説明

高速微生物学解析方法

【課題】
使用の容易さおよび簡便性と同時に、解析結果の信頼性を高める高速微生物学的解析方法を提供する。
【解決手段】
発光によってATPの存在を表す試薬を選択するステップと、前記試薬を微生物を保持する支持体上に被着させるステップと、前記試薬に対する前記支持体の応答を検知するステップとを含み、前記検知ステップが、前記被着ステップが実行される時間tの前の時間tから、前記時間tの後の時間tの時間の関数として、前記支持体によって放出される光の量を記録するステップ90と、前記記録された光の量から、前記試薬の被着なしで前記支持体によって放出される時間の関数としての光の量を外挿するステップ91と、前記記録された光の量から、および前記外挿された光の量、前記試薬がATPと接触した結果としてのみ放出された、光の量を表す一組の値を決定するステップ92とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速微生物学的解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、産業および医療活動を背景として、液体、気体または表面の微生物学的品質をチェックすることは、厳格な基準に従わなければならない。
【0003】
このため、産業および健康および安全の専門家は、適切な時期および最小のコストで改善措置を適用することができるように、できる限り迅速に微生物学的な汚染を検知するためのツールにアクセスしなければならない。
【0004】
実用上、微生物学的な監視は、マイクロポーラス膜上で収集された微生物が、裸眼で見ることができるようになるまでその上で培養されるゲル媒体上で実施される。
【0005】
培養時間は、微生物によって様々であるが、一般に少なくとも24時間であり、ゆっくりと成長する微生物(たとえばミコバクテリア)に対して、または微生物がそれらの環境条件によってストレスを受けたことにより、それよりも長いことがある。
【0006】
検知を高速化するために一方法は、微生物の検知を、微生物の代謝活動を基礎とすることによって、最小培養時間を減少させることである(またはある微生物の場合、培養時間を完全になくすことさえもある)。
【0007】
生きている微生物に含まれる、普遍的な代謝マーカー、通常アデノシン三リン酸(ATP)が、発光によってATPの存在を表すために生物発光試薬と接触させることによって測定され、それによって、コロニーがゲル媒体上に形成し、裸眼で見られるようになるのを待つ必要なく、微生物の存在が検知されることができる。
【0008】
放出される光の量は、ATPの質量、およびしたがって微生物の数の関数である。
【0009】
試液内に生存している微生物の数を計数するための方法は、特に、欧州特許第0 529 084号からすでに知られており、この方法は、
溶液内に含まれる生存している微生物を保持するためにマイクロポーラス膜を通って溶液を濾過するステップと、
微生物のATPを、後で噴霧される、発光によってATPの存在を表す試薬へアクセス可能にするように構成された薬剤を噴霧するステップと、
次にその試薬を膜上に噴霧するステップと、
試薬の被着に応答して放出される光の量から微生物の存在を検知するステップとを含む。
【0010】
このようにして測定される光の量は、一方では、試薬のATPとの化学反応に応答して放出される光に由来し、他方では、微生物の存在または存在しないことと無関係に消費によって放出される「背景光」に由来する。
【0011】
この種の背景光は、たとえば(燐光、蛍光または熱放射による)材料からの自然光の放出など、様々な発生源を有する。
【特許文献1】欧州特許第0 529 084号明細書
【特許文献2】米国特許第5 766 868号明細書
【特許文献3】米国特許第5 811 251号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1 067 199号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/008860号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、膜上の微生物の存在を信頼性高く決定するために、試薬のATPとの接触のみに由来する光を「背景光」と区別することが必要である。
【0013】
1つの解決法は、それを超えると放出される光が、背景雑音のみによってではなく、微生物の存在によって生じたものとみなされる識別閾値を実証的に確立することである。
【0014】
この目的のために、一連の滅菌膜が処理を受け、かつ次に、その処理に応答して放出された光の解析を受ける。
【0015】
各シリーズに対して、解析の結果が、1つまた複数の滅菌膜上での微生物の存在を誤って示した場合(これらの結果は「擬陽性」として知られている)、一連の膜に対して擬陽性が検知されなくなるまで、閾値がそれに応じて調節される。
【0016】
本発明は、使用の容易さおよび簡便性を維持すると同時に、このような解析の結果の信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のために、本発明は、発光によってATPの存在を表すように構成された試薬を選択するステップと、
前記微生物のATPを前記試薬に対してアクセス可能にするように前記微生物に作用するステップと、
前記試薬を支持体上に被着させるステップと、
前記試薬に対する前記支持体の応答を検知するステップとを含む
微生物を保持するように構成された前記支持体の高速微生物学的解析方法であって、
前記検知ステップが、
前記被着ステップが実行される時間tの前の時間tから、前記時間tの後の時間tの時間の関数として、前記支持体によって放出される光の量を記録するステップと、
前記記録された光の量から、前記試薬の被着なしで前記時間tから前記時間tまでに前記支持体によって放出されるであろう時間の関数としての光の量を外挿するステップと、
前記記録された光の量から、および前記外挿された光の量から、前記試薬がATPと接触した結果としてのみ前記時間tから始まる時間の関数として、放出された光の量を表す一組の値を決定するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0018】
本発明の方法では、(解析される支持体上での)1つの測定のみが、必要な信号を隔離するために必要である。背景光が、追加の測定が同じ支持体上または他の支持体上で行われる必要なしに、計算によってこの測定から外挿される。
【0019】
さらに、背景光が、新しい支持体それぞれのためのデータを更新するために、解析される予定の新しい支持体上で、それぞれの新しい測定値に対して決定される。
【0020】
したがって、本発明の方法は、単一の測定でかつ高い精度で、試薬のATPとの接触のみによって放出される光の量を便利に決定する。
【0021】
製造および使用の簡略化および簡便化の理由で好ましい本発明の特徴によると、
前記一組の値を決定する前記ステップが、前記記録された光の量と前記外挿された光の量の間の差を決定するステップを含み、
前記一組の値を決定するステップの後、検知ステップが、
前記一組の値を時間の関数として積分するステップと、
微生物の存在を推論するためにその積分の結果を所定の値と比較するステップと
をさらに含み、かつ/または、
前記一組の値を決定するステップの後、検知ステップが、
前記一組の値の最大値を選択するステップと、
微生物の存在を推論するためにその選択の結果を所定の値と比較するステップと
をさらに含む。
【0022】
他の好ましい特徴によると、結果の信頼性をさらに高めるために、前記検知ステップが、
時間tの後に前記支持体によって放出された前記光の量が、時間が経つと減少することを確認するテスト、
試薬の被着によって生じる光の急激な遷移の振幅が、所定の値よりも大きいことを確認するテスト、
光の量が、試薬の被着の前の光の量に対して、試薬の前記被着の後の所定の時間に所定の値よりも大きいままであることを確認するテスト、
試薬の前記被着の後の前記支持体によって放出された光の量の減少が、前記被着の前に前記支持体によって放出された光の量の減少と異なることを確認するテスト、および/または
前記支持体によって放出された光の量が、その間は所定の閾値よりも大きい時間が、所定の時間よりも長いことを確認するテストのうちの少なくとも1つを実施するステップと、
次に、前記テストの少なくとも1つを実施するステップの後、テストの少なくとも1つの結果が負である場合に擬陽性の存在を示すステップとを含む擬陽性を識別するステップをさらに含む。
【0023】
この識別ステップは、得られた結果が外部の現象によって生じるものではなく、実際に支持体上の微生物の存在によるものであることを確実にすることを可能にする。
【0024】
上記で示したのと同じ理由で好ましいさらに他の特徴によると、
記録するステップが、光電子増倍管を選択するステップと、
前記光電子増倍管に面して前記支持体を配置するステップと、
前記光電子増倍管の正面に配置された閉鎖部材を前記時間tで開放するステップと、
前記時間tと前記時間tの間に前記光電子増倍管によって受信される光の量を測定するステップと、
前記測定値をメモリ内に保管するステップとを含み、
前記外挿ステップが、時間の関数として減少する対数関数の係数を計算し、かつ前記試薬の被着なしで前記支持体によって放出されるであろう光の量が変化するように、変化させることによって行われ、かつ/または、
前記外挿ステップが、前記時間tと前記時間tの間に記録される前記光の量に基づく。
【0025】
上記で示したのと同じ理由で好ましい本発明の他の特徴によると、
前記外挿ステップが、時間t+x(ここでxは所定の継続時間である)と前記時間tの間に記録される前記光の量に基づく。
【0026】
継続時間xは、前記時間t+xを超えると、試薬を被着させることの支持体によって放出される光の量への影響が、無視できるように決定される。
【0027】
上記で示したのと同じ理由で好ましい本発明の他の特徴によると、
発光によってATPの存在を表すための前記試薬が、ルシフェリン−ルシフェラーゼをベースにしており、
前記微生物に作用する前記ステップが、前記微生物の細胞溶解のステップを含み、
前記細胞溶解ステップが、前記支持体を加熱することによって行われ、
前記加熱するステップが、50℃から150℃までの値にまで加熱温度を上昇させるステップを含み、
前記加熱するステップが、70℃から100℃までの値にまで加熱温度を上昇させるステップを含み、
前記支持体がマイクロ波によって加熱され、
前記微生物に作用するステップが、前記微生物を透過可能にするステップを含み、
前記微生物を透過可能にする前記ステップが、前記微生物を透過可能にするように構成された試薬を前記支持体上に噴霧するステップを含み、かつ/または、
前記支持体がマイクロポーラス膜である。
【0028】
本発明の特徴および利点は、好ましいがそれに限定されない例として、かつ添付の図面を参照にして与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
フィルタユニット15の高速解析装置1は、噴霧ステーション2、細胞溶解ステーション3および光測定ステーション4を備える。
【0030】
噴霧ステーション2および光測定ステーション4は互いに向かい合い、細胞溶解ステーション3は、ステーション2および4の近傍にある。
【0031】
噴霧ステーション2は、パイプ22によってフラスコ(図示せず)と接続された噴霧ノズル21を備える。
【0032】
噴霧ノズル21は、円錐形のヘッド25を有し、かつプレート23を用いて装置の枠(図示せず)に固定されている。
【0033】
パイプ22がそれと接続されているフラスコは、水、ルシフェリン−ルシフェラーゼ複合体およびマグネシウムをベースとした、発光によってATPの存在を示すための試薬を含む。フラスコは、フラスコ内に含まれる試薬の初期容積、試薬の使用期限、またはフラスコ内の試薬の残りの量を使用して実施されることができるサイクル数などの試薬に関する情報を保持するRFIDチップを担持している。
【0034】
細胞溶解ステーション3は、ほぼ平行六面体形状の包囲物30および、包囲物30の内部のアンテナ(見えていない)と同軸ケーブル(図示せず)によって接続されたマグネトロン31(図1でその電子制御パネルを備えて示されている)を備える。
【0035】
ノズル21のプレート23と同様に、マグネトロン31およびその制御パネルは、装置の枠(図示せず)上に装着されている。
【0036】
包囲物30は、上側包囲物本体28、下側包囲物本体29およびU字型断面クランプ32を備える。
【0037】
各包囲物本体は、ほぼ平行六面体形状であり、かつ開いた面を有する。
【0038】
包囲物本体28(それぞれ29)は、その開いた面の周囲に、横方向に包囲物本体の残りの部分へ接続された矩形輪郭フランジ41(それぞれ42)を有する。
【0039】
U字型クランプ32は、横方向の小さい分岐45によって互いに接続された2つの大きな分岐43を有する。
【0040】
組み立てられた状態では、各フランジ41、42は、包囲物本体28および29の開いた面が互いに向かい合って配置されるように、クランプ32の分岐と協働する。
【0041】
包囲物30の包囲物本体28、29およびクランプ32は、マグネトロン31が、包囲物30によって画定された空洞内で定常波を生成するような寸法を有する。
【0042】
組み立てられた状態では、分岐43の間およびフランジ41と42の間の、分岐45に対向する包囲物の側面上の空間は、窓39によって噴霧ステーション2および測定ステーション4に向かう方向に開いている。
【0043】
窓39の近傍に、マグネトロン31によって発生される電磁干渉から噴霧ステーション2および測定ステーション4を隔離するために、この窓を遮蔽するためのフラップ68がある。
【0044】
測定ステーション4は、テーブル51および閉鎖部材52を通過する光電子増倍管50を備える(図6)。
【0045】
光電子増倍管50は、Electron Tube 9266B光電子増倍管である。
【0046】
閉鎖部材52は、図6に詳細に示されており、不透明プレート53、ロッド56、クランク55およびモータ54を備える。
【0047】
プレート53は、可動であり、テーブル51内に形成された空洞内に収容され、かつロッド56によってクランク55と接続されている。
【0048】
装置1はまた、プレート12およびリム9を有する台車5を備える(図2から4)。プレート12は、2本のねじ7によってリム9に固定されている(図1)。
【0049】
プレート12内の円筒形のオリフィスが、プレートの各側面上に開いている。
【0050】
このオリフィスは、プレート12の各側面に対してくぼんでいる環状のフランジ13によって側面を守られている。
【0051】
光電子増倍管50に面するプレート12の側面上のくぼみが、ガラス窓17を収容する。
【0052】
フィルタユニット15は、2つの対向する面10および11を有するマイクロポーラス膜19の周囲の本体18を備える。
【0053】
台車5上のリム9は、ねじ8によりリムに固定されたベルト64によって、かつ1組のプーリ62、63および67によって、クランプ32の分岐45の近傍の包囲物30の外側に位置されたモータ65(図1および2)と接続されている。
【0054】
プーリ上に巻きつけられるように構成されているばかりでなく、ベルト64は、ベルトが推進力を伝達することを可能にする曲げ抵抗をベルトに与える曲線状の部画を有する。
【0055】
ベルト64は、クランプ32の小さい分岐45内に形成された窓39および長円形の孔46によって包囲物30と交差する(図2から4)。
【0056】
台車5は、受け位置(図1および2)、第1の処理位置(図3、5および6)および第2の処理位置(図4)の間で台車を運動させるためにベルトに固定されている。
【0057】
装置1はまた、モータ65の反対側の側面上に窓60、および、窓が閉鎖されたときに窓60が軽く密封するように構成されたキャップ61を備える。
【0058】
受け位置では、キャップ61が開き、プレート12が、窓60を通って装置から突き出す。
【0059】
第1の処理位置では、台車5がノズル21と光電子増倍管50の間にあり、その結果、この位置では、噴霧ステーション2は膜19の面10に面してそれと位置合わせされるが、測定ステーション4は窓17を通る膜の面11に面してそれと位置合わせされる。
【0060】
ベルト64は、受け位置および第1の処理位置で包囲物30を完全に通過する。
【0061】
第2の処理位置では、膜19がこの包囲物の完全に内部にあり、かつリム9がフランジ41と42の間にあるように、台車5は、細胞溶解ステーション3の包囲物30の内部にある。
【0062】
様々な処理ステーションでのセンサ、特に試薬を含むフラスコの横のRFIDリーダ/ライタ、複数の台車位置センサおよび複数の温度センサ(たとえば光電子増倍管およびマグネトロン用)が、装置の動作状態を監視する。
【0063】
噴霧ステーション2、細胞溶解ステーション3、測定ステーション4、モータ54および65および様々なセンサは、図10のブロック図に示されるように、マイクロコンピュータ82と接続されている。
【0064】
マイクロコンピュータ82は、解析サイクルを開始または停止するための命令を実行し、マンマシンインターフェイス85を介してオペレータからの命令を受け、かつ光電子増倍管から来るデータをメモリ内に保管するように、特に構成されている。マイクロコンピュータ82はまた、オペレータのために意図された情報(たとえば、現在のサイクルの進行状況、フラスコ内でまだ使用可能なサイクルの数、前の解析の結果ならびに様々な装置警報および維持管理記録)をスクリーン83上に表示するように、かつ/またはラベルプリンタ84を介して印刷するように構成されている。
【0065】
装置1の動作が、次に説明される。
【0066】
解析サイクルを実行する前に、オペレータは、フィルタユニット15のマイクロポーラス膜19上の、液体または気体内または表面上に存在するかもしれないいずれかの微生物を収集する。
【0067】
フィルタユニットの本体18と協働する適切なプレート12を選択し、かつそれをリム9上に羅合した後、オペレータは次に、フィルタユニット15を可動台車5(このときは、図1および2に示される受け位置にある)上に配置し、それをフランジ13に対して中央に配置する。そのときユニット15の本体18の下端部は、このフランジの上にある。
【0068】
マンマシンインターフェイスを使用して、オペレータは次に、膜解析サイクルの開始を命令する。
【0069】
特に、オペレータは、3つの異なるサイクル、すなわち、前処理を有さないサイクル、「手動の」前処理サイクルおよび自動前処理サイクルから選択する。
【0070】
手動の前処理サイクルの様々なステップが、次に説明される。
【0071】
最初に、制御モジュールが、可動台車5を並進方向に移動させるために、プーリ62、63および67を旋回させるようにモータ65を動かす。
【0072】
このことは、台車を、噴霧モジュール2と測定モジュール4の間でその受け位置からその第1の処理位置(図3)へ移動させる。この移動中、台車5の全体が窓60を通過し終えたとき、ばね負荷された装置のキャップ61が閉じ、次のステップが、包囲された暗い環境内で実行される。
【0073】
第1の処理位置では、ステーション2が、所定の容積の試薬を噴霧する。噴霧ノズル21は、膜19の全体にわたって一様にかつ規則的に試薬の微小飛沫を被着させるように設計されている。微小飛沫を噴霧することは、希釈のいかなる危険性も回避させるのに十分、被着される液体の容積を分割する。
【0074】
したがって、試薬は、膜が保持している微生物ではなく、たとえば輸送または濾過中の外部の汚染に由来する膜上の不必要なATPと接触する。
【0075】
試薬を不必要なATPと接触させることは、光を発生させる化学反応を生じさせ、不必要なATPを消費する。このようにして消費された不必要なATPは、解析サイクルの次のステップを妨害しないことになる。
【0076】
試薬は、微生物のATPとは相互作用せず、微生物のATPはサイクルのこの段階では、微生物の細胞壁によって試薬からまだ保護されている。
【0077】
試薬が噴霧され終わったとき、制御モジュールが、可動台車5を、細胞溶解ステーション3のマイクロ波空洞の内部の第2の処理位置を取るように、窓39を通って包囲物30内へ移動させるために、モータ65を動かす。
【0078】
台車5が包囲物30内へ導入されたとき、ばね負荷されたフラップ68が、包囲物30を装置の残りの部分から隔離し、かつマイクロ波の放出によって生じる電磁干渉を最小化するために閉じる。
【0079】
次に、マグネトロン31が、入射波が、包囲物30によって形成されるマイクロ波空洞内を伝播するように単一波場を放出する。定常波が、(包囲物30の表面による入射波の反射の結果として)包囲物内で確立される。
【0080】
窓39および開口46の近傍に位置されたフランジ41および42の部分もまた、これらの開口を通る磁場の漏出を最小化することを助ける。
【0081】
マイクロ波場によって励起された、極性を持つ分子(特に、濾過後の膜内に含まれるかつ/または試薬の最初の噴霧の結果生じる水)が、膜19を約90℃の温度まで加熱する。
【0082】
この温度で、まだ活性である試薬の割合(残留活性レベル)を時間の関数として示す図7の曲線75によって示されるように、膜上の試薬は迅速に除去される。
【0083】
この温度への曝露の6秒後、試薬の20%が除去され、15秒後、試薬の90%が除去され、かつ17秒後、すべての試薬が除去される。
【0084】
微生物の細胞溶解反応速度は、この温度ではより遅い。図7の曲線76および77は、時間の関数としての、かつ2つのタイプの微生物(曲線76の場合、サッカロマイセスセレヴィシエ、および曲線77の場合、クリプトコッカス)に対しての細胞溶解を受ける微生物の割合を表している。試薬のすべてが除去されるときまでに少量の微生物しか細胞溶解を受けないことに留意されたい。
【0085】
したがって、前に付着された試薬を除去し終わるときまで、大部分の微生物の細胞壁は細胞分解を受けない(したがって、微生物のATPはアクセス可能にされない)。したがって、微生物のATPの主な部分は試薬によって消費されない。
【0086】
その上、温度の増加が、膜19の部分的な乾燥に至り、加熱を試薬の除去において効果的にするため、試薬の除去が加速される。
【0087】
マイクロ波加熱は、次のプロセスステップに影響を与える可能性がある残留熱を生成することなく、膜上に存在する水の量の関数であるエネルギーの必要な量のみの入力を呈する。
【0088】
この加熱ステップの後、細胞分解を受けた微生物のATPは、解析されるためにアクセス可能になる。次に、モータ65が、台車5を包囲物30から外へ移動させて、第1の処理位置へ戻すように動かされ、その後、測定ステーションの閉鎖部材52のモータ54が、クランク55を旋回させて、不透明プレート53を光電子増倍管50から離れた位置へ移動させるように動かされる(図3)。
【0089】
次に、光電子増倍管が、光電子増倍管の「視野」内(ここでは膜19およびそのすぐ周囲)に位置された材料から放出された、窓17を通って光電子増倍管が受ける光の量を測定する。
【0090】
閉鎖部材が解放されたときにマイクロコンピュータによって実行される操作が、図11のフローチャートを参照して次に説明される。
【0091】
操作90では、時間t(ここでは30s)から、時間t(ここでは300s)まで、マイクロコンピュータが、光電子増倍管によって送信される測定データを記録する。
【0092】
の後かつtの前の時間tで(図8)、噴霧ステーション2が、光の量の記録を継続しながら、膜19の全体にわたってフラスコ内に含まれる試薬の微小飛沫の第2の規則的は一様な被着を行う。
【0093】
膜の厚さが薄いこと、およびこの目的のためにプレート12内に形成されたオリフィスのため、光は、膜19のおよびプレート12の両側から放出される。
【0094】
時間の関数として相対発光量(RLU)で記録された光の量が、試薬が膜上に噴霧される時間に対応する時間tまで規則的にかつ対数的に減少する光の量を示す、図8の曲線78によって示されている。
【0095】
この減少段階は、光電子増倍管の視野内に位置された材料による光子の自然の燐光放出による逆励起に対応する。
【0096】
時間tを超えると、試薬が、細胞分解ステップによってアクセス可能にされた微生物のATPと接触するため、光の放出の突然の遷移が生じる。
【0097】
この突然の遷移の後、光の量は、再び対数的に減少する。
【0098】
記録されたデータを使用して、マイクロコンピュータが、操作91を行い、かつ、試薬が膜上に被着されていなかった場合に放出されたであろう光の量を、時間の関数として外挿する。
【0099】
本例では、この操作は、t(50s)からt(100s)までに記録されたデータに、かつt=t+x、からt(300s)までに記録されたデータから基づいており、ここでxは、tを過ぎると、試薬を追加することの影響が、無視できることが考慮されるように、tがtから十分に離れているように選択される(ここではt=250s)。マイクロコンピュータが、記録されたデータから、曲線78によって表される光の量として、tからtまでかつtからtまで全体的に変化する対数関数の係数を推論する。
【0100】
本例では、この関数は、Q(t)=−16518.ln(t)+120334であり、図8の曲線79によって表される。ここで、記録されたデータと、外挿された関数によるデータとの間の相関係数は、時間間隔[t,t][t,t]で0.09994である。
【0101】
曲線78および79は、その下限が試薬が噴霧された時間t(100s)である時間間隔の間で顕著に異なる(ここでは間隔[100s,150s])。
【0102】
操作92を用いて、マイクロコンピュータが次に、曲線78および79によってそれぞれ表される、記録されかつ外挿された光の量から、試薬と接触する微生物のATPのみから来る光の量を表す時間の関数としての一組の値を決定する。一組の値は、図9の曲線80によって表される。
【0103】
本例では、光の値の量が記録されたtからtの各時間に対して、マイクロコンピュータが、その値と、外挿関数Q(t)によって与えられた同じ時間の値との間の差を計算する。
【0104】
この点同士の減算は、微生物のATPのみから来る光の量に対応する一組の値を得るために、不必要な発光背景雑音(「減少白色」)をデジタルでフィルタリングする。
【0105】
背景雑音のフィルタリングは、保管条件(その影響は自然光の放出のために重要である)、膜上で被着または濾過される生成物の性質(その組成に応じてそれ自体光を放出する)、および実験解析条件(光の密封、熱の干渉、光電子増倍管の効率)の影響を除去する。
【0106】
このようにしてフィルタリングされた光の量が次に、時間tからtまでで積分され(操作93)、テスト(94)が、この積分の結果を、ユーザーによって必要とされる微生物検知感受性に対応する閾値と比較する。
【0107】
特に、この閾値の値は、微生物内に含まれるATPの質量が、微生物のタイプに応じて顕著に変化し得るため、検知される予定の微生物のタイプに応じて選択される。
【0108】
この積分の結果が閾値を超える場合、この光を生じさせるATPが、膜上の微生物の存在によって生じると判断される。
【0109】
逆に、この積分の結果が閾値を下回る場合、ATPは、微生物が膜上に存在する(または十分に多い量存在する)と考慮するのに十分な量存在しないと判断される。
【0110】
マイクロコンピュータが次に、テスト94の結果に応じて、操作95または操作96のいずれかを実行することによって装置のスクリーン上に適切な情報を表示する。
【0111】
いったん解析が実行された後、制御モジュールが、台車5を第1の処理位置から受け位置へ移動させる。受け位置で、オペレータが、解析が完了したフィルタユニット15を取り外し、解析される予定の次のユニットと交換することができる。
【0112】
第1の処理位置での測定ステーション4および噴霧ステーション2の膜19に対する配置は、光電子増倍管50が、噴霧ステーションによって阻害されることなく、かつ噴霧ステーションを阻害することなく、膜19にできる限り近くかつそれに対して横方向に配置されることを意味している。この配置は、最大の光を収集し、したがって光電子増倍管の検知感受性を最適化する。
【0113】
さらに、薄い不透明プレートおよび遠隔開閉機構を有する閉鎖部材を使用して、光電子増倍管50と膜19の間の距離をさらに減少させ、このようにして検知感受性を増加させる。
【0114】
装置の構成、前処理ステップ、および記録された光信号のデータ処理は、検知デバイスの感受性を極めて高くする。
【0115】
上記の種類のデバイスは、10フェムトグラムの周囲のみのATPの存在を検知することができる。
【0116】
この感受性は、広範囲の微生物が検知されることができ、かつ膜上の単一の微生物の存在が培養なしで検知されることができることを意味している。
【0117】
自動サイクルの場合に実行される前処理ステップが、次に説明される。
【0118】
自動分析サイクルは、不必要なATPがすべて消費されていることを保証する。
【0119】
消費されなかった不必要なATPの様々な量(曲線78Aの場合170fg、曲線78Bの場合66fg、曲線78Cの場合52fgおよび曲線78Dの場合18fg)に対して時間tで試薬を被着する前および後に記録された光の量を表す図12では、消費されなかった不必要なATPが、大量に存在して、誤った解析(「擬陽性」の検知、膜は微生物を含まないが微生物の存在が検知される)を生じさせることがある。
【0120】
したがって、不必要なATPのすべてを前処理ステップが消費したことを確認するサイクルをユーザーに提供することは、有用である。
【0121】
微生物の細胞破壊を行う前に、台車5が第1の処理位置にあり、かつ試薬を噴霧するのと同時に、光電子増倍管50が噴霧ステップ中に膜およびそのすぐ周囲によって放出された光の量を連続的に測定するように、閉鎖部材52が解放される。マイクロコンピュータが、この測定値を、所定の閾値と比較し、光電子増倍管によって測定される光の量がその閾値を超えている限り、試薬の噴霧を継続する。
【0122】
測定される光の量が閾値を下回ったとき、膜上にいまだに存在する不必要なATPの未消費の質量が無視できるようになったと判断されて、噴霧が停止される。台車が次に、解析サイクルを継続するために第2の処理位置へ移動する。
【0123】
変形形態では、曲線80によって表される光の量に対応する値のすべてを積分する代わりに、マイクロコンピュータが、その組から最大値を選択し、かつそれを所定の閾値と比較することができる。
【0124】
さらなる変形形態は、膜が赤外線手段によって加熱されることである。
【0125】
さらなる変形形態は、熱細胞分解のステップが、次に噴霧される発光によってATPを表すためにそれらが含むATPを試薬に対してアクセス可能にするために、微生物の化学的細胞分解を行うか、膜を微生物に対して透過可能にするかのいずれかで試薬を噴霧するステップによって代替されることである。
【0126】
さらなる変形形態は、CCDカメラで光電子増倍管を代替することによって、または、何回か、一度に1つの基本領域で、膜を処理および/もしくは解析することによって、膜上の微生物を計数するために装置を使用することである。
【0127】
さらに別の変形形態では、積分による面積の、または最大値の計算から得られた結果もまた、得られた結果が外乱によって歪曲されていないことを確実にすることを可能にするために、他の追加の基準の解析によって確認されてもよい。
【0128】
この解析は、tとtの間で測定され、図8の曲線78によって表される光の量の特徴の調査にある。
【0129】
以下で説明される基準のうちの1つの、いくつかまたはすべてを調査することがしたがって可能である。
【0130】
第1の基準は、時間tを超えた光の量が減少すること(負の勾配)を確認することから成る。このことは、勾配が正である場合、試薬の噴霧によって誘発される光の急激な遷移の後、光の量が増加し続けるためであり、このことは噴霧されたばかりの試薬の消費中は光の量が減少するという事実に矛盾する(tからtの間の曲線78参照)。したがって、この現象はこの場合、発光を誘発する試薬と接触する微生物の存在ではなく、外部の現象に由来する(擬陽性)。擬陽性によって意味されるものは、膜上の微生物の存在を誤って示す結果である。
【0131】
第2の基準は、噴霧によって誘発される光のジャンプが、十分顕著である、すなわち膜上の微生物と接触して試薬を配置することからまさに生じていることを確実にするために、試薬の被着の際の光の急激な遷移の振幅が所定の閾値(たとえば100RLU)よりも大きいことを確認することから成る。
【0132】
第3の基準は、膜と接触して試薬を配置することによって発生する光のジャンプが、噴霧からさらに時間の経過したときでさえも顕著であることを確実にするために、光の量が、試薬の被着前の光の量に対して、試薬の被着後の所定の時間(ここではt+50s)に所定の閾値(たとえば100RLU)よりも多く残存していることを確認することから成る。したがって、この基準は、明らかに小さい時間幅しか有さず、したがって、明らかに微生物の存在によるものではなく、たとえば膜の乾燥状態から湿潤状態への単純な経過のみによって発生する、正の結果での光の「ピーク」を保持しないことを可能にする。
【0133】
第4の基準は、試薬の被着後に支持体によって放出される光の量が、試薬の被着前に支持体によって放出される光の量とは異なるように減少することを確認することから成る。
【0134】
このことは、噴霧の前後で光の量が同一の方式で(同じ勾配で)減少する場合(急激な遷移が唯一の差である)、このことが、この減少が環境の光を受けた膜の単なる逆励起に関連するが、噴霧された試薬と接触して配置された膜上の微生物の存在によって生じないことを意味することによる(擬陽性)。
【0135】
第5の基準は、膜上の微生物の存在のよって明らかに生じない正値として光のピークを保持しないように、噴霧後に得られる信号が、その間は所定の閾値(たとえば100RLU)よりも大きい時間が、所定の時間(たとえば10s)よりも長いことを確認することから成る。
【0136】
これらの基準は、互いに独立に確認されてもよく、それぞれが、試薬の噴霧に応答して放出される信号が微生物の存在によるものであることを確認すること、またはそうではないことを確認することを可能にする。
【0137】
これらのテストの1つが負であるときいつでも、マイクロコンピュータが、情報を装置のスクリーン上に表示し、ユーザーが、支持体の解析が、得られた結果が擬陽性であるという結論に至ったことを警告されることを可能にする。
【0138】
図示されていない変形形態では、記録は、tからtの間で連続的に行われず、たとえばtの周囲を中心とする短い時間の間、一時停止される(たとえば、噴霧および測定ステーションが互いに向かい合わず、隣合わせである場合に台車の移動を可能にするために)、かつ/または、試薬の噴霧の前に記録されたデータ(tからtの間に得られたもの)に基づいて、外挿のみが実行される。
【0139】
の近辺で記録が中断された場合、tのすぐ前の記録が存在しないことにかかわらず、光のジャンプの振幅を決定することを可能にするために、外挿された曲線が、試薬の噴霧(tで行われる)のすぐ前の光量の値を決定するために使用される。
【0140】
本発明は、ここに説明され、示された実施形態に限定されず、そのいかなる変形実施形態も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】フィルタユニットを受ける位置での装置の可動台車を示す高速微生物解析装置の透視図である。
【図2】台車の経路上の中央に配置された鉛直平面上でのこの装置の図1よりも大きい縮尺での断面透視図である。
【図3】図2と同様であるが、フィルタユニットの膜を処理するための第1の位置での可動台車を示す図である。
【図4】図2と同様であるが、フィルタユニットの膜を処理するための第2の位置での可動台車を示す図である。
【図5】図3よりも大きい縮尺での異なる角度での断面透視図である。
【図6】図3よりも大きい縮尺での異なる角度での断面透視図である。
【図7】濾過ユニットが含む膜が、90℃の温度に加熱されたとき、膜上に前に被着された試薬の残留活性の比率、および膜上に存在する第1および第2のタイプの微生物の細胞分解の比率が、時間の関数としてどのように変化するかwp、共通の時間目盛(横軸)および共通の割合目盛(縦軸)で示すタイミング図である。
【図8】発光によってATPの存在を表す試薬の被着前、被着中および被着後の、膜およびそのすぐ周囲によって放出される光と、試薬を被着させることなく放出されたであろう光の量とのの相対的な量を、共通の時間目盛(横軸)で示すタイミング図である。
【図9】図8と同様であるが、発光によってATPの存在を表すための試薬を膜上の微生物と接触させた結果としてのみ放出される光の量の隔離を示すタイミング図である。
【図10】装置のマイクロコンピュータを特に示す、装置のブロック図である。
【図11】装置の光電子増倍管によって供給されるデータに対してマイクロコンピュータによって行われる操作を示すフローチャートである。
【図12】発光によってATPの存在を表すための試薬の被着前、被着中および被着後での、異なる不必要なATPの初期量、膜およびそのすぐ周囲によって放出される光の量がどのように変化するかを、共通の時間目盛(横軸)で示すタイミング図である。
【符号の説明】
【0142】
2 噴霧器
3 マグネトロン
4 光電子増倍管
19 支持体、マクロポーラス膜
82 マイクロコンピュータ
83 スクリーン
84 ラベルプリンタ
85 マンマシンインターフェイス
86 ネットワーク
90、91、92、93、94、95、96 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光によってATPの存在を表すように構成された試薬を選択するステップと、
微生物のATPを前記試薬に対してアクセス可能にするように前記微生物に作用するステップと、
前記試薬を前記支持体(19)上に被着させるステップと、
前記試薬に対する前記支持体の応答を検知するステップとを含む
微生物を保持するように構成された支持体(19)の高速微生物学的解析方法であって、
前記検知ステップが、
前記被着ステップが実行される時間tの前の時間tから、前記時間tの後の時間tの時間の関数として、前記支持体(19)によって放出される光の量を記録するステップ(90)と、
前記記録された光の量から、前記試薬の被着なしで前記時間tから前記時間tまでに前記支持体(19)によって放出されるであろう時間の関数としての光の量を外挿するステップ(91)と、
前記記録された光の量から、および前記外挿された光の量から、前記試薬がATPと接触した結果としてのみ前記時間tから始まる時間の関数として、放出された光の量を表す一組の値を決定するステップ(92)とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記一組の値を決定する前記ステップが、前記記録された光の量と前記外挿された光の量の間の差を決定するステップ(92)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一組の値を決定するステップの後、検知ステップが、
前記一組の値を時間の関数として積分するステップ(93)と、
微生物の存在を推論するためにその積分の結果を所定の値と比較するステップ(94)と
をさらに含むことを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記一組の値を決定するステップの後、検知ステップが、
前記一組の値の最大値を選択するステップと、
微生物の存在を推論するためにその選択の結果を所定の値と比較するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
検知ステップが、
時間tの後に前記支持体(19)によって放出された前記光の量が、時間が経つと減少することを確認するテスト、
試薬の被着によって生じる光の急激な遷移の振幅が、所定の値よりも大きいことを確認するテスト、
光の量が、試薬の被着の前の光の量に対して、試薬の前記被着の後の所定の時間に所定の値よりも大きいままであることを確認するテスト、
試薬の前記被着の後の前記支持体(19)によって放出された光の量の減少が、前記被着の前に前記支持体によって放出された光の量の減少と異なることを確認するテスト、および/または
前記支持体(19)によって放出された光の量が、その間は所定の閾値よりも大きい時間が、所定の時間よりも長いことを確認するテストのうちの少なくとも1つを実施するステップと、
次に、前記テストの少なくとも1つを実施するステップの後、テストの少なくとも1つの結果が負である場合に擬陽性の存在を示すステップとを含む擬陽性を識別するステップをさらに含む
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
記録するステップが、
光電子増倍管(50)を選択するステップと、
前記光電子増倍管(50)に面して前記支持体(19)を配置するステップと、
前記光電子増倍管(50)の正面に配置された閉鎖部材(52)を前記時間tで開放するステップと、
前記時間tと前記時間tの間に前記光電子増倍管(50)によって受信される光の量を測定するステップと、
前記測定値をメモリ内に保管するステップと
を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記外挿ステップが、時間の関数として減少する対数関数の係数を計算し、かつ前記試薬の被着なしで前記支持体によって放出されるであろう光の量が変化するように、変化させることによって行われることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記外挿ステップが、前記時間tと前記時間tの間に記録される前記光の量に基づくことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記外挿ステップが、所定の継続時間をxとして、前記時間t+xと前記時間tの間に記録される前記光の量に基づくことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
発光によってATPの存在を表すための前記試薬が、ルシフェリン−ルシフェラーゼをベースにしていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物に作用する前記ステップが、前記微生物の細胞溶解のステップを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞溶解ステップが、前記支持体(19)を加熱することによって行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱するステップが、50℃から150℃までの値にまで加熱温度を上昇させるステップを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱するステップが、70℃から100℃までの値にまで加熱温度を上昇させるステップを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記支持体(19)がマイクロ波によって加熱されることを特徴とする、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記微生物に作用するステップが、前記微生物を透過可能にするステップを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記微生物を透過可能にする前記ステップが、前記微生物を透過可能にするように構成された試薬を前記支持体(19)上に噴霧するステップを含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記支持体がマイクロポーラス膜(19)であることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−225611(P2007−225611A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−37425(P2007−37425)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】