説明

高速紡糸用のスパンデックス組成物

少なくとも1つのジイソシアネート化合物ならびにエチレンエーテル部分の百分率が約16〜約70モルパーセントであるテトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、ジアミンおよびジオールからなる群から選択される少なくとも1つの連鎖延長剤ならびに少なくとも1つの連鎖停止剤とのポリウレタンまたはポリウレタンウレア反応生成物を含むスパンデックスであって、約750メートル毎分を上回る速度で紡糸されるスパンデックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを含む新規スパンデックス組成物であって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント存在し、そしてスパンデックスフィラメントが典型的には750メートル毎分より大きい、高速で紡糸される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラヒドロフランまたはテトラヒドロフラン(THF、オキソラン)のホモポリマーとしても知られる、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールは、ポリウレタンウレア中のソフトセグメントでのそれらの使用について周知である。ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールは、ポリウレタンウレア・エラストマーおよび繊維に優れた動的特性を与える。それらは非常に低いガラス転移温度を有するが、室温より高い結晶溶融温度を有する。こうして、それらは周囲温度でワックス状固体であり、凝固を防ぐために高温に保たれる必要がある。
【0003】
環式エーテルとの共重合はポリテトラメチレンエーテル鎖の結晶性を下げるために用いられてきた。これは、コポリエーテルグリコールのポリマー溶融温度を下げ、同時にかかる共重合体をソフトセグメントとして含有するポリウレタンウレアのある種の動的特性を改善する。この目的のために使用されるコモノマーの中には、コモノマー含有率に依存して共重合体溶融温度を周囲より低い温度に下げることができるエチレンオキシドがある。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの使用もまた、幾つかの最終用途にとって望ましい、破断点伸び率および低温性能などの、ポリウレタンウレアのある種の動的特性を改善するかもしれない。
【0004】
ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは当該技術で公知である。それらの製造は、米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2)に記載されている。かかる共重合体は、例えば、(非特許文献1)に記載されているものなどの、環式エーテル重合の公知方法のいずれかによって製造することができる。かかる重合法は、強プロトン酸またはルイス酸、ヘテロポリ酸、およびパーフルオロスルホン酸または酸樹脂による触媒作用を含む。幾つかの場合には、米国特許公報(特許文献3)に記載されているように、カルボン酸無水物などの重合促進剤を使用することが有利であるかもしれない。これらのケースでは、最初のポリマー生成物はジエステルであり、それは次に所望の高分子グリコールを得るために後続工程で加水分解される必要がある。
【0005】
ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、ある種の特定の物理的特性の点でポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールより利点を提供する。20モルパーセントより高いエチレンエーテル含有率で、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは室温で適度に粘稠な液体であり、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールの融点より高い温度で同じ分子量のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールより低い粘度を有する。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールから製造されたポリウレタンまたはポリウレタンウレアのある種の物理的特性は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールから製造されたそれらのポリウレタンまたはポリウレタンウレアの特性を超える。
【0006】
ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールをベースにするスパンデックスもまた当該技術で公知である。例えば、ペッチホールド(Pechhold)らに付与された米国特許公報(特許文献4)は、スパンデックスおよび他のポリウレタンウレアを製造するための低環式エーテル含有率のポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの使用を開示している。ペッチホールドは、30パーセントより高いエチレンエーテル・レベルが好ましいことを教示している。ペッチホールドは、アミンの混合物が使用されてもよいことをそれが開示しているが、共延長剤の使用を教示していない。
【0007】
アオシマ(Aoshima)らに付与された米国特許公報(特許文献5)は、ヘテロポリ酸触媒を使用するTHFと多価アルコールとの反応による幾つかのTHFコポリエーテルの製造を開示している。アオシマはまた、エチレンオキシドなどの共重合可能な環式エーテルが重合プロセスにTHFと共に含まれてもよいことを開示している。アオシマは、コポリエーテルグリコールがスパンデックスを製造するために使用されてもよいことを開示しているが、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールからのスパンデックスの例を全く含有しない。
【0008】
アクセルルード(Axelrood)らに付与された米国特許公報(特許文献6)は、耐油性および良好な低温性能での使用のためのポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールからのポリエーテルウレタンウレアの製造を開示している。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、20〜60重量パーセント(29〜71モルパーセントと同等)の範囲のエチレンエーテル含有率を有する。アクセルルードは、スパンデックスでのこれらのウレタンウレアの使用を開示していない。アクセルルードは、「この発明で最も有用な連鎖延長剤は、第一級および第二級ジアミンならびにそれらの混合物からなる群から選択されるジアミンである」ことを開示している。アクセルルードはさらに、「好ましいジアミンは、ジクロロベンジジンおよびメチレンビス(2−クロロアニリン)などのヒンダード・ジアミンである」ことを開示している。エチレンジアミンの使用は開示されていない。
【0009】
ニシカワ(Nishikawa)らに付与された米国特許公報(特許文献7)は、THF、エチレンオキシド、および/またはプロピレンオキシドのコポリエーテルを含有するポリオールと、ジイソシアネートと、ジアミンとから製造されたポリウレタンウレアおよび有機溶媒に溶媒和されたポリマーを含有する、低温で良好な弾性を有する繊維を開示している。ニシカワは、これらの組成物が標準ホモポリマースパンデックスより改善された低温性能を有することを教示している。ニシカワはまた、「コポリエーテルグリコール中の約37モル%より高いエチレンエーテル含有率で、低い伸び率での無負荷力が許容されないほどに低く、破断点伸び率が低下し、そして永久歪みが非常にわずかであるが上がる」ことを教示している。ニシカワにおける実施例は、コポリエーテル中のエチレンエーテル部分のモルパーセントが22から31に37モルパーセントに増加するにつれて、破断点伸び率は上がるが、50モルパーセントに増加すると、破断点伸び率は下がることを示している。対照的に、本発明のスパンデックスは、コポリエーテル中のエチレンエーテル部分のモルパーセントが27から49モルパーセントに増加するときに破断点伸び率の増加傾向を示す。この特許における実施例のすべてが650メートル/分またはそれ未満で紡糸された。
【0010】
所与量の時間により多くの繊維を製造し、こうして製造コストを下げるためにより速くスパンデックスを紡糸することはいかなる繊維製造業者にも明らかであるが、紡糸速度は繊維特性の幾つかへの悪影響によって制限される。スパンデックス組成物の紡糸速度を上げると、より低い速度で紡糸された同じスパンデックスと比較して、その伸び率を減少させ、そしてその負荷力を増加させるであろうことは当業者によく知られている。このように、スパンデックス繊維がより速く紡糸されるに従い、伸び率は減少し、そして負荷力は増加し、繊維の延伸性の減少をもたらす。延伸性の減少は、衣服構築に使用されるべきスパンデックスをより多く必要とするという結果になり、こうして衣類製造のコストを上げる。それ故、丸編および他のスパンデックス加工操作でのその延伸性を増加させるためスパンデックスの伸び率を増加させ、そして負荷力を減少させるために紡糸速度を遅くすることは一般的な方法である。
【0011】
紡糸技法に基づいて生産性を高める一アプローチは、セリング(Selling)らに付与された米国特許公報(特許文献8)に開示されている。セリングは、より高い固形分ポリウレタンウレア溶液が紡糸されてもよいようにポリマー溶液溶解度を上げるために混合ジイソシアネートでのポリウレタンウレア組成物の使用を記載している。より高い紡糸速度は用いられていないが、所与の時間に製造されるスパンデックス糸の重量によって測定されるような生産性は高められる。本発明のポリウレタンウレアもまた、混合ジイソシアネートなしで高い溶液溶解度を有し、セリングよりはるかに高い生産性を有する。
【0012】
最適紡糸条件による高められた生産性へのさらに別のアプローチは、(特許文献9)「乾式紡糸法」に開示されている。(特許文献9)は、乾式紡糸ポリウレタンにおける生産性を高めるための方法を開示している。この方法は、紡糸筒条件を調節して紡糸筒での乾燥ガスの上昇流を回避することおよび繊維側方不安定性を回避することをベースにしている。(特許文献9)の2つの実施例は両方ともポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスを用いている。(特許文献9)は、該発明に好適なスパンデックスのタイプを開示していない。本発明の方法は、好適に乾燥した繊維(例えば、繊維中に残存する0〜0.5パーセントのジメチルアセトアミド溶媒)を製造するために必要な条件を上回る紡糸筒条件とは無関係であるように見える。加えて、添加剤は全く必要ではない。
【0013】
本出願人らは、ソフトセグメントベース材料として約16〜約70モルパーセント、例えば約37〜約70モルパーセントのエチレンオキシドから誘導されるその構成単位を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの、そしてまた高速で、すなわち、750メートル/分より大きい速度で紡糸されるスパンデックスが同様に高速で紡糸された他のスパンデックスより改善された物理的特性を提供することを観察した。ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)などの他のコポリエーテルグリコールまたはエチレングリコール、1,4−ブチレングリコールおよびアジピン酸のコポリエステルなどのポリエステルグリコールをベースにするスパンデックスもまた低い負荷力を有する。しかしながら、これらのスパンデックスはまた一般に、1000メートル/分を上回る速度で紡糸されるそれらの能力を制限する低いテナシティもしくは低い伸び率または両方を有する。
【0014】
本発明のポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスは、低い負荷力、高い伸び率、および適切なテナシティの組合せを有し、それは1300メートル/分を上回る速度で紡糸され、丸編操作において優れた延伸性の繊維を製造することを可能にする。加えて、本発明のスパンデックスは、それが1000メートル/分より大きい巻取速度で紡糸されるときにホット・ウェット処理における収縮の望ましい減少を示す。
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,139,567号明細書
【特許文献2】米国特許第4,153,786号明細書
【特許文献3】米国特許第4,163,115号明細書
【特許文献4】米国特許第4,224,432号明細書
【特許文献5】米国特許第4,658,065号明細書
【特許文献6】米国特許第3,425,999号明細書
【特許文献7】米国特許第6,639,041号明細書
【特許文献8】米国特許第6,916,896号明細書
【特許文献9】特開2002−155421A号公報
【非特許文献1】P.ドレイフス(P.Dreyfuss)著、「ポリテトラヒドロフラン(Polytetrahydrofuran)」、ニューヨーク(N.Y.)、ゴードン&ブリーチ(Gordon & Breach)社、1982年
【非特許文献2】S.シギア(S.Siggia)著、「官能基による定量有機分析(Quantitative Organic Analysis via Functional Group)」、第3版、ニューヨーク(New York)、ワイリー&サンズ(Wiley & Sons)社、1963年、559−561ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント、例えば約37〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、(b)少なくとも1つのジイソシアネートと、(c)ジアミンおよびジオールからなる群から選択される少なくとも1つの連鎖延長剤とのポリウレタンまたはポリウレタンウレア反応生成物を含むスパンデックスであって、約750メートル毎分を上回る速度で紡糸されるスパンデックスに関する。本発明の一態様では、上記スパンデックスのポリウレタンまたはポリウレタンウレア反応生成物は1つまたは複数の高分子グリコールをさらに含む。
【0017】
本発明はまた、(a)エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント、例えば約37〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを少なくとも1つのジイソシアネートと接触させてキャップドグリコールを形成する工程と、(b)該キャップドグリコールを溶媒に溶解させる工程と、(c)(b)のキャップドグリコールの溶液を少なくとも1つのジアミンまたはジオール連鎖延長剤と接触させる工程と、(d)フィラメントが750メートル毎分を上回る速度で紡糸されるように(c)の溶液を紡糸してスパンデックスを形成する工程とを含む、スパンデックスの製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、他の特性への高速紡糸の悪影響を最小限にしながら、スパンデックス繊維の望ましい特性の幾つかを改善する、高い紡糸速度で製造される新規スパンデックス組成物に関する。すべての他の因子が一定に保持されると仮定すると、これらの繊維の製造コストは、増加した紡糸生産性および減少した固定費のために紡糸速度の増加に比例して下がる。改善される特性は収縮力(すなわち、より高い無負荷力)、テナシティ、およびホット・ウェット・クリープ(すなわち、熱水での処理時の減少した収縮)である。本発明のスパンデックス組成物は、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールをベースにするポリウレタンおよびポリウレタンウレアを含む。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、ポリウレタンおよびポリウレタンウレアポリマーにおいて「ソフトセグメント」として価値がある。
【0019】
本発明のセグメント化ポリウレタンまたはポリウレタンウレアは、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、任意選択的に、高分子グリコール、少なくとも1つのジイソシアネートと、二官能性連鎖延長剤とから製造される。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールまたはグリコール混合物は先ず少なくとも1つのジイソシアネートと反応させられてNCO末端プレポリマー(「キャップドグリコール」)を形成し、それは次に、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、またはN−メチルピロリドンなどの好適な溶媒に溶解され、次に二官能性連鎖延長剤と反応させられる。ポリウレタンは、連鎖延長剤がジオールであるときに形成される。ポリウレタンウレア、ポリウレタンのサブクラスは、連鎖延長剤がジアミンであるときに形成される。スパンデックスへ紡糸することができるポリウレタンウレアポリマーの製造では、グリコールは、ジイソシアネートおよび1つまたは複数のジアミンとのヒドロキシ末端基の順次反応によって延長される。各ケースで、グリコールは、粘度をはじめとする必要な特性のポリマーを提供するために連鎖延長を受けなければならない。必要に応じて、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸第一スズ、鉱酸、トリエチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジンなどのような第三級アミン、および他の公知の触媒を、キャッピング工程を補助するために使用することができる。
【0020】
本発明のポリウレタンおよびポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、固体パーフルオロスルホン酸樹脂触媒を使用するプルックマイア(Pruckmayr)に付与された米国特許公報(特許文献1)に開示されている方法によって製造することができる。あるいはまた、任意の他の酸性環式エーテル重合触媒、例えばヘテロポリ酸が、これらのポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを製造するために使用されてもよい。本発明の実施に有用なヘテロポリ酸およびそれらの塩は、例えば、アオシマ(Aoshima)らに付与された米国特許公報(特許文献5)に記載されているような環式エーテルの重合および共重合に使用されるそれらの触媒であることができる。これらの重合法は、無水酢酸などの、追加の促進剤の使用を含んでもよく、または分子量を制御するための連鎖停止剤分子の使用を含んでもよい。
【0021】
本発明のポリウレタンおよびポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むことができ、エチレンオキシドから誘導される単位の部分(エチレンエーテル部分)がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント、例えば約37〜約70モルパーセント、または約37〜約55モルパーセント、または約37〜約50モルパーセント存在する。任意選択的に、本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むことができ、エチレンオキシドから誘導される単位の部分(エチレンエーテル部分)がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約40〜約70モルパーセント、または約40〜55モルパーセント、または約40〜50モルパーセント存在する。グリコール中に存在するエチレンオキシドから誘導される単位の百分率は、グリコール中に存在するエチレンエーテル部分のパーセントに等しい。
【0022】
本発明のポリウレタンおよびポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、約650ダルトン(Dalton)〜約4000ダルトンの平均分子量を有することができる。より高いポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール分子量は、伸び率などの、選択された物理的特性にとって有利であり得る。
【0023】
本発明のポリウレタンおよびポリウレタンウレアを製造するのに使用されるポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールは、連鎖停止剤ジオール分子、特に非環化ジオールから誘導される少量の単位を含むことができる。非環化ジオールは、反応条件下に容易に環化して環式エーテルを形成しないであろうジアルコールと定義される。これらの非環化ジオールには、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、および水が含まれ得る。
【0024】
3−メチルテトラヒドロフラン、1,3−プロパンジオールから誘導されるエーテル、または分子量調整剤として少量組み入れられる他のジオールなどの、少なくとも1つの追加成分を任意選択的に含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールもまた、本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアを製造するのに使用することができ、用語「ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)またはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール」の意味に含められる。少なくとも1つの追加成分は高分子グリコールのコモノマーであってもよく、またはそれはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールとブレンドされる別の物質であってもよい。少なくとも1つの追加成分は、それが本発明の有益な態様を損なわない程度まで存在してもよい。
【0025】
本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアを製造するのに使用することができる高分子グリコールは、約650ダルトン(Dalton)〜約4000ダルトンの平均分子量を有することができる。有用な高分子グリコールには、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリカーボネートグリコール、およびポリエステルグリコール、またはかかるグリコールの組合せが含まれる。高分子グリコールは任意選択的に、高分子グリコールの別のコモノマーなどの、少なくとも1つの追加成分を含むことができるか、またはそれは高分子グリコールとブレンドされている別の材料であってもよく、かかる選択肢は用語「高分子グリコール」の意味に含められる。該少なくとも1つの追加成分は、それが本発明の有益な態様を損なわない限り存在してもよい。高分子グリコールがポリエステルグリコールであるとき、ポリエステルグリコールは、(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択される。
【0026】
ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールがポリ(エチレンエーテル)グリコールではない高分子グリコールとブレンドされるとき、組合せられたポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよび高分子グリコールは、全割合で、例えば、約40モルパーセント、または約35モルパーセント、または約30モルパーセント以下のエチレンオキシドから誘導される単位を有してもよい。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールがポリ(エチレンエーテル)グリコールとブレンドされるとき、組合せられたポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびポリ(エチレンエーテル)グリコールは、全割合で、約35〜約70モルパーセント、例えば約37〜約70モルパーセント、または約40〜約65モルパーセントのエチレンオキシドから誘導される単位を有してもよい。高分子グリコールがブレンド中でポリ(エチレンエーテル)グリコールであろうと別の高分子グリコールであろうと、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよび高分子グリコールはそれぞれ、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのモルおよび高分子グリコールのモルの合計の少なくとも10モルパーセント存在する。
【0027】
使用することができるジイソシアネートには、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチルベンゼン、2,2’−トルエンジイソシアネート、2,4’−トルエンジイソシアネート、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。特に好ましいジイソシアネートは、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、およびそれらの混合物である。最も好ましいジイソシアネートは1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンである。
【0028】
ポリウレタンが望まれるとき、連鎖延長剤はジオールである。使用されてもよいかかるジオールの例には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−トリメチレンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、および1,4−ブタンジオール、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
ポリウレタンウレアが望まれるとき、連鎖延長剤はジアミンである。使用されてもよいかかるジアミンの例には、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−ブタンジアミン(1,2−ジアミノブタン)、1,3−ブタンジアミン(1,3−ジアミノブタン)、1,4−ブタンジアミン(1,4−ジアミノブタン)、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、4,4’−メチレン−ビス−シクロヘキシルアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、N−メチルアミノビス(3−プロピルアミン)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,1−メチレン−ビス(4,4’−ジアミノヘキサン)、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ペンタンジアミン(1,3−ジアミノペンタン)、m−キシリレンジアミン、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
任意選択的に、連鎖停止剤、例えば、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘキシルアミン、またはブタノールなどの一官能性アルコール連鎖停止剤を、ポリマーの分子量を調整するために使用することができる。さらに、ペンタエリスリトールなどのより高官能性アルコール「連鎖分岐剤」、またはジエチレントリアミンなどの三官能性「連鎖分岐剤」が溶液粘度を調整するために使用されてもよい。
【0031】
本発明のポリウレタンおよびポリウレタンウレアは、この一般タイプのポリウレタンまたはポリウレタンウレアが用いられる任意の用途で使用されてもよいが、高い伸び率、低い弾性率、または良好な低温特性を使用時に必要とする物品を製造するのに特に有益である。それらは、スパンデックス、エラストマー、軟質および硬質フォーム、コーティング(溶剤型および水性の両方)、分散体、フィルム、接着剤、および造形品を製造するのに特に有益である。
【0032】
本明細書で用いるところではそして特に明記しない限り、用語「スパンデックス」は、繊維形成物質が少なくとも85重量パーセントのセグメント化ポリウレタンまたはポリウレタンウレアからなる長鎖合成ポリマーである人造繊維を意味する。スパンデックスはまたエラスタンとも呼ばれる。
【0033】
本発明のスパンデックスは、ストレッチ編布および織布、ならびにかかる布を含む衣類または織物品を製造するために使用することができる。ストレッチ布例には、丸編、フラット編、および縦編、ならびに平織、綾織、および繻子織布が挙げられる。用語「衣類」は、本明細書で用いるところでは、シャツ、パンツ、スカート、ジャケット、コート、作業シャツ、作業パンツ、制服、上着、スポーツウェア、水着、ブラ、ソックス、および下着などの衣料品を意味し、そしてまた、ベルト、手袋、ミトン、帽子、靴下、または履物などの付属品を含む。用語「織物品」は、本明細書で用いるところでは、衣類などの、布を含む物品を意味し、そしてシート、枕カバー、ベッドカバー、キルト、毛布、羽布団、羽布団カバー、寝袋、シャワーカーテン、カーテン、掛布、テーブルクロス、ナプキン、雑巾、ふきん、および室内装飾品または家具用の保護カバーなどの品目をさらに含む。
【0034】
本発明のスパンデックスは、織布、ウェフト編(横編および丸編をはじめとする)、縦編、およびおむつなどの個人衛生衣料において単独でまたは様々な他の繊維と組合せて使用することができる。スパンデックスは、裸である、カバーされる、またはナイロン、ポリエステル、アセテート、綿などのような混紡相手の繊維と絡ませられることができる。
【0035】
本発明のスパンデックスを含む布はまた、タンパク質、セルロース系、および合成ポリマー繊維、またはかかるメンバーの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの繊維を含んでもよい。本明細書で用いるところでは、「タンパク質繊維」は、羊毛、絹、モヘア、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、ビクーナ、ラクダ、ならびに他の毛繊維および毛皮繊維のような天然起源動物繊維をはじめとする、タンパク質からなる繊維を意味する。本明細書で用いるところでは、「セルロース系繊維」は、例えば綿、レーヨン、アセテート、リオセル、リンネル、ラミー、および他の植物繊維をはじめとする、木または植物性素材から生み出される繊維を意味する。本明細書で用いるところでは、「合成ポリマー繊維」は、例えばポリエステル、ポリアミド、アクリル、スパンデックス、ポリオレフィン、およびアラミドをはじめとする、化学元素または化合物から構築されたポリマーから製造された人造繊維を意味する。
【0036】
有効量の様々な添加剤もまた、それらが本発明の有益な態様を損なわないという条件で、本発明のスパンデックスに使用することができる。例には、二酸化チタンなどの艶消剤およびハイドロタルサイトなどの安定剤、ハンタイトとハイドロマグネサイトとの混合物、硫酸バリウム、ヒンダードフェノール、ならびに酸化亜鉛、染料および染色エンハンサー、抗菌剤、粘着防止剤、シリコーン油、ヒンダードアミン光安定剤、UVスクリーナーなどが挙げられる。
【0037】
本発明のスパンデックスまたはそれを含む布は、20℃〜130℃の温度での吸尽法によって水性染液から、スパンデックスを含む素材を染液でパディングすることによって、またはスパンデックスを含む素材に染液を吹き付けることによってなど、慣例的な染色および印刷手順によって染色および印刷されてもよい。
【0038】
酸性染料を使用するときに従来の方法に従ってもよい。例えば、吸尽染色法では、布は、3〜9のpHを有する水性染浴中へ導入することができ、染浴は次に約20℃の温度から40〜130℃の範囲の温度まで約10〜80分にわたって徐々に加熱される。染浴および布は次に、冷却前に40〜130℃の範囲の温度で10〜60分間保持される。固定されていない染料は次に布からリンスされる。スパンデックスのストレッチおよび回復特性は、110℃より高い温度で最小暴露時間によって最も良く維持される。また、分散染料を使用するときに従来の方法に従ってもよい。
【0039】
本明細書で用いるところでは、用語「洗濯堅牢度」は、家庭または業務用洗濯中の退色に対する染色布の抵抗を意味する。洗濯堅牢度の欠如は、洗濯堅牢性でない物品による、時々色泣きと呼ばれる、退色をもたらし得る。これは、洗濯堅牢性でない物品と一緒に洗濯される物品の変色をもたらし得る。消費者は一般に、布および糸が洗濯堅牢度を示すことを望む。洗濯堅牢度は、繊維組成物、布染色および仕上げ法、ならびに洗濯条件に関連がある。向上した洗濯堅牢度を有するスパンデックスが最近のアパレルのために望まれる。
【0040】
本発明のスパンデックスの洗濯堅牢度特性は、慣例的な補助化学添加剤の使用によってサポートされても、さらに高められてもよい。陰イオン性シンタン(syntan)は、洗濯堅牢度特性を向上させるために使用されてもよく、そしてまた染料の最小分割がスパンデックスと相手糸との間に必要とされるときに緩染剤および遮断剤として使用することもできる。陰イオン性スルホン化オイルは、均一レベルの染色が必要とされる場合に、染料へのより強い親和性を有するスパンデックスまたは相手繊維からアニオン染料を妨害するために使用される補助添加剤である。陽イオン性定着剤は、向上した洗濯堅牢度をサポートするために単独でまたは陰イオン性定着剤と組合せて使用することができる。
【0041】
スパンデックス繊維は、本発明のポリウレタンまたはポリウレタンウレアポリマー溶液から、乾式紡糸または溶融紡糸などの繊維紡糸法によって形成することができる。ポリウレタンウレアは典型的には、スパンデックスが望まれるときに乾式紡糸または湿式紡糸される。乾式紡糸では、ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液は、紡糸口金オリフィスを通して紡糸チャンバー中へ計量供給されてフィラメントを形成する。典型的には、ポリウレタンウレアポリマーは、重合反応のために使用されたものと同じ溶媒からフィラメントへ乾式紡糸される。ガスが溶媒を蒸発させてフィラメントを凝固させるためにチャンバーに通される。フィラメントは少なくとも550メートル毎分の巻取速度で乾式紡糸される。本明細書で用いるところでは、用語「紡糸速度」は、駆動ロール速度によって決定されそしてそれと同じである巻取速度を意味する。スパンデックスフィラメントの良好な紡糸性は、紡糸筒および巻取における低頻度のフィラメント切れによって特徴づけられる。スパンデックスはシングルフィラメントとして紡糸することができるか、または従来の技法によってマルチフィラメント糸へ合体させることができる。各フィラメントはフィラメント当たり6〜25デシテックスの範囲の織物デシテックス(dtex)のものである。
【0042】
スパンデックス組成物の紡糸速度を上げると、より低い速度で紡糸された同じスパンデックスと比較してその伸び率を減少させ、そしてその負荷力を増加させるであろうことは当業者に周知である。それ故、伸び率を増加させるために紡糸速度を遅くすること、かつ、丸編および他のスパンデックス加工操作でその延伸性を増加させるためにスパンデックスの負荷力を減少させることは一般的なやり方である。しかしながら、紡糸速度を下げると製造生産性を低下させる。
【0043】
スパンデックス繊維がより速く紡糸されるにつれて、幾つかの望ましい物理的特性は改善されるが、他の繊維特性は同時に低下する。低下するこれらの特性には、一般に紡糸速度の増加に比例して、減少した伸び率、および繊維を伸長するために必要とされる増加した力(負荷力または弾性率)が含まれる。両方の特性は、布製造工場顧客にとってスパンデックスの価値を低下させる。減少した伸び率および増加した負荷力は、繊維の延伸性を減少させ、こうして弾性化衣類を製造するために必要とされるスパンデックスの量を増加させる役割を果たす。増加した負荷力はまた、ストレッチングに対する抵抗の増加のために消費者の快適さの低下をもたらし得る。それ故、他の所望の繊維特性の幾つかの低下による消費者にとっての製品価値の損失を最小限にして、繊維紡糸速度の増加、それによる製造業者の製造コストの削減と幾つかの繊維特性の改善との間でバランスが取られなければならない。
【0044】
スパンデックス糸の延伸性は多数の因子によって制限され得る。延伸は、それが幾つかの他の因子によってそもそも制限されない限り、糸の伸び率に制限される。追加因子の一例は負荷力(または弾性率)である。例えば、丸編機での編針が操作中5グラムの張力に制限される場合、そのときにはスパンデックス繊維延伸は5グラムの伸長力によって生み出される延伸に制限される。本発明の有利な一態様は、本発明のスパンデックスが比較スパンデックスより50パーセント高い速度で巻き取られるときでさえ、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスが丸編で非常に高い延伸性を保持し、高品質ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスより高いままであることである。これは下の表1に例示される。
【0045】
より低い負荷力は、延伸性の増加へのそのプラス効果のためだけでなく、弾性化衣類でのより低い負荷力がしばしば改善された消費者の快適さにつながる変換するので、ほとんどのスパンデックス最終用途で望まれる。より高い伸び率は、延伸性の増加へのそのプラス効果のためだけでなく、弾性化衣類でのより高い伸び率がある種の衣類構造物でより高い利用可能なストレッチにつながり得るので、同様に望ましい。
【0046】
本発明の有利な一態様は、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール(ここで、エチレンエーテル含有率は16〜70モルパーセントである)をベースにするスパンデックスが、類似の速度および条件で紡糸されたときに、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスより、はるかに高い伸び率および低い負荷力を有することである。ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスは現在、高弾性率および減少した伸び率によって課せられる制限のために約870メートル毎分(m/分)よりはるかに高い速度で紡糸されない。紡糸速度のさらなる増加は延伸性を低下させ、ひいては実用的価値が全くないほどに顧客価値を低下させる。しかしながら、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスが1300m/分以下またはそれ以上の速度で紡糸されるとき、負荷力は増加し、そして伸び率は減少するが、それらは、はるかにより低い速度で紡糸されたポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスより良好な価値にとどまる。これは、下の表2および3に例示される。例えば、本発明のスパンデックスのすべては、はるかに高い速度で紡糸されたときでさえ、844m/分で紡糸された比較ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスより100%、200%、および300%で低い負荷力を有する。加えて、本発明のスパンデックスの伸び率は、はるかにより高い速度で紡糸されたときでさえ、844m/分で紡糸された比較ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール−ベースのスパンデックスの伸び率より依然として高い。本発明のスパンデックスは、750m/分を上回る速度で、または1000m/分を上回る速度で、または1100m/分を上回る速度で紡糸されてもよい。
【0047】
スパンデックス糸延伸を制限する別の因子は、糸のテナシティ、または破断点伸びでの応力もしくは耐破断性である。ニッティング中のスパンデックスの破断は生産性を制限し、衣類製造コストを上げる。それ故、より高いテナシティは、ある程度までスパンデックスの顧客によって重視される。しかしながら、加工破断を回避するために必要とされる最小値を超えるより高いテナシティは、別の因子が延伸性を制限している場合には重視されない。本発明者らは、本発明のスパンデックスのより高速紡糸がテナシティを望ましくも増加させることを見いだした。これもまた、下の表3に例示される。
【0048】
スパンデックス繊維の収縮力(無負荷力)の増加は、弾性化衣類での布構造物を一緒に引っ張り、そしてそれらにそれらの所望の特性を与えるのがこの収縮力であるので、通常は望ましい。スパンデックスの無負荷力の増加は、布製造業者がより少ないスパンデックスを使用して布で所望量の圧縮を達成することを可能にすることができるか、またはスパンデックス製造業者がより低い無負荷力のスパンデックスのより大きいフィラメントと同じ収縮力でより細かいデニールでスパンデックスを紡糸することを可能にすることができよう。より細かいデニールはより多くの最終用途、特に細デニール硬い糸での用途でのその使用を可能にする。
【0049】
スパンデックス繊維は、衣類製造における染色および仕上げ工程で通常見いだされるような熱水に暴露されるときに、ある程度収縮する。それが染色され、仕上げられるときに最終布形状およびサイズが所望通りに維持されるかもしれないように、衣類におけるスパンデックス繊維の低レベルの収縮を有することが望ましい。これは、「ホット・ウェット・クリープ」、染色時のスパンデックス糸の収縮をシミュレートするようデザインされた試験を測定することによって実験室でシミュレートされてもよい。下の表4に示されるように、本発明のスパンデックスは、紡糸速度が増加するにつれて、低下した「ホット・ウェット・クリープ」を有する。
【0050】
次の実施例は、本発明およびその使用可能性を実証する。本発明は他のおよび異なる実施形態であることができ、その幾つかの詳細は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な明らかな点で変更ができる。従って、実施例は本来例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【0051】
本明細書で用いるところではそして特に明記しない限り、用語「DMAc」はジメチルアセトアミド溶媒を意味し、用語「%NCO」はキャップドグリコール中のイソシアネート末端基の重量パーセントを意味し、用語「MPMD」は2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを意味し、用語「EDA」は1,2−エチレンジアミンを意味し、そして用語「PTMRG」はポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを意味する。
【0052】
本明細書で用いるところでは、用語「キャッピング比」は、基準が1.0モルのグリコールと定義されて、ジイソシアネート対グリコールのモル比と定義される。それ故、キャッピング比は典型的には一つの数字、グリコールの1モル当たりのジイソシアネートのモルとして報告される。本発明のポリウレタンウレアについては、ジイソシアネート対ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの好ましいモル比は約1.2〜約2.3である。本発明のポリウレタンについては、ジイソシアネート対ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの好ましいモル比は約2.3〜約17、好ましくは約2.9〜約5.6である。
【0053】
(原材料)
THFおよびPTMEG(テラサン(TERATHANE)(登録商標)1800)は本願特許出願人から入手可能である。ナフィオン(NAFION)(登録商標)パーフッ素化スルホン酸樹脂はイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、米国デラウェア州ウィルミントン(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware,USA)から入手可能である。
【0054】
(分析方法)
テナシティは、第6ストレッチングサイクルにおける破断点応力、または言い換えれば、極限伸びでの破断に対する繊維の抵抗である。負荷力は、第1ストレッチングサイクルにおける指定伸び率での応力、または言い換えれば、より高い伸び率に延伸されることに対する繊維の抵抗である。無負荷力は、第5収縮サイクルにおける指定伸び率での応力、または言い換えれば、300パーセント伸び率に5回サイクルされた後の所与の伸び率での繊維の収縮力である。
【0055】
パーセント・イソシアネート−キャップドグリコールブレンドのパーセント・イソシアネート(%NCO)は、電位差滴定を用いる(非特許文献2)の方法に従って測定された。
【0056】
本発明のエチレンエーテル含有率−ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中のエチレンエーテル含有率のレベルは、H NMR測定から求められた。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールまたはブレンドのサンプルは、CDClなどの好適なNMR溶媒に溶解され、H NMRスペクトルが得られた。3.7〜3.2ppmの組合せ−OCHピークの積分が、1.8〜1.35ppmからの組合せ−C−CHCH−C−ピークの積分と比較された。−OCH−ピークは、エチレンオキシドベースの結合(−O−CHCH−O−)およびTHFベースの結合(−O−CHCHCHCH−O−)の両方に由来するが、−C−CHCH−C−結合はTHFだけに由来する。ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中のエチレンエーテル結合のモル分率を求めるために、−C−CHCH−C−ピークの積分が組合せ−OCH−ピークの積分から差し引かれ、次に当該結果が−OCH−ピークの積分によって割られた。
【0057】
数平均分子量−ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールの数平均分子量は、ヒドロキシル価法によって測定された。
【0058】
強度および弾性特性−スパンデックスの強度および弾性特性は、ASTM(米国材料試験協会)D2731−72の一般法に従って測定された。インストロン(Instron)引張試験機が引張特性を測定するために用いられた。3フィラメント、2インチ(5cm)ゲージ長および0−300%伸び率サイクルが、制御された環境中約70°Fおよび65%相対湿度(±2%)で24時間の熟成後に、巻取装置から「現状のままで」、すなわち、こすり洗いまたは他の処理なしにそれぞれの測定のために用いられた。サンプルは、50cm毎分の一定伸び速度で5回サイクルされ、次に第5伸長後に300%伸長で30秒間保持された。
【0059】
負荷力、最初の伸長中のスパンデックスへの応力は第1サイクルで100%、200%、または300%伸長で測定され、表中デニール当たりのグラム単位で報告され、それぞれ、「LP1」、「LP2」、または「LP3」として示される。無負荷力、第5無負荷サイクルで100%または200%の伸長での応力もまたデニール当たりのグラム単位で報告され、それは、それぞれ、「UP1」または「UP2」として示される。破断点伸び率(「Elo」)およびテナシティは、滑り減少のためにゴムテープが取り付けられた修正インストロン・グリップを用いて第6伸長サイクルで測定された。
【0060】
パーセント永久歪み−特に明記しない限り、パーセント永久歪みもまた、5回の0〜300%伸び/緩和サイクルにかけられたサンプルについて測定された。パーセント永久歪み(「%SET」)は次の通り計算された。
%SET=100(Lf−Lo)/Lo
式中、LoおよびLfは、それぞれ、5回の伸び/緩和サイクルの前および後の、張力なしで真っ直ぐ保持されたときの、フィラメント(糸)長さである。
【0061】
丸編(CK)延伸−ニッティングでは、スパンデックスは、編目使用速度とスパンデックス供給パッケージからのフィード速度との差のためにそれが供給パッケージからキャリアプレートにそして順繰りに編目に送られるときにストレッチする(延伸される)。硬い糸供給速度(メートル/分)対スパンデックス供給速度の比は普通2.5〜4倍(2.5×〜4×)より大きく、機械延伸、「MD」として知られる。これは、150%〜300%、またはそれ以上のスパンデックス伸び率に相当する。本明細書で用いるところでは、用語「硬い糸」は、ポリエステル、綿、ナイロン、レーヨン、アセテート、または羊毛などの、比較的弾力性のない糸を意味する。
【0062】
スパンデックス糸の総延伸は、機械延伸(MD)と、スパンデックス糸が供給パッケージ上で既にストレッチされている量であるパッケージ延伸(PD)との積である。所与のデニール(またはデシテックス)について、布中のスパンデックス含有率は総延伸に反比例し、総延伸が高ければ高いほど、スパンデックス含有率はより低くなる。PRは、「パーセントパッケージ緩和(Percent Package Relaxation)」と呼ばれる測定特性であり、100×(パッケージでの糸の長さ−緩和した糸の長さ)/(パッケージでの糸の長さ)と定義される。PRは典型的には丸編の弾性シングルジャージ布に使用されるスパンデックスについて5〜15である。測定されたPRを用いて、パッケージ延伸(PD)は1/(1−PR/100)と定義される。それ故、総延伸(TD)はまた、MD/(1−PR/100)として計算されてもよい。4倍の機械延伸および5%PRの糸は4.21倍の総延伸を有するであろうが、4倍の機械延伸および15%PRの糸は4.71倍の総延伸を有するであろう。
【0063】
経済的理由のために、丸編の際はしばしば、十分な布特性および均一性と相反しない最小スパンデックス含有率を用いようと試みるであろう。上に説明されたように、スパンデックス延伸を上げることは含有率を下げるための一方法である。延伸を制限する主な因子は破断点パーセント伸び率であり、よって高い破断点パーセント伸び率の糸は最も重要な因子である。破断点テナシティ、摩擦、糸粘着性、デニール均一性、および糸中の欠陥などの他の因子は、実際の達成可能な延伸を減少させ得る。編機は、極限延伸(測定された破断点パーセント伸び率)から延伸を減少させることによってこれらの制限因子について安全域を提供するであろう。それらは典型的には、ニッティング破断が編機の1,000回転当たり5つの破断などの許容されないレベルに達するまで延伸を増加させ、次に許容される性能が回復されるまでバックオフすることによってこの「持続可能な延伸」を決定する。
【0064】
編針での張力もまた延伸の制限因子であり得る。スパンデックス糸でのフィード張力はスパンデックス糸の総延伸に直接関係する。それはまた、スパンデックス糸の固有弾性率(負荷力)の関数である。高延伸で編む際に許容されるほど低い張力を維持するために、スパンデックスは低い弾性率(負荷力)を有することが有利である。
【0065】
高延伸性にとって理想的な糸はそれ故、高パーセント破断点伸び率、低い弾性率(負荷力)、十分に高いテナシティ、低い摩擦および粘着性、均一なデニール、ならびに低レベルの欠陥を有するであろう。
【0066】
その応力−歪み特性のために、スパンデックス糸は、スパンデックスに加えられる張力が増加するにつれてより延伸され(引っ張られ)、逆に、スパンデックスがより多く延伸されればされるほど、糸での張力はより高くなる。丸編機での典型的なスパンデックス糸通路は次の通りである。スパンデックス糸は供給パッケージから、たて糸切れ検出器を越えてまたはそれを通して、1つまたは複数の方向変換ロールを越えて、そして次にキャリアプレートへ計量供給され、該プレートはスパンデックスを編針にそして編目へ導く。それが供給パッケージから各デバイスまたはローラーを越えて通過するときに、スパンデックスに触れる各デバイスまたはローラーによって与えられる摩擦力のために、スパンデックス糸での張力の増加がある。編目でのスパンデックスの総延伸はそれ故スパンデックス通路の全体にわたる張力の合計に関係する。
【0067】
スパンデックス中の残存DMAc−スパンデックス・サンプル中に残存するパーセントDMAcは、デュラテック(Duratech)DMAc分析計を用いることによって測定された。既知量のパークレンを使用して既知量のスパンデックスからDMAcを抽出した。パークレン中のDMAcの量は次に、DMAcのUV吸収を測定し、そして当該値を標準化曲線と比較することによって定量化された。
【0068】
ホット−ウェット・クリープ−ホット−ウェット・クリープ(HWC)は、糸の元の長さLを測定し、それをその元の長さの1.5倍(1.5L)にストレッチし、それを97〜100℃の範囲の温度に維持された水浴中に30分間そのストレッチされた状態で浸漬し、それを浴から取り出し、張力を解放し、そして最終長さLを測定する前にサンプルを最低60分間室温で緩和させることによって測定される。ホット−ウェット・クリープ(パーセント)は次式から計算される。
%HWC=100×[(L−L)/L
【0069】
低い%HWCの繊維は、染色などの、ホット−ウェット仕上げ操作で優れた性能を提供する。
【実施例】
【0070】
(実施例1〜31(エチレンエーテル含有スパンデックス))
表1、2、および4に示すエチレンエーテル単位のモル百分率および数平均分子量のランダムポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを、触媒として100ppmの鉱酸を使用して90℃で120分間1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼンでキャップして表に示すジイソシアネート対グリコールのモル比(キャッピング比)のプレポリマーを与えた。このキャップドグリコールを次にDMAc溶媒で希釈し、EDAで連鎖延長し、そしてジエチルアミンで連鎖停止してスパンデックスポリマー溶液を与えた。使用したDMAcの量は、最終紡糸液が総溶液重量を基準にして36〜38重量%ポリウレタンウレアをその中に有するようなものであった。紡糸液を、乾燥窒素を提供されるカラム中へ乾式紡糸し、合体させ、ゴデットロール周りを通過させ、そしてリストされる速度で巻き取った。紡糸筒温度および吸引ガス流量を調節して0.1〜0.7パーセントの残存溶媒レベルをもたらした。フィラメントは良好な紡糸性を実証した。繊維特性を表1〜4に提示する。
【0071】
(比較例「1〜5」(PTMEG−ベースのスパンデックス))
1800ダルトン平均分子量のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを、90℃で90分間1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼンでキャップして1.69のジイソシアネート対グリコールのモル比のプレポリマーを与えた。このキャップドグリコールを次にDMAc溶媒で希釈し、90/10比のEDAとMPMDとの混合物で連鎖延長し、そしてジエチルアミンで連鎖停止して組成が高品質市販スパンデックスに類似のスパンデックス生成物を与えた。使用したDMAcの量は、最終紡糸液が総溶液重量を基準にして35重量%ポリウレタンウレアを含有するようなものであった。紡糸液を、乾燥窒素を提供されるカラム中へ乾式紡糸し、合体させ、ゴデットロール周りを通過させ、そしてリストされる速度で巻き取った。フィラメントは良好な紡糸性を実証した。繊維特性を表1〜4に提示する。
【0072】
【表1】

【0073】
表1のデータの検討は、異なるエチレンエーテル含有率、キャッピング比、グリコール分子量、繊維当たりのフィラメント、および総丸編延伸レベルがポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールをベースにするスパンデックスのそれを上回る巻取(紡糸)速度の幾つかの異なるスパンデックスを示す。実施例4および7は両方とも、それらが50%を超えるより高い速度で巻き取られたけれども比較例1スパンデックスのそれを上回る総延伸レベルを有する。
【0074】
【表2】

【0075】
表2は、エチレンエーテル含有率、グリコール分子量、キャッピング比、延長剤タイプ、添加剤量、巻取(紡糸)速度、繊維当たりのフィラメント、および残存紡糸溶媒によって変わる幾つかの異なるスパンデックスの組成詳細を示す。すべてが44デシテックス紡糸繊維であった。フィラメント番手は繊維の乾燥速度に影響を及ぼし、それ故紡糸後の繊維中の残存溶媒の量を示す。繊維をより低い残存溶媒レベルまで乾燥させることはまた、生じる繊維特性に影響を及ぼす。一般に、繊維をより多く乾燥させると、収縮力または無負荷力を増加させるであろう。それ故、類似の残存溶媒ありの所与組成物の例を、巻取速度による比較のために選択した。
【0076】
【表3】

【0077】
表3は、表2からの実施例繊維の物理的特性を示す。表3のデータの検討は、実施例および比較例組成物のそれぞれについてより高い巻取速度が、第1伸びサイクルで100%、200%、および300%伸び率での負荷力(より高い残存溶媒レベルを有する比較例4を除いて)だけでなく、第5回復サイクルで100%および200%伸び率の両方での収縮力(UP1およびUP2)を増加させることを示す。1280m/分の巻取速度で紡糸されたときでさえ、本発明の実施例は、870m/分で紡糸された比較例3スパンデックスよりはるかに低い負荷力および高い伸び率を有する。このように、本発明の実施例は、これらの巻取速度のすべてで紡糸されたとき、1000m/分より大きいものでさえ、編針での張力または伸びがスパンデックス延伸を制限する前に丸編操作ではるかにさらに延伸されてもよいことが分かるであろう。
【0078】
【表4】

【0079】
表4のデータの検討は、本発明の実施例の巻取速度を上げることがホット・ウェット・クリープを減少させ、そしてクリープを比較スパンデックスのそれより下のレベルまで減少させるために使用されるかもしれないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント、好ましくは約37〜約55モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1つのジイソシアネートと、
(c)ジアミンおよびジオールからなる群から選択される少なくとも1つの連鎖延長剤とのポリウレタン反応生成物を含むスパンデックスであって、
約750メートル毎分を上回る速度で、好ましくは約1000メートル毎分を上回る速度で紡糸されることを特徴とするスパンデックス。
【請求項2】
前記ジイソシアネートが1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼンおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のスパンデックス。
【請求項3】
前記連鎖延長剤がヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、4,4’−メチレン−ビス−シクロヘキシルアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のスパンデックス。
【請求項4】
前記ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールが約650〜約4000ダルトンの数平均分子量を有し、そしてジイソシアネート対ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのモル比が約1.2〜約2.3であることを特徴とする請求項2に記載のスパンデックス。
【請求項5】
前記ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールが約650〜約4000ダルトンの数平均分子量を有し、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37〜約50モルパーセント存在し、ジイソシアネート対ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのモル比が約2.3〜約17であり、そして前記連鎖延長剤が、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−トリメチレンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、および1,4−ブタンジオールからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のスパンデックス。
【請求項6】
前記ジイソシアネートが1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼン、1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼンおよびそれらの混合物からなる群から選択され、そしてジイソシアネート対ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのモル比が約1.2〜約2.3であることを特徴とする請求項3に記載のスパンデックス。
【請求項7】
前記ジイソシアネートが1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼンであり、そしてエチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約37〜約50モルパーセント存在することを特徴とする請求項3に記載のスパンデックス。
【請求項8】
ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリエステルグリコール、およびそれらの組合せからなる群から選択される高分子グリコールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスパンデックス。
【請求項9】
前記組合せられたポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよび高分子グリコールがそれぞれ、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのモルおよび高分子グリコールのモルの合計の少なくとも10モルパーセント存在することを特徴とする請求項8に記載のスパンデックス。
【請求項10】
前記高分子グリコールがポリ(エチレンエーテル)グリコールであり、そしてスパンデックス中の前記組合せられたポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびポリ(エチレンエーテル)グリコールが、全割合約35〜約70モルパーセントのエチレンオキシドから誘導される単位を有することを特徴とする請求項8に記載のスパンデックス。
【請求項11】
前記高分子グリコールがポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリエステルグリコール、またはそれらの組合せからなる群から選択され、そして前記組合せられたポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよび前記高分子グリコールが、全割合約35モルパーセント以下のエチレンオキシドから誘導される単位を有することを特徴とする請求項8に記載のスパンデックス。
【請求項12】
(a)エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールを少なくとも1つのジイソシアネートと接触させてキャップドグリコールを形成する工程と、
(b)前記キャップドグリコールを溶媒に溶解させる工程と、
(c)(b)のキャップドグリコールの溶液を少なくとも1つのジアミンまたはジオール連鎖延長剤と接触させる工程と、
(d)フィラメントが750メートル毎分を上回る速度で紡糸されるように(c)の溶液を紡糸してスパンデックスを形成する工程と
を含むことを特徴とするスパンデックスの製造方法。
【請求項13】
前記ジイソシアネートが1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼンであり、ジイソシアネート対ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのモル比が約1.2〜約2.3であり、そして前記連鎖延長剤がヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、2,4−ジアミノ−1−メチルシクロヘキサン、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ジイソシアネートが1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼンであり、ジイソシアネート対ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールのモル比が約2.3〜約17であり、そして前記連鎖延長剤が、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−トリメチレンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、および1,4−ブタンジオールからなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
スパンデックスを形成するための前記紡糸工程が乾式紡糸工程であり、そしてポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールが約650〜約4000ダルトンの数平均分子量を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1つのジイソシアネートと、
(c)ジアミンおよびジオールからなる群から選択される少なくとも1つの連鎖延長剤と
の反応生成物を含むスパンデックスであって、
少なくとも0.018g/デニールの100%伸び率での無負荷力を有することを特徴とするスパンデックス。
【請求項17】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1つのジイソシアネートと、
(c)1つまたは複数のジアミン連鎖延長剤と
の反応生成物を含むスパンデックスであって、
前記連鎖延長剤が1つまたは複数のジアミンを含み、そして少なくとも0.017g/デニールの100%伸び率での収縮力および0.106g/デニール未満の100%伸び率での負荷力を有することを特徴とするスパンデックス。
【請求項18】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1つのジイソシアネートと、
(c)1つまたは複数のジアミン連鎖延長剤と
の反応生成物を含むスパンデックスであって、
前記連鎖延長剤が1つまたは複数のジアミンを含み、そして少なくとも0.0341g/デニールの200%伸び率での収縮力および0.16g/デニール未満の200%伸び率での負荷力を有することを特徴とするスパンデックス。
【請求項19】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1つのジイソシアネートと、
(c)1つまたは複数のジアミン連鎖延長剤と
の反応生成物を含むスパンデックスであって、
前記連鎖延長剤が1つまたは複数のジアミンを含み、そして少なくとも0.0341g/デニールの200%伸び率での収縮力および0.227g/デニール未満の300%伸び率での負荷力を有することを特徴とするスパンデックス。
【請求項20】
(a)テトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを共重合させることによって誘導される構成単位を含むポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールであって、エチレンオキシドから誘導される単位の部分がポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール中に約16〜約70モルパーセント存在するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールと、
(b)少なくとも1つのジイソシアネートと、
(c)1つまたは複数のジアミン連鎖延長剤と
の反応生成物を含むスパンデックスであって、
前記連鎖延長剤が1つまたは複数のジアミンを含み、そして少なくとも0.495g/デニールのテナシティおよび0.16g/デニール未満の200%伸び率での負荷力を有することを特徴とするスパンデックス。

【公表番号】特表2008−540863(P2008−540863A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511239(P2008−511239)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/017723
【国際公開番号】WO2006/122027
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【氏名又は名称原語表記】INVISTA Technologies S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】Talstrasse 80,8001 Zurich,Switzerland
【Fターム(参考)】