説明

高輝度放電ランプ

【課題】始動性能改善物質を利用することなく、簡単な作業で良好な始動性能を安定して得ることができる高輝度放電ランプを提供する。
【解決手段】ランプは、本管部の両側に一対の細管部46が設けられてなる発光管30と、帯状をした金属板を有する近接導体78とを備え、近接導体78は、金属板における長手方向の中間から一端手前までの部分が一方の細管部46の外周面を把持可能な形状をした把持部92であると共に前記一端が自由端となっており、把持部92は、細管部46の外周面の周方向に沿って且つ外周面に接触して設けられ、細管部46における拡径に伴って弾性変形可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度放電ランプの始動性能の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水銀ランプ、金属蒸気放電ランプ等の高輝度放電ランプの始動性能を改善する技術として、例えば、始動性能改善物質を発光管内に封入する技術(特許文献1)、近接導体を発光管に設ける技術(特許文献2〜8)等がある。
近接導体としては、金属製の素線を利用したもの(特許文献2〜6)、導電膜を利用したもの(特許文献7)、金属板を利用したもの(特許文献8)等がある。
【0003】
素線を利用する特許文献2〜6には、発光管の細管部に対し、素線をコイル状(複数回)に巻き付ける技術、素線を1回巻き付ける技術、素線を3/4周あるいは5/8周巻き付ける技術が記載されている。
導電膜を利用する特許文献7には、発光管の細管部に導電膜を形成し、当該導電膜と電力供給線とを金属ワイヤで接続する技術が記載されている。
【0004】
金属板を利用する特許文献8には、帯状の金属板の中央部を折り返すと共に当該折り返しにより互いに対向することとなった対向部分に発光管の細管部形状に合わせた凹入(湾曲)部分を形成し、当該凹入部分で細管部を挟んだ状態で、対向し合う金属板の端部同士を溶接する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−347060号公報
【特許文献2】特開2000−30663号公報
【特許文献3】特許第4135050号公報
【特許文献4】特開2001−345075号公報
【特許文献5】特開2002−175780号公報
【特許文献6】特開2007−73436号公報
【特許文献7】特開2001−345076号公報
【特許文献8】特開2001−283781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術の実用には以下のような問題がある。
特許文献1に記載の技術では、始動性能は改善するものの、クリプトン85(Kr85)等の物質を利用するため、環境上の問題がある。
特許文献2〜6に記載の技術では、細管部との接触が線接触となり、始動性能(始動電圧)が安定しないという問題がある他、素線をコイル状にした場合も、コイルのピッチばらつきにより始動電圧が安定しないという問題がある。
【0007】
特許文献7に記載の技術では、細管部との間で安定した接触面積を確保できるため、始動電圧が安定し、良好な始動性能を得ることができる。しかしながら、金属ワイヤによる導電膜と電力供給線との接続が困難である上、搬送時に導電膜と電力供給線との接続が外れるようなことが生じ得る。
特許文献8に記載の技術では、金属板を利用しているため細管部との接触面積を安定して確保でき、良好な始動性能を得ることができるが、細管部を挟んだ状態で対向部分を溶接しているため、その溶接作業が煩わしかったり、点灯時の細管部の熱膨張等により対向部の溶接が外れたり等する問題が生じ得る。
【0008】
本発明は、始動性能改善物質を利用することなく、簡単な作業で良好な始動性能を安定して得ることができる高輝度放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る高輝度放電ランプは、本管部の両側に一対の細管部が設けられてなる発光管と、帯状をした金属板を有する近接導体とを備え、前記金属板は一方の細管部の外周面を把持可能な形状をした把持部を含むと共に一端が自由端であり、前記把持部は、前記外周面の周方向に沿って且つ前記外周面に接触して設けられ、前記一方の細管部における拡径に伴って弾性変形可能であることを特徴としている。
【0010】
ここでいう「高輝度放電ランプ」には、高圧放電ランプ、金属蒸気放電ランプを含む概念である。また、「細管部における拡径に伴って弾性変形可能である」とは、細管部の拡径によって把持部が弾性変形できるか否かは、金属板の厚みや材料、細管部の外径、把持部の形状(剛性)等のパラメータによって決定されるものであるが、ここでは、これらのパラメータを考慮した上で弾性変形できる構成であれば良いことを意味する。「細管部の拡径」とは、細管部の外径が拡大することあるいは細管部の外周長さが拡大する(長くなる)ことをいい、細管部が拡径するのは、点灯時(点灯開始時及び点灯中を含む。)の熱膨張による。
【0011】
さらに、近接導体は、金属板を有していれば良く、また、接導体は、金属板の他端が近接導体を支持する支持部材に直接支持されていても良いし、他の部材(例えば、金属棒)を介して支持部材により支持されても良い。つまり、金属板の他端が支持部材に固着されていても良いし、金属板の他端が支持部材に固着された介在部材に固着されても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る高輝度放電ランプは、近接導体の把持部が細管部の外周面の周方向に沿って且つこの外周面に接触して設けられているため、細管部との間で安定した接触面積を確保でき、結果的に安定した良好な始動性能を得ることができる。
さらに、把持部が細管部の拡径に伴って弾性変形可能であると共に、金属板の一端が自由端であるため、点灯により細管部が拡径しても、金属板は細管部の拡径に従って弾性変形する。これによって細管部にクラックが発生するような近接導体による締め付けの応力は点灯中であっても作用することがない。
【0013】
また、前記発光管は、前記一対の細管部のそれぞれにより保持されている電極を前記本管部内に有すると共に前記電極に電力を供給する一対の電力供給線により支持され、前記近接導体の金属板の他端部が、他方の細管部により保持されている電極に電力を供給する電力供給線に固定されていることを特徴とし、あるいは、前記近接導体が固定されている電力供給線は、前記発光管の管軸方向に沿って配されていると共に前記本管部に対応する部分が前記管軸と直交する方向に屈曲又は湾曲して外方へと張り出しており、前記近接導体は、前記電力供給線における屈曲部又は湾曲部を含む部分に固定されていることを特徴とそれぞれしている。
【0014】
さらに、前記一方の細管部は円筒形状をし、前記把持部の横断面形状が前記一方の細管部と同じ曲率で湾曲するC形状であることを特徴とし、あるいは、前記把持部の範囲は、前記一方の細管部の管軸回りに190°以上300°以下の範囲であることを特徴し、また、前記金属板の厚みが、0.1mm以上0.3mm以下の範囲であることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係るメタルハライドランプを備える照明装置の全体図であり、反射体の内部が分かるように一部を切り欠いた図。
【図2】実施の形態に係るランプの正面図。
【図3】発光管の正面断面図。
【図4】近接導体を説明する斜視図。
【図5】ランプの一端部側の断面図。
【図6】図2のA−A断面を矢印方向から近接導体周辺を見た図。
【図7】近接導体の厚みと円弧角度B1を変更して、細管部の把持部へのはめ込み易さ、密着性の良し悪しを実験した結果を示す図。
【図8】図7の結果を、厚みと角度とのxy座標で表した図。
【図9】近接導体の配置位置を説明するための図。
【図10】近接導体の位置・幅の組み合わせにおける始動性能を示す図。
【図11】変形例1に係る近接導体を示す概略図。
【図12】変形例2に係る近接導体を示す概略図。
【図13】変形例3に係る近接導体を示す概略図。
【図14】変形例4に係る近接導体を示す概略図。
【図15】変形例5に係る近接導体を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るメタルハライドランプについてそれぞれ図面を参照しながら説明する。
1.構成
(1)照明装置
まず、実施の形態に係るメタルハライドランプ(以下、単に「ランプ」ともいう。)を備える照明装置の一例について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るメタルハライドランプを備える照明装置10の全体図であり、照明器具12の内部が分かるように一部を切り欠いている。
照明装置10は、図1に示すように、照明器具12と当該照明器具12に装着されるランプ14とで構成される。なお、当該照明器具12は、スポットライト用であるが、実施の形態に係るメタルハライドランプは、所謂、ベースライトのような他の用途の照明器具にも装着・使用される。
【0018】
照明器具12は、内部に配置されたランプ14から発せられた光を前方に反射させる反射体16と、反射体16内に組み込まれ且つランプ14が取り付けられるソケット(図示省略)と、反射体16を壁や天井に取着するための取着具18とを備える。
反射体16は、図に示すように、凹状の反射面20を備えている。この反射面20は、例えば、アルミ鏡を利用することで構成される。なお、この反射体16は、その開口(光取り出し口)22がガラス板等によって塞がれていない、所謂、(前面)開放型である。
【0019】
ソケットは、ランプ14の口金と電気的に接続され、ランプ14に電力を供給する。なお、ランプ14を点灯させるための安定器(不図示)は、例えば、天井内(又は天井裏)に埋め込まれる等しており、供給線24を介してランプ14に給電を行う。
取着具18は、例えば、「コ」字形状をしており、並行に配された一対のアーム26(,26)と、一対のアーム26(,26)の一端同士を連結する連結部(図示省略)とを有し、一対のアーム26(,26)間に反射体16を挟んだ状態で、反射体16がアーム26(,26)に対し回動自在に軸支され、連結部が、例えば、壁や天井に取り付けられる。なお、照明装置10から放射される光の向きは、反射体16に対して回動自在な取着具18を回動させることによって調節できる。
(2)ランプ
図2は、実施の形態に係るランプ14の正面図である。
【0020】
ランプ14は、内部に一対の電極を有し、放電空間を形成している発光管30と、当該発光管30を収納する気密容器である内管32と、当該内管32に被せられた保護容器である外管34とを備える三重管構造であって、照明器具12のソケットから給電を受けるための口金36、内管32の外管34に対するズレ防止用の位置決め部材37、発光管30に電力を供給すると共に発光管30を支持する一対の電力供給線38,40等をさらに有する。
【0021】
図3は、発光管30の正面断面図である。
発光管30は、内部に気密封止された放電空間42を有する本管部44と当該本管部44の管軸方向両側に延出するように形成された細管部46,48とからなる外囲器50を有している。
本管部44及び細管部46,48は、例えば、透光性セラミックで形成され、当該発光管30は、例えば、セラミック発光管とも称される。透光性セラミックには、例えば、多結晶性のアルミナセラミックを用いることができる。なお、他のセラミック、あるいは、石英ガラス等で構成しても良い。
【0022】
本管部44は、放電空間42の内部で、ランプ14の長手方向の中心軸(以下、単に、「ランプ軸」ともいう。)上、あるいはランプ軸と平行な軸上で、互いに略対向する一対の電極52,54を備える。
放電空間42には、発光物質である金属ハロゲン化物、始動補助ガスである希ガス及び緩衝ガスである水銀がそれぞれ所定量封入されている。金属ハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化ナトリウムやヨウ化ジスプロシウム、ヨウ化セリウムを含む混合ヨウ化物を用いている。なお、金属ハロゲン化物は、ランプ14の発光色に対応して適宜決定される。
【0023】
電極52,54は、図3に示すように、電極棒56,58と、電極棒56,58の先端側(放電空間42側)の端部に設けられた電極コイル60,62とを備えている。なお、電極棒56,58と細管部46,48との隙間には、発光物質の前記隙間への浸入を防ぐためのモリブデンコイル64,66が電極棒56,58に巻装された状態で挿入されている。
【0024】
なお、電極52,54は、理想的(設計的)には上述した通り、ランプ軸上で互いに対向するように、つまり、電極棒56,58の中心軸とランプ軸とが一致する(一直線上にある。)ように配置される。しかし、実際には、そのプロセスの精度上、前記中心軸とランプ軸とが一致しない場合もある。
細管部46,48は円筒形状をし、その各々には先端部(本管部44と反対側端部である。)に前記各電極52,54が接合された給電体68,70が挿入されている。給電体68,70は、それぞれの細管部46,48における先端部分に流し込まれたフリットからなるシール材72,74によって封着されている。
【0025】
ランプ14の説明に戻る。
内管32は、図2に示すように、有底筒状をし、内部に、発光管30の他、当該発光管30の管軸の延伸する方向と略平行に延伸する一対の電力供給線38,40、内管32の内部の不純物を吸着するためのゲッタ76、発光管30の始動性能を向上させる近接導体78、電力供給線38の一部を被覆する石英ガラス管80等を格納する状態で、開口端部が圧潰封止されている。なお、圧潰封止されている部分を封止部82とし、封止部82により内管32内が気密封止されることとなる。
【0026】
一対の電力供給線38,40は、上述したように発光管30に電力を供給するためのもので、内管32の封止部82により支持される。
一対の電力供給線38,40は、それぞれ長さが異なっている。長い方の電力供給線38は、発光管30の外面に沿って延伸し、発光管30の本管部44のところで外側(発光管の管軸と直交する方向の外方である。)へと張り出している。この張り出し部分を張り出し部84とし、張り出し部84を構成するために屈曲している部分を屈曲部86,88とする。なお、張り出し部84を構成するための屈曲部86,88に代えて円弧状に湾曲する湾曲部であっても良い。
【0027】
長い方の電力供給線38は、発光管30の細管部48から延出している給電体70に、短い方の電力供給線40は発光管30の細管部46から延出している給電体68にそれぞれ接続されている。なお、この接続により、発光管30が内管32内で保持されることとなる。
電力供給線38には、内管32の先端部(封止部82と反対側の端部である。)側から、ゲッタ76、近接導体78、石英ガラス管80がこの順で装着されている。
【0028】
ゲッタ76は、発光管30の細管部48と、当該細管部48と平行して延伸する電力供給線38とに跨る状態で電力供給線38に固着されている。なお、細管部48は、内管32の封止部82から離れた側、つまり、内管32の先端部に近い側の細管部である。また、ゲッタ76の固着は、例えば、溶接により行われる。
近接導体78は、帯状をした金属板からなり、当該金属板における長手方向の中間から一端手前までの部分が一方の細管部である細管部46の外周面をその周方向に沿って這設されて細管部46の外周面に接触している。上記の中間から一端手前までの部分は、細管部46の外周面を把持可能な形状をした把持部(92)である。
【0029】
そして、この近接導体78の把持部(92)は、細管部46の点灯時の熱による径方向の膨張に従って弾性変形可能であると共に金属板の一端が自由端とされていて細管部46の膨張に伴って拡径が許容されている。
図4は、近接導体78を説明する斜視図である。
近接導体78は、一枚の帯状の金属板から構成され、電力供給線38に固着される固着部90と、固着部90の一端から細管部46の外周に沿って延出し且つ当該細管部46と接触する上述の把持部92と、把持部92の一端から径方向の外方へと屈曲している屈曲部93とを備える。
【0030】
把持部92は、ランプ点灯時の細管部46の径方向の膨張に従って、細管部46の外周面と接触しつつ拡径可能な構成となっている(把持部92は、外周面の周方向に沿って且つ外周面に接触して設けられ、細管部46における拡径に伴って弾性変形可能な構成となっている。)。
つまり、把持部92は、固着部90の一端から細管部46の外周面に沿って固着部90の手前まで延伸(湾曲)し、その延出先端(屈曲部93)が自由端(金属板の一端部が自由端である。)となっている。
【0031】
把持部92は、円筒状の細管部46の外周面の曲率と同じ曲率、あるいは外周面の曲率よりも若干小さい曲率(例えば、3%)で湾曲している。なお、近接導体78を細管部46に装着したときに、把持部92が細管部46に接触する角度(後述の円弧角度である)が190(度)以上300(度)以下となるようにするのが好ましい。
なお、近接導体78は、点灯時の細管部46の径方向の熱膨張に対して拡径変形(なお、この変形は弾性変形である。)できる剛性である(具体的には、金属板の厚みが変形できる程度の厚みである。)。
【0032】
固着部90は、電力供給線38の直線部から屈曲部86に跨るように配され、この状態で溶接されている。これにより、近接導体78は、電力供給線38のうち、屈曲することにより剛性が他の部分(直線部分である。)よりも高くなった部位に固着されることになり、電力供給線38が近接導体78の装着により湾曲するようなことを防ぐことができる他、内管32を封止する際にも発光管30と電力供給線38との間隔を維持できる。
【0033】
石英ガラス管80は、電力供給線38における封止部82と近接導体78を固着している部分との間を被覆する状態で、前記電力供給線38が挿設されている。
図2に戻って、上記の電力供給線38,40は、それぞれ金属箔94,96、リード線98,100を介して口金36の口金ピン102,104に接続されている。なお、金属箔94,96の両端は、封止部82の内部において、電力供給線38,40の一端と、リード線98,100の他端とにそれぞれ接続(溶接)され、リード線98,100が封止部82から延出する。
【0034】
内管32の他端部の先端にある凸部は、当該内管32内を真空引きする際に用いた排気管の残部であるチップオフ部105である。なお、内管32内を真空にするのは、ランプ点灯時に高温にさらされる給電体68,70、電力供給線38,40、近接導体78等の酸化を防止するためである。
内管32には、図2に示すように有底筒状(すなわち、一端が開口され他端が閉塞されてなる筒状である。)をした外管34が被せられている。なお、内管32の外管に対する装着方法当は後述する。
【0035】
位置決め部材37は、外管34に対する内管32の軸ズレを防止するためのもので、内管32の他端部と外管34との間に設けられている。この位置決め部材37は、具体的には、内管32の他端部側の外周面と外管34の他端部側の内周面との間の距離(隙間)を直径とする素線から構成されたコイルであり、このコイルは、内管32の他端部の形状に合わせて、先細り形状となっている。
【0036】
外管34は、保護管として機能する他、発光管30から発せられて内管32を透過した光のうち、ランプから放射されると人体等に影響を及ぼす紫外線を吸収する機能も有している。
図5は、ランプの一端部側の断面図である。
図5では、内管を一体のものとして全体を1つのハッチングで現している。
【0037】
内管32は、口金36により支持された状態で外管34内に挿入され、口金36と外管34とが接着剤(例えば、セメントである。)109により固着されている。
口金36は、円柱状の本体部106と、本体部106の中心軸方向の略中央部分の全周から外方へと張り出す鍔部108と、本体部106の一端面106aから下方へと張り出す一対の口金ピン102,104とを備えている。
【0038】
本体部106は、その他端側に内管32の封止部82に対応する溝106bを有している。そして、この溝106bに封止部82が挿入(あるいは、挿入状態で接着剤より固着されている場合もある。)支持された状態で、外管34の一端面が口金36の鍔部108に当接するように、内管32に外管34が被せられている。本体部106の外周面106cと外管34の内周面との間に存する接着剤109により両者が結合している。
2.近接導体の細管部への装着
近接導体78の細管部46への装着方法の一例を説明する。ここで、近接導体78の把持部92はC型に湾曲しており、「C」の開口した部分を単に「開口」とする。
【0039】
まず、把持部92内に細管部46をはめるために、近接導体78の開口を拡げる。このとき、屈曲部93を把持して開口を拡げることができるため、操作性良く行うことができる。但し、この開口を拡げる際の把持部92の変形は弾性変形域内である。
開口が拡がると、当該拡がった開口から細管部46をはめ込む。近接導体78の開口寸法は、細管部46の外径よりも小さいが、細管部46をはめ込む際には細管部46の外径と同じまで拡がる(把持部が拡径する。)。この際の変形も弾性変形域である。
【0040】
これにより、近接導体78の細管部への装着が終了し、近接導体78の細管部46に対する位置決めを行った後に、近接導体78の固着部90を電力供給線38に固着(例えば溶接)する。
なお、近接導体78の細管部46への装着は、上記以外に、例えば、細管部46の端を、把持部92内に挿入して、近接導体78を細管部46の所定の位置まで移動させる等の方法でも実施できる。
3.使用状態
図6は、図2のA−A断面を矢印方向から近接導体周辺を見た図であり、(a)は点灯前の状態を示し、(b)は点灯中の状態を示す。なお、細管部は点灯中に径方向へ膨張するが、図6の(b)では細管部の膨張を表していない。
【0041】
近接導体78の把持部92は、ランプ消灯状態では、図6の(a)に示すようにB1の領域で細管部46の外周面と接触し、ランプ点灯状態では(b)に示すようにB2の領域で細管部46と接触するようになる。
上記説明を換言して行うと、把持部92は、消灯状態では図6の(a)に示すように固着部90と延出先端93との間の角度がA1であったのが、点灯により細管部46が径方向に熱膨張すると、固着部90と延出先端93との間の角度がA2へと広がる。
【0042】
このように、近接導体78は、消灯状態では把持部92が広い範囲で細管部46の外周面に接触しているため、ランプ14を始動させた際に、近接導体78と電極52との間で絶縁破壊がしやすくなり、安定した始動性能を得ることができる。
一方、発光管30内で放電が開始し、やがて定常点灯となる。点灯状態の発光管30の温度は、消灯状態の発光管30の温度に比べて高く(点灯時の発光管30の本体部106付近の温度は、ランプの仕様や点灯常時のランプの姿勢により異なるが、900(℃)〜1000(℃)程度まで上昇する。)、細管部46を含む発光管30が熱膨張する。
【0043】
この際、近接導体78は、上述したように、細管部46の径方向の膨張に従って把持部92が細管部46の外周面に沿ってスライドし、結果的に、図6の(b)に示すように拡径する。つまり、近接導体78の把持部92は、細管部46の熱膨張を許容しつつ弾性的に拡径する。これにより、点灯時に細管部46に作用する近接導体78により締め付け(圧縮)応力が低く、細管部46にクラック等が発生するのを未然に防ぐことができる。
4.実施例
上記実施の形態に係るランプの実施例について以下説明する。
【0044】
ここで説明するランプ14の一例は、消費電力が70(W)であり、ランプ14の全長が約90(mm)〜120(mm)である(使用する口金36等により若干変化する)。
発光管30は、その本管部44の外径が9.7(mm)であり、その厚みが0.6(mm)である。細管部46,48の外径が2.63(mm)であり、その厚みが0.9(mm)である。
【0045】
本管部44及び細管部46,48は、多結晶性のアルミナセラミックにより構成されている。
ここでの外囲器50は、本管部(44)の半分と細管部46,48とが一体成形された2つの成形品を、例えば、本管部(44)の半分の突き合わさる部分同士をペースト状のアルミナで接合し焼結させて一体化することで得ている。
【0046】
電極52,54は、電極コイル60,62としてモリブデン材料の素線が用いられ、コイルの外径が0.70(mm)である。電極棒56,58としては直径0.35(mm)のタングステン材料が用いられている。
電極コイル60,62とモリブデンコイル64,66とのランプ軸方向の距離(図9の「L1」である。)は2.45(mm)である。また、モリブデンコイル64,66における電極コイル60,62側の端と、細管部46,48の先端(本管部44と反対側の端)とのランプ軸方向の距離(図9の「L2」である。)は12.75(mm)である。
【0047】
近接導体78は、厚みが0.1(mm)のモリブデン製の薄板が用いられ、近接導体78の幅(金属板の短手方向の寸法である。)は3.0(mm)で、長さ(金属板の長手方向の寸法である。)は4.2(mm)である。
把持部92は、細管部46の管軸回りに沿って265(度)の範囲で這設し(この角度を、「円弧角度」といい、図6の(a)における「B1」である。)、この範囲で細管部46の外周面に接触している。なお、近接導体78における幅方向の端であって本管部44側の端と、モリブデンコイル64における電極コイル60側の端とのランプ軸方向の距離(図9の「L3」である。)が0.6(mm)である。
【0048】
電力供給線38は、直径0.6(mm)のモリブデン製の素線が用いられ、細管部46の管軸と電力供給線38との距離(図4の「L4」である。)は、3.0(mm)である。
内管32は、外径が15.5(mm)、厚みが1.25(mm)で、石英ガラスが用いられている。外管34は、外径が20.5(mm)、厚みが1.3(mm)で、硬質ガラスが用いられている。
【0049】
口金36は、所謂、スワンタイプである。
5.近接導体について
(1)近接導体の厚みと開口(円弧角度)
図7は、近接導体の厚みと円弧角度B1を変更して、把持部への細管部のはめ込み易さ、密着性の良し悪しを実験した結果を示す図である。
【0050】
図7において、円弧角度B1が190(度)以上としているのは、円弧角度B1が190(度)より小になると、把持部92で細管部46を保持することができず、把持部92と細管部46との接触面積が安定して確保できず、安定した始動特性を得ることができないためである。
はめ込み易さは、近接導体78の厚みに大きく影響をうけ、厚みが0.05(mm)では、円弧角度B1が190(度)以上360(度)以下の全範囲で、把持部92への細管部46のはめ込みが可能である。これに対し、厚みが0.5(mm)になると、円弧角度B1が190(度)の場合だけ把持部92への細管部46のはめ込みが可能となる。このように、近接導体78を構成する金属板の厚みが厚くなるに従って、把持部92への細管部46のはめ込みが困難になる。
【0051】
密着性は、厚みが0.1(mm)と0.3(mm)のときに、円弧角度B1が190(度)以上300(度)の範囲で、細管部46と把持部92との間で良好な密着性が得られている。これに対し、厚みが0.1(mm)よりも薄い0.05(mm)のときは円弧角度B1が190(度)以上240(度)の範囲で、厚みが0.3(mm)よりも厚い0.5(mm)のときは円弧角度B1が190(度)のみが、良好な密着性が得られている。
【0052】
図8は、図7の結果を、厚みと円弧角度B1とのxy座標で表した図である。
近接導体78としての操作性(作業性)及び密着性を考慮すると、同図で示すSの範囲、つまり、x軸を厚み、y軸を円弧角度B1としたときに、(x,y)が、A点(0.05,190)、B点(0.05,240)、C点(0.1,300)、D点(0.3,300)、E点(0.5,190)を順に結んで形成される範囲にある厚みと円弧角度B1であることが好ましい。
【0053】
特に、厚みが0.1(mm)以上0.3(mm)以下の範囲とすることが好ましく、この場合、高い操作性(作業性)を得ることができる。また、円弧角度B1は、190(度)以上300(度)以下の範囲とすることが好ましく、この場合、さらに安定した始動性能を得ることができる。
(2)位置
図9は、近接導体の配置位置を説明するための図である。
【0054】
近接導体78は細管部46の外周面であって本管部44に近い部分と接触するように、電力供給線(38)に固定されている。なお、図9では、モリブデンコイル64と細管部46との間に隙間が存在していないように現されているが、実際はモリブデンコイル64と細管部46との間には隙間が存在する。
近接導体78は、細管部46内のモリブデンコイル64の先端(電極コイル60が存する側の端)64aを基準にしたときに、モリブデンコイル64の先端64aの位置と、当該位置から給電体68が存する側へ2(mm)移動した位置との間の領域に、把持部92が細管部46の管軸に沿って1(mm)以上重なっていることが好ましい。
【0055】
図10は、近接導体の位置・幅の組み合わせにおける始動性能を示す図である。
同図における「L3」は、図9における「L3」を示し、「L3」が「−」の場合は、近接導体78の電極52側の端がモリブデンコイル64の先端64aよりも電極52側に位置することを示す。なお、同図の「幅」は、帯状の金属板の短手方向の寸法であり、図9における上下方向の寸法である。
【0056】
また、図中の「○」は、始動開始から5秒以内に絶縁破壊し、主放電までの移行も容易であった場合を示し、同じく「△」は、始動開始から5秒以内に絶縁破壊するが、主放電までの移行が困難であった場合を示し、「×」は、絶縁破壊まで5秒以上かかった場合を示す。
図10中において、良好な始動性能を示す「○」となったのは、近接導体78の幅が1(mm)の場合は、L3が「0」と「1」のときであり、このとき、近接導体78は、細管部46内のモリブデンコイル64の先端64aを基準にしたときに、モリブデンコイル64の先端64aの位置と、当該位置から給電体68が存する側へ2(mm)移動した位置までの領域において1(mm)重なっている。
【0057】
同様に、近接導体78の幅が2(mm)の場合及び3(mm)の場合とも、上記領域において少なくとも1(mm)は重なっている。
逆に、近接導体78が上記領域と重ならない場合、つまり、「L3」が2(mm)以上の場合、近接導体78の幅に関係なく始動性能が「△」となる。また、近接導体78の電極52に遠い側の端がモリブデンコイル64の先端64aよりも電極52側にある(近接導体78がモリブデンコイル64の先端64aよりも電極52側にある。)場合、近接導体78の幅に関係なく始動性能が「×」となる。
(3)幅、円弧角度等の組み合わせ
上記(1)では近接導体78の厚みと開口(円弧角度)について、(2)では位置について、それぞれ説明したが、近接導体78の幅、円弧角度、位置の組合せにより、以下の効果を得ることができる。なお、ここでの幅は金属板の幅を指す。
【0058】
円弧角度が190(度)以上300(度)以下の範囲で、幅が1(mm)以上であれば、発光管30を支持する支持体としての効果を得ることができる。これにより、輸送時の落下等の衝撃に対する耐衝撃性を向上させることができる。
さらに、上記円弧角度の範囲で近接導体78の幅が上記範囲であって、近接導体78の位置、具体的には、図9の「L3」が2(mm)以内の場合、発光管30における近接導体78の設置部分を保温することができる。これにより、発光物質であるヨウ化物の細管部46,48内への浸入を、モリブデンコイル64,66により抑制しているが、より一層抑制することができる。
【0059】
なお、ヨウ化物の細管部46への浸入を抑制することで、ランプ効率の向上、色変動の抑制等の効果が得られる。
<変形例>
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を実施することができる。
1.近接導体
(1)形状・構造
上記実施の形態における近接導体78の形状(構造)は一例であり、他の形状・構造であっても良い。以下、他の形状・構造を変形例として説明する。
【0060】
図11は、変形例1に係る近接導体を示す概略図である。
変形例1に係る近接導体201は、同図に示すように、電力供給線203に固着される固着部205と、細管部46の外周面に沿って当該外周面を這設する把持部207と、把持部207における固着部205と反対側の端部(この端を「把持部207の一端」とする。)から外方へ屈曲する屈曲部209とを有する。
【0061】
把持部207は、細管部46の外周面に沿って湾曲しており、細管部46の管軸方向から把持部207を見たとき(つまり、同図の(b)である。)に、実施の形態と同様にC型をしている。
屈曲部209は、C型の把持部207内に細管部46をはめ込む作業時に把持する部分でもあり、また細管部46を把持部207内へと案内するガイド機能を有している。
【0062】
実施の形態では、固着部90は把持部92に対して屈曲していたが、本変形例1では、固着部205は、把持部207の他端からそのまま直線状に延伸している。つまり、把持部207の他端における法線方向に固着部205が延伸している。
電力供給線203は、本管部44に対応する部分が外方であって固着部205の延伸する方向へと張り出す張り出し部211を有し、この張り出し部211を構成するための屈曲部213に跨るように固着部205が固着(溶接)されている。
【0063】
図12は、変形例2に係る近接導体を示す概略図である。
変形例2に係る近接導体221は、同図に示すように、電力供給線38に固着される固着部223と、細管部46の外周面に沿って這設し当該外周面に接触する把持部225と、把持部225における固着部223と反対側の端部(この端を「把持部225の一端」とする。)から外方へ屈曲する屈曲部227とを有する。
【0064】
把持部225は、細管部46の外周面に沿って所定位置で屈曲しており、細管部46の管軸方向から把持部225を見たとき(つまり、同図の(b)である。)に、実施の形態と同様にC型であって正六角形の一部を切り欠いた形をしている。本変形例2では、横断面において正六角形の辺に相当する部分で細管部46の外周面に接触している。
屈曲部227は、C型の把持部225内に細管部46をはめ込む作業時に把持する部分でもあり、また細管部46を把持部225内へと案内するガイド機能を有している。
【0065】
なお、固着部223は、実施の形態と同様に、把持部225に対して屈曲しているが、変形例1のように把持部207の他端からそのまま直線状に延伸するようにしても良い。
図13は、変形例3に係る近接導体を示す概略図であり、(a),(b)は点灯前の状態を示し、(c)点灯中の状態を示す。
変形例3に係る近接導体241は、同図に示すように、電力供給線38に固着される固着部243と、細管部46の外周面に沿って這設し当該外周面に接触する把持部245と、把持部245における固着部243と反対側の端部(この端を「把持部245の一端」とする。)から外方へ屈曲する屈曲部247とを有する。
【0066】
把持部245は、細管部46の外周面に沿って略全周に亘って這設し、把持部245の一端及び屈曲部247が把持部245の他端(もしくは固着部243)と略接触し、細管部46の管軸方向から把持部225を見たときに、同図の(b)に示すように略円環状をしている。
なお、把持部245の一端は、把持部245の他端(もしくは固着部243)に接触するものの固定されておらず、金属板の一端は自由端となっている。
【0067】
ランプが点灯した状態では、図13の(c)に示すように、細管部46の径方向の膨張により把持部245が拡径し、屈曲部247が把持部245の他端(もしくは固着部243)に対して細管部46の管軸回りに角度C2程度離れる。
なお、固着部243は、実施の形態と同様に、把持部245に対して屈曲しているが、変形例1のように、把持部207の他端からそのまま直線状に延伸するようにしても良い。
【0068】
図14は、変形例4に係る近接導体を示す概略図である。
変形例4に係る近接導体261は、同図に示すように、電力供給線263に固着される固着部265と、細管部46の外周面に沿って這設し当該外周面に接触する把持部267と、把持部267における固着部267と反対側の端部(この端を「把持部225の一端」とする。)から外方へ屈曲する屈曲部269とを有する。
【0069】
実施の形態及び変形例1〜4では、一枚の金属板により近接導体78,201,221,241が構成されていたが、本変形例4では、2枚の帯状の金属板271,273から構成されている。つまり、一方の金属板271は、把持部275と、当該把持部275の両側に存する固着部265と屈曲部269とを有し、他方の金属板273は把持部277と、当該把持部277の両側に存する取着部279と屈曲部269,269とを有する。
【0070】
2枚の金属板271,273は、他方の金属板273の取着部279が一方の金属板271の固着部265に例えば溶接により接合されている。従って、近接導体261における細管部46の外周面に接触する円弧角度(図6の(a)の「B1」に相当する。)は、一方の金属板271の把持部275が外周面に接触する円弧角度と、他方の金属板273の把持部277が外周面に接触する円弧角度との総和になる。
【0071】
なお、電力供給線263における固着部265が固着される部位は、図14の(a)に示すように張り出し部281を構成する屈曲部283の手前(封止部82に近い側である。)の直線部284である。
把持部267は、細管部46の外周に沿って円弧状に湾曲しており、細管部46の管軸方向から把持部267を見たとき(つまり、同図の(b)である。)に、実施の形態と同様にC型をしている。
【0072】
屈曲部269,269は、C型の把持部267内に細管部46をはめ込む作業時に把持する部分でもあり、また細管部46を把持部267内へと案内するガイド機能を有している。
また、変形例4では、2枚の金属板271,273を利用したが、例えば、3枚の金属板を利用しても良い。具体的には、平面視において直線状をした第1の金属板と、把持部と取着部とを有する第1及び第2の金属板とを用いて、第1及び第2の金属板の取着部を第1の金属板に接合することで実施できる。
【0073】
図15は、変形例5に係る近接導体を示す概略図である。
変形例5に係る近接導体291は、同図に示すように、電力供給線38に固着される固着部材293と、細管部46の外周面に沿って這設し当該外周面に接触して把持する把持部材295とを備える。
把持部材295は、金属板からなり、固着部材293である棒部材に固着される固着部297と、細管部46を把持する把持部299とを含む。固着部材293は、その他端が電力供給線38に固着され、一端が固着部297に固着されている。このように近接導体291は、金属板以外の部材を有しても良い。
【0074】
なお、ここでは、把持部材295は、固着部297と把持部299とを含むが、固着部が把持部にあっても良い。つまり、把持部材の把持部が固着部材の一端に直接固着されるようにしても良い。
(2)材質
実施の形態では、近接導体をモリブデンにより構成していたが、導電性を有していれば他の材料を利用することもできる。他の材料としては、ニオビウム、タングステン等がある。
(3)固着方法
実施の形態等では、例えば、近接導体78の固着部90は、電力供給線38の屈曲部86に溶接されていたが、例えば、変形例4に係る近接導体261(図14参照)のように、固着部265が電力供給線263の直線部284に溶接されていても良い。
【0075】
なお、近接導体の幅(短手方向、つまりランプ軸と平行な方向の寸法)が同じ場合、近接導体を電力供給線の屈曲部に固着すると、近接導体と電力供給線との接触面積が、直線部に固着するよりも広くなり、安定した固着力を得ることができる。また、近接導体を屈曲部に固着した場合、直線部に近接導体を固着した場合に比べ、近接導体が電力供給線の回りにねじれるのを抑制できる。
【0076】
また、電力供給線は、発光管に沿って配設されており、本管部に対応する部分が外方へ張り出している。近接導体は、電力供給線の張り出している張り出し部(84)の手前(口金側である。)に装着されているのが好ましい。ここでの「張り出し部(84)の手前」とは、張り出させるための屈曲部(86)や湾曲部を含み、さらに、屈曲部(86)や湾曲部よりも口金(36)側の直線部も含む。つまり、近接導体が電力供給線に装着されたときに、近接導体の一部が電力供給線よりも内管側に張り出すことになるが、この近接導体の張り出した部分が電力供給線の張り出し部(84)よりも張り出さない状態で装着されれば良い(張り出し部と面一もしくは細管部側に位置していれば良い)。
【0077】
このように近接導体を電力供給線に装着すると、近接導体が一枚の金属板で構成されている場合に、他方の端部が電力供給線における近接導体を固着している部分よりも外方へ(内管側へ)張り出すこととなるが、この他方の端部は電力供給線における張り出し部に比べて細管部側に位置するので、電力供給線に固着されている金属板の他方の端部が内管に接触したり、内管内に発光管等を挿入する際に内管に接触して近接導体が外れたりするようなことを少なくでき、発光管等の内管への挿入を容易に行うことができる。
2.発光管
実施の形態における発光管30を構成する外囲器50は、本管部(44)の半分と細管部46,48とが一体成形された2つの成形品を一体化したものであるが、本発明に係る外囲器は、実施の形態に係る外囲器に限定されるものではない。
【0078】
例えば、本管部と細管部とをそれぞれ別個に成形した後に焼き嵌めによって一体化したものでも良く、さらには、本管部、細管部と別個に形成するのではなく、これらが一体で成形された単一構造から構成されていても良い。
また、外囲器は、筒部材(具体的には円筒部材)と、当該筒部材の両端に焼き嵌めによって一体化されるリング部材と、当該リング部材の中央の貫通孔に一の端部が焼き嵌めによって一体化される細管部材とから構成しても良い。この場合の外囲器は、所謂、シリンドリカルタイプである。
3.内管・外管
実施の形態では、ランプは、発光管、内管、外管を備えた三重管構造のものを用いたが、発光管と外管とからなる二重管構造のものを用いても良い。
【0079】
さらに、内管は、その他端が封止された片封止であったが、両端が封止された両封止で構成しても良い。
4.口金
実施の形態では、口金36として、図2に示すように、所謂スワンタイプを利用したが、他のタイプの口金を使用しても良い。他のタイプとしては、例えば、ねじ形状をしたシェル部と、アイレット部とを有する所謂ねじ込みタイプのEタイプ(E26、EU10等である。)、Gタイプ、PGタイプ等がある。
5.ランプ
実施の形態では、消費電力が70(W)であったが、本発明はこの数値に限定するものではなく、消費電力が20W〜150Wの範囲内であれば実施できる。
【0080】
実施の形態では、メタルハライドランプを例にして説明したが、他のランプにも本発明を適用することができる。他のランプとしては、例えば、高圧水銀ランプ等がある。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、発光管と近接導体を備えた高輝度放電ランプに利用できる。
【符号の説明】
【0082】
30 発光管
32 内管
34 外管
36 口金
38 電力供給線
44 本管部
46,48 細管部
78 近接導体
90 固着部
92 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本管部の両側に一対の細管部が設けられてなる発光管と、
帯状をした金属板を有する近接導体と
を備え、
前記金属板は一方の細管部の外周面を把持可能な形状をした把持部を含むと共に一端が自由端であり、
前記把持部は、前記外周面の周方向に沿って且つ前記外周面に接触して設けられ、前記一方の細管部における拡径に伴って弾性変形可能である
ことを特徴とする高輝度放電ランプ。
【請求項2】
前記発光管は、前記一対の細管部のそれぞれにより保持されている電極を前記本管部内に有すると共に前記電極に電力を供給する一対の電力供給線により支持され、
前記近接導体の金属板の他端部が、他方の細管部により保持されている電極に電力を供給する電力供給線に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の高輝度放電ランプ。
【請求項3】
前記近接導体が固定されている電力供給線は、前記発光管の管軸方向に沿って配されていると共に前記本管部に対応する部分が前記管軸と直交する方向に屈曲又は湾曲して外方へと張り出しており、
前記近接導体は、前記電力供給線における屈曲部又は湾曲部を含む部分に固定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の高輝度放電ランプ。
【請求項4】
前記一方の細管部は円筒形状をし、
前記把持部の横断面形状が前記一方の細管部と同じ曲率で湾曲するC形状である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高輝度放電ランプ。
【請求項5】
前記把持部の範囲は、前記一方の細管部の管軸回りに190°以上300°以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高輝度放電ランプ。
【請求項6】
前記金属板の厚みが、0.1mm以上0.3mm以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高輝度放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−181449(P2011−181449A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46797(P2010−46797)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】