説明

高色温度における色コントラストが増強された光源

【課題】色温度が高いかまたは非常に高い場合においても演色が向上しているスペクトルを有する光源を提供する。
【解決手段】色品質尺度が、特に高色温度において向上したランプが提供される。ランプが作動時に、ランプの発光素子が発生させる光は、色品質尺度の15の色見本に対する彩度差値が、選択パラメータ内にある。彩度差値はCIELAB色空間において測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源に関し、より詳細には、高相関色温度において色コントラストが増強された光源に関する。
【0002】
本明細書で説明する技術は、同時継続中の米国特許出願第11/873463号明細書(2007年10月17日に出願)、タイトル「色コントラストが増強された光源」と、同時継続中の米国特許出願第12/246110号明細書(2008年10月6日に出願)、やはりタイトルは「色コントラストが増強された光源」とに関する。なお両文献とも本明細書において参照により取り入れられている。
【背景技術】
【0003】
蛍光照明は、一般的な白熱照明に代わるエネルギー効率の良い照明である。しかし蛍光照明の採用は、ある特定の用途において遅れている。蛍光照明下での物体色の品質は、光源の価値の重要な側面である。良好な演色が非常に重要なある特定の用途が存在する。このような用途は、製品の真の色知覚が望まれる商用ユニットにおける照明である。たとえば衣料品店、生鮮食品店、フォトおよびシネマ・スタジオである。
【0004】
一般的に、物体色の品質は、演色という観点から記述される。これは、光源によって照明された物体の心理物理的な色が、特定の条件に対する参照光源のそれと一致する度合いの尺度である。演色は、本明細書で用いる場合、その同じ物体を参照光源下に置いたときと比較した物体色の正確な表現を指す。一部の光源(たとえば、蛍光照明)は、演色が不十分であることが知られており、可視光として、スペクトルの赤色領域における光が弱められ、黄色領域における光の量が過度に強調された可視光が生成される可能性がある。このような照明では、冷光または殺菌光、および一般的に照明中の物品の色を落とす光が生成されることが認められている。
【0005】
また光源は、その見かけの色という観点からも記述されている。見かけの色は色温度として表現される。色温度は、考慮中の放射とほぼ同じ色度の放射を発する黒体の温度である。色温度が3000ケルビンの光源は、色温度が4100ケルビンの光源よりも赤色成分が大きい。白色光は通常、色温度(より正確には、相関色温度CCT)が約4000〜8000Kである。色温度が4000の白色光は帯黄色である。CCTが8000Kの白色光は、より青みを帯びた色であり、「クール・ホワイト」と言われる場合がある。実質的な青成分を有する光は睡眠周期およびホルモン効果に関して人体に効果があると示唆する証拠が存在する。特に、非常に青い光は人の概日リズムの調整に効果的である可能性があるということが一般的に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、高色温度ランプを有する(したがって、実質的な青成分を有する)ランプは、その物体の演色(すなわちその見え方)の点で好ましくないと考えられることが多い。したがって、望ましいのは、色温度が高いかまたは非常に高い場合においても演色が向上しているスペクトルを有する光源である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一態様においては、作動時に約3000ケルビン〜約4500ケルビンの相関色温度を示す、色品質尺度が向上したランプが提供される。ランプは、作動時に光放射を行なう少なくとも1つの発光素子を含む。ただしランプは白熱発光素子を含まない。ランプは作動時に、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS1に対して−5〜2、VS2に対して−2〜5、VS3に対して−5〜0のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS4に対して−2.5〜8、VS5に対して−2〜15のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS6に対して0〜21、VS7に対して3〜22、VS8に対して2〜7のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS9に対して−6〜5.5、VS10に対して−4〜5、VS11に対して−4〜2のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS12に対して−0.5〜5、VS13に対して1〜12のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS14に対して−7〜4、VS15に対して−7〜7のパラメータ内にあるような彩度差(delta chroma)値を有する合計発光を伴う光を発生させる。彩度差値はCIELAB空間において測定される。
【0008】
本発明の実施形態の別の態様においては、作動時に約4500ケルビン〜約7500ケルビンの相関色温度を示す、色品質尺度が向上したランプが提供される。ランプは、作動時に光放射を行なう少なくとも1つの発光素子を含む。ただし、ランプは白熱発光素子を含まない。前記ランプは作動時に、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS1に対して−5〜2、VS2に対して−2〜4、およびVS3に対して−5〜3のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS4に対して−2〜5、VS5に対して−2〜15のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS6に対して0〜20、VS7に対して1〜22、VS8に対して2〜8のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS9に対して−5.5〜5.5、VS10に対して−5〜4、VS1に対して−4〜1のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS12に対して−1.5〜6、VS13に対して0.5〜12のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS14に対して−5〜6、VS15に対して−5.5〜5のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させる。彩度差値はCIELAB空間において測定される。
【0009】
さらに本発明の実施形態の別の態様においては、作動時に約7500ケルビン〜約20000ケルビンの相関色温度を示す、色品質尺度が向上したランプが提供される。ランプは、作動時に光放射を行なう少なくとも1つの発光素子を含む、ただし、ランプは白熱発光素子を含まない。前記ランプは作動時に、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS1に対して−2〜2、VS2に対して0〜5、VS3に対して−5〜5.5のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS4に対して−2.5〜4、VS5に対して−3〜15のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS6に対して1〜22、VS7に対して0〜23、VS8に対して4〜11のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも2つの色見本が、VS9に対して−4.5〜6、VS10に対して−4〜5、VS11に対して−4〜1のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS12に対して−1.5〜6、VS13に対して1〜13のパラメータ内にあり、CQSの少なくとも1つの色見本が、VS14に対して−3〜7、VS15に対して−3〜8のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させる。彩度差値はCIELAB空間において測定される。
【0010】
本発明の他の特徴および優位性は、以下の詳細な説明からより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の実施形態による蛍光ランプを図式的に、部分的に断面で示す図である。
【図2】本開示の実施形態による蛍光ランプに対する発光スペクトルを示す図である。
【図3】本開示の実施形態による別の蛍光ランプに対する発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で用いる場合、用語「ランプ」および「光源」は実質的に交換可能に用いられ、蛍光体、蒸気放電、高輝度放電、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される作動時に光放射を行なう少なくとも1つの発光素子によって発生させることができる任意の可視光および/または紫外線光の光源を指す。用語「合計発光」は、上記で定義したような1または複数の発光素子を有するランプから放出される組み合わせ光を指す。ランプ(たとえば)が1つの発光素子(たとえば、白色発光素子)のみを含む場合でも、このような光放射は用語合計発光の定義に含まれる。ランプが複数の発光素子を含む場合、すべての素子からの光の組み合わせも、合計発光を構成する場合がある例である。また合計発光は、上記で定義したような1または複数の発光素子を有するランプであって、他のタイプの素子(たとえば、LEDおよび/またはOLED)からの光をさらに含むランプから放出される組み合わせ光を指す場合もある。ランプが白熱発光素子を含んでいないことは、本発明の好ましい実施形態である。
【0013】
従来の白熱ランプはスペクトルの黄色領域においてある量の光を発生させるために、演色が魅力のないものになる場合があることが、一般的に知られている。このような従来の白熱ランプに対する改善では、フィルタを用いて黄色光の一部を取り除くかまたはろ過除去することを、このようなランプのガラス・エンベロープにネオジムを含めることによって行なっている。このような照明システムの例としては、ゼネラル・エレクトリック・カンパニによって生産されるリビール(REVEAL)(商標)電球の製品ラインが挙げられる。リビール(商標)バルブのスペクトルの関連する特徴の1つは、黄色領域における深い凹部であり、これはネオジム・ガラスによるろ過作用によってもたらされている。この黄色領域での不完全性によって、このランプの下で物体を視認したときに、普通の白熱電球と比べて赤緑色コントラストが増加することになる。これは、顧客にとって非常に魅力的であることが分かっている。
【0014】
本発明の実施形態によれば、リビール(商標)バルブに勝る増強された色コントラストを有する場合があるランプが提供されるが、このようなランプは、白熱発光素子を含んでいないという条件に従う。用語「白熱発光素子」は一般的に、加熱に起因して光および/または熱放射を発する素子を意味するものと当業者によって理解されている。これには、フィラメントを流れる電流によって誘起される加熱時に白熱するフィラメントを有する良く知られた発光素子が含まれる。本発明の実施形態によれば、用語「ランプ」には(これらに限定されないが)蛍光ランプ、放電ランプ、およびそれらの組み合わせなどが含まれる。
【0015】
本開示の実施形態によるランプは、蒸気放電ランプ(たとえば、低圧水銀または水銀フリーの蒸気放電ランプ)とすることができる。それらの多くは一般的に当該技術分野において良く知られている。このようなランプは、いくつかの実施形態において、光透過性エンベロープを含むことができる。光透過性エンベロープは、直線状および/または円筒状であっても良く、ガラスまたは別の光透過性材料から作ることができ、円形断面であっても良い。光の柔らかさおよび明るさを時間が経っても維持することを改善するために、エンベロープの内面に反射性バリア・コーティングまたは層を設けることができる。エンベロープの内面(または、もしあればバリア層の内面)には通常、蛍光体層が設けられている。このような蛍光体層は通常、希土類蛍光体層、たとえば多重蛍光体層、または他の蛍光体層を含んでいる。前述したタイプのランプは、蛍光ランプ、たとえばT12、T10、またはT8ランプとすることができる。これらは一般的に、当該技術分野において知られている。あるいは、ランプは、非直線状、たとえば円形状そうでなければ曲線状の形状とすることができ、または公称外径を1インチ未満とすることができる。この代替的な場合には、ランプは、他の長さとすることもできるし、または折り畳まれたかもしくは包まれたトポロジの電球形蛍光ランプ(CFL)にして、ランプの全長をガラス管の折り畳まれていない長さよりもはるかに短くしても良い。
【0016】
本開示のさらに別の実施形態においては、ランプは高輝度放電(HID)ランプとすることができる。このようなHIDランプとしては、たとえば、水銀蒸気、金属ハロゲン化物、低圧ナトリウム、または高圧ナトリウムのランプを挙げても良い。HIDランプによる光の生成は、一般的にチューブ(たとえば溶融石英または溶融アルミナ・チューブ)の内部に配置される2つの電極間に電気アークを発生させることによって行なわれる。一般的に当該技術分野で知られているように、チューブにガスおよび金属を入れる。ランプが起動されると金属は光を発生させる。
【0017】
本開示のさらなる実施形態においては、ランプは、蛍光もしくはCFLランプ、または蒸気放電もしくはHIDランプを、ランプ内に設けた1または複数のLEDおよび/またはOLED(有機エレクトロルミネセント装置)からの光で補足したものとすることができる。たとえば、LED生成光と放電活性された蛍光体変換光との組み合わせを用いて、色コントラストが増強された可視光を生成しても良い。このような組み合わせにおいて、LEDを蛍光またはCFLランプ内の都合の良い場所に取り付けて、ランプのエンベロープ上にコーティングされた蛍光体組成物から発生している光に対して、可視スペクトルの選択波長領域(たとえば赤色領域の一部)における光を増加させる(または補足する)ことができる。
【0018】
開示の実施形態においては、前述のランプはいずれも、色コントラストの増強または向上を示す。ランプの色の見え方それ自体は(このようなランプによって照明される物体とは対照的に)、その色度座標または色座標によって記述される。色度座標または色座標は、当業者であれば分かるように、そのスペクトル・パワー分布から標準的な方法に従って計算することができる。これは、CIE、光源の演色特性を測定および特定する方法(Method of measuring and specifying color rendering properties of light sources)(第2版)、CIE出版物第13.2(TC−3,2)、CIE中央事務局、パリ、1974年(CIEは国際照明委員会、または、Commission International ed’Eclairage)により指定されている。CIE標準色度図は、x座標およびy座標を有する2次元グラフである。この標準図には、種々の温度における黒体放射体の色点が含まれている。x、y図上の黒体色度の軌跡はプランク軌跡として知られている。この軌跡上の点によって示される任意の発光源を、色温度によって、ケルビンの単位を用いて特定しても良い。このプランク軌跡の付近ではあるが軌跡上にはない点は、相関色温度(CCT)によって特徴づけることができる。なぜならば、このような点から線を、この色温度においてプランク軌跡と交差するように引いて、すべての点が、平均的な人間の目には、ほぼ同じ色を有するように見えるようにすることができるからである。したがって、要約して言えば、ランプを、少なくとも部分的に、色座標およびCCTの観点から特徴付けることができる。
【0019】
本開示の実施形態によれば、色コントラストまたは彩度が増強された光ランプまたは光源が提供される。ランプ内で発光素子を混合することによって、魅力的に見える物体などの物体の照明において有用な光が得られる。
【0020】
本開示の実施形態によるランプは、1つの発光素子を含んでいても良いし、発光素子の混合を含んでいても良く、どちらの場合でも、色コントラストが増強されたを光を発生させる。特に、光の色コントラストは、その彩度差(Δ彩度)値(後述する)が、色品質尺度(CQS)において用いる色見本のそれぞれに対するある特定のパラメータの範囲に入るように、特徴付けられる。色品質尺度については、以下でもさらに説明する。用語を本明細書で用いる場合、「彩度」値はCIELAB空間において測定される。彩度値は、従来の技術によって、たとえばCIELAB色空間において計算することができる。たとえば、CIE1976a、b彩度値は、C*ab=[(a*)2+(b*)21/2として計算される。これは、当業者には良く知られていることであり、当該分野における標準ハンドブック、たとえば北米照明学会照明ハンドブック(Illuminating Engineering Society of North America Lighting Handbook)(ISBN−10:0−87995−150−8)内に見つかる場合がある。
【0021】
CQS(米国標準技術局(NIST)よって開発された)では、15のマンセル色見本を用いて、光源によって照明される物体の色の様相を評価する。たとえば、より良く知られている演色評価数(CRI)によって同様に行なわれるものである。ところで、より古いCRIシステムでは、14の標準色見本(R1〜R14、または一般的にRiで示す)を用いて、演色を評価している。通常、CRIによる演色の得点について発表するとき、それは「平均演色評価数」(Raと呼ばれる)である。これは、最初の8つの見本のみに対するRi値の平均値である。これらの見本はすべて低〜中間の色調飽和度にある。しかし物体色を測定するCRIシステムには、いくつかの不利点がある。たとえば、色空間の赤色領域は不均一であり、Raを計算するために用いる8つの色見本は高度に飽和している。飽和色の演色は、たとえRa値が高くても、非常に不十分である可能性がある。言い換えれば、ランプのスペクトルを非常に高い値のRaに従って最適化する場合があり、それでも実際の演色ははるかに不十分である。8つの色見本を単純に平均してRa値を得ているために、ランプは、1つまたは2つの色の演色が非常に不十分であったとしても。高得点を得ることができる。この問題が生じるのは、Raを計算するために用いる高い色調飽和度の見本の数が少なすぎるからである。
【0022】
CQSであれば、CRIシステムのこれらの不利点が打開される。したがってCQSを、本開示の実施形態により、物体色の様相を評価するためのシステムとして用いる。CQSシステムでは、全部で15の色見本の色の見え方を取り入れる全体的なQa値を用いる。これらの色見本はすべて、比較的高い色調飽和度を有し、色空間において実質的に一様に分配される。Qa値は一般的に、15の色見本のそれぞれに対する個々のCQS値の平均値に対応する。Qa値の計算は、W.デイビス(Davis)およびY.オオノ(Ohno)、「演色計量を向上させるために(Toward an improved color rendering metric)」SPIE第5回固体照明国際会議(Fifth International Conference on Solid State Lighting)の議事録、5941、2005年においてより十分に説明されている。なおこの文献の全体の内容は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0023】
NISTによって設定されるように、CQSでは、表Iに示す色相値および彩度を有する15の飽和状態のマンセル色見本(しばしばカラー「チップ」と言われる)の標準的な組を用いる。
【0024】
【表1】

【0025】
これらの値(色相値/彩度)は、CQSの15のマンセル色見本にそれぞれ対応している。15のマンセル色見本は、VS1〜VS15(両端を含む)(すなわち、VS1〜VS15)として標示されている。言い換えれば、VS1は第1の標準的なマンセル色見本に対応し、VS2は第2のマンセル色見本に対応する等である。色相ラベルの説明は以下の通り。「P」は紫色、「PB」は紫青色、「B」は青色、「BG」は青緑色、「G」は緑色、「GY」は緑黄色、「Y」は黄色、「YR」は黄赤色、「R」は赤色、および「RP」は赤紫色である。
【0026】
本発明の実施形態によれば、CQSは以下のように用いる。ランプ(または他の光源)から発生する光は、各カラー・チップに対する彩度値を、ある特定の相関色温度(CCT)において、および光に対するある特定の色点(または色度座標)において有する。これらの彩度値を次に、参照光源を用いて発生させた各カラー・チップに対する彩度値の参照組と比較する。その参照光源は、対象とする光源と同じ色温度および同じ色点(色度座標)の両方を有するプランクの黒体放射である。対象とするランプまたは光源による照明下にある各カラー・チップに対する彩度差(Δ彩度)値は、ランプまたは光源の彩度値と参照光源の彩度値との間の算術差である。
【0027】
実施形態によれば、本発明のランプから放出される光に対して望ましい彩度差(Δ彩度)値が存在する。彩度差値は、色知覚の識別にとって、また本明細書で説明するランプまたは光源の増強された色コントラストの評価にとって有用である。彩度差値を用いて、本開示の実施形態によるランプを選択し、作製し、および/または評価することができる。
【0028】
開示の特定の実施形態は、作動時に約3000ケルビン〜約4500ケルビンの相関色温度を示すランプに向けられている。ランプは作動時に、表IIのパラメータから選択されるCQSの色見本に対する彩度差値を有する光を発生させる。これは、本明細書において低色温度の実施形態と言う。
【0029】
【表2】

【0030】
前述したCCTのランプは、表IIの入力の通りに示すVS値内にある彩度差値を有する光を発生させるという条件で、低色温度の実施形態に合致する。説明を助けるために、以下は表IIの再表示である。低色温度の実施形態のランプは、表IIにおいて特定されるCQS見本VS1〜VS3の任意の2つまたは3つに対する彩度差値を示し、同時に、表IIにおいて特定されるCQS見本VS4〜VS5の任意の一つまたは2つに対する彩度差値を示し、同時に、CQS見本V6〜V8の2つまたは3つに対する彩度差値を示し、同時に、CQS見本V9〜V11の2つまたは3つに対する彩度差値を示し、同時に、CQS見本V12〜V13の1つまたは2つに対する彩度差値を示す、同時に、CQS見本V14〜V15の1つまたは2つに対する彩度差値を示している。ランプがこの低色温度の実施形態に合致するか否かを確かめるために、単に、以前に特定した方法でCQSシステムを用いて、チャート内の値と比較しても良い。
【0031】
表IIのVS値をすべて有する(または示す)一方で、増強された色コントラストも保持して優位であるランプを作ることも、低色温度の実施形態の範囲である。たとえば、当業者であれば、表IIのパラメータ内のCQSのすべてのマンセル色見本に対する彩度差値を示す光を有するようにランプを適応させ、選択し、または作製することができる。前述したことはすべて、本開示の優位性から得られる利益である。
【0032】
開示の別の特定の実施形態は、作動時に約4500ケルビン〜約7500ケルビンの相関色温度を示すランプに向けられている。ランプは作動時に、表IIIのパラメータから選択されるCQSの色見本に対する彩度差値を有する光を発生させる。これは、本明細書において中間色温度の実施形態と言う。
【0033】
【表3】

【0034】
前述したCCTのランプは、表IIIの入力の通りに示すVS値内にある彩度差値を有する光を発生させるという条件で、中間色温度の実施形態に合致する。
【0035】
表IIIのVS値をすべて有する(または示す)一方で、増強された色コントラストも保持して優位であるランプを作ることも中間色温度の実施形態の範囲である。たとえば、当業者であれば、表IIIのパラメータ内のCQSのすべてのマンセル色見本に対する彩度差値を示す光を有するようにランプを適応させ、選択し、または作製することができる。前述したことはすべて、本開示の優位性から得られる利益である。
【0036】
開示のさらに別の特定の実施形態は、作動時に約7500ケルビン〜約20000ケルビンの相関色温度を示すランプに向けられている。ランプは作動時に、表IVのパラメータから選択されるCQSの色見本に対する彩度差値を有する光を発生させる。これは、本明細書において高色温度の実施形態と言う。
【0037】
【表4】

【0038】
前述したCCTのランプは、表IVの入力の通りに示すVS値内にある彩度差値を有する光を発生させるという条件で、高色温度の実施形態に合致する。
【0039】
表IVのVS値をすべて有する(または示す)一方で、増強された色コントラストも保持して優位であるランプを作ることも高色温度の実施形態の範囲である。たとえば、当業者であれば、表IVのパラメータ内のCQSのすべてのマンセル色見本に対する彩度差値を示す光を有するようにランプを適応させ、選択し、または作製することができる。前述したことはすべて、本開示の優位性から得られる利益である。
【0040】
ある特定のより狭い実施形態においては、低色温度の実施形態のランプは、表Vに示す方法で選択されるCQSの色見本に対する彩度差値を有していても良い。
【0041】
【表5】

【0042】
ある特定のより狭い実施形態においては、中間色温度の実施形態のランプは、表VIに示す方法で選択されるCQSの色見本に対する彩度差値を有していても良い。
【0043】
【表6】

【0044】
ある特定のより狭い実施形態においては、高色温度の実施形態のランプは、表VIIに示す方法で選択されるCQSの色見本に対する彩度差値を有していても良い。
【0045】
【表7】

【0046】
通常、本発明の実施形態に対して(たとえば、低色温度、中間色温度、または高色温度ランプの実施形態に対して)、合計発光は、前述したように2つ以上の発光素子からの放出光の組み合わせとすることができる。いくつかのこのような実施形態に対して、発光素子の組み合わせには、ピーク発光が約590〜約670nmの範囲である赤色発光素子、ピーク発光が約500〜約570nmの範囲である緑色発光素子、およびピーク発光が約430〜約490nmの範囲である青色発光素子を含めることができる。
【0047】
当然のことながら、1つの素子が2つ以上の色の光を発することも可能である。たとえば、単一素子が、前述の範囲内にある緑色および赤色光の両方を発しても良く、また青色発光素子と組み合わせて、本発明の実施形態による白色合計発光を形成するように組み合わせることができる。さらに、当然のことながら、ランプ内に3つを超える素子、たとえば4つの素子があって、赤色、琥珀色、緑色、および青色領域の光をそれぞれ発しても良い。さらにまた、4つ以上の素子があって、赤色、緑色、青緑色、および青色領域の光を発しても良い。特定の実施形態においては、ランプは、ピーク発光が約590〜約670nmの範囲である赤色発光素子、ピーク発光が約500〜約570nmの範囲である緑色発光素子、およびピーク発光が約430〜約490nmの範囲である青色発光素子を含んでいても良く、これらに加えて、ピーク発光が約530〜約560nmの範囲である第2の緑色発光素子も含んでいても良い。
【0048】
合計発光によって発すべき実質的に白く見える光を得るための当該分野における技量のレベル内にある素子の並べ替えはすべて、それらが所定の演色品質を示すならば、開示の実施形態の範囲内であると考えるべきである。
【0049】
前述のピーク発光のそれぞれに対して、通常はピーク幅が存在する。たとえば、前記赤色発光素子、前記緑色発光素子、および前記青色発光素子に対するピーク発光のそれぞれに対して、約1〜約100nmの半値幅が存在する。当然のことながら、このピーク幅の範囲は、素子のすべての組み合わせ(たとえば、以前に示したRGBの組み合わせ)に対して適用可能である。より具体的には、半値幅は約1〜約50nmの範囲であっても良く、さらにより具体的には、半値幅は約1〜約20nmの範囲であっても良い。たとえば、第2の緑色発光素子を用いる場合、そのピーク発光に対するピーク幅の半値幅は約1〜約20nmであっても良い。
【0050】
前述したように、合計放射光は、赤色、緑色、青色発光素子、および任意的に第2の緑色発光素子からの組み合わせであっても良い。ある実施形態においては、これらの素子は、従来知られているように作動時に光を発する蛍光体であっても良い。一般的に、赤色発光蛍光体は、Y23:Eu;3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B510:Ce,Mn;(Sr,Mg)3(PO42:Sn2+;Y(V,P)O4:Euなどから選択される1または複数を含んでいても良い。
【0051】
一般的に、緑色発光蛍光体は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO4:Ce,Tb;Zn2SiO4:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;(Ce,La)(Mg,Mn)Al1119;SrAl1219:Mn2+などから選択される1または複数を含んでいても良い。第2の緑発光蛍光体を用いる場合も、第2の緑発光蛍光体が第1の緑発光蛍光体とは異なるならば、前述したものから選択しても良い。一般的に、青色発光蛍光体は、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr、Ba、Ca、Mg)5(PO4)3Cl:Eu2+;Sr4Al14O25:Eu2+などから選択される1または複数を含んでいても良い。
【0052】
前述の蛍光体では、コロンに続く元素は活性剤を表わしている。本明細書で説明した任意の色の種々の蛍光体は、括弧内に入れられてコンマで区切られた異なる元素を有することができる。たとえば(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+蛍光体の場合である。当業者であれば分かるように、表記法(A,B,C)は(Axyz)を示している。ここで、0≦x≦1および0≦y≦1および0≦z≦1ならびにx+y+z=1である。たとえば、(Sr,Ca,Ba)は(SrxCayBaz)を示し、ここで、0≦x≦1および0≦y≦1および0≦z≦1ならびにx+y+z=1である。通常は、しかしいつもとは限らないが、x、y、およびzはすべて非ゼロである。表記法(A,B)は(Axy)を示し、ここで、0≦x≦1および0≦y≦1ならびにx+y=1である。通常は、しかしいつもとは限らないが、xおよびyは両方とも非ゼロである。
【0053】
次に、図1を参照して、蒸気放電蛍光ランプ1の典型的な実施形態を示す。当然のことながら、種々の蛍光ランプを本発明とともに用いても良い。たとえば、片端式または両端式ランプ、曲線状または直線状ランプ、および無電極ランプである。このようなランプは低圧または高圧であっても良く、水銀蒸気を充填物として含んでいても良いし、水銀フリーであっても良いが、(この典型的な実施形態においては)放電を支援する蒸気を含んでいる。蛍光ランプ1は、ガラスまたは他の好適な材料から形成される光透過性のチューブまたはエンベロープ6を有している。エンベロープ6は円形断面であっても良い。ガラス・エンベロープ6の内面(具体的には図示せず)には、蛍光体含有層7が設けられている。ランプは通常、ベース2によって密閉封止されている。ベース2は、チューブの端部にそれぞれ取り付けられている。通常、2つの離間配置された電極5がベース2上にそれぞれ取り付けられて、ステム4によって支持することができるようになっている。電極5には通常、電気ソケット内に収容されたピン3によって電流が流される。放電維持充填物8(水銀および不活性ガスから形成しても良い)が、ガラス管の内部に封止されている。不活性ガスは通常、低圧のアルゴンまたはアルゴンと他の希ガスとの混合物であり、少量の水銀と組み合わせて、低蒸気圧の動作方法を実現する。
【0054】
蛍光体含有層7を、前述したように低圧水銀蒸気放電ランプ内で用いることができるが、高圧水銀蒸気放電ランプまたは水銀フリー・ランプ内で用いても良い。これは、当該技術分野で知られるような電極を有する蛍光ランプ内で用いても良いだけでなく、当該技術分野で知られるような無電極の蛍光ランプ内で用いても良い。無電極の蛍光ランプでは、放電を起こすための手段は、高周波の電磁エネルギーまたは放射を与える構造である。
【0055】
当該技術分野で知られるように、蛍光体によって、蛍光体に当たる光の波長スペクトルが変化するため、ランプの発光スペクトルを調整することができる。無用な光(たとえばスペクトルのUV範囲の光)を、可視範囲の有用な光に変換することができる。蛍光体含有層7は、所望の色品質を実現するように選択された蛍光体粒子の混合を含んでいる。一般的に、蛍光体混合物を特徴付ける蛍光体はスペクトルが離れているため、スペクトルのピークに色がマッチする物体の良好な演色が得られるが、スペクトルのピーク間に色がある物体の演色ほどではない。相補的なスペクトルを有する蛍光体を組み合わせることによって、スペクトル全体に渡って良好な演色が実現される場合がある。
【0056】
蛍光体層7の蛍光体組成物中で用いる個々の蛍光体材料量は、所望の色スペクトルおよび/または色温度に応じて変わる。蛍光体材料の相対量は、そのスペクトル重みによって記述することができる。すなわち、スペクトル重みは、各蛍光体材料が発光スペクトル全体に与える量である。当然のことながら、当業者であれば分かるように、同様の発光スペクトルを有する他の蛍光体化合物を、本明細書で説明した蛍光体組成物中で用いても良い。蛍光体層7を構成する各蛍光体の重量パーセントは、所望の光出力の特性に応じて変えても良い。
【0057】
代替的な実施形態においては、本開示のランプを、折り畳まれたかまたは包まれたトポロジの電球形蛍光ランプ(CFL)にして、ランプの全長がガラス管の折り畳まれていない長さよりもはるかに短くなるようにしても良い。
【0058】
本発明のさらなる理解を容易にするために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例として示すものであり、限定ではない。
実施例
実施例1
F32T8蛍光ランプを、以下のものを含む蛍光体層を用いて構成した。酸化イットリウム:Eu(Y23:Eu)(YEO);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+(BAM)および(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn)。この実施例および本発明の他の実施例で説明する本発明の蛍光体の組み合わせとは別に、F32T8タイプのランプの構造詳細および製造方法は、当該分野において一般的に知られている。前述の3つの蛍光体の重量パーセント(蛍光体を組み合わせた全重量に基づく)はそれぞれ、40.00重量%、31.00重量%、および29.00重量%であった。ランプは、ガラス・エンベロープと蛍光体層との間にバリア層を含んでいた。図2に、この実施例のランプに対する発光スペクトルを示す。他の蛍光ランプ・タイプの場合には、本質的に等価なスペクトルが得られるはずであることに注意されたい。作動時に、ランプからは、CCTが約17636Kで、次の色度座標(x,y):(0.2585,0.2625)の光が発生した。その動作ルーメン/ワット(LPW)値は約62.4で、そのCRIのRa値は73.5であった。CQSシステムにおけるそのQa総計値は76であった。このランプからの光は、以下に示す表XIの第2の列に示すようなCQSシステムの15の色見本のそれぞれに対する彩度差値を示した。
【0059】
【表11】

【0060】
実施例2
別のF32T8蛍光ランプを、酸化イットリウム:Eu(Y23:Eu)(YEO);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+(BAM);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+(BAMn);および加えて、LaPO4:Ce,Tb(LAP)を含む蛍光体層を用いて構成した。4つの蛍光体の重量パーセント(蛍光体の全重量に基づく)はそれぞれ、33.00重量%、34.40重量%、17.60重量%および15.00重量%であった。ランプは、ガラス・エンベロープと蛍光体層との間にバリア層を含んでいた。図3に、この実施例のランプに対する発光スペクトルを示す。他の蛍光ランプ・タイプの場合には、本質的に等価なスペクトルが得られるであろう。作動時に、ランプからは、CCTが約17952Kで、次の色度座標(x,y):(0.2598,0.2600)の光が発生した。その動作ルーメン/ワット(LPW)値は約65.1で、そのCRIRa値は85.0であった。CQSシステムにおけるそのQa総計値は89であった。このランプからの光は、上表XIの第3の列に示すようなCQSシステムの15の色見本のそれぞれに対する彩度差値を示した。
【0061】
比較例1
この比較例では、典型的なF32T8蛍光ランプを構成したが、今回は、通常使用されているタイプの従来の「三リン(triphosphor)」層組成物を、比較的高いCCTにおいて用いている。それを用いて、比較するための基準線を得た。このランプは、以下のものを含む三リン層を用いて構成した。酸化イットリウム:Eu(Y23:Eu)(YEO);(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+(BAM);およびLaPO4:Ce,Tb(LAP)。蛍光体の重量パーセント(蛍光体の全重量に基づく)はそれぞれ、21.00重量%YEO、38.00重量%BAM、および41.00重量%LAPであった。作動時に、ランプからは、光CCTが約17993Kで、次の色度座標(x,y):(0.2610,0.2585)の光が発生した。その動作ルーメン/ワット(LPW)値は約71.7で、そのCRIRa値は82.0であった。CQSシステムにおけるそのQa総計値は76であった。このランプからの光は、上表XIの第4の列に示すようなCQSシステムの15の色見本のそれぞれに対する彩度差値を示した。
【0062】
一方で実施例1および2のランプと他方で比較例1のランプとの間の1つの重要な区別する特徴は、目標とする個人のグループが、比較例1の従来の三リンランプによる照明と比較して、実施例1および2のランプによる演色が優れていると報告したことである。3つのランプはすべて、CRIおよびCQSシステムにおけるRaおよびQa総計値が相対的に高かったにもかかわらず、それでもやはり違いは見た目に明らかであった。これは、ある特定のCQSカラー・チップに対する本発明のVS値に起因するものであり、チップはそれらの比較的高い色調飽和度に対して選択される。
【0063】
さらなる例
下表XIIにおいて、CCT5000Kに対する典型的な蛍光体混合に対する配合を説明する。また比較例での5000KのCCTにおける従来の三リン混合についても説明する。
【0064】
【表12】

【0065】
上表XIIにおいて、実施例3および4に対するVS値は、前述した中間色温度の実施形態に対する範囲に入る。
【0066】
下表XIIIにおいて、CCT3500Kに対する典型的な蛍光体混合に対する配合と、CCT3500Kにおける従来の三リン混合の比較例とについて説明する。
【0067】
【表13】

【0068】
上表XIIIにおいて、実施例5および6に対するVS値は前述した低色温度の実施形態に対する範囲に入る。
【0069】
本明細書で説明した演色アプローチを用いることによって、物体がより魅力的または自然に見えるようにする光を発するように、ランプを作製および/または適合させることができると考えられる。特に、このような利益を得る場合がある物体の中には、木材色、木目色、および肌の色を有するものが含まれる。さらに、理論に制限されるものではないが、現時点で考えられるのは、本開示の実施形態によるランプは、このようなランプが実質的な青成分を発する場合には、睡眠周期に関して人体に効果を及ぼすことができる場合があるということである。
【0070】
実施例では蛍光体を発光素子として用いることを示しているが、当業者であれば、ランプを(本明細書で開示した発光素子の任意の組み合わせを用いて)、同じCQS演色特性を有するように構成または適合させることが、これらの実施例により作製したランプのスペクトルのパターンを確かめることによって可能である。前述の実施例で説明した本発明の混合における蛍光体のスペクトルにマッチする発光素子が選ばれるであろう。
【0071】
本明細書で用いる場合、変化する場合がある任意の定量的な表現を、それが関係する基本機能の変化をもたらすことなく変更するために、近似言語を適用しても良い。したがって、「約」および「実質的に」などの用語によって変更される値は、場合によっては、特定される正確な値に限定されない場合がある。数量と関連して用いられる修飾語「約」は、記載値を含むとともに、その意味は文脈によって決定される(たとえば、特定の数量の測定値に付随する程度の誤差を含む)。「任意的な」または「任意的に」の意味は、その後に記載される事象もしくは状況が起きても良いし起きなくても良いか、またはその後に識別される材料が存在していても良いし存在していなくても良いということ、および記載には、事象もしくは状況が起きるかまたは材料が存在する場合と、事象も状況も起きないかまたは材料が存在していない場合とが含まれるということである。単数形「a」、「an」および「the」には、他の場合に文脈によって明らかに決定される場合を除いて、複数の指示対象が含まれる。本明細書に開示した範囲はすべて、説明した端点を含み、独立に結合可能である。
【0072】
本発明を限られた数の実施形態に関してのみ詳細に説明してきたが、本発明はこのような開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ、これまで説明してはいないが本発明の趣旨および範囲に見合う任意の数の変形、変更、置換、または等価な配置を取り入れるように、本発明を変更することができる。さらに加えて、本発明の種々の実施形態について説明してきたが、本発明の態様には、説明した実施形態の一部のみが含まれる場合があることを理解されたい。したがって本発明は、前述の説明によって限定されると考えるべきではなく、添付の請求項の範囲のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動時に約3000ケルビン〜約4500ケルビンの相関色温度を示す、色品質尺度が向上したランプであって、
作動時に光放射を行なう少なくとも1つの発光素子を含み、
前記ランプは作動時に、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS1に対して−5〜2、
VS2に対して−2〜5、
VS3に対して−5〜0、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS4に対して−2.5〜8、
VS5に対して−2〜15、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS6に対して0〜21、
VS7に対して3〜22、
VS8に対して2〜7、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS9に対して−6〜5.5、
VS10に対して−4〜5、
VS11に対して−4〜2、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS12に対して−0.5〜5、
VS13に対して1〜12、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS14に対して−7〜4、
VS15に対して−7〜7、
のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させ、
前記彩度差値はCIELAB空間において測定され、ただしランプは白熱発光素子を含まないランプ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの発光素子は、蛍光体、蒸気放電、または高輝度放電のうちの1つである請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
2つ以上の発光素子の組み合わせであって、ピーク発光が約590〜約670nmの範囲である赤色発光素子、ピーク発光が約500〜約570nmの範囲である第1の緑色発光素子、およびピーク発光が約430〜約490nmの範囲である青色発光素子を含む組み合わせを含み、
単一の発光素子は1または複数の色を発する場合があり、
任意的に、琥珀色発光素子および青緑色発光素子の少なくとも一方をさらに含む請求項1に記載のランプ。
【請求項4】
前記赤色発光素子、前記第1の緑色発光素子、および前記青色発光素子に対するピーク発光はそれぞれ半値幅が約1〜約100nmである請求項3に記載のランプ。
【請求項5】
前記組み合わせは、前記第1の緑色発光素子とは異なる第2の緑色発光素子であって、ピーク発光が約530〜約560nmの範囲であり、半値幅が約1〜約20nmである第2の緑色発光素子をさらに含む請求項3に記載のランプ。
【請求項6】
前記赤色発光素子は、
23:Eu;3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B510:Ce,Mn;(Sr,Mg)3(PO42:Sn2+;およびY(V,P)O4:Euからなる群から選択される蛍光体を含む請求項3に記載のランプ。
【請求項7】
前記第1の緑色発光素子は、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO4:Ce,Tb;Zn2SiO4:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;(Ce,La)(Mg,Mn)Al1119;およびSrAl1219:Mn2+からなる群から選択される蛍光体を含む請求項3に記載のランプ。
【請求項8】
前記青色発光素子は、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr,Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu2+;およびSr4Al1425:Eu2+からなる群から選択される蛍光体を含む請求項3に記載のランプ。
【請求項9】
前記ランプは、蛍光ランプ、高輝度放電ランプ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載のランプ。
【請求項10】
前記ランプは、光透過性エンベロープと前記エンベロープの内部に封止された充填ガスとを含む蛍光ランプであり、前記発光素子の少なくとも1つは蛍光体である請求項9に記載のランプ。
【請求項11】
前記ランプは、OLEDおよびLEDのうちの1または複数によって補足された、蛍光ランプ、蒸気放電ランプ、またはHIDランプの組み合わせである請求項1に記載のランプ。
【請求項12】
前記ランプは作動時に、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS1に対して−5〜2、
VS2に対して−2〜5、
VS3に対して−4〜−1、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS4に対して−2.5〜6、
VS5に対して−2〜13、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS6に対して1〜20、
VS7に対して3〜21、
VS8に対して2〜7、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS9に対して−6〜5、
VS10に対して−4〜4、
VS11に対して−4〜2、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS12に対して0〜4、
VS13に対して2〜10、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS14に対して−6〜2、
VS15に対して−7〜6、
のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させる請求項1に記載のランプ。
【請求項13】
作動時に約4500ケルビン〜約7500ケルビンの相関色温度を示し、色品質尺度が向上したランプであって、
作動時に光放射を行なう少なくとも1つの発光素子を含み、
前記ランプは作動時に、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS1に対して−5〜2、
VS2に対して−2〜4、
VS3に対して−5〜3、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS4に対して−2〜5、
VS5に対して−2〜15、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS6に対して0〜20、
VS7に対して1〜22、
VS8に対して2〜8、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS9に対して−5.5〜5.5、
VS10に対して−5〜4、
VS11に対して−4〜1、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS12に対して−1.5〜6、
VS13に対して0.5〜12、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS14に対して−5〜6、
VS15に対して−5.5〜5、
のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させ、
前記彩度差値はCIELAB空間において測定され、ただしランプは白熱発光素子を含まないランプ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの発光素子は、蛍光体、蒸気放電、または高輝度放電のうちの1つである請求項13に記載のランプ。
【請求項15】
2つ以上の発光素子の組み合わせであって、ピーク発光が約590〜約670nmの範囲である赤色発光素子、ピーク発光が約500〜約570nmの範囲である第1の緑色発光素子、およびピーク発光が約430〜約490nmの範囲である青色発光素子を含む組み合わせを含み、
単一の発光素子は1または複数の色を発する場合があり、
任意的に、琥珀色発光素子および青緑色発光素子の少なくとも一方をさらに含む請求項13に記載のランプ。
【請求項16】
前記赤色発光素子、前記第1の緑色発光素子、および前記青色発光素子に対するピーク発光はそれぞれ、半値幅が約1〜約100nmである請求項15に記載のランプ。
【請求項17】
前記組み合わせは、前記第1の緑色発光素子とは異なる第2の緑色発光素子であって、ピーク発光が約530〜約560nmの範囲であり、半値幅が約1〜約20nmである第2の緑色発光素子をさらに含む請求項15に記載のランプ。
【請求項18】
前記赤色発光素子は、
23:Eu;3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B510:Ce,Mn;(Sr,Mg)3(PO42:Sn2+;およびY(V,P)O4:Euからなる群から選択される蛍光体を含む請求項15に記載のランプ。
【請求項19】
前記第1の緑色発光素子は、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO4:Ce,Tb;Zn2SiO4:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;(Ce,La)(Mg,Mn)Al1119;およびSrAl1219:Mn2+からなる群から選択される蛍光体を含む請求項15に記載のランプ。
【請求項20】
前記青色発光素子は、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr,Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu2+;およびSr4Al1425:Eu2+からなる群から選択される蛍光体を含む請求項15に記載のランプ。
【請求項21】
前記ランプは、蛍光ランプ、高輝度放電ランプ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項13に記載のランプ。
【請求項22】
前記ランプは、光透過性エンベロープと前記エンベロープの内部に封止された充填ガスとを含む蛍光ランプであり、前記発光素子の少なくとも1つは蛍光体である請求項21に記載のランプ。
【請求項23】
前記ランプは、蛍光ランプ、蒸気放電ランプ、またはHIDランプの組み合わせであり、OLEDおよびLEDのうちの1または複数によって補足される請求項13に記載のランプ。
【請求項24】
前記ランプは作動時に、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS1に対して−5〜0、
VS2に対して−2〜4、
VS3に対して−4.5〜2、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS4に対して−2〜5、
VS5に対して−2〜13、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS6に対して1〜20、
VS7に対して2〜21、
VS8に対して2〜8、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS9に対して−5.5〜5、
VS10に対して−5〜3、
VS11に対して−4〜1、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS12に対して−0.5〜4、
VS13に対して1〜10、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS14に対して−4〜4、
VS15に対して−5〜3、
のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させる請求項13に記載のランプ。
【請求項25】
作動時に約7500ケルビン〜約20000ケルビンの相関色温度を示す、色品質尺度が向上したランプであって、
作動時に光放射を行なう少なくとも1つの発光素子を含み、
前記ランプは作動時に、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS1に対して−2〜2、
VS2に対して0〜5、
VS3に対して−5〜5.5、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS4に対して−2.5〜4、
VS5に対して−3〜15、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS6に対して1〜22、
VS7に対して0〜23、
VS8に対して4〜11、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS9に対して−4.5〜6、
VS10に対して−4〜5、
VS11に対して−4〜1、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS12に対して−1.5〜6、
VS13に対して1〜13、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS14に対して−3〜7、
VS15に対して−3〜8、
のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させ、
前記彩度差値はCIELAB空間において測定され、ただしランプは白熱発光素子を含まないランプ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの発光素子は、蛍光体、蒸気放電、または高輝度放電のうちの1つである請求項25に記載のランプ。
【請求項27】
2つ以上の発光素子の組み合わせであって、ピーク発光が約590〜約670nmの範囲である赤色発光素子、ピーク発光が約500〜約570nmの範囲である第1の緑色発光素子、およびピーク発光が約430〜約490nmの範囲である青色発光素子を含む組み合わせを含み、
単一の発光素子は1または複数の色を発する場合があり、
任意的に、琥珀色発光素子および青緑色発光素子の少なくとも一方をさらに含む請求項25に記載のランプ。
【請求項28】
前記赤色発光素子、前記第1の緑色発光素子、および前記青色発光素子に対するピーク発光はそれぞれ半値幅が約1〜約100nmである請求項27に記載のランプ。
【請求項29】
前記組み合わせは、前記第1の緑色発光素子とは異なる第2の緑色発光素子であって、ピーク発光が約530〜約560nmの範囲であり、半値幅が約1〜約20nmである第2の緑色発光素子をさらに含む請求項27に記載のランプ。
【請求項30】
前記赤色発光素子は、
23:Eu;3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+;Gd(Zn,Mg)B510:Ce,Mn;(Sr,Mg)3(PO42:Sn2+;およびY(V,P)O4:Euからなる群から選択される蛍光体を含む請求項27に記載のランプ。
【請求項31】
前記第1の緑色発光素子は、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+,Mn2+;LaPO4:Ce,Tb;Zn2SiO4:Mn;(Ce,Tb)MgAl1119;(Ce,Tb)(Mg,Mn)Al1119;(Ce,La)(Mg,Mn)Al1119;およびSrAl1219:Mn2+からなる群から選択される蛍光体を含む請求項27に記載のランプ。
【請求項32】
前記青色発光素子は、
(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu2+;(Sr,Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu2+;およびSr4Al1425:Eu2+からなる群から選択される蛍光体を含む請求項27に記載のランプ。
【請求項33】
前記ランプは、蛍光ランプ、高輝度放電ランプ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項25に記載のランプ。
【請求項34】
前記ランプは、光透過性エンベロープと前記エンベロープの内部に封止された充填ガスとを含む蛍光ランプであり、前記発光素子の少なくとも1つは蛍光体である請求項33に記載のランプ。
【請求項35】
前記ランプは、蛍光ランプ、蒸気放電ランプ、またはHIDランプの組み合わせであり、OLEDおよびLEDのうちの1または複数によって補足される請求項25に記載のランプ。
【請求項36】
前記ランプは作動時に、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS1に対して−2〜2、
VS2に対して0〜5、
VS3に対して−4〜4、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS4に対して−1.5〜3、
VS5に対して−1〜13、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS6に対して1〜20、
VS7に対して3〜21、
VS8に対して4〜11、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも2つの色見本が、
VS9に対して−3.5〜5、
VS10に対して−3〜5、
VS11に対して−4〜1、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS12に対して−1〜5、
VS13に対して2〜12、
のパラメータ内にあり、
CQSの少なくとも1つの色見本が、
VS14に対して−3〜6、
VS15に対して−3〜3、
のパラメータ内にあるような彩度差値を有する合計発光を伴う光を発生させる請求項25に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−506615(P2012−506615A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533202(P2011−533202)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/055806
【国際公開番号】WO2010/047886
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】