説明

高電流密度Snめっき用硫酸浴

【課題】プレス打抜き等により所望の複雑な形状に加工された後の、めっき焼けがなく、大量のスラッジ及び泡が発生せず、めっき付着性の良好な高電流密度Snめっき用硫酸浴を提供する。
【解決手段】主成分として硫酸:30〜120g/l、硫酸錫:30〜150g/lを含有するとともに、光沢剤として親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.5〜5g/l、エチレンジアミンEO−PO付加物:0.025〜2.5g/l、クミルフェノールEO付加物:0.025〜2.5g/l、酸化防止剤としてピロガロール或いはハイドロキノン:0.3〜10g/l、消泡剤として疎水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.05〜1g/lを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子、コネクタ、リードフレーム等、半導体装置や電子、電気部品の素材となる銅合金薄板への高電流密度でのSnめっきに使用される硫酸浴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSIなどの半導体装置や各種電子・電気部品に用いられるリードフレーム、端子、コネクタ部材等は、最表面にSnめっきが施された銅合金薄板をプレス打抜き等により所望の形状に加工することにより製造されている。
また、プレス加工時の油や不純物が問題となる複雑形状のリードフレーム、端子、コネクタ部材等には、銅合金薄板をプレス打抜き等により所望の複雑な形状に加工した後にSnめっき層を施す、所謂、後めっきが行われている。
【0003】
これらのSnめっき層を形成する際に使用される無機酸のめっき浴としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているものがある。
特許文献1には、主成分として5〜50g/lの硫酸、40〜100g/lの錫(II)、光沢添加剤およびスラッジ抑制剤を含む高電流密度用錫めっき浴が記載され、このめっき浴を用いて温度30〜70℃、50A/dm2以上の電流密度で鋼ストリップに錫を電析させている。
【0004】
特許文献2には、主成分として5〜50g/lの硫酸、40〜100g/lの錫(II)、光沢添加剤および2〜10g/lのスラッジ抑制剤を含む高電流密度めっき用錫めっき硫酸浴が記載され、このめっき浴を用いて浴温30〜70℃、電流密度50A/dm2以上で鋼ストリップに錫を電析させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−346272号公報
【特許文献2】特開平8−269772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
硫酸浴において高電流密度条件で鋼ストリップ或いは銅合金薄板にめっきを行った場合には、いわゆるめっき焼けが発生してしまう。また、高電流密度条件において電流効率を向上させるために硫酸浴の温度を上昇した場合には、硫酸浴中の錫が酸化して大量のスラッジが発生してしまう。また、錫めっき浴に用いられる光沢剤は泡が発生し易く、特に高速でめっき処理すると液量の増加に伴い多くの泡が発生する。
【0007】
これらを解決する為に、発明者らは特願2009−195170にて、銅合金板に高電流密度でSnめっきするに際し、大量のスラッジが発生せず、泡立ちが少なくめっき焼けも生じない硫酸浴及びこの硫酸浴を用いたSnめっき方法を提供しているが、プレス打抜き等により複雑な形状に加工された後の銅合金薄板へのSnめっきでは、複雑な形状部や曲がり部への更なるめっき付着性の改善が要求されている。
【0008】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたもので、プレス打抜き等により所望の複雑な形状に加工された後の銅合金薄板に、めっき焼けがなく、大量のスラッジ及び泡が発生せず、めっき付着性の良好な高電流密度Snめっき用硫酸浴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、ハルセルテストにより、副成分である光沢剤の選定に着目した。
消泡作用を有する光沢剤としては、親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが最適であるが、高電流密度対応としては若干難がある。そこで、高電流密度に対応できる光沢剤として適量のエチレンジアミンEO−PO付加物とクミルフェノールEO付加物を選んで適量ずつ添加することとした。2種類としたのは、1種類よりも2種類の方が相乗効果にて性能が向上するからである。
【0010】
酸化防止剤としてはピロガロール或いはハイドロキノンを選定した。その理由は、曇点(界面活性剤相が水から分離し溶液が白濁する温度)を下げないためである。曇点は50℃以上が好ましく、曇点が操業温度以下になると材料に油分が吸着しリフロー時に変色する不都合が起き易くなる。通常の親油性の高い酸化防止剤は曇点を下げるので、親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーと相性の良い親水性のピロガロール或いはハイドロキノンを選んだ。また、ピロガロール或いはハイドロキノンは本浴組成においてスラッジ対策にも充分な効果を発揮することがわかった。
消泡剤も曇点を低下させず親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーと相性の良い疎水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーを選んだ。
【0011】
即ち、発明者らの先願の特願2009−195170の硫酸浴の光沢剤中のアルキルアミン化合物EO付加物をクミルフェノールEO付加物に変えることにより、大量のスラッジが発生せず、泡立ちも少なく、めっき焼けもすることなく、プレス打抜き等により所望の複雑な形状に加工された後の銅合金薄板のめっき付着性が良好になることを見出した。
【0012】
本発明の銅合金薄板への高電流密度Snめっき用硫酸浴は、主成分として硫酸:30〜120g/l、硫酸錫:30〜150g/lを含有するとともに、光沢剤として親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.5〜5g/l、エチレンジアミンEO−PO付加物:0.025〜2.5g/l、クミルフェノールEO付加物:0.025〜2.5g/l、酸化防止剤としてピロガロール或いはハイドロキノン:0.3〜10g/l、消泡剤として疎水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.05〜1g/lを含有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の銅合金板への高電流密度Snめっき用硫酸浴は、Fe濃度は0.5g/l以下であることが好ましい。Feは操業中のめっき機材及び装置から発生する不可避不純物であるが、濃度が0.5g/l以上であるとめっき焼けがおき易くなるからである。
【0014】
また、本発明の銅合金薄板への高電流密度Snめっき用硫酸浴はプレス打抜き加工後の銅合金薄板にSnめっきを施すものであることを特徴とする。
プレス打抜き加工後の銅合金薄板は、コネクタ、リードフレーム、電子部品等の部材として直接使用されるので複雑な形状を有していることが多く、本発明の高電流密度Snめっき用硫酸浴を使用することにより、泡立ちが少なく、めっき焼けもなく、良好なめっき付着性が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プレス打抜き等により所望の複雑な形状に加工された後の銅合金薄板に、めっき焼けがなく、大量のスラッジ及び泡を発生させることなく、良好な付着性を有するSnめっきを施すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】銅合金薄板をプレス加工して製造された電気コネクタ用端子を複数連結した端子連結体を示した斜視図である。
【図2】図1の端子連結体に下から順にNiめっき、Cuめっき、Snめっきを施して製造された個々の電気コネクタ用端子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の高電流密度Snめっき用硫酸浴を、プレス打抜き加工後の銅合金電気コネクタ用端子のめっきに適用する場合を説明するが、本発明は以下に示す実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、端子連結体を示す斜視図である。図1に示す端子連結体1は、複数の端子基材2が1つのキャリア3に連結された構造とされており、銅合金の薄板をプレス加工などによって打ち抜くことにより成形される。コネクタ用端子は、この端子連結体1にニッケルめっき、その上に、銅めっき、さらにその上に錫めっきを施し、キャリア3から切断分離することにより製造される。ここで、端子基材とは、薄板を打ち抜いて成形された、キャリア3を除く、まだめっきが施されていない状態の端子部分をいう。端子基材2は、銅合金薄板を打ち抜いた切断面によって形成される側面部4と、薄板を打ち抜いて残る表裏面により形成される平面部5とを有している。側面部4の一端には、図示しない電気部品の接続端子に圧接される接点6が設けられている。図1に示す実施の形態では、接点6は、2つ設けられている。また、端子基材2には、図示しないコネクタが搭載される実装用基板にはんだ付けするための脚部7が側面部4から突出するように設けられている。プレス加工などによって打ち抜く形状は、接続端子の形状に応じて適宜決定することができる。
【0019】
図1に示すキャリア3には、搬送用の孔8が所定間隔で形成されていて、図示しない搬
送用棒を挿通させることができるようになっている。このコネクタ用端子は、複数の端子連結体1の搬送用の孔8に上記搬送用棒を挿通させ、搬送用棒から端子連結体1が外れないようにした状態で、以下に説明する各めっき浴中にて高電流密度でのめっき処理を行い、複数の端子基材2の各々に均質、且つ、均一なめっき層を形成した後、必要に応じてリフロー処理を施した後、キャリア3から切断分離され、個々の端子として製造される。その後、これら個々の端子は、コネクタハウジング内に挿設され、電気コネクタを構成する部材となる。
【0020】
図2は、キャリア3から切断分離された、端子基材2に下から順にNiめっき、Cuめっき、Snめっきを施して製造された個々の電気コネクタ用端子の断面図である。電気コネクタ端子として要求される挿抜性、耐熱性、耐摩耗性を考慮すると、Niめっき層11の平均厚さは0.1〜2.0μm、Cuめっき層12の平均厚さは0.3〜0.5μmと、Snめっき層13の平均厚さは1.5〜2.0μmが好ましい。
【0021】
めっき処理方法としては、先ず、端子連結体1に脱脂、酸洗等によって表面を清浄にした後、Niめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順序で順次行う。また、各めっき処理の間には、酸洗又は水洗処理を行う。
Niめっきの条件としては、めっき浴に、硫酸ニッケル(NiSO)、ホウ酸(HBO)を主成分としたワット浴、スルファミン酸ニッケル(Ni(NHSO))とホウ酸(HBO)を主成分としたスルファミン酸浴等が用いられる。酸化反応を起こし易くする塩類として塩化ニッケル(NiCl)などが加えられる場合もある。また、めっき温度は45〜55℃、電流密度は20〜50A/dmとする。
Cuめっきの条件としては、めっき浴に硫酸銅(CuSO)及び硫酸(HSO)を主成分とした硫酸銅浴が用いられ、レベリングのために塩素イオン(Cl)が添加される。めっき温度は35〜55℃、電流密度は20〜60A/dmとする。
【0022】
Snめっきの条件としては、本発明に係る、主成分として硫酸:30〜120g/l、硫酸錫:30〜150g/lを含有するとともに、光沢剤として親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.5〜5g/l、エチレンジアミンEO−PO付加物:0.025〜2.5g/l、クミルフェノールEO付加物:0.025〜2.5g/l、酸化防止剤としてピロガロール或いはハイドロキノン:0.3〜10g/l、消泡剤として疎水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.05〜1g/lを含有するめっき浴を使用し、めっき温度は15〜50℃、電流密度は15〜50A/dmとする。
【0023】
主成分である硫酸及び硫酸錫は、無機酸であるためSnイオンが安定し、良好な導電性を有する。
硫酸の濃度は、30g/l未満ではめっき時の電流密度が上がらず、120g/lを超えるとSnが溶解しなくなる。より好ましい濃度としては60〜90g/lである。硫酸錫の濃度は、30g/l未満ではめっき時の電流密度が上がらず、150g/lを超えても効果は飽和して意味がない。より好ましい濃度としては60〜120g/lである。
【0024】
光沢剤として用いられる親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーは化1の構造式により表される界面活性剤である。この界面活性剤は、一般に、ポリオキシプロピレン疎水性部分とポリオキシエチレン親水性部分との全分子量中に占める重量%によって化学的に定義される。全分子量中に示す親水基(ポリオキシエチレン)の割合が50〜85重量%の範囲のものが望ましい。
この親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの濃度は、0.5g/l未満では光沢不足で効果がなく、5g/lを超えると泡の発生が多くなる。より好ましい濃度としては1〜3g/lである。
【0025】
【化1】

【0026】
エチレンジアミンEO−PO付加物は、化2の構造式により表される界面活性剤である。好ましくは、疎水基(ポリオキシプロピレン)の分子量が2000〜3000であり、全分子量中に占める親水基(ポリオキシエチレン)の割合が5〜50重量%の範囲のものが望ましく、20〜50重量%が特に好ましい。
このエチレンジアミンEO−PO付加物の濃度は、0.025g/l未満ではめっき焼けが起こり、2.5g/lを超えると泡の発生が多くなる。より好ましい濃度としては0.1〜1.0g/lである。
【0027】
【化2】

【0028】
クミルフェノールEO付加物は化3の構造式により表される界面活性剤であり、濃度が0.025g/l未満ではめっき焼けが起こり、2.5g/lを超えると泡の発生が多くなる。より好ましい濃度としては0.1〜1.0g/lである。
【0029】
【化3】

【0030】
酸化防止剤として用いられるピロガロールは、化4の構造式により表される有機化合物である。このピロガロールの濃度は、0.3g/l未満では酸化防止剤、スラッジ除去剤としての効果がなく、10g/lを超えると、泡立ち、スラッジの発生が多くなる。より好ましい濃度としては2〜6g/lである。
【0031】
【化4】

【0032】
また、ピロガロールと同様に酸化防止剤として用いられるハイドロキノンは、化5の構造式により表される有機化合物である。このピロガロールの濃度は、0.3g/l未満では酸化防止剤、スラッジ除去剤としての効果がなく、10g/lを超えると、泡立ち、スラッジの発生が多くなる。より好ましい濃度としては2〜6g/lである。
【0033】
【化5】

【0034】
消泡剤として用いられる疎水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーは、化6の構造式により表される。好ましくは疎水基(ポリオキシプロピレン)の分子量が1000〜2500であり、全分子量中に占める親水基(ポリオキシエチレン)の割合が5〜20重量%の範囲のものが望ましい。
このブロックポリマーの濃度は、0.05g/l未満では消泡剤としての効果がなく、1g/lを超えると曇点が50℃以下になる。より好ましい濃度としては0.1〜0.5g/lである。
【0035】
【化6】

【0036】
また、以上のSnめっき用硫酸浴において、Fe濃度は0.5g/l以下であることが好ましい。Feは操業中のめっき装置機材から発生する不可避物であるが、濃度が0.5g/l以上であるとめっき焼けがおき易くなり操業に支障を来たすからである。
そして、このめっき処理により、銅合金端子連結体1の上にNiめっき層、Cuめっき層、Snめっき層が順に形成される。この状態で、Niめっき層の平均厚さは0.1〜2.0μm、Cuめっき層の平均厚さは0.3〜0.5μmと、Snめっき層の平均厚さは1.5〜2.0μmが最適とされる。
【実施例】
【0037】
以下に本発明の実施例について説明する。
銅合金薄板(三菱伸銅株式会社製MSP1材、厚さ0.25mm)をプレス加工にて打抜き、図1の端子連結体1を作製し、複数の端子連結体1の搬送用の孔8に搬送用棒を挿通させ、搬送用棒から端子連結体1が外れないようにした状態で、脱脂、酸洗等によって表面を清浄にした後、各めっき浴にて、Niめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順序で順次行う。また、各めっき処理の間には、酸洗又は水洗処理を行う。
【0038】
Niめっき浴については硫酸濃度を0.5〜5g/l、Ni濃度を150〜400g/l、pHを1.0〜2.0に調整し、浴温30〜60℃とした。Cuめっき浴については硫酸濃度を10〜100g/l、Cu濃度を100〜300g/lとし、浴温を20〜70℃とした。これらNiめっき、Cuめっきにおける電流密度は15〜50A/dmとした。
【0039】
Snめっき浴の組成については、表1に示すように、硫酸、硫酸錫、各光沢剤、酸化防止剤、消泡剤の添加量を変えて複数種類の浴を構成し、それぞれ表1に示す温度、電流密度条件とした。また、Fe濃度についても表1に示す通りであった。表1中、Aは親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、BはエチレンジアミンEO−PO付加物、CはクミルフェノールEO付加物、Dはピロガロール或いはハイドロキノン、Eは疎水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーを示す。
【0040】
【表1】

【0041】
端子連結体1に以上の諸条件でNiめっき、Cuめっき、Snめっきをこの順に施し、Snめっき浴の泡立ち及びスラッジの発生、端子連結体1のSnめっき後のめっき付着性、Snめっき後にリフロー処理を施した端子連結体1の表面のめっき焼けを観察した。
泡立ちについては、JIS K 3362に準拠したロスマイルス法により、25℃で5分後の泡高さを測定し、35mm以下のものを○、35mmを超えたものを×とした。
めっき焼けについては、リフロー後の端子連結体1の表面を目視により観察し、めっき焼けが認めらないものを○、めっき焼けが認められたものを×とした。
スラッジについては、Snめっき槽に100A・h/l通電した後にめっき液を遠心分離してスラッジの量を測定し、スラッジ量が5g/l未満であったものを○、5g/l以上を×とした。
めっき付着性については、不めっき箇所の発生確認とめっき密着性について行い、不めっき箇所は目視で有無を判定し、めっき密着性は端子連結体1の60度V曲げ試験を実施後、テープテストにより、粘着テープを折り曲げ面に貼り付けてこれを急速に剥がし、テープの粘着面に付着しためっきの面積からテープテスト黒化度(=テープに付着しためっき面積/折り曲げ部に相当するテープ面積)を求め、テープテスト黒化度が20%未満であれば合格とした。
これらの結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
この表2の評価結果から明らかなように、本実施例のSnめっき浴においては、めっき槽における泡立ちが少ないとともに、スラッジの発生も少なく、めっき層表面のめっき焼けの発生も認められなかった。また、打ち抜かれた複雑形状の端子連結体1へも均質なめっきがなされていた。
【符号の説明】
【0044】
1 端子連結体
2 端子基材
3 キャリア
4 側面部
5 平面部
6 接点
7 脚部
8 孔
11 Niめっき層
12 Cuめっき層
13 Snめっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として硫酸:30〜120g/l、硫酸錫:30〜150g/lを含有するとともに、光沢剤として親水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.5〜5g/l、エチレンジアミンEO−PO付加物:0.025〜2.5g/l、クミルフェノールEO付加物:0.025〜2.5g/l、酸化防止剤としてピロガロール或いはハイドロキノン:0.3〜10g/l、消泡剤として疎水性ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー:0.05〜1g/lを含有することを特徴とする銅合金薄板への高電流密度Snめっき用硫酸浴。
【請求項2】
Fe濃度が0.5g/l以下であることを特徴とする請求項1に記載の銅合金薄板への高電流密度Snめっき用硫酸浴。
【請求項3】
プレス打抜き加工後の銅合金薄板にSnめっきを施すものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の銅合金薄板への高電流密度Snめっき用硫酸浴。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−63834(P2011−63834A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214120(P2009−214120)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000176822)三菱伸銅株式会社 (116)
【Fターム(参考)】