説明

高血圧治療のための薬剤の製造における塩酸の適用

高血圧の治療のための薬剤の製造における塩酸の使用が開示されている。ここにおいて、薬剤は、特に、塩酸を含有する水溶液であり、該水溶液のpHは3から6.7である。本発明に従って製造された薬剤は高血圧を安全に治療し、確実で明白な効果を有し、高血圧患者の動脈硬化症を改善する。そして、人体に対し有害なカルシウム塩を人体に必要なカルシウムに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結石症及び高血圧の治療のための薬剤の製造における塩酸(HCl)の適用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの高血圧には多くの要因が関与している、例えば素質、内分泌異常及び不適切な食生活等である。高血圧を治す方法を見つけるのは困難である。そこで、医学界は、高血圧は治すことはできず、患者は生涯抗高血圧剤を取り続ける必要があると考えている。現在、高血圧治療に用いられている全ての薬剤及び器具は、動脈血管の拡張を目的としており、反復される拡張により血管の老化が促進される。さらに悪いことに、血管の拡張により血管壁から剥がれ落ちる堆積物が心筋梗塞を引き起こす。
【0003】
高血圧が遺伝性であるならば、新生児は高血圧患者ということになるが、このような新生児はほとんど見つかっていない。高血圧が不適切な食生活によって引き起こされるとしても、かれらのそれまでの食生活の変更によって完治した患者は一人もいなかった。これらの事実は、高血圧を患っている患者は生涯抗高血圧剤を取り続ける必要があるという考え方を否定する。一方、高血圧が、老化し硬化した動脈血管によって引き起こされるとしたら、薬剤や器具の使用だけでは、血管を拡張することはできない。したがって、高血圧が、老化し硬化した動脈血管によって引き起こされるという考え方は受け入れがたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高血圧治療のための薬剤の製造において塩酸を使用することである。
【0005】
本発明の発明者は、長年の努力の結果、高血圧のメカニズムが以下のようであることを発見した。
【0006】
1) 水中及び食物中の重炭酸カルシウムが分解して、炭酸カルシウム及び蓚酸カルシウムのような結合物を生成する。結合物は、(コレステロールの結晶のような)ヒトの代謝物並びに、人体の中へ進入し、動脈及び毛細血管の内壁の上に達する他の固形物質に付着することができる。加齢に伴い、内壁の上の付着物質は段々厚くなり、血管の内径は段々狭くなり、血流を妨げ、血圧を上昇させる。
さらに、炭酸カルシウム及び蓚酸カルシウムの腎臓、肝臓及び胆嚢への沈着が腎結石、肝結石及び胆石となる。
【0007】
2) 血管の内壁に付着した物質は、血管の柔軟性を減少させ、血圧の自己調節の邪魔をする。
【0008】
3) 血管の内壁への物質の長期の付着は、知らない間に血管を破壊し、血管の柔軟性を減少させる。
【0009】
したがって、もし血管の内壁に付着した物質を溶解することができれば、血圧は正常に回復することができる。付着した物質を溶解するためには、炭酸カルシウム及び蓚酸カルシウムを溶解し、他の小粒子を遊離し、排出させる必要がある。本発明の発明者は、炭酸カルシウム及び蓚酸カルシウムを溶解するためには塩酸が最適物質であることを発見した。一方、塩酸は血管の保護膜である内壁に吸着し、損傷した血管を修復し、血管のもともとの柔軟性を回復する。
【0010】
さらに、本発明の発明者は、塩酸が腎結石、肝結石及び胆石を溶解し、結石徴候を軽減し又は除去することができることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、抗高血圧薬の製造への塩酸の適用方法が提供される。
【0012】
他の好ましい実施形態として、該水溶液のpHは3から6.9(好ましくは4から6.5)の範囲である。
【0013】
他の好ましい実施形態として、該水溶液のpHは6.5から6.9の範囲である。
【0014】
他の好ましい実施形態として、該薬剤は経口用製剤の形態である。
【0015】
他の好ましい実施形態として、該薬剤は注射用製剤の形態である。
【0016】
他の好ましい実施形態として、該薬剤はそのpHが3から6.9(好ましくは4から6.5)である塩酸の水溶液であり、その水溶液は飲料水としての規格に適合する。
【0017】
他の好ましい実施形態として、該薬剤はそのpHが3から6.9である塩酸の水溶液であり、その水溶液は、該pH域において安定である追加の抗高血圧剤を含有する。
【0018】
本発明の他の態様によれば、高血圧の治療方法、すなわち、pHが3から6.9である塩酸の水溶液100から3000mlを0.5から6年間、毎日患者に投与する方法を提供する。
【0019】
好ましくは、水溶液のpH域は4から6.5又は6.5から6.9である。
【0020】
本発明の他の態様によれば、一種の抗高血圧製剤を提供する、この製剤はpHが3から6.9である塩酸の水溶液であり、該水溶液は、該pH域において安定である追加の抗高血圧剤を含有する。
【0021】
他の好ましい実施形態として、追加の抗高血圧剤は、アムロジピン(Amlodipine)、ベナゼプリル(Benazepril)、カプトプリル(Captopril)、クロニジン(Clonidine)、エナラプリラート(Enalaprilat)、フェロジピン(Felodipin)、グアナゾジン(Guanazodine)、インダニジン(Indanidine)、インダパミド(Indapamide)、ミノキシジル(Minoxidil)、ニトレンジピン(Nitrendipine)、ペリンドプリル(Perindopril)、プロロキサン(Proroxan)、レセルピリン(Reserpiline)、トリモキサミン(Trimoxamine)、トリパミド(Tripamide)、ウチバプリル(Utibapril)、ザビシプリラート(Zabiciprilat)あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択されるが、これらに限定されるわけではない。
【0022】
好ましくは、該製剤は注射用製剤である。
【0023】
本発明のさらなる他の態様によれば、本発明は結石症治療薬の製造へ塩酸を提供する。
【0024】
他の好ましい実施形態として、結石病は、腎結石、肝結石又は胆石からなる群から選択される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の該薬剤は、高血圧又は結石症の治療薬を製造するために塩酸を使用する本発明において、通常は塩酸を含む水溶液であり、水溶液のpHは、3から6.9(好ましくは4から6.5)の範囲である。中国の国家規格は、飲料水のpHが6.5から8.5であることを要求しており、上記水溶液のpHを6.5から6.9の間に調整した場合には、塩酸を含む水溶液を食用塩酸水として直接飲用することができることを示している。
【0026】
該薬剤は、経口用製剤、注射用製剤又は他の製剤形として製造することができる。塩酸水溶液の経口摂取は、高血圧又は結石症の治療のために使用される場合には、毎日1500mlよりも多くなければならない。1日量を3から6回に分けて服用し、治療期間は3から6ヶ月である。該溶液が高血圧治療のために注射される場合には、推奨1日量は500mlであり、2回に分けて静脈投与され、治療期間は2から3ヶ月である。上記方法と投与量が高血圧治療のために採用された場合には、1年後には投与量は1/4減少させることができ、2年後には1/2にすることができる。3年後には、患者は単に維持投与量を必要とし、抗高血圧剤の摂取から解放され、正常血圧を維持するようになる。
【0027】
経口投与用塩酸水溶液は次の方法により人工的に製造される。塩酸を飲料水に注ぎ、均一に攪拌する、殺菌のために容器に充填する前に厳密にpHをテストする。pHを4から6.9の間に維持する。食用塩酸水溶液の場合は、pHは6.5から6.9の間に制御されなければならない。
【0028】
工業的な見地からは、該塩酸水溶液は、pH制御装置を用いて、連続的に、また安定的に大量生産することができる。
【0029】
塩酸注射用製剤は、注射液のpHを3から6.9(好ましくは4から6.5)の間に制御するならば、通常の製薬的方法で製造することができる。
【0030】
塩酸水を製造するために水道水が用いられる場合には、生産ラインの最初の部分には、国家飲料水規格に適合する注入水を確保するために、水精製装置を設置しなければならない。
【0031】
高血圧を治療するために、本発明の該塩酸は、単に要求されたpHに制御される限り、上記の通常の方法により、生理食塩水、グルコース溶液、及び飲料のような他の溶液に適用されてもよい。
【0032】
本発明で記載された食用塩酸水は、加熱により塩酸が蒸発し、そのため薬効が失われるので、飲用のために加熱してはならない。結合性物質を含む飲料及びお茶は、塩基性物質が塩酸を中和するので、避ける必要がある。
【0033】
高血圧に対する塩酸の薬効を実証するために、本発明は126人の高血圧患者に塩酸水溶液を服用させて、臨床的観察をした。これらの患者は87人の男性及び39人の女性を含んでいた。平均年齢は68.2歳であり、51から81歳の間であった。
【0034】
実験結果は以下のようであった。89人の患者は抗高血圧剤とともに塩酸水とくに食用塩酸水を服用することにより治癒した。30人の患者は、塩酸水の飲用とともに抗高血圧剤の半分量を摂取することにより正常血圧に回復した。7人の患者は、食用塩酸水を2年間飲用した後、正常血圧になった。塩酸水を服用する前は、塩酸水を服用する時と同じ抗高血圧剤を服用しても正常血圧にはならなかった。
【0035】
本発明では、腎結石、肝結石及び/又は胆石を患っている患者についても観察し、塩酸水の服用が結石徴候の減少又は除去に役立っていることが解った。
【0036】
本発明に記載されている、塩酸から製造される、高血圧又は結石症の治療のための薬剤は安全であり、信頼性があり、信憑性がありまた明白な効果を有する。これらはまた、硬化した動脈血管を有する高血圧患者に対し有意にその症状を軽減し、有害なカルシウム塩を人体が必要とするカルシウムに変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、次の実施例を引用して、本発明がより具体的に記載される。次の実施例は、例示の目的のためであり、発明の範囲を制限することを目的としていない。実験方法のための具体的条件を伴わない実施例には、公知の条件又は製造者によって示された条件が言及されうる。量又は百分率は、特記されていない限り、重量又は重量百分率を表す。
【実施例1】
【0038】
高度精製稀塩酸が飲料水に注がれ、均一に攪拌され、pHが6.5から7に厳密に制御される。この溶液は直接に経口的に摂取できる。
【実施例2】
【0039】
高度精製塩酸が飲料水に注がれ、2%稀塩酸溶液が作られる。この溶液が、流量制御器が設置された容器中に注がれる。塩酸溶液と飲料水がパイプを通して、特定の容量割合で混合され、パイプの終端部分にはpH検出器が設置される。塩酸水溶液のpHを6.5から6.9の範囲に保ち、食用塩酸水を得る。
【0040】
この食用塩酸水が16人の高血圧患者に、1日投与量2000mlで投与された。患者は、朝食及び昼食の1時間前に500mlずつ、そして夕食の前に1000mlを服用した。
【0041】
表1は、食用塩酸水服用後の高血圧の軽減を示している。
【表1】

【0042】
表1は、塩酸水溶液が高血圧治療における全有効率が100%であり、非常に有効であることを示している。
【実施例3】
【0043】
高度精製塩酸が飲料水に注がれ、2%稀塩酸溶液が作られる。この溶液が、流量制御器が設置された容器中に注がれる。塩酸溶液と飲料水がパイプを通して、特定の容量割合で混合され、パイプの終端部分にはpH検出器が設置される。塩酸水溶液のpHを4.0から6.5に保ち、食用塩酸水を得る。
【0044】
この食用塩酸水が結石症患者に、1日投与量2000mlで投与された。塩酸水のpHは6.5であった。患者は、朝食及び昼食の1時間前に500mlずつ、そして夕食の前に1000mlを服用した。塩酸水のpHが6.5よりも低いときは、容量を減量することができる。例えば、塩酸水のpHが5.0のときは、毎日の投与量が1000mlに減らされ、朝食及び昼食の1時間前に250mlずつ、そして夕食の前に500mlを服用した。
【0045】
表2及び3は、食用塩酸水の摂取後の結石症の軽減を示している。
【表2】

【表3】

【0046】
表2及び3は、腎結石、肝結石及び胆石の治療において、塩酸水が有意な効果を有することを示している。
【実施例4】
【0047】
塩酸水溶液と抗高血圧剤の複合製剤
市販のインダパミド1錠(2.5mg)をpH6.9の塩酸水溶液500mlに加え、塩酸とインダパミドを含む複合製剤を製造した。
同様にして、塩酸と抗高血圧剤を含む他の複合製剤が得られた。
【0048】
本明細書に記述されている全ての引例が、本明細書中に取り込まれ、個々の引用それぞれが、特定的にまた個別に記載されているのと同様に、引用によって取り込まれる。本発明の上記内容を考察した後、当業者であれば本発明の変形又は応用が可能であるが、それらは全て添付した請求の範囲の精神又は範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高血圧治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。
【請求項2】
抗高血圧薬剤が、塩酸を含有する水溶液であり、該水溶液のpHが3から6.9である、請求項1に記載された高血圧治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。
【請求項3】
該水溶液のpHが6.5から6.9である、請求項2に記載された高血圧治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。
【請求項4】
該抗高血圧薬剤が、経口用製剤の形態である、請求項2又は3に記載された高血圧治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。
【請求項5】
該抗高血圧薬剤が、注射用製剤の形態である、請求項2に記載された高血圧治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。
【請求項6】
該抗高血圧薬剤が、pHが3から6.9を有する塩酸水溶液であり、該pH域で安定な他の抗高血圧剤を含有する、請求項1に記載された高血圧治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。
【請求項7】
患者にpHが3から6.9の塩酸水溶液を毎日100から300ml、0.5から6年間投与する、高血圧の治療方法。
【請求項8】
pHが3から6.9の塩酸水溶液及び該pH域で安定な、アムロジピン、ベナゼプリル、カプトプリル、クロニジン、エナラプリラート、フェロジピン、グアナゾジン、インダニジン、インダパミド、ミノキシジル、ニトレンジピン、ペリンドプリル、プロロキサン、レセルピリン、トリモキサミン、トリパミド、ウチバプリル、ザビシプリラート又はこれらの組み合わせからなる群から選択される抗高血圧剤を含有する、抗高血圧製剤。
【請求項9】
結石症治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。
【請求項10】
該結石症が腎結石、肝結石、又は胆石からなる群から選択される、請求項9に記載された結石症治療のための薬剤の製造における塩酸の適用。

【公表番号】特表2008−532952(P2008−532952A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500030(P2008−500030)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000329
【国際公開番号】WO2006/094451
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507298474)
【Fターム(参考)】