説明

高脂血症または動脈硬化症などの疾患の処置に有用なCETP阻害剤としての4−ベンジルアミノ−1−カルボキシアシル−ピペリジン誘導体

本発明は、式(I):


[式中、可変文字R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は本明細書記載の意味である。]
で示され、CETPの阻害剤であることから、CETPが介在するかまたはCETPの阻害に応答を示す障害または疾患の処置に使用され得る化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
R1は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アルキル−O−C(O)−、アルカノイルまたはアルキルであり、各シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアリールは、所望によりアルキル、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、各アルカノイル、アルキル−O−C(O)−、アルキル、アルコキシまたはヘテロシクリルは、さらに所望によりヒドロキシ、アルキル、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル−またはアルコキシであり、各アルキル、シクロアルキルまたはアルコキシは、所望によりアルキル、アルコキシまたはハロゲンから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R3は、HOC(O)−R9−C(O)−またはHOC(O)−R9−O−C(O)−であり、
R9は、−アルキル−、−アルキル−シクロアルキル−、−ヘテロシクリル−、−アルキル−ヘテロシクリル−、−ヘテロシクリル−アルキル−、−アルキル−アリール−、−シクロアルキル−、−シクロアルキル−アルキル−、−アリール−、−アリール−アルキル−または−シクロアルキル−アルキル−であるか、または各R9は、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシアミド、アシル、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R4およびR5は、独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−、オキソまたはヘテロアリール−アルキル−であり、各アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−またはヘテロアリール−アルキル−は、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−、またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいが、ただし、R4およびR5が同時に水素となることはあり得ないものとし、
R6およびR7は、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシである。]
で示される新規化合物、またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、または光学異性体の混合物に関するものである。
【0002】
本発明はまた、これらの化合物の製造方法、これらの化合物の使用および上記化合物Iの遊離形態または医薬上許容される塩形態を含む医薬製剤に関するものである。
【発明の概要】
【0003】
徹底的な薬理学的研究により、例えば、化合物Iおよびそれらの医薬上許容される塩類が、CETP(コレステリルエステル転送タンパク質)の阻害において著しい選択性を有することが示された。CETPは、生物体におけるリポタンパク質の代謝に関与し、コレステロール逆転送系において主要な役割を有する。すなわち、CETPは、末梢細胞におけるコレステロールの蓄積を阻止し、動脈硬化を予防する機構として注目されてきた。事実、このコレステロール逆転送系において重要な役割を有するHDLに関しては、若干の疫学的研究により、血中HDLのCE(コレステリルエステル)の減少が冠動脈疾患の危険因子の一つであることが示された。また、CETP活性は動物種により異なるものであり、コレステロール負荷に起因する動脈硬化は活性の低い動物ではほとんど誘導されず、逆に、活性が高い動物では容易に誘導されること、および高HDL血症および低LDL(低密度リポタンパク質)血症はCETP欠損症の場合に誘導され、従って動脈硬化が発生しにくくなることも明らかにされたことから、血中HDLの意義、および血中LDLへのHDL中のCEの転送を担うCETPの意義が認識されるにいたった。近年CETPの上記活性を阻害する薬剤の開発について多くの試みがなされてきたが、満足すべき活性を有する化合物はまだ開発されていない。
【0004】
本明細書について理解し易くするため、以下の定義を適用し、適切であれば常に、単数形で使用している語については複数形の場合も含み、逆もまた同様であるものとする。
【0005】
本明細書で使用している「アルキル」の語は、完全飽和分枝状または非分枝状炭化水素部分をいう。好ましくは、アルキルは、1〜20個の炭素原子、さらに好ましくは1〜16個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含む。アルキルの代表的な例としては、限定されるわけではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどがある。アルキル基が1つまたはそれ以上の不飽和結合を含むとき、それはアルケニル(二重結合の場合)またはアルキニル基(三重結合の場合)と称され得る。アルキル基が置換され得る場合、それは、好ましくはヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される、さらに好ましくはヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、アルコキシまたはアミノから選択される1個、2個または3個の置換基により置換される。
【0006】
「アリール」の語は、環部分に6〜20個の炭素原子を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基をいう。好ましくは、アリールは(C−C10)アリールである。非限定的な例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチル、最も好ましくはフェニルがあり、それぞれ所望により1〜4個の置換基、例えばアルキル、トリフルオロメチルなどのハロアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル−C(O)−O−、アリール−O−、ヘテロアリール−O−、アミノ、アシル、チオール、アルキル−S−、アリール−S−、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルキル−O−C(O)−、カルバモイル、アルキル−S(O)−、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アルケニル、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−もしくはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリールアルキル)アミノまたはHN−SOにより置換され得る。
【0007】
さらに、本明細書で使用している「アリール」の語は、単芳香族環、または縮合、共有結合、またはメチレンまたはエチレン部分などの共通基に結合された多芳香族環であり得る芳香族置換基をいう。共通結合基はまた、ベンゾフェノン中におけるカルボニルまたはジフェニルエーテル中における酸素またはジフェニルアミン中における窒素であり得る。
【0008】
本明細書で使用している「アルコキシ」の語はアルキル−O−をいい、このアルキルは前記の意味である。アルコキシの代表例には、限定されるわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ−、シクロヘキシルオキシ−などがある。好ましくは、アルコキシ基は、約1〜7個、さらに好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。
【0009】
本明細書で使用している「アシル」の語は、カルボニル官能基を通して親構造に結合された、直鎖、分枝状または環状立体配置またはそれらの組み合わせの1〜10個の炭素原子を有するR−C(O)−基をいう。上記基は飽和または不飽和であり、脂肪族または芳香族であり得る。好ましくは、アシル残基中のRは、アルキルまたはアルコキシまたはアリールまたはヘテロアリールである。Rがアルキルであるとき、その部分はアルカノイルと称される。また好ましくは、アシル残基中の1個またはそれ以上の炭素は、親構造への結合点がカルボニルに残っている限り、窒素、酸素または硫黄により置換され得る。例としては、限定されるわけではないが、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどがある。低級アシルは、1〜4個の炭素を含むアシルをいう。
【0010】
本明細書で使用している「アシルアミノ」の語はアシル−NH−をいい、この「アシル」は本明細書記載の意味である。本明細書で使用している「カルバモイル」の語は、HNC(O)−、アルキル−NHC(O)−、(アルキル)NC(O)−、アリール−NHC(O)−、アルキル(アリール)−NC(O)−、ヘテロアリール−NHC(O)−、アルキル(ヘテロアリール)−NC(O)−、アリール−アルキル−NHC(O)−、アルキル(アリール−アルキル)−NC(O)−などをいう。
【0011】
本明細書で使用している「スルホニル」の語はR−SO−をいい、このRは、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル、ヘテロアリール−アルキル、アリール−O−、ヘテロアリール−O−、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキルまたはヘテロシクリルである。
【0012】
本明細書で使用している「スルホンアミド」の語は、アルキル−S(O)−NH−、アリール−S(O)−NH−、アリール−アルキル−S(O)−NH−、ヘテロアリール−S(O)−NH−、ヘテロアリール−アルキル−S(O)−NH−、アルキル−S(O)−N(アルキル)−、アリール−S(O)−N(アルキル)−、アリール−アルキル−S(O)−N(アルキル)−、ヘテロアリール−S(O)−N(アルキル)−、ヘテロアリール−アルキル−S(O)−N(アルキル)−などをいう。
【0013】
本明細書で使用している「アルコキシカルボニル」または「アルキル−O−C(O)−」の語は、アルコキシ−C(O)−をいい、アルコキシは本明細書記載の意味である。
【0014】
本明細書で使用している「アルカノイル」の語はアルキル−C(O)−をいい、アルキルは本明細書記載の意味である。
【0015】
本明細書で使用している「アルケニル」の語は、2〜20個の炭素原子を有し、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分枝状炭化水素基をいう。アルケニル基は、好ましくは約2〜8個の炭素原子を有する。
【0016】
本明細書で使用している「アルケニルオキシ」の語はアルケニル−O−をいい、アルケニルは本明細書記載の意味である。
【0017】
本明細書で使用している「シクロアルコキシ」の語はシクロアルキル−O−をいい、シクロアルキルは本明細書記載の意味である。
【0018】
本明細書で使用している「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロ」の語は、例えば、少なくとも1個の炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する、4〜7員単環式、7〜12員二環式または10〜15員三環式環系である、所望により置換されていてもよい、完全飽和または不飽和、芳香族または非芳香族環状基をいう。ヘテロ原子を含む複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有し得、またその窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化され得る。複素環基は、ヘテロ原子または炭素原子のところで結合され得る。
【0019】
単環式複素環基の例としては、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、1,1,4−トリオキソ−1,2,5−チアジアゾリジン−2−イルなどがある。
【0020】
二環式複素環基の例としては、インドリル、ジヒドロインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えばフロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニルまたはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、ジヒドロキナゾリニル(例えば3,4−ジヒドロ−4−オキソキナゾリニル)、フタラジニルなどがある。
【0021】
三環式複素環基の例としては、カルバゾリル、ジベンゾアゼピニル、ジチエノアゼピニル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、キサンテニル、カルボリニルなどがある。
【0022】
ヘテロシクリルが芳香族であるとき、この部分を「ヘテロアリール」と称す。
本明細書で使用している「ヘテロアリール」の語は、N、OまたはSから選択される1〜8個のヘテロ原子を有する、5〜14員単環式または二環式または縮合多環式環系をいう。好ましくは、ヘテロアリールは5〜10員環系である。典型的なヘテロアリール基には、2−または3−チエニル、2−または3−フリル、2−または3−ピロリル、2−、4−または5−イミダゾリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、3−または5−1,2,4−トリアゾリル、4−または5−1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、3−または4−ピリダジニル、3−、4−または5−ピラジニル、2−ピラジニル、2−、4−または5−ピリミジニルがある。
【0023】
また「ヘテロアリール」の語は、ヘテロ芳香族環が1個またはそれ以上のアリール、脂環式またはヘテロシクリル環と縮合している基をいい、その基または結合点はヘテロ芳香族環上にあるものとする。非限定的な例としては、1−、2−、3−、5−、6−、7−または8−インドリジニル、1−、3−、4−、5−、6−または7−イソインドリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、2−、4−、5−、6−、7−または8−プリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−または9−キノリジニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、1−、4−、5−、6−、7−または8−フタラジニル、2−、3−、4−、5−または6−ナフチリジニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、6−または7−プテリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−4aHカルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−カルバゾリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−カルボリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−または10−フェナントリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−アクリジニル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−または9−ペリミジニル、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−または10−フェナントロリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−または9−フェナジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−または10−フェノチアジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−または10−フェノキサジニル、2−、3−、4−、5−、6−または1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−ベンズイソキノリニル、2−、3−、4−またはチエノ[2,3−b]フラニル、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−または11−7H−ピラジノ[2,3−c]カルバゾリル、2−、3−、5−、6−または7−2H−フロ[3,2−b]−ピラニル、2−、3−、4−、5−、7−または8−5H−ピリド[2,3−d]−o−オキサジニル、1−、3−または5−1H−ピラゾロ[4,3−d]−オキサゾリル、2−、4−または54H−イミダゾ[4,5−d]チアゾリル、3−、5−または8−ピラジノ[2,3−d]ピリダジニル、2−、3−、5−または6−イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、1−、3−、6−、7−、8−または9−フロ[3,4−c]シンノリニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−、10または11−4H−ピリド[2,3−c]カルバゾリル、2−、3−、6−または7−イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジニル、7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−または9−ベンゾオキサピニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−ベンゾオキサジニル、1−、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−または11−1H−ピロロ[1,2−b][2]ベンゾアザピニルがあるが、これらに制限されるわけではない。典型的な縮合ヘテロアリール基には、限定されるわけではないが、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリニル、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリルがある。
【0024】
ヘテロアリール基は、単、二、三または多環式、好ましくは単、二または三環式、さらに好ましくは単または二環式であり得る。
【0025】
さらに「ヘテロシクリル」の語は、以下、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ(または保護ヒドロキシ)、ハロ、オキソ、すなわち=O、アミノ、モノまたはジ置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリールアルキル)アミノ、例えばアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、アルコキシ、シクロアルキル、アルケニル、カルボキシ、ヘテロシクロオキシ(ただし、ヘテロシクロオキシは酸素架橋を通して結合した複素環基を示す)、アルキル−O−C(O)−、メルカプト、HSO、ニトロ、シアノ、スルファモイルまたはスルホンアミド、アリール、アルキル−C(O)−O−、アリール−C(O)−O−、アリール−S−、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、ホルミル、すなわちHC(O)−、アリール−アルキル−、アシル、例えばアルカノイル、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル−C(O)−NH−、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロゲンにより置換されたヘテロシクリルおよびアリールから成る群から選択される1個、2個または3個の置換基により置換された本明細書記載の複素環基をいう。
【0026】
本明細書で使用している「シクロアルキル」の語は、3〜12個の炭素原子を有する所望により置換されていてもよい飽和または不飽和の単環式、二環式または三環式炭化水素基をいい、それぞれ1個またはそれ以上の置換基、例えばアルキル、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アシルアミノ、カルバモイル、アルキル−NH−、(アルキル)N−、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルキル−O−C(O)−、スルホニル、スルホンアミド、スルファモイル、ヘテロシクリルなどにより置換され得る。単環式炭化水素基の例としては、限定されるわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルなどがある。二環式炭化水素基の例としては、ボルニル、インジル、ヘキサヒドロインジル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどがある。三環式炭化水素基の例としては、アダマンチルなどがある。本明細書で使用している「スルファモイル」の語は、HNS(O)−、アルキル−NHS(O)−、(アルキル)NS(O)−、アリール−NHS(O)−、アルキル(アリール)−NS(O)−、(アリール)NS(O)−、ヘテロアリール−NHS(O)−、アリール−アルキル−NHS(O)−、ヘテロアリール−アルキル−NHS(O)−などをいう。
【0027】
本明細書で使用している「アリールオキシ」の語は、−O−アリールおよび−O−ヘテロアリール基の両方を包含し、このアリールおよびヘテロアリールは本明細書記載の意味である。
【0028】
本明細書で使用している「ハロゲン」または「ハロ」の語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。
【0029】
本明細書で使用している「ハロアルキル」の語は、本明細書で定義した1個またはそれ以上のハロ基により置換されている、本明細書で定義したアルキルをいう。好ましくは、ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキルまたはパーハロアルキルを含むポリハロアルキルであり得る。モノハロアルキルは、アルキル基内に1個のヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有し得る。ジハロアルキルおよびポリハロアルキル基は、アルキル内に2個またはそれ以上の同一ハロ原子または異なるハロ基の組み合わせを有し得る。好ましくは、ポリハロアルキルは、12個以下、10個または8個、または6個、または4個、または3個、または2個のハロ基を含む。ハロアルキルの非限定的な例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルがある。パーハロアルキルは、全水素原子がハロ原子により置換されたアルキルをいう。
【0030】
本明細書で使用している「ジアルキルアミノ」の語は、本明細書で定義したアルキルによりジ置換されたアミノ基をいい、その場合アルキルは同一または異なり得る。好ましくは、ジアルキルアミノは、同一アルキル置換基を有し得る。ジアルキルアミノの非限定的な例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノがある。
【0031】
本明細書で使用している「アリールアルキル」の語は、「アリール−アルキル−」と同意語であり、アリールおよびアルキルは本明細書記載の意味である。
【0032】
本明細書で使用している「シクロアルキル−アルキル−」の語は、「シクロアルキルアルキル」と同意語であり、シクロアルキルおよびアルキルは本明細書記載の意味である。
【0033】
本明細書で使用している「異性体」の語は、同一分子式を有する異なる化合物をいう。また、本明細書で使用している「光学異性体」の語は、本発明の所定の化合物について存在し得る様々な立体異性体立体配置を有するものをいい、幾何異性体も含まれる。置換基は、炭素原子のキラル中心で結合され得るものとする。従って、本発明は、化合物の鏡像体、ジアステレオマーまたはラセミ体を包含する。「鏡像体」は、相互に重なり得ない鏡像関係にある二つの立体異性体である。二つの鏡像体の1:1混合物は「ラセミ」混合物である。この語は、適切な場合にラセミ混合物を示すのに使用される。「ジアステレオマー」は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、相互に鏡像関係ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン−インゴルド−プレローグR−Sシステムにしたがって命名される。化合物が純粋な鏡像体であるとき、各キラル炭素での立体化学は、RまたはSにより特定され得る。絶対立体配置が未知である分割化合物については、それらがナトリウムD線の波長での平面偏光を旋回させる方向(右旋性または左旋性)によって(+)または(−)として示され得る。本明細書記載のある種の化合物は、1つまたはそれ以上の不斉中心を含むため、鏡像体、ジアステレオマー、および絶対立体化学に関して(R)−または(S)−として定義され得る他の立体異性体形態を生じさせ得る。本発明は、ラセミ混合物、光学純粋形態および中間体混合物を含め、それらの可能な異性体を全て包含するものとする。光学活性(R)−および(S)−異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を用いて製造されるかまたは慣用的技術を用いて分割され得る。化合物が二重結合を含む場合、置換基はEまたはZ立体配置であり得る。化合物がジ置換シクロアルキルを含む場合、シクロアルキル置換基は、シスまたはトランス立体配置を有し得る。また、互変異性体形態も全て包含されるものとする。
【0034】
本明細書で使用している「医薬上許容される塩」の語は、本発明化合物の生物学的有効性および特性を保持しており、生物学的または他の点で有害ではない塩をいう。塩の非限定的な例としては、本発明化合物の非毒性無機および有機塩基または酸付加塩がある。多くの場合、本発明化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれらと類似した基の存在により酸および/または塩基塩類を形成することができる。医薬上許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸により形成され得る。塩が誘導され得る無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などがある。塩が誘導され得る有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などがある。医薬上許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基により形成され得る。塩が誘導され得る無機塩基には、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどがある。特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩類である。塩が誘導され得る有機塩基には、例えば、第1級、第2級および第3級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、具体的には例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンがある。本発明の医薬上許容される塩類は、慣用的化学的方法により親化合物、塩基性または酸性部分から合成され得る。一般的に、上記の塩類は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(例えばNa、Ca、MgまたはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させるか、またはこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることにより製造され得る。上記反応は、典型的には水中または有機溶媒中、または両者の混合物中で行われる。一般的に、実践可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒質が好ましい。さらなる適切な塩類は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第20版、Mack Publishing Company, イーストン、ペンシルベニア(1985)に列挙されており、これを出典明示により援用する。
【0035】
本明細書で使用している「医薬上許容される担体」の語は、当業者に周知である、あらゆる溶媒、分散媒質、コーティング剤、界面活性剤、酸化防止剤、保存料(例、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩類、保存料、薬剤、薬剤安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、調味料、染料、それらと同様の物質それらの組み合わせを全て包含する(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Printing Company, 1990, 1289 - 1329頁参照)。慣用的担体が有効成分と適合し得ないものでない限り、治療または医薬組成物におけるその使用が考えられる。
【0036】
本発明化合物の「治療有効量」の語は、対象の生物学的または医学的応答を誘発するか、または症状を改善するか、病気の進行を緩和または遅延させるか、または病気を予防するなどの本発明化合物の量をいう。好ましい態様において、「有効量」は、CETPの発現または活性を阻害または低減化する量をいう。
【0037】
本明細書で使用している「対象」の語は動物を指す。好ましくは、動物は哺乳類である。また対象は、例えば霊長類(例、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥などをいう。好ましい態様では、対象はヒトである。
【0038】
本明細書で使用している「障害」または「疾患」の語は、機能の障害または異常、病的な肉体または精神状態をいう。Dorland's Illustrated Medical Dictionary (W.B. Saunders Co. 第27版、1988)参照。
【0039】
本明細書で使用している「阻害」または「阻害する」の語は、所与の状態、症状または障害または疾患、または生物活性または過程のベースライン活性の著しい減少を縮小または抑制することをいう。好ましくは、その状態または症状または障害または疾患は、CETP活性により伝達されるか、またはCETPの阻害に応答性を示す。
【0040】
本明細書で使用している、疾患または障害についての「処置する」または「処置」の語は、一態様においては、疾患または障害を改善する(すなわち、疾患またはその臨床症状の少なくとも一つの発現を止めるかまたは縮小する)ことをいう。別の態様において、「処置する」または「処置」は、患者が認識し得ない少なくとも1つの物理的パラメーターを改善することをいう。さらに別の態様において、「処置する」または「処置」は、疾患または障害を物理的(例、認識し得る症状の安定化)、生理学的(例、物理的パラメーターの安定化)またはその両方について調節することをいう。さらに別の態様において、「処置する」または「処置」は、疾患または障害の開始または発現または進行を阻止または遅延させることをいう。
【0041】
本願の明細書で使用している、単数表現の語は、本明細書で特に断らなければ、または文脈と明らかに矛盾するものでなければ、単数および複数の両方の場合を含むものとする。本明細書では値の範囲を列挙しているが、これは単にその範囲内に含まれる各独立値を個々に示す略式方法としての役割を果たしているのに過ぎないものとする。本明細書において特に断らなければ、個々の各値は、それが明細書において個々に列挙されているがごとく、明細書に組み入れられているものとする。本明細書記載の方法は全て、特に断らなければ、または文脈と明らかに矛盾するものでなければ、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書における全ての実例または例示的な言語(例、「例えば、などの」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しているのに過ぎず、別の形で請求された発明の範囲に制限を設けるものではない。本明細書中で、本発明の実践に不可欠な非請求の要素を示すものとしてみなされるべき言語は一切無いものとする。
【0042】
以下の式(I)における部分および記号の好ましい具体例は、互いに独立して使用され、より一般的な定義と置き換えられるため、本発明の特に好ましい態様を特定し得るものであり、残りの定義については上記または下記の本発明の局面で定義されている通り広義のままで示され得る。
【0043】
一局面において、本発明は、
R1が、ヘテロシクリル、アリール、アルコキシカルボニル、アルカノイルまたはアルキルであり、各ヘテロシクリルまたはアリールが、所望によりアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、各アルカノイル、アルコキシカルボニルまたはアルキルが、所望によりヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2がアルキルであり、
R3が、HO(O)C−R9−C(O)−またはHO(O)C−R9−O−C(O)−であり、
R9が、−アルキル−、−アルキル−シクロアルキル−、−ヘテロシクリル−、−アルキル−ヘテロシクリル−、−ヘテロシクリル−アルキル−、−アルキル−アリール−、−シクロアルキル−、−シクロアルキル−アルキル−、−アリール−、−アリール−アルキル−または−シクロアルキル−アルキル−であるか、または各R9が、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシアミド、アシル、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R4またはR5が、互いに独立して水素、アルキル、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−またはヘテロアリール−アルキル−であり、各アリール、シクロアルキルまたはヘテロアリールが、所望によりアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−、またはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、
R6およびR7が、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ジアルキルアミノまたはアルコキシであるか、またはR6がアリールまたはヘテロアリールである
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、または光学異性体の混合物に関するものである。
【0044】
R1についての好ましい定義
好ましくは、R1は、ヘテロシクリル、アリール、アルコキシカルボニル、アルカノイルまたはアルキルであり、各ヘテロシクリルまたはアリールは、所望によりアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、各アルカノイル、アルコキシカルボニルまたはアルキルは、所望によりヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよい。さらに好ましくは、R1は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルカノイルまたはアルコキシカルボニルであり、各ヘテロシクリルは、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリル、さらに好ましくはアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシ、アルコキシ、アミノ、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよい。R1に関するヘテロシクリル部分のヘテロシクリル置換基についての好ましい例は、5〜6員の、好ましくはO、NまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、さらに好ましくはNを含む完全飽和環であり、最も好ましくは、それはモルホリニルである。
【0045】
可変R1の好ましい意味は、好ましくは式
【化2】

により表されるヘテロアリール、またはピリジルであり、特にそれぞれ非置換またはC−Cアルキル、特にメチルまたはハロ、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールにより置換されたものである。
【化3】

についての好ましい置換基はモルホリニル、または非置換またはC−Cアルキルにより置換されたピラゾールである。
【0046】
R2についての好ましい定義
好ましくは、R2は、本明細書記載の直鎖または分枝状C1−C6アルキルである。例としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチルまたはsec−ブチル、さらに好ましくはエチルまたはイソブチル、最も好ましくはエチルがある。
【0047】
R3についての好ましい定義
好ましくは、R3は、HO(O)C−R9−C(O)−またはHO(O)C−R9−O−C(O)−である。
【0048】
R9についての好ましい定義
好ましくは、R9は、−アルキル−、−アルキル−シクロアルキル−、−ヘテロシクリル−、−アルキル−ヘテロシクリル−、−ヘテロシクリル−アルキル−、−アルキル−アリール−、−シクロアルキル−、−シクロアルキル−アルキル−、−アリール−、−アリール−アルキル−または−シクロアルキル−アルキル−であるか、または各R9は、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシアミド、アシル、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとする。最も好ましいのは、C2−5アルキル、C4−6シクロアルキル、−CH−C4−6シクロアルキル、C4−6シクロアルキル−CH−、C5−6アリール、C4−6ヘテロシクリルまたはC5−6ヘテロアリールである。最も好ましいのは、
【化4】

である。
【0049】
R4およびR5についての好ましい定義
好ましくは、R4またはR5は、互いに独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−またはヘテロアリール−アルキル−、さらに好ましくは水素、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−またはヘテロアリール−アルキル−であり、各アルキルは、所望によりヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、各アリール、シクロアルキルまたはヘテロアリールは、所望によりアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよい。
【0050】
さらに好ましくは、R4またはR5は、互いに独立して水素、ベンジルまたはシクロアルキル−CH−であり、各ベンジルまたはシクロアルキルは、所望によりアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよい。
【0051】
一態様において、R4およびR5の一方、好ましくは、R5は水素であり、他方、好ましくは、R4は、水素以外の本明細書記載の基である。
【0052】
別の態様において、R4およびR5は両方とも水素である。
最も好ましくは、R4はエチルまたはベンジルである。また、この場合R5は水素であるのが好ましい。
【0053】
R6およびR7についての好ましい定義
好ましくは、R6およびR7は、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲンまたはアルコキシである。
【0054】
さらに好ましくは、R6およびR7は、独立して水素、アルキルまたはハロアルキル、例えばトリフルオロメチルである。
【0055】
一態様において、R6およびR7の一方は水素であり、他方は水素以外の本明細書記載の基である。
【0056】
別の好ましい態様において、R6およびR7は両方とも同じであり、本明細書記載の意味、最も好ましくはトリフルオロメチルである。
【0057】
フェニル環におけるR6およびR7の位置は、好ましくは以下の通りである:
【化5】

【0058】
本発明化合物における不斉炭素原子は、(R)−、(S)−または(R,S)−立体配置、好ましくは(R)−または(S)−立体配置で存在し得る。不飽和結合を伴う原子における置換基は、可能ならば、シス−(Z)−またはトランス−(E)−形態で存在し得る。従って、本発明化合物は、可能な異性体の一つまたはその混合物の形態であり、例えば実質的に純粋な幾何(シスまたはトランス)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(対掌体)、ラセミ体またはその混合物として存在し得る。
【0059】
本発明化合物の好ましい異性体は、以下の式により表され得る:
【化6】

特に:
【化7】

【0060】
生じる異性体混合物は、構成成分の物理化学的差異に基づいて、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別結晶化により純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に分離され得る。
【0061】
生じる最終生成物または中間体のラセミ体は、公知方法により、例えば光学活性酸または塩基により得られたそのジアステレオマー塩の分離および光学活性酸性または塩基性化合物の遊離により光学対掌体に分割され得る。特に、そのイミダゾリル部分を用いて、例えば光学活性酸、例えば酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ−O,O'−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸またはカンファー−10−スルホン酸により形成された塩の分別結晶化により本発明化合物はそれらの光学対掌体に分割され得る。ラセミ生成物はまた、キラルクロマトグラフィー、例えばキラル吸着剤を用いる高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により分割され得る。
【0062】
最後に、本発明化合物は、遊離形態で、その塩として、またはそのプロドラッグ誘導体として得られる。
【0063】
塩基性基が本発明化合物中に存在するとき、化合物は、その酸付加塩、特に構造のイミダゾリル部分との酸付加塩、好ましくはその医薬上許容される塩に変換され得る。
【0064】
これらは、無機酸または有機酸により形成される。適切な無機酸には、限定されるわけではないが、塩酸、硫酸、リン酸またはハロゲン化水素酸がある。適切な有機酸には、限定されるわけではないが、カルボン酸、例えば非置換またはハロゲンにより置換された例えば(C−C)アルカンカルボン酸、例えば酢酸、例えば飽和または不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸またはフマル酸、例えばヒドロキシカルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸、例えばアミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸、有機スルホン酸、例えば(C−C)アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、または非置換または例えばハロゲンにより置換されたアリールスルホン酸がある。好ましいのは、塩酸、メタンスルホン酸およびマレイン酸により形成される塩類である。
【0065】
酸性基が本発明化合物中に存在するとき、化合物は、医薬上許容される塩基により塩に変換され得る。上記塩類には、ナトリウム、リチウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩類、カルシウムおよびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩類、有機塩基によるアンモニウム塩類、例えばトリメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩およびN−メチル−D−グルカミン塩、アルギニン、リシンなどのアミノ酸による塩類がある。塩は、有利にはエーテル性またはアルコール性溶媒、例えば低級アルカノールの存在下、慣用的方法を用いて形成され得る。後者の溶液からは、塩がエーテル、例えばジエチルエーテルにより沈殿し得る。生じる塩は、酸での処理により遊離化合物に変換され得る。これらまたは他の塩類もまた、得られた化合物の精製に使用され得る。
【0066】
塩基性基および酸性基の両方が同一分子中に存在するとき、本発明化合物はまた、内部塩を形成することもあり得る。
【0067】
本発明はまた、インビボで本発明化合物に変換される本発明化合物のプロドラッグを提供する。プロドラッグは、対象へのプロドラッグの投与後にインビボ生理作用、例えば加水分解、代謝などを通して化学的修飾が加えられることにより本発明化合物となる活性または不活性化合物である。プロドラッグの製造および使用に関与する適性および技術は、当業者には周知である。プロドラッグは、概念的にバイオプレカーサープロドラッグおよびキャリアープロドラッグという2つの非排他的範ちゅうに分類され得る。The Practice of Medicinal Chemistry, 31-32章 (Wermuth 編、Academic Press, サンディエゴ、カリフォルニア、2001)参照。一般的に、バイオプレカーサープロドラッグは、不活性であるかまたは1個またはそれ以上の保護基を含む対応する活性薬剤化合物と比べて活性が低い化合物であり、代謝またはソルボリシスにより活性形態に変換される。活性薬剤形態および放出される代謝産物は両方とも当然許容できる程度に低毒性とすべきである。典型的には、活性薬剤化合物の形成は、代謝過程または反応、すなわち以下のタイプの一つを必然的に伴う:
1.酸化反応、例えばアルコール、カルボニルおよび酸官能基の酸化、脂肪族炭素のヒドロキシル化、脂環式炭素原子のヒドロキシル化、芳香族炭素原子の酸化、炭素−炭素二重結合の酸化、窒素含有官能基の酸化、珪素、リン、ヒ素および硫黄の酸化、酸化的N−脱アルキル化、酸化的O−およびS−脱アルキル化、酸化的脱アミノ化および他の酸化反応。
2.還元反応、例えばカルボニル基の還元、アルコール基および炭素−炭素二重結合の還元、窒素含有官能基の還元および他の還元反応。
3.酸化状態の変化を伴わない反応、例えばエステルおよびエーテルの加水分解、炭素−窒素単結合の加水分解的開裂、非芳香族複素環の加水分解的開裂、多重結合での水和および脱水、脱水反応から生じる新たな原子結合、加水分解的脱ハロゲン化、水素ハライド分子の除去および他の同様の反応。
【0068】
キャリアープロドラッグは、例えば取込みおよび/または作用部位(複数も可)への局所送達を改善する、輸送部分を含む薬剤化合物である。かかるキャリアープロドラッグについて望ましくは、薬剤部分と輸送部分間の結合は共有結合であり、プロドラッグは不活性であるかまたは薬剤化合物より低活性であり、放出される輸送部分は許容し得る程度に非毒性である。輸送部分が取込みの促進を意図したプロドラッグの場合、典型的には輸送部分の放出は迅速であるべきである。他の場合、放出を遅らせる部分、例えばある種のポリマーまたは他の部分、例えばシクロデキストリンを利用するのが望ましい。Cheng et al., 米国特許第20040077595号、出願番号第10/656838号参照、これについては出典明示で援用する。上記キャリアープロドラッグは、経口投与薬剤に有利であることが多い。キャリアープロドラッグは、例えば以下の特性の一つまたはそれ以上を改善するのに使用され得る:親油性の増加、薬理学的効果の持続時間の増加、部位特異性の増加、毒性および有害反応の減少および/または薬物製剤化の改良(例、安定性、水溶性、望ましくない感覚刺激性または物理化学特性の抑制)。例えば、親油性は、親油性カルボン酸によるヒドロキシ基のエステル化、またはアルコール、例えば脂肪族アルコールによるカルボン酸基のエステル化により高められ得る。Wermuth, The Practice of Medicinal Chemistry, 31−32章、Werriuth 編、Academic Press, サンディエゴ、カリフォルニア、2001。
【0069】
プロドラッグの例としては、例えば遊離カルボン酸とチオール、アルコールまたはフェノールのS−アシルおよびO−アシル誘導体のエステルがあり、このアシルは本明細書記載の意味を有するものとする。好ましいのは、生理学的条件下でのソルボリシスにより親カルボン酸に変換され得る医薬上許容されるエステル誘導体、例えば当業界で慣用的に使用される低級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、低級アルケニルエステル、ベンジルエステル、モノ−またはジ−置換低級アルキルエステル、例えばω−(アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル、例えばピバロイルオキシメチルエステルなどである。さらに、アミン類は、アリールカルボニルオキシメチル置換誘導体として遮蔽され、インビボでエステラーゼにより開裂されて遊離薬剤およびホルムアルデヒドを放出する(Bundgaard, J. Med. Chem. 2503 (1989))。さらに、イミダゾール、イミド、インドールなどの酸性NH基を含む薬剤は、N−アシルオキシメチル基により遮蔽されている(Bundgaard, Design of Prodrugs, Elsevier (1985))。ヒドロキシ基は、エステルおよびエーテルとして遮蔽されている。欧州特許第039051号(Sloan および Little)は、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、それらの製法および使用を開示している。
【0070】
化合物、化合物の塩形態およびプロドラッグ形態間の密接な関係からして、本発明化合物といえば、適切で好都合な場合、本発明化合物の対応するプロドラッグも包含されるものとする。さらに、塩類を含む本発明化合物はまた、それらの水和物形態で得られるか、またはそれらの結晶化に使用される他の溶媒を含み得る。
【0071】
本発明化合物は、貴重な薬理学的特性を有する。本発明化合物は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)についての阻害剤として有用である。CETPは74KDグリコペプチドであり、肝臓により分泌され、血漿中の様々なリポタンパク質間における脂質移動の促進において鍵となる役割を演じる。CETPの第一の機能は、リポタンパク質間でコレステロールエステル(CE)およびトリグリセリドを再分布させることである。Assmann, G et al., “HDL cholesterol and protective factors in atherosclerosis,” Circulation, 109: 1118-1114 (2004)参照。血漿中のほとんどのトリグリセリドは、VLDLで生じ、ほとんどのCEはレシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼにより触媒される反応においてHDL粒子で形成されるため、CETPの活性により、最終的に大部分のトリグリセリドがVLDLからLDLおよびHDLへ移動し、大部分のCEがHDLからVLDLおよびLDLへ移動する。すなわち、CETPは、潜在的にHDL−Cレベルを減少させ、LDL−コレステロール(LDL−C)レベルを増加させ、HDLおよびLDL粒子サイズを縮小させるため、CETPの阻害は、HDL−コレステロール(HDL−C)を高める治療戦略であり、リポタンパク質プロフィールに対し好適な影響を及ぼし、心血管疾患の危険を低下させ得る。したがって、CETP阻害剤としての本発明化合物は、CETPが介在するかまたはCETPの阻害に応答する障害または疾患の進行遅延および/または処置に有用である。本発明化合物により処置され得る障害、状態および疾患には、限定されるわけではないが、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、冠心疾患、冠動脈疾患、冠状血管疾患、アンギナ、虚血、心虚血、血栓症、心梗塞、例えば心筋梗塞、卒中、末梢血管疾患、再灌流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、例えばII型真性糖尿病、糖尿病性血管合併症、肥満、感染症または住血吸虫卵胚形成、または内毒素血症などがある。
【0072】
さらに、本発明は、以下のものを提供する:
− 医薬として使用される上記本発明化合物;
− CETPが介在するか、またはCETPの阻害に応答する障害または疾患の進行遅延および/または処置用の医薬組成物の製造を目的とする上記本発明化合物の使用;
− 高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、冠心疾患、冠動脈疾患、冠状血管疾患、アンギナ、虚血、心虚血、血栓症、心梗塞、例えば心筋梗塞、卒中、末梢血管疾患、再灌流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、例えばII型真性糖尿病、糖尿病性血管合併症、肥満または内毒素血症などから選択される障害または疾患の進行遅延および/または処置用の医薬組成物の製造を目的とする上記本発明化合物の使用。
【0073】
式(I)の化合物は、以下の項に記載した手順により製造され得る。
一般的に、式(I)の化合物は、以下の一般的手順およびスキームに従って製造され得る。これらの全スキームにおいて、可変文字R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、特に断らなければ本明細書記載の意味を有する。
【0074】
1.一般手順A:ピペリジノンA1を使用
【化8】

ルートAI(R4およびR5が水素であるとき):
【化9】

(式中、R8は前記の意味、例えばt−Bu、Bn、2,2,2−トリクロロエチル、アリルであり、Mxは、例えばMgBr、MgI、MgCl、Li、同じくZnClとの組み合わせである)。
【0075】
工程b)では、1,4−還元についての標準条件、例えばMg、アルコール;CeCl、NaBHまたは接触還元が使用され得る。
【0076】
ルートAII(R4およびR5が水素であるとき):
【化10】

(式中、R8は前記の意味、例えばt−Bu、Bn、2,2,2−トリクロロエチル、アリルである)。使用され得る適切なヒドリド剤は、例えばNaBH(OAc)、NaBH(CN)、NaBHまたはLiBH、K(OiPr)BH NaB[CH(CH)CH]HまたはNaAlH(OCHCHOCH)である。
【0077】
工程b)では、1,4−付加についての標準条件、例えばR2MgX(X=ハロ)、CuIまたはR22Zn、触媒Cu種を使用する。
【0078】
ルートAIII(R5が水素であるとき):
【化11】

(式中、R8は前記の意味、例えばt−Bu、Bn、2,2,2−トリクロロエチル、アリルであり、Mxは、例えばMgBr、MgI、MgCl、Li、同じくZnClとの組み合わせである)。
【0079】
工程b)では、1,4−付加についての標準条件、例えばR4MgX(X=ハロ)、CuIまたはR42Zn、触媒Cu種を使用する。
【0080】
ルートAIV(R5が水素であるとき):
【化12】

(式中、R8は前記の意味、例えばt−Bu、Bn、2,2,2−トリクロロエチル、アリルであり、Mxは、例えばMgBr、MgI、MgCl、Li、同じくZnClとの組み合わせである)。
【0081】
工程b)では、1,4−付加についての標準条件、例えばR2MgX(X=ハロ)、CuIまたはR22Zn、触媒Cu種を使用する。
【0082】
ルートAV(R4が水素であるとき):
【化13】

(式中、R8は本明細書記載の意味である)。使用され得る適切なヒドリド剤は、例えばNaBH(OAc)、NaBH(CN)、NaBHまたはLiBH、K(OiPr)BH NaB[CH(CH)CH]HまたはNaAlH(OCHCHOCH)である。
【0083】
工程b)では、アルキル化についての標準条件、例えば強塩基およびハライドLDA、R5XまたはLHMDSまたはKHMDS、R5X(X=ハロゲンまたはOMs、OTs、OTf)を使用する。
【0084】
工程c)では、1,4−付加についての標準条件、例えばR2MgX(X=ハロ)、CuIまたはR22Zn、触媒Cu種を使用する。
R3の変換は、当業界で周知の標準的官能基操作により、または本明細書記載の要領で実施され得る。
【0085】
ルートAVI(R4が水素であるとき):
【化14】

(式中、R8およびR3は本明細書記載の意味であり、Mxは、例えばMgBr、MgI、MgCl、Li、同じくZnClとの組み合わせである)。
【0086】
工程b)において、R3の変換は、当業界で周知の標準的官能基操作により、または本明細書記載の要領で実施され得る。
【0087】
工程c)では、エナミンアルキル化についての標準条件、例えばR5X(X=ハロゲンまたはOMs、OTs、OTf);加熱;またはl2および塩基の使用によるヨウ化ビニルの形成、次いで例えば標準的教科書に記載された Suzuki, Stille, Negishi または Kumadaなどの交差カップリング条件を使用する。
【0088】
工程d)では、1,4−還元についての標準条件、例えばMg、アルコール;CeCl、NaBHまたは接触還元が使用され得る。
【0089】
ルートAVII:
【化15】

(式中、R8およびR3は本明細書記載の意味であり、Mxは、例えばMgBr、MgI、MgCl、Li、同じくZnClとの組み合わせである)
【0090】
工程b)では、アルキル化についての標準条件、例えば強塩基およびハライド、例、LDA、R4XまたはLHMDSまたはKHMDS、R4X(X=ハロゲンまたはOMs、OTs、OTf)を使用する。
【0091】
工程c)では、1,4−付加についての標準条件、例えばR5MgX(X=ハロ)、CuIまたはR52Zn、触媒Cu種を使用する。
工程d)において、R3の変換は、当業界で周知の標準的官能基操作により、または本明細書記載の要領で実施され得る。
【0092】
上記ルートAI〜AVIIのいずれかを用いて、ピペリドンA1は、下記に示すルートAVIII、AIXまたはAXの一つを用いることにより式(I)の化合物に変換され得る。
ルートAVIII:
【化16】

【0093】
工程a)では、還元的アミノ化についての標準方法、例えばArCHNH、ヒドリド試薬[例、NaBH(OAc)、NaBH(CN)、NaBH、LiBH、BH、ピコリン-ボラン、ボラン−ピリジン複合体]またはTi(OiPr);次いでヒドリド試薬、例えばNaBH(OAc)、NaBH(CN)、NaBH、LiBH、ボラン、ピコリン−ボラン、ボラン−ピリジン複合体、LiAlH、9−BBN、Alpine borane(登録商標)、LiB(s−Bu)H、LiB(Sia)H;または酸による触媒または非触媒でのイミン形成、次いでヒドリド剤による還元(上記参照)を使用する。
【0094】
工程b)において、基R1は、アミンでの通常の官能基操作により、例えばアルキル化、カルバメート形成、尿素形成、SRN1置換、アリールアミノ化および還元的アミノ化により導入される。
【0095】
基R3については、当業界で周知または本明細書記載の標準窒素保護基化学の条件を満たすべく、請求の範囲で示された所望の定義を有するように適切な段階で修飾が加えられ得る。
【0096】
ルートAIX:
【化17】

工程a)では、例えば以下の要領で、第1級アミンの標準的導入方法を使用する:
NH等価物[例、NH/EtOH、NHCl、NHOH]、ヒドリド試薬[例、NaBH(OAc)、NaBH(CN)またはTi(OiPr)とNaBHなどのヒドリド剤との組み合わせ]の使用による、
i)ヒドリド試薬(上記参照)での同時処理またはBnNHによるイミン形成を介した段階的処理、またはii)接触還元
i)ヒドリド試薬(上記参照)での同時処理またはPMBNHによるイミン形成を介した段階的処理、またはii)CANまたはDDQ(酸化的脱ベンジル化)またはTFA
i)RONH[オキシム形成]ii)NaまたはBHまたは接触還元(例、Ra−Ni、Pd−C、Pt−C)[オキシムの還元](ただし、Rは、例えばベンジル、p−メトキシベンジルまたはアリルである)
i)ヒドリド試薬[アルコールへの還元]ii)PPh、DEAD、Nアニオンを用いるミツノブ(Mitsunobu)条件またはMsClおよび塩基、次いでNアニオンによるメシル化またはNBS/PPh、PBr/PPh、CBr4/PPh、次いでNアニオンまたはPBr/PPh、次いでNアニオンなどの条件による臭素化 iii)PR3または接触還元[アジドの還元](ただし、Rは例えばエチルまたはフェニルである)
【0097】
工程b)およびc)では、基R1またはベンジル環は、それぞれアミンでの通常の官能基操作、例えば工程b)についてはアルキル化、カルバメート形成、尿素形成、SRN1置換、アリールアミノ化および還元的アミノ化および工程c)については好ましくはアルキル化および還元的アミノ化により導入される。
【0098】
基R3については、当業界で周知または本明細書記載の標準窒素保護基化学の条件を満たすべく、請求の範囲で示された所望の定義を有するように適切な段階で修飾が加えられ得る。
【0099】
ルートAX:
【化18】

(式中、LGは、メシラート、トシラート、トリフラートまたはブロミドなどの脱離基である)。
【0100】
工程a)では、例えばヒドリド剤、例えばNaBHまたはK−セレクトリドの使用などカルボニル基の標準的還元方法を使用する。
【0101】
工程b)では、アルコールから脱離基(LG;メシラート、トシラートまたはブロミド)への標準的変換方法を使用する。これらの方法では、MsCl/塩基またはTsCl/塩基またはSOClまたはNBS/PPhまたはCBr/PPhまたはTfOを使用し、当業界で周知の条件を用いる。
【0102】
工程c)では、例えば第2級アミンおよびNaH、KOt−Bu、LHMDSなどの強塩基を用いることによる、標準的置換化学を用いてアミンユニットを導入する。
【0103】
基R3については、当業界で周知または本明細書記載の標準窒素保護基化学の条件を満たすべく、請求の範囲で示された所望の定義を有するように適切な段階で修飾が加えられ得る。
【0104】
2.一般的手順B:Ritter型化学を使用
ベンジル置換ピペリジンB1の製造に関する詳細は、bioorganic & Medical Chemistry Letters, 第6巻、第24号、pp.3029-3034(1996)に記載されている。そこに記載された方法は、置換ピペリジンを得る場合にも同様に適用され得る。
【化19】

【0105】
またこのピペリジンをさらに反応させて、上記手順A記載の要領でアルキル化方法および窒素保護基操作により式(I)で示される化合物が形成され得る。
【0106】
2.一般的手順C:Dieckmann化学を使用
式(I)で示される化合物は、Journal of Medicinal Chemistry, 2001, 第44巻、第6号、pp. 972-987で概説された合成経路に従って直接的または類似方法で製造され得る。
【0107】
2.一般的手順D:Diels−Alder化学を使用
式(I)で示される化合物は、Tetrahedron Letters, 1999, 第55巻、第6号、pp. 7601-7612 または Org. Lett., 第9巻、第21号、2002 pp. 3667-3670で概説された合成経路に従って直接的または類似方法で製造され、得られたピペリジノンは例えば上記ルートAVIII、AIXまたはAXで概説した方法により変換され得る。
【0108】
生成したラセミ体またはジアステレオマー混合物は、構成成分の物理化学的差異に基づいた公知方法で、例えば分別結晶化またはキラル固定相を用いるキラルクロマトグラフィーまたはHPLC分離により純粋異性体またはラセミ体に分離され得る。得られたラセミ体は、さらに公知方法により、例えば光学活性溶媒からの再結晶化により、キラル吸着剤でのクロマトグラフィーにより、適切な微生物の助けにより、特異的固定化酵素での開裂により、例えばキラルクラウンエーテルを用い、一方の鏡像体のみ錯体形成させる包接化合物形成法により、または例えば塩基性最終物質ラセミ体と光学活性酸、例えばカルボン酸、例えば酒石酸またはリンゴ酸、またはスルホン酸、例えばカンファースルホン酸との反応、および例えばその溶解度差異に基づく、この方法で得られたジアステレオマー混合物から所望の鏡像体が適切な薬剤の作用により遊離され得るジアステレオマーへの分離によるジアステレオマー塩への変換により光学対掌体に分割され得る。活性が高い鏡像体の方が有利に単離される。
【0109】
本明細書記載の要領で本発明化合物に変換される出発化合物および中間体において、存在する官能基、例えばアミノ、チオール、カルボキシルおよびヒドロキシ基は、所望により調製的有機化学では一般的な慣用的保護基により保護されていてもよい。保護アミノ、チオール、カルボキシルおよびヒドロキシ基は、分子フレームワークの破壊または他の望ましくない副反応の発生を伴わずに緩い条件下で遊離アミノ、チオール、カルボキシルおよびヒドロキシ基に変換され得るものである。
【0110】
保護基を導入する目的は、所望の化学的変換の実施に使用する条件下で反応成分との望ましくない反応から官能基を保護することである。特定反応に関する保護基の必要性および選択は、当業者には周知であり、保護される官能基(ヒドロキシ基、アミノ基など)の性質、置換基が一部である分子の構造および安定性および反応条件により変動する。
【0111】
これらの条件を満たす周知の保護基およびそれらの導入および除去については、例えばMcOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, ロンドン、ニューヨーク(1973); および Greene および Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, Inc., ニューヨーク(1999)に記載されている。
【0112】
上記反応は、希釈剤、好ましくは試薬に対して不活性であり、その溶媒であるもの、触媒、縮合剤または上記の他の薬剤のそれぞれ、および/または不活性雰囲気の存在または非存在下において、低温、室温または高温、好ましくは使用溶媒の沸点またはその付近の温度、および大気圧または大気圧より高圧で標準方法に従って実施される。好ましい溶媒、触媒および反応条件は、後記実施例に示されている。
【0113】
さらに本発明は、本発明製造工程の変形、すなわち、そのいずれかの段階で得られる中間産物を出発物質として使用し、残りの工程を実施するか、または出発物質を反応条件下においてその場で形成させるか、または反応成分をそれらの塩または光学的に純粋な対掌体形態で使用する場合も包含する。
本発明化合物および中間体はまた、自体公知の方法に従って互いに変換され得る。
【0114】
別の態様において、本発明は、本発明化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、経口投与、非経口投与および直腸投与などの特定投与経路用に処方され得る。さらに、本発明医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸薬、顆粒、散剤または坐薬を含む固体形態、または溶液、懸濁液またはエマルジョンを含む液体形態で製剤化され得る。医薬組成物は、滅菌などの慣用的製薬操作にかけられ、そして/または慣用的不活性希釈剤、滑沢剤または緩衝剤並びに補助薬、例えば保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤および緩衝液などを含み得る。
【0115】
好ましくは、医薬組成物は、有効成分と一緒に以下のものを含む錠剤およびゼラチンカプセルである:
a)希釈剤、例、乳糖、デキストロース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;また、錠剤については
c)結合剤、例、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望ならば
d)崩壊剤、例、澱粉、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩または発泡性混合物;および/または
e)吸収剤、着色剤、調味料および甘味料。
【0116】
錠剤には、当業界で周知の方法に従ってフィルムコーティングまたは腸溶コーティングが施され得る。経口投与に適切な組成物は、有効量の本発明化合物を錠剤、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセルまたはシロップまたはエリキシルの形態で含有する。経口使用が意図された組成物は、医薬組成物製造に関する当業界で周知の方法に従って製造され、また上記組成物は、医薬上洗練された嗜好性のある製品を提供するために甘味料、調味料、着色料および保存料から成る群から選択される一つまたはそれ以上の薬剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適切な非毒性の医薬上許容される賦形剤と混合した形で有効成分を含む。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム、造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチ、またはアルギン酸、結合剤、例えば澱粉、ゼラチンまたはアラビアゴム、および滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、非コーティングまたは公知技術によるコーティング形態をとり、消化管での崩壊および吸収を遅らせることにより長期間にわたる持続作用を可能にする。例えば、グリセリンモノステアレートまたはグリセリンジステアレートなどの時間遅延材料が使用され得る。経口用製剤は、有効成分を不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合しているハードゼラチンカプセル剤、または有効成分を水または油性媒質、例えば落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合しているソフトゼラチンカプセル剤として提供され得る。
【0117】
注射可能組成物は、好ましくは水性等張溶液または懸濁液であり、坐薬は、好都合には脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から製造される。上記組成物は、滅菌され、そして/または補助薬、例えば保存、安定、湿潤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調節用の塩および/または緩衝液を含有し得る。さらに、それらはまた、他の治療上貴重な物質を含有し得る。上記組成物は、慣用的混合、造粒またはコーティング方法にそれぞれ従って製造され、約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の割合で有効成分を含有する。
【0118】
経皮適用に適切な組成物は、本発明化合物の有効量を担体と共に含有する。好都合な担体は、受容者の皮膚への浸透を助けるため吸収性の薬理学的に許容される溶媒を含む。例えば、経皮デバイスは、裏当て部材、所望により担体と共に化合物を含むレザバー、長期間にわたって制御され予定された速度で受容者の皮膚へ化合物を送達するための速度制御バリア、および皮膚にデバイスを固定する手段から成る包帯形態をとる。
【0119】
例えば皮膚および眼への局所適用に適切な組成物は、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ゲルまたは例えばエアロゾルなどによる送達用の噴霧可能な処方物を含む。上記の局所デリバリー系は、特に皮膚適用、例えば皮膚癌の処置用、例えば日焼け止めクリーム、ローション、スプレーなどにおける予防的使用に適切である。すなわち、それらは、当業界で周知の化粧品を含む局所製剤での使用に特に適している。それらは、可溶化剤、安定剤、張性促進剤、緩衝液および保存料を含有し得る。
【0120】
水は化合物によってはその分解を促進し得るため、本発明はさらに有効成分として本発明化合物を含む無水医薬組成物および用量形態を提供する。例えば、水(例、5%)の添加は、経時的に処方物の貯蔵寿命または安定性などの特性を測定するために長期貯蔵の模擬実験をする手段として医薬業界では広く認められている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice、第2版、Marcel Dekker、ニューヨーク、ニューヨーク、1995、379−80頁参照。事実、水および熱は、化合物によってはその分解を加速する。すなわち、水分および/または湿気は、処方物の製造、取扱い、包装、貯蔵、発送および使用中に通例遭遇するため、処方物に対する水の影響は非常に重要であり得る。
【0121】
本発明の無水医薬組成物および用量形態は、無水または低含水成分および低水分または低湿度条件を用いて製造され得る。製造、包装および/または貯蔵中に水分および/または湿気とのかなりの接触が予測される場合、乳糖および第1級または第2級アミンを含む少なくとも1種の有効成分を含む医薬組成物および用量形態は、好ましくは無水のものである。
【0122】
無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように製造および貯蔵されるべきである。したがって、無水組成物は、それらが適切な処方キットに内包され得るように、好ましくは水への暴露を阻止することが知られている材料を用いて包装される。適切なパッケージの例には、限定されるわけではないが、プラスチック、単位用量容器(例、バイアル)、ブリスターパックおよびストリップパックがある。
【0123】
さらに本発明は、有効成分としての本発明化合物が分解する速度を低減化する1種またはそれ以上の薬剤を含む医薬組成物および用量形態を提供する。本明細書では「安定剤」と称している上記薬剤には、限定されるわけではないが、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、pH緩衝液、または塩緩衝液などがある。
【0124】
また本発明は、式(I)、(IA)または(IB)でそれぞれ示される化合物またはその医薬上許容される塩とさらなる有効成分の組み合わせに関するものである。
【0125】
この組み合わせは、例えば以下のものから成る群から選択される有効成分により構成され得る:
(i)HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(ii)アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはその医薬上許容される塩、
(iii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(iv)カルシウムチャンネル遮断薬またはその医薬上許容される塩、
(v)アルドステロンシンターゼ阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(vi)アルドステロンアンタゴニストまたはその医薬上許容される塩、
(vii)アンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)二重阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(viii)エンドセリンアンタゴニストまたはその医薬上許容される塩、
(ix)レニン阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(x)利尿剤またはその医薬上許容される塩、および
(xi)ApoA−I模倣物質。
【0126】
アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはその医薬上許容される塩は、アンギオテンシンII受容体のAT1−受容体サブタイプに結合はするが、受容体の活性化を招くことはない有効成分であるものとする。AT1受容体阻害の結果として、これらのアンタゴニストは、例えば抗高血圧薬として、またはうっ血性心不全の処置に使用され得る。
【0127】
AT1受容体アンタゴニストのクラスは、異なる構造的特徴を有する化合物を含み、本質的に好ましいのは非ペプチド性のものである。例としては、バルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、サプリサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、下式
【化20】

で示されるE−1477と称される化合物、下式
【化21】

で示されるSC−52458と称される化合物および下式
【化22】

で示されるZD−8731と称される化合物またはそれぞれの場合におけるその医薬上許容される塩から成る群から選択される化合物が挙げられる。
【0128】
好ましいAT1受容体アンタゴニストは、市販されている上記薬剤であり、最も好ましいのはバルサルタンまたはその医薬上許容される塩である。
【0129】
HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤(γ−ヒドロキシ−γ−メチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ阻害剤とも称される)は、血中コレステロールを含む脂質レベルを下げるのに使用され得る活性物質であるものとする。
【0130】
HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤のクラスは、異なる構造的特徴を有する化合物を含む。例としては、アトルバスタチン、セリバスタチン、コンパクチン、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン、フルインドスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、リバスタチン、シムバスタチンおよびベロスタチンまたはそれぞれの場合におけるその医薬上許容される塩から成る群から選択される化合物が挙げられる。
【0131】
好ましいHMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤は、市販されている上記薬剤であり、最も好ましいのはフルバスタチンおよびピタバスタチンまたはそれぞれの場合におけるその医薬上許容される塩である。
【0132】
いわゆるACE阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤とも称される)によるアンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの酵素分解の中断は、血圧調節についての有効な変法であるため、うっ血性心不全を処置するための治療法で有効に利用され得る。
【0133】
ACE阻害剤のクラスは、異なる構造的特徴を有する化合物を含む。例としては、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラット、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナプリラット、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリルおよびトランドラプリルまたはそれぞれの場合におけるその医薬上許容される塩から成る群から選択される化合物が挙げられる。
【0134】
好ましいACE阻害剤は、市販されている上記薬剤であり、最も好ましいのはベナゼプリルおよびエナラプリルである。
【0135】
CCBのクラスは、本質的にジヒドロピリジン類(DHP)および非DHP類、例えばジルチアゼム型およびベラパミル型CCBにより構成される。
【0136】
上記組み合わせで有用なCCBは、好ましくはアムロジピン、フェロジピン、リオシジン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピンおよびニバルジピンから成る群から選択される代表的なDHPであり、また好ましくはフルナリジン、プレニルアミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミルおよびベラパミルおよびそれぞれの場合におけるその医薬上許容される塩から成る群から選択される代表的な非DHPである。これらのCCBは全て、例えば抗高血圧薬、抗狭心症または抗不整脈薬として治療に使用される。好ましいCCBには、アムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピンおよびベラパミル、または例えば特異的CCBによっては、その医薬上許容される塩がある。DHPとして特に好ましいのは、アムロジピンまたはその医薬上許容される塩、特にそのベシル酸塩である。非DHPの特に好ましい典型例は、ベラパミルまたはその医薬上許容される塩、特にその塩酸塩である。
【0137】
アルドステロンシンターゼ(阻害剤)は、コルチコステロンをヒドロキシル化して18−OH−コルチコステロンを形成させ、18−OH−コルチコステロンをアルドステロンに変換することによりコルチコステロンをアルドステロンへ変換する酵素である。アルドステロンシンターゼ阻害剤のクラスは、高血圧および原発性アルドステロン症の処置に適用されることが知られており、ステロイド系および非ステロイド系の両アルドステロンシンターゼ阻害剤があり、後者が最も好ましい。
【0138】
好ましいのは、市販されているアルドステロンシンターゼ阻害剤または保健当局により認可されたアルドステロンシンターゼ阻害剤である。
【0139】
アルドステロンシンターゼ阻害剤のクラスは、異なる構造的特徴を有する化合物を含む。例としては、非ステロイド系アロマターゼ阻害剤アナストロゾール、ファドロゾール(その(+)−鏡像体を含む)およびステロイド系アロマターゼ阻害剤エキセメスタンまたは適用可能な場合、それぞれの場合におけるその医薬上許容される塩から成る群から選択される化合物が挙げられる。
【0140】
最も好ましい非ステロイド系アルドステロンシンターゼ阻害剤は、式
【化23】

で示されるファドロゾールの塩酸塩の(+)−鏡像体である(米国特許第4617307および4889861号)。
【0141】
好ましいステロイド系アルドステロンアンタゴニストは、式
【化24】

で示されるエプレレノンまたはスピロノラクトンである。
【0142】
好ましいアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)二重阻害剤は、例えば、オマパトリラート(欧州特許第629627号参照)、ファシドトリルまたはファシドトリラート、または適切な場合、その医薬上許容される塩である。
【0143】
好ましいエンドセリンアンタゴニストは、例えばベセンタン(欧州特許第526708A号参照)、さらにテゾセンタン(国際公開第96/19459号参照)またはそれぞれの場合におけるその医薬上許容される塩である。レニン阻害剤は、例えば、非ペプチド性レニン阻害剤、例えば2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミドとして化学的に定義される、式
【化25】

で示される化合物である。この典型は、具体的には欧州特許第678503A号に開示されている。特に好ましいのは、そのヘミフマル酸塩である。
【0144】
利尿剤は、例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロチアジドおよびクロロタリドンから成る群から選択されるチアジド誘導体である。最も好ましいのはヒドロクロロチアジドである。
【0145】
ApoA−I模倣物質は、例えば、特に式D-W-F-K-A-F-Y-D-K-V-A-E-K-F-K-E-A-Fで示されるD4Fペプチドである。
【0146】
好ましくは、本発明の組み合わせによる有効成分の全体としての治療有効量は、同時または任意の順序で逐次的に、個別にまたは一定の組み合わせで投与され得る。
【0147】
一般名または登録商標名により同定される有効成分の構造は、標準便覧The Merck Indexの現行版またはデータベース、例えばIMS LifeCycle(例、IMS World Publications)から入手できる。その対応する内容については、出典明示により援用する。当業者であれば、基本的にこれらを参考にして有効成分を同定し、同様にそれらを製造し、インビトロおよびインビボの両方で標準試験モデルにおいて医薬適応および特性を試験することが十分可能なはずである。さらに、上記組み合わせは、同時、個別または逐次投与(使用)により対象に投与され得る。同時投与(使用)は、2種またはそれ以上の有効成分による一定の組み合わせの形態で、または独立して処方された2種またはそれ以上の化合物を同時に投与することにより行われ得る。逐次投与(使用)は、好ましくは一時点である組み合わせの1種(またはそれ以上)の化合物または有効成分を投与し、異なる時点で他の化合物または有効成分を投与する、すなわち、好ましくはその組み合わせが独立して投与された単化合物の場合よりも高い有効性を示す(特に相乗作用を示す)ように、長期的に時差を設けて投与することを意味する。個別投与(使用)は、好ましくは異なる時点で互いに独立して組み合わせの化合物または有効成分を投与することを意味し、好ましくは2種の化合物の測定可能な血中レベルが重複して(同時に)存在しないように両化合物が投与されることを意味する。
【0148】
また、好ましくは組み合わせの化合物−薬剤が、それらを治療有効性に対するそれらの相互作用が全く見出され得ないほど大きく間隔をあけて独立的に使用したときに見出される効果を超える合同治療効果を示すように、逐次、個別および同時投与の2またはそれ以上の組み合わせも可能であり、相乗効果は特に好ましい。
【0149】
さらに、本発明は、以下のものを提供する:
− 医薬として使用される本発明の医薬組成物または組み合わせ;
− CETPが介在するかまたはCETPの阻害に応答する障害または疾患の進行遅延および/または処置を目的とする本発明の医薬組成物または組み合わせの使用;
− 高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、冠心疾患、冠動脈疾患、冠状血管疾患、アンギナ、虚血、心虚血、血栓症、心梗塞、例えば心筋梗塞、卒中、末梢血管疾患、再灌流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、例えばII型真性糖尿病、糖尿病性血管合併症、肥満または内毒素血症などから選択される障害または疾患の進行遅延および/または処置を目的とする本発明の医薬組成物または組み合わせの使用。
【0150】
本発明の医薬組成物または組み合わせは、約50〜70kgの対象について有効成分約1〜1000mg、好ましくは有効成分約5〜500mgの単位用量であり得る。化合物、医薬組成物またはその組み合わせの治療有効用量は、対象の種、体重、年齢および個々の状態、処置されている障害または疾患またはその重症度により変動する。通常レベルの技能をもつ医師、臨床家または獣医であれば、障害または疾患を予防、処置またはその進行を阻止するのに必要な有効成分のそれぞれの有効量を容易に決定できるはずである。
【0151】
上記で挙げた用量特性は、好都合には哺乳類、例えばマウス、ラット、イヌ、サルまたは摘出臓器、組織およびその調製物を用いたインビトロおよびインビボ試験で立証され得る。本発明化合物は、インビトロでは溶液、好ましくは水溶液形態で、インビボでは経腸的、非経口的、有利には静脈経路により、例えば懸濁液として、または水溶液中で適用され得る。インビトロ用量は、約10〜3モルおよび10〜9モル間の濃度範囲であり得る。インビボ治療有効量は、投与経路により、約0.1〜500mg/kg、好ましくは約1〜100mg/kgの範囲であり得る。
【0152】
本発明化合物のCETP阻害効果は、当業界で周知の試験モデルまたは検定法を用いることにより測定され得る。例えば、欧州特許第1115695B1号は、インビトロおよびインビボCETP活性検定法の両方について報告しており、その内容については出典明示で援用する。特に以下の検定法が使用される。
【0153】
(1)CETPインビトロ検定法:
CETP活性キット(#RB−RPAK)をRoar Biochemical, Inc.(ニューヨーク、ニューヨーク、米国)から購入した。96ウェルNBSハーフエリアプレート(costar #3686)の各ウェルに、1.2ng/ウェルのドナー溶液、1μLのアクセプター溶液および100%DMSO中で希釈した化合物溶液5μLを、10mMのトリス、150mMのNaClおよび2mMのEDTA、pH7.4を含む緩衝液38μL中で加えた。次いで、プレートを、Themowell(登録商標)Sealers(costar #6524)で密閉し、次いで室温で10秒間、パワー3でのMICROPLATE MIXER MPX-96(IWAKI)によるプレート振とう器で混合した。37℃で10分間のインキュベーション後、rhCETP溶液(Cardiovascular Target、ニューヨーク、ニューヨーク、米国)5μLを加えることにより反応を開始させ、プレート振とう器で10秒間混合し、次いで0分での蛍光強度を、465nmの励起波長および535nmの放射波長でARVO SX(Perkin Elmerr、米国)により測定した。37℃で120分間インキュベーション後、蛍光強度を再び測定した。以下の計算式により、化合物によるrhCETP活性の阻害を計算した。阻害%={1−(F120−F0)/(f120−f0)}×100[式中、F:0または120分で化合物により測定された蛍光強度。f=0または120分で化合物の非存在下において測定された蛍光強度。]
【0154】
Originソフトウェアによる用量効果曲線からIC50値を測定した。特に約0.1nM〜約50μMのIC50値が本発明化合物またはその医薬上許容される塩について測定された。
【0155】
(2)ハムスターにおける血漿HDLレベルの効果:
ハムスターにおけるHDL−コレステロールレベルに対する化合物の効果を、以前に報告された方法にある程度修正を加えることにより調べる(Eur, J. Phamacol, 466 (2003) 147-154)。簡単に述べると、雄ゴールデンハムスター(10〜11週令、SLC、静岡、日本)に2週間高コレステロール飼料を与える。次いで、動物に対し、カルボキシメチルセルロース溶液で懸濁した化合物により単独に投薬する。13%ポリエチレングリコール6000でアポリポタンパク質B(apoB)含有リポタンパク質を沈殿させた後、市販のキット(Wako Pure Chemical、日本)を用いることにより、HDL−コレステロールレベルを測定する。
【0156】
(3)ヒトプロ−アポリポタンパク質AI(プロ−アポAI)の調製
ヒトプロ−アポAIのcDNA(NCBI受入番号:NM_000039)を、ヒト肝臓Quick-Clone(登録商標)cDNA(Clontech、カリフォルニア)からクローン化し、細菌発現用のpET28aベクター(Novagen、ドイツ国)に挿入する。BL−21Gold(DE3)(Strategene、カリフォルニア)においてN−末端に6×His標識をもつ融合タンパク質として発現されたタンパク質を、HiTrap Chelating(GE Healthcare、コネティカット)を用いて精製する。
【0157】
(4)ドナーマイクロエマルジョンの調製
ドナー粒子としてのプロ−アポAI含有マイクロエマルジョンを、以前の報告(J. Biol. Chem., 280:14918-22)に従って調製する。グリセリルトリオレエート(62.5ng、Sigma、ミズーリ)、3−sn−ホスファチジルコリン(583ng、Wako Pure Chemical Industries、日本)およびコレステリルBODIPY(登録商標)FL C12(250ng、Invitrogen、カリフォルニア)を、1mLのクロロホルムに溶かす。溶液を濃縮し、次いで残留溶媒を1時間より長時間真空下で除去する。乾燥した脂質混合物を、検定緩衝液(50mMのトリス−HCl(pH7.4)、150mMのNaClおよび2mMのEDTA含有)500μLに溶かし、出力006で2分間、マイクロチップ(MICROSON(登録商標) ULTRASONIC CELL DISRUPTOR, Misonix、ファーミングデール、ニューヨーク)を取り付けて50℃で超音波処理する。超音波処理後、溶液を40℃に冷却し、100μgのヒトプロ−アポAIに加え、出力004で5分間、40℃で超音波処理する。溶液、ドナー分子としてのBODIPY-CEマイクロエマルジョンを、0.45μmのPVDFフィルターで濾過後、4℃で貯蔵する。
【0158】
(5)ヒト血漿におけるインビトロCETP活性検定法
健康な人から採取したヒトEDTA血漿試料を、New Drug Development Research Center, Inc.から購入する。検定緩衝液によるドナーマイクロエマルジョンの希釈液によりドナー溶液を調製する。ヒト血漿(50μL)、検定緩衝液(35μL)およびジメチルスルホキシド(1μL)に溶かした試験化合物を、96ウェルハーフエリア黒色平底プレートの各ウェルに加える。ドナー溶液(14μL)を各ウェルに添加することにより反応を開始させる。485nmの励起波長および535nmの放射波長により37℃で30分ごとに蛍光強度を測定する。CETP活性(蛍光強度/分)を、30〜90分間における蛍光強度の変化として定義する。Originソフトウェア、バージョン7.5SR3を用いてロジスティック等式(Y=ボトム+(トップ−ボトム)/(1+(x/IC50)^傾き))によりIC50値を得る。式Iで示される化合物は、約0.001〜100μM、特に0.01〜10μMの範囲におけるIC50値で阻害活性を呈する。
【0159】
本発明化合物またはその医薬上許容される塩は、哺乳類(例、ヒト、サル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において優れたCETP阻害活性を有するため、CETP活性阻害剤として使用され得る。さらに、本発明化合物またはその医薬上許容される塩の優れたCETP阻害活性を利用することにより、本発明化合物は、CETPが関与する疾患(例、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、冠心疾患、冠動脈疾患、冠状血管疾患、アンギナ、虚血、心虚血、血栓症、心梗塞、例えば心筋梗塞、卒中、末梢血管疾患、再灌流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、例えばII型真性糖尿病、糖尿病性血管合併症、肥満または内毒素血症など)の顕在化(overt)に対する予防または処置または進行遅延に有効な医薬として、特に高脂血症または動脈硬化症の予防または治療薬として有用である。
【0160】
【表1】

【0161】
略語
Ac:アセチル
aq:水性、水溶液
Ar:芳香族
BBN:ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
dba:ジベンジリデンアセトン
Bn:ベンジル
Boc:tert-ブトキシカルボニル
CAN:硝酸セリウムアンモニウム
DDQ:2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート
DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:N,N−ジメチルアミノピリジン
DME:ジメトキシエタン
DMME:ジメトキシメタン
DMMIM:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
dppf:1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
ESI:エレクトロスプレーイオン化
Et:エチル
EtOAc:酢酸エチル
h:時間
HCl:塩化水素
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
IPA:2−プロパノール
iPr:イソプロピル
IR:赤外線
KHMDS:カリウムヘキサメチルジシラミド
LC:液体クロマトグラフィー
LDA:リチウムジイソプロピルアミド
LHMDS:リチウムヘキサメチルジシラミド
Me:メチル
min:分
MS:質量分析法
Ms:メシル
NBS:N−ブロモスクシンイミド
NMR:核磁気共鳴
Ph:フェニル
PMB:p−メトキシベンジル
RP:逆相
RT:室温
s−Bu:sec−ブチル
Sia:シアミル
SFC:超臨界流体クロマトグラフィー
TBAI:テトラブチルアンモニウムヨージド
Tf:トリフラート
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
Ts:トシル
tBu:tert−ブチル
tol:トリル
【実施例】
【0162】
以下の実施例は、本発明の説明を意図したものであり、本発明に対して制限を設けるものとしてみなすべきではない。温度は摂氏で示している。特に断らなければ、蒸発は全て減圧下、好ましくは約15mmHg〜100mmHg(=20〜133mbar)の範囲で実施される。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準的分析方法、例えば微量分析および分光学的特徴、例えばMS、IR、NMRにより確認される。使用している略語は当業界において慣用的なものである。以下の実施例における化合物は、CETPについて約0.1nM〜約10000nMの範囲のIC50値を有することが見出されている。
【0163】
保持時間を測定する際の条件は以下の通りである:
条件A(HPLC)
カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18 1.7μm、50×2.1mm
流速:0.5ml/分
移動相:A)TFA/水(0.1/100、v/v)、B)TFA/アセトニトリル(0.1/100、v/v)
勾配:0.5分で5%B、次いで1.5分で5%Bから100%Bへの直線勾配、次いで1分で100%B
検出:215nmでのUV
条件B(HPLC)
カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18 1.7μm、50×2.1mm
流速:0.5ml/分
移動相:A)TFA/水(0.1/100、v/v)、B)TFA/アセトニトリル(0.1/100、v/v)
勾配:0.5分で5%B、次いで5.0分で5%Bから100%Bへの直線勾配、次いで1.5分で100%B
検出:215nmでのUV
条件C(HPLC)
カラム:CombiScreen ODS-AM、50×4.6mm
流速:2.0ml/分
移動相:A)TFA/水(0.1/100、v/v)、B)TFA/アセトニトリル(0.1/100、v/v)
勾配:5分で5%Bから100%Bへの直線勾配、次いで2分で100%B
検出:215nmでのUV
【0164】
実施例
実施例1:(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸の合成
【化26】

THF(1.79ml)およびHO(0.51ml)中の(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸エチルエステル(41mg、0.0511mmol)の溶液に、1MのLiOH水溶液(255μL)を室温で加える。混合物を室温で18時間撹拌する。混合物に、1MのHCl水溶液(255μL)およびHOを加える。溶液をジクロロメタンで抽出し、有機層を減圧下で濃縮する。得られた残渣を逆相HPLCで精製することにより、(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸(24.1mg、60.8%)を得る;ESI−MS m/z:776[M+1]+、保持時間4.56分(条件B)。
【0165】
以下の化合物も実施例1の手順に従って製造される
【表2】

【表3】

【0166】
【表4】

【表5】

【0167】
【表6】

【表7】

【0168】
【表8】

【表9】

【0169】
【表10】

【0170】
【表11】

【表12】

【0171】
【表13】

【表14】

【0172】
【表15】

【0173】
実施例2:(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸の合成
【化27】

ジオキサン(1mL)中の(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸エチルエステル(13mg、0.0163mmol)の溶液に、5MのHCl水溶液(1mL)を加える。混合物を100℃で3時間撹拌する。生成物を逆相HPLCで精製することにより、(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸(2.3mg、18%)を得る;ESI−MS m/z:769[M+1]+、保持時間2.61分(条件A)。
【0174】
実施例3:トランス−4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキサンカルボン酸の合成
【化28】

THF(2mL)中のトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸(135mg、0.784mmol)の溶液に、塩化チオニル(572μL、7.84mmol)を加える。混合物を室温で18時間撹拌し、次いで混合物を減圧下で濃縮する。得られた残渣を、DMF(2mL)中の(シス−2−ベンジル−6−エチルピペリジン−4−イル)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミン塩酸塩(50mg、0.0784mmol)、トリエチルアミン(329μL、2.35mmol)の溶液に加える。混合物を、マイクロ波照射下において150℃で1時間撹拌する。混合物に、ジクロロメタン(5mL)、HO(5mL)およびLiCO(173mg、2.35mmol)を加える。混合物を室温で2時間撹拌し、ジクロロメタンで抽出する。有機層を減圧下で濃縮し、得られた残渣を逆相HPLCで精製することにより、4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキサンカルボン酸(9.0mg、15%)を得る;ESI−MS m/z 755[M+1]+、保持時間2.60分(条件A)。
【0175】
以下の化合物も実施例3の手順に従って製造される。
【表16】

【0176】
実施例4:シス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸4−カルバモイル−ブチルエステルの合成
【化29】

アセトニトリル(1mL)中のシス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸4−カルボキシ−ブチルエステル(50mg、0.0730mmol)、二炭酸ジ−tert−ブチル(25.5mg、0.117mmol)およびピリジン(4.34μL、0.0533mmol)の溶液に、炭酸水素アンモニウム(8.65mg、0.110mmol)を室温で加える。混合物を室温で15時間撹拌する。混合物に、水を加え、溶液をジクロロメタンで抽出する。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、シス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸4−カルバモイル−ブチルエステル(37mg、74%)を得る;ESI−MS m/z:684[M+1]+、保持時間2.30分(条件A)。
1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ ppm 0.85 (t, J=7.33 Hz, 6 H) 1.41 - 1.55 (m, 4 H) 1.69 - 1.85 (m, 6H) 2.10 - 2.21 (m, 2H) 2.29 (t, 2H) 3.95 (s, 3H) 4.10 - 4.22 (m, 4H) 4.74 - 4.83 (m, 1H) 4.86 (s, 2H) 5.29 (br. s., 1H) 5.49 (br. s., 1H) 7.54 (s, 1H) 7.66 (s, 1H) 7.71 (s, 2H) 7.75 (s, 1H) 8.43 (s, 2H)。
【0177】
実施例5:シス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−イミダゾール−1−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−カルボキシ−シクロヘキシルエステルの合成
【化30】

ジメチルスルホキシド(2mL)中のシス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−カルボキシ−シクロヘキシルエステル(0.56mmol、398mg)、イミダゾール(1.12mmol、77mg)、ヨウ化銅(0.56mmol、107mg)、ジメチルアミノ酢酸(0.56mmol、58mg)および炭酸カリウム(1.68mmol、232mg)から成る混合物を、120℃に温め、67時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、次いで水を加える。混合物を濾過し、CHClで抽出する。有機層を合わせ、減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/EtOH)により精製し、シス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−イミダゾール−1−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−カルボキシ−シクロヘキシルエステル(100mg、26%)を得る;ESI−MS m/z:697[M+1]+、保持時間2.00分(条件A)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.85 (t, J=7.33 Hz, 6H) 1.36 - 1.51 (m, 2H) 1.52 - 1.65 (m, 4H) 1.72 - 1.85 (m, 4H) 2.02 - 2.22 (m, 6H) 2.28 - 2.39 (m, 1H) 4.12 - 4.23 (m, 2H) 4.62 - 4.69 (m, 1H) 4.72 - 4.83 (m, 1H) 4.89 (s, 2H) 7.13 (s, 1H) 7.24 (s, 1H) 7.70 (s, 2H) 7.72 (s, 1H) 7.77 (s, 1H) 8.39 (s, 2H)。
【0178】
出発物質は、以下の要領で製造され得る。
実施例6:シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化31】

トルエン中のシス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(315mg、0.449mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(82.3mg、0.0900mmol)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(53.7mg、0.180mmol)およびナトリウム・tert−ブトキシド(173mg、180mmol)から成る混合物に、窒素下室温でモルホリン(78.5μL、0.898mmol)を加える。混合物を100℃で3時間撹拌する。混合物を室温に冷却した後、飽和NHCl水溶液を加え、AcOEtで抽出する。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−モルホリン−4−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(265mg、83.4%)を得る;ESI−MS m/z708[M+1]+,保持時間2.61分(条件A)。
【0179】
実施例6の手順に従って、以下の化合物が製造される。
【表17】

【0180】
実施例7:[トランス−4−(シス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボニル)−シクロヘキシル]−酢酸エチルエステルの合成
【化32】

(トランス−4−{シス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸エチルエステル(205mg、0.419mmol)、1−メチル−4−(4,4,4,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(87.2mg、0.419mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(32.2mg、0.0279mmol)および炭酸ナトリウム(59.1mg、0.558mmol)を、室温でHO(0.54mL)およびDME(2.7mL)に溶かす。混合物を95℃で3時間撹拌し、室温に冷却する。混合物に水を加え、溶液をジクロロメタンで抽出する。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、[トランス−4−(シス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボニル)−シクロヘキシル]−酢酸エチルエステルを得る;ESI−MS m/z737[M+1]+、保持時間2.35分(条件A)。
【0181】
実施例7の手順に従って、以下の化合物が製造される。
【表18】

【0182】
実施例8:[トランス−4−(シス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボニル)−シクロヘキシル]−酢酸エチルエステルの合成
【化33】

(トランス−4−{シス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸エチルエステル(205mg、0.419mmol)、1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−4−(4,4,4,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(116mg、0.419mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(32.2mg、0.0279mmol)および炭酸ナトリウム(59.1mg、0.558mmol)を、HO(0.54mL)およびDME(2.7mL)に溶かす。混合物を95℃で2時間撹拌し、室温に冷却する。混合物にEtOH(6mL)中の1M HClを加え、溶液を室温で2時間撹拌する。混合物にジオキサン(6mL)中の4M HClを加え、溶液を室温で2時間撹拌する。飽和NaHCO水溶液を混合物に加え、溶液をジクロロメタンで抽出する。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、[トランス−4−(シス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−(1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボニル)−シクロヘキシル]−酢酸エチルエステル(140mg、69.4%)を得る;ESI−MS m/z723[M+1]+、保持時間2.29分(条件A)。
【0183】
実施例9:シス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−((S)−3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化34】

Pd(dba)(10.7mg、0.012mmol)および2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル(7.0mg、0.023mmol)をトルエン(2mL)に溶かす。冷却後、ナトリウム・tert−ブトキシド(90mg、0.940mmol)、(S)−(−)−3−ベンゾイルオキシピロリジン(0.67g、5.5mmol)およびシス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.52g、2.2mmol)を加え、反応混合物を3時間100℃で加熱する。室温に冷却後、MeOH(4mL)、THF(1mL)および5MのNaOH水溶液を加え、反応混合物を室温でさらに1時間撹拌する。飽和NHCl水溶液を加えた後、混合物をEtOAcで抽出する。MgSOで乾燥後、有機層を合わせ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色油状物(110mg、73%)としてシス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−((S)−3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。
【0184】
実施例3記載と同じ手順を用いて以下の化合物が製造される。
【表19】

【0185】
実施例10:(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸エチルエステルの合成
【化35】

シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(900mg、1.29mmol)をAcOEt中の4M HClに溶かす。溶液を室温で4時間撹拌し、次いで減圧下で除去する。得られた残渣にジエチルエーテルを加え、沈殿物をろ過し、エーテルで洗浄する。固体を減圧下で乾燥することにより、(シス−2−ベンジル−6−エチルピペリジン−4−イル)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミン塩酸塩(771mg、93.6%)を得る;ESI−MS m/z601[M+1]+、保持時間2.14分(条件A)。
【0186】
THF 1mL中の4−エトキシカルボニルメチル−シクロヘキサンカルボン酸(83.9mg、0.392mmol)の溶液に、塩化チオニル(143μL、1.96mmol)を加える。混合物を室温で18時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。得られた残渣を、DMF(2ml)中の(シス−2−ベンジル−6−エチルピペリジン−4−イル)−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミン塩酸塩(50mg、0.0784mmol)、トリエチルアミン(110μL、0.784mmol)の溶液に加える。混合物をマイクロ波照射下において150℃で1時間撹拌する。生成物を逆相HPLCで精製することにより、(4−{シス−2−ベンジル−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモピリミジン−2−イル)−アミノ]−6−エチルピペリジン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−酢酸エチルエステル(13mg、20.8%)を得る;ESI−MS m/z797[M+1]+、保持時間2.79分(条件A)。
【0187】
対応するカルボン酸を用いることにより、実施例10の手順に従って以下の化合物が製造される。
【表20】

【0188】
実施例11:シス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸3−メトキシカルボニル−プロピルエステルの合成
【化36】

シス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、AcOEt中4MのHClに溶かす。溶液を室温で2時間撹拌し、沈殿物をろ過により集める。その固体に飽和NaHCO水溶液およびAcOEtを加え、溶液をAcOEtで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(シス−2,6−ジエチルピペリジン−4−イル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(5.0g、91%)を得る;ESI−MS m/z541[M+1]+、保持時間1.84分(条件A)。
【0189】
4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステル(43.7mg、0.370mmol)に、ジクロロメタン(2mL)中のトリホスゲン(73.6mg、0.248mmol)の溶液およびジクロロメタン(2mL)中のピリジン(31.4μL、0.388mL)の溶液を0℃で連続的に加える。混合物を室温で3時間撹拌する。混合物に飽和NHCl水溶液を加え、混合物をジクロロメタンで抽出する。溶媒を減圧下で除去する。得られた残渣を室温でDMF(100μL)中の(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(シス−2,6−ジエチルピペリジン−4−イル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(100mg、0.185mmol)の溶液に加え、次いでジイソプロピルエチルアミン(60μL、0.463mmol)を加える。室温で15時間撹拌後、HOを加え、溶液をジクロロメタンで抽出する。有機層を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シス−4−{(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸3−メトキシカルボニルプロピルエステル(121mg、95.4%)を得る;ESI−MS m/z685[M+1]+、保持時間2.29分(条件A)。
【0190】
対応するアルコールを用いることにより、実施例11の手順に従って以下の化合物が製造される。
【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【0191】
実施例12
1)2−エチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化37】

−35℃に冷却した乾燥THF(1L)中の4−メトキシピリジン(15.6g、143mmol)の溶液に、ClCOPh(22.7g、144mmol)を加える。スラリーを1時間撹拌した後、EtMgBr(150mL、150mmol)を30分にわたってゆっくりと加える。混合物を2時間かけて10℃に温め、次いでHOでクエンチングする。反応混合物をEt2O(1L)で2回抽出し、有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。−78℃の乾燥THF(500mL)中の生成した無色油状物の溶液に、t−BuOK(64g、572mmol)を加える。反応混合物を一晩撹拌し、室温に温める。反応混合物をEt2Oで希釈し、氷でクエンチングし、分配し、有機層を1.5NのNaOH水溶液で3回、次いでブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下濃縮することにより、淡黄色油状物(27.8g、収率86%)として2−エチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る;ESI−MS m/z:226[M+1]+、保持時間1.64分(条件A)。
【0192】
以下の物質は、上記手順に従って製造される。
【表28】

【0193】
2)2,6−ジエチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化38】

でパージしたフラスコ中のCuI(0.82mmol、156mg)に、−78℃のEtMgBr(0.82mmol、0.82ml)の1.00Mテトラヒドロフラン溶液を加える。懸濁液を30分間撹拌した後、BF3.Et2O(0.41mmol、57.9mg)を加え、同温度で10分間撹拌する。この懸濁液に、−78℃の2−エチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.41mmol、92.7mg)のテトラヒドロフラン溶液(3.3mL)を加え、次いで混合物を1.5時間撹拌し、次いで2時間−40℃で撹拌を続行する。混合物を室温に温め、飽和NHCl水溶液でクエンチングし、EtOAcで抽出する。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/EtOAc=10/1)で精製し、ラセミ体2,6−ジエチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(50mg、50%)のシスおよびトランス異性体に分離する;ESI−MS m/z:200[M−tBu+2]+、保持時間3.51分(条件A)。
【0194】
以下の物質は、上記手順に従って製造される。
【表29】

【0195】
3)シス−4−{(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)[3,5−ビス(トリフルオロメチルベンジル)]}アミノ−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化39】

MeOH(150mL)中のシス−2,6−ジエチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(11.1g、44mmol)の混合物に、0℃でベンジルアミン(7.1mL、65mmol)およびチタンテトライソプロポキシド(26mL、87mmol)を加える。混合物を室温に温めながら一晩撹拌する。水素化ホウ素ナトリウム(2.5g、65mmol)を添加後、混合物を室温でさらに1時間撹拌する。HOおよびEtOAcを混合物に加え、生じた沈殿物を濾過により除去する。濾液を飽和NaHCO水溶液およびブラインで連続的に洗浄する。水層をEtOAcで抽出し、MgSOで乾燥後、有機層を合わせ、濃縮し、精製した後、透明油状物(13.9g、92%)としてシス−4−ベンジルアミノ−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。ESI−MS m/z:346[M+1]+、保持時間1.80分(条件A)。
【0196】
シス−4−ベンジルアミノ−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.0g、11.4mmol)をEtOH(80mL)に溶かす。10%Pd/C(400mg)の存在下、反応混合物を水素下55℃で5時間撹拌する。触媒を除去後、溶媒を蒸発させてシス−4−アミノ−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを透明油状物(2.9g、99%)として得、これをそれ以上精製せずに次の工程で使用する。ESI−MS m/z:256[M+1]+、保持時間1.61分(条件A)。
【0197】
シス−4−アミノ−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.29mmol、1.87g)、5−ブロモ−2−クロロピリミジン(8.02mmol、1.55g)、i−PrNEt(14.0mmol、2.54mL)およびDMF(20mL)から成る混合物を120℃で4時間撹拌する。室温に冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、HOおよびブラインで洗浄する。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮する。残った固体をi−PrOおよびn−ヘキサンから再結晶化することにより、白色固体としてシス−4−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る;ESI−MS m/z:414[M+1]+、保持時間2.29分(条件A)。
【0198】
DMF(60mL)中のシス−4−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14.6mmol、6.05g)の溶液に、0℃でNaH(油中60%、17.6mmol、0.70g)を加える。1時間撹拌後、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(17.6mmol、3.23mL)を加え、反応混合物を室温に温める。20分間撹拌後、反応を0℃のHOでクエンチングする。混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、黄色油状物として4−{(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]}アミノ−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(8.02g、86%)を得る;ESI−MS m/z:639[M+]+、保持時間6.27分(条件B)。
【0199】
【表30】

【0200】
実施例13:シス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−テトラゾール−1−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化40】

丸底フラスコにPd(dba)(17mg、0.019mmol)およびBINAP(35mg、0.057mg)を充填し、窒素でパージする。そのフラスコに4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(120mg、0.19mmol)、ベンゾフェノンイミン(38μL、0.23mmol)、ナトリウム・t−ブトキシド(27mg、0.29mmol)およびトルエン(2mL)を加え、混合物を3時間110℃に加熱する。混合物を室温に冷却し、Et2Oで希釈し、濾過し、濃縮することにより褐色油状物を得、これをそれ以上精製せずに次の工程で使用する。THF(1mL)中のイミン付加物の溶液に、2M HCl水溶液(1mL)を加える。30分間撹拌後、混合物を2M NaOH水溶液で塩基性にする。混合物をCHClで抽出し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シス−4−[(5−アミノ−ピリミジン−2−イル)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(69mg、0.12mmol、60%)を得る。
【0201】
酢酸(1mL)中のシス−4−[(5−アミノ−ピリミジン−2−イル)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルに、窒素下でオルトギ酸トリエチル(30μL、0.18mmol)を加え、混合物を75℃で加熱する。75℃で30分間撹拌後、NaN(24mg、0.21mmol)を加え、3時間撹拌する。混合物を飽和NaHCOで塩基性にし、EtOAcで抽出し、NaSOで乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、シス−4−[(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−(5−テトラゾール−1−イル−ピリミジン−2−イル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル23mg(0.06mmol、52%)を得る。
【0202】
実施例14:
1)2−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリミジンの合成
【化41】

トルエン(16mL)およびTHF(4mL)中の5−ブロモ−2−クロロ−ピリミジン(10mmol、1.93g)およびホウ酸トリイソプロピル(12mmol、2.8mL)の溶液に、−78℃で45分間にわたってヘキサン中のn−ブチルリチウム(1.58M、12mmol、7.6mL)を滴下し、−78℃で1時間撹拌する。混合物を−20℃に温め、次いで1M HCl水溶液(20mL)を加える。混合物を室温に温める。沈殿を集め、ヘキサンで洗浄することにより、無色粉末(808mg、51%)を得る。トルエン(10mL)中の粉末(3.63mmol、575mg)、ピナコール(3.81mmol、450mg)およびMgSO(18.15mmol、2.2g)の混合物を室温で15時間撹拌する。混合物を濾過し、溶液を減圧下で濃縮する。残った固体を水で洗浄することにより、2−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリミジン(875mg、定量)を得る;ESI−MS m/z:159[M+1−ピナコール]+、保持時間1.75分(条件A)。
【0203】
2)シス−4−[(5−ベンジルオキシ−ピリミジン−2−イル)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸4−メトキシカルボニル−シクロヘキシルエステルの合成
【化42】

DMF(12ml)中の4−アミノ−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.9mmol、1g)、2−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ピリミジン(4.7mmol、1.1g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.9mmol、1.1mL)の溶液を120℃に温め、3時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、次いで水を加える。混合物をEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。
【0204】
得られた残渣をTHF(15mL)に溶かし、室温でH水溶液(35%、1.14mL)を加える。混合物を室温で2時間撹拌する。混合物を0℃まで冷却し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液でクエンチングする。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/EtOAc)で精製することにより、2,6−ジエチル−4−(5−ヒドロキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.12g、83%)を得る;ESI−MS m/z:351[M+1]+、保持時間1.75分(条件A)。
【0205】
DMF(12mL)中の2,6−ジエチル−4−(5−ヒドロキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.72mmol、580mg)および炭酸カリウム(3.23mmol、1.12g)の混合物に、室温でベンジルアミン(3.53mmol、0.42mL)を加え、2時間撹拌する。水を混合物に加え、沈殿を集め、ヘキサンで洗浄することにより、無色固体として4−(5−ベンゾイルオキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(1.26g、74%)を得る。DMF(28mL)中の4−(5−ベンゾイルオキシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸イソプロピルエステル(2.86mmol、1.26g)の溶液に、0℃の水素化ナトリウム(60%油性懸濁液、5.72mmol、230mg)を加え、室温で20分間撹拌する。この混合物に0℃の1−ブロモメチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(4.29mmol、0.79mL)を加え、室温で17時間撹拌する。この混合物に、0℃で水素化ナトリウム(60%油性懸濁液、2.86mmol、115mg)および1−ブロモメチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(2.73mmol、0.5mL)を加え、室温で5時間撹拌する。この混合物に水を加え、EtOAcで抽出する。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/EtOAc)で精製することにより、シス−4−[(5−ベンジルオキシ−ピリミジン−2−イル)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸4−メトキシカルボニル−シクロヘキシルエステル(880mg、46%)を得る;ESI−MS m/z:667[M+1]+、保持時間2.69分(条件A)。
【0206】
3)シス−4−[[5−(2−アセトキシ−エトキシ)−ピリミジン−2−イル]−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−メトキシカルボニル−シクロヘキシルエステルの合成
【化43】

シス−4−[(5−ベンジルオキシ−ピリミジン−2−イル)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−メトキシカルボニル−シクロヘキシルエステル(0.72mmol、540mg)およびMeOH中10%Pd/Cを30分間水素化する。溶液を減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/EtOAc)で精製することにより、シス−4−[[5−(2−アセトキシ−エトキシ)−ピリミジン−2−イル]−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−メトキシカルボニル−シクロヘキシルエステル(335mg、70%)を得る;ESI−MS m/z:661[M+1]+、保持時間2.39分(条件A)。
【0207】
THF(0.75mL)中シス−4−[[5−(2−アセトキシ−エトキシ)−ピリミジン−2−イル]−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−メトキシカルボニル−シクロヘキシルエステル(0.15mmol、100mg)、酢酸2−ヒドロキシ−エチルエステル(0.225mmol、21μL)およびトリフェニルホスフィン(0.225mmol、59mg)から成る混合物に、室温でDEAD(0.225mmol、33μL)を加え、次いで15時間撹拌する。この混合物に水を加え、CHClで抽出する。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/EtOAc)で精製することにより、4−[[5−(2−アセトキシ−エトキシ)−ピリミジン−2−イル]−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル)−アミノ]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸トランス−4−メトキシカルボニル−シクロヘキシルエステル(45mg、40%)を得る;ESI−MS m/z:747[M+1]+、保持時間2.54分(条件A)。
【0208】
実施例15:シス−4−{[4−(1−メチルピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル](3,5−ジクロロベンジル)アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【化44】

シス−4−(5−ブロモ−ピリミジン−2−イルアミノ)−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(2.42mmol、1.00g)、1−メチル−ピラゾール−4−ボロン酸ピナコールエステル(3.14mmol、654mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.242mmol、280mg)、炭酸ナトリウム(3.63mmol、385mg)、HO(1.9mL)およびDME(10mL)から成る混合物を、90℃でN雰囲気下において撹拌する。6時間撹拌後、混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈する。生じた混合物をHOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。得られた残渣を、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:MeOH/ジクロロメタン=1/8)で精製し、得られた固体をi−PrOおよびn−ヘキサンから再結晶化することにより、白色固体としてシス−2,6−ジエチル−4−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イルアミノ]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(793mg、79%)を得る;ESI−MS m/z:415[M+1]+、保持時間3.12分(条件A)。
【0209】
0℃に冷却した乾燥DMF(1mL)中のNaH(鉱油中60%、0.022g、0.55mmol)の溶液に、シス−4−[4−(1−メチルピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル]−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.15g、0.36mmol)を加える。生成した溶液を室温で30分間撹拌した後、3,5−ジクロロベンジルクロリド(0.13g、0.54mmol)を加え、生成した混合物を2時間撹拌する。この混合物を1M HClでクエンチングし、次いで酢酸エチルで2回抽出する。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シス−4−{[4−(1−メチルピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル](3,5−ジクロロベンジル)アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.10g、48%)を得る。1H−NMR (400MHz, CDCl) : 0.85 (t, 6H), 1.40-1.55 (m, 4H), 1.48 (s, 9H), 1.75-1.83 (m, 2H), 2.10-2.19 (m, 2H), 3.95 (s, 3H), 4.07-4.14 (m, 2H), 4.73 (s, 2H), 4,73-4.83 (m, 1H), 7.12 (d, 2H), 7.22 (t, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 8.43 (s, 2H)。
【0210】
実施例15の手順に従って以下の化合物が製造される。
【表31】

【0211】
実施例16:
アルコールの製造
1)5−ヒドロキシ−ペンタン酸メチルエステルの合成
【化45】

無水MeOH(4ml)中のナトリウムメトキシド(71.3mg、1.32mmol)の溶液に、テトラヒドロ−ピラン−2−オン(1.32g、13.2mmol)を窒素下室温で滴下する。混合物を50℃で4時間撹拌し、シリカゲルショートカラム(溶離液:ジエチルエーテル)により濾過する。濾液を集め、減圧下で濃縮することにより、5−ヒドロキシ−ペンタン酸メチルエステルを得る;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)ppm 1.57-1.76 (m, 4H), 2.35 (m, 2H), 3.65 (m, 5H)。
【0212】
2)シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの合成
【化46】

DMF(17mL)中のトランス−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸(5.0mmol、721mg)、KCO(15.0mmol、2.07g)の溶液にヨードメタン(6.0mmol、0.374mL)を加える。2時間撹拌後、混合物をEtOAcで希釈する。混合物をHOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。残渣をそれ以上精製せずに次の反応で使用する(643mg、81%);ESI−MS m/z:159[M+1]+、保持時間1.34分(条件A)。
【0213】
3)トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの合成
【化47】

DMF(15mL)中のトランス−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸(14.7mmol、2.12g)、KCO(17.6mmol、2.44g)の溶液にヨードメタン(17.6mmol、1.10mL)を加える。2時間撹拌後、混合物をEtOAcで希釈する。混合物をHOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。得られた残渣をそれ以上精製せずに次の反応で使用する(1.62g、70%);1H−NMR(400MHz, CDCl):1.24-1.33 (m, 2H), 1.45-1.53 (m, 2H), 1.98-2.28 (m, 4H), 2.21-2.29 (m, 1H), 3.57-3.64 (m, 1H), 3.67 (s, 3H)。
【0214】
4)5−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−ペンタン酸メチルエステルの合成
【化48】

2,2−ジメチル−ペンタンジオン酸(3.0g、19mmol)の溶液に、室温でKCO(6.49g、47mmol)およびヨードメタン(2.5ml、39mmol)を加える。混合物を室温で18時間撹拌する。この混合物に、HOを加え、溶液をAcOEtで抽出する。有機層をHO、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒を減圧下で除去することにより、2,2−ジメチル−ペンタンジオン酸ジメチルエステル(2.49g、70%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、3:1)Rf0.50、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.19 (s, 6H), 1.88 (m, 2H), 2.29 (m, 2H), 3.67 (s, 6H)。
【0215】
MeOH(15ml)中の2,2−ジメチル−ペンタンジオン酸ジメチルエステル(2.40g、12.8mmol)の溶液に、水酸化カリウム(0.788g、14.0mmol)を加える。混合物を室温で16時間撹拌し、2時間還流させる。混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。得られた残渣に、1M HCl水溶液(14ml)を加え、溶液をエーテルで抽出する。有機層をHOで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、2,2−ジメチル−ペンタンジオン酸1−メチルエステル(1.97g、88%)を得る;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.20 (s, 6H), 1.87-1.91 (m, 2H), 2.32-2.36 (m, 2H), 3.67 (s, 3H)。
【0216】
THF(3mL)中の2,2−ジメチル−ペンタンジオン酸1−メチルエステル(1.00g、5.75mmol)の懸濁液に、窒素下10℃より低温を維持しながらTHF中1MのLiBHEt3(38.0ml、38.0mmol)を滴下する。混合物を10℃で1時間撹拌する。この混合物に、50%AcOH(4.6mL)およびHOを加える。溶液をAcOEtで抽出し、有機層をHOで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、5−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−ペンタン酸(850mg、定量)を得る;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.06 (s, 6H), 1.70 (t, 2H), 2.56 (t, 2H), 3.98 (s, 2H)。
【0217】
DMF(5ml)中の5−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−ペンタン酸(300mg、2.05mmol)の溶液に、KCO(369mg、2.87mmol)およびヨードメタン(154μl、2.47mmol)を室温で加える。混合物を室温で15時間撹拌する。この混合物に、HOを加え、溶液をAcOEtで抽出する。有機層をHOおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、5,5−ジメチル−テトラヒドロ−ピラン−2−オン(150mg、47%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、2:1)Rf0.40、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.06 (s, 6H), 1.70 (t, 2H), 2.56 (t, 2H), 3.97 (s, 2H)。
【0218】
無水MeOH(346mL)中のナトリウムメトキシド(6.32mg、0.117mmol)の溶液に、窒素下室温で5,5−ジメチル−テトラヒドロ−ピラン−2−オン(150mg、1.17mmol)を滴下する。混合物を50℃で4時間撹拌し、シリカゲルショートカラム(溶離液:ジエチルエーテル)により濾過する。濾液を減圧下で濃縮することにより、5−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−ペンタン酸メチルエステル(175mg、93%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、2:1)Rf0.27、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 0.89 (s, 6H), 1.63 (m, 2H), 2.32 (m, 2H), 3.28 (d, 2H), 3.68 (s, 3H)。
【0219】
5)トランス−3−ヒドロキシ−シクロブタンカルボン酸メチルエステルの合成
【化49】

DMF13mL中の3−ヒドロキシ−シクロブタンカルボン酸メチルエステルのシス−トランス混合物(1.30g、10mmol)の溶液に、NaH(油中50%、720mg、15mmol)を0℃で加える。0℃で15分間撹拌後、臭化ベンジル(1.43ml、12mmol)を0℃で加える。混合物を室温で2時間撹拌し、HOでクエンチングする。溶液をAcOEtで抽出する。有機層をHOおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、トランス−3−ベンジルオキシ−シクロブタンカルボン酸メチルエステル(340mg、15.4%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、5:1)Rf0.40、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d) ppm 2.26-2.34 (m, 2H), 2.48-2.52 (m, 2H), 3.02-3.06 (m, 1H), 3.69 (s, 3H), 4.26-4.33 (m, 1H), 4.42 (s, 2H), 7.27-7.35 (m, 5H)。
【0220】
MeOH中0.05M溶液としてのトランス−3−ベンジルオキシ−シクロブタンカルボン酸メチルエステル(680mg、3.09mmol)の溶液を、10barで40℃に加熱した10mol%Pd/C触媒カートリッジを取り付けたH-Cube(登録商標)フロ−式水素化反応装置へポンプで注入する。流速を1ml/分に設定する。溶媒を減圧下で除去することにより、トランス3−ヒドロキシ−シクロブタンカルボン酸メチルエステル(380mg、94.5%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、1:1)Rf0.38、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 2.18-2.25 (m, 2H), 2.55-2.61 (m, 2H), 3.01-3.08 (m, 1H), 3.70 (s, 3H), 4.53-4.61 (m, 1H)。
【0221】
6)シス−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルの合成
【化50】

THF(22mL)中のNaH(440mg、11mmol)のスラリーに、0℃のトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール(1.44g、10mmol)を加え、混合物を室温に温めながら1時間撹拌する。臭化ベンジル(1.2mL、10mmol)、次いでTBAI(185mg、0.5mmol)を滴下する。反応物を15時間60℃に加熱する。室温に冷却後、HOを加え、混合物をEtOAcで抽出する。MgSOで乾燥した後、有機層を合わせ、濃縮し、精製した後、透明油状物(1.40g、60%)として(4−ベンジルオキシメチル−シクロヘキシル)−メタノールを得る。
【0222】
ジクロロメタン28mL中の(4−ベンジルオキシメチル−シクロヘキシル)−メタノール(1.40g、6mmol)の混合物に、0℃のデス−マーチンペルヨージナン(2.53g、6mmol)を加え、混合物を室温に温めながら0.5時間撹拌する。飽和NaHCO水溶液を添加後、混合物をEtOAcで抽出する。MgSOで乾燥した後、有機層を合わせ、濃縮し、精製した後に、透明油状物(1.07g、79%)として4−ベンジルオキシメチル−シクロヘキサンカルボアルデヒドを得る。
【0223】
4−ベンジルオキシメチル−シクロヘキサンカルボアルデヒド(1.70g、2.0mmol)を酢酸(0.24mL)および2mLのメタノールに溶かす。反応混合物を0℃〜5℃に冷却し、10%NaOCl溶液(2.5mL、4mmol)を20分間にわたって滴下しながら撹拌する。冷却浴を除去し、混合物を室温に到達させる。飽和NaHCO水溶液を添加後、混合物をEtOAcで抽出する。MgSOで乾燥した後、有機層を合わせ、濃縮し、精製した後に透明油状物(343mg、65%)として4−ベンジルオキシメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを得る。4−ベンジルオキシメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(340mg、1.30mmol)をMeOH(15mL)に溶かす。触媒量の10%Pd/Cの存在下において、反応混合物を水素(10bar)下で3時間撹拌する。10%Pd/Cを除去した後、溶媒を蒸発させ、精製した後に、無色油状物(160mg、72%)としてトランス−4−ヒドロキシメチル−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを得る。1H−NMR(400MHz、CDCl)、δ (ppm): 0.99 (m, 2H), 1.47 (m, 3H), 1.88 (m, 2H), 2.02 (m, 2H), 2.23 (m, 1H), 3.46 (d, 2H), 3.66 (s, 3H)。
【0224】
7)1−ヒドロキシメチル−シクロペンタンカルボン酸メチルエステルの合成
【化51】

DMF(100ml)中のマロン酸ジメチルエステル(5.28g、40mmol)の溶液に、1,4−ジブロモ−ブタン(5.26ml、44mmol)、KCO(13.8g、100mmol)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(0.904g、4.0mmol)を室温で加える。混合物を室温で15時間撹拌する。この混合物に水を加え、溶液をAcOEtで抽出する。有機層をHOおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シクロペンタン−1,1−ジカルボン酸ジメチルエステル(6.13g、82%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、5:1)Rf0.48、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.67-1.71 (m, 4H), 2.17-2.21 (m, 4H), 3.72 (s, 6H)。
【0225】
MeOH(25mL)中のシクロペンタン−1,1−ジカルボン酸ジメチルエステル(4.0g、21.5mmol)の溶液に、水酸化カリウム(1.32g、23.7mmol)を加える。混合物を室温で15時間撹拌し、減圧下で濃縮する。得られた残渣に、1M HCl水溶液(50mL)を加え、溶液をAcOEtで抽出する。有機層をHOで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、シクロペンタン−1,1−ジカルボン酸メチルエステル(3.72g、定量)を得る;TLC(ジクロロメタン/MeOH、10:1)Rf0.25、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.67-1.74 (m, 4H), 2.17-2.25 (m, 4H), 3.75 (s, 3H)。
【0226】
THF(15mL)中のシクロペンタン−1,1−ジカルボン酸メチルエステル(1.00g、5.81mmol)およびトリエチルアミン(808μL、5.81mmol)の溶液に、0℃でクロロギ酸イソブチル(750μL、5.81mmol)を加える。混合物を0℃で20分間撹拌する。混合物を濾過し、濾液を、0℃でTHF(15ml)中のNaBH(242mg)の懸濁液に加える。混合物を0℃で3時間および室温で12時間撹拌する。混合物にHOを加え、混合物をAcOEtで抽出する。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、1−ヒドロキシメチル−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(433mg、47%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、1:1)Rf0.43、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.61-1.77 (m, 6H), 1.93-2.00 (m, 2H), 2.53 (m, 1H), 3.57 (d, 2H), 3.72 (s, 3H)。
【0227】
8)トランス−(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−酢酸メチルエステルの合成
【化52】

1,2−ジメトキシエタン(4.89ml)およびジエチルエーテル(37ml)中ブタ−3−エン酸メチルエステル(1.00g、10mmol)および亜鉛−銅カップル(1.97g)から成る混合物に、トリクロロアセチルクロリド(2.98ml、26.7mmol)を窒素下室温で加える。混合物を室温で3日間撹拌する。混合物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(2,2−ジクロロ−3−オキソ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(2.93g、定量)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、3:1)Rf0.35、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 2.68-2.74 (m, 1H), 2.94-3.00 (m, 1H), 3.06-3.13 (m, 1H), 3.33-3.41 (m, 1H), 3.51-3.57 (m, 1H), 3.75 (s, 3H)。
【0228】
AcOH(100ml)中の(2,2−ジクロロ−3−オキソ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(2.93g、13.8mmol)の溶液に、亜鉛末(4.51g、69.0mmol)を加える。混合物を100℃で15時間撹拌する。混合物を濾過し、AcOHで洗浄する。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をAcOEtに溶かし、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄する。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、(3−オキソ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(710mg、36%)を得る;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 2.64-2.66 (m, 2H), 2.78-2.86 (m, 3H), 3.22-3.32 (m, 2H), 3.70 (s, 3H)。
【0229】
MeOH(20ml)中の(3−オキソ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(700mg、4.92mmol)の溶液に、NaBH(205mg、5.41mmol)を0℃で加える。混合物を室温で5時間撹拌する。混合物にHOを加え、MeOHの一部を減圧下で除去する。混合物をAcOEtで抽出し、有機層をMgSOで乾燥し減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シス(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(578mg、80%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、1:1)Rf0.38、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.56-1.65 (m, 1H), 1.76 (m, 1H), 2.08-2.16 (m, 2H), 2.44 (d, 2H), 2.51-2.59 (m, 2H), 3.66 (s, 3H), 4.16 (m, 1H)。
【0230】
乾燥THF(50mL)中のシス(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(570mg、3.96mmol)、トリフェニルホスフィン(2.08g、7.92mmol)および4−ニトロ安息香酸(1.32g、7.92mmol)の溶液に、室温でトルエン中40%のジエチルアゾジカルボキシレート(1.42mL、7.92mmol)を加える。混合物を室温で15時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、トランス−4−ニトロ−安息香酸3−メトキシカルボニルメチル−シクロブチルエステル(558mg、48%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、3:1)Rf0.31、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 2.28-2.35 (m, 2H), 2.44-2.51 (m, 2H), 2.56 (d, 2H), 2.82-2.87 (m, 1H), 3.69 (s, 3H), 5.33-5.40 (m, 1H).8.18-8.30 (m, 4H)。
【0231】
MeOH(20mL)中のトランス−4−ニトロ−安息香酸3−メトキシカルボニルメチル−シクロブチルエステル(540mg、1.84mmol)の溶液に、室温でHO(2.4mL)、THF(10mL)およびKCO(255mg、1.84mmol)を加える。混合物を室温で45分間撹拌する。溶媒を減圧下で除去する。水を得られた残渣に加え、混合物をジクロロメタンで抽出する。有機層を減圧下で濃縮し、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、トランス−(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(230mg、87%)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、1:1)Rf0.40、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.69-1.70 (m, 1H), 2.07-2.19 (m, 4H), 2.44-2.46 (d, 2H), 2.41-2.69 (m, 1H), 3.66 (s, 3H), 4.39-4.47 (m, 1H)。
【0232】
9)トランス−2−(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステルの合成
【化53】

DMF(1.5mL)中のトランス−(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(168mg、1.17mmol)の溶液に、0℃でNaH(油中60%、70mg、1.75mmol)を加える。0℃で15分間撹拌後、臭化ベンジル(167μL、1.40mmol)を0℃で加える。混合物を室温で2時間撹拌し、HOでクエンチングする。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機層を減圧下で濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、トランス−(3−ベンジルオキシ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(110mg、40%)を得る;ESI−MS m/z235[M+1]+、保持時間1.97分(条件A)。
【0233】
THF(1mL)中のトランス−(3−ベンジルオキシ−シクロブチル)−酢酸メチルエステル(110mg、0.47mmol)の溶液に、窒素下−78℃でTHF中1.09MのLDAおよびヘキサン(1.51mL、1.65mmol)を加え、−78℃で30分間撹拌する。混合物に、ヨードメタン(232μl、3.76mmol)を加え、混合物を−78℃で30分間撹拌する。温度を3時間室温までゆっくりと温める。混合物にHOを加え、AcOEtで抽出する。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、トランス−2−(3−ベンジルオキシ−シクロブチル)−プロピオン酸メチルエステル(94mg、80%)を得る;ESI−MS m/z249[M+1]+、保持時間2.07分(条件A)。
【0234】
THF(1mL)中のトランス−2−(3−ベンジルオキシ−シクロブチル)−プロピオン酸メチルエステル(94mg、0.38mmol)の溶液に、窒素下−78℃でTHF中1.09MのLDAおよびヘキサン(1.51mL、1.65mmol)を加え、−78℃で30分間撹拌する。混合物に、ヨードメタン(232μl、3.76mmol)を加え、−78℃で30分間撹拌する。温度を3時間室温までゆっくりと温める。混合物にHOを加え、AcOEtで抽出する。有機層をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮することにより、トランス−2−(3−ベンジルオキシ−シクロブチル)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル(70mg、70%)を得る;ESI−MS m/z263[M+1]+、保持時間2.17分(条件A)。
【0235】
MeOH中0.05M溶液としてのトランス−2−(3−ベンジルオキシ−シクロブチル)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル(70mg、0.26mmol)の溶液を、10barで40℃に加熱した10mol%Pd/C触媒カートリッジを取り付けたH-Cube(登録商標)フロ−式水素化反応装置へポンプで注入する。流速を1mL/分に設定する。溶媒を減圧下で除去することにより、トランス−2−(3−ヒドロキシ−シクロブチル)−2−メチル−プロピオン酸メチルエステル(54mg、定量)を得る;TLC(ヘキサン/AcOEt、1:1)Rf0.45、1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.12 (s, 6H), 1.92-2.03 (m, 2H), 2.18-2.24 (m, 2H), 2.63-2.71 (m, 1H), 3.65 (s, 3H), 4.25-4.31 (m, 1H)。
【0236】
10)4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステルの合成
【化54】

無水MeOH(4mL)中のナトリウムメトキシド(71.3mg、1.32mmol)の溶液に、ジヒドロ−フラン−2−オン(1.14g、13.2mmol)を窒素下室温で滴下する。混合物を50℃で4時間撹拌し、シリカゲルショートカラムにより濾過する(溶離液:ジエチルエーテル)。濾液を減圧下で濃縮することにより、4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステルを得る;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ ppm 1.85-1.92 (m, 2H), 2.45 (t, 2H), 3.69 (m, 5H)。
【0237】
実施例17:
1)シス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸1−tert−ブトキシカルボニル−アゼチジン−3−イルエステルの合成
【化55】

4−ヒドロキシアゼチジン塩酸塩(4.66mmol、510mg)、BocO(5.12mmol、1.12g)、飽和NaHCO水溶液(5mL)および1,4−ジオキサン(5mL)から成る混合物を室温で1.5時間撹拌する。混合物をEtOAcで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。CHCl(10mL)中の得られた残渣の溶液に、0℃でピリジン(2.35mmol、0.19mL)およびトリホスゲン(1.12mmol、332mg)を加える。混合物を室温に温め、1時間撹拌する。0℃に冷却後、反応を飽和NHCl水溶液でクエンチングする。生成した混合物をCHClで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。粗物質(0.403mmol、95mg)、シス−2,6−ジエチル−ピペリジン−4−イル)−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミン(0.202mmol、109mg)、i−PrNEt(1.61mmol、0.28mL)から成る混合物をDMF(0.5mL)に溶かす。0.5時間撹拌後、さらなる粗物質(0.170mmol、40mg)を加える。反応混合物をEtOAcで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、シス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸1−tert−ブトキシカルボニル−アゼチジン−3−イルエステル(94mg、63%)を得る;1H NMR(400MHz、CDCl):0.86 (t, 6H), 1.45 (s, 9H), 1.45-1.62 (m, 4H), 1,76-1.84 (sept, 2H), 2.13-2.21 (m, 2H), 3.90 (dd, 2H), 3.95 (s, 3H), 4.13-4.21 (m, 2H), 4.23-4.28 (m, 2H), 4.76-4.84 (m, 1H), 4.87 (s, 2H), 5.11-5.14 (m, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 8.44 (s, 2H)。
【0238】
2)シス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸1−メトキシカルボニルメチル−アゼチジン−3−イルエステルの合成
【化56】

THF(1mL)中のシス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチル−ピペリジン−1−カルボン酸1−tert−ブトキシカルボニル−アゼチジン−3−イルエステル(0.0578mmol、37mg)およびi−PrNEt(0.116mmol、0.020mL)の溶液に、ブロモ酢酸メチル(0.0867mmol、0.0082mL)を加える。反応混合物を徐々に60℃に温める。0.5時間撹拌後、反応混合物をEtOAcで希釈し、HOおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、無色油状物としてシス−4−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−イル]−アミノ}−2,6−ジエチルピペリジン−1−カルボン酸1−メトキシカルボニルメチル−アゼチジン−3−イルエステル(22mg、54%)を得る;ESI−MS m/z712[M+1]+、保持時間1.95分(条件A)。
【0239】
実施例18:(S)−(−)−3−ベンゾイルオキシピロリジンの合成
【化57】

ジクロロメタン(5mL)およびピリジン(0.46mL、5.68mmol)中のN−ベンジル−3−ヒドロキシピロリジン(0.50g、2.84mmol)の混合物に、0℃で塩化ベンゾイル(0.4mL、3.41mmol)を加え、混合物を室温に温めながら1時間撹拌する。飽和NaHCO水溶液を添加後、混合物をEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。生成したN−ベンジル−3−ベンゾイルオキシピロリジンをそれ以上精製せずに次の工程に使用する。
【0240】
ジクロロメタン(1mL)中のN−ベンジル−3−ベンゾイルオキシピロリジン(114mg、0.41mmol)の粗混合物に、0℃でクロロギ酸α−クロロエチル(57μL、0.49mmol)を加え、混合物を室温に温めながら1時間撹拌する。ジクロロメタンを除去後、生成した混合物をMeOHで希釈する。反応混合物を0.5時間80℃に加熱する。室温に冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させることにより、(S)−(−)−3−ベンゾイルオキシピロリジンを得、それ以上精製せずに次の反応に使用する。
【0241】
以上、本明細書では、本発明の局面を説明目的で記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修飾が加えられ得るものとする。したがって、本発明は添付の請求の範囲によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アルキル−O−C(O)−、アルカノイルまたはアルキルであり、各シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアリールは、所望によりアルキル、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、各アルカノイル、アルキル−O−C(O)−、アルキル、アルコキシまたはヘテロシクリルは、さらに所望によりヒドロキシ、アルキル、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル−またはアルコキシであり、各アルキル、シクロアルキルまたはアルコキシは、所望によりアルキル、アルコキシまたはハロゲンから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R3は、HOC(O)−R9−C(O)−またはHOC(O)−R9−O−C(O)−であり、
R9は、−アルキル−、−アルキル−シクロアルキル−、−ヘテロシクリル−、−アルキル−ヘテロシクリル−、−ヘテロシクリル−アルキル−、−アルキル−アリール−、−シクロアルキル−、−シクロアルキル−アルキル−、−アリール−、−アリール−アルキル−または−シクロアルキル−アルキル−であるか、または各R9は、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシアミド、アシル、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R4およびR5は、独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−、オキソまたはヘテロアリール−アルキル−であり、各アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−またはヘテロアリール−アルキル−は、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−、またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいが、ただし、R4およびR5が同時に水素となることはあり得ないものとし、
R6およびR7は、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシである。]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、または光学異性体の混合物。
【請求項2】
式(I)において、
R1が、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アルキル−O−C(O)−、アルカノイルまたはアルキルであり、各シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアリールは、所望によりアルキル、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、アルキルアミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、各アルカノイル、アルキル−O−C(O)−、アルキルまたはヘテロシクリルは、さらに所望によりヒドロキシ、アルキル、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2が、アルキルまたはアルコキシであり、
R3が、HOC(O)−R9−C(O)−またはHOC(O)−R9−O−C(O)−であり、
R4またはR5が、互いに独立して水素、アリール、アルキル、アリール−アルキル−、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル−、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル−であり、各アリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル−、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル−は、所望によりアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R6およびR7が、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ジアルキルアミノまたはアルコキシであり、または
R9が、−アルキル−、−シクロアルキル−、−アリール−、−アリール−アルキル−または−シクロアルキル−アルキル−である、
請求項1記載の化合物、またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、または光学異性体の混合物。
【請求項3】
式(I)において、
R1が、アルキル−O−C(O)−、アルカノイルまたはヘテロアリールであり、上記ヘテロアリールは、所望によりハロゲン、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、上記ヘテロシクリルは、さらに所望によりヒドロキシまたはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2がアルキルであり、
R4が、所望により1〜3個のアルキルまたはハロゲンにより置換されていてもよいアルキルまたはアリール−アルキル−であり、
R5が水素であり、
R6およびR7が、独立してハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、上記アルキルは所望により1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいものとし、
R9が、C1−4アルキル、C3−C6シクロアルキルまたはC3−C6シクロアルキル−アルキルである、
請求項2記載の化合物。
【請求項4】
式(I)において、
R1が(C1−C7)アルキル−O−C(O)−または5または6員ヘテロアリールであり、上記ヘテロアリールは、所望によりハロゲン、ジアルキルアミノ、(C1−C7)アルコキシまたは5または6員ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、上記ヘテロシクリルは、さらに所望によりアルキル、(C1−C7)アルカノイルまたはヒドロキシから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2が(C1−C7)アルキルであり、
R4が、(C1−C7)アルキルまたはハロゲンであり、
R5が水素であり、
R6およびR7が、独立してハロゲン、(C1−C7)アルキルまたは(C1−C7)アルコキシであり、上記アルキルは、1〜3個のハロゲンにより置換されており、
R9が、
【化2】

である、
請求項3記載の化合物。
【請求項5】
式(I)において、
R1が、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アルキル−O−C(O)−、アルカノイルまたはアルキルであり、各シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアリールは、所望によりアルキル、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、アルキルアミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、各アルカノイル、アルキル−O−C(O)−、アルキルまたはヘテロシクリルは、さらに所望によりヒドロキシ、アルキル、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、アルカノイルまたはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2が、アルキルであり、
R3が、HOC(O)−R9−O−C(O)−であり、
R4またはR5が、互いに独立して水素、アリール、アルキル、アリール−アルキル−、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル−、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル−であり、各アリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル−、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−アルキル−は、所望によりアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R6およびR7が、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ジアルキルアミノまたはアルコキシであり、または
R9が、−アルキル−、−シクロアルキル−、−ヘテロシクリル−、−ヘテロシクリル−アルキル−、−アルキル−シクロアルキル−、−アリール−、−アリール−アルキル−または−シクロアルキル−アルキル−である、
請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、または光学異性体の混合物。
【請求項6】
式(I)において、
R1が、アルキル−O−C(O)−、アルカノイルまたはヘテロアリールであり、上記ヘテロアリールは、所望によりハロゲン、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、上記ヘテロシクリルは、さらに所望によりアルキル、ヒドロキシまたはアルカノイルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2が、アルキルであり、
R4が、所望により1〜3個のアルキルまたはハロゲンにより置換されていてもよいアルキルまたはアリール−アルキル−であり、
R5が水素であり、
R6およびR7が、独立してハロゲン、アルキルまたはアルコキシであり、上記アルキルは、所望により1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいものとし、
R9が、(C−C)アルキル、(C3−C6)シクロアルキル、(C−C)アルキル−C3−6シクロアルキルまたは(C3−C6)シクロアルキル−アルキルである
請求項5記載の化合物。
【請求項7】
式(I)において、
R1が(C1−C7)アルキル−O−C(O)−または5または6員ヘテロアリールであり、上記ヘテロアリールは、所望によりハロゲン、ジアルキルアミノ、(C1−C7)アルコキシまたは5または6員ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、上記ヘテロシクリルは、さらに所望により(C1−4)アルキル、(C1−C7)アルカノイルまたはヒドロキシから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2が(C1−C7)アルキルであり、
R4が、(C1−C7)アルキルまたは5または6員アリールアルキルであり、アリールは所望によりアルキルまたはハロゲンから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R5が水素であり、
R6およびR7が、独立してハロゲン、(C1−C7)アルキルまたは(C1−C7)アルコキシであり、上記アルキルは、1〜3個のハロゲンにより置換されており、
R9が、
【化3】

である、
請求項6記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の式(I)で示される化合物の治療有効量を対象に投与することを含む、対象におけるCETP活性の阻害方法。
【請求項9】
CETPが介在するか、またはCETPの阻害に応答する対象における障害または疾患の処置方法であって、式(I):
【化4】

[式中、
R1は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アルキル−O−C(O)−、アルカノイルまたはアルキルであり、各シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはアリールは、所望によりアルキル、アリール、ハロアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、各アルカノイル、アルキル−O−C(O)−、アルキル、アルコキシまたはヘテロシクリルは、さらに所望によりヒドロキシ、アルキル、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバモイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R2は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル−またはアルコキシであり、各アルキル、シクロアルキルまたはアルコキシは、所望によりアルキル、アルコキシまたはハロゲンから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R3は、HOC(O)−R9−C(O)−またはHOC(O)−R9−O−C(O)−であり、
R9は、−アルキル−、−アルキル−シクロアルキル−、−ヘテロシクリル−、−アルキル−ヘテロシクリル−、−ヘテロシクリル−アルキル−、−アルキル−アリール−、−シクロアルキル−、−シクロアルキル−アルキル−、−アリール−、−アリール−アルキル−または−シクロアルキル−アルキル−であるか、または各R9は、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシアミド、アシル、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、HN−SO−、ヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいものとし、
R4およびR5は、独立して水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−、オキソまたはヘテロアリール−アルキル−であり、各アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル−、シクロアルキル−アルキル−またはヘテロアリール−アルキル−は、所望によりアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ニトロ、カルボキシ、チオール、シアノ、HSO−、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキル−O−C(O)−、アルカノイル、カルバミミドイル、アルキル−S−、アルキル−SO−、アルキル−SO−、アミノ、モノ−またはジ−置換(アルキル、シクロアルキル、アリールおよび/またはアリール−アルキル−)アミノ、HN−SO−、またはヘテロシクリルから選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよいが、ただし、R4およびR5が同時に水素となることはあり得ないものとし、
R6およびR7は、独立して水素、アルキル、ハロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシである。]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、またはその光学異性体、または光学異性体の混合物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
【請求項10】
障害または疾患が、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、冠心疾患、冠動脈疾患、冠状血管疾患、アンギナ、虚血、心虚血、血栓症、心梗塞、例えば心筋梗塞、卒中、末梢血管疾患、再灌流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、例えばII型真性糖尿病、糖尿病性血管合併症、肥満または内毒素血症などから選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項1記載の式(I)で示される化合物の治療有効量および1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
さらに、
(i)HMG−Co−Aレダクターゼ阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(ii)アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはその医薬上許容される塩、
(iii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(iv)カルシウムチャンネル遮断薬またはその医薬上許容される塩、
(v)アルドステロンシンターゼ阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(vi)アルドステロンアンタゴニストまたはその医薬上許容される塩、
(vii)アンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)二重阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(viii)エンドセリンアンタゴニストまたはその医薬上許容される塩、
(ix)レニン阻害剤またはその医薬上許容される塩、
(x)利尿剤またはその医薬上許容される塩、および
(xi)ApoA−I模倣物質
から成る群から選択される1種またはそれ以上の治療有効成分を含む、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬として使用される請求項1〜7のいずれかに記載の式(I)で示される化合物。
【請求項14】
CETPが介在するかまたはCETPの阻害に応答を示す対象における障害または疾患を処置するための医薬の製造を目的とする、請求項1〜7のいずれかに記載の式(I)で示される化合物の使用。
【請求項15】
障害または疾患が、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、脂質異常症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心臓血管障害、冠心疾患、冠動脈疾患、冠状血管疾患、アンギナ、虚血、心虚血、血栓症、心梗塞、例えば心筋梗塞、卒中、末梢血管疾患、再灌流損傷、血管形成再狭窄、高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、例えばII型真性糖尿病、糖尿病性血管合併症、肥満または内毒素血症などから選択される、請求項14記載の使用。

【公表番号】特表2011−503026(P2011−503026A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532558(P2010−532558)
【出願日】平成20年11月3日(2008.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064859
【国際公開番号】WO2009/059943
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】