常の溶媒、例えば、水、アルコール(例えば、脂肪族C−Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、およびn−ブタノール)、ケトン(例えば、C1−6アルキルケトン、例えば、アセトンおよびメチルイソブチルケトン)、エーテル(例えば、C−Cジアルキルエーテル、例えば、ジエチルエーテル)、または、ジオールモノエーテル、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、スルホキシド、スルホン、およびグリコール(例えば、ブチルグリコール)、ならびにそれらの混合物が使用され得る。好ましい溶媒は、アルコールである。加水分解性シランアルコキシドの加水分解の間に得られるアルコールは、溶媒として役立ち得る。
【0034】
ゾル・ゲル法のさらなる詳細は、例えば、C. J. Brinker, G.W. Scherer: "Sol-Gel Science - The Physics and Chemistry of Sol-Gel-Processing", Academic Press, Boston, San Diego, New York, Sydney (1990) において見られ得る。
【0035】
前記加水分解性シランモノマーの代わりに、該モノマーの既に部分的にまたは完全に(プレ)加水分解された((pre)hydrolysed)種またはプレ縮合物(precondensates)が、出発材料として使用され得る。本発明において使用される加水分解物および/または縮合物は、使用されるシランの非加水分解性有機置換基に起因して、有機的に修飾された無機重縮合物を好ましくは示す。縮合度および粘度は、望まれる性質に依存し、そして当業者によって制御され得る。通常、ケイ素に関してむしろ完全な縮合度が、最終硬化生成物において得られる。複合組成物の加水分解物および/または縮合物に含まれるエポキシ基は、通常、本質的には未反応のままであり、そして引き続いての硬化工程の間、重合または架橋のために役立つ。
【0036】
加水分解物および/または縮合物の製造について、他の加水分解性金属または半金属化合物も、少量で使用されてもよい。これらの加水分解性化合物は、元素周期表の第III〜V主族、特に第IIIおよびIV主族ならびに/あるいは第II〜V遷移族からの少なくとも1つの金属または半金属Mから選択され得、そして好ましくはSi、Al、B、Sn、Ti、Zr、VまたはZnの加水分解性化合物、特にSi、Al、TiまたはZrのもの、あるいはこれらの元素の2以上の混合物を含む。これらの化合物は、通常、式MXを満たし、式中、Xは、式(I)において規定される通りであり(典型的には、アルコキシ)、そしてnは、金属または半金属Mの価数(通常、3または4)に等しい。1またはそれ以上の置換基Xは、キレート配位子によって置換されてもよい。また、周期表の第IおよびII主族(例えば、Na、K、CaおよびMg)、周期表の第VI〜VIII遷移族(例えば、Mn、Cr、Fe、およびNi)、ならびにランタニドの金属の加水分解性化合物が使用され得る。これらの他の加水分解性化合物は、仮に存在するとしても、加水分解物および/または縮合物に対して例えば30モル%までの少量で、または上述のような触媒量で、一般的に使用される。
【0037】
非加水分解性基を有する前述の加水分解性シランならびに必要に応じて他の加水分解性金属もしくは半金属化合物を加水分解するおよび/または縮合する順序は、特に限定されない。例えば、加水分解性化合物は、共に加水分解および縮合され得る。あるいは、1またはそれ以上の加水分解性化合物が、少なくとも一部分が他の成分とは別個に加水分解または縮合され、次いで該他の成分と混合され得る。
【0038】
縮合反応の程度は、縮合性官能基の数に対する縮合された官能基の数の比率によって規定され得る。実際には、それはSi−NMR測定によって評価され得、そして例えば、三官能性シラン化合物の場合、縮合度は、下記に示す成分間の比率を使用して、以下の等式によって算出され得る:
T0:別のシラン分子へ結合されていないSi原子;
T1:シロキサン結合を介して1つのシラン分子へ結合されているSi原子;
T2:シロキサン結合を介して2つのシラン分子へ結合されているSi原子;および
T3:シロキサン結合を介して3つのシラン分子へ結合されているSi原子;
縮合度(%)=((T1+2×T2+3×T3)×100)/(3×(T0+T1+T2+T3))。
【0039】
縮合度(degree of condensation)は、シラン化合物のタイプおよび合成条件に従って変化する。縮合度が過度に低い場合、樹脂との相溶性およびコーティング特性は、場合によっては劣るかもしれない。したがって、縮合度は、好ましくは20%以上、そしてより好ましくは30%以上である。
【0040】
パターン化能(patternability)は、縮合度の制御によって改善され得る。T0およびT1の存在比(abundance ratio)は、好ましくは、合計で50%以下である。さらに、それは、より好ましくは30%以下である。T3の存在比は、好ましくは15%以上、そしてより好ましくは20%以上である。存在比は、以下の等式によって算出され得る:
TXの存在比(X=0、1、2、3)(%)=TX/(T0+T1+T2+T3)×100%。
【0041】
加水分解物および/または縮合物を製造するために使用されるシランの割合は、広範囲にわたり得る。一般的に、加水分解性化合物の総量に基づいて、15〜60モル%、好ましくは30〜50モル%の少なくとも1つの加水分解性アルキルシラン、30〜80モル%、好ましくは35〜55モル%の少なくとも1つの加水分解性アリールシランもしくはアルキルアリールシラン、ならびに1〜60モル%、好ましくは5〜35モル%のエポキシ基を含有する少なくとも1つの加水分解性シランが、加水分解物および/または縮合物のために使用される。当然ながら、二量体またはオリゴマー等の既に縮合された化学種が出発化合物として使用される場合、前記割合は、それらが誘導されるモノマー性加水分解性または加水分解された化合物に関して算出されるべきである。上述されるように、必要に応じて他の加水分解性金属または半金属化合物が、例えば30モル%までの、少量で添加されてもよい。
【0042】
複合組成物は、さらに、少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの有機化合物を含む。少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物は、モノマー、オリゴマー(例えば、二量体、三量体等)またはポリマーあるいはそれらの混合物を包含する。このような少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物は、当業者に公知である。このような化合物は、カチオン重合性である。一般的に、カチオン重合は、熱処理によって促進される。即ち、重合反応は、活性化種(activated species)(プロトン)の拡散に依存する。
【0043】
前記カチオン重合性有機化合物は、室温(20℃)で固体であることが好ましい。したがって、パターン暴露プロセスの間の不必要な拡散(diffusion)が防止され得、そして高解像度パターニング(high-resolution patterning)が得られ得る。前記化合物の融点は、高解像度パターニングを作製するために、好ましくは40℃以上である。好ましくは、前記化合物は、エポキシ樹脂である。
【0044】
好ましくは、前記有機化合物は、2,000以下のエポキシド当量、そしてより好ましくは1,000以下のエポキシド当量を有する。エポキシド当量が2,000以下である場合、硬化後に得られる架橋密度は増加され、その結果、硬化生成物の低すぎるTgまたは加熱たわみ温度(heat distortion temperature)が回避され得、そして支持体への接着性(adhesion properties)およびケミカル攻撃に対する耐性が改善される。
【0045】
前記エポキシ化合物の例は、構造単位(1)または(2)の少なくとも1つまたは少なくとも2つを有するエポキシ樹脂である:
【0046】
【化1】

【0047】
さらに、下記に示されるビスフェノール構造を有するノボラック型エポキシ樹脂もまた、好ましくは使用される。
【0048】
【化2】

【0049】
この式において、nは、1、2または3を示す。特に、それは、n=2の場合に好ましい。
【0050】
さらなる例は、ビスフェノール型のエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Araldit(登録商標)GY 266(Ciba))、ビスフェノールFジグリシジルエーテル)、ノボラック型のエポキシ樹脂、例えばフェノールノボラック(例えば、ポリ[(フェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル)−ω−ホルムアルデヒド])およびクレゾールノボラック、ならびにトリフェニロールメタン型(triphenylolmethane type)のエポキシ樹脂、例えば、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、ならびに脂環式エポキシ樹脂、例えば、4−ビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−(3,4−エポキシシクロ−ヘキシルメチルエステル(UVR 6110、UVR 6128(Union Carbide))、テトラヒドロおよびヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル、ならびにポリオールのグリシジルエーテルである。さらなる例は、N,N−ビス−(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリン、およびビス−{4−[ビス−(2,3−エポキシプロピル)−アミノ]−フェニル}メタンである。
【0051】
複合組成物中における前記加水分解物および/または縮合物と前記有機エポキシ化合物との混合重量比は、好ましくは約1:10〜4:1である。加水分解物および/または縮合物とは、加水分解物および/または縮合物それ自体(即ち、溶媒を含まない)を指す。
【0052】
シラン加水分解物および/または縮合物の量は、広範囲において変化し得る。複合組成物は、複合組成物の総固形分に基づいて、好ましくは、9〜79.99重量%、より好ましくは25〜69.99重量%、そして特に好ましくは30〜64.99重量%の、加水分解物および/または縮合物(a)、ならびに20〜90.99重量%、より好ましくは30〜74.99重量%、そして特に好ましくは35〜69.99重量%の、少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物(b)を含む。
【0053】
本発明に従う複合組成物は、さらに、カチオン開始剤を含有する。カチオン開始剤は、市販されており、そして当該分野において公知である。使用されるカチオン開始剤の具体的なタイプは、例えば、存在するカチオン重合性基のタイプ、開始のモード(熱または光)、温度、照射のタイプ(光分解(photolytic)開始の場合)等に依存し得る。
【0054】
好適な開始剤としては、カチオン光開始剤、カチオン熱開始剤、およびそれらの組合せを含む、全ての一般的な開始剤/開始系が挙げられる。カチオン光開始剤が好ましい。使用され得るカチオン開始剤の代表としては、オニウム塩、例えば、スルホニウム、ヨードニウム、カルボニウム、オキソニウム、シリセニウム(silicenium)、ジオキソレニウム(dioxolenium)、アリールジアゾニウム、セレノニウム(selenonium)、フェロセニウム(ferrocenium)およびイモニウム(immonium)塩、ホウ酸塩、例えば、[BFOH]H(BFおよび微量の水から得られ得る)、ならびにルイス酸の対応の塩、例えば、AlCl、TiCl、SnCl、イミド構造またはトリアゼン構造を含有する化合物、Meerwein錯体、例えば、[(CO]BF、過塩素酸、アゾ化合物および過酸化物が挙げられる。好適なカチオン熱開始剤は、1−メチルイミダゾール、(C[SbCl、(C[SbF、(C[ClO、(C[SbCl、(C[ClO、(C[SbCl、(C[BFおよび(C[BFである。カチオン光開始剤として、芳香族スルホニウム塩または芳香族ヨードニウム塩が、感度および安定性を考慮して有利である。カチオン光開始剤は、市販されており、例えば、光開始剤Degacure(登録商標)KI 85(ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオル−ホスフェート)、Cyracure(登録商標)UVI−6974/UVI−6990、Rhodorsil(登録商標)2074(トリルクミルヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート))、Silicolease UV200 Cata(登録商標)(ジフェニルヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート))およびSP170(登録商標)(4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル−スルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート)である。
【0055】
カチオン開始剤は、通常の量で、複合組成物の総固形分に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、特には0.1〜5重量%で使用される。
【0056】
成分は、従来の様式および順序で組み合わされ得る。加水分解物および/または縮合物はまた、カチオン重合性エポキシ化合物の存在下においてインサイチュで調製され得る。
【0057】
複合組成物は、目的および所望の特性に従って、従来の添加剤をさらに含んでもよい。具体例は、チキソトロープ剤、架橋剤、溶媒、UV吸収剤、潤滑剤、レベリング剤(levelling agents)、湿潤剤、接着促進剤、および界面活性剤である。溶媒含有量は、意図される適用のために粘度等の適切な特性を達成するように調節され得る。溶媒についての例は、例えば、上述の溶媒である。炭化水素、ハロゲン化炭化水素、および芳香族等の他の溶媒もまた使用され得る。
【0058】
コーティングまたは成形ピースとしてのパターン化層の作製のために、本発明の複合組成物は、支持体へ塗布されるかまたは型に配置され得る。
【0059】
パターン化コーティングまたは層を有する支持体を作製するために、本発明に従う複合コーティング組成物が、任意の所望の支持体へ塗布され得る。その例は、金属、ガラス、セラミック、結晶性およびプラスチック支持体だけでなく、紙、建築材料、例えば(天然)石、およびコンクリート、および布である。金属支持体の例としては、銅、アルミニウム、鉄(スチールを含む)、および亜鉛、ならびに金属合金(例えば、黄銅)が挙げられる。プラスチック支持体の例は、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、およびポリエチレンテレフタレートである。ガラスまたはセラミック支持体は、例えば、主として、SiO、TiO、ZrO、PbO、B、Al、および/またはPに基づき得る。結晶性支持体の例は、シリコン、石英、ニオブ酸リチウム、および貴石である。特に好ましい支持体は、シリコンである。支持体は、例えば、プレート、シート、ウエハまたはフィルム等の任意の形態で存在し得る。当然ながら、表面処理された支持体、例えば、サンドブラストされた、コーティングされたまたは金属化された表面を有する支持体(例えば、亜鉛めっき鉄プレート)もまた好適である。特定の実施形態において、支持体には、少なくとも1つのベース層がコーティングされる。
【0060】
複合組成物は、任意の従来の手段によって支持体へ塗布され得る。この文脈において、全ての一般的な湿式化学コーティング法(wet-chemical coating methods)が使用され得る。代表的な方法は、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ウェブコーティング、バーコーティング、ブラッシュコーティング(brush coating)、フローコーティング、ドクターブレードコーティングおよびロールコーティング、ならびに印刷法、例えば、パット印刷(pat printing)、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、およびパッド印刷である。さらに好適な方法は、直接コーティングである。
【0061】
パターンを有する成形ピースを作製することについて、本発明の複合組成物は、型に配置され、そして成形材料として使用される。任意の従来の成形法、例えば、キャスティングおよびフィルムキャスティングが使用され得る。複合組成物との接触のための型またはパーツは、抗接着性(antiadhesive)である。したがって、好適な材料は、PTFE、抗接着性ガラス(antiadhesive glass)、Ni等の金属、または離型剤が塗布されている材料である。
【0062】
塗布に続いて、コーティングは、必要に応じて乾燥され得る。これは、室温(約20℃)で放置することによって行われ得、必要に応じて換気によって助けられる。任意の乾燥工程B)は、例えば、40〜130℃、より好ましくは70〜110℃、そして特には80〜100℃の範囲内の温度での、熱処理を好ましくは含む。特に好ましい乾燥温度は、約90℃である。当然ながら、乾燥時間は、複合組成物の種類および使用される温度に依存する。一般的に、1〜5分、好ましくは2〜4分、特には約3分の乾燥時間が、例えば約90℃での熱処理を使用することによって、十分であり得る。
【0063】
支持体へ塗布されるかまたは型に配置されるコーティング組成物は、少なくとも2または3工程で硬化(cured)(硬化(hardened))される。硬化工程は、前記有機化合物ならびにまた前記加水分解物および/または縮合物中(通常は、前記シランの縮合生成物中)のエポキシ基のカチオン重合を含む。硬化工程において、無機重縮合物の縮合度は、増加され得る。さらに、カチオン重合性有機化合物は、一般的に重合し(これは、架橋を含み得る)、それによって所望の無機−有機ハイブリッド材料が形成される。
【0064】
工程Cにおいて、形成層は、パターン照射される(patternwise irradiated)。任意の従来法、例えば、フォトリソグラフィー法または二波混合法(two-wave-mixing method)が、使用され得る。好適な照射は、例えば、使用されるカチオン開始剤および材料のタイプに依存する。典型的に、使用される照射は、360〜420nmの範囲内の波長を含み得る。例えば、UV照射、可視領域(VIS)の照射(特に、青色光)、またはレーザー光が、使用され得る。
【0065】
光または照射(光硬化)への暴露工程の間、およびまた熱硬化の間、カチオン開始剤は、酸を発生し得る。カチオン重合性化合物および縮合生成物中のエポキシ基の重合に加えて、この酸はまた、シロキサンフレームワークの硬化(無機縮合)を補助し得る。
【0066】
パターン照射によって、架橋および縮合反応による硬化は、当然ながら、光または照射へ暴露される領域において主に進行し、ここで、硬化度が増加される。
【0067】
暴露後ベーキング(post-exposure baking)とも呼ばれる、前記層の続いての熱処理(工程D)は、有機網目構造の形成のために重要である。通常、この暴露後ベーキングのために使用される温度は、処理される層のガラス転移温度よりも高くあるべきである。熱処理は、例えば、40〜130℃、好ましくは70〜110℃、そしてより好ましくは80〜100℃の範囲内の温度で行われ得る。特に好ましい硬化温度は、約90℃である。当然ながら、硬化時間は、複合組成物の種類および使用される温度に依存する。一般的に、1〜10分、好ましくは2〜4分、特には約3分の硬化時間が、例えば約90℃の熱処理を使用することによって、十分であり得る。
【0068】
暴露後ベーキングの後、前記層は、現像工程E)に供され、ここで、該層は溶媒で処理される。該処理は、例えば、層を溶媒へ浸すか、あるいは層を溶媒でリンスするかまたは層に溶媒をすり込む(rubbing)ことによって達成され得る。当該分野において公知の任意の好適な溶媒が使用され得る。上述の全ての溶媒が使用され得る。好ましい溶媒は、ケトン、エーテルまたはアルコール等の極性有機溶媒である。水または水性溶媒もまた好適であり得る。現像工程において、溶媒は、工程C)の間に照射に暴露されなかった層の領域を溶解し、一方、工程C)の間に照射へ暴露された領域は溶解されない。通常、暴露されていない領域は、支持体または型表面に到達されるまで溶解され、即ち、暴露されていない領域は、完全に溶解される。現像速度を高めるために、溶媒は、撹拌または加熱されてもよい。好適な溶媒は、当業者によって容易に選択され得る。驚くべきことに、例えばケトンより低い溶解力の溶媒(例えば、アルコール等)が、本発明のプロセスにおいて使用され得る。
【0069】
必要に応じて、パターン化層は、最終的に、最終硬化(工程F)へ供され得、ここで、硬化は、本質的に完了されるかほぼ完了される。それによって、機械的および化学的耐性が改善され得る。最終硬化工程は、全パターン化層を照射することによって、または好ましくは該層を加熱することによって、行われ得る。光硬化のために、工程C)について記載した方法および装置もまた使用され得、但し、パターン照射は必要とされない。最終硬化が好ましい熱処理によって行われる場合、例えば、140〜220℃の範囲内の温度が好適である。温度は、好ましくは、160〜220℃の範囲内、そしてより好ましくは180〜220℃の範囲内である。特に好ましいのは、約200℃の温度である。
【0070】
成形品を作製する場合、パターン化層が、型から取り出される。これは、例えば、現像工程E)の間または後、あるいは最終硬化工程F)の後に行われ得る。最終成形品は、シート、フィルム、プレートまたは任意の他の形状の形態であり得、そしてパターンを含み得る。便宜上、このような成形品は、本明細書中において、層とも呼ばれる。
【0071】
最終パターン化層の厚みは、広範囲において変化し得、通常、パターン化層でコーティングされた支持体について、5〜80μmの範囲内、好ましくは10〜50μmの範囲内、そして特には約20μmであり、そして、パターン化成形品について、0.5mm〜0.5cmの範囲内、例えば約1mmである。
【0072】
したがって、複合組成物は、有利には、コーティングおよび成形品の両方についてのパターン形成方法のために使用され得る。このようなパターン形成方法に本発明の複合コーティング組成物を使用することによって、アスペクト比 H/W≧1(H:パターン高さ、W:パターン幅)、好ましくはアスペクト比 H/W≧3を有する部分を含むパターンを得ることが可能である。100マイクロメートル以下のパターン幅を有する部分を含むマイクロパターンを形成することも可能である。
【0073】
本発明の複合組成物を使用することによって、支持体(例えば、シリコンウエハ)上にコーティングされた後または型内に配置された後に残留応力を示さないマイクロパターン化層が形成され得ることは、予想外であった。これは、硬化後のコーティングされたシリコン支持体の曲げ(bending curvature)を測定することによって示され得た。曲げは観察されなかった。
【0074】
コーティングまたは成形品がアルカリ溶液と接触される場合、本発明のコーティングまたは成形品は特に有用であり、また、それは、中性および/または酸溶液との組み合わせにおいても有用である。
【0075】
本発明の複合組成物は、金属、結晶性支持体(例えば、シリコン)、プラスチック、修飾されているかまたは修飾されていない天然物質、セラミック、コンクリート、クレイ、ガラス、セラミックまたはガラスセラミックの表面をコーティングするために特に好適である。金属表面は、金属化合物の表面も含む。挙げられ得る例は、金属 銅、銀、金、白金、パラジウム、鉄、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、鉛、アルミニウムおよびチタン、ならびにこれらの金属を含有する合金、例えば、(ステンレス)スチール、黄銅および青銅である。
【0076】
上記のコーティング組成物はまた、金属および非金属の酸化物、炭化物、ケイ化物、窒化物、ホウ化物等の表面、例えば、金属酸化物、炭化物、例えば、炭化ケイ素、炭化タングステンおよび炭化ホウ素、窒化ケイ素、二酸化ケイ素等を含むかこれらからなる表面へも塗布され得る。
【0077】
(修飾されているまたは修飾されていない)天然物質の表面の中でも、特に、天然石(例えば、砂岩、大理石、花崗岩)、(焼成)粘土、およびセルロース材料のものが挙げられ得、一方、当然ながら、上記コーティング組成物を使用して有利な様式でコンクリート、セラミック、磁器、石膏、ガラスおよび紙(合成紙を含む)の表面をコーティングすることも可能である。用語「ガラス」は、本明細書中で、非常に多種多様な組成を有する全てのタイプのガラスを包含し、例えば、ソーダ石灰ガラス、カリガラス(potash glass)、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、バリウムガラス、ホスフェートガラス、光学ガラス、およびヒストリカルガラス(historical glass)である。
【0078】
上記コーティング組成物でコートされ得る表面を形成するプラスチックの中でも、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、および発泡プラスチックが挙げられる。特に好ましいのは、熱安定性プラスチックである。プラスチックの具体例としては、以下のオレフィン性不飽和化合物のホモおよびコポリマーが挙げられる:例えば、オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテンおよびデセン;ジエン、例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、およびジシクロペンタジエン;芳香族ビニル化合物、例えば、スチレンおよびその誘導体(例えば、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン);ハロゲン化ビニル化合物、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、およびテトラフルオロエチレン;a,β−不飽和カルボニル化合物、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、およびフマル酸、ならびにそれらの誘導体(特に、(アルキル)エステル、アミド、無水物、イミド、ニトリルおよび塩、例えば、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、および無水マレイン酸);および酢酸ビニル。
【0079】
さらなる例は、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート;ポリアミド、例えば、ナイロン;ポリイミド;ポリウレタン;ポリエーテル;ポリスルホン;ポリアセタール;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;(加硫または非加硫)合成ゴム;(加硫)天然ゴム;フェノール−ホルムアルデヒド樹脂;フェノール−尿素樹脂;フェノール−メラミン樹脂;アルキド樹脂;およびポリシロキサンである。
【0080】
この種のプラスチックは、当然ながら、通常のプラスチック添加剤、例えば、充填剤、顔料、色素、強化剤(例えば、(ガラス)繊維)、安定剤、防炎剤(flame proofing agents)、阻害剤、および潤滑剤を含み得る。
【0081】
本発明の複合組成物は、医療目的および病人のための器具、アクセサリおよびデバイス、例えば、プロテーゼ(特に、四肢用)、インプラント、カテーテル、肛門用プロテーゼ(anal prostheses)、歯枝、義歯のコーティングおよびこれらについての成形ピースのために特に好適である。複合組成物はまた、上述の物品のパーツであるか、該物品そのものである、成形ピースについても好適であり得る。
【0082】
上記物品に加えて、当然ながら、有利には上記コーティング組成物で、他の物品およびそれらのパーツをコーティングすること、あるいはこのような物品またはこのような物品のコンポーネントを該複合組成物の成形ピースの形態で作製することも可能であり、例えば、宝石、硬貨、芸術品(例えば、絵画)、ブックカバー、墓石、壺、標識(例えば、交通標識)、ネオンサイン、交通光柱(traffic light pillars)、およびCDである。撥液(liquid- repellent)層に感光性を与えることが可能であり、そして光回折格子(optical gratings)または他の光学構造物を形成することが可能である。
【0083】
以下の実施例は、本発明を限定することなしに、本発明を例示する。
【実施例】
【0084】
実施例1
複合組成物の調製のために、19.2gのフェニルトリエトキシシラン(0.08モル)を、触媒としての8.6gの0.01 M塩酸と混合し、そして還流および撹拌下で1時間反応させた。17.9gのヘキシルトリエトキシシラン(Hexyl−TES、0.07モル)を、引き続いてそこへ添加し、そして得られた混合物を還流下でさらに1時間撹拌した。50℃まで冷却した後、2.2gのグリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES、0.008モル)を添加し、そして撹拌を50℃で24時間継続した。周囲温度へ冷却後、5.4gの有機エポキシ樹脂EHPE−3150(Daicel Chemicalの製品;上記構造単位(1)を有するエポキシ樹脂、融点70℃)を前記シラン溶液へ添加し、そして得られた混合物を、EHPE−3150が溶解するまで周囲温度で撹拌した。引き続いて、カチオン光開始剤SP−170またはSP−172を、触媒量でそこへ添加した。得られたコーティング溶液を周囲温度で約1時間撹拌した。前記シラン溶液と混合する前にEHPE−3150をエタノールに溶解させることも可能であり、そしてさらなる撹拌は必要ではなかったが、光開始剤の添加後、コーティング溶液を、周囲温度で約16時間撹拌した。塗布前に、コーティング溶液を、約5μmの孔径のガラス繊維フィルターで濾過してもよい。
【0085】
得られた複合組成物を、スピンコーティング法(500rpm、10〜30秒間)を使用してシリコンウエハへ塗布し、続いて、90℃で3分間プレベーキングし(pre-baking)、特別なマスクを使用して20秒間UV光(325〜380nm)へ暴露することによって構造化し、そして90℃で4分間暴露後ベーキング(post exposure baking)した。その後、暴露されていない部分を、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)中で1分間浸漬しそしてイソプロピルアルコールでリンスすることによって、洗浄除去した。コーティング樹脂を完全に硬化するために、最初100℃の温度で1時間熱処理を行い、続いて200℃の温度で1時間、熱処理した。
【0086】
実施例2〜8
表1に示す加水分解性縮合物を、実施例1と類似の様式で合成した。上述のように、硬化されたコーティング材料を、塗布、暴露および加熱を行うことによって得た。
【0087】
【表1】

【0088】
上記表において、
GPTES:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
HexylTES:ヘキシルトリエトキシシラン
PhTES:フェニルトリエトキシシラン
ECETES:2−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン
GPMDES:3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
DMDEOS:ジメチルジエトキシシラン
DPhDES:ジフェニルジエトキシシラン。
【0089】
比較例1
比較例1のために、コーティングフィルムを、加水分解性縮合物以外は実施例1と同一の材料を使用して上述と同一の様式で作製した。硬化コーティング材料が得られた。
【0090】
結果
実施例1〜8および比較例1のコーティング材料の応力を、薄膜特性測定装置(thin film-property measurement device)(FLX−2320,KLA−Tencor)を使用して測定した。コーティング厚は20μmであった。
【0091】
各組成物の解像度特性(resolution properties)を、評価パターンとして線幅および線間マスク(line & space mask)を使用して評価した。T0、T1およびT3の存在比を29Si−NMRによって測定した。これらの結果を表2に示す。硬化されたコーティング材料の応力は減少し、そして優れた解像度特性が本発明の組成物について得られることが確認された。
【0092】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)以下の加水分解物および/または縮合物:
a1)少なくとも1つのアルキル基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルシラン、
a2)少なくとも1つのアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アリールシランもしくは少なくとも1つのアルキルアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルアリールシラン、および
a3)エポキシ基を含む少なくとも1つの加水分解性シラン、
b)少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの有機化合物、ならびに
c)カチオン開始剤、
を含む、複合組成物。
【請求項2】
前記アルキルシランの少なくとも1つのアルキル基が、少なくとも3つの炭素原子を含有する、請求項1に記載の複合組成物。
【請求項3】
前記カチオン開始剤がカチオン光開始剤である、請求項1および請求項2のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項4】
前記加水分解性アルキルシランが、一般式(I):
SiX(4−a) (I)
[式中、Rは、同一であっても異なっていてもよく、アルキル置換基であり、それらの少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも3つの炭素原子を有し、Xは、加水分解性置換基であり、そしてaは、1〜3の整数である]
によって示される化合物から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項5】
前記加水分解性アリールシランまたはアルキルアリールシランが、一般式(II):
R’SiX(4−a) (II)
[式中、R’は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル、アリール、およびアルキルアリールから選択される非加水分解性置換基であり、これらの少なくとも1つはアリールまたはアルキルアリール基であり、Xは加水分解性置換基であり、そしてaは1〜3の整数である]
によって示される化合物から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項6】
前記エポキシ基を含む加水分解性シランが、一般式(III):
RcSi(R)(3−b) (III)
[式中、Rcはエポキシ基を有する非加水分解性置換基であり、Rは非加水分解性置換基であり、Xは加水分解性置換基であり、そしてbは0〜2の整数である]
によって表される化合物から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項7】
前記加水分解物および/または縮合物のための少なくとも1つの加水分解性シランが、3つの加水分解性置換基を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項8】
前記加水分解物および/または縮合物についての少なくとも1つの加水分解性シランが、3つの加水分解性置換基を有し、そして該加水分解物および/または縮合物において、T0およびT1の総計の存在比が50%未満であり、そしてT3の存在比が15%を超え、ここで、
T0:別のシラン分子へ結合されていないSi原子;
T1:シロキサン結合を介して1つのシラン分子へ結合されているSi原子;
T2:シロキサン結合を介して2つのシラン分子へ結合されているSi原子;および
T3:シロキサン結合を介して3つのシラン分子へ結合されているSi原子;ならびに
TXの存在比(%)=TX/(T0+T1+T2+T3)×100%(式中、X=0、1,2または3)である、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項9】
前記加水分解性アルキルシランがアルキルトリアルコキシシランであり、前記加水分解性アリールシランがアリールトリアルコキシシランであり、および/または前記エポキシ基を含む加水分解性シランがグリシジルオキシアルキルトリアルコキシシランである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項10】
前記少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物が、モノマー、オリゴマーまたはポリマー化合物、好ましくは有機エポキシ樹脂から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項11】
前記少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物b)が、室温で固体状態にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項12】
前記少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物b)が、構造単位(iv)
【化1】

[式中、nは整数を示す]
を含む化合物から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項13】
前記少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物b)が、一般式(v)
【化2】

[式中、nは整数を示す]
によって表される化合物から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項14】
追加の加水分解性金属または半金属化合物が、前記加水分解物および/または縮合物のために使用される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項15】
前記複合組成物が、該複合組成物の総固形分に基づいて、9〜79.99重量%の加水分解物および/または縮合物(a)および20〜90.99重量%の少なくとも2つのエポキシ基を有する有機化合物(b)を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項16】
加水分解物性化合物の総量に基づいて、15〜60mol%の少なくとも1つの加水分解性アルキルシラン、30〜80mol%の少なくとも1つの加水分解性アリールシランまたはアルキルアリールシラン、および1〜60mol%のエポキシ基を含む少なくとも1つの加水分解性シランが、前記加水分解物および/または縮合物のために使用される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項17】
溶媒および/または1以上の添加剤をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の複合組成物。
【請求項18】
コーティングまたは成形品としてのパターン化層の製造方法であって、以下の工程:
A)支持体へ複合組成物を塗布するかまたは型に複合組成物を配置する工程であって、該複合組成物が、
a)以下の加水分解物および/または縮合物:
a1)少なくとも1つのアルキル基を有する少なくとも1つの加水分解性アルキルシラン、
a2)少なくとも1つのアリール基を有する少なくとも1つの加水分解性アリールシランもしくは少なくとも1つのアルキルアリール基を有する少なくとも1つのアルキルアリールシラン、および
a3)エポキシ基を含む少なくとも1つの加水分解性シラン
b)少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの有機化合物、ならびに
c)カチオン開始剤
を含む、工程、
C)部分硬化のために該複合組成物の形成された層をパターン照射する工程、
D)さらなる硬化のために熱処理へ該層を供する工程、ならびに
E)それを溶媒で処理することによって該層を現像する工程、
を含む、方法。
【請求項19】
以下の工程:
B)工程C)の前に、工程A)に従って支持体へ塗布されたかまたは型に配置された前記層を乾燥する工程、および
F)工程E)の後に、最終硬化のために前記パターン化層を照射または加熱する工程、
の少なくとも1つをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
乾燥工程B)が熱処理によって行われる、請求項18および19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
紫外線、青色光またはレーザー光が、照射工程C)におけるパターン照射のために使用される、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
熱処理工程D)が、40〜130℃の範囲の温度で行われる、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
有機極性溶媒が現像工程E)のために使用される、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
最終硬化工程F)が、140〜220℃の範囲の温度で、または、前記層の全領域を照射することによって、行われる、請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記支持体が、結晶性支持体、特に、シリコン、金属、ガラス、セラミック、ガラスセラミックまたはポリマー支持体から選択され、該支持体は、必要に応じて前処理またはプレコーティングされている、請求項18〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
フォトリソグラフィー法または二波混合法(two-wave-mixing method)が、前記層をパターン化するために使用される、請求項18〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記複合組成物がキャスティングまたはフィルムキャスティングによって型に配置される、請求項18〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記層が、現像中または現像後あるいは最終硬化後に型から取り外される、請求項18〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
その上にパターン化層を有する支持体であって、該層は請求項1〜17のいずれか1項に従う硬化複合組成物である、支持体。
【請求項30】
前記パターンが、100マイクロメートル以下のパターン幅を有する部分を含む、請求項29に記載のパターン化層を有する支持体。
【請求項31】
請求項18〜26のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る、請求項29および30のいずれか1項に記載のパターン化層を有する支持体。
【請求項32】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化複合組成物を含む成形品。
【請求項33】
前記パターンが、100マイクロメートル以下のパターン幅を有する部分を含む、請求項32に記載の成形品。
【請求項34】
請求項13〜28のいずれか1項に記載の方法によって得られ得る、請求項32および33のいずれか1項に記載の成形品。

【公表番号】特表2008−528716(P2008−528716A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551622(P2007−551622)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000510
【国際公開番号】WO2006/077140
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(500449008)ライプニッツ−インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク (22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】