説明

高速発電機用の周波数変換器

【課題】
本発明は、発電機(1)によって生成された交流電流又は発電機(1)によって生成された交流電圧を配電網(8)に適合させる方法及び装置に関する。この場合、発電機(1)は、少なくとも1つの励磁コイル(2)を有する。静止形インバータ(9)が、発電機(1)と配電網(8)との間を適合するために使用されることによって、及び、一方では手段(3)が、配電網(8)内に供給される電力を制御するために配置されていることによって、配電網(8)内に供給される電力を低いスイッチング損失で柔軟に適合させることができる。少なくとも1つの励磁コイル(2)によって生成された励磁場の強さが、この手段(3)によって制御される。他方では周波数変換器の電圧と発電機の電圧又は配電網の電圧との間の位相位置が、この手段(3)によって適切に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機によって生成された交流電流又は発電機によって生成された交流電圧を配電網に適合させる方法に関する。この場合、発電機は、少なくとも1つの励磁コイルを有する発電機である。さらに本発明は、この方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転数変動形発電機又は商用周波数と異なる周波数による一般の発電機は、一般には発電機によって生成される電圧及び周波数を配電網の電圧及び周波数に適合させる周波数変換器を介して配電網に接続される。これに対して様々な装置が、周波数変換器として使用される。例えば、いわゆる直接周波数変換器が使用される。直接周波数変換器の場合、例えば半導体スイッチ(例えば、サイリスタ又はGTO,Gate Turn-Off Thyristor )を使用して、双方の異なる電圧及び周波数が、直接周波数変換(AC/AC)で同時に相対的に調整される。このような直接周波数変換器には、例えばいわゆるサイクロコンバータ又はいわゆるマトリックスコンバータ(例えば、米国特許第5,594,636 号明細書)がある。通常の転流の場合、これらの直接周波数変換器は、望まない除去の困難な低周波の周波数成分を発生する。不自然な転流の場合、これらの直接周波数変換器は、大きいスイッチング損失を有する。
【0003】
この代わりに、間接変換の形態で電圧及び周波数を適合させて発電機を配電網に接続することを保証することが可能である。このような変換の場合、直流が、整流器内で発電機によって生成される交流から生成される。引き続きこの直流は、インバータ内で配電網の電圧及び周波数に変換される。このように制御される周波数変換器は、同様に半導体スイッチ(例えば、GTO,IGBT,Insulated Gate Bipolar Transistor ,MOSFET,Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor 又はIGCT,Integrated Gate Commutated Thyristor)を利用し、一般に使用されるスイッチング周波数では大きいスイッチング損失を呈する。
【特許文献1】米国特許第5,594,636 号明細書
【非特許文献1】"Convertisseurs statiques", Hansruedi Buehler, Press Polytechniques et Universitaires Romandes, 1991第302ff 頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、発電機によって生成された交流電流又は発電機によって生成された交流電圧を配電網に適合させる、低いスイッチング損失を特徴とする簡単で汎用な方法を提供することにある。この場合、方法が、少なくとも1つの励磁コイルを有する発電機に関係する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、発電機と配電網との間を適合するため、静止形インバータが使用されること、及び、配電網内に供給される電力を制御するため、一方では手段が配置されていて、これらの手段によって、少なくとも1つの励磁コイルによって生成される励磁場の強さが制御され、他方では周波数変換器の電圧と発電器又は配電網の電圧との間の位相位置が適切に制御されることによって解決される。
【0006】
したがって本発明の本質は、静止形インバータの欠点を受け入れる必要なしに、一般に静止形インバータの使用に関連する利点、すなわち簡単な構造,低いスイッチング周波数等を利用する点にある。すなわち静止形インバータの主な欠点は、確かに静止形インバータは入力部と出力部との間の周波数の変換を可能にするものの、一般に入力部と出力部との間の交流電圧の振幅比の簡単な制御は不可能である。この欠点は、発電機によって配電網内に供給された電力を制御するため一方では発電機の励磁コイルの励磁場が制御され、他方では制御された整流器によって生成された電圧と発電機の電圧との間の位相位置が適切に制御されることによって予想以上に簡単な方法で除去される。
【0007】
提唱されている回路又は提唱されている方法は、始動時にタービン発電機群の高速回転を必要な最小回転数に簡単に可能にできるさらなる利点を有する。ガスタービンのような熱的な又はその他のエネルギー源は、低い回転数では回転トルクを生成しない。これらのガスタービンが電力を出力できる前に、最初に最小回転数が、電動機によってこれらのガスタービンに与えられる必要がある。解決手段「タービン・駆動部・発電機・配電網」の場合、発電機は、配電網に対してだけ同期し、したがって定格回転数で運転され得る。そして固有の給電装置及び制御装置を伴う追加の始動電動機が必要になる(従来の技術)。
【0008】
解決手段「タービン・発電機・周波数変換器・配電網」の場合、周波数変換器が、発電機をタービンと共に高速回転させることができるときに、追加の始動装置が省略され得る。これに対しては:
1)エネルギーが、配電網から周波数変換器を介して発電機に供給され得、
2)この周波数変換器は、発電機側で任意の電圧及び周波数を生成できる。発電機の場合、電圧及び周波数が、(一定の励磁で)回転数にほぼ比例する。停止状態から定格回転数に高速回転する場合、電圧及び周波数も零から定格値に変化させる必要がある。
【0009】
提唱されている回路は、高速回転に対して非常に適している。この回路が、より高いスイッチング周波数で運転されることによって、この回路は、任意の電圧及び周波数を簡単に生成できる。この運転方式によって生成されたより高い損失は、始動時だけに生じる。同様な損失は、短期間だけ、一般に特別な始動装置内で生じるので、このことは許容されている。回転数範囲がエネルギー生成に達すると、損失のない基本周波数周期に切り替えられる。
【0010】
したがって追加の始動装置に対するコストが、この回路によって節約され得る。
【0011】
この方法の第1の好適な実施形によれば、使用される静止形インバータは、間接周波数変換器である。換言すれば、整流段が中間に接続されている整流器/インバータとして構成された静止形インバータである。入力部と出力部との間の電圧比が、整流器又はインバータによってさらに特別な回路を介して調整されなければならない場合、簡単な構成は、一般に高いスイッチング損失につながる。この簡単な構成は、本発明の励磁場の制御及び周波数変換器から生成された電圧の位相位置によって複雑な手段なしに調整され得る。
【0012】
本発明の方法の別の好適な実施形は、適合が基本周波数周期で制御される整流器及び/又は基本周波数周期で制御されるインバータを有する静止形インバータによって実施されることを特徴とする。整流器とインバータの双方が、基本周波数周期で制御される構成部品として構成されている場合、この方法は特に好ましい。いわゆる鏡像に配置された2つのパルスインバータの使用は、特に簡単であり、配電網に対する電力の供給を動的に制御する必要のある発電機でも本発明の励磁コイルの制御によって可能になる。
【0013】
整流器及びインバータに対して2段インバータ又は3段インバータが使用され得る。3段インバータは、固定子巻線群を1つだけ有する発電機で好ましい。多数の巻線群の場合は、2段インバータ及び3段インバータが非常に適している。好ましくは、制御される整流器は3段整流器である。この代わりに又は同時に、特に制御されるインバータは3段インバータである。この場合、両者は、好ましくは基本周波数周期で作動される。このような3段インバータの一般的な機能は、当業者に公知であり、例えば"Convertisseurs statiques", Hansruedi Buhler, Press Polytechniques et Universitaires Romandes, 1991 のような標準的な文献で見ることができる。
【0014】
中央制御部が配置されることによって、このような本発明の方法は好ましく実現される。この中央制御部は、静止形インバータの前方及び/後方の電圧及び/又は電流の強さの測定を通じて、励磁コイルから生成された励磁場の強さを制御する手段を適切に制御することによって配電網内に供給される交流電圧の振幅を適合する。
【0015】
希望する電力の流れを希望する力率で可能にするため、この中央制御部は、
1)発電機の電圧と制御された整流器によって生成された電圧との間
2)配電網の電圧と制御されたインバータによって生成された電圧との間
の適した位相角度をさらに調整する。
【0016】
有効電力が、主に角度によって算定される。無効電力(及び力率)は、振幅によって算定される。
【0017】
対応するフィルタ素子が、片側又は両側に配置されることによって、静止形インバータの発電機側及び静止形インバータの配電網側の実際に希望する基本周波数の外側で発生しうる周波数成分が低減又は完全に排除され得る。例えば帯域通過フィルタ,高域通過フィルタ,低域通過フィルタ又はこれらのフィルタの組合せが考慮される。この場合、能動素子又は受動素子がさらに考慮される。
【0018】
本発明の方法は、1つの固定子巻線群を有する発電機だけで実施され得るだけでなくて、同様に2つ又は3つの巻線群を有する発電機でも実施され得る。これに応じて、このときに生成されたそれぞれ3つずつの相の群がそれぞれ、個々の静止形インバータによって変換される。例えば2つの固定子巻線群を有する発電機の場合、好ましくは配電網に対する入力が、静止形インバータの後方で変圧器を経由して保証される。この変圧器の場合、3つの相の一方の群は、Y結線で構成されていて、3つの相の他方の群は、Δ結線で構成されている。
【0019】
この方法のその他の好適な実施形は、従属請求項中に記載されている。
【0020】
さらに本発明は、上述したように方法を実施する装置に関する。この装置は、特に交流電圧の振幅の適合に関する手段によって配電網の要求に対して制御可能な少なくとも1つの励磁コイルを有する発電機,基本周波数周期で制御される少なくとも1つの整流器を有する静止形インバータ,基本周波数周期で制御される少なくとも1つのインバータ及びこれらの要素を制御する少なくとも1つの制御部を有する。
【0021】
本発明の装置のその他の好適な構成は、従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
多くの発電設備は、ガスタービンのような熱的な又はその他のエネルギー源を使用する。一般にこのような電力源は、速い回転速度及びこれによる高い運転周波数並びに回転速度を必要な電力への適合中に変更することができることを特徴とする。
【0023】
例えば図1中に符号Pで示されているエネルギー生成部の異なる回転速度を考慮する場合、駆動部が、例えば実際の電力源Pと電気エネルギーを生成する発電機との間に挿入され得る。しかしこの駆動部は、一般にそれ自体高い損失を招き、整備に労する欠点を有する。発電機の回転周波数は、結果的にこれによって生成された交流の周波数を決定するので、発電機を電力源に直接、場合によっては連結部を介して結合し、周波数変換器が設けられることによって、引き続き電機の後方で生成された電力の周波数を配電網の周波数に適合することも代わりに可能である。確かにこのような周波数変換器は、駆動部内で発生する機械的な損失を回避するものの、そこで使用されるスイッチング半導体素子のスイッチング動作又は転流動作によるエネルギー損失を一般に招く。
【0024】
図1は、電力生成部及び配電網8に対するこの電力生成部8の結合を示す。この配電網8の場合、機械的な駆動部が必要になることなしに、このような損失が可能な限り僅かに保持でき、発電機の異なる回転速度でも可能である。
【0025】
システムは、発電機1を有する。この発電機1内では、回転する励磁コイル2が、固定子巻線16に対応する交流電圧を誘導する。この場合、励磁コイル2の回転が、電力源Pによって保証される。この電力源Pは、ガスタービン,水蒸気タービン又はその他の運動力学的なエネルギー源から成り得る。
【0026】
励磁コイル2に通電する電流が、制御部6によって制御される制御手段3によって要求に応じて調整され得る。この場合、三相電源が、エネルギー源として使用されるときは、例えばサイリスター整流器ブリッジが、制御手段3として使用され得る。又は、直流がエネルギー源として使用されるときは、チョッパが使用される。この制御手段3の種類,方法及び目的を以下でさらに説明する。
【0027】
発電機1によって生成された電流が、引き続き周波数変換器9に供給される。この周波数変換器は、いわゆる静止形インバータである。以下でさらに説明する周波数変換器の制御を保証できるようにするため、好ましくは周波数変換器の前で交流の電流の強さ及び電圧を測定し、対応する測定値を制御部6に供給することが可能である。
【0028】
周波数変換器9は、3つの部分、すなわち整流器4,インバータ5及び直流段10を有する。整流器4は、発電機1の周波数fGen の交流を直流に変換することを保証する。引き続きこの直流は、インバータ5内で配電網に適合された周波数fNetzに変換される。
【0029】
基本周波数周期を有する2段インバータの場合、交流電圧と直流電圧との間の比が一定である。基本周波数周期を有する3段インバータの場合、交流電圧と直流電圧との間の比は任意に調整可能である。しかし(2段インバータと同様に)高調波は発生する。2段インバータに対する3段インバータの利点の1つは、高調波を低減し、比較的良好な波形を入手できる点である。この意図は、電圧比を狭い範囲に限定する。この狭い範囲の大きさは、許容される高調波の大きさに依存する。電圧が、インバータと発電機の制御部を組み合わせて制御される。
【0030】
自由な出力制御に対しては、電圧の振幅及び位相位置を調整する必要がある。有効電力は、主に発電機の電圧と制御された整流器によって生成された電圧(又は配電網の電圧及び制御されたインバータによって生成された電圧)との間の位相角によって影響される。無効電力(及び力率)は、主に発電機の電圧の振幅と制御された整流器によって生成された電圧(又は配電網の電圧及び制御されたインバータによって生成された電圧)との間の比によって影響される。
【0031】
この実施の形態では、具体的には3パルス整流器(dreistufiger Pulsgleichrichter)が、整流器4として使用できる。このようなパルス整流器は、例えば"Convertisseurs statiques", Hansruedi Buehler, Press Polytechniques et Universitaires Romandes, 1991第302ff 頁に記され、当業者に公知である。発電機1によって生成された3つの相の各々が、図1中に示されているような対応する整流器回路によって整流される。例えばGTO,IGBT,MOSFET又はIGCTのような半導体素子が、電力スイッチとしてこのようなパルス整流器内で使用される。
【0032】
整流器4は、いわゆる基本周波数周期によって、すなわち生じるスイッチング損失又は転流損失が最小である(これに対しては、上記文献の第 147ff頁参照)方法によって作動される。この場合、この回路方式の欠点は、直流電圧(UGleich) に対する発電機の入力電圧 (U Gen ) の電圧比が一定であって回路方式の変更なしにはかつこれに関連するスイッチング損失なしには調整され得ない点だけである。
【0033】
このような三段階の整流作用で生成された直流電圧が、引き続き同じものの、いわゆる鏡像に配置されたインバータ5に対する入力として使用される。この直流電圧の場合、3つのレベルの各々が、コンデンサによって互いに分離されている。整流器4に関連して既に説明したように、同様にパルスインバータが、インバータ5として使用される。このパルスインバータも、その基本周波数周期で作動される。その結果、スイッチング損失が最小限に保持される。これに応じてここでも、配電網側の交流電圧 (U Netz) に対する直流電圧 (U Gleich) の比が一定である。
【0034】
インバータ5によって生成された三相の交流電圧が、引き続き場合によっては変圧器7を経由して配電網8内に供給される。また本発明の制御を最適に実施できるようにするためには、インバータ5の後方で電圧を測定するか11又は電流の強さを測定し17、付随する測定値を制御部6に入力することが好ましい。
【0035】
鏡像に配置された2つのスイッチング素子であるパルスインバータ又はパルス整流器5,4の説明した組み合わせの場合、双方がそれらの基本周波数周期によって作動される時に、一定の比が、入力電圧と出力電圧との間に設定されている。

Gen /UNetz=一定

換言すれば、出力 (f Netz) に対する入力 (f Gen ) の周波数の任意の比は、このような周波数変換器9によって調整することができるものの、配電網8内に入力された有効電力及び無効電力の任意の制御は、一定の電圧の比が原因で不可能である。
【0036】
エネルギー源Pからの最大に可能な電力を最適な力率で配電網8内に常に供給できるようにするため、電圧の比が励磁コイル2に供給される電流を調整することによって間接的に調整される手段が、本発明にしたがって実施される。手段3によって可能なこの制御は、励磁コイル2によって生成された励磁場及び固定子巻線16に誘導された電圧が制御されることを招く。この場合、この制御は、ユニット6によって実施される。それ故にこのユニット6は、電圧測定11及び電流の強さ測定17のための測定装置によって自由に処理可能な電圧及び電流の強さ又はこれらの位相位置及び周波数に対するデータを使用できる。
【0037】
したがって、静止形インバータ9内の電圧の比が一定であるにもかかわらず、希望する電力が、希望する力率で配電網9に対して常に出力され得る。この種類の制御には、配電網8内に供給される電力の変更が非常に短期間で可能であるという特に大きな利点がある。3段整流器又はインバータの比較的良好な波形が、この3段整流器又はインバータから構成された周波数変換器9を発電機1と配電網8との間の直接の接続部として使用することを可能にする。必要な場合は、既に説明したように、変圧器7を周波数変換器9と配電網8との間で使用してもよい。
【0038】
図2中に示すように、発電機は、多数の固定子巻線群を有する発電機でもよい。図2中には、2つの固定子巻線12及び13を有する発電機1が示されている。各巻線群に対応する3つの相がそれぞれ、引き続き別々に1つの周波数変換器に入力される。換言すれば、第1固定子巻線群12の3つの相が、第1整流器段41に入力され、引き続きインバータ段51内で配電網8に必要な周波数に変換される。別の回路では、第2固定子巻線群13の3つの相が、第2整流器段42に入力され、引き続きインバータ段52内で同様に配電網に必要な周波数に変換される。引き続き、第1群及び第2群の3つの相は、変圧器段72又は73を経由して変圧器コイル71によって配電網に入力される。最適な結合を保証するため、好ましくは一方の群がY結線で構成され、他方の群がΔ結線で構成される。
【0039】
発電機1又は配電網8の構成が、このことを必要にする場合、一般に提唱されている整流器4及び提唱されているインバータ5でそれらの基本周波数周期で発生するような倍音(harmonische Vilfache)を適切なフィルタによって除去すること及び減衰することがさらに可能である。このことは、図3中に示されている。この場合、発電機1側では、低域通過フィルタが、直列なチョークコイル14と接地されたコンデンサ15とによって設けられている。したがって、発電機1に帰還しうる、例えば回転トルクの振動を招きうる、望まない周波数成分が除去され得る。他方の側では、直列なチョークコイル74と接地されたコンデンサ75とから構成され、配電網8側に配置された低域通過フィルタによって、配電網8方向の望まない周波数成分が、低減され得るか又は完全に除去され得る。したがっていわゆる無停電電源装置(UPS)と同様に、隔離運転又は独立型運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】電力供給網の発電機の接続の概略図である。
【図2】図1の概略図である。この場合、発電機の固定子が、2つの巻線群を備える。
【図3】図1の概略図である。この場合、高調波を減衰するフィルタがさらに挿入されている。
【符号の説明】
【0041】
1 発電機
2 励磁コイル
3 手段,制御可能な引出しコイルの給電部
4 整流器,パルス整流器,周波数変換器の整流器段
5 インバータ,パルスインバータ,周波数変換器のインバータ段
6 制御部,調整部
7 変圧器
8 配電網
9 周波数変換器,静止形インバータ
10 直流段
11 電圧測定部
12 発電機の第1固定子巻線群
13 発電機の第2固定子巻線群
14 チョークコイル
15 コンデンサ,容量部
16 発電機の固定子巻線
17 電流測定部
41,42発電機の第1又は第2固定子巻線群に対する整流器段
51,52発電機の第1又は第2固定子巻線群に対するインバータ段
71 配電網に対する変圧器コイル
72 発電機の第1固定子巻線群に対する変圧器段,Y結線
73 発電機の第2固定子巻線群に対する変圧器段,Δ結線
74 チョークコイル
75 コンデンサ,容量部
P 電力源,例えばタービン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機(1)によって生成された交流電流又は発電機(1)によって生成された交流電圧を配電網(8)に適合させる方法にあって、この場合、発電機(1)は、少なくとも1つの励磁コイル(2)を有する発電機において、静止形インバータ(9)が、発電機(1)と配電網(8)との間を適合するために使用されること、及び、手段(3)が、配電網(8)内に供給される電力を制御するために配置されていて、一方では少なくとも1つの励磁コイル(2)によって生成された励磁場の強さが、他方では周波数変換器の電圧と発電機の電圧又は配電網の電圧との間の位相位置が、この手段(3)によって制御されることを特徴とする方法。
【請求項2】
適合は、整流器(4,41,42)/インバータ(5,51,52)及びこれらの間に接続された直流段(10)としての静止形インバータ(8)によって実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
適合は、基本周波数周期で制御される整流器(4,41,42)及び/又は基本周波数周期で制御されるインバータ(5,51,52)を有する静止形インバータ(9)によって実施されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
制御される整流器(4,41,42)は、3段整流器であり、制御されるインバータ(5,51,52)は、3段インバータであり、これら双方は、基本周波数周期で作動されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
静止形インバータ(9)は、例えばGTO,IGBT,MOSFET又はIGCTのような接続されたサイリスタを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
中央制御部(6)が、配置されていて、この中央制御部(6)は、静止形インバータ(9)の前方及び/後方の電圧(11)及び/又は電流の強さ(17)の測定を通じて、励磁コイル(2)から生成された励磁場の強さを制御する手段(3)を適切に制御することによって配電網(8)内に供給される交流電圧の振幅を適合することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
手段(3)は、発電機の電圧と制御された整流器によって生成された交流電圧との間の位相位置又は配電網の電圧と制御されたインバータによって生成された交流電圧との間の位相位置を適切に制御することによって発電機から配電網内に供給される電力を適合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
基本周波数から外れている周波数成分が、静止形インバータ(9)の前方及び/後方で第2手段(14,15,74,75)によって減衰又は排除されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
発電機(1)は、2つ又は多数の固定子巻線群(12,13,16)を有する発電機(1)であること、及び、1つの固定子巻線群(12,13,16)によって生成された交流電圧はそれぞれ、各1つの静止形インバータ(41,51;42,52)によって変換され、この場合、特に好ましくは2つの固定子巻線群(12,13)を有する発電機(1)の場合、配電網(8)への入力が、静止形インバータ(9)の後方で変圧器(7)を経由して実施され、この変圧器(7)の場合、3つの相の一方の群は、Y結線(72)で構成されていて、3つの相の他方の群は、Δ結線(73)で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
手段(3)は、特に三相配電網から成る電力に関係するサイリスター整流器ブリッジであるか又は直流の形態の電力に関係するチョッパであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
交流電圧の振幅の適合に関する手段(3)によって配電網(8)の要求に対して制御可能な少なくとも1つの励磁コイル(2)を有する発電機(1),基本周波数周期で制御される少なくとも1つの整流器(4,41,42)を有する静止形インバータ(9),基本周波数周期で制御される少なくとも1つのインバータ(5,51,52)及びこれらの要素を制御する少なくとも1つの制御部(6)を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
タービン(P)・発電機(1)群をエネルギー生成に必要な最小回転数に高速運転させる請求項11に記載の装置の使用において、この場合、エネルギーが、配電網(8)からインバータ(9)を経由して発電機(1)に送られ、電圧及び周波数が、インバータ(9)内で零から定格値に変えられる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−514490(P2009−514490A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518215(P2006−518215)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051353
【国際公開番号】WO2005/004317
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】