説明

高量子効率のシリコンナノ粒子含有SiOXNYフィルムの製造方法および発光素子

【課題】20%を超える光量子効率を有する、ナノ結晶性ケイ素含有SiO薄膜フィルムを提供する。
【解決手段】本発明に係る製造方法は、発光用途に関する、高量子効率のシリコン(Si)ナノ粒子含有SiOフィルムを備える発光素子の製造方法において:底部電極を供給する工程と;底部電極上に、シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム(X+Y<2であり、Y>0である)を堆積する工程と;シリコンナノ粒子を含有するSiOフィルムをアニール処理する工程と;632nmにて測定された0.001未満の消衰係数(k)および20%を超えるPL量子効率(PLQE)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路(IC)である電気発光素子(EL素子)および光発光素子(PL素子)の製造方法に関し、特に、高いPL量子効率(QE)を有する、シリコン(Si)ナノ粒子含有SiOフィルムにて構成された発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積された光学素子の製造方法には、吸収率、透過性および特殊な応答性などの適切な光学特性を有する材料を堆積する工程が含まれる。薄膜フィルムの製造技術によって、種々の光学的な薄膜フィルムを製造可能である。上記薄膜フィルムは、高い生産性および生産高にて、高面積の素子を生産する目的に適している。
【0003】
薄膜フィルムの重要な光学パラメータには、屈折率(n)および光学バンドギャップが含まれる。屈折率(n)および光学バンドギャップは、薄膜フィルムの透過率および屈折特性に影響を及ぼす。
【0004】
一般的に、2層または複数層に積層された薄膜フィルムは、所望の光学効果を有する光学素子を製造するために必要である。金属層、誘電体層および/または半導体層を種々組合せる手法は、所望の光学特性を有する多層膜を構成するためにも用いられる。材料を以下に選択するかによって、目的とする屈折率、透過率および吸収特性が影響を受ける。
【0005】
一方、単層素子は、おそらくさらに影響を受ける。単層でない薄膜フィルム材料は、散乱特性を広範囲にて提供することができる。上記散乱特性は、紫外線(UV)波長から遠赤外線(IR)までの波長に及ぶ広い光学範囲にて、所望の光学吸収、バンドギャップ、屈折率、屈折または透過を得るために必要である。
【0006】
ところで、シリコンは、加工技術が非常に発達しているので、光電子素子を製造するために選択される材料である。しかしながら、シリコンの間接バンドギャップによれば、シリコンは光電子素子に関して非効率な材料である。長年に亘り、Si(シリコン)を基礎とした光電子工学を実現するため、Siの光機能を調整する事項に様々な研究開発が重点的に取り組まれてきた。室温でのシリコン結晶からの光学発光を達成することは、Siを基礎とした、優れた光電子工学を実現するために重要な段階である。
【0007】
安定性および信頼性のある光電子素子の製造方法には、高い光ルミネセンス(PL)および電気ルミネセンス(EL)の量子効率を有するSiナノ結晶が必要である。ELは、光学現象および電気現象の両方である。これらの現象では、材料が通る電流に応じて、または、強磁場に応じて、光を放射する。ELは、化学物質の作用(化学ルミネセンス)、音の作用(音ルミネセンス)、または、他の機械的作用(機械ルミネセンス)からの熱(白熱)の結果生じる光学発光とは区別される。
【0008】
PLの過程では、物質が光子(電磁放射線)を吸収し、光子を再放射する。量子力学論的に、PLは、高エネルギー状態へ励起し、その後、光子を放射すると共に低エネルギー状態に戻ると説明され得る。吸収および放射間の時間は非常に短く、10ナノ秒オーダーである。
【0009】
集積された光電子素子の活性化を達成するための1つの手法としては、Siナノ結晶を含有するSiOx(X≦2)薄膜フィルムの製造方法が挙げられる。Siナノ結晶中において電子正孔対の再結合が制限されるため、発光はナノ結晶のサイズに強く依存する。結晶性のSiを含有したSiO薄膜フィルムの電気的および光学的特性は、Siナノ結晶のサイズ、濃度および分布に依存する。
【0010】
スパッタリングおよびプラズマ化学気相成長法(PECVD)など、種々の薄膜フィルムを堆積する手法では、容量結合プラズマ源が用いられている。これらの手法にて、安定性および信頼性のあるナノ結晶性Siの薄膜フィルムの製造方法が研究されている。上記薄膜フィルムは、ナノ結晶性Si含有薄膜フィルムに属するものとする。
【0011】
従来のPECVDおよびスパッタリング法には、低プラズマ密度、プラズマに対する非効率なプラズマ結合、低いイオン/中性の比率、バルクが制御されていないこと、および、高いイオン衝撃エネルギーに起因して界面が損傷するという制限がある。そのため、プラズマから発生する従来の容量結合プラズマ(CCP)から形成される当該酸化物フィルムには、イオン種に影響を及ぼす高い衝撃エネルギーに起因して、信頼性に係る問題がある。
【0012】
プラズマによって生じた、バルクまたは界面の損傷の何れかを制御または最小化することは重要である。しかしながら、プラズマから発生するCCPの高周波(RF)電力を用いたイオンエネルギーを効率的に制御することは不可能である。適用される電力を増加させることによって反応速度を増加させる試みは、堆積フィルムの衝撃を増加させ、高い欠陥濃度を有する低品質なフィルムを生じさせる結果となる。
【0013】
さらに、この種のプラズマ源(〜1×10〜10cm−3)に付随する低いプラズマ密度によって、プラズマ中およびフィルムの表面上での反応が起こりにくくなる。処理速度、非効率な酸化、不純物を導入することとなる処理およびシステムを改善するための活性ラジカルおよびイオンの発生が非効率になると、低温での電気装置の製造において、その実用性に制限が課されることとなる。
【0014】
誘電体薄膜フィルムにおいて、パルスレーザーおよびイオンによりSiの注入を行うことによって、Siナノ粒子の生成を広く研究することができる。しかしながら、イオン注入法は、フィルムの厚さ方向に亘って、ナノ結晶性Si粒子の一様な分布を行うにことに関して適切ではない。さらに、注入されたSiイオンおよびパルスレーザーにおける粒子塊は一般的に誘電体膜に堆積し、PL/ELスペクトルの赤方偏移を生じさせる。
【0015】
スパッタリングまたはPECVDなどの従来のプラズマに基づく手法よりも、より広範な処理範囲およびより向上したプラズマ特性を提供する堆積方法は、装置発達に基づくPLおよび電気ルミネセンス(EL)に関して粒子を発生させ、粒子サイズを制御する必要がある。
【0016】
プラズマ密度を高め、プラズマ衝撃を最小化し得る処理によれば、プラズマによって生じる微細構造の損傷なしに、高品質フィルムを確実に成長させることができる。また、界面を制御できると共に、上記制御と独立してフィルムのバルク品質を提供可能な処理によれば、高品質および高信頼性の電子装置の製造を確実にすることができるであろう。活性プラズマ種、ラジカルおよびイオンを効率的に発生させることのできるプラズマ処理によれば、高品質フィルムに制御処理および特性が制御できる点にて改良が可能である。
【0017】
高品質のSiOx薄膜フィルムおよびSiO薄膜フィルムの製造方法に関して、形成されたフィルムを酸化することは、ナノ結晶性Si粒子を含む高品質な絶縁層を確保するために非常に重要である。高濃度の活性酸素ラジカルを発生可能な手法によれば、周囲の酸化物マトリックスにおいて、Siナノ粒子(ナノ結晶性Si)の効率的な不動態化を確実になすこと可能とすることができる。
【0018】
プラズマによって生じる損傷を最小限とするプラズマ処理によれば、高品質な装置を製造するに関して重要な高品質の界面を形成することが可能となるであろう。低熱量での効率的な酸化および水素化処理は、高品質な光電子素子の処理に関して非常に重要であり、大きな意義があるものとなろう。高温での熱処理は、他の素子層に干渉し得る。そして、熱活性種は反応性が低いため、上記熱処理は効率および熱量の観点から適切ではない。
【0019】
さらに、高品質なフィルムの形成/堆積、構造、酸化、水素化、粒子の生成、粒子サイズの制御、独立したプラズマ密度およびイオンエネルギーの制御、および、広面積処理の点において、より良い解決策および可能性を提供できるプラズマ処理にて、高品質な光電子素子の発展が求められる。
【0020】
また、種々のプラズマ特性が、薄膜フィルムの特性および目的の用途に依存する所望のフィルム品質に影響を及ぼすように、プラズマ処理を薄膜フィルムの特性と関連付けることも重要である。目的の用途に依存するプラズマおよび薄膜フィルムの重要な特性は、堆積比率、基板の温度、熱量、密度、微細構造、界面の品質、不純物、プラズマにより生じる損傷、活性種(ラジカル/イオン)を発生させるプラズマ状態、プラズマ電位、処理、システム規模、電気的品質およびフィルムの品質を評価する上で非常に重要である。
【0021】
また、これらの特性同士の相関関係は、プロセスマップが目的の用途に応じたフィルムの品質に影響を及ぼすように、フィルムの品質を評価するために非常に重要である。低密度のプラズマの、または他の高密度プラズマの系において、単に処理を拡張発展させるだけでは、薄膜フィルムを研究する、または、発展させることはできないであろう。なお、上記系とは、プロセスマップにて種々に依存して相互に関連付けられる、プラズマエネルギー、組成物(イオンに対するラジカル)、系の圧力、プラズマ電位、電子温度、および、温度状態などである。
【0022】
サイズが1〜10nmであるSiナノ結晶は、量子閉じ込め効果に起因して、より一層の光学的および電気的な特性を示す。ELデバイスを基礎とする、高品質なナノ結晶性Si含有薄膜フィルムの発達における試みは、ナノ結晶性Si粒子のサイズおよび分布、粒子間媒体、並びに、ナノ結晶性Siの粒子/誘電体の界面品質を創出し、制御することにある。
【0023】
EL素子の効率は、薄膜フィルムの媒体に係る固有光の発生効率、光の抽出効率、電気伝導率、および、薄膜フィルムの破壊電界強度に強く依存する。低印加電圧での効率的な電荷注入は、実用的なEL素子の製造における一つの要素である。一般的に、フィルムの厚さを増加させることによって、ナノ粒子含有フィルムから高いEL電力を得ることは可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第6,483,861号明細書(2002年11月19日公開)
【特許文献2】米国特許第6,710,366号明細書(2004年3月23日公開)
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0106285号明細書(2004年6月3日公開)
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Castagna et al., ”High efficiency light emission device in Si”, Mat. Res. Soc. Symp. Proc., Vol. 770, p. 12.1.1(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかしながら、目的のEL電力を達成するための印加電圧も増加する。低電圧にて同じ領域を達成するために、フィルムの厚さを減少させる場合、光の発生に使用可能なナノ粒子の数が少なくなるため、EL電力の水準が減少する。
【0027】
透明ガラスまたはプラスチック基板上に形成される大規模デバイスである、液晶ディスプレイ(LCD)では、一般的に低温処理されることが望ましい。これらの透明基板は、650℃を超える温度に晒されると損傷を受け得る。上記の温度問題を扱うにあたり、低温でのSiの酸化処理が進歩している。これらの処理では、誘導結合プラズマ(ICP)源のような高密度プラズマ源が用いられ、1200℃の化学酸化法に相当する品質にてSi酸化物を形成することができる。
【0028】
ナノ結晶性Si粒子の誘電体膜が、475〜700nmなどの短い波長にて、大きなPL/EL応答を示すように製造可能であれば、非常に有利となる。また、従来のPECVDおよびスパッタリング技術には、低プラズマ密度、プラズマに対する非効率な電力結合、低いイオン/中性の比率、バルクが制御されていないこと、および、高いイオン衝撃エネルギーに起因して界面が損傷するという制限がある。
【0029】
また、イオン注入法は、フィルムの厚さ方向に亘って、ナノ結晶性Si粒子の一様な分布を行うに関して適切ではない。さらに、注入されたSiイオンおよびパルスレーザーにおける粒子塊は一般的に誘電体フィルムに堆積し、PL/ELスペクトルの赤方偏移を生じさせる。
【0030】
ナノ結晶性シリコン含有誘電体薄膜フィルムの製造方法として現在、研究されている、種々の物理的および化学的手法、並びに、イオン注入法と比較して、高密度プラズマ(HDP)処理によれば、堆積比率、フィルム密度、ナノ結晶性Si粒子密度、ナノ結晶性Si粒子サイズ、バルクの欠陥、界面欠陥、欠陥の不動態化、および、粒子間媒体の品質の制御と関連する制限を克服することができる。
【0031】
本発明は、高光量子効率を有する、ナノ結晶性シリコン含有SiO薄膜フィルムの製造に関する新規な手法に係るものである。現時点において報告されている、ナノ結晶性シリコン含有誘電体薄膜フィルムの光量子効率は、10%未満に制限されている。本発明は、20%を超える光量子効率を有する、ナノ結晶性ケイ素含有SiO薄膜フィルムの製造に関する新規な手法に係るものである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
高密度プラズマ法は、475〜900nmの波長にてPL発光する、SiOマトリックス中のシリコンナノ粒子の生成に用いられる。上記HDP法(高密度プラズマ法)によって堆積されたSiOフィルムは、堆積時の状態であってもPL信号を示す。一方、その後の相分離および量子閉じ込め効果に起因するアニール処理によって、PL強度を大きく向上させることができる。上記HDP法は、連続処理(in-situ またはクラスターツール)によって光電子工学用途として適切な、単層、2層または多層構造を形成するために適切である。
【0033】
本発明に係る製造方法は、上記課題を解決するために、発光用途(電子ルミネセンス(EL)および光ルミネセンス(PL))に関する、高量子効率のシリコン(Si)ナノ粒子含有SiOフィルムを備える発光素子の製造方法において:底部電極を供給する工程と;
上記底部電極上に、シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム(X+Y<2であり、Y>0である)を堆積する工程と;上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程と;632nmにて測定された0.001未満の消衰係数(k)および20%を超えるPL量子効率(PLQE)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0034】
また、本発明に係る製造方法では、シリコン前駆体および水素を導入する工程と;
高密度(HD)プラズマ化学気相成長(PECVD)法を用いることによって、上記底部電極上にSiOフィルムを堆積する工程と;13.56〜300メガヘルツ(MHz)の周波数、および、5ワット/平方センチメートル(W/cm)未満の電力密度にて、頂部電極に電力を供給する工程とを含むことが好ましい。
【0035】
また、本発明に係る製造方法では、50KHz〜13.56MHzの波長、および、最大3W/cmの電力密度にて、底部電極に電力を供給する工程を含み、上記シリコン前駆体および水素を導入する工程は、1〜500mTorrの大気圧にてなされ、酸素源ガスを供給する工程を含むことが好ましい。
【0036】
また、本発明に係る製造方法では、上記酸素源ガスを供給する工程は、NO、NO、OまたはOからなる群から選ばれた1種の酸素源ガスを供給する工程を含むことが好ましい。
【0037】
また、本発明に係る製造方法では、上記シリコン前駆体および水素を導入する工程は、不活性な希ガスを供給する工程を含むことが好ましい。
【0038】
また、本発明に係る製造方法では、上記酸素源ガスを供給する工程を含む、シリコン前駆体および水素を導入する工程は、SiH、NO酸素源ガス、H、および不活性ガスを、NOに対するSiHは約0.1〜10の比率;SiHに対するHは、約0.02〜100の比率;SiHに対する不活性ガスは、約0〜10の比率;Hに対するNOは、約0.02〜20の比率;および、Hに対する不活性ガスは、約0〜40の比率にて導入する工程を含むことが好ましい。
【0039】
また、本発明に係る製造方法では、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程する工程は、約150〜600nm、および、約9〜11μmからなる群から選ばれた1種の発光波長を有する熱源を用いる、フラッシュアニール処理またはレーザーアニール処理する工程を含むことが好ましい。
【0040】
また、本発明に係る製造方法では、上記高密度(HD)プラズマ化学気相成長(PECVD)法を用いることによって、SiOフィルムを堆積する工程は、電子温度が10eV未満であり、プラズマ濃度が1×1011cm−3を超えるプラズマが用いられることが好ましい。
【0041】
また、本発明に係る製造方法では、上記酸素源ガスを供給する工程を含む、シリコン前駆体および水素を導入する工程は、SiH、O酸素源ガス、H、および不活性ガスを、Oに対するSiHは約0.1〜10の比率;SiHに対するHは、約0.02〜100の比率;SiHに対する不活性ガスは、約0〜10の比率;Hに対するOは、約0.02〜20の比率;および、Hに対する不活性ガスは、約0〜40の比率にて導入する工程を含むことが好ましい。
【0042】
また、本発明に係る製造方法では、上記シリコン前駆体および水素を導入する工程は、Si2n+2またはSiH4−Xのシリコン前駆体を供給する工程を含み、Si2n+2においてnは1〜4にて変更可能であり、SiH4−Xにおいて、Rは、Cl、BrまたはIであり、Xは0〜3にて変更可能であることが好ましい。
【0043】
また、本発明に係る製造方法では、上記高密度(HD)プラズマ化学気相成長(PECVD)法を用いることによって、SiOフィルムを堆積する工程は、誘導結合プラズマ(ICP)源が用いられる工程を含むことが好ましい。
【0044】
また、本発明に係る製造方法では、上記シリコンナノ粒子含有SiOフィルムは、約475nm〜900nmでの波長において、スペクトル応答性を示すことが好ましい。
【0045】
また、本発明に係る製造方法では、上記底部電極上にSiOフィルムを堆積する工程は、約400℃未満の温度にて基礎となる基板を加熱する工程を含むことが好ましい。
【0046】
また、本発明に係る製造方法では、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程は、400℃を超える温度にて、基礎となる基板を加熱する工程と;約10〜300分間加熱を継続する工程と;酸素および水素、酸素、水素、並びに、不活性ガスからなる群から選ばれる雰囲気下にて、加熱を行う工程とを含み、上記アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、上記アニール処理する工程に応じて、上記シリコンナノ粒子含有SiOフィルム中のシリコン粒子のサイズを変更する工程を含むことが好ましい。
【0047】
また、本発明に係る製造方法では、上記底部電極を供給する工程は、ガラス、金属化基板およびプラスチックからなる群から選ばれる1種の温度感受性の基板上に底部電極を供給する工程を含み、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程は、650℃未満の温度にてアニール処理する工程を含むことが好ましい。
【0048】
また、本発明に係る製造方法では、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程は、固有のシリコンナノ粒子含有SiOフィルム、または、ドープされたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムからなる群から選ばれたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含んでおり、さらに、上記ドープされたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムは、遠紫外線から遠赤外線までの波長において、スペクトル応答性を示すことが好ましい。
【0049】
また、本発明に係る製造方法では、400℃未満の基板温度のH雰囲気下において、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルム上にHDプラズマ処理を行う工程と;上記アニール処理されたシリコンナノ粒子を含有するSiOフィルムを水素化する工程とを含むことが好ましい。
【0050】
また、本発明に係る製造方法では、HDプラズマ処理を用いて、上記アニール処理されたシリコンナノ粒子を含有するSiOフィルムを水素化する工程は、13.56〜300MHzの周波数、および、最大10W/cmの電力密度にて頂部電極に電力を供給する工程と;50KHz〜13.56MHzの周波数、および、最大3W/cmの電力密度にて、底部電極に電力を供給する工程と;1〜500mTorrの圧力を適用する工程と;Hおよび不活性ガス、並びに、Hからなる群から選ばれる1種のガスを供給する工程とを含むことが好ましい。
【0051】
また、本発明に係る製造方法では、上記アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、50%を超えるPLQEを有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことが好ましい。
【0052】
また、本発明に係る製造方法では、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムを堆積する工程は、上記底部電極上に多層のSiOフィルムを堆積する工程を含むことが好ましい。
【0053】
また、本発明に係る製造方法は、上記アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことが好ましい。
【0054】
また、本発明に係る製造方法は、上記勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、連続的、段階的または周期的からなる群から選ばれる関数である勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことが好ましい。
【0055】
また、本発明に係る製造方法では、上記勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、上記底部電極からアニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムまでの距離が変化することに伴って変更する値を有し、勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことが好ましい。
【0056】
本発明に係る製造方法は、上記課題を解決するために、発光用途(電子ルミネセンス(EL)および光ルミネセンス(PL))に関する、高量子効率のシリコン(Si)ナノ粒子含有SiOフィルムを備える発光素子の製造方法において:底部電極を供給する工程と;上記底部電極上に、シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム(X+Y<2であり、Y>0である)を堆積する工程と;上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程と;632nmにて測定された約1.6〜1.9の屈折率(n)および20%を超えるPL量子効率を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0057】
本発明に係る発光素子は、上記課題を解決するために、発光用途(電子ルミネセンス(EL)および光ルミネセンス(PL))に関する、高量子効率のシリコン(Si)ナノ粒子含有SiOフィルムを含む発光素子において:底部電極と;上記底部電極上に配置された、シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム(X+Y<2であり、Y>0である)と;上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム上に配置された頂部電極とを含み、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムは、632nmにて測定された約1.6〜1.9の屈折率(n)および20%を超えるPL量子効率を有することを特徴とする。
【0058】
また、本発明に係る発光素子では、約475〜900nmの波長において、光学発光/吸収特性を有することが好ましい。
【0059】
また、本発明に係る発光素子では、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムは、632nmにて測定された、約0.001未満の消衰係数(k)を有していることが好ましい。
【0060】
また、本発明に係る発光素子では、上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムのシリコンナノ粒子は、直径が約1〜10nmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、20%を超える光量子効率という、高い光ルミネセンス量子効率を有し、安定性および信頼性に優れる発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】発光(電気ルミネセンス‐ELおよび光ルミネセンス‐PL)用途の高量子効率シリコン(Si)ナノ粒子含有SiOフィルムを示す部分断面図である。
【図2】PL波長およびシリコンナノ粒子サイズの関係を示すグラフである。
【図3】整調可能な光学発光/吸収特性を示す多層発光素子を示す部分断面図である。
【図4】誘導結合プラズマ源を有する高密度プラズマ(HDP)システムを示す概略図である。
【図5A】PL応答における、アニール処理温度の効果を示すグラフである。
【図5B】高速熱アニール処理温度の関数として、SiOフィルムのPLスペクトルを示すグラフである。
【図6】SiH/NO/Kr/Hの組合わせを用いて堆積したフィルムのPL発光特性を示すグラフである。
【図7】約880nmの発光波長ピークを有する、フィルムのPL応答における水素による欠陥不動態化の効果を示すグラフである。
【図8A】発光(ELおよびPL)用途の高量子効率Siナノ粒子含有SiOフィルムの製造方法を示すフローチャートである。
【図8B】発光(ELおよびPL)用途の高量子効率Siナノ粒子含有SiOフィルムの製造方法を示すフローチャートである。
【図9】上述のHDPECVD法を用いて製造したSiOフィルムに関する波長の関数として、PL強度を示すグラフである。
【図10】HDP法によって製造されたナノ結晶性Si含有SiOフィルムのPL波長上に示される制御を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明の一実施形態について図1ないし図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。図1は、発光(電気ルミネセンス‐ELおよび光ルミネセンス‐PL)用途の高量子効率シリコン(Si)ナノ粒子含有SiOフィルムを示す部分断面図である。発光素子100は、底部電極102を備えている。底部電極102は、半導体、金属、高分子、ガラス、金属化基板またはプラスチックによってドープされていてもよい。
【0064】
Siナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム104が、底部電極102上に配置されている(X+Y<2であり、Y>0である)。Siナノ結晶を含有するSiOフィルム104は、632ナノメートル(nm)および20%を超えるPL量子効率(PLQE)の測定条件にて、1.6〜1.9の屈折率(n)を有している。PLQEは、50%を超える場合もある。
【0065】
頂部電極106は、Siナノ粒子を含有するSiOフィルム104上に配置されている。頂部電極106は、インジウムチタン酸化物(ITO)などに例示される、薄膜金属または透明金属酸化物であってもよい。概して、Si粒子のサイズは、約1〜10nmである。
【0066】
一形態において、発光素子は、約475〜900nmの波長において、光学発光/吸収特性を有する。また、他の形態において、発光素子100は、光学発光/吸収特性を約475〜900nmの波長にて変化させることができる。
【0067】
他の実施形態では、Siナノ粒子を含有するSiOフィルム104は、632nmにて測定された、約0.001未満の消衰係数(k)を有している。ある意味では、kは勾配を有しているといえる。上記勾配は、連続的、段階的または周期的である。上記勾配を有するkは、底部電極102からSiナノ粒子を含有するSiOフィルム104の距離に応じて変化する値であってもよい。
【0068】
他の実施形態において、特に図示しないが、複数のSiOフィルムが底部電極上に配置されていてもよい。他の実施形態(図3を参照)において、Siナノ粒子を含有するSiOフィルム104は、第3族元素、第4族元素、第5族元素または希土類元素のドーパントを含んでいる。
【0069】
重要な高密度プラズマ処理のパラメータを分析することによって、高品質なナノ結晶性Si含有誘電体膜を製造することが可能である。上記パラメータは、SiOフィルムのPL応答に証明されるように、光学分散、ナノ結晶性Siの成長およびサイズに影響を及ぼす。SiOフィルム中においてSi濃度が高い場合のように、n-k分散を、N/Oの比率を変更することによって制御することができる。PL応答特性は、ナノ結晶性Siのサイズを制御することによって処理され得る。上記ナノ結晶性Siのサイズは、系の圧力およびPR電力に強く依存する。
【0070】
しかしながら、低電圧にて作動する高品質なEL素子を製造するために必要な、薄膜フィルムの各特性および高密度プラズマ堆積法の条件同士の相関関係は、これまで、変数の数が多いため決定することが不可能であった。
【0071】
PLQEは、短波長にて吸収される光子の数に対する、長波長にて放射される光子の数の比率として規定する。また、PLQEは、SiOフィルムの光子変換効率として測定される。ナノ結晶性Si含有SiO薄膜フィルムによるエネルギーの吸収は、励起波長およびその波長に対して反比例の光子エネルギーの関数であるから、QEは、素子の効率の特徴を示す、種々の波長の範囲を超えて通常測定される。
【0072】
図2は、PL波長およびシリコンナノ粒子サイズの関係を示すグラフである。可視光のスペクトルの範囲に亘るPL発光特性を有する、ナノ結晶性Si含有SiO薄膜フィルムの結果が、様々な光電気用途に関して有益である。高密度プラズマ(HDP)処理は、1〜10nmのナノ結晶性Si粒子の生成および制御において効果的であることを以下に説明する。
【0073】
光量子効率およびEL素子の性能に強い影響を及ぼす要素を表1にまとめる。堆積技術、堆積後のアニール処理の条件、欠陥不動態化の効率、および、フィルム/電極の界面の全ては、PL/EL素子の全体的な性能に影響を及ぼすという役割を果たしている。
【0074】
【表1】

【0075】
図3は、整調可能な光学発光/吸収特性を示す多層発光素子を示す部分断面図である。475〜900nmの短波長にて発光するナノ結晶性Si粒子を生成および制御することが、ドープされていない、または、ドープされたナノ結晶性Si含有SiOx薄膜フィルムからの光学発光を高め、制御するために望まれている。ナノ結晶性Si粒子およびドーパントは、PL/EL発光特性に依存して互いに励起され得る。すでに示したように、短波長の発光によって、UVからIR波長までの全範囲に亘る光学発光の効率的制御がなされた多層構造を得ることができる。
【0076】
高密度PECVD(HDPECVD)法は、(堆積された段階であっても)良好なPL特性を有するSiナノ結晶フィルムの低温処理において効果的である。高密度PECVD法などのHDP法は、安定性および信頼性を有する光電子素子の製造に関する、(アモルファスの、微結晶性の、多結晶のまたはナノ結晶性の)Si、SiO、SiNx、および、SiOが化学量論的または高濃度の高品質な薄膜フィルムの処理において有用である。
【0077】
上記HDP法に基づく処理によれば、高品質な単層および多層の超格子構造の製造が可能である。上記超格子構造は、効率的で、信頼性のある光電子素子の製造方法に適している。ナノ結晶性Siの光学発光特性に基づく電子発光素子の製造によって、高品質で、対費用効果の高い、集積された光電子素子の進歩に影響を与えることとなる。SiO薄膜フィルムの他の用途としては、フラッシュメモリを挙げることができる。ナノ結晶性Si含有誘電体フィルムは、電荷捕獲および光学発光の両方の目的を果たすことが可能である。
【0078】
図4は、誘導結合プラズマ源を有する高密度プラズマ(HDP)システムを示す概略図である。頂部電極1は、高周波(RF)電力源2によって作動される。一方、底部電極3は、低周波電力源4によって作動される。上記RF電力は、誘導結合プラズマ(ICP)源である高周波(RF)電力源2から、マッチング回路5およびハイパスフィルター7を介して頂部電極1に連結している。
【0079】
整合変成器11およびローパスフィルター9を介した底部電極3に対する電力は、頂部電極1と独立して変更することが可能である。頂部電極の電力周波数は、ICPの設計に依存し、約13.56〜約300メガヘルツ(MHz)とすることができる。底部電極の電力周波数は、イオンエネルギーを制御するため、約50キロヘルツ(KHz)から約13.56MHzの範囲にて変更できる。
【0080】
圧力は最高500mTorrまで変更することができる。頂部電極の電力は、約10ワット毎平方センチメートル(W/cm)の値とすることができる。しかしながら、上述した半導体のナノ結晶含有Si絶縁フィルムは、一般的に、5W/cm未満の頂部電極の電力を使用できるように形成され、上記底部電極の電力は、約3W/cmの大きさとすることができる。
【0081】
HDP方式の重要な特徴として、プラズマに晒される誘導コイルが存在しないことが挙げられる。上記誘導コイルは、不純物源を除去するものである。上記頂部電極および底部電極は、それぞれ独立して制御可能である。電極はプラズマに晒さないため、可変コンデンサが用いられたシステム筐体の電位を調整する必要がない。すなわち、頂部電極および底部電極間にクロストークが生じない。上記プラズマ電位は低く、通常、20V未満である。システム筐体の電位は、システム設計および電力結合の性質に依存する浮動小数点型の電位である。
【0082】
HDPツールは、1×1011cm−3を超える電子濃度および10eV未満の電子温度を有する通常の高密度プラズマ処理である。容量結合プラズマツールのような多数の高密度プラズマ系および従来の設計と同様に、頂部電極に連結するコンデンサおよびシステム筐体間のバイアス差を維持する必要はない。他の形態において、頂部電極および底部電極は、RFおよび低周波(LF)電力の供給を受ける。
【0083】
ナノ結晶性Si含有SiOx薄膜フィルムの光学特性が、表2に要約されている。本発明に係るHPD処理は、ナノ結晶性Si含有SiOx薄膜フィルムの光分散特性を制御するにあたり効果的である。また、可視光線のスペクトルの範囲に亘ってPL発光可能な、広範囲に亘る光分散特性を調整することができる。
【0084】
さらに、同様のPL発光波長を有するフィルムに関する処理を調整することによって、nおよびkを独立して変化させることもできる。最適化に基づいて、分散特性nおよびkが、PLQEが20%を超える高い光学QEの薄膜フィルムの製造にて重要であることが、明らかとなっている。
【0085】
【表2】

【0086】
サイズ、密度および分布の制御されたナノ結晶性粒子を生成することは、高品質な光電子素子の製造における重要な要素である。プラズマ中のHガスは、ナノ結晶性Siのサイズおよび光分散特性を制御するにおいて非常に効果的である。また、上述した種々の手法を組合せることは、475nm〜900nmの波長においてPL応答を示すナノ結晶性Si粒子を生成するにおいて効果的である。SiO薄膜フィルムの特性は、ガスの流速および流量比、RF電力、システム圧力、並びに、基板温度を変更することによって制御される。
【0087】
上記堆積処理は、SiO薄膜フィルムの光学的、PLのおよびELの発光特性に関して利用される。表3に、種々のガスの組合わせ、および、流量比を示す。上記組合わせ、および、流量比は、高品質なナノ結晶性Si含有SiO薄膜フィルムの製造にて効果的である。
【0088】
【表3】

【0089】
表4に、化学量論的な、Si濃度の高いSiO薄膜フィルムの製造方法に関するHDP処理の詳細条件を示す。
【0090】
【表4】

【0091】
表5に、1500WのRF出力および75mTorrのシステム圧力にて堆積されたSiO薄膜フィルムの屈折率に対するH流量の影響を示す。水素流量が増加するに伴い屈折率も増加し、ナノ結晶性Si粒子のサイズを増大させる。これは、フィルム中のSi濃度が増加することを意味する。同様の関係は、表3に示された処理においても観測される。
【0092】
【表5】

【0093】
図5Aは、PL応答における、アニール処理温度の効果を示すグラフであり、図5Bは、高速熱アニール処理温度の関数として、SiOフィルムのPLスペクトルを示すグラフである。上記フィルムは、各流量(sccm)の比率、SiH/NO/H=15/15/150にて堆積されたものである。適用されたRF電力、システム圧力および基板温度は、700W、75mTorrおよび280℃であった。図5Aに示すように、堆積後、アニール処理されたフィルムにおいて、PL発光波長は、500nm付近にて維持される。
【0094】
図6は、SiH/NO/Kr/Hの組合わせを用いて堆積したフィルムのPL発光特性を示すグラフである。より大きなナノ結晶性Si粒子を生成させるため、不活性ガスおよび水素の組合わせは非常に効果的である。特に、800〜900nmにてPL応答の1つのピークが示されている。
【0095】
図7は、約880nmの発光波長ピークを有する、フィルムのPL応答における水素による欠陥不動態化の効果を示すグラフである。高密度プラズマ水素化処理は、低温および低熱量にて、堆積されたSi、SiOおよびSiO薄膜フィルム中の欠陥およびダングリングボンドを不動態化するために有益である。表6に、薄膜フィルムの効率的な水素化に適切な、高密度プラズマ処理条件を要約して示す。
【0096】
【表6】

【0097】
上記堆積された薄膜フィルムにおいて感知可能なPLシグナルの存在は、400℃未満の温度でさえ、Siナノ結晶を生成するHDP処理の可能性を示している。適切な条件での温度処理によって、SiO薄膜フィルムのPL発光特性がさらに付与される。高温でのアニール処理によって、SiO相が、Siクラスターまたはナノ結晶に分離される。上記Siクラスターまたはナノ結晶は、誘電体マトリックスによって分離されたものである。
【0098】
アニール処理温度/時間は、他の薄膜フィルムの堆積処理条件および特性に関連付けられ、Siクラスターサイズ、濃度および分布が変化し得る。典型的なアニール処理条件を表7に示す。
【0099】
【表7】

【0100】
ここで用いられるナノ結晶性Si含有SiO(X+Y<2)薄膜フィルムと同様に、不定比のSiO薄膜フィルムを用いてもよい。不定比のSiO薄膜フィルムでは、X+Y<2であり、Y>2である。不定比のSiO薄膜フィルムとは、Siナノ結晶(ナノ結晶性Si)を含み、Si濃度が高いSiO薄膜フィルムである。ここで用いられている上記文言「不定比の」とは、技術的に明確な自然数によって示されない元素構成を有する化合物を示すものとする。それゆえ、低比例の法則に反するものである。
【0101】
通常、不定比化合物は、ある元素が欠陥を生じる結果、ランダムな欠陥を含む固体であると理解される。上記不定比化合物は、全体として電気的に中性である必要があるため、酸化状態に変化することによって、または、異なる電荷を有する他の原子に置換を生じることによって、欠落した原子の電荷を、不定比化合物での他の原子の電荷によって補う必要がある。特に、不定比のSiO薄膜フィルムにおける「欠陥」は、ナノ結晶性粒子をも含む。
【0102】
図8Aおよび図8Bは、発光(ELおよびPL)用途の高量子効率Siナノ粒子含有SiOフィルムの製造方法を示すフローチャートである。上記製造方法は、番号が付された一連のステップによって明確に示されるが、上記番号は、ステップの順序を示すものではない。上記一連のステップを、一部省略する、並列して行う、または、厳格に一連の順序を維持することなく行うことができる。上記製造方法は、ステップ800にて開始される。
【0103】
まず、ステップ802では底部電極を供給する。その後、ステップ804では、Siナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムを、上記底部電極上に堆積する。SiOのうち、XおよびYに関して、X+Y<2であり、Y>0である。上記不定比のSiO薄膜フィルムの光学分散特性は、上記薄膜フィルムの厚さに対して、XおよびYの値を変更することによって、調整することも可能である。
【0104】
一形態において、半導体薄膜フィルムは、基礎となる基板を400℃未満の温度にて加熱することによって堆積される。ここで、上記底部電極および基板は同じ元素にて構成されていてもよい。
【0105】
ステップ806では、Siナノ粒子含有SiOフィルムをアニール処理する。その後、ステップ808では、632nmにて測定された0.001未満の消衰係数(k)および20%を超えるPL量子効率(PLQE)を有する、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルムを形成する。
【0106】
ステップ808では、632nmにて測定された約1.6〜1.9の屈折率(n)および20%を超えるPL量子効率(PLQE)を有する、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルムを形成する。また、上記PLQEは、50%を超えていることが好ましい。ステップ810では、約475nm〜900nmでの波長において、Siナノ粒子含有SiOフィルムのスペクトル応答性が示される。
【0107】
一形態において、ステップ804でのSiナノ粒子含有SiOフィルムの堆積には、サブステップが含まれている。ステップ804aでは、Si前駆体および水素を導入する。次のステップ804bでは、HDPECVD法を用いて、底部電極上にSiO薄膜フィルムを堆積する。ステップ804cでは、13.56〜300メガヘルツ(MHz)の周波数、および、5ワット/平方センチメートル(W/cm)未満の電力密度にて、頂部電極に電力を供給する。さらに、ステップ804dでは、50KHz〜13.56MHzの波長、および、最大3W/cmの電力密度にて、底部電極に電力を供給する。
【0108】
一形態において、ステップ804aは、1〜500mTorrの圧力を適用する工程を含み、酸素源ガスを供給する工程を含んでいてもよい。例えば、NO、NO、OまたはOを用いてもよい。他の形態において、ステップ804aでは、酸素源ガス、Si前駆体および水素に不活性な希ガスを供給してもよい。
【0109】
より明確には、SiH、水素、および、NO酸素源ガスのようなSi前駆体、水素および酸素源ガス、および、不活性ガスは、以下の範囲にて導入される:NOに対するSiHは約0.1〜10の比率、SiHに対するHは、約0.02〜100の比率、SiHに対する不活性ガスは、約0〜10の比率、Hに対するNOは、約0.02〜20の比率、および、Hに対する不活性ガスは、約0〜40の比率である。上記構成に代えて、酸素源ガスとして、Oを用いることができ、NOをOに代えて上述した比率を適用することができる。
【0110】
一形態において、HDPECVD法では、誘導結合プラズマ(ICP)源が用いられる。他の形態において、HDPECVD法では、10eV未満の電子温度を有する、プラズマ濃度が1×1011cm−3を超えるプラズマが用いられる。ここで、Siナノ粒子含有SiOxフィルムは、RFまたはマイクロの周波数での適切な高密度プラズマ法のいずれを実施することによっても製造され得る。
【0111】
他の一形態において、ステップ804aにおいて、Si前駆体および水素を供給する工程は、Si2n+2またはSiH4−Xのような前駆体を供給する工程を含む。Si2n+2においてnは1〜4にて変更可能であり、SiH4−Xにおいて、Rは、Cl、BrまたはIであり、Xは0〜3にて変更可能である。なお、上記nおよびXは整数である。
【0112】
ステップ808において、形成された、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルムは、固有のSi、または、ドープされたSiナノ粒子含有SiOフィルムであってもよい。ドープされている場合、ドーパントは、第3族元素、第4族元素、第5族元素または希土類元素であってもよい。その後、ステップ812において、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルムは遠紫外線(UV)から遠赤外線(IR)までの波長において、光吸収特性を示す。
【0113】
他の形態において、ステップ806におけるSiナノ粒子含有SiOフィルムをアニール処理する工程は、約150〜600nm、または、約9〜11マイクロメートルの発光波長を有する熱源を用いる、フラッシュアニール処理またはレーザーアニール処理工程を含んでいてもよい。
【0114】
他の形態として、Siナノ粒子含有SiOフィルムはサブステップを含んでいてもよい。ステップ806aでは、約400℃を超える温度にて基板を加熱する。次に、ステップ806bでは、約10〜300分間加熱を継続する。ステップ806cでは、酸素および水素、または、酸素、水素若しくは不活性ガスの雰囲気下にて加熱を行う。
【0115】
その後のステップ808における、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、アニール処理に応じて、Si絶縁膜中の半導体ナノ粒子のサイズを変更する工程を含んでいてもよい。
【0116】
他の形態において、ステップ802にて、ガラス、金属化基板またはプラスチックなどの温度感受性の基板上に底部電極を供給する場合、ステップ806では、650℃未満の温度にてSiナノ粒子含有SiOフィルムをアニール処理してもよい。
【0117】
他の形態において、ステップ809aでは、400℃未満の基板温度のH雰囲気下において、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルム上にHDプラズマ処理を行う。ステップ809bでは、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルムの水素化を行う。例えば、上記水素化は、HDプラズマ処理を用いて以下のように行ってもよい。
【0118】
すなわち、13.56〜300MHzの周波数、および、最大10W/cmの電力密度にて頂部電極に電力を供給し、
50KHz〜13.56MHzの周波数、および、最大3W/cmの電力密度にて、底部電極に電力を供給し、
1〜500mTorrの範囲にて大気圧力を適用して、
空気、H、または、Hおよび不活性ガスを供給する。
【0119】
他の形態において、ステップ804におけるSiナノ粒子含有不定比SiOフィルムを堆積する工程は、上記底部電極上に多層のSiOフィルムを堆積する工程を含んでいる。また、他の形態において、ステップ808では、勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたSiナノ粒子含有SiOフィルムを形成する。上記kは、勾配を有して、連続的、段階的、または、周期的な関数である。その他の形態では、勾配を有するkは、基板(底部電極)からフィルムまでの距離が変化することに伴って変更する値である。
【0120】
図9は、上述のHDPECVD法を用いて製造したSiOフィルムに関する波長の関数として、PL強度を示すグラフである。酸素源ガスとしてOを用いた場合、PLQEが100%を超える。一方、NOを用いた場合、PLQEは、48%である。このように、高密度プラズマ法を用いることによって、光分散およびPL特性を独立して制御することが可能である。
【0121】
図10は、HDP法によって製造されたナノ結晶性Si含有SiOフィルムのPL波長上に示される制御を示すグラフである。長波長のPL応答性は、大粒径のナノ結晶性Siに対応する。
【0122】
以上、Siナノ粒子含有SiOフィルムを用いて製造された発光素子について説明した。SiOフィルムの詳細は現時点のものであり、図示された本発明に対して、他の具体的な材料および処理の詳細な内容を用いることができる。しかしながら、本発明は、上記の具体例にのみ限定されるものではない。当業者によれば、本発明の他の変形例および具体例を想到することができるであろう。
【0123】
〔関連出願〕
本願は、Pooran Joshiらによって発明された、「FABRICATION OF A SEMICONDUCTOR NANOPARTICLE EMBEDDED INSULATING FILM ELECTROLUMINESCENCE DEVICE」に係る米国特許出願第12/187,605(代理人 Docket,No.SLA2401, 2008年8月7日出願)の一部継続出願である。米国特許出願第12/187,605は、Huangらによって発明された、「LIGHT EMITTING DEVICE WITH A NANOCRYSTALLINE SILICON EMBEDDEDINSULATOR FILM」に係る継続中の米国特許出願第12/126,430(代理人 Docket,No.SLA2270、2008年5月23日出願)の一部継続出願である。
【0124】
上記米国特許出願第12/126,430は、Pooran Joshiらによって発明された、「SILICON OXIDE THIN-FILMS WITH EMBEDDED NANOCRYSTALLINE SILICON」に係る米国特許出願第11/418,273(代理人 Docket,No.SLA0963,2006年4月5日出願)の一部継続出願である。
【0125】
上記米国特許出願第11/418,273は、Pooran Joshiによって発明された、「ENHANCED THIN-FILM OXIDATION PROCESS」に係る米国特許出願第11/327,612(代理人 Docket,No.SLA08012,2006年1月6日出願);Pooran Joshiらによって発明された、「HIGH-DENSITY PLASMA HYDROGENATION」に係る米国特許出願第11/013,605(2004年12月15日出願);Pooran Joshiによって発明された、「DEPOSITION OXIDE WITH IMPROVED OXYGEN BONDING」に係る米国特許出願第10/801,377(2004年3月15日出願);Joshiらによって発明された、「HIGH-DENSITY PLASMA OXIDATION FOR ENHANCED GATE OXIDE PERFORMANCE」に係る米国特許出願第11/139,726(2005年5月26日出願);Pooran Joshiによって発明された、「HIGH-DENSITY PLASMA PROCESS FOR SILICON THIN-FILMS」に係る米国特許出願第10/871,939(2004年6月17日出願);および、Joshiらによって発明された「METHOD FOR FABRICATING OXIDE THIN-FILMS」に係る米国特許出願第10/801,374(2004年3月15日出願)の一部継続出願である。上記全ての出願は、参考文献として含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明に係る発光素子は、特に高い光ルミネセンス量子効率を有するため、安定性および信頼性に優れている。したがって、発光素子を用いる分野にて利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 頂部電極
2 高周波電力源
3 底部電極
4 低周波電力源
5 マッチング回路
7 ハイパスフィルター
9 ローパスフィルター
11 整合変成器
100 発光素子
102 底部電極
104 SiOフィルム
106 頂部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光用途に関する、高量子効率のシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを備える発光素子の製造方法において:
底部電極を供給する工程と;
上記底部電極上に、シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム(X+Y<2であり、Y>0である)を堆積する工程と;
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程と;
632nmにて測定された0.001未満の消衰係数(k)および20%を超える光ルミネセンス量子効率を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
シリコン前駆体および水素を導入する工程と;
高密度プラズマ化学気相成長法を用いることによって、上記底部電極上にSiOフィルムを堆積する工程と;
13.56〜300MHzの周波数、および、5W/cm未満の電力密度にて、頂部電極に電力を供給する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
50KHz〜13.56MHzの波長、および、最大3W/cmの電力密度にて、底部電極に電力を供給する工程を含み、
上記シリコン前駆体および水素を導入する工程は、1〜500mTorrの大気圧にてなされ、酸素源ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
上記酸素源ガスを供給する工程は、NO、NO、OまたはOからなる群から選ばれた1種の酸素源ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
上記シリコン前駆体および水素を導入する工程は、不活性な希ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
上記酸素源ガスを供給する工程を含む、シリコン前駆体および水素を導入する工程は、
SiH、NO酸素源ガス、H、および不活性ガスを、
Oに対するSiHは約0.1〜10の比率;
SiHに対するHは、約0.02〜100の比率;
SiHに対する不活性ガスは、約0〜10の比率;
に対するNOは、約0.02〜20の比率;
および、Hに対する不活性ガスは、約0〜40の比率にて導入する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程する工程は、約150〜600nm、および、約9〜11μmからなる群から選ばれた1種の発光波長を有する熱源を用いる、フラッシュアニール処理またはレーザーアニール処理する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
上記高密度プラズマ化学気相成長法を用いることによって、SiOフィルムを堆積する工程は、電子温度が10eV未満であり、プラズマ濃度が1×1011cm−3を超えるプラズマが用いられることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項9】
上記酸素源ガスを供給する工程を含む、シリコン前駆体および水素を導入する工程は、
SiH、O酸素源ガス、H、および不活性ガスを、
に対するSiHは約0.1〜10の比率;
SiHに対するHは、約0.02〜100の比率;
SiHに対する不活性ガスは、約0〜10の比率;
に対するOは、約0.02〜20の比率;
および、Hに対する不活性ガスは、約0〜40の比率にて導入する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項10】
上記シリコン前駆体および水素を導入する工程は、Si2n+2またはSiH4−Xのシリコン前駆体を供給する工程を含み、
Si2n+2においてnは1〜4にて変更可能であり、SiH4−Xにおいて、Rは、Cl、BrまたはIであり、Xは0〜3にて変更可能であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項11】
上記高密度プラズマ化学気相成長法を用いることによって、SiOフィルムを堆積する工程は、誘導結合プラズマ源が用いられる工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項12】
上記シリコンナノ粒子含有SiOフィルムは、約475nm〜900nmでの波長において、スペクトル応答性を示すことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
上記底部電極上にSiOフィルムを堆積する工程は、約400℃未満の温度にて基礎となる基板を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項14】
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程は、400℃を超える温度にて、基礎となる基板を加熱する工程と;
約10〜300分間加熱を継続する工程と;
酸素および水素、酸素、水素、並びに、不活性ガスからなる群から選ばれる雰囲気下にて、加熱を行う工程とを含み、
上記アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、上記アニール処理する工程に応じて、上記シリコンナノ粒子含有SiOフィルム中のシリコン粒子のサイズを変更する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
上記底部電極を供給する工程は、
ガラス、金属化基板およびプラスチックからなる群から選ばれる1種の温度感受性の基板上に底部電極を供給する工程を含み、
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程は、650℃未満の温度にてアニール処理する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程は、固有のシリコンナノ粒子含有SiOフィルム、または、ドープされたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムからなる群から選ばれたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含んでおり、
さらに、上記ドープされたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムは、遠紫外線から遠赤外線までの波長において、スペクトル応答性を示すことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
400℃未満の基板温度のH雰囲気下において、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルム上に高密度プラズマ処理を行う工程と;
上記アニール処理されたシリコンナノ粒子を含有するSiOフィルムを水素化する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
高密度プラズマ処理を用いて、上記アニール処理されたシリコンナノ粒子を含有するSiOフィルムを水素化する工程は、
13.56〜300MHzの周波数、および、最大10W/cmの電力密度にて頂部電極に電力を供給する工程と;
50KHz〜13.56MHzの周波数、および、最大3W/cmの電力密度にて、底部電極に電力を供給する工程と;
1〜500mTorrの圧力を適用する工程と;
および不活性ガス、並びに、Hからなる群から選ばれる1種のガスを供給する工程とを含むことを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
上記アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、50%を超えるPLQEを有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項20】
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムを堆積する工程は、上記底部電極上に多層のSiOフィルムを堆積する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項21】
上記アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項22】
上記勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、
連続的、段階的または周期的からなる群から選ばれる関数である勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
上記勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程は、
上記底部電極からアニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムまでの距離が変化することに伴って変更する値を有し、勾配を有する消衰係数(k)を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程を含むことを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
発光用途に関する、高量子効率のシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを備える発光素子の製造方法において:
底部電極を供給する工程と;
上記底部電極上に、シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム(X+Y<2であり、Y>0である)を堆積する工程と;
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムをアニール処理する工程と;
632nmにて測定された約1.6〜1.9の屈折率(n)および20%を超える光ルミネセンス量子効率を有する、アニール処理されたシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを形成する工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項25】
発光用途に関する、高量子効率のシリコンナノ粒子含有SiOフィルムを含む発光素子において:
底部電極と;
上記底部電極上に配置された、シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム(X+Y<2であり、Y>0である)と;
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルム上に配置された頂部電極とを含み、
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムは、632nmにて測定された約1.6〜1.9の屈折率(n)および20%を超えるPL量子効率を有することを特徴とする発光素子。
【請求項26】
約475〜900nmの波長において、光学発光/吸収特性を有することを特徴とする請求項25に記載の発光素子。
【請求項27】
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムは、632nmにて測定された、約0.001未満の消衰係数(k)を有していることを特徴とする請求項25に記載の発光素子。
【請求項28】
上記シリコンナノ粒子を含有する不定比のSiOフィルムのシリコンナノ粒子は、直径が約1〜10nmであることを特徴とする請求項25に記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−98311(P2010−98311A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236167(P2009−236167)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】