説明

高誘電性フィルム形成用のコーティング組成物および高誘電性フィルム

【課題】高温での誘電損失の低減化を可能にし、かつ薄膜化が可能である高誘電性フィルム形成用のコーティング組成物を提供する。
【解決手段】(A)フィルム形成樹脂、(B)高誘電性無機粒子および(C)溶剤を含むコーティング組成物であって、(A)がセルロース系樹脂のみからなり、(B)が、MaTibc(Mは周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2)で示される複合酸化物粒子、M1a2bc(M1とM2は異なり、M1は周期表の2族金属元素、M2は周期表の第5周期の金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2)で示される複合酸化物粒子、および周期表の2族金属元素および4族金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも3種の金属元素を含む複合酸化物粒子よりなる群れから選ばれた少なくとも1種である高誘電性フィルム形成用コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばフィルムコンデンサの高誘電性フィルム形成用のコーティング組成物および該コーティング組成物から形成される高誘電性のフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチック絶縁体は、絶縁抵抗が高く、周波数特性に優れ、柔軟性にも優れるという特徴を有しているため、通信用、電子機器用、電力用、中・低圧進相用、インバータ用などのフィルムコンデンサや、圧電素子、焦電素子、転写体担持用誘電体などの膜材料として期待されている。
【0003】
フィルムコンデンサは通常、誘電性ポリマーフィルムの表面にアルミニウムまたは亜鉛を蒸着した構造のフィルム、またはアルミニウム箔と誘電性ポリマーフィルムを多層に積層したフィルムから構成されており、近年、金属蒸着により誘電性ポリマーフィルム上に電極を形成したものも多用されている。
【0004】
フィルムコンデンサ用フィルムの誘電性ポリマーとしては、誘電率の高いフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマーが検討されているが、フッ素系ポリマーは高価であるほか、誘電損失の温度特性などに課題がある。
【0005】
また、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイドなどの炭化水素系ポリマーも検討されているが、これらのフィルム単独では誘電率が2.3〜3程度しかない。
【0006】
フィルムコンデンサの容量は使用するフィルムの誘電率に比例し、フィルムの膜厚に反比例することが知られている。
【0007】
そこで、フィルムを薄膜化することが検討されてきたが、薄膜化しすぎると製膜が困難になるほか耐電圧の低下が認められるため、薄膜化には限界がある。
【0008】
近年、さらにフィルムコンデンサの小型化・大容量化が進み、コンデンサフィルムの更なる高誘電率化が強く求められてきている。
【0009】
コンデンサフィルムの高誘電率化の手段の1つとして、特に誘電率の高い無機粒子とポリマーを複合化し、フィルム化することが提案されている。
【0010】
この高誘電性無機粒子とポリマーの混合とフィルム化の方法として、(1)溶融混練法と(2)コーティング法が知られている。
【0011】
溶融混練法(1)は、ポリマーと高誘電性無機粒子をポリマーの溶融温度以上で混練したのち、溶融押出法またはインフレーション法によりフィルム化し、要すれば延伸処理を施す方法である。この方法にはポリフェニレンサルファイドやポリプロピレン、ポリエステルなどの炭化水素系ポリマーを用いるケース(特許文献1〜2)とフッ化ビニリデン系ポリマーを用いるケース(たとえば特許文献3〜5)が知られているが、ボイドが少なく薄膜化された高誘電率のフィルムの製造は難しい。
【0012】
コーティング法(2)は、ポリマーを溶剤に溶解し、これに高誘電性無機粒子を添加混合してコーティング組成物とし、コーティング法によりフィルムを製造する方法である。
【0013】
コーティング法(2)には芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、エポキシ樹脂などの耐熱性や機械的強度に優れる炭化水素系熱硬化性ポリマーまたは前躯体を使用するケース(特許文献6〜10)とフッ化ビニリデン系ポリマーを用いるケース(特許文献11)が知られている。
【0014】
炭化水素系熱硬化性ポリマーを使用する場合、機械的強度が高く薄いフィルムは製造可能であるが、フィルムの誘電損失が大きいほか、硬いフィルムとなり優れた巻付き性(可撓性)が要求されるフィルムコンデンサ用のフィルムとしては好適とはいえない。特に高誘電性無機粒子を添加混合した系は非常に硬く、その硬いという性質を活かしてエンベッディドキャパシタ用途に用いられている。
【0015】
また、ポリイミドの前躯体を使用する場合は200〜400℃で20分間という熱処理が必要になり、生産性が低下してしまう。
【0016】
フッ化ビニリデン系ポリマーを使用するケースでは、高誘電性無機粒子がフッ化ビニリデン系ポリマー中に均一に充填されたフィルムを得ることが難しく、薄膜化と誘電率の向上に更なる改善が求められる。
【0017】
また、高誘電性無機粒子をフッ化ビニリデン系ポリマーで被覆した複合粒子をプレス成形して、高誘電性無機粒子が高充填されたシートを製造することも提案されている(特許文献12)。しかし、膜厚は150μmと厚く、優れた巻付き性(可撓性)が要求されるフィルムコンデンサ用のフィルムとしては好適とはいえない。
【0018】
さらに特許文献13に、熱可塑性の酢酸セルロース、ポリカーボネートなどの非フッ素系ポリマーとチタン酸バリウムなどの高誘電性無機粒子とチタンカップリング剤などの親和性向上剤と溶剤からなるコーティング組成物が記載されている。
【0019】
【特許文献1】特表2000−501549号公報
【特許文献2】特開2000−294447号公報
【特許文献3】特開昭59−43039号公報
【特許文献4】特開昭60−185303号公報
【特許文献5】特開昭58−69252号公報
【特許文献6】特開2001−106977号公報
【特許文献7】特開平1−248404号公報
【特許文献8】特開平4−160705号公報
【特許文献9】特開平2−206623号公報
【特許文献10】特開2002−356619号公報
【特許文献11】特開昭54−129397号公報
【特許文献12】特開昭61−224205号公報
【特許文献13】国際公開第2008/013048号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、高温での誘電損失の低減化を可能にするフィルムコンデンサ用として有用な非多孔質高誘電性フィルム、および該高誘電性フィルム形成用のコーティング組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、
(A)フィルム形成樹脂、(B)高誘電性無機粒子および(C)溶剤を含むコーティング組成物であって、
フィルム形成樹脂(A)がセルロース系樹脂のみからなり、
高誘電性無機粒子(B)が、
(B1) 式(B1):
aTibc
(式中、Mは周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、
(B2) 式(B2):
1a2bc
(式中、M1とM2は異なり、M1は周期表の2族金属元素、M2は周期表の第5周期の金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、および
(B3) 周期表の2族金属元素および4族金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも3種の金属元素を含む複合酸化物粒子
よりなる群れから選ばれた少なくとも1種である
高誘電性フィルム形成用コーティング組成物に関する。
【0022】
前記セルロース系樹脂としては、セルロース、酢酸セルロースまたはエーテル置換セルロースであることが、誘電損失の温度依存性が小さい点から好ましい。
【0023】
前記複合酸化物粒子(B1)としては、チタン酸カルシウムまたはチタン酸ストロンチウムの粒子;前記複合酸化物粒子(B2)としては、スズ酸カルシウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウムまたはジルコン酸ストロンチウムの粒子;前記複合酸化物粒子(B3)としては、チタン酸ジルコン酸バリウムまたはチタン酸ジルコン酸ストロンチウムの粒子であることが、誘電損失の温度係数が低い点から好ましい。
【0024】
前記高誘電性無機粒子(B)は、フィルム形成樹脂(A)100質量部に対して、10〜500質量部含むことが、誘電率を向上させ得る点から好ましい。
【0025】
カップリング剤、界面活性剤またはエポキシ基含有化合物の少なくとも1種からなる親和性向上剤(D)を含むことが、得られる複合フィルムの機械特性が良好な点から好ましい。
【0026】
親和性向上剤(D)としては、カップリング剤および/または界面活性剤であることが、得られる複合フィルムの機械特性が良好な点から好ましい。
【0027】
また、前記カップリング剤がチタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤またはジルコアルミネート系カップリング剤であることが、カップリング反応性が良好な点から好ましい。
【0028】
前記フィルム形成樹脂(A)100質量部に対して、親和性向上剤(D)を0.01〜30質量部含むことが、得られる複合フィルムの機械特性が良好な点から好ましい。
【0029】
本発明はまた、本発明のコーティング組成物を基材に塗布し、乾燥してフィルムを形成した後、該フィルムを基材から剥離して得られるフィルムにも関する。
【0030】
さらに本発明は、(A)フィルム形成樹脂および(B)高誘電性無機粒子を含み、
フィルム形成樹脂(A)がセルロース系樹脂のみからなり、
高誘電性無機粒子(B)が、
(B1) 式(B1):
aTibc
(式中、Mは周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、
(B2) 式(B2):
1a2bc
(式中、M1とM2は異なり、M1は周期表の2族金属元素、M2は周期表の第5周期の金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、および
(B3) 周期表の2族金属元素および4族金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも3種の金属元素を含む複合酸化物粒子
よりなる群れから選ばれた少なくとも1種である
高誘電性フィルムにも関する。
【0031】
かかる高誘電性フィルムは、フィルムコンデンサ用のフィルムとして好適である。
【0032】
またさらに本発明は、これらの本発明のフィルムの少なくとも片面に電極層が積層されているフィルムコンデンサにも関する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、高温での誘電損失の低減化を可能にするフィルムコンデンサ用として有用な非多孔質高誘電性フィルム、および該高誘電性フィルム形成用のコーティング組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
まず、本発明の高誘電性フィルム形成用コーティング組成物について説明する。
【0035】
本発明のコーティング組成物は、セルロース系樹脂のみからなるフィルム形成樹脂(A)、特定の高誘電性無機粒子(B)、および溶剤(C)を含む。
【0036】
以下、各成分について説明する。
【0037】
(A)フィルム形成樹脂
フィルム形成樹脂(A)は、セルロース系樹脂のみからなる。
【0038】
セルロース系樹脂としては、たとえばモノ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース、トリ酢酸セルロース、酢酸セルロースプロピオネートなどのエステル置換セルロース;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのエーテルで置換されたセルロースなどが例示できる。これらの中でも、誘電損失の温度係数が低い点から、(モノ、ジ、トリ)酢酸セルロース、メチルセルロースが好ましい。
【0039】
(B)高誘電性無機粒子
本発明に用いる高誘電性無機粒子は、つぎのものである。
【0040】
(B1) 式(B1):
aTibc
(式中、Mは周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子。
【0041】
複合酸化物粒子(B1)は代表的な高誘電性無機粒子であり、それらの1kHz、25℃における誘電率は20以上である。
【0042】
式(B1)において、Mは周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素であり、その具体例としては、Be、Mg、Ca、Srなどがあげられる。この複合酸化物粒子(B1)は、式(B1)におけるMが周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素であるペロブスカイト型酸化物であり、具体的には、チタン酸ベリリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムがあげられる。なかでも、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムが、さらにはチタン酸ストロンチウムが、誘電率が高く、誘電損失が低い点から好ましい。
【0043】
(B2) 式(B2):
1a2bc
(式中、M1とM2は異なり、M1は周期表の2族金属元素、M2は周期表の第5周期の金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子。
【0044】
複合酸化物(B2)としては、具体的には、スズ酸マグネシウム、スズ酸カルシウム、スズ酸ストロンチウム、スズ酸バリウム、アンチモン酸マグネシウム、アンチモン酸カルシウム、アンチモン酸ストロンチウム、アンチモン酸バリウム、ジルコン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸バリウム、インジウム酸マグネシウム、インジウム酸カルシウム、インジウム酸ストロンチウム、インジウム酸バリウムなどがあげられる。
【0045】
(B3) 周期表の2族金属元素および4族金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも3種の金属元素を含む複合酸化物粒子。
【0046】
複合酸化物(B3)において、周期表の2族金属元素の具体例としては、たとえば、Mg、Ca、Sr、Baなどがあげられ、周期表の4族金属元素の具体例としては、たとえば、Ti、Zr、Hfなどがあげられる。
【0047】
周期表の2族金属元素と4族金属元素から選ばれる3種以上の好ましい組み合わせとしては、たとえば、Sr、Ba、Tiの組み合わせ、Sr、Ti、Zrの組み合わせ、Sr、Ba、Zrの組み合わせ、Ba、Ti、Zrの組み合わせ、Sr、Ba、Ti、Zrの組み合わせ、Mg、Ti、Zrの組み合わせ、Ca、Ti、Zrの組み合わせ、Ca、Ba、Tiの組み合わせ、Ca、Ba、Zrの組み合わせ、Ca、Ba、Ti、Zrの組み合わせ、Ca、Sr、Zrの組み合わせ、Ca、Sr、Ti、Zrの組み合わせ、Mg、Sr、Zrの組み合わせ、Mg、Sr、Ti、Zrの組み合わせ、Mg、Ba、Ti、Zrの組み合わせ、Mg、Ba、Zrの組み合わせなどがあげられる。
【0048】
複合酸化物(B3)としては、具体的には、チタン酸ジルコン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウムストロンチウム、チタン酸ジルコン酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウムなどがあげられる。
【0049】
これらの複合酸化物粒子に加えて他の複合酸化物粒子を併用してもよい。併用可能な他の複合酸化物粒子としては、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アンチモン酸鉛、チタン酸亜鉛、チタン酸鉛、酸化チタンなどが例示できる。
【0050】
高誘電性無機粒子(B)の粒子径は、平均粒子径で2μm以下、さらには1.2μm以下、特に0.01〜0.5μm程度であることが、フィルムの表面平滑性や均一分散性に優れる点から好ましい。
【0051】
高誘電性無機粒子(B)の配合量は、セルロース系樹脂100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは30質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。少なすぎるとフィルムの誘電率の向上効果が小さくなる。上限は500質量部である。多くなりすぎるとフィルムとしての強度の点、表面荒れの点で問題が生じる。好ましい上限は200質量部である。
【0052】
(C)溶剤
溶剤としては、セルロース系樹脂を溶解する任意の溶媒を使用できるが、特に、極性有機溶媒が好ましい。なかでも極性有機溶媒としては、たとえばケトン系溶剤、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、環状エーテル系溶媒、アミド系溶剤が好ましい。具体的には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが好ましくあげられる。
【0053】
本発明のコーティング組成物では、溶剤(C)により、セルロース系樹脂、その他の任意成分のうちの固形分の合計の固形分濃度を5〜30質量%とすることが、コーティング作業が容易で、分散液が安定であることから好ましい。
【0054】
本発明のコーティング組成物には、フィルム形成樹脂(A)と高誘電性無機粒子(B)との親和性を高め、両者を均一に分散させると共に、高誘電性無機粒子(B)とフィルム形成樹脂(A)をフィルム中でしっかり結合させる役割を果たす成分として親和性向上剤(D)を配合してもよい。
【0055】
親和性向上剤(D)としては、カップリング剤、界面活性剤またはエポキシ基含有化合物の少なくとも1種が好ましい。
【0056】
この親和性向上剤(D)があると、フィルム中のボイドの発生を抑え、誘電率の低下を防ぐことができる。また、成分(D)は後述するフィルム形成用組成物において、高誘電性無機粒子をフィルム形成樹脂(A)に均一に分散させる働きもする。
【0057】
親和性向上剤(D)としては、カップリング剤(D1)、界面活性剤(D2)またはエポキシ基含有化合物(D3)が有効である。
【0058】
カップリング剤(D1)としては、たとえばチタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤などが例示できる。
【0059】
チタン系カップリング剤としては、たとえばモノアルコキシ型、キレート型、コーディネート型などがあげられ、特に高誘電性無機粒子(B)との親和性が良好な点からモノアルコキシ型、キレート型が好ましい。
【0060】
シラン系カップリング剤としては、たとえば高分子型、低分子型があり、また官能基の数の点からモノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ダイポーダルアルコキシシランなどがあげられ、特に高誘電性無機粒子(B)との親和性が良好な点から低分子型のアルコキシシランが好ましい。
【0061】
ジルコニウム系カップリング剤としては、たとえばモノアルコキシジルコニウム、トリアルコキシジルコニウムなどがあげられる。
【0062】
ジルコアルミネート系カップリング剤としては、たとえばモノアルコキシジルコアルミネート、トリアルコキシジルコアルミネートなどがあげられる。
【0063】
界面活性剤(D2)としては、高分子型、低分子型があり、官能基の種類の点から非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤があり、これらが使用でき、熱安定性が良好な点から高分子型の界面活性剤が好ましい。
【0064】
非イオン性界面活性剤としては、たとえばポリエーテル誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体、アルコール誘導体などがあげられ、特に高誘電性無機粒子(B)との親和性が良好な点からポリエーテル誘導体が好ましい。
【0065】
アニオン性界面活性剤としては、たとえばスルホン酸やカルボン酸、およびそれらの塩を含有するポリマーなどがあげられ、特にフィルム形成樹脂(A)との親和性が良好な点から具体的にはアクリル酸誘導体系ポリマー、メタクリル酸誘導体系ポリマー、無水マレイン酸系共重合体が好ましい。
【0066】
カチオン性界面活性剤としては、たとえばアミン系化合物やイミダゾリンなどの含窒素系複合環を有する化合物やそのハロゲン化塩があげられるが、フィルム形成樹脂(A)への攻撃性が低い点から、含窒素系複合環を有する化合物が好ましい。塩型としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのハロゲンアニオンを含むアンモニウム塩があげられる。誘電率が高い点からハロゲンアニオンを含むアンモニウム塩が好ましい。
【0067】
エポキシ基含有化合物(D3)としては、エポキシ化合物またはグリシジル化合物などがあげられ、低分子量化合物でも高分子量化合物でもよい。なかでも、フィルム形成樹脂(A)との親和性が特に良好な点からエポキシ基を1個有する低分子量の化合物が好ましい。なお、カップリング剤に分類されるエポキシ基含有カップリング剤(たとえばエポキシシランなど)は、本発明ではエポキシ基含有化合物(D3)には含めず、カップリング剤(D1)に含める。
【0068】
エポキシ基含有化合物(D3)の好ましい例としては、特にフィルム形成樹脂(A)との親和性に優れている点から、式(D3):
【0069】
【化1】

(式中、Rは水素原子、または酸素原子、窒素原子もしくは炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい炭素数1〜10の1価の炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香環;lは0または1;mは0または1;nは0〜10の整数)で示される化合物があげられる。
【0070】
具体例としては、
【0071】
【化2】

などのケトン基またはエステル基を含むものが好適にあげられる。
【0072】
親和性向上剤(D)の配合量は、フィルム形成樹脂(A)100質量部に対して、0.01質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、特に好ましくは1質量部以上である。少なすぎると均一に分散させることが難しくなる。上限は30質量部である。多くなりすぎると得られるフィルムの誘電率が低下するという問題が出てくる。好ましい上限は25質量部、さらには20質量部である。
【0073】
(E)他の任意成分
本発明のコーティング組成物には、任意成分として、他の補強用フィラーなどの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で含ませてもよい。
【0074】
補強用フィラーとしては、たとえばシリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、ガラス、アルミナ、硼素化合物の粒子または繊維があげられ、親和性向上剤としては、たとえば官能基変性ポリオレフィン、スチレン改質ポリオレフィン、官能基変性ポリスチレン、ポリアクリル酸イミド、クミルフェノールなどがあげられ、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。なお、耐電圧の点からはこれらの成分は含まないことがより好ましい。
【0075】
本発明のコーティング組成物は、これらの各成分を溶剤に溶解または分散させることにより調製できる。
【0076】
本発明のコーティング組成物のコーティング方法としては、ナイフコーティング法、キャストコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、ブレードコーティング法、ロッドコーティング法、エアドクタコーティング法、カーテンコーティング法、ファクンランコーティング法、キスコーティング法、スクリーンコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、押出コーティング法、電着コーティング法などが使用できるが、これらのうち操作性が容易な点、膜厚のバラツキが少ない点、生産性に優れる点からロールコーティング法、グラビアコーティング法、キャストコーティング法、特にキャストコーティング法が好ましく、優れたフィルムコンデンサ用フィルムを製造することができる。
【0077】
本発明はまた、本発明のコーティング組成物を基材に塗布し、乾燥してフィルムを形成した後、該フィルムを基材から剥離して得られるフィルムにも関する。
【0078】
塗布する基材としては、高誘電性フィルムとする場合には、非多孔質表面を有する基材が好ましい。
【0079】
塗布に使用する基材としては、緻密なフィルム表面を形成できる材料であれば特に限定されず、たとえばポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの樹脂フィルム;アルミ箔、銅箔などの金属板などが例示できる。
【0080】
かくして得られる本発明のフィルムは、膜厚を20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは6μm以下、特に好ましくは5μm以下にすることができる。膜厚の下限は機械的強度の維持の点から約2μmが好ましい。また、離型処理を施したものが好ましい。
【0081】
本発明のコーティング組成物を使用して製造されるフィルムは、フィルムコンデンサ用の高誘電性フィルムとして有用である。
【0082】
本発明の高誘電性フィルムは、フィルム形成樹脂として前記セルロース系樹脂のみを含み、高誘電性無機粒子として前記(B1)〜(B3)よりなる群れから選ばれた少なくとも1種を含むものであり、その高い誘電率を利用してフィルムコンデンサ用のフィルムとして好適に使用できる。
【0083】
本発明のフィルムは、その少なくとも片面に電極層を積層することにより、フィルムコンデンサを作製することができる。
【0084】
フィルムコンデンサの構造としては、たとえば、電極層と高誘電体フィルムが交互に積層された積層型(特開昭63−181411号公報、特開平3−18113号公報など)や、テープ状の高誘電体フィルムと電極層を巻き込んだ巻回型(高誘電体フィルム上に電極が連続して積層されていない特開昭60−262414号公報などに開示されたものや、高誘電体フィルム上に電極が連続して積層されている特開平3−286514号公報などに開示されたものなど)などが挙げられる。構造が単純で、製造も比較的容易な、高誘電体フィルム上に電極層が連続して積層されている巻回型フィルムコンデンサの場合は、一般的には片面に電極を積層した高誘電体フィルムを電極同士が接触しないように2枚重ねて巻き込んで、必要に応じて、巻き込んだ後に、ほぐれないように固定して製造される。
【0085】
電極層は、特に限定されないが、一般的に、アルミニウム、亜鉛、金、白金、銅などの導電性金属からなる層であって、金属箔として、または蒸着金属被膜として用いる。本発明においては、金属箔と蒸着金属被膜のいずれでも、また、両者を併用しても構わない。電極層を薄くでき、その結果、体積に対して容量を大きくでき、誘電体との密着性に優れ、また、厚さのバラつきが小さい点で、通常は、蒸着金属被膜が好ましい。蒸着金属被膜は、一層のものに限らず、例えば、耐湿性を持たせるためにアルミニウム層にさらに半導体の酸化アルミニウム層を形成して電極層とする方法(例えば特開平2−250306号公報など)など、必要に応じて多層にしてもよい。蒸着金属被膜の厚さも特に限定されないが、好ましくは100〜2,000オングストローム、より好ましくは200〜1,000オングストロームの範囲とする。蒸着金属被膜の厚さがこの範囲である時に、コンデンサの容量や強度がバランスされ好適である。
【0086】
電極層として蒸着金属被膜を用いる場合、被膜の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを採用することができる。通常は、真空蒸着法が用いられる。
【0087】
真空蒸着法としては、例えば、成形品のバッチ方式と、長尺品で使用される半連続(セミコンテニアス)方式と連続(air to air)方式などがあり、現在は、半連続方式が主力として行われている。半連続方式の金属蒸着法は、真空系の中で金属蒸着、巻き取りした後、真空系を大気系に戻し、蒸着されたフィルムを取り出す方法である。
【0088】
半連続方式については、具体的にはたとえば、特許第3664342号明細書に図1を参照して記載されている方法で行うことができる。
【0089】
高誘電体フィルム上に金属薄膜層を形成する場合、あらかじめ高誘電体フィルム表面に、コロナ処理、プラズマ処理など、接着性向上のための処理を施しておくこともできる。電極層として金属箔を用いる場合も、金属箔の厚さは特に限定されないが、通常は、0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは3〜15μmの範囲である。
【0090】
固定方法は、特に限定されず、例えば、樹脂で封止したり絶縁ケースなどに封入することにより、固定と構造の保護とを同時に行えばよい。リード線の接続方法も限定されず、溶接、超音波圧接、熱圧接、粘着テープによる固定などが例示される。巻き込む前から電極にリード線を接続しておいてもよい。絶縁ケースに封入する場合など、必要に応じて、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で開口部などを封止して酸化劣化などを防止してもよい。
【0091】
このようにして得られた本発明のフィルムコンデンサは、高誘電性、高耐電圧でかつ誘電損失の温度依存性が小さい。
【実施例】
【0092】
つぎに本発明を実施例などをあげて具体的に説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
【0093】
なお、本明細書で使用している特性値は、つぎの方法で測定したものである。
【0094】
(膜厚)
デジタル測長機((株)仙台ニコン製のMF−1001)を用いて、基板に載せたフィルムを室温下にて測定する。
【0095】
(誘電損失および比誘電率)
複合フィルムを真空中で両面にアルミニウムを蒸着しサンプルとする。このサンプルをインピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード製のHP4194A)にて、室温(20℃)および80℃下で、周波数100Hz、1kHz、10kHzおよび100kHzでの静電容量と誘電正接を測定する。得られた各静電容量と誘電正接の測定値から比誘電率および誘電損失(%)を算出する。
【0096】
実施例1
1Lセパラブルフラスコ中にジメチルアセトアミド(DMAc)(キシダ化学(株)製)800質量部と酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製L−20)を200質量部入れ、60℃にて3時間、メカニカルスターラーにて攪拌し、20質量%濃度の酢酸セルロース溶液を得た。
【0097】
この酢酸セルロースのDMAc溶液10質量部に、複合酸化物粒子(B1)であるチタン酸ストロンチウム(堺化学工業(株)製のST−03)22.5質量部、チタン酸バリウム(堺化学工業(株)製のBT−01)2.5質量部、DMAc7質量部、テトラヒドロフラン(THF)(キシダ化学(株)製)10質量部、親和性向上剤としてホスマー(Phosmer)(ユニケミカル(株)製のホスホネート系界面活性剤)0.1質量部を混合した。ついで、この混合液と等量のジルコニアビーズを加え、遊星ミル((有)ゴウキン・プラネタリング製)にて分散処理を行った後ジルコニアビーズを取り除き、高誘電性無機粒子の分散溶液を得た。
【0098】
この高誘電性無機粒子分散溶液10質量部に、濃度20質量%の酢酸セルロースのDMAc溶液12質量部を加え、さらにDMAc2.5質量部、THF8質量部を加え、本発明のコーティング組成物を得た。
【0099】
このコーティング組成物をマイクログラビアコーター((株)康井精機製のOS−750)を用いて、離型処理を施した38μm厚の非多孔質ポリエステル(PET)フィルム上にキャストし、乾燥炉で180℃にて3分間乾燥し、PETフィルム上に膜厚6.0μmのキャストフィルムが形成された積層フィルムを得た。ついで、PETフィルムから剥離することにより、膜厚6.0μmの本発明の高誘電性フィルムを得た。
【0100】
得られたフィルムについて、20℃および80℃における各周波数(100Hz、1kHz、10kHzおよび100kHz)での比誘電率および誘電損失を算出した。結果を表1に示す。
【0101】
実施例2
実施例1において、高誘電性無機粒子として、複合酸化物粒子(B2)であるチタン酸ジルコン酸バリウム(堺化学(株)製のBTZ019010)を25質量部用いたほかは実施例1と同様にして本発明のコーティング組成物および高誘電性フィルムを作製した。
【0102】
これらの高誘電性フィルムについて、実施例1と同様にして20℃および80℃における各周波数での比誘電率および誘電損失を算出した。結果を表1に示す。
【0103】
実施例3
実施例1において、高誘電性無機粒子として、複合酸化物粒子(B3)であるジルコン酸カルシウム(共立マテリアル(株)製のCZ−TH)を25質量部用いたほかは実施例1と同様にして本発明のコーティング組成物および高誘電性フィルムを作製した。
【0104】
これらの高誘電性フィルムについて、実施例1と同様にして20℃および80℃における各周波数での比誘電率および誘電損失を算出した。結果を表1に示す。
【0105】
実施例4
実施例1において、酢酸セルロースとしてアセチル化度の異なる酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製L−70)を用いたほかは同様にして本発明のコーティング組成物および高誘電性フィルムを作製した。
【0106】
これらの高誘電性フィルムについて、実施例1と同様にして20℃および80℃における各周波数での比誘電率および誘電損失を算出した。結果を表1に示す。
【0107】
実施例5
実施例1において、セルロース系樹脂としてエーテル置換セルロース(信越化学工業(株)製の60SH03)を用いたほかは実施例1と同様にして本発明のコーティング組成物および高誘電性フィルムを作製した。
【0108】
これらの高誘電性フィルムについて、実施例1と同様にして20℃および80℃における各周波数での比誘電率および誘電損失を算出した。結果を表1に示す。
【0109】
【表1】

【0110】
表1の結果から、セルロースと無機酸化物との複合化により、高い誘電率と低い誘電損失の温度特性を両立できることが分かる。
【0111】
実施例6
実施例1で製造した高誘電性フィルムの両面に、真空蒸着装置((株)真空デバイス製のVE−2030)により3Ω/□を目標にしてアルミニウムを蒸着して電極を形成した。これらのアルミニウム電極に電圧印加用のリード線を取り付け、スタンプ型(簡易評価用)のフィルムコンデンサを作製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フィルム形成樹脂、(B)高誘電性無機粒子および(C)溶剤を含むコーティング組成物であって、
フィルム形成樹脂(A)がセルロース系樹脂のみからなり、
高誘電性無機粒子(B)が、
(B1) 式(B1):
aTibc
(式中、Mは周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、
(B2) 式(B2):
1a2bc
(式中、M1とM2は異なり、M1は周期表の2族金属元素、M2は周期表の第5周期の金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、および
(B3) 周期表の2族金属元素および4族金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも3種の金属元素を含む複合酸化物粒子
よりなる群れから選ばれた少なくとも1種である
高誘電性フィルム形成用コーティング組成物。
【請求項2】
前記セルロース系樹脂が、セルロース、酢酸セルロースまたはエーテル置換セルロースである請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記複合酸化物粒子(B1)が、チタン酸カルシウムまたはチタン酸ストロンチウムの粒子である請求項1または2記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記複合酸化物粒子(B2)が、スズ酸カルシウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウムまたはジルコン酸ストロンチウムの粒子である請求項1または2記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記複合酸化物粒子(B3)が、チタン酸ジルコン酸バリウムまたはチタン酸ジルコン酸ストロンチウムの粒子である請求項1または2記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記フィルム形成樹脂(A)100質量部に対して、高誘電性無機粒子(B)を10〜500質量部含む請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項7】
カップリング剤、界面活性剤またはエポキシ基含有化合物の少なくとも1種からなる親和性向上剤(D)を含む請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項8】
親和性向上剤(D)がカップリング剤および/または界面活性剤である請求項7記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記カップリング剤がチタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤またはジルコアルミネート系カップリング剤である請求項8記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記フィルム形成樹脂(A)100質量部に対して、親和性向上剤(D)を0.01〜30質量部含む請求項7〜9のいずれかに記載のコーティング組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のコーティング組成物を基材に塗布し、乾燥してフィルムを形成した後、該フィルムを基材から剥離して得られるフィルム。
【請求項12】
(A)フィルム形成樹脂および(B)高誘電性無機粒子を含み、
フィルム形成樹脂(A)がセルロース系樹脂のみからなり、
高誘電性無機粒子(B)が、
(B1) 式(B1):
aTibc
(式中、Mは周期表の第2周期から第5周期までの2族金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、
(B2) 式(B2):
1a2bc
(式中、M1とM2は異なり、M1は周期表の2族金属元素、M2は周期表の第5周期の金属元素;aは0.9〜1.1;bは0.9〜1.1;cは2.8〜3.2である)
で示される複合酸化物粒子、および
(B3) 周期表の2族金属元素および4族金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも3種の金属元素を含む複合酸化物粒子
よりなる群れから選ばれた少なくとも1種である
高誘電性フィルム。
【請求項13】
フィルムコンデンサ用である請求項12記載の高誘電性フィルム。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載のフィルムの少なくとも片面に電極層が積層されているフィルムコンデンサ。

【公開番号】特開2009−231352(P2009−231352A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71772(P2008−71772)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】