説明

高電圧インバータ

1以上の交流出力位相を有する、直流電力を交流電力に変換するための高電圧インバータが開示されている。インバータは、各交流出力位相のために、三極管構造、4極管構造又は5極管構造の制御可能な第1及び第2の冷陰極電界放出電子管を有する交流入力位相回路を備える。各電子管は20KVを超える高電圧直流電位への接続のための第1の入力ノードと、グランドへの接続のための第2のノードとを有する。第1の電子管は主巻線の第1の端部とグランドとの間で直列に接続され、第2の電子管は主巻線の第2の端部とグランドとの間で直列に接続されている。制御回路は、主巻線の第1の端部及び第2の端部を順に交互にほぼグランドの電位に到達させるために第1及び第2の電子管が交互に伝導するように電子管を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を交流電力に変換する機能を有するインバータ、特に、入力直流電圧が20KVを超える高電圧インバータに関する。
【背景技術】
【0002】
20KVを超える電圧で直流を交流電力に変換するための従来のインバータ技術には、水銀蒸気管と、個体素子とがある。両技術には、避止されることが望ましい欠点がある。
【0003】
水銀蒸気管には、管内の水銀蒸気が周囲に漏れ出る場合に環境上の危険性があるという欠点がある。サイリスタ(例えば、シリコン制御整流器)のような固体素子には、多数並列接続の大きなバンクを含むという欠点がある。多数の並列接続装置を必要とするというコスト面及び複雑性を別にすると、装置ごとの故障率が同一であると仮定すれば、多数の部品装置のうちの1つが故障する確率は単一の装置が故障する確率を大幅に上回るため、信頼性は低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここに、少数の部品で済み、高い信頼性を示し、また環境的危険性のない、直流電力を交流電力に変換する機能を有する高電圧インバータの提供の要請がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、好ましい態様において、1以上の交流出力位相を有する、直流電力を交流電力に変換するための高電圧インバータを提供する。このインバータは、各交流出力位相のために、三極管構造、四極管構造又は五極管構造の第1及び第2の制御可能な冷陰極電界放出電子管を有する1つの交流入力位相回路を備える。各電子管は、20KVを超える高電圧直流電位への接続のための第1の入力ノードと、グランドへの接続のための第2の入力ノードとを有する。主変圧器巻線は第1の端部と、第2の端部と、中心タップとを有する。前記第1の電子管は、前記主巻線の第1の端部とグランドとの間で直列に接続され、また、前記第2の電子管は前記主巻線の第2の端部とグランドとの間で直列に接続されている。制御回路は、前記主巻線の第1の端部及び第2の端部が、交互に、ほぼグランドの電位に至るようにするために前記第1及び第2の両電子管が交互に伝導するように、両電子管を制御する。
【0006】
好ましい実施の形態に係る前述したインバータは、少数の部品で済み、高い信頼性を示し、また環境的危険性のない、直流電力を交流電力に変換する機能を有する。
【0007】
図面には、同様の部分に同様の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る、直流電力を交流電力に変換するための高電圧インバータの回路図である。
【図2】本発明において使用可能である三極管構造の制御可能な冷陰極電界放出電子管の簡略な斜視図である。
【図3A】一部をブロックの形態で示した、本発明の一形態に係る、位相を監視しかつ電力の均衡を図る3位相インバータの回路図である。
【図3B】一部をブロックの形態で示した、電力分配グリッドの回路図である。
【図4】図3Aに示すインバータのインバータ位相86の回路図である。
【図5】図4に示すインバータ位相の電流調整回路の回路図である。
【図6】高電圧インバータ及び高電圧直流出力を与えるための交流‐直流整流器の回路図である。
【図7】一部をブロックの形態で示した、高電圧インバータ及び電力分配グリッドに接続される場合における図6に示す交流‐直流整流器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、高電圧の直流電力を交流の電流に変換するための好ましい高電圧インバータ10を示す。インバータ10の出力は、好ましくは、10KVを超えまた毎秒約50ないし400サイクルの交流周波数を有する電圧を提供する。入力交流位相20は、入力ノード26とグランド28との間に供給される高電圧の直流を交流に変換する。
【0010】
以下の説明は、(1)本発明の高電圧インバータの交流入力位相、(2)位相同期と電力分配グリッドの位相監視及び電力均衡とを組み込んだ高電圧インバータ、及び(3)高電圧直流‐直流インバータの領域をカバーする。
【0011】
1.交流入力位相
図1に示す入力交流位相20は、三極管構造の制御可能な冷陰極電界放出電子管30及び32を含む。代わりに、これらの電子管は、当業者には明らかであるように、電気回路に対して適当な調整をする四極管構造又は五極管構造の電子管に置き換えることができる。図2は、好ましい三極管構造の制御可能な冷陰極電界放出電子管38を示す。図2において、管38は、円筒状のグリッド42により取り巻かれた円筒状の陰極40を含み、円筒状のグリッド42はさらに円筒状の陽極44により取り巻かれている。陰極40、グリッド42及び陽極44は、これらの中心円筒軸線に沿って互いに軸対称に配列されている。管38についてさらに詳細には、「High Voltage Switch Tube」と題して1990年8月21に発行された米国特許第4,950,962号に見ることができる。前述の特許が開示する全ての事項は、参照により本明細書に組み入れられている。前述の特許に開示された回路の時定数は、図1に示すインバータ10の出力に接続された前記変圧器の効果的使用を可能にする十分に高い切り替え速度を提供するように調整される。
【0012】
図1に示す高電圧インバータ10は、好ましくは、図2及び前述の米国特許第4,950,962号に示された前述の制御可能な冷陰極電界放出電子管38を使用する。これは、高電圧容量、高電流容量及び高散逸からなる電子管38の諸特性の組み合わせによる。高電圧インバータ10の電力発生ステーション及び送電線の適用のために、直流20KVを超える電圧(例えば、直流100万V)で連続的に動作する電子管38のような複数の電子管を構築することが可能でありかつ実際的である。送電の適用において、典型的な直流はキロアンペアの値域にある。図1に示すインバータ10が電力発生ステーションとして使用される場合、電力発生ステーションの厳しい環境において連続的に動作するように設計されている限り、図1に示すインバータ10において他の制御可能な冷陰極電界放出電子管の使用が可能である。
【0013】
10キロアンペアの直流(最大である現代の高電圧直流送電線の約5倍)を想定しかつ図2及び前記米国特許第4,950,962号に示された電子管38の使用を想定すると、陰極40と、グリッド42と陽極44との間のそれぞれの間隔はある幾何学的要求に一致するであろう。典型的には、例えば、陽極44からグリッド42までの間隔対グリッド42から陰極40までの間隔は、約10対1である。このような間隔の選択は、本開示に基づき、当業者には明らかであろう。陽極44は、温度制御のための液冷ジャケットの内面をなすように形成することができる。陰極40及びグリッド42もまた必要があれば冷却することができる。極端な実施の形態として、現実的な適用のいかなるものよりも高い5ギガワットの容量をもつインバータは、コンパクトなサイズに対して相当の電力取扱容量の組み合わせを示す。これは、既存技術装置のサイズの一部であり、これらの装置はほとんどがサイリスタ及び水銀蒸気管である。
【0014】
図1において、ノード26とグランド28との間にあらわれる前記直流入力電圧は20KVを超える。交流入力位相20は前記したように電子管30及び32を備え、これらの陽極30a及び32aはグランド28に接続されている。電子管30の陰極30bは、主変圧器巻線48の上端として示された第1の端部に接続されている。同様に、電子管32の陰極32bは、主変圧器巻線48の下端として示された第2の端部に接続されている。グリッド30c及び32cが同期回路に接続されており、グリッド30cのための前記同期回路は抵抗器50とコンデンサ52とを有し、また、グリッド32cのための前記同期回路は抵抗器54とコンデンサ56とを有する。両抵抗器50及び54の一端が、主巻線48の中心タップ48aに接続されている。加えて、抵抗器58とp‐nダイオード60とが電子管30に関連付けられ、これらは逆電圧阻害機能を果たす。同様に、抵抗器62とp‐nダイオード64とが電子管32に関連付けられ、これらは逆電圧阻害機能を果たす。良く知られているように、p‐nダイオードは他のタイプの一方向電流バルブと置き換えることができる。
【0015】
本発明に係る高電圧インバータの重要な設計的考察が変圧器19(図1)の設計に払われる。従来のインバータ回路と異なり、変圧器19は、高電圧での動作のために構築される、ステップダウン又は場合により1:1変圧器とされよう。
【0016】
また、変圧器を必要としないインバータ技術がある。変圧器を除外することは、コストを削減しまたインバータの迅速な製造のために望ましいことであるが、安全面の観点から、絶縁のための変圧器の存在は望ましいばかりでなく、義務的であることが多い。使用すべき技術の決定は、電力会社又は該電力会社の任意の建設技術者により行われるであろう。
【0017】
2.位相同期、及び、選択的に、電力分配グリッドの位相監視及び電力均衡を有するインバータ
図1に示す高電圧インバータ10の単一位相20とは対照的に、代わりのインバータは、3つの位相86、88及び90を有する図3に示すインバータ70のような多位相を備えるものとすることができる。本発明に係る代わりの複数のインバータは、例えば6又は12の交流出力位相のような他の数の交流出力位相を備える。電力分配グリッドに対して要求される種々の位相の同期と、このようなグリッドに接続されない場合における位相間の位相分離とを確保するための適当な位相制御回路が以下に示されている。
【0018】
選択的に、本発明に係る多位相の高電圧インバータは、これが接続される電力分配グリッドに位相監視及び電力均衡を組み込むことができ、前記電力均衡はほとんど瞬時の態様で(例えば、100万分の1秒で)生じる。
【0019】
図3Aはこのようなインバータ70を示し、いま述べたように、インバータ70は電力分配グリッドに対して、またこのようなグリッド上の電力均衡に対しては選択的に、同期を行う。インバータ70は出力端であるY字形接続の巻線71aを有する出力変圧器71を備える。これに代えて、デルタ接続巻線を用いることができる。
【0020】
図1に示すインバータ10のような単一受電直流高電圧源から3位相交流出力を発生させるためには、互いに120度の位相の不一致がある3つのクロック信号(図示せず)を生じさせることが必要である。これらの信号は、前記出力に取り付けられた前記電力分配グリッドに対して同期された位相でなければならない。このような電力分配グリッドは、図3Aにブロック72として示され、図3Bにさらに詳細に示されている。図3Bは、複数の電力発生装置72aと、複数の変電所72bと、複数のユーザ72cとを示す。図3Aに示す高電圧インバータ70は、1以上の電力発生装置72aを実装することが可能である。複数の変電所72bは分配線72dを通してユーザ72cに対して電気エネルギを送る。これらのいくつかにのみ番号が付されている。
【0021】
前記電力分配グリッドに対する位相同期を行うため、位相変換器74、76及び78が、電力分配グリッド72に取り付けられた各位相についての位相の負荷を連続的に監視する。例えば、複数の電流監視装置が前記分配グリッドの電力均衡に比例する複数の制御信号を提供する。監視回路80が、電力分配グリッド72の複数の位相の瞬間的な状態に対応する1組の3つの信号を生成する。これらの信号はホストコンピュータ82に送られ、前記ホストコンピュータにおいて、前記信号がデジタル化され、次の使用のために複数の分離バッファ(図示せず)に送られる。
【0022】
ホストコンピュータ82は、以下に説明するように、様々な制御回路のための複数の構成要素を含む出力インターフェース回路84を有し、インバータ位相86,88及び90のそれぞれのための位相を設定する。以下にさらに説明するように、出力インターフェース回路84は、各位相のための各インバータを通過可能であるエネルギの量を選択的に制御することができる。
【0023】
図3Aに示すインバータ70が電力分配グリッドに接続されていない場合、ホストコンピュータ82は、出力インターフェース回路84が複数の信号を複数のインバータ位相86,88及び90に送信するようにさせ、各位相を互いに120度異なるように設定する。
回路84は、これらの信号を制御ライン86a、86b、88a、88b及び90a、90bを通して前記複数のインバータ位相に送信する。
【0024】
他方、図3Aに示すインバータ70が電力配分グリッド72に接続されている場合、デフォルトモードのホストコンピュータ82は、出力インターフェース回路84が複数の信号を複数のインバータ位相86、88及び90に送信するようにさせ、グリッド72における複数の出力位相に対して複数のインバータ位相86、88及び90を同期させる。
【0025】
本発明の好ましい形態によれば、制御回路は、前記グリッドの位相負荷の複数の変化に応答して前記3つの位相にわたって受電エネルギを迅速に分配するように使用されることが望まれる。これは、前記電力分配グリッドのメンテナンス及び前記グリッド上の機器防護にとり大きな便益となり得る。
【0026】
複数の交流出力位相に対する電力の分配への急速な変化は、インバータ70(図3A)により達成することができる。ホストコンピュータ82は、以下に説明するように、様々な制御のための複数の構成要素を含む出力インターフェース回路84を有し、各位相のための各インバータを通過し得るエネルギ量を制御する。前記したように、位相変換器74,76及び78は電力分配グリッド72に取り付けられた各位相の位相対の負荷を連続的に監視し、これにより、前記電力分配グリッド上の前記3つの位相のそれぞれの間の位相負荷の差を決定することができる。
【0027】
前記複数の出力交流位相の均衡のために、ホストコンピュータ82内の単一のコンピュータプログラムが以下のアルゴリズムを実行する。
1.前記した及び前記分配グリッドの電力均衡に関する全3つのバッファ内の位相値を検査する。
2.これらの値が等しい場合、出力インターフェース回路84が、120度の位相で分離された同一の複数の信号を前記3つの出力ステージのそれぞれに送るようにさせる。
3.複数の前記入力バッファ値が等しくない場合、前記3つのバッファが等しい値をもつまで複数の低い値を有する1又は複数のバッファに増大させるエネルギ量を送る。
【0028】
前記したアルゴリズムは、多数のプログラム言語のうちの任意の1つで実行することができる。前記言語の選択は、前記ホストコンピュータ及びオペレーティングソフトの選択により決定される。また、このアルゴリズムは、一連の従来と同様の負のフィードバック制御回路として、ファームウエアで実行することができる。本開示に基づいて当業者には明らかであろうこのようなファームウエアのための数多くの適切なトポロジーが存在する。ディジタルコンピュータによりこのシステムを実行することがより一層容易であるが、ファームウエア様式でそれを実行するとより信頼性が高い。
【0029】
図4は、図3Aに示すインバータ70のインバータ位相86を実行する一つの回路を示す。図4において、調整回路94は、図3Aに示す出力インターフェース回路84からノード86aで1つの制御信号を受信する。同様に、調整回路96が、図3Aに示す出力インターフェース回路84からノード86bで1つの制御信号を受信する。両調整回路94及び96は、好ましくは、互いに対称であり、したがって、本明細書では回路94のみの説明をする。
【0030】
変調94はノード98及び100に接続されている。図5は、図4の調整回路94を示すが、両ノード98及び100に関して、図4に示されたものとは水平に反対の方向に向けられている。これは、図5に示す回路の動作が、便宜上、左から右へ分析され得るようにするためである。
【0031】
図5に示す調整回路94は、低電圧電力供給に見られる標準的なFET(電界効果トランジスタ)電流調整器と幾分類似している。変調94により対処される問題は、この設計のために考えられる電圧又は電流の領域で動作することが可能である個体素子又は従来の真空管装置が存在しないということである。したがって、スイッチング装置102は、好ましくは、三極管構造、四極管構造又は五極管構造の制御可能な冷陰極電界放出電子管からなる。スイッチング装置102は、図2に示され、またさらに前述の米国特許第4,950,962号に記載されているように、幾何学的構造を有する。代わりに、スイッチング装置102は、サイリスタのような高電圧半導体装置を備えるものであってもよい。制御装置112は、必要とされる様々な種類の部品を減らすためにスイッチング装置102と同様に組み入れられ、あるいは比較的低い電圧及び電流の要求をもつ装置により組み入れられる。
【0032】
図5に示す調整回路94において、次の動作の説明は、図4に示す入力ノード26上に正電圧源を想定する。抵抗器104は、電子管102のグリッドのためのバイアス電圧を定め、直列電流調整器として機能する。電子管102は機能的にこの回路内のFETに類似している。管104から流れる電流は、分流抵抗器106を横切る電圧を高めるために分流抵抗器106を経て流れる。この電圧は、抵抗器108及び110を有する分圧器を通して供給される。制御管112のグリッド112aは抵抗器108及び110の接合点に接続されている。制御電圧は、抵抗器108の他の側、すなわちノード86aに付与される。分流抵抗器106の電圧及びノード86aの基準電圧間の比が制御管112の伝導度を定め、次いで電子管102の伝導を制御する。コンデンサ114は、抵抗器108が、前記回路がゼロ交差点に至るまで伝導状態にあることを確保するように時定数を定める。ノード86aにおける基準電圧の値と、分圧器108及び110の抵抗値とを調整することにより、複数の異なる電流調整モードを実行することができる。前記したように、ノード86aの前記基準電圧は、図3Aに示す出力インターフェース回路84により与えられる。
【0033】
調整回路94は、それぞれの出力位相間の電力均衡を、前記3つの交流出力位相にわたる非常に高度の平均電力、例えば前記3つの交流出力位相にわたる平均電力の少なくとも約1パーセントに容易に調整することができる。これは、加えて、前記したように、図3Aに示すインバータ70の巻線18における出力の位相をさらに同期させることである。
【0034】
図3Aに示す交流入力位相86のみを先に詳細に説明したが、図3Aに示す交流入力位相88及び90は好ましくは入力位相86とまったく同一であり、したがって位相88及び90の詳細な説明は必要でない。しかし、出力インターフェース回路84からの制御信号をノード88a及び88bにおいて受信するのではなく、入力位相88が出力インターフェース回路84からノード88a及び88bにおいて制御信号を受信し、同様に、入力位相90が出力インターフェース回路84からノード90a及び90bにおいて制御信号を受信することに注意されるべきである。
【0035】
3.高電圧直流‐直流インバータ
図6は、図1に示す入力位相20と同様な入力位相122を有する高電圧直流‐直流インバータ120を示し、したがって同様の部品に共通の番号を付して入力位相120に同じものを使う。直流‐直流インバータ120は、ノード124に、グランド126に対して正の直流入力を有する。変圧器128は、中心タップ130aを有する主巻線130を備える。図示のように相互接続された複数のp‐nダイオード又は複数の他の一方向電流バルブ136を有するフルブリッジ整流器134を備える第2の巻線が、交流電圧を交流‐直流変換に供給する。整流器134の出力極性は、図示のp‐nダイオードの極性を逆にすることにより、逆にすることができる。全波整流器134の出力は、図示のように相互接続されたコンデンサ136,138とインダクタ140とを備えるフィルタ回路135によってフィルタにかけられる。フルブリッジ整流器134とフィルタ135とが交流‐直流変換を提供する。フィルタ回路135の出力ノード142が、入力ノード124における直流電圧とは異なる直流電圧を与える。交流‐直流変換を行うための他の回路は、本開示に基づき、当業者には明らかであろう。
【0036】
図6に示す直流‐直流インバータ120は、以下に述べるようにまた実施の形態により、図7に示すように、高電圧直流送電線150にわたる高電圧直流電力を直流‐交流インバータ152に分配するように使用されるインバータ121となるように変更される。高電圧直流送電線150がこのように接続されるときは、インバータ121により前記グリッドに与えられる電力を調節することが望ましい。このため、図7に示す電力供給回路が用いられる。
【0037】
図7において、インバータ121の出力142は、例えば直流‐交流インバータ152への送電のため、高電圧直流送電線150に直流電力を与える。変換器154は、高電圧直流送電線150における電流及び電圧の一方又は双方に関する信号を監視回路156に送信する。次に、監視回路156は、前記グリッドにおける電流及び電圧の一方又は双方に関する信号をホストコンピュータ158内のバッファに送信する。出力インターフェース回路160は、インバータ121に線121a及び121bを通して制御信号を与え、グリッド150に分配される電力を安定させる。
【0038】
前記したように、図6に示す直流‐直流インバータ120は、高電圧直流送電150への接続のために図7に示すインバータ121となるように変更される。特に、インバータ121は、図3Aに示すインバータ70のインバータ位相86のための図4に示すような交流入力回路を有するものとすることができる。図5に関連する図4の調整回路94の前記説明は、変圧器19に与えられた電流の調整に関して適用される。出力制御のこのプロセスは、図4及び図5に関して記載されたものと直接的に類似している。しかし、図7に示す前記直流‐直流インバータのために次の追加の制限が適用される。高電圧直流送電線150上の電圧は、前記送電線上の電圧を制御するために監視され、これは、交流電力分配グリッド(例えば、図3b)に相互接続されるときの交流電流の監視及び交流電流の制御と対照的である。
【0039】
前記したところでは、少数の部品を有することが可能であり、高い信頼性を示し、また環境的危険性のない、直流電力を交流電力に変換する機能を有する高電圧インバータが述べられている。
【0040】
本発明を図示の方法により特定の実施形態に関して説明したが、当業者には数多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。したがって、添付の請求の範囲は、当然に、本発明の真の範囲及び精神に含まれるような全てのこのような修正及び変更をカバーすることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流入力電力を3以上の交流出力位相に、各出力位相の個々の電流制御により、変換するための高電圧インバータであって、
a)1つの交流入力位相回路を有する各交流出力位相であって
i)三極管構造、四極管構造又は五極管構造の制御可能な第1及び第2の陰極電界放出電子管と、
ii)第1の端部、第2の端部、及び中心タップを有する主変圧器巻線とを備え、
iii)前記中心タップが20KVを超える直流電位に接続されており、
iv)前記第1の電子管が前記主巻線の第1の端部とグランドとの間で直列に接続され、かつ、前記第2の電子管が前記主巻線の第2の端部とグランドとの間で直列に接続されており、また、
v)各電子管の伝導状態が前記主変圧器巻線を介して20KVを超える電位の直流電力を交流電力に変換するように制御され、前記第1及び第2の電子管が、前記主巻線の第1の端部がほぼ前記グランドの電位に、次いで前記主巻線の第2の端部がほぼ前記グランドの電位に交互に至るようにするために交互に伝導する、各交流出力位相と、
b)各交流入力位相主巻線のためにこれに結合された関連する交流出力位相の各第2の巻線であって、各主巻線と関連する第2の巻線とが多位相変圧器を形成する、各第2の巻線と、
c)各位相の電流を調整するための手段であって、
i)各交流出力位相における電圧、電流及び位相角を決定するための手段と、
ii)前記決定手段に応答して各出力位相の電流のレベルを連続可変の態様で制御するための電流制御手段であって、前記第1の電子管と前記主巻線との間で直列に接続された制御可能な第3の冷陰極電界放出電子管と、前記第2の電子管と前記主巻線との間で直列に接続された制御可能な第4の冷陰極電界放出電子管とを有する電流制御手段とを含む、高電圧インバータ
【請求項2】
a)前記インバータは、複数の電力発生器とユーザに電力を分配するための複数の変電所とを有する電力分配グリッドに複数の前記交流出力位相を接続するための手段と、
b)個々の出力位相間の電力均衡を、前記複数の交流出力位相間の平均電力の少なくとも約1パーセント程度調整するための電流調整手段とを含む、請求項1に記載のインバータ。
【請求項3】
前記第1、第2、第3及び第4の電子管は、それぞれ、
a)細長い円筒状の冷陰極と、
b)細長い円筒状の陽極と、
c)前記陰極と前記陽極との間に配置されたゲートとして機能する円筒状のグリッドとを備え、
d)前記陽極は、前記陰極及び前記グリッドと軸対称でありかつ前記陰極及び前記グリッドを取り巻いている、請求項1に記載のインバータ。
【請求項4】
a)前記第1、第2、第3及び第4の冷陰極電界放出電子管は、それぞれ、第1及び第2の主導電電極を有し、
b)前記インバータは、前記第1、第2、第3又は第4の冷陰極電子管と並列に接続された任意の他の冷陰極電界放出電子管の制約を受けない、請求項1に記載のインバータ。
【請求項5】
前記主及び第2の変圧器巻線が、前記第2の巻線上に少なくとも10KVの電圧を生じさせるように設定されている、請求項1に記載のインバータ。
【請求項6】
出力電流制御を有する高電圧直流‐直流インバータであって、
a)交流入力位相回路であって、
i)三極管構造、四極管構造又は五極管構造の制御可能な第1及び第2の冷陰極電界放出電子管と、
ii)第1の端部、第2の端部、及び中心タップを有する主変圧器巻線とを備え、
iii)前記中心タップが20KVを超える直流電位に接続されており、
iv)前記第1の電子管が前記主巻線の第1の端部とグランドとの間で直列に接続され、かつ、前記第2の電子管が前記主巻線の第2の端部と前記グランドとの間で直列に接続されており、また、
v)各電子管の伝導状態が前記主変圧器巻線を介して20KVを超える電位の直流電力を交流電力に変換するように制御され、前記第1及び第2の電子管が、前記主巻線の第1の端部がほぼ前記グランドの電位に、次いで前記主巻線の第2の端部がほぼ前記グランドの電位に交互に至るようにするために交互に伝導する、交流入力位相回路と、
b)前記主変圧器巻線に結合された第2の変圧器巻線を備える出力交流位相と、
c)前記第2の変圧器巻線からの出力電圧を50KVを超える出力高直流電圧に変換するための交流‐直流整流器と、
d)前記高電圧直流の送電線に平均電力レベルの少なくとも約1パーセント程度まで供給される前記直流‐直流インバータの出力電力を調整するための手段であって、
i)前記出力高電圧直流における電圧及び電流を決定するための手段と、
ii)前記決定手段に応答して、前記直流‐直流インバータの出力の電力レベルを連続可変の態様で制御するための電流制御手段であって、前記第1の電子管と前記主巻線との間で直列に接続された制御可能な第3の冷陰極電界放出電子管と、前記第2の電子管と前記主巻線との間で直列に接続された制御可能な第4の冷陰極電界放出電子管とを備える電流制御手段とを含む、高電圧直流‐直流インバータ。
【請求項7】
a)前記第1、第2、第3及び第4の冷陰極電界放出電子管は、それぞれ、第1及び第2の主導電電極を有し、
b)前記インバータは、前記第1、第2、第3又は第4の冷陰極電子管に平行に接続された任意の他の冷陰極電界放出電子管の制約を受けない、請求項6に記載のインバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−511608(P2011−511608A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544452(P2010−544452)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/031904
【国際公開番号】WO2009/094589
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(510045106)アドバンスド フュージョン システムズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Fusion Systems LLC
【住所又は居所原語表記】16 Midchester Ave., #301 White Plains, NY United States of America
【Fターム(参考)】