説明

高誘電率集積用のシリコンゲルマニウム表面層

高誘電率層(180)を半導体装置中に集積するためにシリコンゲルマニウム(SiGe)表面層(160)を使用する方法である。この方法は、基板(150)上にSiGe表面層(160)を形成し、前記SiGe表面層(160)上に高誘電率層(180)を堆積する。酸化層(170)は、前記高誘電率層(180)とSiGe表面層(160)の未反応部位との間に位置し、前記高誘電率層(180)の堆積中とその後のアニーリング処理中とのいずれか、又はいずれもの間に形成される。前記方法は、前記高誘電率層(180)上に電極層(190)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体構造及び半導体処理に関し、より具体的には、高(high-k)誘電体層を半導体装置に集積するためのシリコンゲルマニウム層の用法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業において、微小電子機器の最小外形サイズは、迅速化、低電力なマイクロプロセッサ及びデジタル回路に対する要求に適合するために、ディープサブミクロン領域に達している。CMOS装置の小型化により、ゲート誘電体材料のスケーリング拘束が強いられる。標準的なSiOゲート誘電体酸化物の厚さは、トンネリング電流が著しくトランジスタ性能に影響し得る水準(〜10オングストローム(Å))に到達している。装置の信頼性を増大するために、そして、ゲート電極からトランジスタチャネルへの電子漏洩を低減するために、半導体トランジスタ技術では、ゲート誘電体層の物理的厚さを増大できる一方で透過なゲート酸化物厚さ(EOT)を約10Å未満に保持できる高(high-k)誘電率ゲート材料が用いられている。変数kは、材料の誘電率定数を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高誘電率材料を半導体微小構造中に集積することで、Si基板の酸化によって、界面酸化物(SiO)層を形成し得る。酸化界面層の存在によって、微小構造の全体の誘電率定数が低下し、これにより、SiOの代わりに高誘電率材料を用いる利点が低減してしまう。微小構造の全体的な誘電率定数への酸化界面層の影響を低減するために、酸化層は薄くする必要がありうる。Si基板上への高誘電率層の堆積により、現状の半導体トランジスタ技術に対して非常に厚い酸化界面層における無制御の生長がもたらされる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、従来技術の半導体装置に関する上述した及び/又は他の問題を抑制又は解決するSiGe表面層を有する半導体装置を提供する。
【0005】
本発明は、基板の酸化を抑制するSiGe表面層を有する半導体装置をさらに提供する。
【0006】
この目的のために、本方法は、装置中の高誘電率層におけるその後の集積に関連する基板の酸化を抑制するSiGe表面層を有する半導体装置を形成するために提供される。酸化層は、SiGe表面層における未反応部位と高誘電率層との間に形成される。酸化層は、高誘電率層の堆積中、又は、誘電体層が形成された後に行われるアニーリング処理中に形成してもよい。あるいは、酸化層は、誘電体形成中及びその後のアニーリング中のいずれにおいても形成してもよい。
【0007】
本発明の例示的実施の形態において、基板を供給し、SiGe表面層を基板上に形成し、SiGe表面層上に高誘電率層を堆積し、高誘電率層及びSiGe表面層の未反応部位との間に酸化層を形成し、高誘電率層上に電極層を形成することで、半導体装置を形成するための方法が提供される。前記酸化層は、高誘電率層の堆積及び高誘電率層の堆積後のアニーリング処理のいずれかまたはいずれもの期間中に形成される。
【0008】
添付した図において、
【0009】
図1A−1Eは、本発明の実施の形態を行ったときに形成され得る構造の断面図を示す。
【0010】
図2は、本発明の実施の形態によってSiGe表面層を含む微小構造を形成するためのフローチャートを示す。
【0011】
図3は、本発明の実施の形態によってSiGe表面層を形成するためのバッチ型処理システムの概略ブロック線図を示す。
【0012】
図4は、本発明の実施の形態によってSiGe表面層を形成するための他のバッチ型処理システムの概略ブロック線図を示す。
【0013】
図5は、本発明の実施の形態によって半導体装置を形成するための処理ツールを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
半導体装置の作製方法が記述される。本発明の実施の形態において、基板が供給され、SiGe表面層が前記基板上に形成される。高誘電率層は、SiGe表面層上に堆積され、酸化層は、高誘電率層とSiGe表面層の未反応部位との間に位置し、高誘電率層の堆積中及び/又は高誘電率層の堆積後のアニーリング処理中に形成され、そして、電極は、高誘電率層上に形成される。
【0015】
図1A−1Eは、本発明の実施の形態を行ったときに形成され得る構造の断面図を示す。図1A−1Eに示された実施の形態において、基板150が供給される。基板150は、例えば、単結晶Si又は多結晶Si(poly−Si)であるSi基板であってもよい。Si基板150は、多数の能動素子及び/又は分離領域を有していてもよい。Si基板150は、形成される装置の種類に応じてn型又はp型であってもよく、約195mmより大きい、例えば、200mm基板、300mm基板、又は、より大きい、直径の基板といった、任意の直径の基板を、例えば、含んでいてもよい。
【0016】
上述の本発明の背景において述べたように、高誘電率材料をSi基板上に集積することで、半導体装置の所望の性能に対して界面層が非常に厚くなるSiO界面層の無制御の生長を停止し得る。本発明において、SiGe表面層160は、図1Bに示されるように、SiGe材料を基板150上に堆積することで、又は、Si基板の表面部にGeを合金化することで、形成される。SiGe表面層によって、基板のベース酸化層−SiGe界面−を用いること無く、高誘電率層をSiGe表面層上に直接堆積することが可能となり、ゲート酸化物厚さ(EOT)に等しい全体的に低い厚さで誘電体層が提供される。SiGe表面層160の酸化により、高誘電率層180のSiGe表面層160上への堆積中、及び/又は、高誘電率層180のSiGe表面層160上への堆積後のアニーリング処理中における、Si基板150の酸化が防止される。
【0017】
本発明の一実施の形態において、SiGe表面層160は、約10原子パーセント(at.%)又はこれ未満のGe含量の、実質的に一様な組成物を有し得る。本発明の他の実施の形態において、SiGe表面層160は、それぞれ約10at.%又はこれ未満のGe含量の、複数のSiGe副層を有していてもよい。さらに他の実施の形態において、SiGe表面層160は、傾斜(連続的な)組成物を有してもよく、例えば、Ge含量は、Si基板150と調和する付近の低さ(〜0at.%)から、高誘電率層170と調和する付近の高さ(〜20at.%)に亘る。多くの用途に対して、SiGe表面層は、約1000オングストローム厚さ未満、好ましくは、約10オングストロームと約300オングストロームの間の厚さであり得る。
【0018】
図1に示したように、高誘電率層180は、SiGe表面層160上に形成される。高誘電率層180は、誘電率定数(k)がSiOのもの(k〜3.9)よりも大きいという特徴のある材料を含む。加えて、高誘電率材料は、基板表面上に生長する材料(例、SiO、SiO)よりもむしろ、基板上に堆積される高誘電率定数の材料(例、HfO、ZrO)を示しうる。高誘電率層は、HfO(k〜25)、HfSiO、ZrO(k〜25)、ZrSiO、TiO、Ta(k〜26)、及び、Al(k〜9)といった、金属ケイ酸塩、又は、金属酸化物を組み込んでいてもよい。加えて、高誘電率材料は、窒化シリコン(SiN)といった窒化物を含んでいてもよい。
【0019】
高誘電率層180が堆積された後、必要とされる構造的又は電気的性質を得るために、図1Cに示された構造がアニールされる。アニーリング処理は、高誘電率層180に接触するSiGe表面層160の表面部位に酸化層170を形成する。その結果、酸化層170は、高誘電率層180とSiGe表面層160の未反応部位との間に形成される。あるいは、酸化層170は、SiGe表面層上への高誘電率層の堆積中に形成されてもよく、又は、堆積処理及びアニーリング処理のいずれもの期間中に形成されてもよい。基板150と高誘電率層180との間のSiGe表面層160の存在により、基板150の酸化が防止できる。
【0020】
次に、ゲート電極層190が、高誘電率層180上に形成され得る。通常ドープされる多結晶−Siに加えて、電極層190は、例えば、W,Al,TaN,TaSiN,HfN,HfSiN,TiN,TiSiN,Re,Ru,SiGeのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。電極層の堆積、高誘電率層の堆積、基板のアニーリングは、半導体装置を完成させるために一般的に必要とされるエッチング処理(例えば、高誘電率層及び電極層のエッチング)と同様に、当業者に公知な方法によって、行われうる。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態によってSiGe表面層を含む半導体装置を形成するためのフローチャートを示す。処理200は、段階210で開始される。段階220で、基板が供給される。本発明の一実施の形態において、Si基板は、酸化層(自然酸化物層又は化学酸化物層)が除去されている清浄なSi基板を含みうる。酸化層は、例えば、希フッ酸(HF)を含む流体浴中に配置することで、又は、これに換えて、HFガス相エッチングに露光することで、基板から除去し得る。希HF溶液は、HO:HF(例えば、50:1)混合物であってもよい。本発明の他の実施の形態において、基板は初期酸化層を含んでいてもよい。段階230で、SiGe表面層は、基板上にSiGe層を堆積することで、又は、Si基板の表面部にGeを合金化することで、形成される。SiGe表面層が初期酸化層を含む基板上に形成される場合には、SiGe表面層は、酸素を含んでいてもよい。
【0022】
本発明の一実施の形態において、SiGe表面層は、CVD処理中にGe含有ガス及びSi含有ガスを用いて、形成され得る。Ge含有ガスは、例えば、GeH及びGeClのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。そして、Si含有ガスは、例えば、SiH、Si、及び、SiHClのうち少なくとも1つを含んでいてもよい。SiGe表面層は、例えば、5Torr未満のチャンバ圧力で、そして、約400℃と約700℃の間の基板温度で、堆積してもよい。所望のSiGe組成物及び厚さを得るために使用され得る堆積パラメータには、チャンバ圧力、Ge含有ガス及びSi含有ガスの相対流、基板温度が含まれうる。原子層堆積(ALD)処理において、SiGe表面層が所望の厚さで形成されるまで、基板はGe含有ガスとSi含有ガスとで交互に露光される。
【0023】
本発明の他の実施の形態において、SiGeは、SiGeスパッタリングターゲットから基板上にスパッタされてもよい。次いで、スパッタされたSiGe層を含む基板は、所望の特性を有するSiGe表面層を形成するためにアニールされ得る。本発明の他の実施の形態において、SiGe表面層は、GeスパッタリングターゲットからSi基板上にGeスパッタリングして、スパッタされたGe層をSi基板の表面部位中に拡散させるために基板をアニーリングすることによって形成されてもよい。さらに他の実施の形態において、SiGe表面層は、Si基板をGe含有ガスで露光して、露光中及び/又は露光後にこの構造物をアニーリングすることで形成してもよい。
【0024】
段階240では、SiGe表面層の形成に続き、高誘電率層がSiGe表面層上に堆積される。高誘電率層は、熱化学気相成長法(TCVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、原子層堆積法(ALCVD)、プラズマ原子層蒸着法(PEALD)、又は、スパッタリングとしても知られる物理気相成長法(PVD)、といった様々な公知の堆積方法を用いて形成されてもよい。多くの半導体装置に対して、高誘電率層180は、約100オングストローム未満であり、より好ましくは約5オングストロームと約50オングストローム厚さの間であってもよい。
【0025】
CVDを用いて金属シリケート又は金属酸化物といった高誘電率層を堆積するとき、金属含有前駆体を有する処理ガスは、加熱された基板を備える処理チャンバ中に導入され得る。基板は、高誘電率層の所望の堆積がなされる期間中に処理ガスで露光される。処理ガスは、キャリアガス(例えば不活性ガス)及び/又は酸化剤ガスをさらに含んでもよい。不活性ガスは、Ar,He,Kr,Xe,Nのうち少なくとも1つを含んでもよい。不活性ガスの添加によって、例えば、処理ガスが希釈でき、処理ガス分圧が調整され得る。酸化剤ガスは、例えば、O,O,HO,H,NO,NO,NOの少なくとも1つを含む酸素含有ガスを含んでいてもよい。堆積処理における酸素含有ガスの役割は、任意の酸素空孔を充填することであり、又は、金属含有前駆体を化学的に変性することでありうる。この変性は、ガス相中又は堆積表面上の金属酸化物前駆体との酸素含有ガスの相互作用を含みうる。
【0026】
基板の処理中に、酸化層は、高誘電率層とSiGe表面層の未反応部位との間に形成される。酸化層は、段階240での高誘電率層の堆積中に、又は段階250でのアニーリング処理中に、又はいずれもの段階中に、形成されうる。アニーリング処理は、不活性ガスを含む処理ガスを用いて行われてもよく、あるいは、処理ガスは、O,O,HO,H,NO,NO,NOの少なくとも1つを含む酸素含有ガスをさらに含んでもよい。酸化層は、誘電体層が金属酸化物であるような高誘電率層からその下層のSiGe表面層への酸素拡散によって段階240で堆積中に形成されてもよく、酸化条件下において酸素含有ガスで露光することでSiGe表面層の酸化から形成されてもよい。同じように、酸化層は、高誘電率層からSiGe表面層への酸素拡散によって、又は、SiGe表面層の酸化から酸化条件下において酸素含有ガスで露光することによって、段階250でアニーリング処理中に形成されうる。SiGe表面層の酸化は、SiOとGeOの生成熱における大きなGeOよりもSiOで主に形成され得る。結果として、酸化層は、SiOを含むことが好ましく、酸化物から離れたGe拡散は、酸化物−SiGe表面層界面(接触面)でGe−rich領域を形成し得る。段階250でのアニーリング処理によって、SiGe表面層におけるGe分布がさらに均一化でき、優れた構造的及び電気的特性を備えるSiO2/SiGe界面が形成できる。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態によって基板上にSiGe表面層を形成するためのバッチ型処理システムの概略ブロック線図である。バッチ型処理システム100は、処理チャンバ102、ガス注入システム104、ヒータ122、真空ポンプシステム106、処理監視システム108、コントローラー124、を備える。複数の基板110が、処理チャンバ102中に搭載され得るし、基板ホルダー112を用いて処理され得る。さらに、処理チャンバ102は、外部区域114及び内部区域116を有する。本発明の一実施の形態において、内部区域116は、処理チューブであってもよい。
【0028】
ガス注入システム104は、処理チャンバ102に排出するために、そして、基板110を用意し、クリーニングし、処理するために、処理チャンバ102中にガスを導入しうる。ガス注入システム104は、(SiCl)といったシリコン含有液体を蒸発するための気化器を含む、液体移送システム(LDS)(図示せず)を例えば備えてもよい。蒸発した液体は、キャリアガスを活用して処理チャンバ102中に流入しうる。あるいは、ガス注入システムは、シリコン含有液体を含有する容器を介してキャリアガスを泡立てるバブリングシステムを含んでいてもよい。加えて、ガス注入システム104は、高圧容器からシラン(SiH)等といったガス状のシリコンを含有するガスを流すように構成されうる。さらに、上述したガス流は、例えば、不活性ガスを含んでもよい。複数のガス供給ラインは、処理チャンバ102中にガスを流すように配置されうる。ガスは、内部区域116で画定される、容積118中に導入されて、基板110を露光し得る。その後、ガスは、内部区域116と外部区域114とで画定される、容積120中に流入して、真空圧送システム106で処理チャンバ102から排出される。
【0029】
基板110は、処理チャンバ102中に搭載されて、基板ホルダー112を用いて処理され得る。バッチ型処理システム100は、多数の密に積層された基板110を処理し、これにより、高い基板スループットをもたらすことを可能とする。基板バッチサイズは、例えば、約100又はこれ未満の基板(ウエハ)であってもよい。あるいは、バッチサイズは、約25又はこれ未満の基板であってもよい。処理チャンバ102は、例えば、200mm基板、300mm基板、又はより大きい基板といった、任意のサイズの基板を処理できる。基板110は、例えば、半導体基板(例えば、シリコン又は化合物半導体)、LCD基板、ガラス基板を備えてもよい。
【0030】
バッチ型処理システム100は、バッチ型処理システム100からのモニタ出力と同様に、バッチ型処理システム100と通信してその入力作動に十分な制御電圧を生成可能なコントローラー124によって制御され得る。さらに、コントローラー124は、処理チャンバ102、ガス注入システム104、ヒータ122、処理監視システム108、真空圧送システム106に連結されて、情報を交換可能としてもよい。例えば、コントローラー124のメモリに格納されたプログラムは、貯蔵された処理レシピによってバッチ型処理システム100の前述の部材を制御するように活用されうる。コントローラー124の1例は、DELL PRECISION WORKSTATION 610TMであり、テキサス州ダラスのDELL株式会社から入手可能である。
【0031】
リアルタイム処理監視システムは、処理監視システム108を用いて行われうる。概して、処理監視システム108は、多用途の監視システムであり、例えば、質量分析器(MS)、フーリエ変換赤外分光(FTIR)器を備えていてもよい。処理監視システム108は、処理環境中におけるガス状化学種の定性的及び定量的分析を提供し得る。監視され得る処理パラメータには、ガス流、ガス圧、ガス種間の比、ガス純度が含まれる。これらのパラメータは、堆積されたシリコン含有膜の前の処理結果と、様々な物理特性とに相関し得る。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態によって基板上のSiGe表面層を形成するための他のバッチ型処理システムの概略ブロック線図を示す。バッチ型処理システム1は、排出パイプ80に連結された上端部と、円筒形マニホールド2のリッド27に密閉結合された下端部とを有する、処理チャンバ10及び処理チューブ25を含む。排出パイプ80は、処理システム1中を所定の大気圧又は大気圧下に保持するために、処理チューブ25から真空圧送システム88にガスを排出する。段階的な方法で(各々垂直方向の間隔で水平面に配置した)複数の基板(ウエハ)40を保持するための基板ホルダー35は、処理チューブ25中に配置される。基板ホルダー35は、リッド27を貫通してモータ28で駆動される回転シャフト21上に搭載されているターンテーブル26上に備えられる。ターンテーブル26は、膜全体の一様性を向上するための処理中に回転され得るし、あるいは、ターンテーブルは、処理中に固定されてもよい。リッド27は、反応チューブ25中に及び外に基板ホルダー35を移送するために、エレベータ22上に搭載される。リッド27が最上位置にあるとき、リッド27はマニホールド2の開口端部を閉じるように構成されている。
【0033】
複数のガス供給ラインは、ガス供給ラインを介して処理チューブ25中に複数種のガスを供給するために、マニホールド2の周囲に配置され得る。図4において、複数のガス供給ライン中における1つのガス供給ライン45だけが示されている。ガス供給ライン45は、ガス注入システム94に連結されている。円筒形の熱リフレクタ30は、反応チューブ25を覆うように配設される。熱リフレクタ30は、メインヒータ20、底部ヒータ65、頂部ヒータ15、及び排出パイプヒータ70による放出熱の損失を抑圧するための、鏡面仕上げされた内部表面を有する。螺旋状の冷却水通路(図示せず)は、冷媒通路として処理チャンバ10の壁中に形成される。
【0034】
真空圧送システム88は、真空ポンプ86、トラップ(捕集部)84、自動圧力コントローラー(APC)82を備える。真空ポンプ86は、例えば、最大20,000リッター毎秒(またはそれ以上)で圧送可能な乾燥式真空ポンプを備えてもよい。処理中において、ガスは、ガス注入システム94を介して処理チャンバ10中に導入されてもよく、そして、処理圧力はAPC82によって調整され得る。トラップ84は、未反応の前駆体材料及び副産物を処理チャンバ10から収集する。
【0035】
処理監視システム92は、リアルタイム処理の監視が可能なセンサ75を備え、例えば、MS又はFTIR器を備えてもよい。コントローラー90は、マイクロプロセッサ、メモリ、そして、処理システム1からの出力を監視するとともに処理システム1への通信及び作動入力に十分な制御電圧を生成可能である、デジタルI/Oポートを備えている。さらに、コントローラー90は、ガス注入システム94、モータ28、処理監視システム92、ヒータ20、15、65、70、真空圧送システム88に連結され、これらと情報を交換できる。図3にコントローラー124とともに示されているように、コントローラー90は、DELL PRECISION WORKSTATION 610 TMを用いてもよい。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態によって半導体装置を形成するための処理ツールを示す。処理ツール500は、基板搭載チャンバ510、520、処理システム530−560、ロボット移送システム570、及び、コントローラー580を有している。本発明の一実施の形態において、SiGe表面層の形成、高誘電率層の堆積、アニーリング処理の実行、電極層の堆積は、システム530−560から選択された単一の処理システムで実行することができる。あるいは、これらの処理は、異なる処理システムで行ってもよい。本発明の一実施の形態において、SiGe表面層の形成は処理システム540で行い、高誘電率層の堆積及びアニーリング処理は処理システム550で行い、電極層の形成は処理システム560で行ってもよい。本発明の一実施の形態において、処理システム530は、半導体装置の特徴を画定するためのプラズマエッチングシステムであってもよい。半導体装置を形成するために多重処理チャンバを使用することで、半導体装置の異なる層における二次汚染を抑制する点で有利になる。
【0037】
本発明の他の実施の形態において、処理システム530は、半導体装置の最小寸法を決定するための分析チャンバとして使用してもよい。処理チャンバ530は、例えば、カリフォルニア州サンタクララのTIMBRE Technology製の光学式デジタル表面形状測定装置(ODPTM)であってもよい。
【0038】
処理ツール500は、コントローラー580で制御されうる。コントローラー580は、基板搭載チャンバ510、520、処理チャンバ530−560、ロボット移送システム570に連結されて、これらと情報を交換できる。例えば、コントローラー580のメモリに格納されたプログラムは、所望の処理によって処理ツール500の上述した部品を制御するために、そして、処理の監視に関連した任意の機能を行うために、使用され得る。コントローラー570の一例は、DELL PRECISION WORKSTATION 610 TMであり、テキサス州ダラスのDELL株式会社から入手可能である。
【0039】
本発明の一実施の形態において、少なくとも1つの処理システム530−560は、バッチ型処理システム又は単一のウエハ処理システムを備えてもよい。本発明の他の実施の形態において、少なくとも1つの処理システム530−560は、熱処理システム、プラズマ処理システム、又は、原子層堆積システム、を備えてもよい。
【0040】
上述では本発明の特定の実施の形態のみを説明してきたが、本発明の新規な教示及び利点から著しく離れることなく、例示的な実施の形態において多くの修正が可能であることを当業者は容易に認識するであろう。従って、このような修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図されているものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】本発明の実施の形態を行ったときに形成され得る構造の断面図を示す。
【図1B】本発明の実施の形態を行ったときに形成され得る構造の断面図を示す。
【図1C】本発明の実施の形態を行ったときに形成され得る構造の断面図を示す。
【図1D】本発明の実施の形態を行ったときに形成され得る構造の断面図を示す。
【図1E】本発明の実施の形態を行ったときに形成され得る構造の断面図を示す。
【図2】本発明の実施の形態によってSiGe表面層を含む微小構造を形成するためのフローチャートを示す。
【図3】本発明の実施の形態によってSiGe表面層を形成するためのバッチ型処理システムの概略ブロック線図を示す。
【図4】本発明の実施の形態によってSiGe表面層を形成するための他のバッチ型処理システムの概略ブロック線図を示す。
【図5】本発明の実施の形態によって半導体装置を形成するための処理ツールを示す。
【符号の説明】
【0042】
1 バッチ型処理システム
2 円筒形マニホールド
10 処理チャンバ
15 頂部ヒータ
20 メインヒータ
21 回転シャフト
22 エレベータ
25 処理チューブ
26 ターンテーブル
27 リッド
28 モータ
30 熱リフレクタ
35 基板ホルダー
40 基板(ウエハ)
65 底部ヒータ
80 排出パイプ
82 自動圧力コントローラー(APC)
84 トラップ(捕集部)
86 真空ポンプ
88 真空圧送システム
100 バッチ型処理システム
102 処理チャンバ
104 ガス注入システム
106 真空圧送システム
108 処理監視システム
110 基板
112 基板ホルダー
114 外部区域
116 内部区域
122 ヒータ
124 コントローラー
150 基板
160 SiGe表面層
170 高誘電率層(酸化層)
180 高誘電率層
190 ゲート電極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を形成する方法であって、
基板を供給する段階と、
前記基板上にSiGe表面層を形成する段階と、
前記SiGe表面層上に高誘電率層を堆積する段階と、
前記高誘電率層とSiGe表面層の未反応部位との間に酸化層を形成する段階と、
前記高誘電率層上に電極層を形成する段階と、
を含み、
前記酸化層は、前記堆積する段階と前記堆積する段階後のアニーリング処理とのいずれか、又はいずれもの間に形成される、方法。
【請求項2】
前記基板は、SiGe表面層を形成する段階に先立って、初期酸化層で供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記SiGe表面層を形成する段階は、
熱化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、原子層堆積法、スパッタリングを行う段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SiGe表面層を形成する段階は、
Ge含有ガスを含む処理ガスで基板を露光する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Ge含有ガスは、GeH又はGeClの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記露光する段階中若しくは前記露光する段階後のいずれか、又は、前記露光する段階中及び前記露光する段階後のいずれもにおいて、基板をアニーリングする段階をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記処理ガスは、さらにSi含有ガスを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記Si含有ガスは、SiH、Si、又は、SiHClのうち少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記SiGe表面層のGe含量は、約10原子パーセント未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記SiGe表面層は、それぞれ異なるGe含量を有する複数のSiGe副層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記SiGe表面層は、Ge含量を連続的に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記SiGe表面層は、約10at.%未満の平均Ge含量を有している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記SiGe表面層は、約1000オングストローム厚さ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記SiGe表面層は、約10オングストロームと約300オングストローム厚さの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記高誘電率層は、HfO、HfSiO、ZrO、ZrSiO、TiO、Ta、Al、又は、SiNのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記高誘電率層は、約5オングストロームと約60オングストローム厚さの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記供給する段階は、単一ウエハ処理システムのうち1つの処理チャンバ中と、バッチ型処理システムの処理チャンバ中とに、Si基板を導入する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記電極及び前記高誘電率層をエッチングする段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化層は、アニーリング処理中に酸素含有ガスで基板を露光することで、形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
半導体装置を形成する方法であって、
基板を供給する段階と、
前記基板上にSiGe表面層を形成する段階と、
前記SiGe表面層上に高誘電率層を堆積する段階と、
上部にSiGe表面層と高誘電率層とを有する基板をアニーリングする段階と、
前記高誘電率層上に電極層を形成する段階と、
を含み、
前記堆積する段階及び前記アニーリングする段階のうち少なくとも1つは、
前記基板を酸素含有ガスで露光して、前記高誘電率層とSiGe表面層の未反応部位との間に酸化層を形成する段階を、含む、方法。
【請求項21】
半導体装置であって、
未反応部位を有するSiGe表面層を有する基板と、
前記SiGe表面層上の高誘電率層と、
前記高誘電率層とSiGe表面層の未反応部位との間の酸化層と、
前記高誘電率層上の電極と、を備える、
半導体装置。
【請求項22】
前記SiGe表面層のGe含量は、約10at.%未満である、請求項21に記載の半導体装置。
【請求項23】
半導体装置を形成するための処理ツールであって、
基板上にSiGe表面層を形成し、前記SiGe表面層上に高誘電率層を堆積し、前記高誘電率層上に電極層を形成し、前記基板をアニールし、前記堆積中若しくは前記堆積後のいずれか、又は、前記堆積中及び前記堆積後のいずれもの間で、前記高誘電率層と前記SiGe表面層の未反応部位との間に酸化層を形成するように、構成された、少なくとも1つの処理システムと、
前記基板を移送するように構成された、移送システムと、
前記処理ツールを制御するように構成された、コントローラーと、を備えた、処理ツール。
【請求項24】
前記少なくとも1つの処理システムは、単一ウエハ処理システム、又は、バッチ型処理システムの少なくとも1つを備える、請求項23に記載の処理ツール。
【請求項25】
半導体装置を形成するための処理ツールであって、
基板上にSiGe表面層を形成するための手段と、
前記SiGe表面層上に高誘電率層を堆積するための手段と、
アニーリング処理を行うための手段と、
前記基板を移送するための手段と、
前記堆積中若しくは前記アニーリング処理中のいずれか、又は、前記堆積中及び前記アニーリング処理中のいずれもの間で、前記高誘電率層と前記SiGe表面層の未反応部位との間に酸化層を形成するように、前記処理ツールを制御するための手段と、を備えた、処理ツール。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−528602(P2007−528602A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502797(P2007−502797)
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/000661
【国際公開番号】WO2005/096358
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】