説明

高輝度蛍光体及びその製造方法

【課題】賦活剤の活性の高い高輝度蛍光体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する高輝度蛍光体の前駆体を容器内に投入する(ステップS1)。次に、この密閉容器を加熱する(ステップS2)。次に、容器の周囲から衝撃波を付与する(ステップS3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度蛍光体及びその製造方法に関し、より詳細には、第2族元素及び/または第12族元素と第16族元素の化合物及び賦活剤からなる高輝度蛍光体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題や資源問題を解決するため照明や各種モニターのバックライトといった光源の固体化が急速に進んでいる。これらの光源は白色であることが必要であるために、高いエネルギーを有する紫外から青色の発光光源を用い、蛍光体を用いて白色に変換される。そのため、これらの波長の光を可視域の波長に変換する高輝度の蛍光体の開発が盛んに行われている。
【0003】
蛍光体は、一般に母材化合物に、発光色に応じた賦活剤を固溶させて発光させる。そのため、高輝度蛍光体を得るには、賦活剤の活性化を促進したり、賦活剤を多く母材に固溶させることが必要である。
【0004】
母材に多くの賦活剤を含有させることを目的として、例えば、特許文献1には、高温で焼成した後に衝撃力を加えて歪みを形成し、更に低温で焼成する方法が提案されているが、この方法は、工程が煩雑で製造が困難であるという問題を有していた。また、例えば、特許文献2には、同様の方法を用い、更に高輝度化を目的として、蛍光体の粒径を制御する技術が開示されている。しかしながら、この技術は、依然、煩雑な工程が必要であり、また、焼成工程を経ているので、粒径は依然として15μm以上の大きなものであった。
【0005】
蛍光体は、通常、電気炉の如くの加熱装置内に蛍光体の前駆体を投入して、焼成することによって合成される。例えば、特許文献3には立方晶(閃亜鉛鉱型構造)の硫化亜鉛に銀と共にツリウムを増感剤として使用する方法が開示されているが、硫化亜鉛が閃亜鉛鉱型構造からウルツ鉱型構造へ相転移する温度(1020℃)より低温で焼成しているため、賦活剤の反応が十分ではなかった。そのため、高温、高圧下で岩塩構造を含むウルツ鉱型の硫化亜鉛にイリジウムで賦活する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されているが、粒径の増大を抑制することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−330035号公報
【特許文献2】特開平8−283711号公報
【特許文献3】特開平4-183780号公報
【特許文献4】特開2010−31154号公報
【特許文献5】国際公開WO2008/013243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況の中、瞬時に高いエネルギーを蛍光体前駆体に与えて、蛍光体を製造する試みがなされている。例えば、特許文献5には、蛍光体の前駆体に常温で0.1GPa以上の衝撃を与える方法が提案されている。しかしながら、この方法では、常温で衝撃を付与するため、高輝度の蛍光体を得るには至っていない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物からなる高輝度な蛍光体を、更には賦活剤を含有し、賦活剤の活性の高い高輝度蛍光体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する物質からなる蛍光体の前駆体を容器に投入し、この容器を加熱し、この容器の周囲から衝撃波を付与することによって製造されたウルツ鉱型構造を含有する蛍光体が、とりわけ、第2族元素及び/又は第12族元素が第12族元素を含む場合であって、第12族元素が亜鉛を主成分として含み、第16族元素が硫黄を主成分として含む場合に高輝度な蛍光体となり、更には蛍光体の前駆体が賦活剤を含有する場合に賦活剤の活性が高い高輝度な蛍光体が得られることを見出し本発明に至った。
【0010】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、高輝度蛍光体の製造方法であって、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する高輝度蛍光体の前駆体を容器に投入する工程と、前記容器を加熱する工程と、前記容器の周囲から衝撃波を付与する工程とを有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記衝撃波の付与が、前記容器の周囲に配置された火薬又は爆薬を爆破して飛翔体を前記容器に衝突させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、蛍光体の前駆体が賦活剤成分を含有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の高輝度蛍光体の製造方法によって製造された高輝度蛍光体であって、ウルツ鉱型の結晶構造を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記高輝度蛍光体が、第12族元素として亜鉛を主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含むことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記高輝度蛍光体の平均粒径が、10ナノメートル以上1マイクロメートル以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する高輝度蛍光体の前駆体を容器に投入する工程と、容器を加熱する工程と、容器の周囲から衝撃波を付与する工程とを有するので、高輝度蛍光体及びその製造方法を提供することができ、更には、蛍光体の前駆体が賦活剤を含有する場合に、賦活剤の活性が高い高輝度蛍光体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る高輝度蛍光体の製造方法を説明するための工程図である。
【図2】本発明の係る高輝度蛍光体の製造に用いる容器に蛍光体の前駆体を投入した状態の断面を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の係る高輝度蛍光体の製造に用いる容器を加熱後に、火薬又は爆薬を用いて飛翔体を衝突させる際の、容器、飛翔体及び火薬又は爆薬の配置の断面を模式的に示す説明図である。
【図4】実施例3の蛍光体の発光の写真を示す図である。
【図5】実施例4の蛍光体の発光の写真を示す図である。
【図6】実施例5の蛍光体の発光の写真を示す図である。
【図7】比較例1の蛍光体の発光の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の高輝度蛍光体は、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する物質からなる蛍光体の前駆体から製造される。
【0019】
本発明において、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物とは、立方晶の結晶構造を有し、後述する特定範囲のウルツ鉱型構造になる化合物であれば特に限定されないが、第2族元素及び/又は第12族元素としては、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,亜鉛,カドミウムなどが例示でき、第16族元素としては、酸素,硫黄,セレン,テルルなどが例示でき、これらが結合して化合物を形成した化合物である。具体的には、MgS,CaS,SrS,ZnS,CdSなどの二価金属硫化物及びそれらを主成分とする化合物、MgSe,CaSe,SrSe,ZnSe,CdSeなどの二価金属セレン化物及びそれらを主成分とする化合物、MgTe,CaTe,SrTe,ZnTe,CdTeなどの二価金属テルル化物及びそれらを主成分とする化合物及びそれらの混晶及びそれらを主成分とする化合物が例示できる。
【0020】
これらの化合物の中で、第2族元素及び/又は第12族元素として、第12族元素を含む場合であって、第12族元素が亜鉛またはカドミウムを主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含む化合物及びそれらの混晶からなる化合物は、ウルツ鉱型構造をとりやすく好ましい。更に、第12族元素として、亜鉛を主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含む化合物は、毒性が低くより好ましく用いられる。
【0021】
本発明において、主成分として含むとは、分析に供された蛍光体の平均値として、その比較される対象元素の分析値の50原子%以上含むことを意味する。
【0022】
また、本発明の高輝度蛍光体が第2族元素及び第12族元素を含む場合、第2族元素や第12族元素の主成分の判定を、第2族元素及び第12族元素の総和を対象元素として行うことが好ましい。そのようにすることによって、より組成由来の発光の特徴が明確になる。即ち、第12族元素として亜鉛を主成分として含む場合、分析によって検出された第2族元素及び第12族元素の総量に対して、亜鉛が50原子%以上であることが好ましい。
【0023】
なお、第16族元素が硫黄を主成分として含むとは、分析によって検出された第16族元素の総量に対して、硫黄が50原子%以上であることを意味する。
【0024】
このような化合物は、しばしば表面が酸化する等して、部分酸化物のような構造になるが、後述する分析によってその成分や構造を特定して用いられる。
【0025】
本発明の高輝度蛍光体の前駆体に含有される第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物は、上述した通りであるが、蛍光体の前駆体は立方晶の結晶構造を有することが必要である。立方晶の結晶構造を有する蛍光体の前駆体に、加熱下衝撃波を付与することによって、結晶相の転移が誘発され、本発明の優れた発光特性を有する蛍光体が得られる。なお、蛍光体の前駆体は、六方晶に代表される立方晶以外の構造を含んでいてもよい。
【0026】
本発明において、蛍光体の前駆体に賦活剤を含有しない場合、蛍光体の前駆体に衝撃波のエネルギーが付与されることにより、低い温度の加熱であっても高輝度の蛍光体が得られる。
【0027】
本発明において、蛍光体の前駆体に好ましく混合される賦活剤成分は、母材に添加されることによって、発光色を変化させたり、発光輝度を向上できる物質であり、このような物質を含有する化合物を賦活剤成分として用いる。このような物質は、母材の成分に応じて適宜選択できる。
【0028】
本発明の、好ましい母材である、第2族元素及び/又は第12族元素として第12族元素を含む場合であって、第12族元素が亜鉛を主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含む化合物の場合、代表的な賦活剤として、マンガン,銅,銀,金,イリジウム,イットリウム,ユーロピウム、プラセオジム、テルビウムなどの希土類などの賦活剤やこれらの混合物が賦活剤として用いられるため、賦活剤成分を含有する物質としては、これらの金属の硫酸塩,硝酸塩,炭酸塩などの無機酸塩,塩化物,フッ化物,臭化物,ヨウ化物などのハロゲン化物である。
【0029】
これらの賦活剤の混合量は、通常の焼成法などによって得られる5μmより大きな粒径を有する蛍光体と比べて、発光輝度が高い蛍光体を得られるという本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されず、その成分によって適宜選択される。
【0030】
本発明の好ましい母材である、第2族元素及び/又は第12族元素として第12族元素を含む場合であって、第12族元素が亜鉛を主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含む化合物の代表的な賦活剤であるマンガンを賦活剤に用いた場合について説明する。
【0031】
上記の場合、通常の焼成法などによって得られる5μmより大きな粒径を有する蛍光体では、1重量%程度のマンガン濃度で最も明るく発光するが、本発明の高輝度蛍光体は、通常の焼成法などによって得られる5μmより大きな粒径を有する蛍光体に対して同濃度で明るく発光する特性を有するので、好ましい賦活剤の混合量は、その効果が得られる範囲であれば特に制限は無い。
【0032】
これらの分析は、蛍光X線分光分析法(XRF法)や、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)などによって求めることができる。
【0033】
本発明の高輝度蛍光体の前駆体には、これらの他に、焼結助剤,ドナー性元素含有化合物,アクセプター性元素含有化合物、賦活剤の活性を高める共賦活剤などを所望に応じて混合できる。
【0034】
ドナー性元素含有化合物とは、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物に対しドナー性を有する元素を含有する化合物で、具体的には、第3族元素含有化合物,第13族元素含有化合物,第17族元素含有化合物である。
【0035】
アクセプター性元素含有化合物とは、第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物に対しアクセプター性を有する元素を含有する化合物で、具体的には、第1族元素含有化合物,第11族元素含有化合物,第15族元素含有化合物である。
【0036】
本発明の高輝度蛍光体には、上述したように様々な材料を混合して用いることが可能であるが、蛍光体と化合物を形成していない単体の金属の混合は好ましくない。このような成分は発光に寄与しないため発光輝度を低下させるばかりか、本発明の高輝度蛍光体を分散型エレクトロルミネッセンス素子の如くの発光素子に用いる際、金属が混合していると短絡して電場を加えることができないためである。このような、結合していない金属の存在は、X線回折法で金属由来のピークの有無を観察することによって確認できる。
【0037】
本発明の高輝度蛍光体は、ウルツ鉱型構造を有することを特徴とする。ウルツ鉱型構造を有するとは、X線回折法を用いて本発明の蛍光体を分析した際、ウルツ鉱型由来のピークが観測されることを意味する。
【0038】
以下、硫化亜鉛(ZnS)の結晶構造を用いてより詳細に説明する。
ウルツ鉱型を有する硫化亜鉛をX線回折法で分析した場合、2θ=26.9°付近に(100)面、2θ=28.5°付近に(002)面、2θ=30.6°付近に(101)面に由来するピークが観測される。これらの3種のピークが観測されることによって、ウルツ鉱型構造を含有すると判別できる。ここで、「(100)面に由来するピーク」とは、「(100)面の面間隔を反映したX線回折ピーク」を意味している。」
【0039】
本発明の高輝度蛍光体は、上述したウルツ鉱型構造の他に、閃亜鉛鉱型構造や岩塩構造を含んでいてもよいが、発光輝度が高くなるのでウルツ鉱型構造の結晶性は高い方が好ましい。
【0040】
ウルツ鉱型構造の結晶性の程度は、X線回折法で観測されたピークの半値幅で判断できるが、本発明の高輝度蛍光体は、ウルツ鉱型の結晶構造を有するので、(100)面(硫化亜鉛の場合は2θ=26.9°付近に観測される)の半値幅で評価すればよく、好ましくは2θで°0.3°以下、より好ましくは0.2°以下、更に好ましくは0.15°以下である。下限に関しては特に制約は無いが、装置の測定限界以上である。
【0041】
本発明の高輝度蛍光体は粒子状であり、その粒径は、特に制限は無いが、平均粒径1μm以下であることが好ましい。粒子サイズと発光輝度の関係は明確ではないが、このような粒子サイズになることによって、賦活剤由来の発光輝度が向上する。そのため、より好ましい平均粒径は950nm以下である。下限に関しては、特に限定されないが、小さすぎると結晶性が低下して発光輝度が低下するため、10nm以上であることが好ましく、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは50nm以上、最も好ましくは200nm以上である。このような平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10個の粒子の直径を測定し、その平均として求められる。
【0042】
本発明の高輝度蛍光体は、上述したような第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物及び賦活剤成分を含有する物質からなる蛍光体の前駆体を容器に投入し、この容器を加熱し、この容器の周囲から衝撃波を付与することによって製造されたものであることが特徴である。
【0043】
蛍光体の前駆体を投入する容器は特に限定されず、後述の加熱時に破壊しなければよく、各種金属類,各種セラミックス類,各種プラスティック類が例示できる。これらの中で、金属性の容器は、耐熱性に優れ、衝撃波を付与した際に破壊するリスクが小さいため好ましく用いられる。
【0044】
金属性の容器はその耐熱性や強度、あるいは経済性によって任意に選択できるが、具体的には、鉄,ニッケル,コバルト,チタン,ニオブ,銅,銀,金,白金,タンタル,タングステン,モリブデン及びこれらの合金などが例示できる。
【0045】
また、鉄やニッケルの成分は、加熱によって蛍光体中に拡散し、発光強度を低下させる場合があるので、所望に応じて、タンタル,タングステン,モリブデンといった金属を、蛍光体と接する面に設置して用いることも有用である。
【0046】
本発明の高輝度蛍光体は、その前駆体が加熱された状態でその周囲から衝撃波を付与されて製造されたものである。このように加熱状態で衝撃波が付与されることによって、賦活剤が活性化され高輝度の蛍光体が得られる。加熱される温度は、その蛍光体の母材や賦活剤の種類、或いは、付与される衝撃波の強度によって異なるが、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上である。上限に関しては、特に制限は無いが、高すぎると容器の選択が困難になるので、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1200℃以下、さらに好ましくは1000℃以下である。
【0047】
また、衝撃波は、高速に加速された飛翔体を衝突させたり、火薬や爆薬を爆破するなどの方法で付与されるが、好ましくは、火薬や爆薬の爆破によって高速に加速された飛翔体を容器に衝突させることによって生じた衝撃波を付与することである。
【0048】
次に、本発明の高輝度蛍光体の製造方法について説明する。
図1は、本発明に係る高輝度蛍光体の製造方法を説明するための工程図である。まず、立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物及び所望に応じて賦活剤成分を含む物質を含有する高輝度蛍光体の前駆体を容器内に投入する(ステップS1)。次に、この密閉容器を加熱する(ステップS2)。次に、容器の周囲から衝撃波を付与する(ステップS3)。
【0049】
つまり、本発明の高輝度蛍光体は、その前駆体を容器に投入する第1の工程と、この容器を加熱する第2の工程と、この容器の加熱状態を保持しながら容器の周囲から衝撃破を付与する第3の工程とからなる方法によって製造される。
【0050】
まず、第1の工程について説明する。
本発明の高輝度蛍光体の製造に用いられる容器の材質は、上述のように、特に限定されず、後述の加熱時に破壊しなければよく、各種金属類,各種セラミックス類,各種プラスティック類が例示できる。これらの中で、金属性の容器は、耐熱性に優れ、衝撃波を付与した際に破壊するリスクが小さいため好ましく用いられる。
【0051】
図2は、本発明の係る高輝度蛍光体の製造に用いる容器に蛍光体の前駆体を投入した状態の断面を模式的に示す説明図である。図中符号1は円筒状容器、2はキャップ、3は心棒、4は蛍光体の前駆体を示している。
【0052】
円筒状容器1の上部及び底部にはキャップ2が設けられ、また、この円筒状容器1の中央部には心棒3が設けられ、この心棒3の周囲には投入された蛍光体の前駆体4が充填されている。
【0053】
金属性の容器は、その耐熱性や強度、あるいは経済性によって任意に選択できるが、具体的には、鉄,ニッケル,コバルト,チタン,ニオブ,銅,銀,金,白金,タンタル,タングステン,モリブデン及びこれらの合金などが例示できる。
【0054】
容器の形状は、特に限定されないが、破損すると製造された蛍光体の回収が困難になるため、付与される衝撃波によって破損しない構造が好ましく、円筒状や球状の構造が好ましい。また、円筒や球状の構造を用いる際、付与される衝撃波を均一に付与するために円筒状の場合は心棒を、球状の場合は一回り小さい径の球を内部に配置し、蛍光体前駆体を外側の容器との挟間に配置する構造にすることが好ましい。
【0055】
本発明において、容器への蛍光体前駆体の充填密度は特に限定されないが、充填密度が低いと、衝撃波を付与するために大きなエネルギーを発生させる必要が生じて生産性が低下するため、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。上限に関しては特に制約はないが、高い充填率を実現するためには予めプレスするなどの工程が必要になって製造が煩雑になる場合があるので、好ましくは80%以下である。
【0056】
次に、第2の工程について説明する。
本発明の高輝度蛍光体の製造方法において、蛍光体の前駆体が加熱された状態でその周囲から衝撃波を付与することが必要である。このように加熱状態で衝撃波が付与されることによって、高輝度な蛍光体が得られる。また、蛍光体の前駆体が賦活剤成分を含む物質を含有する場合は、賦活剤が活性化され高輝度の蛍光体が得られる。
【0057】
加熱される温度は、その蛍光体の母材や賦活剤の種類、或いは、付与される衝撃波の強度によって異なるが、好ましくは500℃以上であり、より好ましくは600℃以上である。上限に関しては、特に制限は無いが、高すぎると容器の選択が困難になるので、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1200℃以下、さらに好ましくは1000℃以下である。
【0058】
また、加熱の速度は特に限定されないが、遅すぎると容器の材質などにもよるが、容器の成分が拡散して発光特性を低下させることがあるので、好ましくは、5℃/分以上、より好ましくは10℃/分以上である。
【0059】
次に、第3の工程について説明する。
本発明の第3の工程は、第2の工程に続く工程であり、加熱された容器に衝撃波を付与する必要がある。第2の工程から第3の工程への移行は、速やかに行って、容器の温度の低下を防ぐ必要がある。
【0060】
図3は、本発明の係る高輝度蛍光体の製造に用いる容器を加熱後に、火薬又は爆薬を用いて飛翔体を衝突させる際の、容器、飛翔体及び火薬又は爆薬の配置の断面を模式的に示す説明図である。図中符号11は飛翔体、12は火薬又は爆薬を示している。
【0061】
加熱された容器に衝撃波を付与するために、図3においては、火薬や爆薬12の爆破によって飛翔体11を加速して容器に衝突させる方法が示されている。円筒状容器1の周囲に飛翔体11を設け、さらにその周囲に火薬や爆薬12を設けている。
【0062】
本発明において、衝撃波を付与する方法は特に限定されず、本発明の蛍光体前駆体が投入された容器に直接火薬や爆薬を接触させて火薬や爆薬を爆破する方法,火薬や爆薬の爆破によって飛翔体を加速して容器に衝突させる方法,重量物を落下させて容器に衝突させる方法,衝撃波発生装置を用いて容器に衝撃波を付与する方法などが例示できる。
【0063】
これらのなかで、火薬や爆薬を用いる方法、すなわち、容器に直接火薬や爆薬を接触させて火薬や爆薬を爆破する方法、火薬や爆薬の爆破によって飛翔体を加熱して容器に衝突させる方法は大量生産に適しているため好ましい方法である。更に、火薬や爆薬の爆破によって飛翔体を加速して容器に衝突させる方法は、蛍光体の前駆体に均一に衝撃波を付与しやすく好ましい方法である。
【0064】
本発明において、火薬や爆薬を用いる方法に用いられる火薬や爆薬は、トリニトロトルエン,ニトロセルロース,ニトログリセリンなどのニトロ化合物,過酸化アセトンに代表される過酸化物類,過塩素酸アンモニウムに代表される過塩素酸類,硝酸アンモニウム及びその変性体,四硝酸ペンタエリスリットなどの硝酸化合物類などが例示でき、目的の爆速や取り扱いの安全性などによって適宜選択できる。
【0065】
上述したように製造された本発明の高輝度蛍光体は、そのまま用いることもできるが、通常、焼結助剤を含む場合はその残渣などを洗浄してから用いられる。また、蛍光体の表面が酸化している場合などは、希酸で洗浄する方法が好ましく用いられる。
【0066】
本発明の高輝度蛍光体は、紫外線に代表される高エネルギーの光を受けて明るく発光する特性を有するので、各種光源の波長変換材料として好適に用いられる。また、小粒径で高輝度の特性を有するので、本発明の蛍光体から形成された発光層を、対向する一対の電極間に挟持して、発光素子を作製し、光源として用いられる。
【0067】
このような発光層は、本発明の蛍光体を有機バインダーや無機バインダーと共にコーティングや印刷などによって形成する塗布法,真空蒸着,スパッタなどによって成膜する真空成膜法,プレス機や圧延機などを用いて加圧して形成するプレス法などによって形成される。
【0068】
これらの中で、有機バインダーや無機バインダーと共にコーティングや印刷などによって形成する塗布法は、生産性が高く、本発明の蛍光体の優れた発光特性を維持した発光素子を作製しやすいので好ましい。
【0069】
一方、本発明の高輝度蛍光体は、結晶構造が熱的に安定である特徴も有するので、真空成膜法によって成膜した際、特徴のある薄膜を形成することができるので、真空成膜法は好ましい発光層の形成方法である。特に、電子線蒸着や抵抗加熱蒸着法などの真空蒸着法は、本発明の蛍光体の熱的な構造安定性による薄膜の特徴ある構造発現の効果が高く好ましい。
【0070】
また、真空成膜法を用いる場合は、本発明の高輝度蛍光体と混晶を形成できる化合物や、上述したドナー性元素含有化合物やアクセプター性元素含有化合物と共蒸着して所望の電気特性を有する発光層を形成することも可能である。このようにすることによって、電気特性の優れた、直流駆動や交流駆動の薄膜型エレクトロルミネッセンス素子を作製することが可能になる。
【0071】
更に、本発明の高輝度蛍光体は、微粒子で高輝度であるという特徴を有するので、粒子堆積法によって成膜し、直流駆動や交流駆動の薄膜型エレクトロルミネッセンス素子を作製する原料としても好適に用いられる。
【0072】
以下、本発明を実施例や比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されない。
【実施例】
【0073】
本発明で用いられる測定法は、以下のとおりである。
(1)結晶構造
蛍光体を2mmの深さを有する粉末試料ホルダーに詰めて固定し、X線回折装置を用い、ターゲットとしてCuを用い、励起電圧40kV、励起電流40mAとし、操作軸は2θ/θとして測定した。検出器には、高速1次元X線検出器を用いた。
(2)結晶性
結晶構造の測定と同様の測定を行い、ウルツ鉱型構造の(100)面のピークの半値幅を評価した。
(3)粒子サイズ
蛍光体をホルダーに導電性両面テープで固定し、走査型電子顕微鏡を用いて、電子顕微鏡写真を撮影し、10個の粒子のサイズを測定して平均化し平均粒径として求めた。粒子の形状が球状(写真では円状)でない場合は、最も長い部位と最も短い部位の平均をその粒子の粒径とした。
(4)発光特性(フォトルミネッセンス特性)
蛍光分光光度計を用い、光源側、検出器側ともスリット幅1nmに設定し、励起波長250nmで評価した。
(5)成分分析
蛍光体を錠剤成型した後に測定した。管球にはロジウム管球を用い、X線照射径はφ3mmとした。定量には、簡易FP法を用いた。
(6)焼成法による蛍光体の作製
蛍光体前駆体をアルミナ製ルツボに入れ、タンマン管式電気炉にセットした。電気炉の扉を閉めた後、電気炉内を減圧し、雰囲気ガスを窒素に置換した後、窒素を0.5ml/分で流しながら1230℃で2時間焼成した。冷却後、ルツボを電気炉から取り出し、ルツボから粉体を取り出し、水洗、乾燥を行った。
【実施例1】
【0074】
<蛍光体前駆体の調製>
閃亜鉛鉱型の結晶構造を有する硫化亜鉛100重量部と酸化亜鉛0.5重量部と焼結助剤としてフッ化バリウム3重量部、塩化マグネシウム・6水和物6.4重量部、塩化ナトリウム2重量部と賦活剤として硫酸マンガン(II)・5水和物0.43重量部、塩化イリジウム(III)0.012重量部を乳鉢で1時間混合し、蛍光体前駆体Aを得た。
【0075】
<蛍光体の合成、洗浄>
直径29.5mm厚み0.7mmの円筒状容器1の片側をキャップ2で閉め、直径15.9mmの心棒3を中心に挿入した。ついで、蛍光体前駆体4を円筒状容器1と心棒3の狭間に64g投入した後、この円筒状容器1の他方をキャップ2で閉めた。この際の、円筒状容器1と心棒3とキャップ2で囲われた部分の体積は約50.6mlであった。
【0076】
この容器を、800℃強に加熱し、火薬として硝酸アンモニウム変性体(旭化成ケミカルズ株式会社製PAVEX)830gを詰めた容器にガイドを通して落下させることにより投入した。この際、火薬と円筒状容器の間には、1.65mm厚の金属円筒を配置し、飛翔体とした。
【0077】
容器が火薬、飛翔体の部位に到達したのを確認し、直ちに起爆剤を用いて火薬を爆破した。この時の容器の温度は約800℃であった。容器を冷却後、容器を開封して粉体を取り出し、水洗とデカンテーションを繰り返して洗浄して、蛍光体A1を得た。
【0078】
<蛍光体の分析>
蛍光体A1をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造を含有することが確認された。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.114°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は0.66μmであった。
【0079】
蛍光体A1を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。
【0080】
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A1のフォトルミネッセンス特性を評価したところ594nmに賦活剤由来の発光が観測された。この発光輝度は、蛍光体前駆体Aを焼成して得られた平均粒径16μmの蛍光体(以下、基準蛍光体という)の発光輝度を100とした場合、230であった。
【実施例2】
【0081】
<蛍光体の合成、洗浄>
火薬として、硝酸アンモニウム変性体830gに代えて、四硝酸ペンタエリスリット200gを用いた以外は実施例1と同様にして、蛍光体A2を得た。
【0082】
<蛍光体の分析>
蛍光体A2をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造を含有することが確認された。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.128°であり、結晶性が高いことが確認された。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は0.60μmであった。
【0083】
蛍光体A2を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。
【0084】
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A2のフォトルミネッセンス特性を評価したところ596nmに賦活剤由来の発光が観測された。この発光輝度は、基準蛍光体の発光輝度を100とした場合、200であった。
【実施例3】
【0085】
<蛍光体の合成、洗浄>
温度を600℃とした以外は実施例1と同様にして、蛍光体A3を得た。
【0086】
<蛍光体の分析>
蛍光体A3をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造を含有することが確認された。この蛍光体の平均粒径は0.81μmであった。
【0087】
蛍光体A3を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。
【0088】
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A3のフォトルミネッセンス特性を254nmのブラックライトを照射して評価したところ橙色の賦活剤由来の発光が観測された。写真を図4に示す。
【実施例4】
【0089】
<蛍光体前駆体の調製>
硫酸マンガン(II)・5水和物0.43部に変えて、塩化銀0.03重量部に変えた以外は実施例1と同様にして蛍光体前駆体Bを得た。
【0090】
<蛍光体の合成、洗浄>
実施例1と同様にして、蛍光体B1を得た。
【0091】
<蛍光体の分析>
蛍光体B1をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造を含有することが確認された。この蛍光体の平均粒径は0.93μmであった。
【0092】
蛍光体B1を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。
【0093】
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体B1のフォトルミネッセンス特性を254nmのブラックライトを照射して評価したところ青紫色の賦活剤由来の発光が観測された。写真を図5に示す。
【実施例5】
【0094】
<蛍光体前駆体の調製>
硫酸マンガン(II)・5水和物と塩化イリジウム(III)を加えなかった以外は実施例1と同様にして蛍光体前駆体Cを得た。
【0095】
<蛍光体の合成、洗浄>
実施例3と同様にして、蛍光体C1を得た。
【0096】
<蛍光体の分析>
蛍光体C1をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造を含有することが確認された。この蛍光体の平均粒径は0.94μmであった。
【0097】
蛍光体C1を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。
【0098】
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体C1のフォトルミネッセンス特性を365nmのブラックライトを照射して評価したところ賦活剤を含有しないにもかかわらず青色の発光が観測された。写真を図6に示す。
【0099】
[比較例1]
<蛍光体の合成、洗浄>
蛍光体前駆体の投入量を77gに変更し、容器の温度を400℃強まで加熱し、火薬の爆破時の温度が約400℃であった以外は実施例1と同様にして蛍光体A3を得た。
【0100】
<蛍光体の分析>
蛍光体A3をX線回折法で分析した結果、ウルツ鉱型構造を僅かに含有することが確認されたが主として閃亜鉛鉱型構造であった。2θ=26.9°付近の(100)面に由来するピークの半値幅は2θ=0.194°であった。また、単体金属由来のピークは観測されなかった。この蛍光体の平均粒径は0.19μmであった。
【0101】
蛍光体A3を蛍光X線分光分析法で分析したところ、第2族元素及び/又は第12族元素の中では亜鉛が50%以上であり、第16族元素の中では硫黄が50%以上であり、それぞれ主成分であることが確認された。
【0102】
<発光(フォトルミネッセンス)特性>
蛍光体A3のフォトルミネッセンス特性を評価したところ592nmに賦活剤由来の発光が観測された。この発光輝度は、基準蛍光体の発光輝度を100とした場合、82であった。また、A3に254nmのラックライトを照射して評価した写真を、図7に示す。
【0103】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の高輝度蛍光体は、紫外線を受光して高輝度に発光するので波長変換材料として好適である。
【符号の説明】
【0105】
1 円筒状容器
2 キャップ
3 心棒
4 蛍光体の前駆体
11 飛翔体
12 火薬又は爆薬

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立方晶の結晶構造を有する第2族元素及び/又は第12族元素と第16族元素の化合物を含有する高輝度蛍光体の前駆体を容器に投入する工程と、前記容器を加熱する工程と、前記容器の周囲から衝撃波を付与する工程とを有することを特徴とする高輝度蛍光体の製造方法
【請求項2】
前記衝撃波の付与が、前記容器の周囲に配置された火薬又は爆薬を爆破して飛翔体を前記容器に衝突させることを特徴とする請求項1に記載の高輝度蛍光体の製造方法。
【請求項3】
前記高輝度蛍光体の前駆体が賦活剤成分を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高輝度蛍光体の製造方法。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の高輝度蛍光体の製造方法によって製造された高輝度蛍光体であって、ウルツ鉱型の結晶構造を有することを特徴とする高輝度蛍光体。
【請求項5】
前記高輝度蛍光体が、第12族元素として亜鉛を主成分として含み、第16族元素として硫黄を主成分として含むことを特徴とする請求項4に記載の高輝度蛍光体。
【請求項6】
前記高輝度蛍光体の平均粒径が、10ナノメートル以上1マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の高輝度蛍光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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