説明

高誘電率セラミックスの製造方法

【課題】ニッケル内部電極を使用した積層セラミックコンデンサに適用可能であり、かつ100nm未満の粒径のチタン酸アルカリ土類金属化合物を主原料としても誘電率が向上しうる高誘電率セラミックスの製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒子径が50nm以上100nm未満であるチタン酸アルカリ土類金属化合物とランタン化合物とを混合する工程と、前記混合する工程で得られた混合物を、不活性ガス雰囲気下、1000℃以上1200℃未満の温度で焼成する工程と、を有し、前記ランタン化合物の混合量が、前記チタン酸アルカリ土類金属化合物に対するランタンの原子数換算で0.5〜1.5at%である、高誘電率セラミックスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高誘電率セラミックスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ(以下、単にMLCCとも称する)は、主成分としてチタン酸バリウム系化合物を含有し、副成分として特性調整のための金属化合物を含有する原料組成物を、シート状に成形してグリーンシートを作製し、このグリーンシート上に電極を印刷したものを積層する工程を繰り返すことにより作製されている。
【0003】
近年、情報端末等の電子機器製品の小型化・薄型化に伴い、電子回路の高密度化が進み、この結果、積層セラミックコンデンサの小型化・薄型化および大容量化が強く求められている。そして、この要望を実現するために、内部電極層および誘電体層の薄層化と積層数の増加とが試みられている。
【0004】
誘電体層が薄層化された場合、主原料であるチタン酸バリウム系化合物の粒径が大きいと、グリーンチップ焼成後の特性や誘電体層の表面粗さにバラツキが生じ、ショート率が増加し絶縁抵抗不良が多くなる結果、信頼性に劣るものとなる。このため、粒径が100nm未満であるチタン酸バリウム系化合物を使用することが検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、チタン酸バリウムに対してランタン化合物、酸化亜鉛、および酸化ニオブを添加することにより、薄層化が可能な誘電体磁器が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−302214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、大気中かつ1200〜1300℃という高温で焼成を行っているため、ニッケル内部電極を使用した積層セラミックコンデンサには適用できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、ニッケル内部電極を使用した積層セラミックコンデンサに適用可能であり、かつ100nm未満の粒径のチタン酸アルカリ土類金属塩を主原料としても誘電率が向上しうる高誘電率セラミックスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、チタン酸バリウム等のチタン酸アルカリ土類金属化合物とランタン化合物とを混合した後、不活性ガス雰囲気中、1000℃以上1200℃未満の温度範囲で焼成を行うことにより、ニッケル内部電極を使用した積層セラミックコンデンサに適用可能であり、かつ100nm未満の粒径のチタン酸アルカリ土類金属化合物を主原料としても誘電率が向上しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、平均粒子径が50nm以上100nm未満であるチタン酸アルカリ土類金属化合物とランタン化合物とを混合する工程と、前記混合する工程で得られた混合物を、不活性ガス雰囲気下、1000℃以上1200℃未満の温度で焼成する工程と、を有し、前記ランタン化合物の混合量が、前記チタン酸アルカリ土類金属化合物に対するランタンの原子数換算で0.5〜1.5at%である、高誘電率セラミックスの製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ニッケル内部電極を使用した積層セラミックコンデンサに適用可能であり、かつ100nm未満の粒径のチタン酸アルカリ土類金属化合物を主原料としても誘電率が向上しうる高誘電率セラミックスの製造方法が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサを示す断面概略図である。
【図2】焼成温度と誘電率との関係を示すグラフである。
【図3】焼成温度と密度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサについて図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示す積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層3と内部電極4とが交互に積層されてなるコンデンサチップ体2と、このコンデンサチップ体2の表面に設けられ内部電極4と導通する外部電極5と、を備えている。内部電極4は、その端部がコンデンサチップ体2の対向する2つの表面に交互に露出するように積層されて、コンデンサチップ体2の当該表面上に形成されて所定のコンデンサ回路を構成する外部電極5と、電気的に接続している。
【0015】
誘電体層3は、チタン酸アルカリ土類金属化合物を主成分とし、誘電率向上剤としてランタン化合物を含有する原料組成物の焼結体を含む。
【0016】
以下、本発明の製造方法について、詳細に説明する。
【0017】
[チタン酸アルカリ土類金属化合物とランタン化合物とを混合する工程]
本工程では、チタン酸アルカリ土類金属化合物とランタン化合物とを混合する。
【0018】
前記チタン酸アルカリ土類金属化合物は、特に制限されないが、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)等のアルカリ土類金属化合物と、二酸化チタン(TiO2)とを固相反応により反応させることにより得られるものであり、例えば、Ba1-x-yCaxSryTiO3(0≦x<1、0≦y<1、x+y<1)で表されるチタン酸バリウム化合物等が挙げられる。また、その他の合成方法としては、水熱合成法、蓚酸法、ゾルゲル法などが挙げられる。
【0019】
前記チタン酸アルカリ土類金属化合物の平均粒径は、50nm以上100nm未満である(実施例80nm)。チタン酸アルカリ土類金属化合物の平均粒径が100nm以上であると、今後、トレンドとなる小型大容量タイプのMLCCには適さなくなる。一方、平均粒径が50nm未満であると、MLCCで使用可能な誘電率が得られにくい。該平均粒径は、好ましくは60〜90nmである。なお、チタン酸アルカリ土類金属化合物の平均粒径は、SEM観察により測定した値を採用するものとする。
【0020】
前記ランタン化合物の具体例としては、例えば、酸化ランタン(La23)、炭酸ランタン(La2(CO33)、酢酸ランタン(La(CH3COO)3)、塩化ランタン(LaCl3)、硝酸ランタン(La(NO33)などが挙げられる。これらランタン化合物は単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
【0021】
前記ランタン化合物の混合量は、前記チタン酸アルカリ土類金属化合物に対するランタンの原子数換算で、0.5〜1.5at%である。ランタン化合物の混合量が0.5at%未満であると、誘電率の向上が不十分となる。一方、1.5at%を超えると、異常粒成長してしまい、信頼性が低下する。該混合量は1.0〜1.5at%が好ましい。
【0022】
本工程においては、前記チタン酸アルカリ土類金属化合物と前記ランタン化合物とに加えて、必要に応じて特性調整のための金属化合物を混合してもよい。前記金属化合物としては、例えば、Mg、Ca、Si、Mn、Al、V、Dy、Y、Ho、およびYbからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含有する酸化物、炭酸塩等が挙げられる。
【0023】
該金属化合物を添加する場合の添加量は、チタン酸アルカリ土類金属化合物に対する該金属化合物中の金属の原子数換算で0.1〜10.0at%であることが好ましく、0.5〜8.0at%であることがより好ましい。なお、該金属化合物を2種以上用いる場合は、その合計量が上記範囲にあればよい。
【0024】
前記チタン酸アルカリ土類金属化合物の粉末に、前記ランタン化合物の粉末や前記金属化合物の粉末を添加する際には、合わせて分散剤を添加することが好ましい。前記分散剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール系分散剤、ポリビニルアセタール系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー系分散剤、リン酸エステル系分散剤等が挙げられる。これら分散剤は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
【0025】
該分散剤を添加する場合の添加量は、チタン酸アルカリ土類金属化合物に対して0.5〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、1.0〜5.0質量%である。
【0026】
本工程における混合方法は特に制限されず、例えば、前記チタン酸アルカリ土類金属化合物の粉末に、前記ランタン化合物の粉末を添加し、必要に応じて前記金属化合物の粉末や分散剤を添加し、ホモジナイザーで混合してから、ビーズミルで解砕・分散することにより、混合物を得ることができる。また、このようにして得られた混合物に、必要に応じて、溶剤およびバインダを添加し、ボールミル等を用いて混合することにより前記混合物を含むスラリーを得ることができる。
【0027】
前記溶剤としては特に制限されず、例えば、エチルカルビトール、ブタンジオール、2−ブトキシエタノール等のグリコール類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン、酢酸ベンジル等の芳香族類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いられてもよく2種以上が併用されてもよい。
【0028】
前記バインダとしては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチルセルロース樹脂等が挙げられる。これらのバインダは、単独で用いられてもよく2種以上が併用されてもよい。また、DOP(ビス(2−エチルヘキシル)フタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DEP(ジエチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)などの可塑剤を用いてもよい。
【0029】
前記バインダは、予め前記溶剤に溶解し濾過してバインダ溶液にしておき、この溶液に、前記混合物を添加することが好ましい。このような操作により、スラリーにおける各成分の分散性を改善することができ、また、未溶解のバインダの発生を抑制することができる。
【0030】
[焼成工程]
本工程では、上記混合工程で得られた混合物を焼成し、高誘電率セラミックスを得る。
【0031】
焼成の方法は、特に制限されないが、例えば、上記混合工程で得られた混合物を含むスラリーを、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる基材上にシート状に塗布することによりグリーンシートが形成される。そして、当該グリーンシートを焼成することにより高誘電率セラミックスを得ることができる。
【0032】
塗布方法は特に制限されず、例えば、ドクターブレード法、カレンダーロール法、圧延法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0033】
焼成温度は、1000℃以上1200℃未満である。焼成温度が1000℃未満であると、十分に密度が上がらず、得られるセラミックスの誘電率が低下する。一方、1200℃以上であると、粒成長を起こしてしまい、誘電率の低下やMLCCの信頼性の低下が起こる。焼成温度は、好ましくは1000〜1180℃、より好ましくは1050〜1150℃である。
【0034】
焼成は、不活性ガス雰囲気下で行う。不活性ガス雰囲気下で焼成を行うことにより、ニッケル内部電極の酸化が起こらず、得られた高誘電率セラミックスを、ニッケル内部電極を使用したMLCCへ適用することができる。
【0035】
前記不活性ガス雰囲気としては特に制限されず、例えば、アルゴン雰囲気下、ヘリウム雰囲気下、ネオン雰囲気下、クリプトン雰囲気下、窒素雰囲気下などが挙げられる。また、窒素に対して少量の水素が混合された雰囲気も好適に用いられる。好ましくは、窒素に対して、0.5〜5体積%の水素が混合された雰囲気である。
【0036】
[積層セラミックコンデンサ]
グリーンシートを焼成することにより得られる高誘電率セラミックスは、薄膜状となっており、MLCCの誘電体層として用いることができる。すなわち、本発明は、上記製造方法により得られた高誘電率セラミックスからなる誘電体層を備える、積層セラミックコンデンサを提供する。
【0037】
本発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法としては特に制限されないが、例えば、以下のようにして製造される。まず、前記グリーンシート上に、上記の各種金属等を含有する内部電極用導電性ペーストを所定形状にスクリーン印刷して、内部電極用導電性ペースト膜を形成する。
【0038】
内部電極の材料としては特に制限されず、例えば、Cu、Ni、W、Mo、Ag等の金属またはこれらの合金等からなるものなどが挙げられる。
【0039】
外部電極の材料としては特に制限されず、例えば、Cu、Ni、W、Mo、Ag等の金属またはこれらの合金;In−Ga、Ag−10Pd等の合金;カーボン、グラファイト、カーボンとグラファイトとの混合物等からなるものなどが挙げられる。
【0040】
次いで、内部電極用導電性ペースト膜が形成された複数のグリーンシートを積層するとともに、これらグリーンシートを挟むように、導電性ペースト膜が形成されていないグリーンシートを積層して、圧着した後、必要に応じてカットすることによって、積層体(グリーンチップ)を得る。
【0041】
そして、得られた積層体(グリーンチップ)に脱バインダ処理を施した後、当該グリーンチップを、不活性ガス雰囲気下において焼成して、コンデンサチップ体を得る。コンデンサチップ体においては、グリーンシートを焼成してなる焼結体からなる誘電体層と内部電極とが交互に積層されている。
【0042】
なお、得られたコンデンサチップ体には、誘電体層を再酸化するためアニール処理を施すことが好ましい。
【0043】
次に、コンデンサチップ体の端面から露出した内部電極の各端縁それぞれに外部電極が電気的に接続するように、コンデンサチップ体の端面上に、上記の各種金属等を含有する外部電極用ペーストを塗布することによって外部電極を形成する。そして、必要に応じ、外部電極表面に、めっき等により被覆層を形成する。このようにして、本発明に係る積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、使用した薬品は以下の通りである。
【0045】
BaCO3:堺化学工業株式会社製、BW−KH50
MgO:シーアイ化成株式会社製、Nano Teck
SiO2:シーアイ化成株式会社製、Nano Teck
Mn34:シーアイ化成株式会社製、Nano Teck
25:シーアイ化成株式会社製、Nano Teck
Dy23::シーアイ化成株式会社製、Nano Teck
Al23:シーアイ化成株式会社製、Nano Teck
La23:シーアイ化成株式会社製、Nano Teck
(実施例1)
水熱合成法で得られた平均粒径D50が80nmであるチタン酸バリウム粉末に対して、ランタン化合物である酸化ランタン(La23)をLa換算で0.5at%、BaCO3をBa換算で1.2at%、SiO2をSi換算で1.3at%、Mn34をMn換算で0.15at%、MgOをMg換算で1.3at%、V25をV換算で0.1at%、Dy23をDy換算で0.8at%、およびAl23をAl換算で0.25at%添加した。
【0046】
次いで、ポリカルボン酸系分散剤(ビッグケミージャパン株式会社製、商品名:BYK−110)チタン酸バリウムに対して、2質量%となるように添加し、ホモジナイザーで混合した。次に、得られた混合物を、遠心力でビーズとスラリーの分離を行う機能が付いた縦型ビーズミルを用いて分散・解砕して、組成物のスラリーを得た。
【0047】
得られたスラリーをボールミルに入れ、トルエン−エタノール混合溶剤(50:50質量比)、ポリビニルブチラール樹脂系バインダ(積水化学工業株式会社製、商品名:BM−2)および可塑剤(ナカライテスク株式会社製、商品名:DOP)を適度な粘度になるまで添加・混合し、グリーンシート形成用スラリーを調製した。そして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ドクターブレード法により当該スラリーを塗布してグリーンシートを作製した。
【0048】
次に、グリーンシート上に、Ni粉末を含む内部電極用の導電ペーストを所定形状にスクリーン印刷した後、導電ペースト膜が形成されたグリーンシートを複数枚積層し、熱圧着して一体化し、積層体を作製した。
【0049】
そして、その積層体を、300℃で10時間、空気中で加熱することで有機バインダを除去した後、下記表1に示す各焼成温度で1体積%のH2ガスを含むN2ガス雰囲気において2時間焼成し、さらに1000℃のN2ガス雰囲気中で2時間再酸化処理して焼成し、コンデンサチップ体を得た。次に、得られたコンデンサチップ体の端面をサンドブラストにて研磨した後、In−Ga電極を前記端面に塗布することによって外部電極を形成し、図1に示す構造を有する積層セラミックコンデンサを作製した。
【0050】
(実施例2)
ランタン化合物の混合量は、チタン酸バリウムに対するランタンの原子数換算で1.0at%としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0051】
(実施例3)
ランタン化合物の混合量は、チタン酸バリウムに対するランタンの原子数換算で1.5at%としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0052】
(比較例1)
酸化ランタンを加えずに、かつ焼成温度を1075℃、1090℃、1105℃、1120℃、1135℃、および1200℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0053】
(比較例2)
ランタン化合物の混合量は、チタン酸バリウムに対するランタンの原子数換算で2.0at%とし、かつ焼成温度を1075℃、1090℃、1105℃、1120℃、1135℃、および1200℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0054】
(比較例3)
焼成温度を1200℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0055】
(比較例4)
焼成温度を1200℃としたこと以外は、実施例2と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0056】
(比較例5)
焼成温度を1200℃としたこと以外は、実施例3と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0057】
得られた各積層セラミックコンデンサについて、誘電体層の誘電率および密度を評価した。評価結果を表1、図2および図3に示す。なお、誘電率εは、温度25℃、周波数1kHz、電圧0.5V/μmの条件で、LCRメーターを用いて静電容量を測定し、この測定によって得られた静電容量、誘電体層の厚さ、および内部電極面積から算出した。また、密度(g/cm3)は、アルキメデス法を用いて測定した。
【0058】
【表1】

【0059】
表1、図2および図3に示すように、焼結性(密度)に関しては、La添加量が増えると焼結性も向上することが明らかとなった。そして、La添加量が1.5at%であれば1075℃でも充分に焼結した。また、誘電率εに関しては、La添加量が増えると、密度と同様に誘電率εも増大することが明らかとなった。しかしながら、La添加量が2.0at%では、異常粒成長が起こることが分かった。
【0060】
さらに、焼成温度が1200℃の場合、誘電率および密度が低下することが分かった。
【符号の説明】
【0061】
1 積層セラミックコンデンサ、
2 コンデンサチップ体、
3 誘電体層、
4 内部電極、
5 外部電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が50nm以上100nm未満であるチタン酸アルカリ土類金属化合物とランタン化合物とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を、不活性ガス雰囲気下、1000℃以上1200℃未満の温度で焼成する工程と、
を有し、
前記ランタン化合物の混合量が、前記チタン酸アルカリ土類金属化合物に対するランタンの原子数換算で0.5〜1.5at%である、高誘電率セラミックスの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により得られる高誘電率セラミックス。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法により得られた高誘電率セラミックスからなる誘電体層を備える、積層セラミックコンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−112536(P2013−112536A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257540(P2011−257540)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】