説明

高耐久仕上材

【課題】耐久性と防汚性に優れ、仕上がりの色が良好で、さらに造形性(表面形状・模様とその施工手段)の多様性に適する優れたセメント系の高耐久仕上材を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)白色セメント100質量部、
(B)密度2.0g/cm3以上であって、粒径600μm以上2500μm未満が35〜50質量%、粒径300μm以上600μm未満が30〜45質量%、粒径300μm未満が25質量%以下の粒度で構成される、細骨材230〜360質量部、
(C)メタカオリン3〜5質量部、
(D)吸湿性粘土鉱物0.3〜2.5質量部、
(E)シラン系撥水剤0.07〜0.70質量部及び
(F)ポリマーを固形分換算で3〜17質量部含有し、
(B)及び(D)が何れもマンセルカラーシステムで彩度0.5以下且つ明度9以上を呈することを特徴とする高耐久仕上材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外壁等に使用される、セメント系の高耐久仕上材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅、コンクリート造の公共建築物の外壁はタイルが張られるケースが多い。タイル仕上げは防汚性に優れ、紫外線劣化がなく建設当初の美観を長期で維持できる点が優れている。課題としては、施工不良により浮き、剥落が発生した場合、重大事故が起こる恐れがあることである。一方、戸建て住宅の外壁は、施工が容易で耐久性に優れたサイディングを用い、樹脂系仕上材を施工するケースが多い。
【0003】
セメント系仕上材は、樹脂系仕上材に比べ紫外線劣化が少ないが、セメント系材料の課題であるひび割れと汚れにより美観の維持が難しい。そのため、一般的な対策として表面に塗料を施工し、防汚性を付与させているが樹脂系仕上材同様紫外線劣化を受ける。セメントモルタルの耐久性改善としてポリマーとポゾラン物質を混和することが考案されている(特許文献1)。また、ひび割れ対策としてポリマー、膨張材、収縮低減剤、繊維を混和する方策が考案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−187281号
【特許文献2】特開2005−336952号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び2記載のポリマーセメントモルタルにおいては、いずれも仕上がりの色が制限されるとともに、表面形状や模様等の造形性や施工性の点で十分満足できるものではなかった。
従って、本発明は、耐久性と防汚性に優れ、仕上がりの色が良好で、さらに造形性(表面形状・模様とその施工手段)の多様性に適する優れたセメント系の高耐久仕上材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、前記課題を解決すべく種々検討した結果、セメントとして白色セメントを採用し、細骨材の粒度分布を一定の範囲に調整し、白色度の高いポゾラン物質であるメタカオリンと吸湿性粘土鉱物とを配合すれば、仕上がりの色が良好で、仕上がりパターンの多様性に優れ、施工性が良好で、かつ耐久性を防汚性に優れたセメント系高耐久仕上材が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(A)白色セメント100質量部、
(B)密度2.0g/cm3以上であって、粒径600μm以上2500μm未満が35〜50質量%、粒径300μm以上600μm未満が30〜45質量%、粒径300μm未満が25質量%以下の粒度で構成される、細骨材230〜360質量部、
(C)メタカオリン3〜5質量部、
(D)吸湿性粘土鉱物0.3〜2.5質量部、
(E)シラン系撥水剤0.07〜0.70質量部及び
(F)ポリマーを固形分換算で3〜17質量部含有し、
(B)及び(D)が何れもマンセルカラーシステムで彩度0.5以下且つ明度9以上を呈することを特徴とする高耐久仕上材を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の高耐久仕上材は、仕上げパターンの多様性、耐久性、防汚性、施工性に優れており、集合住宅、コンクリート造の公共建築物の表面仕上げ、特に外壁の仕上材に使用すると建設当初の美観を長期に維持することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の高耐久仕上材には、(A)白色セメントが用いられる。白色セメントを用いることにより、高耐久仕上材の白色度が向上し、着色の自由度が向上する。(A)白色セメントとしては、市販の白色セメントが使用可能である。市販の白色セメントとしては、色を白くするため、Fe23を0.2%前後に調整したものが好ましい。例えば、山陽白色セメント(株)製商品名「ホワイトセメント」、阿爾博安慶白水泥有限公司製商品名「ホワイトセメント」が使用可能である。
【0010】
本発明に用いられる(B)細骨材は、密度が2.0g/cm3以上であって、粒径600μm以上2500μm未満が35〜50質量%、粒径300μm以上600μm未満が30〜45質量%、粒径300μm未満が25質量%未満である。(B)細骨材の粒度分布をこの範囲に調整することにより、施工性(コテ作業性)が良好であり、仕上がりパターンの多様性に優れた仕上材が得られる。
【0011】
粒径600μm以上2500μm未満の細骨材が50質量%を超えると施工方法と仕上がりパターンが限定され、仕上がりパターンの多様性に優れた仕上材が得られない。粒径600μm以上2500μm未満の細骨材が35質量%未満であると、水セメント比が大きくなるとともに適正な施工厚さが得られず、仕上がりパターンが意匠性の低いものになる。また、水セメント比の増加に伴い、乾燥収縮も大きくなりひび割れの発生する恐れがある。粒径300μm以上600μm未満が45質量%より大きくなると、粒径600μm以上2500μm未満と粒径300μm未満の細骨材の割合が小さくなり、仕上がりパターンが限定され、造形性の多様性が失われるとともに意匠的に低いものになる。粒径300μm未満が25質量%を超えると粒径600μm以上2500μm未満及び粒径300μm以上600μm未満の粒度の細骨材が減少し、適正な施工厚さが得られない上に仕上がりパターンが限定される。また、粒径300μm未満の細骨材が増えると水セメント比が増加し、乾燥収縮も大きくなりひび割れの発生する恐れがある。
(B)細骨材の好ましい密度は2〜4g/cm3である。また好ましい粒度分布は、粒径600μm以上2500μm未満が40〜50質量%、粒径300μm以上600μm未満が30〜40質量%、粒径300μm未満が15〜25質量%である。
粒径分布をこのように調整するには、粒度が調節された市販の細骨材を適宜組み合わせて配合することにより行われる。
【0012】
(B)細骨材の色調は、マンセルカラーシステムで彩度0.5以下、明度9以上であるのが好ましい。色調の彩度が0.5を超えた細骨材を使用すると、白色セメントとの色差により細骨材が目立ち一様な色の仕上がりにはならず、仕上材として意匠性の低いものとなる。明度が9未満の場合も同様に細骨材が目立ち意匠性の低い仕上材となり好ましくない。
このような色調を有する細骨材としては、結晶質石灰岩、珪砂などの白色度の高い砂を配合した細骨材が挙げられる。ここで結晶質石灰岩としては、白色石灰石(寒水石)が挙げられ、例えば、日立寒水石(株)製商品名「日立寒水石4号」、「日立寒水石1号」、前田建材工業(株)製商品名「山形珪砂5号」が用いられる。また珪砂としては、「山形珪砂6号」、「山形珪砂7号」などが挙げられる。
これらの細骨材のうち、白色石灰石(寒水石)を細骨材中に50質量%以上含有するのが、色調を前記に調整する点で特に好ましい。
【0013】
本発明に用いる(B)細骨材は、寒水石を50質量%以上含有するように調節し、かつ複数の市販の細骨材を混合して粒径分布を前記のように調整するのが好ましい。
【0014】
(B)細骨材は、白色セメント100質量部に対し、230〜360質量部が好ましく、260〜360質量部がさらに好ましく、260〜300質量部がより好ましい。細骨材の配合量が230質量部未満では、白色セメント量の割合が大きすぎ粘性が増し施工性が低下する。そのため、良好な仕上がりパターンが出せずさらに適正な施工厚さも得られない。また、水セメント比が増加し、乾燥収縮も大きくなりひび割れの発生する恐れがある。細骨材の配合量が360質量部を超えるとコテ作業性が低下するとともにローラー施工が困難になる。また、白色セメントの配合量が減少するため仕上がりパターンの輪郭が不明瞭になるため、意匠性も低下する。
【0015】
本発明においては、ポゾラン物質として(C)メタカオリンを使用する。メタカオリンは、白色性が高く、仕上材の色調を低下させない点から、マンセルカラーシステムで彩度0.5以下且つ明度9以上を呈するものを用いるのが好ましい。本発明に使用される(C)メタカオリンは、水密性の向上とコテ作業性の改善効果が得られる比表面積10000cm2/g以上の微粉末が好ましい。このようなメタカオリンとしては、例えば、BASFポゾリス(株)製商品名「Meta−Max HRM」等が挙げられる。
【0016】
(C)メタカオリンは、(A)白色セメント100質量部に対し、3〜5質量部含有するのが好ましい。さらに好ましくは3.3〜4.5質量部、より好ましくは3.3〜4.0質量部である。3質量部未満では、水密性とコテ作業性の改善効果が得られず混和した効果が認められない。5質量部を超えると水セメント比が増し、水密性が低下する。
【0017】
本発明に使用される(D)吸湿性粘土鉱物としては、コテ作業性改善効果のあるセピオライト、ベントナイトが好ましく、市販されているものが使用可能である。さらに、吸湿性粘土鉱物も、メタカオリンと同様、仕上材に混和して美観に影響を与えないことを考慮するとマンセルカラーシステムで彩度0.5以下且つ明度9以上を呈するものが好ましい。例えば、セピオライトは、巴工業(株)製商品名「IGS]が使用可能である。ベントナイトは粘土鉱物モンモリロナイトを主成分として、石英、α−クリストバライト、オパールなどの珪酸鉱物を副成分として、長石、マイカ、ゼオライトなどの珪酸塩鉱物、カルサイト、ドロマイト、ジプサムなどの炭酸塩鉱物や硫酸塩鉱物、さらにパイライトなどの硫化鉱物を随伴する弱アルカリ性粘土岩である。例えば、(株)ホージュン製商品名「榛名」が使用可能である。
【0018】
(D)吸湿性粘土鉱物は、(A)白色セメント100質量部に対し、0.3〜2.5質量部含有するのが好ましい。さらに好ましくは0.33〜1.4質量部、より好ましくは0.33〜1.2質量部である。0.3質量部未満では、コテ作業性改善効果が得られず、混和した効果がない。2.5質量部を超えると粘性が増し水セメント比が増す。そのため、ひび割れの発生する恐れがある。
【0019】
(E)シラン系撥水剤は、仕上材に防汚性、耐凍害性、耐塩害性を付与するのに有用である。本発明に使用される(E)シラン系撥水剤としては、セメントモルタルに混和し高アルカリ条件下で反応性のシラノールとなるシラン化合物が好ましい。例えば、有機シラン、ポリシラン等である。具体例としては、アクゾノーベル(株)製商品名「シール80」等が挙げられる。反応性シラノールは、シラノール基間の架橋や無機化合物との反応により表面が疎水性に変性される。そのため、シラン系撥水剤は練混ぜ性状が良く、本発明の高耐久仕上材は硬化後優れた撥水性を発揮する。
【0020】
(E)シラン系撥水剤は、(A)白色セメント100質量部に対し、0.07〜0.70質量部含有するのが好ましい。さらに好ましくは0.16〜0.68質量部、より好ましくは0.16〜0.60質量部である。0.07質量部未満では適正な撥水性が得られず、混和した効果がない。0.70質量部を超えても撥水効果の改善は小さく不経済である。
【0021】
(F)ポリマーは、撥水剤やメタカオリンと併用することにより、仕上材に、防汚性、耐凍害性、耐塩害性、中性化阻止性等の作用を奏する。本発明に使用される(F)ポリマーとしては、ポリマーディスパージョンと再乳化型粉末樹脂が使用可能である。ポリマーディスパージョンとしては、JIS A6203に規定されたものを使用でき、また、再乳化型粉末樹脂としては、同じくJIS A 6203に規定されたものを使用することができる。すなわち、前記ポリマーディスパージョンとしては、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン、又はエチレン酢酸ビニルなどを主成分とする樹脂を使用することができる。また、前記再乳化型粉末樹脂としては、ポリアクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステルなどを主成分とする粉末状の樹脂を使用することができる。また、再乳化型粉末樹脂の製造方法は限定されることなく、粉末化方法やブロッキング防止法などのいずれの製法によって製造しても良い。
【0022】
(F)ポリマーは、(A)白色セメント100質量部に対して、固形分換算で3〜17質量部含有するのが好ましく、さらに好ましくは4〜15質量部が良い。より好ましくは、6〜15質量部が良い。3質量部未満では、吸水性の低減効果がなく、17質量部を超えると粘性が上がり施工性が低下する。
【0023】
さらに、本発明の高耐久仕上材には、(G)膨張材、(H)保水剤、(I)消泡剤、着色材等を配合することができる。
【0024】
(G)膨張材は仕上材にひび割れ抵抗性を改善する作用を有する。膨張材としては、市販の膨張材が使用可能であり、石灰系膨張材、エトリンガイト系膨張材ともに使用できる。例えば、太平洋マテリアル(株)製商品名「太平洋エクスパン(構造用)」、「太平洋ジプカル」等が挙げられる。
(G)膨張材は、(A)白色セメント100質量部に対し、2〜6質量部含有するのが好ましい。さらに好ましくは3.3〜5.5質量部、より好ましくは4.0〜4.8質量部である。(G)膨張材の含有量が少なすぎると、混和した効果がなく、ひび割れ低減効果が得られない。また、多すぎると、施工後異常膨張を起こし、剥離、剥落が発生する恐れがある。また、寒冷期に施工後、遅れ膨張を起こし剥離、剥落が発生する恐れがある。
【0025】
(H)保水剤としては、セルロース誘導体が使用できる。水に溶解するものであればいずれでも良く、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸エステル等の水溶性セルロース誘導体が挙げられる。これらのうち、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースが好ましい。
(H)保水剤は、(A)白色セメント100質量部に対し、0.1〜0.25質量部含有するのが好ましい。さらに好ましくは、0.11〜0.18質量部である。(H)保水剤の含有量が少なすぎると、適正な保水性能が得られない。また多すぎると、粘性が上がりすぎ施工性が低下するとともに凝結時間が伸び、強度発現性が低下する。
【0026】
(I)消泡剤は、ポリエーテル系、シリコーン系とも使用可能であるが、プレミックスモルタルに製造時より混和できる粉末状のものが好ましい。例えば、サンノプコ(株)製商品名「SNディフォーマーAHP」、「SNディフォーマー14HP」等が好ましい。
(I)消泡剤は、(A)白色セメント100質量部に対し、0.03〜0.15質量部含有するのが好ましい。より好ましくは、0.08〜0.12質量部である。消泡剤の含有量が少なすぎると、消泡効果が十分に得られず本発明の高耐久仕上材を練り混ぜた際に巻き込んだエアーが残り、強度低下と水密性の低下を招く。一方、多すぎても消泡効果の向上はほとんど得られないため不経済である。
【0027】
本発明の高耐久仕上材は、前記の各成分に水を混合して外壁等に塗布することにより施工することができる。対象としては、戸建住宅、集合住宅、公共建築物の外壁、擬木、擬石等が挙げられる。施工手段としては、吹付け施工、ローラー施工、金ゴテ施工、木ゴテ等が挙げられる。また、外壁の仕上げ手段としては、掻き落とし仕上げ、漆喰仕上げ、木ゴテ仕上げが挙げられる。また、仕上げ表面に櫛目、彫刻模様等の種々の模様を付すこともできる。
【0028】
また、本発明の高耐久仕上材は、前記成分を予め混合しておき、施工現場で水と混合して使用するプレミックスタイプとするのが好適である。なお、プレミックスタイプにする場合、消泡剤やポリマーは粉末状のものを用いるのが好ましい。
【実施例】
【0029】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
実施例1〜12及び比較例1〜20
表9〜表13に記載の配合で高耐久仕上材を得た。なお、成分が粉末の場合にはプレミックスタイプとした。表に記載の水やエマルションと混合して仕上げ施工を行い、その性能を評価した。その結果を表9〜表13に示す。
【0031】
<フレッシュ性状の確認>
1−1.フロー試験
20℃の試験室でJISR5201により測定した。
1−2.単位容積質量の測定
20℃の試験室で500mLステンレス製容器を用い、JISA1171により測定した。
【0032】
<性能評価方法>
2−1.造形性の評価試験
20℃の試験室で吹付け施工、ローラー施工、金ゴテ施工、掻き落とし仕上げ、漆喰仕上げが可能であるか450×600×60mmコンクリート板に5mm厚さで施工し確認した。尚、吹付け施工はリシンガンを使用し、ローラー施工は、7mm幅の櫛目パターンが得られる210mm幅のローラーを作製して施工性を確認した。金ゴテ仕上げは、7mmの櫛目ゴテを使用した。評価基準は表1の通りである。
【0033】
【表1】

【0034】
[造形性の評価結果]
表2に本発明のデザイン性の総合評価基準を示す。
【0035】
【表2】

【0036】
2−2.長さ変化試験
JISA1171に従って、28日の長さ変化率を測定した。評価項目は表3の通りである。
【0037】
【表3】

【0038】
2−3.防汚性試験及び仕上がり色の評価
20℃の試験室で150×300×5mmのフレキ板2枚に金ゴテで5mm厚さに平滑に塗り付けた。3週間養生した後、そのうちの1枚について色調をマンセル値で確認した。
彩度が0.5以下且つ明度9以上を呈するものを評価「○」とした。
彩度が0.5を超え且つ明度9未満を呈するものを評価「×」とした。
その後、1枚を5面エポキシ樹脂でシールし、4週間目で南面を向け垂直に立てて暴露試験を開始した。暴露期間は3ヶ月とし、暴露を行わなかった試験体との色差ΔE*abを色差計で測定した。評価項目は表4の通りである。
【0039】
【表4】

【0040】
2−4.吸水試験
JISA1171に従って、20℃の試験室で24時間の吸水量を測定した。評価基準は表5の通りである。
【0041】
【表5】

【0042】
2−5.凍結融解試験
100×100×400mmの型枠を用い、20℃の試験室でJISA1171により4週間養生した後、24時間20℃の水中浸漬を行い試験を開始した。凍結融解試験は、JISA1148により300サイクル行った。試験体は、試験期間と試験水準を考慮してn=1とした。凍結融解抵抗性は相対動弾性係数と表6により評価した。
【0043】
【表6】

【0044】
2−6.曲げ・圧縮試験
JISA1171に従い、20℃の試験室で実施した。供試体の寸法は40×40×160mmとし、材齢は28日とした。圧縮強度試験は、曲げ強度試験の終了した供試体を用いn=6で実施した。
【0045】
使用材料を表7に示す。表7中のマンセル値は、マンセルカラーシステムにより色調であり、Nは明度であり、Rは赤、Yは黄色を示す。またスラッシュの後の数値は彩度を示す。
【0046】
【表7】

【0047】
珪砂の粒度は、表8のとおりである。
【0048】
【表8】

【0049】
【表9】

【0050】
【表10】

【0051】
【表11】

【0052】
【表12】

【0053】
【表13】

【0054】
表9〜表13から明らかなように本発明の高耐久仕上材は、仕上がりの色が良好で、造形性、施工性に優れ、防汚性、凍結融解抵抗性、耐水性が良好であった。これに対し、本発明の成分(A)〜(F)のいずれかを含有しない仕上材は、これらのいずれかの評価において劣るものであった。なお、表11〜表13中、比較例19及び20は、珪砂9号を多量に含むため、本発明成分(A)の粒度の条件を満たさないものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)白色セメント100質量部、
(B)密度2.0g/cm3以上であって、粒径600μm以上2500μm未満が35〜50質量%、粒径300μm以上600μm未満が30〜45質量%、粒径300μm未満が25質量%以下の粒度で構成される、細骨材230〜360質量部、
(C)メタカオリン3〜5質量部、
(D)吸湿性粘土鉱物0.3〜2.5質量部、
(E)シラン系撥水剤0.07〜0.70質量部及び
(F)ポリマーを固形分換算で3〜17質量部含有し、
(B)及び(D)が何れもマンセルカラーシステムで彩度0.5以下且つ明度9以上を呈することを特徴とする高耐久仕上材。
【請求項2】
(D)吸湿性粘土鉱物がマンセルカラーシステムで彩度0.5以下且つ明度9以上を呈するセピオライト又はベントナイトである請求項1記載の高耐久仕上材。
【請求項3】
(B)細骨材中に寒水石を50質量%以上含む請求項1又は2記載の高耐久仕上材。
【請求項4】
さらに(G)膨張材を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の高耐久仕上材。
【請求項5】
さらに(H)保水剤を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の高耐久仕上材。
【請求項6】
さらに(I)消泡剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の高耐久仕上材。
【請求項7】
プレミックス化した高耐久仕上材である請求項1〜6のいずれかに記載の高耐久仕上材。

【公開番号】特開2013−95615(P2013−95615A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237186(P2011−237186)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】