高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機
【課題】 経済性及び施工性並びに安定性に優れた高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機を提供する。
【解決手段】 シールド掘進機の後胴の後方部内側面11bに、後胴の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15に掛け止めて反力をとり掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8を設け、ロック機構8を既設セグメント5の凹溝部15に掛け止めて反力をとる第1の工程と、既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前胴10をセグメント5の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置2により新設セグメント5’を1リング組み立てる第2の工程と、掘進ジャッキ3を収縮させて後胴をセグメント5の1リング幅分推進させ、前記ロック機構8を前記新設セグメント5’の凹溝部15に掛け止める第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメント5の組み立て作業を同時期に行う。
【解決手段】 シールド掘進機の後胴の後方部内側面11bに、後胴の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15に掛け止めて反力をとり掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8を設け、ロック機構8を既設セグメント5の凹溝部15に掛け止めて反力をとる第1の工程と、既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前胴10をセグメント5の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置2により新設セグメント5’を1リング組み立てる第2の工程と、掘進ジャッキ3を収縮させて後胴をセグメント5の1リング幅分推進させ、前記ロック機構8を前記新設セグメント5’の凹溝部15に掛け止める第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメント5の組み立て作業を同時期に行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネルを掘削施工する高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機の技術分野に属し、更に云えば、シールド掘削装置による掘進作業と、エレクタ装置によるセグメントの組み立て作業を同時期に行うことができる、高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法は、シールド掘進機で地山を掘進した跡にセグメントを組み立ててトンネルを構築するものである。近年、シールド工事用の用地確保が特に過密化した都市部において困難であり、用地を確保できたとしても長期使用が困難であること、及びトンネルの長距離化が顕著になってきていること、さらに、建設工事のコスト縮減の社会的ニーズを満たす必要があること、等々の問題から、シールド工法の高速化が切望されている。
【0003】
しかしながら、従来のシールド工法は、シールド掘進機でセグメントの1リング分を掘進した段階で掘進作業を一旦停止し、セグメントを1リング分組み立て、同セグメントの組み立て作業完了後に再びシールド掘進機による掘進作業を開始していた。要するに、従来のシールド工法は、掘削装置による掘進作業とエレクタ装置によるセグメントの組み立て作業とを交互に繰り返して行っていたため、比例的に多くの作業時間を必要とし、シールド工法の高速化の余地が多大に残されていた。
【0004】
従来、掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に行うことによりシールド工法の高速化を実現して、作業時間の大幅な短縮を図ることが可能な高速施工シールド工法が種々開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
前記特許文献1に記載された高速施工シールド工法は、掘進ジャッキが収縮されすべての推進ジャッキが伸張された初期状態から(特許文献1の第3図参照)、セグメントの前端面に反力をとりながら掘進ジャッキを伸張させて前胴を掘進すると同時に、複数の推進ジャッキのうちの一部を収縮させて既設セグメントとの間にセグメントピースを組み込み、新設してまもないセグメントピースに反力をとる工程を他の推進ジャッキに順次繰り返して行うことによりセグメントをリング状に組み立て、当該セグメントを組み立てた後、掘進ジャッキと推進ジャッキの押側圧力室に圧力を加えてこれらのジャッキを初期状態に戻す運転方法で実施している(特許請求の範囲、及び公開公報第3頁左下欄14行目〜第4頁左上欄10行目参照)。
【0006】
前記特許文献2に記載された高速施工シールド工法は、前記特許文献1と比して、掘進ジャッキ及び推進ジャッキのストロークを短くして実施できるように工夫を施すことにより、シールド掘進機のコンパクト化を実現しているが、運転方法の技術思想は前記特許文献1とほぼ同様である。即ち、セグメントの前端面に反力をとりながら掘進ジャッキを伸張させて前胴を掘進すると同時に、複数の推進ジャッキのうちの一部を収縮させて既設セグメントとの間にセグメントピースを組み込み、新設してまもないセグメントピースに反力をとる工程を他の推進ジャッキに順次繰り返して行うことによりセグメントをリング状に組み立て、当該セグメントを組み立てた後、掘進ジャッキと推進ジャッキを初期状態に戻す運転方法で実施している(請求項3、及び段落番号[0026]〜[0035]参照)。
【0007】
前記特許文献3に記載された高速施工シールド工法は、同文献3の図1と図2に示したように、掘進ジャッキ11と後方反力用ジャッキ7が収縮された初期状態から、セグメントの前端面に反力をとりながら前記掘進ジャッキ11を伸張させて前胴1の掘進を行った後、反力を後方反力支持ドラム2に移し、当該掘進ジャッキ11をすべて収縮させて、既設セグメント4との間にセグメントピース4’を組み込む。この間に前記後方反力用ジャッキ7、センターシャフト10によって掘進量の一部を掘進する。この際、後方反力支持ドラム2を介して掘進反力を支持する。かくして前方の新設セグメント4’の組立て終了後、再び掘進ジャッキ11により新設セグメント端面に反力を支持せしめ、残りの掘進を行う運転方法で実施している(段落番号[0011]参照)。
【0008】
要するに、前記特許文献1〜3に記載された高速施工シールド工法は共通して、掘削装置による掘進作業とエレクタ装置によるセグメントの組み立て作業を同時期に行うことによりシールド工法の高速化を実現しているので、上述した諸問題を一応解決している。
【0009】
【特許文献1】特公平3−23720号公報
【特許文献2】特許第3447116号公報
【特許文献3】特開平6−58080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1及び特許文献2に係る技術は共通して、前胴を掘進させるための反力を、既設セグメント或いは新設セグメントの前端面に推進ジャッキを伸張して取ることを必須要件としている。
【0011】
そのため、複数の推進ジャッキのうちの一部を収縮させて既設セグメントの間にセグメントピースを組み込み、当該セグメントピースに反力をとる工程を他の推進ジャッキに順次繰り返して行う必要があり、推進ジャッキの制御を複雑化し、コストが嵩むという問題がある。それに伴い、推進ジャッキの制御機構が故障する虞があり、仮に故障した場合の修理が至難であるという問題も孕んでいる。
【0012】
また、セグメントの施工についても、一部の推進ジャッキの盛り替えを待ってセグメントピースを組み込む作業を順次行わなければならず、スムーズな組み立て作業を行い得ない問題もある。さらに、新設してまもないセグメント(ピース)に多大な反力を付与することを余儀なくされるので、当該セグメント(ピース)に反力をとって行う掘進作業の安定性に疑問が残る。
【0013】
よって、前記特許文献1及び特許文献2に係る技術は、特に、経済性及び施工性並びに安定性の点で改良の余地が残されていると云える。
【0014】
特許文献3に係る技術は、前記掘進ジャッキ11をすべて収縮させて、既設セグメント4との間にセグメントピース4’を組み込むことができる点は注目される。
【0015】
しかしながら、この技術も、新設してまもないセグメント(ピース)に多大な反力を付与することを余儀なくされるので、当該セグメント(ピース)に反力をとって行う掘進作業の安定性に疑問が残る。また、シールド掘進機1の内部に巨大なセンターシャフト10を軸方向に搭載しているので、エレクタ装置によるセグメントの組み立て作業の邪魔になり、作業性が悪いという問題もある。
【0016】
本発明の目的は、前胴を掘進させるための反力を、安定した既設セグメントの外周面にとる構成で実現することにより、掘進作業とセグメントの組み立て作業を同時期に行い、シールド工法の高速化を実現できることは勿論、推進ジャッキの制御をシンプルに実施できると共に、セグメントの組み立て作業を推進ジャッキの盛り替えに制約を受けることなく十分なスペースで実施でき、経済性及び施工性並びに安定性に優れた高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係
る高速施工シールド工法は、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵する後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴11の後方部内側面11bに、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8を設け、
前記掘進ジャッキ3を収縮させて初期状態とし、前記ロック機構8を既設セグメント5の前記凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5、5’の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴11に内蔵したエレクタ装置2により外周面の周方向に凹溝部15又は凸条部16を備えた新設セグメント5’を1リング組み立てる第2の工程と、
前記掘進ジャッキ3を収縮させて前記後胴11をセグメント5、5’の1リング幅分推進させ、前記ロック機構8を前記新設セグメント5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止める第3の工程と、
以下、前記第1の工程から第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメント5、5’の組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載した発明に係る高速施工シールド工法は、図1〜図4に示したように、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵する後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴11の前方部内側面11aに、新設セグメント5’の前端面に反力をとる推進ジャッキ3を設け、同後胴11の後方部内側面11bに、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8を設け、
前記掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4を収縮させて初期状態とし、前記ロック機構8を既設セグメント5の前記凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5、5’の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置により外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を備えた新設セグメント5’を1リング組み立てる第2の工程と、
前記推進ジャッキ4の一端を新設セグメント5’の前端面に当接させて、前記推進ジャッキ4を新設セグメント5’の前端面に反力をとって伸張させ、当該伸張させた分だけ前記掘進ジャッキ3を収縮することにより、前記後胴11をセグメント5、5’の1リング幅分推進させ、前記ロック機構8を新設セグメント5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止める第3の工程と、
前記推進ジャッキ4を収縮させて前記初期状態に戻す第4の工程と、
以下、前記第1の工程から第4の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメント5、5’の組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載した発明に係るシールド掘進機は、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成り、
シールド掘進機の後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられていること、
掘進ジャッキ3を伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載した発明に係るシールド掘進機は、図1に示したように、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成り、
シールド掘進機3の後胴11の前方部内側面11aには、外周面の周方向に凹溝部15又は凸条部16を設けた新設セグメント5’の前端面に反力をとる推進ジャッキ4が設けられ、同後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられていること、
掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4を伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載した発明は、請求項3又は4に記載したシールド掘進機において、
掘進ジャッキ3は、ほぼセグメント5、5’の1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載した発明は、請求項4に記載したシールド掘進機において、
推進ジャッキ4は、ほぼセグメント5、5’の1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載した発明は、請求項3〜6のいずれか一に記載したシールド掘進機において、
ロック機構8は、軸方向に配置した板ばね7を後胴11の周方向に複数設けて成り、各々の板ばね7…は、その前端部7aは後胴11の後方部内側面11bに固定され、後端部7bは開放され、当該開放された板ばね7の後端部7bは、既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴11の進行に追従する構成とされていることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載した発明は、請求項3〜7のいずれか一に記載したシールド掘進機において、
ロック機構8と後胴11の後方部内側面11bとの間に、同ロック機構8を既設セグメント5側に押しつけ固定する、膨張・収縮が可能な袋体17が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機によれば、前胴10を掘進させるための反力を、後胴11の後方部内側面11bに設けたロック機構8により、既に施工済みの安定性に優れた既設セグメント5の外側(外周面)にとる構成なので、以下の効果を奏する。
I)掘進作業とセグメント5、5’の組み立て作業とを同時期に行うことによりシールド工法の高速化を実現できることは勿論、安定した状態で、前胴10の掘進作業を行うことができる。
II)従来技術のように、一部の推進ジャッキと残りの推進ジャッキを個別に伸縮制御する必要が一切ないので、推進ジャッキの制御機構のシンプル化を実現でき、経済性に優れている。
III)ジャッキの盛り替えに制約を受けることなく、セグメント5、5’の組み立て作業を十分な作業スペースでスムーズに行い得るので、施工性に優れている。
IV)このように、経済性及び施工性並びに安定性に優れた高速化したシールド工法を実現できるので、従来問題とされていた、シールド工事用の用地確保が特に過密化した都市部において困難であり、用地を確保できたとしても長期使用が困難であること、及びトンネルの長距離化が顕著になってきていること、さらに、建設工事のコスト縮減の社会的ニーズを満たす必要があること、等々の問題を一挙に確実に解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係る高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機は、施工性及び経済性並びに安定性に優れた高速化を実現するべく、以下のように実施される。
【実施例1】
【0027】
図1と図5は、請求項4に記載したシールド掘進機を示しており、図1〜図4は、請求項2に記載した前記シールド掘進機を使用した高速施工シールド工法を段階的に示している。
【0028】
このシールド掘進機は、前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成る所謂複胴型シールド掘進機であり、
シールド掘進機の後胴11の前方部内側面11aには、外周面の周方向に凹溝部15又は凸条部16を設けた新設セグメント5’の前端面に反力をとる推進ジャッキ4がほぼ水平に設けられ、同後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16(図8参照)に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられていること、
掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4を伸縮動作させる制御装置(図示省略)が設けられていることを特徴とする(請求項4記載の発明)。
【0029】
図1〜図4に係る前記セグメント5(5’)は、その外周面の周方向に沿って凹溝部15を形成して実施している。本発明に適用可能なセグメント5は、この形状に限らず、図8に示したように、その外周面の周方向に沿って凸条部16を形成して実施することもできる。図7と図8に示したように、1体のセグメント5に対して2重のリング状に凹溝部15、15又は凸条部16、16を設けて実施することもできるし、3重以上のリング状に凹溝部15…又は凸条部16…を設けて実施することもできる。また、前記凹溝部15又は凸条部16は、前記セグメント5の外周面の周方向に沿って連続的に設けて実施しているが、断続的に設けて実施することもできる。ちなみに、当該凸条部16は、予め外周面に凸条部16を有するセグメント5を適用する他に、汎用のセグメント5をリング状に組み立てた後、当該セグメント5の外周面に沿って薄板鋼材をリング状に巻き付けて凸条部16を形成して実施することもできる。
【0030】
本実施例に係るロック機構8は、図5に示したように、軸方向に配置した板ばね7を、図6に示したように、後胴11の周方向にほぼ等間隔に複数個設けて成り、各々の板ばね7…は、その前端部7aは後胴11の後方部内側面11bに固定され、後端部7bは開放され、当該開放された板ばね7の後端部7bは、既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴11の進行に追従する構成で実施されている(請求項7記載の発明)。したがって、前記ロック機構8の板ばね7は、図7と図8に示したように、1体のセグメント5に対して2重のリング状に凹溝部15、15又は凸条部16、16を設けて実施する場合には、前後2列に板ばね7…を構成して実施する。
【0031】
すなわち、前記ロック機構8は、その板ばね7の後端部を既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴11の進行に追従する構成で実施しているので、当該板ばね7が前記セグメント5、5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止め可能な位置に到達した場合は、前進はスムーズにできるが後退は一切できない所謂ラチェット機構のような構造で実施しているのである。
【0032】
ちなみに、前記ロック機構8として適用する板ばね7は、セグメント5の凹溝部15(又は凸条部16)に反力をとって掘進ジャッキ3を推進させると共に、前胴10を掘進させることができる剛性を有する構造設計とすることに留意する。勿論、当該凹溝部15(又は凸条部16)自体の剛性も同趣旨を考慮した構造設計とすることに留意する。
【0033】
本実施例に係るシールド掘削装置1にはカッタヘッドが使用され、円筒形の前胴10の前面に回転自在に装着されている。前胴10内の後部には、円筒形の後胴11が、その前方部分11aを軸方向に摺動自在に挿入されており、その前方部分(挿入部)11aは前胴10の後端に設けられた継目シール6を介して重合され、後方部分(非挿入部)11bは、前胴10の径の大きさで掘削されたトンネル径を後方においても維持するべく、前胴と同径となるように拡大して実施されている。
【0034】
前記後胴11の後端には、後胴11の内側面の周方向に沿ってリング状に組み立てられるセグメント5との隙間から漏水等の進入を防止するテールシール9が設けられ、前記前胴10の継目シール6と共に前胴10及び後胴11のシール性を確保する構成で実施されている。
【0035】
また、前胴10及び後胴11の内周面の周方向に沿ってそれぞれ、掘進ジャッキ3と推進ジャッキ4とがその作動方向をフレーム軸方向に向けて複数個配設されている。この配置は、具体的には、後胴11の内周面の周方向に沿ってリング状にバランス良く所要の数(本実施例では均等角度に8本ずつ)設けられ、中央部のスペースの有効利用が図れるように実施している。
【0036】
前記掘進ジャッキ3は、その基端側が、後胴11の前方部分11aの先端部内側面の周方向に沿ってリング状に突設した取り付け板12に固定されると共に、ロッド先端側が前胴10の内周に設けた当接板13に連結され、当該掘進ジャッキ3を伸縮させることにより重合部で軸方向にスライド自在な構成で、具体的には、当該取り付け板12(後胴11)に反力をとり前胴10を押し出して、その前面の掘削装置1で掘進させる構成で実施されている。なお、後胴11に対する前記掘進ジャッキ3の固定手段はこれに限定されない。また、前記掘進ジャッキ3における基端側とロッド先端側の向きは左右逆に配設してもほぼ同様に実施できる。
【0037】
前記推進ジャッキ4は、その基端側が、後胴11の前方部分11aの中央部内側面に周方向に沿ってリング状に突設した取り付け板14に固定されると共に、ロッド先端側が後胴11に内蔵されたエレクタ装置2により組み立てられるリング状の新設セグメント5’に当接する配置に設けられ、この新設セグメント5’に反力をとり後胴11を前胴10に引き寄せて深く重合し得る構成で実施されている。なお、後胴11に対する前記推進ジャッキ4の固定手段はこれに限定されない。また、前記推進ジャッキ4における基端側とロッド先端側の向きは左右逆に配設してもほぼ同様に実施できる。
【0038】
前記掘進ジャッキ3と推進ジャッキ4は、これらを個別に伸縮動作が可能なように制御装置(図示省略)により制御され、それぞれの使用目的に応じた種々の作動が行える構成で実施されている。また、前記掘進ジャッキ3と推進ジャッキ4のストロークは共に、セグメント5、5’の1リングの幅とほぼ同等の1000mm程度で実施することが好ましい(請求項5及び請求項6記載の発明)。さらに、前記掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4の使用本数は、8本に限定されず、シールド径に応じた好適な本数で実施可能である。特に、前記推進ジャッキ4は、前胴10を掘進させるために利用するものではなく、後胴11を推進させるために利用すれば足りるので、使用本数は、従来技術と比して、少なくても(例えば3本程度でも)十分に実施可能である。ちなみに、後述するように、前記後胴11を推進させるためには、前記前胴10の周面摩擦力などを利用して前記掘進ジャッキを収縮させるだけで実施することも可能である(請求項1及び請求項3記載の発明)。
【0039】
上記構成のシールド掘進機を使用した高速施工シールド工法について、図1〜図4に基づいて説明する。
【0040】
図1は、前記シールド掘進機のすべての掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4が収縮した初期状態を示している。ちなみに、収縮した推進ジャッキ4と既設セグメント5の前端面の間には、新設セグメント5’を十分に組み込むことができる隙間(1200mm程度)を予め確保しておくことに留意する。
【0041】
この状態から、前記ロック機構8の板ばね7の後端部7bを、既設セグメント5のうち先頭部のセグメント5の凹溝部15内にセットし、前記セグメント5の凹溝部15に掛け止めて反力をとる(第1の工程)。
【0042】
前記ロック機構8の板ばね7は、既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴の進行に追従する構成なので、後胴11を進行させて板ばね7を当該凹溝部15に位置決めすると当該板ばね7の後端部7bは自動的に当該凹溝部15の底部及び後壁に当接する。
【0043】
前記図1の状態から、図2の状態に移行して、掘進作業とセグメントの組み立て作業の同時施工に入る。即ち、前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5(5’)の1リング幅分(1000mm程度)掘進させ、その間に、後胴11に内蔵したエレクタ装置2により新設セグメント5’を1リング組み立てる(第2の工程)。
【0044】
前記掘進ジャッキ3は、前記ロック機構8の板ばね7の後端部7bが前記既設セグメント5の凹溝部15内の後壁にしっかり当接するので、当該既設セグメント5に十分な反力をとって安定した掘進作業を行い得る。当該掘進ジャッキ3が安定した掘進作業を行っている間に行う新設セグメント5’の組み立て作業は、すべての推進ジャッキ4と全く接触しないで、且つ、盛り替えに制約を受けることなく実施できるので、フレキシブルな作業手順でスムーズに新設セグメント5’をリング状に組み立てることができる。
【0045】
前記図2の状態から図3と図4の状態に移行して、組み立てた新設セグメント5’に反力をとって後胴11を推進させる。即ち、前記推進ジャッキ4を若干伸張してその一端(ロッド先端側)を新設セグメント5’の前端面に当接させる。そして、前記推進ジャッキ4を新設セグメント5’の前端面に反力をとって伸張させ(図3参照)、当該伸張させた分だけ前記掘進ジャッキ3を収縮することにより、前記後胴11をセグメント5(5’)の1リング幅分(1ストローク分)推進させる。これに伴い、前記ロック機構8は、後方へは一切後退しないが後胴11の進行には追従する構成(所謂ラチェット機構)とされているので、当該後胴11の進行に追従して前記ロック機構8の板ばね7を新設セグメント5’の凹溝部に掛け止める位置までスムーズに位置決めすることができる(第3の工程)。
【0046】
ちなみに、図3は、前記推進ジャッキ4を伸張して新設セグメント5’の前端面に当接させた後、さらにほぼ半ストローク分(500mm)伸張させた状態を示している。その分、前記掘進ジャッキ3は、半ストローク分(500mm)収縮させている。
【0047】
そして、図4に示したように、シールド掘進機をセグメント1リング幅分(1ストローク分)推進させた後、前記推進ジャッキ4を収縮させて、図1に示したような初期状態に戻す(第4の工程)。
【0048】
このように、本発明に係る推進ジャッキ4は、後胴11を推進させるために新設セグメント5’に反力をとるのであり、従来技術のように、前胴10を掘進させるために新設セグメント5’に反力をとるものではないので、従来技術と比して、推進ジャッキ4の省力化を実現することができる。また、本発明に係る推進ジャッキ4は、すべての推進ジャッキ4を同時に伸縮制御すれば足り、従来技術のように、一部の推進ジャッキと残りの推進ジャッキを個別に伸縮制御し、且つ反力のバランスをとるように制御する必要が一切ないので、従来技術と比して、推進ジャッキ4の制御機構のシンプル化を実現することができる。
【0049】
以上が、1リングのセグメント5’を組み立てる工程であり、上記第1の工程から第4の工程を順次繰り返して行うことにより、掘削装置1による掘進作業とエレクタ装置2によるセグメント5(5’)の組み立て作業を同時期に行うシールド工法が可能となる(請求項2記載の発明)。
【実施例2】
【0050】
図9は、請求項3に記載したシールド掘進機を示しており、図9〜図12は、請求項1に記載した当該シールド掘進機を使用した高速施工シールド工法を段階的に示している。図示例の通り、高速施工シールド工法を実現するシールド掘進機は、前記推進ジャッキ4を使用しないで実施することもできる(請求項1及び請求項3記載の発明)。
【0051】
すなわち、実施例2に係るシールド掘進機は、前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成り、シールド掘進機の後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられており、掘進ジャッキ3を伸縮動作させる制御装置が設けられている(請求項3記載の発明)。
【0052】
このシールド掘進機による高速施工シールド工法は、先ず、図9に示したように、前記掘進ジャッキ3を収縮させて初期状態とし、前記ロック機構8を既設セグメント5の前記凹溝部15(又は凸条部16)に掛け止めて反力をとる(第1の工程)。次に、図10に示したように、前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5、5’の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴11に内蔵したエレクタ装置2により新設セグメント5’を1リング組み立てる(第2の工程)。続いて、図11と図12に示したように、前胴10の周面摩擦力を利用し、前記掘進ジャッキ3を収縮させて前記後胴11をセグメント1リング幅分推進させて、前記ロック機構8を新設セグメント5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止める(第3の工程)。以下、前記第1の工程から第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に行う(請求項1記載の発明)。
【0053】
即ち、この実施例2に係る技術は、前胴10の周面摩擦力を利用して、掘進ジャッキ3を収縮させることにより、推進ジャッキ4を使用しないで後胴11を推進させる技術的思想に立脚している。なお、前胴10の周面摩擦力を有効利用するべく、当該前胴の10の外周面に鋭角なテーパー状の突起物を多数設けて実施することが好ましい。
【0054】
このように、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【0055】
例えば、図13は、異なる実施例を示している。この実施例は、ロック機構8(板ばね7)と後胴11の後方部内側面11bとの間に、同ロック機構8を既設セグメント5側に押しつけ固定する、膨張・収縮が可能な袋体17を設けて実施している(請求項8記載の発明)。この袋体17は、通常時は収縮させて前記後方部内側面11bに設置しており、前記ロック機構8を既設セグメント5の凸条部16(又は凹溝部15)に掛け止める段階で膨張させて、当該ロック機構8を既設セグメント5側に押しつけて固定するのである。
【0056】
すなわち、前記袋体17は、前記ロック機構8の前記凹溝部15(又は凸条部16)へのロック状態を補助するために使用されるものである。よって、当該袋体17を設置して実施する場合は、前記弾性部材である板ばね7を必ずしも使用する必要はなく、前記凹溝部15(又は凸条部16)へ掛け止め可能な棒状材で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法の初期状態を示した断面図である。
【図2】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に施工する状態を示した断面図である。
【図3】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、推進ジャッキを伸張させて新設セグメントの前端面に反力をとって後胴を推進させる状態を示した断面図である。
【図4】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、新設セグメントの前端面に反力をとった推進ジャッキを1ストローク伸張させて後胴を推進させた状態を示した断面図である。
【図5】図1に示したロック機構を拡大して示した断面図である。
【図6】ロック機構の板ばねの設置状態を概略的に示した正面図である。
【図7】ロック機構のバリエーションを示した断面図である。
【図8】ロック機構のバリエーションを示した断面図である。
【図9】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法の初期状態を示した断面図である。
【図10】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に施工する状態を示した断面図である。
【図11】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、後胴を推進させる状態を示した断面図である。
【図12】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、後胴を1ストローク分推進させた状態を示した断面図である。
【図13】ロック機構のバリエーションを示した断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 掘削装置(カッタヘッド)
2 エレクタ装置
3 掘進ジャッキ
4 推進ジャッキ
5 既設セグメント
5’ 新設セグメント
6 継目シール
7 板ばね
8 ロック機構
9 テールシール
10 前胴
11 後胴
11a 挿入部
11b 非挿入部
12 取り付け板
13 当接板
14 取り付け板
15 凹溝部
16 凸条部
17 袋体
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネルを掘削施工する高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機の技術分野に属し、更に云えば、シールド掘削装置による掘進作業と、エレクタ装置によるセグメントの組み立て作業を同時期に行うことができる、高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法は、シールド掘進機で地山を掘進した跡にセグメントを組み立ててトンネルを構築するものである。近年、シールド工事用の用地確保が特に過密化した都市部において困難であり、用地を確保できたとしても長期使用が困難であること、及びトンネルの長距離化が顕著になってきていること、さらに、建設工事のコスト縮減の社会的ニーズを満たす必要があること、等々の問題から、シールド工法の高速化が切望されている。
【0003】
しかしながら、従来のシールド工法は、シールド掘進機でセグメントの1リング分を掘進した段階で掘進作業を一旦停止し、セグメントを1リング分組み立て、同セグメントの組み立て作業完了後に再びシールド掘進機による掘進作業を開始していた。要するに、従来のシールド工法は、掘削装置による掘進作業とエレクタ装置によるセグメントの組み立て作業とを交互に繰り返して行っていたため、比例的に多くの作業時間を必要とし、シールド工法の高速化の余地が多大に残されていた。
【0004】
従来、掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に行うことによりシールド工法の高速化を実現して、作業時間の大幅な短縮を図ることが可能な高速施工シールド工法が種々開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
前記特許文献1に記載された高速施工シールド工法は、掘進ジャッキが収縮されすべての推進ジャッキが伸張された初期状態から(特許文献1の第3図参照)、セグメントの前端面に反力をとりながら掘進ジャッキを伸張させて前胴を掘進すると同時に、複数の推進ジャッキのうちの一部を収縮させて既設セグメントとの間にセグメントピースを組み込み、新設してまもないセグメントピースに反力をとる工程を他の推進ジャッキに順次繰り返して行うことによりセグメントをリング状に組み立て、当該セグメントを組み立てた後、掘進ジャッキと推進ジャッキの押側圧力室に圧力を加えてこれらのジャッキを初期状態に戻す運転方法で実施している(特許請求の範囲、及び公開公報第3頁左下欄14行目〜第4頁左上欄10行目参照)。
【0006】
前記特許文献2に記載された高速施工シールド工法は、前記特許文献1と比して、掘進ジャッキ及び推進ジャッキのストロークを短くして実施できるように工夫を施すことにより、シールド掘進機のコンパクト化を実現しているが、運転方法の技術思想は前記特許文献1とほぼ同様である。即ち、セグメントの前端面に反力をとりながら掘進ジャッキを伸張させて前胴を掘進すると同時に、複数の推進ジャッキのうちの一部を収縮させて既設セグメントとの間にセグメントピースを組み込み、新設してまもないセグメントピースに反力をとる工程を他の推進ジャッキに順次繰り返して行うことによりセグメントをリング状に組み立て、当該セグメントを組み立てた後、掘進ジャッキと推進ジャッキを初期状態に戻す運転方法で実施している(請求項3、及び段落番号[0026]〜[0035]参照)。
【0007】
前記特許文献3に記載された高速施工シールド工法は、同文献3の図1と図2に示したように、掘進ジャッキ11と後方反力用ジャッキ7が収縮された初期状態から、セグメントの前端面に反力をとりながら前記掘進ジャッキ11を伸張させて前胴1の掘進を行った後、反力を後方反力支持ドラム2に移し、当該掘進ジャッキ11をすべて収縮させて、既設セグメント4との間にセグメントピース4’を組み込む。この間に前記後方反力用ジャッキ7、センターシャフト10によって掘進量の一部を掘進する。この際、後方反力支持ドラム2を介して掘進反力を支持する。かくして前方の新設セグメント4’の組立て終了後、再び掘進ジャッキ11により新設セグメント端面に反力を支持せしめ、残りの掘進を行う運転方法で実施している(段落番号[0011]参照)。
【0008】
要するに、前記特許文献1〜3に記載された高速施工シールド工法は共通して、掘削装置による掘進作業とエレクタ装置によるセグメントの組み立て作業を同時期に行うことによりシールド工法の高速化を実現しているので、上述した諸問題を一応解決している。
【0009】
【特許文献1】特公平3−23720号公報
【特許文献2】特許第3447116号公報
【特許文献3】特開平6−58080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1及び特許文献2に係る技術は共通して、前胴を掘進させるための反力を、既設セグメント或いは新設セグメントの前端面に推進ジャッキを伸張して取ることを必須要件としている。
【0011】
そのため、複数の推進ジャッキのうちの一部を収縮させて既設セグメントの間にセグメントピースを組み込み、当該セグメントピースに反力をとる工程を他の推進ジャッキに順次繰り返して行う必要があり、推進ジャッキの制御を複雑化し、コストが嵩むという問題がある。それに伴い、推進ジャッキの制御機構が故障する虞があり、仮に故障した場合の修理が至難であるという問題も孕んでいる。
【0012】
また、セグメントの施工についても、一部の推進ジャッキの盛り替えを待ってセグメントピースを組み込む作業を順次行わなければならず、スムーズな組み立て作業を行い得ない問題もある。さらに、新設してまもないセグメント(ピース)に多大な反力を付与することを余儀なくされるので、当該セグメント(ピース)に反力をとって行う掘進作業の安定性に疑問が残る。
【0013】
よって、前記特許文献1及び特許文献2に係る技術は、特に、経済性及び施工性並びに安定性の点で改良の余地が残されていると云える。
【0014】
特許文献3に係る技術は、前記掘進ジャッキ11をすべて収縮させて、既設セグメント4との間にセグメントピース4’を組み込むことができる点は注目される。
【0015】
しかしながら、この技術も、新設してまもないセグメント(ピース)に多大な反力を付与することを余儀なくされるので、当該セグメント(ピース)に反力をとって行う掘進作業の安定性に疑問が残る。また、シールド掘進機1の内部に巨大なセンターシャフト10を軸方向に搭載しているので、エレクタ装置によるセグメントの組み立て作業の邪魔になり、作業性が悪いという問題もある。
【0016】
本発明の目的は、前胴を掘進させるための反力を、安定した既設セグメントの外周面にとる構成で実現することにより、掘進作業とセグメントの組み立て作業を同時期に行い、シールド工法の高速化を実現できることは勿論、推進ジャッキの制御をシンプルに実施できると共に、セグメントの組み立て作業を推進ジャッキの盛り替えに制約を受けることなく十分なスペースで実施でき、経済性及び施工性並びに安定性に優れた高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係
る高速施工シールド工法は、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵する後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴11の後方部内側面11bに、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8を設け、
前記掘進ジャッキ3を収縮させて初期状態とし、前記ロック機構8を既設セグメント5の前記凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5、5’の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴11に内蔵したエレクタ装置2により外周面の周方向に凹溝部15又は凸条部16を備えた新設セグメント5’を1リング組み立てる第2の工程と、
前記掘進ジャッキ3を収縮させて前記後胴11をセグメント5、5’の1リング幅分推進させ、前記ロック機構8を前記新設セグメント5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止める第3の工程と、
以下、前記第1の工程から第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメント5、5’の組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載した発明に係る高速施工シールド工法は、図1〜図4に示したように、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵する後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴11の前方部内側面11aに、新設セグメント5’の前端面に反力をとる推進ジャッキ3を設け、同後胴11の後方部内側面11bに、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8を設け、
前記掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4を収縮させて初期状態とし、前記ロック機構8を既設セグメント5の前記凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5、5’の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置により外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を備えた新設セグメント5’を1リング組み立てる第2の工程と、
前記推進ジャッキ4の一端を新設セグメント5’の前端面に当接させて、前記推進ジャッキ4を新設セグメント5’の前端面に反力をとって伸張させ、当該伸張させた分だけ前記掘進ジャッキ3を収縮することにより、前記後胴11をセグメント5、5’の1リング幅分推進させ、前記ロック機構8を新設セグメント5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止める第3の工程と、
前記推進ジャッキ4を収縮させて前記初期状態に戻す第4の工程と、
以下、前記第1の工程から第4の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメント5、5’の組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載した発明に係るシールド掘進機は、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成り、
シールド掘進機の後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられていること、
掘進ジャッキ3を伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載した発明に係るシールド掘進機は、図1に示したように、
前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成り、
シールド掘進機3の後胴11の前方部内側面11aには、外周面の周方向に凹溝部15又は凸条部16を設けた新設セグメント5’の前端面に反力をとる推進ジャッキ4が設けられ、同後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられていること、
掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4を伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載した発明は、請求項3又は4に記載したシールド掘進機において、
掘進ジャッキ3は、ほぼセグメント5、5’の1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載した発明は、請求項4に記載したシールド掘進機において、
推進ジャッキ4は、ほぼセグメント5、5’の1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載した発明は、請求項3〜6のいずれか一に記載したシールド掘進機において、
ロック機構8は、軸方向に配置した板ばね7を後胴11の周方向に複数設けて成り、各々の板ばね7…は、その前端部7aは後胴11の後方部内側面11bに固定され、後端部7bは開放され、当該開放された板ばね7の後端部7bは、既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴11の進行に追従する構成とされていることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載した発明は、請求項3〜7のいずれか一に記載したシールド掘進機において、
ロック機構8と後胴11の後方部内側面11bとの間に、同ロック機構8を既設セグメント5側に押しつけ固定する、膨張・収縮が可能な袋体17が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機によれば、前胴10を掘進させるための反力を、後胴11の後方部内側面11bに設けたロック機構8により、既に施工済みの安定性に優れた既設セグメント5の外側(外周面)にとる構成なので、以下の効果を奏する。
I)掘進作業とセグメント5、5’の組み立て作業とを同時期に行うことによりシールド工法の高速化を実現できることは勿論、安定した状態で、前胴10の掘進作業を行うことができる。
II)従来技術のように、一部の推進ジャッキと残りの推進ジャッキを個別に伸縮制御する必要が一切ないので、推進ジャッキの制御機構のシンプル化を実現でき、経済性に優れている。
III)ジャッキの盛り替えに制約を受けることなく、セグメント5、5’の組み立て作業を十分な作業スペースでスムーズに行い得るので、施工性に優れている。
IV)このように、経済性及び施工性並びに安定性に優れた高速化したシールド工法を実現できるので、従来問題とされていた、シールド工事用の用地確保が特に過密化した都市部において困難であり、用地を確保できたとしても長期使用が困難であること、及びトンネルの長距離化が顕著になってきていること、さらに、建設工事のコスト縮減の社会的ニーズを満たす必要があること、等々の問題を一挙に確実に解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係る高速施工シールド工法および同工法に使用するシールド掘進機は、施工性及び経済性並びに安定性に優れた高速化を実現するべく、以下のように実施される。
【実施例1】
【0027】
図1と図5は、請求項4に記載したシールド掘進機を示しており、図1〜図4は、請求項2に記載した前記シールド掘進機を使用した高速施工シールド工法を段階的に示している。
【0028】
このシールド掘進機は、前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成る所謂複胴型シールド掘進機であり、
シールド掘進機の後胴11の前方部内側面11aには、外周面の周方向に凹溝部15又は凸条部16を設けた新設セグメント5’の前端面に反力をとる推進ジャッキ4がほぼ水平に設けられ、同後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16(図8参照)に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられていること、
掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4を伸縮動作させる制御装置(図示省略)が設けられていることを特徴とする(請求項4記載の発明)。
【0029】
図1〜図4に係る前記セグメント5(5’)は、その外周面の周方向に沿って凹溝部15を形成して実施している。本発明に適用可能なセグメント5は、この形状に限らず、図8に示したように、その外周面の周方向に沿って凸条部16を形成して実施することもできる。図7と図8に示したように、1体のセグメント5に対して2重のリング状に凹溝部15、15又は凸条部16、16を設けて実施することもできるし、3重以上のリング状に凹溝部15…又は凸条部16…を設けて実施することもできる。また、前記凹溝部15又は凸条部16は、前記セグメント5の外周面の周方向に沿って連続的に設けて実施しているが、断続的に設けて実施することもできる。ちなみに、当該凸条部16は、予め外周面に凸条部16を有するセグメント5を適用する他に、汎用のセグメント5をリング状に組み立てた後、当該セグメント5の外周面に沿って薄板鋼材をリング状に巻き付けて凸条部16を形成して実施することもできる。
【0030】
本実施例に係るロック機構8は、図5に示したように、軸方向に配置した板ばね7を、図6に示したように、後胴11の周方向にほぼ等間隔に複数個設けて成り、各々の板ばね7…は、その前端部7aは後胴11の後方部内側面11bに固定され、後端部7bは開放され、当該開放された板ばね7の後端部7bは、既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴11の進行に追従する構成で実施されている(請求項7記載の発明)。したがって、前記ロック機構8の板ばね7は、図7と図8に示したように、1体のセグメント5に対して2重のリング状に凹溝部15、15又は凸条部16、16を設けて実施する場合には、前後2列に板ばね7…を構成して実施する。
【0031】
すなわち、前記ロック機構8は、その板ばね7の後端部を既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴11の進行に追従する構成で実施しているので、当該板ばね7が前記セグメント5、5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止め可能な位置に到達した場合は、前進はスムーズにできるが後退は一切できない所謂ラチェット機構のような構造で実施しているのである。
【0032】
ちなみに、前記ロック機構8として適用する板ばね7は、セグメント5の凹溝部15(又は凸条部16)に反力をとって掘進ジャッキ3を推進させると共に、前胴10を掘進させることができる剛性を有する構造設計とすることに留意する。勿論、当該凹溝部15(又は凸条部16)自体の剛性も同趣旨を考慮した構造設計とすることに留意する。
【0033】
本実施例に係るシールド掘削装置1にはカッタヘッドが使用され、円筒形の前胴10の前面に回転自在に装着されている。前胴10内の後部には、円筒形の後胴11が、その前方部分11aを軸方向に摺動自在に挿入されており、その前方部分(挿入部)11aは前胴10の後端に設けられた継目シール6を介して重合され、後方部分(非挿入部)11bは、前胴10の径の大きさで掘削されたトンネル径を後方においても維持するべく、前胴と同径となるように拡大して実施されている。
【0034】
前記後胴11の後端には、後胴11の内側面の周方向に沿ってリング状に組み立てられるセグメント5との隙間から漏水等の進入を防止するテールシール9が設けられ、前記前胴10の継目シール6と共に前胴10及び後胴11のシール性を確保する構成で実施されている。
【0035】
また、前胴10及び後胴11の内周面の周方向に沿ってそれぞれ、掘進ジャッキ3と推進ジャッキ4とがその作動方向をフレーム軸方向に向けて複数個配設されている。この配置は、具体的には、後胴11の内周面の周方向に沿ってリング状にバランス良く所要の数(本実施例では均等角度に8本ずつ)設けられ、中央部のスペースの有効利用が図れるように実施している。
【0036】
前記掘進ジャッキ3は、その基端側が、後胴11の前方部分11aの先端部内側面の周方向に沿ってリング状に突設した取り付け板12に固定されると共に、ロッド先端側が前胴10の内周に設けた当接板13に連結され、当該掘進ジャッキ3を伸縮させることにより重合部で軸方向にスライド自在な構成で、具体的には、当該取り付け板12(後胴11)に反力をとり前胴10を押し出して、その前面の掘削装置1で掘進させる構成で実施されている。なお、後胴11に対する前記掘進ジャッキ3の固定手段はこれに限定されない。また、前記掘進ジャッキ3における基端側とロッド先端側の向きは左右逆に配設してもほぼ同様に実施できる。
【0037】
前記推進ジャッキ4は、その基端側が、後胴11の前方部分11aの中央部内側面に周方向に沿ってリング状に突設した取り付け板14に固定されると共に、ロッド先端側が後胴11に内蔵されたエレクタ装置2により組み立てられるリング状の新設セグメント5’に当接する配置に設けられ、この新設セグメント5’に反力をとり後胴11を前胴10に引き寄せて深く重合し得る構成で実施されている。なお、後胴11に対する前記推進ジャッキ4の固定手段はこれに限定されない。また、前記推進ジャッキ4における基端側とロッド先端側の向きは左右逆に配設してもほぼ同様に実施できる。
【0038】
前記掘進ジャッキ3と推進ジャッキ4は、これらを個別に伸縮動作が可能なように制御装置(図示省略)により制御され、それぞれの使用目的に応じた種々の作動が行える構成で実施されている。また、前記掘進ジャッキ3と推進ジャッキ4のストロークは共に、セグメント5、5’の1リングの幅とほぼ同等の1000mm程度で実施することが好ましい(請求項5及び請求項6記載の発明)。さらに、前記掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4の使用本数は、8本に限定されず、シールド径に応じた好適な本数で実施可能である。特に、前記推進ジャッキ4は、前胴10を掘進させるために利用するものではなく、後胴11を推進させるために利用すれば足りるので、使用本数は、従来技術と比して、少なくても(例えば3本程度でも)十分に実施可能である。ちなみに、後述するように、前記後胴11を推進させるためには、前記前胴10の周面摩擦力などを利用して前記掘進ジャッキを収縮させるだけで実施することも可能である(請求項1及び請求項3記載の発明)。
【0039】
上記構成のシールド掘進機を使用した高速施工シールド工法について、図1〜図4に基づいて説明する。
【0040】
図1は、前記シールド掘進機のすべての掘進ジャッキ3及び推進ジャッキ4が収縮した初期状態を示している。ちなみに、収縮した推進ジャッキ4と既設セグメント5の前端面の間には、新設セグメント5’を十分に組み込むことができる隙間(1200mm程度)を予め確保しておくことに留意する。
【0041】
この状態から、前記ロック機構8の板ばね7の後端部7bを、既設セグメント5のうち先頭部のセグメント5の凹溝部15内にセットし、前記セグメント5の凹溝部15に掛け止めて反力をとる(第1の工程)。
【0042】
前記ロック機構8の板ばね7は、既設セグメント5の外周面に弾性的に当接しながら後胴の進行に追従する構成なので、後胴11を進行させて板ばね7を当該凹溝部15に位置決めすると当該板ばね7の後端部7bは自動的に当該凹溝部15の底部及び後壁に当接する。
【0043】
前記図1の状態から、図2の状態に移行して、掘進作業とセグメントの組み立て作業の同時施工に入る。即ち、前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5(5’)の1リング幅分(1000mm程度)掘進させ、その間に、後胴11に内蔵したエレクタ装置2により新設セグメント5’を1リング組み立てる(第2の工程)。
【0044】
前記掘進ジャッキ3は、前記ロック機構8の板ばね7の後端部7bが前記既設セグメント5の凹溝部15内の後壁にしっかり当接するので、当該既設セグメント5に十分な反力をとって安定した掘進作業を行い得る。当該掘進ジャッキ3が安定した掘進作業を行っている間に行う新設セグメント5’の組み立て作業は、すべての推進ジャッキ4と全く接触しないで、且つ、盛り替えに制約を受けることなく実施できるので、フレキシブルな作業手順でスムーズに新設セグメント5’をリング状に組み立てることができる。
【0045】
前記図2の状態から図3と図4の状態に移行して、組み立てた新設セグメント5’に反力をとって後胴11を推進させる。即ち、前記推進ジャッキ4を若干伸張してその一端(ロッド先端側)を新設セグメント5’の前端面に当接させる。そして、前記推進ジャッキ4を新設セグメント5’の前端面に反力をとって伸張させ(図3参照)、当該伸張させた分だけ前記掘進ジャッキ3を収縮することにより、前記後胴11をセグメント5(5’)の1リング幅分(1ストローク分)推進させる。これに伴い、前記ロック機構8は、後方へは一切後退しないが後胴11の進行には追従する構成(所謂ラチェット機構)とされているので、当該後胴11の進行に追従して前記ロック機構8の板ばね7を新設セグメント5’の凹溝部に掛け止める位置までスムーズに位置決めすることができる(第3の工程)。
【0046】
ちなみに、図3は、前記推進ジャッキ4を伸張して新設セグメント5’の前端面に当接させた後、さらにほぼ半ストローク分(500mm)伸張させた状態を示している。その分、前記掘進ジャッキ3は、半ストローク分(500mm)収縮させている。
【0047】
そして、図4に示したように、シールド掘進機をセグメント1リング幅分(1ストローク分)推進させた後、前記推進ジャッキ4を収縮させて、図1に示したような初期状態に戻す(第4の工程)。
【0048】
このように、本発明に係る推進ジャッキ4は、後胴11を推進させるために新設セグメント5’に反力をとるのであり、従来技術のように、前胴10を掘進させるために新設セグメント5’に反力をとるものではないので、従来技術と比して、推進ジャッキ4の省力化を実現することができる。また、本発明に係る推進ジャッキ4は、すべての推進ジャッキ4を同時に伸縮制御すれば足り、従来技術のように、一部の推進ジャッキと残りの推進ジャッキを個別に伸縮制御し、且つ反力のバランスをとるように制御する必要が一切ないので、従来技術と比して、推進ジャッキ4の制御機構のシンプル化を実現することができる。
【0049】
以上が、1リングのセグメント5’を組み立てる工程であり、上記第1の工程から第4の工程を順次繰り返して行うことにより、掘削装置1による掘進作業とエレクタ装置2によるセグメント5(5’)の組み立て作業を同時期に行うシールド工法が可能となる(請求項2記載の発明)。
【実施例2】
【0050】
図9は、請求項3に記載したシールド掘進機を示しており、図9〜図12は、請求項1に記載した当該シールド掘進機を使用した高速施工シールド工法を段階的に示している。図示例の通り、高速施工シールド工法を実現するシールド掘進機は、前記推進ジャッキ4を使用しないで実施することもできる(請求項1及び請求項3記載の発明)。
【0051】
すなわち、実施例2に係るシールド掘進機は、前面にシールド掘削装置1を備えた前胴10と、セグメント5、5’を組み立てるエレクタ装置2を内蔵した後胴11とを掘進ジャッキ3により軸方向にスライド自在に連結して成り、シールド掘進機の後胴11の後方部内側面11bには、同後胴11の進行に追従し、既設セグメント5の外周面の周方向に設けた凹溝部15又は凸条部16に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキ3を伸張可能とするロック機構8が設けられており、掘進ジャッキ3を伸縮動作させる制御装置が設けられている(請求項3記載の発明)。
【0052】
このシールド掘進機による高速施工シールド工法は、先ず、図9に示したように、前記掘進ジャッキ3を収縮させて初期状態とし、前記ロック機構8を既設セグメント5の前記凹溝部15(又は凸条部16)に掛け止めて反力をとる(第1の工程)。次に、図10に示したように、前記ロック機構8により既設セグメント5に反力をとった掘進ジャッキ3を伸張させて前記前胴10をセグメント5、5’の1リング幅分掘進させ、その間に、後胴11に内蔵したエレクタ装置2により新設セグメント5’を1リング組み立てる(第2の工程)。続いて、図11と図12に示したように、前胴10の周面摩擦力を利用し、前記掘進ジャッキ3を収縮させて前記後胴11をセグメント1リング幅分推進させて、前記ロック機構8を新設セグメント5’の凹溝部15又は凸条部16に掛け止める(第3の工程)。以下、前記第1の工程から第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に行う(請求項1記載の発明)。
【0053】
即ち、この実施例2に係る技術は、前胴10の周面摩擦力を利用して、掘進ジャッキ3を収縮させることにより、推進ジャッキ4を使用しないで後胴11を推進させる技術的思想に立脚している。なお、前胴10の周面摩擦力を有効利用するべく、当該前胴の10の外周面に鋭角なテーパー状の突起物を多数設けて実施することが好ましい。
【0054】
このように、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【0055】
例えば、図13は、異なる実施例を示している。この実施例は、ロック機構8(板ばね7)と後胴11の後方部内側面11bとの間に、同ロック機構8を既設セグメント5側に押しつけ固定する、膨張・収縮が可能な袋体17を設けて実施している(請求項8記載の発明)。この袋体17は、通常時は収縮させて前記後方部内側面11bに設置しており、前記ロック機構8を既設セグメント5の凸条部16(又は凹溝部15)に掛け止める段階で膨張させて、当該ロック機構8を既設セグメント5側に押しつけて固定するのである。
【0056】
すなわち、前記袋体17は、前記ロック機構8の前記凹溝部15(又は凸条部16)へのロック状態を補助するために使用されるものである。よって、当該袋体17を設置して実施する場合は、前記弾性部材である板ばね7を必ずしも使用する必要はなく、前記凹溝部15(又は凸条部16)へ掛け止め可能な棒状材で実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法の初期状態を示した断面図である。
【図2】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に施工する状態を示した断面図である。
【図3】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、推進ジャッキを伸張させて新設セグメントの前端面に反力をとって後胴を推進させる状態を示した断面図である。
【図4】実施例1に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、新設セグメントの前端面に反力をとった推進ジャッキを1ストローク伸張させて後胴を推進させた状態を示した断面図である。
【図5】図1に示したロック機構を拡大して示した断面図である。
【図6】ロック機構の板ばねの設置状態を概略的に示した正面図である。
【図7】ロック機構のバリエーションを示した断面図である。
【図8】ロック機構のバリエーションを示した断面図である。
【図9】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法の初期状態を示した断面図である。
【図10】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、掘進作業とセグメントの組み立て作業とを同時期に施工する状態を示した断面図である。
【図11】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、後胴を推進させる状態を示した断面図である。
【図12】実施例2に係るシールド掘進機による高速施工シールド工法について、後胴を1ストローク分推進させた状態を示した断面図である。
【図13】ロック機構のバリエーションを示した断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 掘削装置(カッタヘッド)
2 エレクタ装置
3 掘進ジャッキ
4 推進ジャッキ
5 既設セグメント
5’ 新設セグメント
6 継目シール
7 板ばね
8 ロック機構
9 テールシール
10 前胴
11 後胴
11a 挿入部
11b 非挿入部
12 取り付け板
13 当接板
14 取り付け板
15 凹溝部
16 凸条部
17 袋体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵する後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴の後方部内側面に、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構を設け、
前記掘進ジャッキを収縮させて初期状態とし、前記ロック機構を既設セグメントの前記凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構により既設セグメントに反力をとった掘進ジャッキを伸張させて前記前胴をセグメントの1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置により外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を備えた新設セグメントを1リング組み立てる第2の工程と、
前記掘進ジャッキを収縮させて前記後胴をセグメントの1リング幅分推進させ、前記ロック機構を前記新設セグメントの凹溝部又は凸条部に掛け止める第3の工程と、
以下、前記第1の工程から第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメントの組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする、高速施工シールド工法。
【請求項2】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵する後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴の前方部内側面に、新設セグメントの前端面に反力をとる推進ジャッキを設け、同後胴の後方部内側面に、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構を設け、
前記掘進ジャッキ及び推進ジャッキを収縮させて初期状態とし、前記ロック機構を既設セグメントの前記凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構により既設セグメントに反力をとった掘進ジャッキを伸張させて前記前胴をセグメントの1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置により外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を備えた新設セグメントを1リング組み立てる第2の工程と、
前記推進ジャッキの一端を新設セグメントの前端面に当接させて、前記推進ジャッキを新設セグメントの前端面に反力をとって伸張させ、当該伸張させた分だけ前記掘進ジャッキを収縮することにより、前記後胴をセグメントの1リング幅分推進させ、前記ロック機構を新設セグメントの凹溝部又は凸条部に掛け止める第3の工程と、
前記推進ジャッキを収縮させて前記初期状態に戻す第4の工程と、
以下、前記第1の工程から第4の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメントの組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする、高速施工シールド工法。
【請求項3】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵した後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機において、
シールド掘進機の後胴の後方部内側面には、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構が設けられていること、
掘進ジャッキを伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする、シールド掘進機。
【請求項4】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵した後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機において、
シールド掘進機の後胴の前方部内側面には、外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を設けた新設セグメントの前端面に反力をとる推進ジャッキが設けられ、同後胴の後方部内側面には、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構が設けられていること、
掘進ジャッキ及び推進ジャッキを伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする、シールド掘進機。
【請求項5】
掘進ジャッキは、ほぼセグメントの1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする、請求項3又は4に記載したシールド掘進機。
【請求項6】
推進ジャッキは、ほぼセグメントの1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする、請求項4に記載したシールド掘進機。
【請求項7】
ロック機構は、軸方向に配置した板ばねを後胴の周方向に複数設けて成り、各々の板ばねは、その前端部は後胴の後方部内側面に固定され、後端部は開放され、当該開放された板ばねの後端部は、既設セグメントの外周面に弾性的に当接しながら後胴の進行に追従する構成とされていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一に記載したシールド掘進機。
【請求項8】
ロック機構と後胴の後方部内側面との間に、同ロック機構を既設セグメント側に押しつけ固定する、膨張・収縮が可能な袋体が設けられていることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一に記載したシールド掘進機。
【請求項1】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵する後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴の後方部内側面に、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構を設け、
前記掘進ジャッキを収縮させて初期状態とし、前記ロック機構を既設セグメントの前記凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構により既設セグメントに反力をとった掘進ジャッキを伸張させて前記前胴をセグメントの1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置により外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を備えた新設セグメントを1リング組み立てる第2の工程と、
前記掘進ジャッキを収縮させて前記後胴をセグメントの1リング幅分推進させ、前記ロック機構を前記新設セグメントの凹溝部又は凸条部に掛け止める第3の工程と、
以下、前記第1の工程から第3の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメントの組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする、高速施工シールド工法。
【請求項2】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵する後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機で掘進するシールド工法において、
シールド掘進機の後胴の前方部内側面に、新設セグメントの前端面に反力をとる推進ジャッキを設け、同後胴の後方部内側面に、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構を設け、
前記掘進ジャッキ及び推進ジャッキを収縮させて初期状態とし、前記ロック機構を既設セグメントの前記凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとる第1の工程と、
前記ロック機構により既設セグメントに反力をとった掘進ジャッキを伸張させて前記前胴をセグメントの1リング幅分掘進させ、その間に、後胴に内蔵したエレクタ装置により外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を備えた新設セグメントを1リング組み立てる第2の工程と、
前記推進ジャッキの一端を新設セグメントの前端面に当接させて、前記推進ジャッキを新設セグメントの前端面に反力をとって伸張させ、当該伸張させた分だけ前記掘進ジャッキを収縮することにより、前記後胴をセグメントの1リング幅分推進させ、前記ロック機構を新設セグメントの凹溝部又は凸条部に掛け止める第3の工程と、
前記推進ジャッキを収縮させて前記初期状態に戻す第4の工程と、
以下、前記第1の工程から第4の工程を順次繰り返して掘進作業とセグメントの組み立て作業を同時期に行うことを特徴とする、高速施工シールド工法。
【請求項3】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵した後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機において、
シールド掘進機の後胴の後方部内側面には、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構が設けられていること、
掘進ジャッキを伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする、シールド掘進機。
【請求項4】
前面にシールド掘削装置を備えた前胴と、セグメントを組み立てるエレクタ装置を内蔵した後胴とを掘進ジャッキにより軸方向にスライド自在に連結して成るシールド掘進機において、
シールド掘進機の後胴の前方部内側面には、外周面の周方向に凹溝部又は凸条部を設けた新設セグメントの前端面に反力をとる推進ジャッキが設けられ、同後胴の後方部内側面には、同後胴の進行に追従し、既設セグメントの外周面の周方向に設けた凹溝部又は凸条部に掛け止めて反力をとり前記掘進ジャッキを伸張可能とするロック機構が設けられていること、
掘進ジャッキ及び推進ジャッキを伸縮動作させる制御装置が設けられていることを特徴とする、シールド掘進機。
【請求項5】
掘進ジャッキは、ほぼセグメントの1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする、請求項3又は4に記載したシールド掘進機。
【請求項6】
推進ジャッキは、ほぼセグメントの1リング幅分のストロークとされていることを特徴とする、請求項4に記載したシールド掘進機。
【請求項7】
ロック機構は、軸方向に配置した板ばねを後胴の周方向に複数設けて成り、各々の板ばねは、その前端部は後胴の後方部内側面に固定され、後端部は開放され、当該開放された板ばねの後端部は、既設セグメントの外周面に弾性的に当接しながら後胴の進行に追従する構成とされていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一に記載したシールド掘進機。
【請求項8】
ロック機構と後胴の後方部内側面との間に、同ロック機構を既設セグメント側に押しつけ固定する、膨張・収縮が可能な袋体が設けられていることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一に記載したシールド掘進機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−37430(P2006−37430A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216815(P2004−216815)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【出願人】(396010247)株式会社喜多建 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【出願人】(396010247)株式会社喜多建 (3)
【Fターム(参考)】
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