説明

高電圧プラズマ発生装置

【課題】高電圧プラズマ発生装置において、プラズマの生成領域を拡大して、供給されたガスを効率よく処理する。
【解決手段】高電圧プラズマ発生装置は、高周波信号の給電により共振を発生させ、この共振により高電圧を発生させる長尺状の電極であって、交流信号の給電点が長尺状の中間部分に設けられる第1の電極と、第1の電極の周りを覆い、第1の電極の少なくとも一方の端から、第1の電極の延長上の離間した位置に、ガス流の供給口が設けられた金属製の筐体と、第1の電極の一方の端の近傍に、一方の端から離間して設けられ、筐体と接続された、アースされた第2の電極と、第1の電極が電磁波を放射する際の共振周波数と同じ周波数の信号を給電する電力供給装置と、を有する。第1の電極と第2の電極間の領域で、ガスを用いたプラズマを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波帯域、例えば100MHz〜10GHz周波数帯域で102〜105Vの高電圧を用いてプラズマを発生させる高電圧プラズマ発生装置に関し、例えば、船舶や自動車に用いられるディーゼルエンジン等から排気される排気ガス中のNO(一酸化窒素)の酸化処理装置等の分野に好適に用いることのできる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ディーゼルエンジン等から排気される排気ガス中のNOを酸化処理するために、大気圧中で生成するプラズマを利用する処理装置が提案されている。
【0003】
下記非特許文献1では、電極間に数kVの高電圧を印加してプラズマを生成し、このプラズマを利用して、供給されたNOの酸化処理を行うプラズマリアクターが提案されている。図6には、このプラズマリアクターの装置構成が示されている。図6に示すプラズマリアクター100は、筒状の誘電体ガラス管102と、誘電体ガラス管102の中に設けられた棒状の放電電極104と、誘電体ガラス管102の外周面に巻かれた電極106と、誘電体ガラス管102内の、多孔性の誘電体板108,110で両側が隔離された空間に配置されたチタン酸バリウムからなる球形ペレット112と、放電電極104と電極106との間に60Hzの交流電圧を印加する交流電源114と、を有する。
放電電極104と電極106との間に電圧を印加することにより、球形ペレット112間で高電界が形成され、ナノ秒オーダーの短い周期のマイクロ放電が発生して非平衡プラズマを生成する。一方、誘電体ガラス管102には、NOを含む窒素酸化ガスがガス流体として球形ペレット112の隙間を流れる。このため、NOを含む窒素酸化ガスは、球形ペレット112間の狭い隙間で生成されるプラズマを用いて酸化され、誘電体ガラス管102から排出される。これにより、NOの酸化処理を効率よく行うことができるとされている。
【0004】
しかし、上記プラズマリアクター100では、球形ペレット112を、ガスを流す流路に配置するので、流路抵抗等によって十分な流量を確保することが難しい。また、ナノ秒オーダーの短い周期のマイクロ放電を用いるので、NOの酸化処理の効率が低い。このため、プラズマの生成領域を広くして、多くのNOを効率よく酸化処理することが望まれている。また、放電のために数kVの電圧を印加するので、電源が大型化し、コンパクトな装置の構成は難しい。
【0005】
そこで、高周波信号を用いた高周波放電によりプラズマを生成する方法が考えられる。
高周波放電によりプラズマを発生させるために、10MHz以下の低い周波数帯域でよく用いられる電圧変換用のトランスフォーマを用いた場合、100MHz以上の高周波では、インダクタンス(リアクタンス)を小さくする必要があるので、コイルの巻き数やコイルのサイズを小さくしなければならない。このため、電線として用いるコイルの径も細くなるので、大きな電力を投入することができない、といった問題がある。
【0006】
一方、上記電圧変換をせずに、特性インピーダンスを例えば50Ω等に低く保持したまま、電圧を高くしようとすると、例えば1000Vの電圧に対して10kW(=10002・50/2)の電力が必要となる。このような電力を投入するコンパクトな電源を備えることは実際難しい。
【0007】
【非特許文献1】「非平衡プラズマと化学反応プロセスを併用した窒素酸化ガスの完全除去技術(従来型およびバリア型プラズマリアクターの性能比較)」,山本俊昭他,日本機械学会論文集,66−646B(2000),1501−1506
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような状況下、本発明は、プラズマを広い領域で生成して、供給されたガスを効率よく処理することのできるコンパクトな高電圧プラズマ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、大気圧中、ガス流として供給されるガスに対して102〜105Vの高電圧を与えてプラズマを発生させる高電圧プラズマ発生装置であって、交流信号の給電により共振を発生させ、この共振により高電圧を発生させる長尺状の電極であって、前記交流信号の給電点が前記長尺状の中間部分に設けられる第1の電極と、前記第1の電極が放射する電磁波を閉じ込める空間を形成するように、前記第1の電極の周りを覆い、前記第1の電極の少なくとも一方の端から、前記第1の電極の延長上の離間した位置に、ガス流の供給口が設けられた金属製の筐体と、前記第1の電極の前記一方の端の近傍に、前記一方の端から離間して設けられ、前記筐体と接続された、アースされた第2の電極と、前記第1の電極が電磁波を放射する際の共振周波数と同じ周波数の信号を前記給電点に給電する電力供給装置と、を有し、前記第1の電極と前記第2の電極間の領域で、前記ガスを用いたプラズマを生成することを特徴とする高電圧プラズマ発生装置を提供する。
【0010】
その際、前記筐体はアースされ、前記第2の電極は、前記供給口に設けられ、アースされた前記筐体と接続された網状電極であることが好ましい。
また、前記筐体には、供給されプラズマが生成された後のガスを排出する排出口が設けられていることが好ましい。その際、前記排出口は、前記第2の電極が設けられる側と反対側の、前記第1の電極の延長上の離間した位置に設けられていることが好ましい。さらに、前記排出口には、アースされた前記筐体と接続された網状電極が設けられ、この網状電極と、前記第1の電極の前記他方の端との間の領域で、前記ガスを用いたプラズマを生成することが好ましい。
【0011】
また、前記供給されるガスは、窒素酸化ガスを含むガスであり、供給された窒素酸化ガスのうち一酸化窒素ガスを、生成されたプラズマを用いて酸化処理をすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、金属製の筐体が、第1の電極が放射する電磁波を閉じ込める空間を形成するように、第1の電極の周りを覆い、第1の電極の少なくとも一方の端から、第1の電極の延長上の離間した位置に、ガス流の供給口が設けられ、さらに、第2の電極が、第1の電極の一方の端の近傍に、一方の端から離間して設けられ、筐体と接続されたアース電極となっている。このため、ガスが供給されたとき、生成されるプラズマは、第1の電極と第2の電極との間の領域に生成され、しかも、ガスの流れに伴って下流側に延びるので、ガスがプラズマに曝される領域が広く、この結果、ガスを効率よく処理することができる。
また、第1の電極の共振を利用して高電圧を生成するので、大きな電源を用いる必要も無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の高電圧プラズマ発生装置の一実施形態であるプラズマリアクターについて説明する。
図1は、プラズマリアクター10の概略の構成を示す概略構成図である。プラズマリアクター10は、NOを含んだ窒素酸化ガス(NOx)を空間内に導入し、空間内の導入口近傍で連続的にプラズマを生成させ、このプラズマを用いてNOを酸化処理し排出する装置である。
具体的には、プラズマリアクター10は、棒状電極12と、網状電極14と、筐体16と、電力供給ユニット18と、を主に有して構成される。
【0014】
棒状電極12は、高周波信号の給電を受け、棒状電極12内での共振が発生することにより高電圧を発生させる長尺状の棒形状を成した銅からなる電極である。高周波信号の給電点22は長尺状の中間部分に設けられている。棒状電極12は、2lの長さを持ち、この長手方向の中心位置から僅かにずれた位置、具体的には、下記式(1)で定まる位置に給電点22を有している。給電点22には、給電線28から接続端子30を介して高周波信号が電力として印加される。給電点22が、棒状電極12の長手方向の中心位置から僅かにずれた位置(ずれ量x0とする)に設けられるのは、プラズマリアクター10へ給電するときのインピーダンス整合を取るためである。棒状電極12は、交流ダイポールアンテナと同様に、棒状電極12中を伝送する伝送信号の波長λの半分の長さが棒状電極12の長さ2lとなるとき最低次モードの共振が生じて、効率よく高電圧を生成させることができることから、上記長さ2lは、プラズマリアクター10において共振周波数を定める重要な要素である。本実施形態では、100MHz〜10GHzの周波数帯域において有効に高電圧を発生するように、長さ2lは設定されている。棒状電極12は、銅の他に、銀、アルミニウム等も好適に用いられる。
【0015】
【数1】

【0016】
網状電極14は、棒状電極12の一方の端(図1では左端)の近傍に、この端から離間して設けられ、筐体16と接続された電極である。網状電極14は、金属製の筐体16の端部に設けられた開口部である供給口20を覆うように設けられ、アースされている筐体16と電気的に接続されている。このため、網状電極14は、常に電位が0となっている。網状電極14には、導電性の高い導体材料、例えば、銀、銅、アルミニウム等が好適に用いられる。
【0017】
筐体16は、棒状電極12の周りを覆うように設けられ、棒状電極12の少なくとも一方の端(図1中の左端)から、棒状電極12の延長上の側に離間した位置に、ガス流の供給口20を備え、棒状電極12が放射する電磁波を内部空間に閉じ込める金属製の部材で構成されている。筐体16は、棒状電極12の他方の端(図1中の右端)から、棒状電極12の延長上の離間した位置に、供給されたガスを排出する排出口24を備える。すなわち、供給口20と排出口24は、棒状電極12の延長上の位置にあり、棒状電極12の長手方向に平行にガスが供給され、排出される。
【0018】
電力供給ユニット18は、棒状電極12の共振周波数と同じ周波数の信号を給電点22に給電するユニットである。電力供給ユニット18は、棒状電極12中を伝送する伝送信号の波長λの半分の長さが棒状電極12の長さ2lとなるとき最低次モードの共振が生じるように、概略の発振周波数の範囲が定められており、筐体16に設けられた電界プローブ26から得られる計測信号を用いて、高周波信号の周波数を調整しながら、共振周波数に対応する周波数の信号を給電する。具体的には、図示されないRF発振器、減衰器、任波形発振器及びアンプを有し、筐体16の外側に設けられ、給電点22と接続される信号線28の接続端子30と接続される。電力供給ユニット18は、図示されない減衰器を用いて、供給する電力を調整し、任波形発振器を用いてデューティ比を変えてプラズマの発生を微調整する。
電力供給ユニット18では、上記RF発振器の発振周波数が、筐体16内部の空間の電界を計測する電界プローブ26の計測信号に基づいて、調整される。
【0019】
なお、棒状電極12の、網状電極14側の端には、生成されるプラズマを維持することができるように、アルミナからなるセラミックバリア32が設けられている。セラミックバリア32は、数mm程度の厚さで構成される。
【0020】
筐体16の供給口20には、NOを含む窒素酸化ガス(NOx)を供給する供給管34が接続され、例えば、図示されないディーゼルエンジン等の排気口と接続されている。筐体16の排出口24には、排出管36が接続され、大気中に排出されるように、図示されないブロアを用いて筐体16の内部空間のガスを吸引する。
【0021】
このようなプラズマリアクター10では、給電点22に共振周波数と同じ周波数の高周波信号が給電されると、図2に示すように、棒状電極12の両端で電圧が最大となる共振が発生し、両側の端で数1000Vの電圧Voutが生成される。上述したように、給電点22は、棒状電極12の中心位置に対して上記式(1)で示されるようにずれており、この給電点22において電圧Vinが入力される。この給電点22における電圧Vinに対する両端の電圧Voutの比は、上記式(1)で定まるx0/(2l)を用いて、1/sin{x0/(2l)}と表される。
【0022】
窒素酸化ガス等のガスが供給されていないとき、大気圧中の空気で生成されるプラズマPは、図3(a)に示すように、網状電極14と棒状電極12の端との間の領域に形成される。これに対して、窒素酸化ガスが供給口14から供給されているとき、生成されるプラズマPは、図3(b)に示すように、供給されたガスが棒状電極12によって上下方向に2つに別れるように、生成されるプラズマPも、ガスの流れに沿って上下方向に拡がる。このプラズマ領域Pの拡大により、窒素酸化ガス等のガスがプラズマPに曝される範囲も広くなる。このため、NO等のガスの酸化処理の効率は向上する。
【0023】
このようなプラズマリアクター10において、以下の寸法の装置を作製した。高さは図1中の上下方向の長さを、奥行きは図1中の紙面に垂直方向の長さを表す。筐体16はアルミニウムで構成し、棒状電極12は銅で構成し、網状電極14はアルミニウムで構成した。
・筐体16のサイズ(長手方向の長さ、高さ×奥行き):
428mm,60mm×72mm
棒状電極12のサイズ(長手方向の長さ、高さ×奥行き):
344mm,6mm×4mm
網状電極14とセラミックバリア32との距離: 1.2mm
セラミックバリア32の厚さ: 3mm
【0024】
プラズマリアクター10では、電界プローブ26の計測信号により、380〜420MHzの範囲で共振周波数を探査し、インピーダンス整合した。インピーダンス整合して共振が発生するときの共振周波数は408.8MHzであった。このときのリターンロスρは0.0182、VSWR(定在波比)は1.0371、Q値は略1500、棒状電極12の両側の端における電圧Voutは略3000Vであった。Q値が略1500であることから、インピーダンス整合状態、すなわち共振状態は、周波数に対して敏感であることがわかる。探査により得られた共振を実現する408.8MHzの高周波信号を給電点22に連続して給電した。このときの電力は略80Wである。
【0025】
筐体16の内部空間に上記共振状態を生成した状態で、大気中のガス成分によりプラズマが生成される。筐体16には、生成されるプラズマが撮影可能なようにアクリル板からなる観察窓38が設けられ、アクリル板を通して観察可能となっている。この観察窓38を通して見えるプラズマの発光色は、窒素ガス(N2ガス)を流した場合紫色〜ピンク色となるが、NOガス(460ppm)を窒素ガス(N2ガス)とともに流した場合黄褐色〜オレンジ色に変化した。
【0026】
図4(a),(b)は、NOガスを窒素ガス(N2ガス)で希釈して182ppmとしたガスを流したときの各ガス濃度と流量との関係を示すグラフである。各ガス濃度は、排出口24から排出されたガスをガス分析器で分析することにより得られたものである。
図4(a)に示すプロット線Aは、処理されずNOガスとして排出された未処理のNOの濃度を、プロット線Bは、182ppmからプロット線Aの濃度を差し引くことにより得られる処理されたNOの濃度を示している。図4(b)には、NOの処理率を示している。
図4(a),(b)より、ガスの流量が増大するにつれて、NOの処理濃度および処理率は低下するが、その低下分は小さい。処理率では、処理率が最も小さい流量20(l/分)の場合でも70%を下らない。これより、プラズマリアクター10は、効率よくNOを処理することができる。
【0027】
本実施形態のプラズマリアクター10は、図1に示される構成のものに限られず、図5(a),(b)に示されるプラズマリアクター50,70の構成を変形例として挙げることもできる。図5(a)に示されるプラズマリアクター50は、以下の点で、図1に示すプラズマリアクター10と異なり、それ以外は同じ構成である。
・アースした筐体に網状電極52が電気的に接続されて、ガスの排出口51に設けられる点。
・棒状電極54の排出口側の端には、セラミックバリア56が設けられる点。
・棒状電極54の排出口側の端と、網状電極52との間の領域でプラズマを生成させる点。
すなわち、プラズマリアクター50は、ガスの供給口側で生成されるプラズマを用いてガスの処理を行うとともに、排出口側で生成されるプラズマを用いて未処理分のガスの処理を行うことにより、ガスの処理効率を向上させる構成である。
【0028】
図5(b)に示されるプラズマリアクター70は、以下の点で図1に示すプラズマリアクター10と異なり、それ以外は同じ構成である。
・筐体72によって形成される内部空間の略中央部分には、内部空間を左右に分断する隔壁74が設けられ、棒状電極75は、隔壁74を貫通して内部空間に設けられている点。
・内部空間が2つに分断された筐体72には、排出口76,78が設けられ、筐体72の両側に設けられた供給口80,82から供給されたガスを排出口76,78から排出する点。
・アースした筐体に網状電極84が電気的に接続されて、ガスの供給口82に設けられる点。
・棒状電極75の供給口82側の端には、セラミックバリア86が設けられる点。
・図中左側の内部空間の排出口76から排出されたガスは、図示されない管路によって供給口82に導かれ、供給口82からガスが図中右側の内部空間に導入される点。
・棒状電極の供給口82側の端と、網状電極84との間の領域でプラズマを生成させる点。
すなわち、図5(b)に示すプラズマリアクター70は、棒状電極75の高電圧の生成される両端を利用して、この両端の近傍でプラズマを生成させることにより、一方の側のプラズマを用いて処理されたガスを、さらに、他方の側のプラズマを用いて処理し、処理効率を向上させる構成である。
【0029】
以上、本発明の高電圧プラズマ発生装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。本発明は、ディーゼルエンジン等から排気される排気ガス中のNOの酸化処理装置の他に、半導体製造過程で用いる大気圧プラズマ成膜装置に適用できる。又、大気圧プラズマを用いた気体の化学反応装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の高電圧プラズマ発生装置の一実施形態であるNOガス処理用プラズマリアクターの構成を示す図である。
【図2】図1に示すプラズマリアクターにおける共振状態を説明する図である。
【図3】(a)は、ガス供給がないとき状態で発生するプラズマの領域を、(b)は、ガスが供給される状態で発生するプラズマの領域を説明する図である。
【図4】(a),(b)は、図1に示すプラズマリアクターによって得られる処理結果を示す図である。
【図5】(a),(b)は、本発明の高電圧プラズマ発生装置のうち、図1に示すプラズマリアクターと異なるプラズマリアクターの装置構成を示す図である。
【図6】従来のプラズマリアクターの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
10,50,70 プラズマリアクター
12,54,75 棒状電極
14,52 網状電極
16,72 筐体
18 電力供給ユニット
20,80,82 供給口
22 給電点
24,51,76,78 排出口
26 電界プローブ
28 給電線
30 給電接続端子
32,56,86 セラミックバリア
34 供給管
36 排出管
38 観察窓
74 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧中、ガス流として供給されるガスに対して102〜105Vの高電圧を与えてプラズマを発生させる高電圧プラズマ発生装置であって、
交流信号の給電により共振を発生させ、この共振により高電圧を発生させる長尺状の電極であって、前記交流信号の給電点が前記長尺状の中間部分に設けられる第1の電極と、
前記第1の電極が放射する電磁波を閉じ込める空間を形成するように、前記第1の電極の周りを覆い、前記第1の電極の少なくとも一方の端から、前記第1の電極の延長上の離間した位置に、ガス流の供給口が設けられた金属製の筐体と、
前記第1の電極の前記一方の端の近傍に、前記一方の端から離間して設けられ、前記筐体と接続された、アースされた第2の電極と、
前記第1の電極が電磁波を放射する際の共振周波数と同じ周波数の信号を前記給電点に給電する電力供給装置と、を有し、
前記第1の電極と前記第2の電極間の領域で、前記ガスを用いたプラズマを生成することを特徴とする高電圧プラズマ発生装置。
【請求項2】
前記筐体はアースされ、
前記第2の電極は、前記供給口に設けられ、アースされた前記筐体と接続された網状電極である請求項1に記載の高電圧プラズマ発生装置。
【請求項3】
前記筐体には、供給されプラズマが生成された後のガスを排出する排出口が設けられている請求項1または2に記載の高電圧プラズマ発生装置。
【請求項4】
前記排出口は、前記第2の電極が設けられる側と反対側の、前記第1の電極の延長上の離間した位置に設けられている請求項3に記載の高電圧プラズマ発生装置。
【請求項5】
前記排出口には、アースされた前記筐体と接続された網状電極が設けられ、この網状電極と、前記第1の電極の前記他方の端との間の領域で、前記ガスを用いたプラズマを生成する請求項4に記載の高電圧プラズマ発生装置。
【請求項6】
前記供給されるガスは、窒素酸化ガスを含むガスであり、供給された窒素酸化ガスのうち一酸化窒素ガスを、生成されたプラズマを用いて酸化処理をする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高電圧プラズマ発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−22975(P2010−22975A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189837(P2008−189837)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第55回応用物理学関係連合講演会資料 開催日 :平成20年3月28日 主催者名:応用物理学会、計測自動制御学会、日本結晶学会、日本真空協会、日本顕微鏡学会、日本物理教育学会、日本分光学会
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】