説明

高速昇降温処理用ランプ

【課題】従来技術の欠点が排除され、RTPでの使用における作用性が増長され、タングステンハロゲンランプの性能を高め得るRTP用ランプを提供すること。
【解決手段】上部(16)及び底部(18)を有し、長手方向軸(14)に沿って配列したランプエンベロープと、第1引込み部(20a)を有する第1の2重コイルフィラメント(20)及び第2引込み部(22a)を有する第2の2重コイルフィラメント(22)にして、ランプエンベロープ内の長手方向軸と平行で且つ相互に平行な第1及び第2の各2重コイルフィラメントと、各2重コイルフィラメントを各引込み部から遠い側の端部で連結するシリアルコネクタ(24)と、ランプエンベロープ底部に位置決めした電気絶縁性支持体(26)とを含み、各引込み部とシリアルコネクタの少なくとも一部とが電気絶縁性支持体の内部でシールされて各部材が第1及び第2の各2重コイルフィラメントの唯一の支持体を提供し、コイルフィラメントがCC6フィラメントのそれの2倍の直径を有するワイヤを有するランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプに関し、詳しくは、高速昇降温処理(RTP)で使用するための加熱ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
高速昇降温処理(RTP)は、製造中のある時点で製品を加熱する必要のある多くの工業において用いられる。そうした製品の1つには、例えば、半導体チップ製造における半導体が含まれる。こうしたプロセスでは、加熱法(例えば、光学的加熱法)を使用して半導体ウェハーの温度を素早く上昇させ、安定化に高温を一定時間保持し、次いで温度を急降下させる。RTPによれば、ウェハーをその活性温度(例えば少なくとも1000℃)に非常に素早く加熱できる。活性温度では、相当するプロセスステップ(例えば、付着、打ち込み、拡散、除去又はキーマテリアルの形成)が安定化される。温度及び当該温度を維持する時間は、各プロセスステップにおいて正確に実施されるべきである。過熱は、ドーパントを下層に透過せしめ、加熱された下層には制御不能な特性が生じ得る。
【0003】
RTPは半導体プロセス処理では半導体ウェハーを焼鈍するために使用されている。RTPのそうした用途の1つにはイオン打ち込み後のウェハー焼鈍がある。この目的上使用するRTPヒーターには高い一様性を有するべきである。つまり、ウェハー表面全体を横断する温度が一様でなければならない。既知の大抵のRTPヒーターでは、フィラメントの立体角(ウェハー表面から見てフィラメントに対する立体角)は極めて小さく、1ラジアンの10分の1のオーダーである。よって、形態係数エリアは、フィラメントの立体角によるウェハー上への投影エリア(即ち、フィラメントの立体角にフィラメントとウェハーとの間の距離を乗じた値)として定義される。全ウェハーをカバーするための合計立体角が4.piラジアンである場合、1ラジアンの10分の1の立体角はウェハーの約1%をカバーするに過ぎない。容器の石英壁の外側のリフレクタは短波長放射電磁界用の放射電磁界のみにおいて伸延される。
【0004】
既知のRTPヒーターはそのフィラメントと電源との間に物理的接続部を有することで寿命は比較的短い。そうしたランプは端部位置でシールされ、各フィラメントを連結するワイヤは外側に引き出されて電源に物理的に接続される。この物理的接続は、通常のランプ動作中にフィラメントの入出力接続部が破損し、その結果、接続部分の金属間の熱膨張率の差によりインターフェース位置に応力が蓄積されて故障する割合を高める原因となっている。そうしたシステムで使用する既知のタングステンハロゲンランプでは、比較的薄い単一のフィラメントを使用して必要な熱を発生させている。例えば、そうしたランプの1つでは、長年、定格寿命が150時間の1000ワット、240ボルト型タングステンハロゲンランプを使用する。このランプは出力が23000ルーメン、色温度が3200K、最大バルブ温度が900℃である。
こうしたランプの出力及び寿命を増大させ、他方、ランプの複雑性を低減させ、そのコストを維持または低下させ得れば有益であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、解決しようとする課題は、従来技術の上述した如き欠点が排除され、RTPでの使用における作用性が増長され、タングステンハロゲンランプの性能を高め得るRTP用ランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決する本発明の1様相によれば、RTP用のランプであって、頂部及び底部を有し、長手方向に沿って配列したランプエンベロープと、第1引込み部を有する第1の2重コイルフィラメント及び第2引込み部を有する第2の2重コイルフィラメントにして、ランプエンベロープ内の長手方向軸と平行で且つ相互に平行な第1及び第2の各2重コイルフィラメントと、該第1及び第2の各2重コイルフィラメントを、第1及び第2の各引込み部から遠い側の各端部で連結するシリアルコネクタと、ランプエンベロープの底部に近接して位置決めした電気絶縁性支持体と、を含み、第1引込み部と、第2引込み部と、シリアルコネクタの少なくとも一部とが該電気絶縁性支持体の内部でシールされ、かくして、当該第1引込み部と、第2引込み部と、シリアルコネクタの少なくとも一部とが、第1及び第2の各2重コイルフィラメントの唯一の支持体を提供するランプが提供される。
【0007】
2重コイルフィラメント型ランプ(同質量であるが各フィラメントの厚みが単コイル型フィラメントCC6の2倍)を単コイル型ランプにおけると同一パラメーター(即ち、1000ワット、240ボルト)下に動作させた場合、意外にも定格寿命は250時間、ルーメン出力は27,500ルーメンとなった。通常、これら値の一方が増大すると他方は減少することから、ルーメン及び寿命の何れも増大したのは全く予想外であった。
【発明の効果】
【0008】
従来技術の上述した如き欠点が排除され、RTPでの使用における作用性が増長され、タングステンハロゲンランプの性能を高め得るRTP用ランプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を図面を参照して詳しく説明するに、図1には、例えば、中でも高速昇降温処理で使用し得るタングステンハロゲンランプ10(以下、ランプ10)が示される。ランプ10は、上部16及び底部18とを有し且つ長手方向軸14に沿って配列したエンベロープ12を具備する。エンベロープ12内には、第1引込み部20aを有する第1の2重コイルフィラメント20と、第2引込み部22aを有する第2の2重コイルフィラメント22とが位置決めされ、第1及び第2の各2重コイルフィラメントは相互に且つエンベロープ12内の長手方向軸14に関して平行に配列される。本発明の好ましい実施例において、第1及び第2の各2重コイルフィラメント20及び22は、その直径が通常のCC6フィラメントの2倍であるが、質量は実質的に単コイルフィラメントのそれと同等のワイヤを有する。直径の大型化が機械的安定性を高め、寿命延長に寄与する。
【0011】
各コイルに連結した別部材又は各コイル自身と一体の延長部であり得るシリアルコネクタ24が、第1引込み部20a及び第2引込み部22aから遠い側の各端部20b、22b位置で第1及び第2の各2重コイルフィラメント20及び22を連結する。例えばガラス又は水晶製の電気絶縁性支持体26が、エンベロープ12の底部18に近接して位置決めされ、第1引込み部20aと、第2引込み部22aと、シリアルコネクタ24の少なくとも一部24aとが電気絶縁性支持体26の内部でシールされ、かくして、第1引込み部20aと、第2引込み部22aと、シリアルコネクタ24の少なくとも一部24aとが、第1及び第2の各2重コイルフィラメント20、22の唯一の支持体を提供する。当該システムにより、従来はフィラメントを支持するために必要とされた数本の独立型支持ピンが排除され、かくしてランプ製造上の材料コスト及び複雑性が低減される。
【0012】
単コイル型フィラメントで従来使用するそれの2倍のワイヤ径を持つ2つのフィラメントを備えるランプ10によれば、同等の単コイル型フィラメントランプのそれよりもルーメン出力は26%高くなり、平均寿命は64%延びる。先に言及したように、これら2つの条件は一般に相互排他的と考えられることから、何れの値も増大するランプは極めて異例なものである。
【0013】
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0014】
10 タングステンハロゲンランプ
12 エンベロープ
14 長手方向軸
16 上部
18 底部
20a 第1引込み部
22a 第2引込み部
20 第1の2重コイルフィラメント
22 第2の2重コイルフィラメント
24 シリアルコネクタ
26 電気絶縁性支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速昇降温処理用ランプであって、
頂部及び底部を有し、長手方向軸に沿って配列したランプエンベロープと、
第1引込み部を有する第1の2重コイルフィラメント及び第2引込み部を有する第2の2重コイルフィラメントにして、ランプエンベロープ内の長手方向軸と平行で且つ相互に平行な第1及び第2の各2重コイルフィラメントと、
該第1及び第2の各2重コイルフィラメントを、第1及び第2の各引込み部から遠い側の各端部で連結するシリアルコネクタと、
ランプエンベロープの底部に近接して位置決めした電気絶縁性支持体と、
を含み、
第1引込み部と、第2引込み部と、シリアルコネクタの少なくとも一部とが前記電気絶縁性支持体の内部でシールされ、かくして、第1引込み部と、第2引込み部と、シリアルコネクタの少なくとも一部とが、第1及び第2の各2重コイルフィラメントの唯一の支持体を提供するランプ。
【請求項2】
第1及び第2の各2重コイルフィラメントが、通常のCC6フィラメントの2倍の直径のワイヤを有する請求項1のランプ。
【請求項3】
ルーメン出力及び寿命が、質量が実質的に同等の単コイル型フィラメントのそれよりも増大された請求項2のランプ。
【請求項4】
ルーメン出力が、質量が実質的に同等の単コイル型フィラメントのそれよりも26%高く、寿命が、質量が実質的に同等の単コイル型フィラメントのそれの約64%長い請求項3のランプ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−135321(P2010−135321A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269991(P2009−269991)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(394001685)オスラム・シルバニア・インコーポレイテッド (68)