説明

高耐久性ポリウレタン系接着剤の主剤および高耐久性ポリウレタン系接着剤

【課題】接着強度と長期高耐久性とが両立した二液反応型接着剤を提供する。
【解決手段】分枝アルキル側鎖を有するジオールを20〜100モル%含むジオール単位を有する重量平均分子量400〜8,000のポリカーボネートポリオールAと、分子量62〜300のアルキレンジオール鎖伸長剤Bと、有機ジイソシアネートCとを、当量比NCO/OH=0.7〜0.99で反応させて得られることを特徴とする末端OH基を有する二液反応型ポリウレタン系接着剤の主剤、および該主剤を用いた二液反応型ポリウレタン系接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐久性ポリウレタン系接着剤の主剤および高耐久性ポリウレタン系接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種エラストマーやプラスチック基材に対し、高接着強度が得られる接着剤として末端OH基を有するポリエステル系主剤またはポリエステルポリウレタン系主剤と、ポリイソシアネート硬化剤とを配合する二液反応型接着剤が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の二液反応型接着剤は、電気・電子材料、自動車用部品、人工皮革、建材用途などの耐湿熱、耐候長期暴露時などに代表される長期耐久性については不十分な場合があり、長期暴露により接着強度が低下することが知られている(特許文献1)。
【0004】
また、1,6−ヘキサンジオールを用いたポリカーボネートポリオールからなる末端OH基を有するポリウレタン系主剤と、ポリイソシアネート硬化剤とからなる二液反応型接着剤は、耐湿熱、耐候長期暴露時の強度保持は優れるが、接着強度が低く実用レベルには不十分であった(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−249745号公報
【0005】
従って本発明の目的は、接着強度と長期高耐久性とが両立した二液反応型接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、分枝アルキル側鎖を有するジオールを20〜100モル%含むジオール単位を有する重量平均分子量400〜8,000のポリカーボネートポリオールAと、分子量62〜300のアルキレンジオール鎖伸長剤Bと、有機ジイソシアネートCとを、当量比NCO/OH=0.7〜0.99で反応させて得られることを特徴とする末端OH基を有する二液反応型ポリウレタン系接着剤の主剤を提供する。尚、本発明において「分枝アルキル側鎖を有するジオール」とは、側鎖が分枝アルキル基というのではなく、ジオールの主鎖から分枝したアルキル基を有することを意味する。
【0007】
上記主剤においては、アルキレンジオール鎖伸長剤Bが、分枝アルキル側鎖を有するジオール5〜100モル%を含むこと;および分枝アルキル側鎖を有するジオールおよびアルキレンジオール鎖伸長剤Bが、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、上記本発明の主剤と、ポリイソシアネート硬化剤とを、当量比NCO/OH=1.0〜5.0で配合してなることを特徴とする二液反応型高耐久性ポリウレタン系接着剤を提供する。
【0009】
上記接着剤においては、ポリイソシアネート硬化剤が、その構造中にイソシアヌレート環構造を含み、イソシアネート基の含有量が10質量%〜28質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二液硬化型ウレタン接着剤において、主鎖に、分枝アルキル側鎖を有するジオールからなるポリカーボネートポリオールウレタンを用い、さらに好ましくは鎖伸長剤として分枝アルキル側鎖を有するジオールを用いて末端水酸基のポリカーボネートポリオールウレタンを接着剤の主剤として用いることで、従来の主剤であるポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタンを用いた場合に比べて、各種エラストマーやプラスチック基材に対し、優れた接着強度と長期高耐久性能とを有する接着剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の第一の特徴は、接着剤の主剤として分枝アルキル側鎖を有するジオールを20モル%以上含むジオールを原料とするポリカーボネートポリオールAを使用することにある。
【0012】
上記ポリカーボネートポリオールは、ジオールと短鎖ジアルキルカーボネート、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジC1〜4のアルキルカーボネートとの反応により得られるものである。
【0013】
上記のジオールとしては、従来はエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが使用されてポリカーボネートポリオールが製造されてきたが、本発明の主剤は、分枝アルキル側鎖を有するジオールを20モル%以上含むジオールを用いて製造される。
【0014】
上記分枝アルキル側鎖を有するジオールとしては、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本発明で使用するジオールは、前記の直鎖(分枝鎖を有さない)ジオールを含有してもよいが、分枝アルキル側鎖を有するジオールを20モル%以上含むことが必須であり、より好ましくは30モル%以上である。ジオール全体中に含まれる分枝アルキル側鎖を有するジオールの量が20モル%未満であると本発明の目的が達成できない。
【0015】
上記分枝アルキル側鎖を有するジオールから合成されるポリカーボネートポリオールの重量平均分子量は400〜8,000の範囲であり、700〜5,000の範囲がより好ましい。上記重量平均分子量が400未満であると実用的な合成溶剤に対する溶解性が乏しくなり、一方、上記重量平均分子量が8,000を超えると接着強度が低くなり実用性が減じる。
【0016】
また、上記ポリカーボネートポリオールは末端水酸基を含有しており、その水酸基価は、14〜280mg/KOHであることが好ましく、より好ましくは22〜160mg/KOHである。
【0017】
本発明の主剤は、上記ポリカーボネートポリオールAと分子量が62〜300のアルキレンジオール鎖伸長剤Bと有機ジイソシアネートCとを反応させて得られる。ここで上記ポリオールAと鎖伸長剤Bとの使用割合は、ポリオールA100質量部当たり鎖伸長剤B0.5〜50質量部の割合が好ましい。上記鎖伸長剤Bの使用量が0.5質量部未満であると二液硬化型接着剤としての接着強度への改質効果に乏しく、一方、上記鎖伸長剤Bの使用量が50質量部を超えると実用的な合成溶剤に対する溶解性が乏しくなる。
【0018】
上記鎖伸長剤Bは、直鎖状ジオールでもよいが、前記分枝アルキル側鎖を有するジオールを5モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは20モル%以上である。この点が本発明の第二の特徴である。上記鎖伸長剤B中の分枝アルキル側鎖を有するジオールの含有量が、5モル%未満であると二液硬化型接着剤としての接着強度への改質効果に乏しくなる。
【0019】
本発明の主剤を構成する有機ジイソシアネートCとしては、芳香族ジイソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、低分子グリコール類と前記芳香族ジイソシアネートとのプレポリマーなど);脂肪族ジイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの低分子グリコール類と前記脂肪族ジイソシアネートとのプレポリマーなど);脂環族ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート、低分子グリコール類と前記脂環族ジイソシアネートとのプレポリマーなど);およびこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
【0020】
上記有機ジイソシアネートのうちでも本発明に特に好ましいものは、水添化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族または脂環族ジイソシアネートである。上記有機ジイソシアネートは、前記ポリオールAおよび鎖伸長剤Bとの当量比(NCO/OH)が0.7〜0.99になる範囲で使用することが必要であり、より好ましくはNCO/OH=0.8〜0.97である。上記NCO/OHが0.7未満であると二液硬化型接着剤としての接着強度、耐熱性が低くなる。一方、上記NCO/OHが0.99を超えると十分な末端水酸基を有する主剤が得られない。
【0021】
上記本発明の主剤は、前記ポリオールAと鎖伸長剤Bと前記ポリイソシアネートとを無溶剤で、またはイソシアネート基と反応しない溶剤中で必要に応じて触媒の存在下に60〜150℃で2〜15時間反応させて得られる。このようにして得られる主剤の重量平均分子量は4,000〜50,000であることが好ましく、上記重量平均分子量が4,000以下であると二液硬化接着剤としての接着強度が低くなる。一方、上記重量平均分子量50,000を超えると実用的な合成溶剤に対する溶解性が乏しくなるとともに加工性が悪くなる。
【0022】
使用するのに好ましい溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、エチレンクロリドなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどが挙げられる。これらの溶剤は、主剤合成後の希釈溶剤としても使用でき、本発明の主剤は、固形分濃度で20〜50質量%の溶液に調整して使用することが好ましい。
【0023】
本発明の接着剤は、上記主剤と硬化剤としてのポリイソシアネートとから構成される。本発明において硬化剤として用いるポリイソシアネートは、例えば、前記したジイソシアネートとポリオールとのアダクト体、前記のジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビューレット体、アロファネート体などの1分子内にイソシアネート基が少なくとも2個有するものが挙げられる。
【0024】
例えば、1モルのトリメチロールプロパンに3モルのジイソシアネートを付加して得られるアダクト体、3モルのジイソシアネートに1モルの水を反応させて得られるビューレット、または3モルのジイソシアネートの重合で得られるイソシアヌレートなどの結合形態を有する多官能の有機ポリイソシアネートが使用され、特に好ましい硬化剤は、その構造中にイソシアヌレート環構造を含み、イソシアネート基の含有量が10質量%〜28質量%である硬化剤である。
【0025】
前記主剤と前記硬化剤との配合割合は、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネートとの当量比で決められ、主剤とポリイソシアネートとを、NCO/OH=1.0〜5.0、より好ましくはNCO/OH=1.5〜4.0で配合することである。上記NCO/OHが1.0未満であると、接着剤の硬化が進まず、一方、上記NCO/OHが5を超えると硬化不良または硬化に時間が掛かりすぎる。
【0026】
本発明の接着剤は、不揮発分20〜80質量%程度の主剤と、不揮発分40〜100質量%程度の硬化剤であるポリイソシアネートとを混合し、必要に応じて希釈溶剤で希釈して使用することが好ましい。本発明の接着剤の不揮発分(固形分)は、調製時で10〜50質量%程度が好ましい。
【0027】
本発明の接着剤には、接着促進剤をポリオール成分合成後、または硬化剤に添加することもできる。接着促進剤にはシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系などのカップリング剤、エポキシ樹脂など、好ましくはシランカップリング剤が挙げられる。
【0028】
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
【0029】
本発明の接着剤には、さらに、反応触媒、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を添加することができる。
【0030】
本発明の接着剤は、特にプラスチックフィルムのラミネート方法に有用であり、例えば、ラミネート工程は、前記の主剤と硬化剤とからなる接着剤を、固形分10質量%以上、好ましくは20質量%以上となるように調整し、この接着剤をグラビアロール塗工を用いて、塗布量が不揮発分で好ましくは、1.0〜20g/m2、より好ましくは、2〜15g/m2となる塗工条件でフィルム基材に塗布する工程、ドライヤーで乾燥する工程、接着剤が塗布された面と他のフィルム基材とを貼り合わせる工程を有する。この際、本発明の接着剤は、不揮発分を50質量%としたときのザーンカップ3番の粘度が、温度25℃において、12秒〜35秒であることが好ましく、より好ましくは15秒〜30秒である。
【0031】
上記の塗布の工程は、接着剤が高固形分で塗工されるため、加工時に希釈溶剤の揮発による接着剤の粘度増加を防止するため、非開放系のグラビアロール方式で塗布する。非開放系のグラビアロール方式は、例えば、チャンバードクター方式が挙げられる。ドライヤーで乾燥する工程、接着剤が塗布された面と他の基材とを貼り合わせる工程は従来公知の任意の方法が用いられる。
【0032】
本発明の接着剤は、プラスチックフィルム、アルミ蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、およびアルミ箔から選ばれた少なくとも2種をラミネートするために好ましく使用される。
【0033】
2層からなる複合フィルムは、例えば、2軸延伸ポリプロピレン、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着が施された2軸延伸ポリプロピレン、EVA、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムから選ばれたベースフィルム同士または前記ベースフィルムと、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミ蒸着が施されたポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれたシーラントフィルムとをラミネートしたものが挙げられる。上記のベースフィルムには、印刷を施すこともできる。
【0034】
3層からなる複合フィルムは、例えば、2軸延伸ポリプロピレン、EVA、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着が施された2軸延伸ポリプロピレン、EVA、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムから選ばれたベースフィルムと、アルミ箔、2軸延伸ポリプロピレン、EVA、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着が施された2軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムから選ばれた中間層、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれたシーラントフィルムまたは前記ベースフィルムとをラミネートしたものが挙げられる。上記のベースフィルムまたは中間層には、印刷を施すこともできる。
【0035】
4層からなる複合フィルムは、例えば、2軸延伸ポリプロピレン、EVA、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着が施されたポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムから選ばれたベースフィルムと、アルミ箔、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着が施されたポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムから選ばれた第1中間層と、アルミ箔、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着が施された2軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンフィルムから選ばれた第2中間層、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ばれたシーラントフィルムまたは前記ベースフィルムとをラミネートしたものが挙げられる。上記のベースフィルムまたは第1および第2中間層には、印刷を施すこともできる。
【実施例】
【0036】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。また、「NCO/OH」は当量比である。
【0037】
[主剤実施例]
実施例1
アルキレンジオール成分として3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなるポリカーボネートジオール(重量平均分子量約2,000、水酸基価56mg/KOH)1,000部と、1,4−ブタンジオール44.9部と、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート222.3部とを、攪拌機付き合成容器に仕込んだトルエン140.8部中に添加し、NCO/OH比=0.85の条件で100℃で8時間反応を行い合成を完結した。次にトルエン1139.3部を加え、固形分濃度を50%に調整し、水酸基価6.5mg/KOH(溶液値)の末端OH基を有するポリカーボネートポリウレタン(重量平均分子量8,600)(主剤1)溶液を得た。
【0038】
実施例2
アルキレンジオール成分として3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなるポリカーボネートジオール(重量平均分子量約2,000、水酸基価56mg/KOH)1,000部と、1,4−ブタンジオール22.5部と、3−メチル−1,5−ペンタンジオール29.4部と、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート222.3部とを攪拌機付き合成容器に仕込んだトルエン141.6部中に添加し、NCO/OH比=0.85の条件で100℃で8時間反応を行い合成を完結した。次にトルエン1,145.6部を加え、固形分濃度を50%に調整し、水酸基価6.5mg/KOH(溶液値)の末端OH基を有するポリカーボネートポリウレタン(重量平均分子量8,600)溶液(主剤2)を得た。
【0039】
実施例3
アルキレンジオール成分として2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=5/5(モル比)からなるポリカーボネートジオール(重量平均分子量約2,000、水酸基価56mg/KOH)1,000部と、1,4−ブタンジオール22.5部と、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール39.9部と、イソホロンジイソシアネート188.4部とを攪拌機付き合成容器に仕込んだ酢酸エチル139.0部中に添加し、NCO/OH比=0.85の条件で100℃で8時間反応を行い合成を完結した。次に酢酸エチル1,124.5部を加え、固形分濃度を50%に調整し、水酸基価6.6mg/KOH(溶液値)の末端OH基を有するポリカーボネートポリウレタン(重量平均分子量8,500)溶液(主剤3)を得た。
【0040】
実施例4
アルキレンジオール成分として2−メチル−1,3−プロパンジオール/1,4−ブタンジオール=5/5(モル比)からなるポリカーボネートジオール(重量平均分子量約2,000、水酸基価56mg/KOH)1,000部と、1,4−ブタンジオール22.5部と、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール39.9部と、イソホロンジイソシアネート188.4部とを攪拌機付き合成容器に仕込んだ酢酸エチル139.0部中に添加し、NCO/OH比=0.85の条件で100℃で8時間反応を行い合成を完結した。次に酢酸エチル1,124.5部を加え、固形分濃度を50%に調整し、水酸基価6.6mg/KOH(溶液値)の末端OH基を有するポリカーボネートポリウレタン(重量平均分子量8,500)溶液(主剤4)を得た。
【0041】
[主剤比較例]
1,6−ヘキサンジオールを用いたポリカーボネートポリウレタン系主剤およびエステル系主剤の合成例を挙げる。
【0042】
比較例1
1,6−ヘキサンジオールを用いたポリカーボネート(重量平均分子量約2,000、水酸基価56mg/KOH)1,000部と、1,4−ブタンジオール44.9部と、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート222.3部とを攪拌機付き合成容器に仕込んだトルエン140.8部中に添加し、NCO/OH比=0.85の条件で100℃で8時間反応を行い合成を完結した。次にトルエン1,139.3部を加え、固形分濃度を50%に調整し、水酸基価6.5mg/KOH(溶液値)の末端OH基を有するポリカーボネートポリウレタン(重量平均分子量8,600)溶液(主剤比較例1)を得た。
【0043】
比較例2
テレフタル酸ジメチル97部と、イソフタル酸ジメチル776部と、セバシン酸ジメチル115部と、1,6−ヘキサンジオール407部と、ネオペンチルグリコール120部と、エチレングリコール71.3部と、酢酸亜鉛二水和物0.2部とを、減圧可能な攪拌機付き合成容器に仕込み、窒素気流下攪拌しながら160〜200℃に加熱し、メタノールを留出させながらエステル交換反応させた。メタノールの留出が止まった時点でテトラブチルチタネート0.3部を加え、250℃に昇温し、10mmHg減圧下重縮合させポリエステルポリオールを得た後、トルエンに溶解させ、固形分濃度を50%に調整し、水酸基価6.2mg/KOH(溶液値)のポリエステルポリオール(重量平均分子量9,000)溶液(主剤比較例2)を得た。
【0044】
[接着剤実施例]
実施例1〜4、比較例1、2
次に前記主剤実施例1〜4、主剤比較例1、2で得た接着剤主剤100部に、ヘキサメチレジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(NCO含有率21%)5部を加え、酢酸エチルで不揮発分25%に調整し、本発明および比較例の接着剤とし、次いで200μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)シートに5g/m2・dryの塗工量で塗工し、溶剤を飛散乾燥後40℃、0.3MPaのラミネート条件にてPETシートと貼り合わせた後、40℃で144時間エージングした後試験に供した。試験結果を下記表1に示す。
【0045】

【0046】
[湿熱試験後の接着強度]
湿熱試験条件:70℃、98%相対湿度下、2,000時間暴露後の接着強度[UV光照射試験後の接着強度]
UV光照射試験条件:キセノン試験機、ブラックパネル温度89℃、500時間照射後の接着強度
[評価基準]
◎:非常に優れる
○:優れる
△:劣る
×:非常に劣る
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、二液硬化型ウレタン接着剤において、主鎖に、分枝アルキル側鎖を有するジオールからなるポリカーボネートポリオールウレタンを用い、さらに好ましくは鎖伸長剤として分枝アルキル側鎖を有するジオールを用いて末端水酸基のポリカーボネートポリオールウレタンを接着剤の主剤として用いることで、従来の主剤であるポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタンを用いた場合に比べて、各種エラストマーやプラスチック基材に対し、優れた接着強度と長期高耐久性能とを有する接着剤が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分枝アルキル側鎖を有するジオールを20〜100モル%含むジオール単位を有する重量平均分子量400〜8,000のポリカーボネートポリオールAと、分子量62〜300のアルキレンジオール鎖伸長剤Bと、有機ジイソシアネートCとを、当量比NCO/OH=0.7〜0.99で反応させて得られることを特徴とする末端OH基を有する二液反応型ポリウレタン系接着剤の主剤。
【請求項2】
アルキレンジオール鎖伸長剤Bが、分枝アルキル側鎖を有するジオール5〜100モル%を含む請求項1に記載の二液反応型ポリウレタン系接着剤の主剤。
【請求項3】
分枝アルキル側鎖を有するジオールが、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の二液反応型ポリウレタン系接着剤の主剤。
【請求項4】
請求項1に記載の接着剤の主剤と、ポリイソシアネート硬化剤とを、当量比NCO/OH=1.0〜5.0で配合してなることを特徴とする二液反応型高耐久性ポリウレタン系接着剤。
【請求項5】
ポリイソシアネート硬化剤が、その構造中にイソシアヌレート環構造を含み、イソシアネート基の含有量が10質量%〜28質量%である請求項4に記載の二液反応型高耐久性ポリウレタン系接着剤。

【公開番号】特開2010−138291(P2010−138291A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316126(P2008−316126)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000002820)大日精化工業株式会社 (387)
【出願人】(000238256)浮間合成株式会社 (99)
【Fターム(参考)】