説明

高頻度換気の間、自発呼吸又は非自発呼吸における、副生理的及び生理的一回換気量を支持するシステム及び方法

患者への高頻度換気を供する方法は、呼吸ガスのフローを患者へと供給するステップであって、呼吸ガスのフローは、第1の陽圧レベル及び第2の陽圧レベルを有し、前記第1の陽圧レベル及び前記第2の陽圧レベルは、ある周波数及びある振幅を有するために、前記呼吸ガスのフロー中の複数のサイクルで、互いに、交互に起こり、前記呼吸ガスのフローは平均気道内圧を生成する、ステップ;前記患者が自発的に呼吸しているのか又は自発的に呼吸しようとしているのかどうかを決定するステップ;及び前記患者が自発的に呼吸しているのか又は自発的に呼吸しようとしているのかの決定に応答して、又は、HFVに関するユーザ設定及び非自発呼吸患者に関するユーザ操作により、前記平均気道内圧力を調節する、前記呼吸ガスのフローの周波数及びデューティーサイクルを調節する、又は前記呼吸ガスのフロー及び圧力振幅のレベルを調節する、又はそれらの2つ以上を行うステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高頻度換気を供する陽気道圧システムに、より具体的には、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、副生理的及び生理的一回換気量を容易にする、高頻度換気を供する、陽圧システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高頻度換気法(HFV)は、超生理的な呼吸速度で、副生理的一回換気量を使用する、換気戦略である。これは、成人、小児科及び新生児の患者における、人工換気誘発肺損傷(VILI)を低減するために、肺保護性の換気戦略として使用される。これは、約2Hzから約20Hzまでの高頻度速度で、約0.5ml/kgから約5ml/kgまでの副生理的(<死腔)一回換気量を供給することによって達成される。換気のこのモードは、新生児の患者により広く使用され、今、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する成人の患者に、関心を取り戻している。
【0003】
HFVにおいて、ガス交換は、サブの死腔(sub−deadspace)一回換気量を使用することによって達成され、これが、肺損傷無しで、肺を回復する及び安定化することに有用である。ガス交換は、メカニズムが、主に、バルクフローの(対流)換気である、従来の換気法と比較して、バルクの軸流、複数の地域間のガス混合、軸方向及び放射分散、移流分散及び分子拡散のメカニズムを伴う。
【0004】
種々のタイプのHFVがある。高頻度振動換気(HFOV)において、圧力は、設定された平均気道内圧力を上回って及び下回って振動する。高頻度ジェット換気(HFJV)は、患者の気道内の、短期間高圧ジェットのガスフローが、約10Hzから約20Hzまでの(約600bpmから約1200bpmまでの)周波数にある、別のタイプのHFVである。高頻度流量インターラプター(HFFI)は、短いパルスのガスフローが、約5Hzから約15Hzまでの(約300bpmから約900bpmまでの)周波数で、患者の気道へと供給される、更に他のタイプのHFVである。高頻度陽圧換気(HFPPV)は、陽圧パルスが、副生理的一回換気量を供給するために、約2Hzから約25Hzまでの呼吸速度のより高い周波数で使用される、HFVのタイプとして、典型的に知られている。
【0005】
HFVの使用は、成人の患者に関する救助機構として制限されてきたが、新生児の患者に関して、より一般的に使用される。HFVは、副生理的な換気量を供給するように主に使用されるが、鎮静状態でない患者における、自発呼吸を支持する例がある、複数の状況において必要とされる、生理的換気量を供給する能力も有する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態において、HFPPV制御特徴は、非自発呼吸又は自発呼吸努力における、生理的換気量を促進するために、実施される。より具体的には、HFPPVモードは、呼気バルブのアクティブ制御で、平均気道内圧を制御することによって、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、生理的換気量を促進する又は支持する。本発明の他の様態において、HFPPVモードは、呼吸努力を有して、高頻度フローレベルのアクティブ制御で、非自発呼吸又は自発呼吸の間、生理的換気量を促進する。本発明の更なる様態において、HFPPVモードは、陽圧換気の周波数及びデューティーサイクルを変更することによって、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、生理的換気量を支持する。
【0007】
本発明の別の実施形態において、HFOV制御特徴は、非自発呼吸又は自発呼吸努力における、生理的換気量を促進するために、実施される。より具体的には、HFOVモードは、呼気バルブのアクティブ制御で、平均気道内圧を制御することによって、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、生理的換気量を促進する又は支持する。本発明の他の様態において、HFOVモードは、呼吸努力を有して、高頻度フローレベルのアクティブ制御で、非自発呼吸又は自発呼吸の間、生理的換気量を促進する。本発明の更なる様態において、HFOVモードは、陽圧換気の周波数及びデューティーサイクルを変更することによって、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、生理的換気量を支持する。
【0008】
本発明の一実施形態において、HFJV制御特徴は、非自発呼吸又は自発呼吸努力における、生理的換気量を促進するために、実施される。より具体的には、HFJVモードは、平均気道内圧を制御することによって、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、生理的換気量を促進する又は支持する。本発明の他の様態において、HFJVモードは、呼吸努力を有して、高頻度フローレベルのアクティブ制御で、非自発呼吸又は自発呼吸の間、生理的換気量を促進する。本発明の更なる様態において、HFJVモードは、陽圧換気の周波数及びデューティーサイクルを変更することによって、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、生理的換気量を支持する。
【0009】
上述された方法でのHFPPVベンチレータの使用は、非自発呼吸又は自発呼吸の間、生理的換気量を促進し、平均気道内圧力の、呼吸努力を有する、高頻度フローレベルの、及び、陽圧換気の周波数及びデューティーサイクルの、同時制御で、気道圧力を維持する。
【0010】
本発明の他の実施形態において、上述された方法でのHFPPVベンチレータの使用は、副生理的換気量を供給し、平均気道内圧力の、高頻度フローレベルの、及び、陽圧換気の周波数及びデューティーサイクルの、同時制御で、気道圧力を維持する。
【0011】
本発明の他の実施形態において、上述された方法でのHFOVベンチレータの使用は、副生理的換気量を供給し、平均気道内圧力の、高頻度フローレベルの、及び、陽圧換気の周波数及びデューティーサイクルの、同時制御で、気道圧力を維持する。
【0012】
本発明の他の実施形態において、上述された方法でのHFJVベンチレータの使用は、副生理的換気量を供給し、平均気道内圧力の、高頻度フローレベルの、及び、陽圧換気の周波数及びデューティーサイクルの、同時制御で、気道圧力を維持する。
【0013】
本発明の他の実施形態において、人は、患者フロー又は患者圧といった患者信号から、及び/又はロバストな検出のための追加的なセンサ及び信号から、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、生理的換気量の推定を得ることができる。
【0014】
本発明の他の実施形態において、アルゴリズムは、HFV治療のコースにおける、設定された一回換気量を供給するために、陽圧換気(例えば、周波数、デューティーサイクル、フローレベル、又は平均気道内圧)を、適応的に設定する。
【0015】
本発明の他の実施形態において、HFPPVモードは、約2Hzから約25Hzまでの陽圧換気の周波数、デューティーサイクル、フローレベル又は平均気道内圧に関する拡張された範囲で、従来のベンチレータのより新しいモードとして、実施された。
【0016】
本発明の他の実施形態において、患者への陽圧換気を供する方法は、非自発呼吸又は自発呼吸努力を支持するために、患者に高頻度換気を供給することを含む。方法は更に、ユーザによって設定されるような非自発呼吸の間、患者に関する、又は、自発呼吸を示す患者に関する、生理的換気量の必要性を決定し、その決定に応答して、能動的呼気バルブで平均気道内圧を制御し、換気の周波数及びデューティーサイクルを調節し、高頻度換気に関する陽圧パルスの振幅を調節する。
【0017】
本発明の他の実施形態において、圧力支持システムは、圧力発生システム、前記圧力発生システムに作動連結された患者回路、及び前記圧力発生システムに作動連結された制御装置、を含んで供される。前記制御装置は:(i)高頻度換気を供給するために、前記圧力発生システムを制御する、(ii)ユーザによって設定されるような非自発呼吸の間、前記患者に関する生理的換気量の必要性を決定する又は前記患者が自発的に呼吸しているということを決定する、及び(iii)前記決定に応答して、周波数、デューティーサイクル、又は、呼気バルブを使用して、換気又は平均気道内圧の振幅を、比例的に変更する又は調節するよう、前記圧力発生システムを制御する、よう適合される。
【0018】
本発明の他の実施形態において、システム及び方法は、平均気道内圧を断続的に調節することによって、高頻度副生理的換気量が組み入れられた生理的換気量を供給する。
【0019】
本発明の他の実施形態において、平均気道内圧は、呼気抵抗を断続的に変更することによって調節される。
【0020】
本発明の他の実施形態において、平均気道内圧は、フローの振幅を断続的に変更することによって調節される。
【0021】
本発明の他の実施形態において、平均気道内圧は、周波数を断続的に変更することによって、調節される。
【0022】
本発明の他の実施形態において、平均気道内圧は、デューティーサイクルを断続的に変更することによって、調節される。
【0023】
本発明の他の実施形態において、平均気道内圧は、呼気抵抗、フローの振幅、周波数及びデューティーサイクルの如何なる組み合わせを断続的に変更することによって、調節される。
【0024】
本発明のシステムの他の実施形態において、平均気道内圧を調節することは、自発呼吸を供するために、生理的換気量を達成するよう意味される。
【0025】
本発明のシステムの他の実施形態において、平均気道内圧を調節することは、圧力支持を有する自発呼吸を供するために、生理的換気量を達成するよう意味される。
【0026】
本発明のシステムの他の実施形態において、平均気道内圧を調節することは、自発呼吸を欠く場合における、生理的換気量を供するよう意味される。
【0027】
したがって、本発明が、上述の様態及び利点全てを実質的に達成するということが、これより明らかになるはずである。本発明の追加的な様態及び利点は、後に続く説明内に記載されるであろうし、一部はその記載から固有であろうし、又は、本発明の実践によって理解され得る。さらに、本発明の様態及び利点は、添付の特許請求の範囲内で具体的に指摘された手段及び組み合わせによって、実現され得る、かつ、得られ得る。
【0028】
添付の図面は、本発明の現在好ましい実施形態を、本発明の原理を説明するのに役に立つ、上で与えられた一般的な説明及び下記で与えられる詳細な説明と一緒に、説明する。図面を通じて示されるように、同様の参照符号は、同様の又は対応する部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の1つの特定の、制限的でない、実施形態に従う、HFPPVを供する圧力システムの概略図である。
【図2】図2は、自発呼吸を伴う、本発明に従う平均気道内圧のHFPPV制御の概略図である。
【図3】図3A及び図3Bは、2つの異なる周波数での、HFPPV圧力及びフローパターンを表す。
【図4】図4A及び図4Bは、各々、呼吸パターンの吸気相及び呼気相に関する、正弦関数かつバイレベル式制御を支持するよう実施された、MAP制御を有するHFPPV圧力及びフローパターンを表す。
【図5】図5A及び図5Bは、各々、呼吸パターンの吸気相及び呼気相に関する、正弦関数呼吸パターン及びバイレベル式制御を支持するよう、高頻度フローレベルのアクティブ制御を有する、HFPPV圧力及びフローパターンを表す。
【図6】図6A及び図6Bは、各々、呼吸パターンの吸気相及び呼気相に関する、正弦関数呼吸パターン及びバイレベル式制御を支持するよう、換気の周波数の能動調節を有する、HFPPV圧力及びフローパターンを表す。
【図7】図7A及び図7Bは、各々、正弦関数呼吸パターン及びバイレベル式制御を有する、陽圧換気の呼気バルブ、フローレベル及び周波数の同時制御を有する、HFPPB圧力及びフローパターンを表す。
【図8】図8は、高頻度陽圧換気を適応的に設定するための、アルゴリズムの略図である。
【図9】図9は、一回換気量制御に関するアルゴリズムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで述べられる種々の実施形態において、本発明は、非自発呼吸又は自発呼吸努力の間、吹く生理的及び生理的一回換気量を容易にする高頻度換気を供する陽気道圧換気システムに関する。本発明はまた、種々の実施形態において、ここで述べられるような治療方法が、マイクロプロセッサ(又は同様の制御装置)が、ここでより詳細に述べられるような、換気(即ち、特定の圧力又は周波数での、呼吸ガスの供給)を制御することを許すようなハードウェアを含む、マイクロプロセッサ(又は同様の制御装置)ベースの陽気道圧換気システムで実施されるということを熟慮する。
【0031】
本発明は、恐らく、特定の高頻度システム、即ちHFPPVに方向付けられる、図面からより理解され得る。図1は、患者に陽圧気道圧換気を供給する、高頻度陽圧換気システム2の概略図である。図1において、HFPPVシステム2は、ブロワー、高圧ガスウォール出力(gas wall outlet)、呼吸ガス又はガスの組み合わせを受ける、ガスの加圧タンクといった、ガスフロー発生器4を含む。ガスフロー発生器4は、患者6の気道への供給のために、大気、酸素、ヘリオックス又は他のガス又はそれらの混合といった、呼吸ガスのフローを発生させる。ガスフロー発生器4から矢印10によって一般的に示される、呼吸ガスの加圧されたフローは、患者6に搬送コンジット12を介して搬送される。
【0032】
示された実施形態において、HFPPVシステム2は、バルブ16の形態での、フロー制御装置を含む。バルブ16は、患者6に搬送されたフロー発生器4からの呼吸ガスのフローを制御する。現在の目的に関して、フロー発生器4及びバルブ16は、フロー/圧慮言う発生システムとして、集合的に参照される。なぜなら、それらは、患者へと搬送されたガスの圧力及び/又はフローを制御するよう、協働するので。しかしながら、フロー発生器4のブロワー速度を、単独で又は圧力制御バルブと組み合わせてのいずれかで変更することといった、患者へと搬送されるガスのフロー速度及び圧力を制御する他の技術が、本発明によって熟慮されるということは、明らかであるはずである。
【0033】
HFPPVシステム2は更に、搬送コンジット12内の呼吸ガスのフローを測定する、フローセンサ18を含む。図1で示された特定の実施形態において、フローセンサ18は、搬送コンジット12で一直線に置かれている。フローセンサ18は、患者6へのガスのフローを決定するために、制御装置20に供され、制御装置20によって使用される、フロー信号を発生する。勿論、患者6の呼吸フローを測定する他の技術が、例えば、制限することなしで、直接患者6で又は搬送コンジット12に沿った他の位置でフローを測定すること、フロー発生器4の操作に基づいて、患者フローを測定すること、及びバルブ16の上流のフローセンサを使用して患者フローを測定すること、のように、熟慮される。制御装置20は、本明細書の他の場所で詳細に述べられる種々の実施形態において、患者6へ換気を供給するよう、かつ、HFV調節を実施するよう、呼吸ガスのフローを制御することを含む、データ及びHFPPVシステム2の作動を制御するために、制御装置20によって実行できるソフトウェアのための記憶媒体を供する、メモリ(図示しない)を含む又は作動連結される、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はいくつかの他の適切な処理デバイスであっても良い。最後に、入力/出力デバイス22が、HFPPVシステム2によって使用された種々のパラメータを設定するために、及び、臨床医又は介護人といったユーザに情報及びデータを表示する及び出力するために、供される。
【0034】
HFVシステムは、従来であり、U.S.特許No.4,719,910内で以前に記載されており、本明細書で完全に記載されるかのように、参照することによって組み込まれる。
【0035】
HFPPVシステム2は、呼気バルブ制御装置24によって制御される、能動的呼気バルブ28で、吸入口又は吸気リム42(limb)及び呼気リム44を含む、患者呼吸回路40を含む。吸入リム42は、Y字部品48を介して挿管器気管内又は気管チューブ46を通じて患者6の気道に接続する。呼吸回路40は、ベンチレータと使用される標準的な可撓性チュー敏で作られても良く、又はHFPPVの搬送に適する改良型チュービングであっても良い。
【0036】
操作の間、HFPPVシステム2は、平均気道内圧(MAP)と呼ばれる平均の膨張圧を有して、患者6の肺34に高頻度陽圧パルスを供給する。通常、平均気道内圧は、約3cmHOから約50cmHOまでの範囲内で調節可能である。平均気道内圧力は、振動圧力で重ねられる。高頻度陽圧供給は、肺34とのガス交換を推進する。好ましくは、HFPPVの周波数を、予めプログラムすることができる又はHFPPVシステム2上で、手動で調節することができる。好ましくは、HFPPVの圧力振幅及び周波数は、HFPPVシステム2のオペレータによって設定することができる又は圧力振幅及び周波数は、制御装置内の自動適応制御アルゴリズムによって設定することができる。HFPPVシステム2はまた、好ましくは、患者6へと供給される平均気道内圧を増大させる又は減少させる、のいずれかができる、平均気道内圧に関する(図示しない)ユーザ制御を含む。
【0037】
好ましくは、HFPPVシステム2は、調節可能なI:E比又は調節可能なデューティーサイクルを含み、その範囲は、HFPPVの選択された周波数に基づいて変わるであろう。
【0038】
HFPPVシステム2は、ユーザ設定及びモニタリングされた信号を表示することができる、(図示しない)ディスプレイユニットを有しても良い。そのようなディスプレイユニットは、周波数、平均気道内圧、フロー及び圧力振幅、ガス混合レベル、遠位及び近接の圧力測定値、吸入時間、バイアス流れ及びそれと同種のものといった、追加的な情報を表示することができる。ディスプレイユニットは、コンピュータモニタ、LCDスクリーン又はそれと同種のものとすることができる。
【0039】
HFPPVシステム2の気管内チューブ46は、2つの端部−患者6の気道内に位置される遠位端54及びY字部品48に位置される近位端56を有する。フローセンサ60は、好ましくは気管内チューブ46の近位端56内に配置され、圧力センサ62は好ましくは、気管内チューブ46の近位端56内に配置される。圧力センサ62及びフローセンサ60は、十分に敏感であり、それらは、各々、気管内チューブ46内の最大振幅圧力測定値及び患者フローを測定することができる。
【0040】
能動的呼気バルブで平均気道内圧(MAP)を制御することによって、HFPPVの間、非自発呼吸又は自発呼吸努力に関する、副生理的及び生理的一回換気量を促進するために、能動的呼気バルブは、図2の概略図内で示されるように、平均気道内圧レベルを制御する。通常、HFPPVは、適切な肺膨張を供するために、吸気相及び呼気相の両方の間、固定されたレベルで、MAPを維持する。患者フローセンサ80及び追加的な圧力及び/又はフローセンサ及び/又は他音センサ又はユーザ入力82からのデータは、処理装置84内で処理され、患者が自発的に呼吸しているか又は自発的に呼吸しようとしているか又はユーザが患者に生理的換気量を供給する必要があるかどうかを決定する。処理装置84からの信号は、呼気バルブ86を制御するために、及び/又は患者への気道圧換気に関する、高頻度フロー(圧力)制御装置88又は周波数制御装置90を調節するために、送られる。
【0041】
本発明によると、呼気バルブのアクティブ制御は、所望の周波数及びフローレベルに、MAPのレベルを設定する。図3Aにおいて、上部モニタにある図は、25Hzでの時間に亘る患者圧力を表し、下部モニタにある図は、25Hzでの時間に亘る患者フロー速度を表す。図3Bにおけるグラフは、各々、10Hzでの、時間に亘る患者圧力及びフロー速度を表す。このデータは、呼気バルブの固定された制御を有する、HFPPVを表す。
【0042】
吸気相及び呼気相の間の、自発呼吸努力を有して、呼気バルブのアクティブ制御が、図4A及び図4Bで表される。図4Aにおいて、上部モニタのグラフは、正弦関数の呼吸パターンを有して、時間に亘る、患者圧力を表し、下部モニタは、その呼吸パターンを有する、時間に亘るフロー速度を表す。図4Bにおけるグラフは、各々、吸気相及び呼気相の呼吸パターンに関する、バイレベル式制御を有する、時間に亘る患者圧力及びフロー速度を表す。
【0043】
本発明の一実施形態において、非自発呼吸又は自発呼吸の間、副生理的及び生理的一回換気量を供することは、呼吸努力を有する、高頻度フローレベルのアクティブ制御で促進される。ユーザ入力又は自発呼吸努力により制御される、HFPPVに関する高頻度フローレベルのアクティブ制御があり、又は、制御は、図5A及び5Bで示されるようなバイレベル式制御を達成するために設定することができる。図5Aにおいて、上部モニタにおけるグラフは、フロー制御及び正弦関数呼吸パターンを有する、HFPPVにおける、時間に亘る患者圧力を表し、下部モニタにおけるグラフは、同じ条件下での、時間に亘るフロー速度を表す。図5Bにおけるグラフは、各々、バイレベル式制御に関する、時間に亘る、患者圧力及びフロー速度を表し、2つのフローレベルは、呼吸サイクルの吸気相及び呼気相に対応する。
【0044】
本発明の一実施形態は、非自発呼吸又は自発呼吸の間、ガス交換を改善し、副生理的及び生理的一回換気量を支持するために、HFPPVの周波数を制御する特徴を含む。振動数のアクティブ制御は、ユーザ制御によって又は自発呼吸による比例的に、制御することができる、又は、それは、図6A及び図6Bで記載されるように、バイレベル方式(bi−level manner)で制御することができる。図6Aにおいて、上部モニタにおけるグラフは、フロー制御及び正弦関数呼吸パターンを有する、HFPPVにおける、時間に亘る患者圧力を表し、下部も似たにおけるグラフは、同じ条件下における、時間に亘るフロー速度を表す。図6Bにおけるグラフは、各々、バイレベル式制御に関する、時間に亘る患者圧力及びフロー速度を表す。
【0045】
本発明はまた、呼気バルブ、高頻度フローレベル及び周波数の同時制御を有する、平均気道内圧のアクティブ制御に関する特徴を含む。この特徴により、追加的なHFPPV制御モードは、連続的に及び比例的に、非自発呼吸又は自発呼吸の間、副生理的及び生理的一回換気量を促進することができる。図7Aにおいて、上部モニタにおけるグラフは、呼気バルブ、フローレベル及び振動周波数及び正弦関数呼吸パターンの同時制御を有する、HFPPVにおける、時間に亘る患者圧力を表し、下部モニタにおけるグラフは、同じ条件下における時間に亘るフロー速度を表す。図7Bにおけるグラフは、各々、自発呼吸パターンの吸気相及び呼気相の間の、似そう製魚に関する、時間に亘る、患者圧力及びフロー速度を表す。
【0046】
自発呼吸は、高頻度患者フロー信号から及び/又はロバストな検出のための追加的なセンサ及び信号から、検出される及び/又は予測される。上述されたようなHFPPVのアクティブ制御は、自発呼吸努力のレベルに基づいている。図8は、成人、小児科及び新生児のベンチレータ患者に関する自発呼吸努力の検出及び推定のための、推定アルゴリズムを表す、概略図である。自発呼吸努力は、患者フローセンサ、呼吸努力ベルト、新生児患者のための(Grasebyセンサのような)呼吸努力風船、光電式指尖容積脈波(photoplethysmogram)、電気反応性センサフィルム、適切な身体部位で身体に取り付けられた加速度計を含むが、制限されない、ベンチレータ患者に利用可能である多数のセンサ及び信号94から抽出することができる。センサ94からのデータ及び/又は信号は、HFVユーザ設定98に沿って、処理装置96内で処理される。自発呼吸努力の決定は、HFV制御装置100をもたらす。
【0047】
本発明の他の実施形態において、アルゴリズムは、設定された副生理的又は生理的一回換気量、即ち、時間におけるフローを供給するために、高頻度換気(例えば、周波数、フローレベル又は平均気道内圧)を適応的に設定する。さらに、本発明の他の実施形態は、測定された一回換気量を供給するように、高頻度換気(例えば、周波数、フローレベル又は平均気道内圧)を適応的に設定するためのアルゴリズムを含むことができる。実施は、呼気バルブの制御で、平均気道内圧の操作を伴って、フロー振幅調節及び/又は周波数調節を変更すること及び/又は陰圧を適用することによって、高頻度換気を適応的に変更することを含むであろう。アルゴリズムは、図9で概略的に表され、設定された一回換気量104及び測定された一回換気量106に関するデータが、処理装置108へと入力される。処理装置108からの信号は、フロー振幅110、周波数調節112、呼気バルブ制御114及び/又は陰圧制御116に対する調節をもたらす。
【0048】
本発明の好ましい実施形態が、上で述べられ、説明されてきたが、これらは本発明の例示であり、制限するものとして考えられるべきでないということが理解されるべきである。追加、削除、置換及び他の変更が、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、為すことができる。したがって、本発明は、前述の説明に制限されるよう考えられるべきでなく、添付の特許請求の範囲によってだけ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に高頻度陽圧換気を供給する方法であって、当該方法は:
前記患者に呼吸ガスのフローを供給するステップであって、前記呼吸ガスのフローは、第1の陽圧レベル及び第2の陽圧レベルを有し、前記第1の陽圧レベル及び前記第2の陽圧レベルは、ある周波数及びある振幅を有して、前記呼吸ガスのフローにおける、複数のサイクルで、互いに交互に起こり、前記患者への前記呼吸ガスのフローは、ある平均気道内圧を生成する、ステップ;
前記患者が自発的に呼吸しているのか又は自発的に呼吸しようとしているのかどうかを、又は、高頻度換気に関するユーザ設定に変化があるかどうかを、決定するステップ;及び
前記患者が自発的に呼吸しているのか又は自発的に呼吸しようとしているのか、又は、前記ユーザが、前記患者に、ある副生理的又は生理的換気量を提供したいという、決定に応答して、前記平均気道内圧を調節するステップ、前記呼吸ガスのフローの周波数及びデューティーサイクルを調節するステップ若しくは前記呼吸ガスのフローを調節するステップ、又は、それらの2つ以上を行うステップ;
を含む、患者に高頻度陽圧換気を供給する方法。
【請求項2】
前記患者の前記平均気道内圧は、能動的呼気バルブを調節することによって制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平均気道内圧が調節される、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクルが調節される、及び前記呼吸ガスのフローが調節される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び吸気時間、及び、前記呼吸ガスのフローレベルは、自発呼吸パターンに比例的に制御される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び吸気時間、及び、前記呼吸ガスのフローレベルは、自発呼吸パターンの吸気相及び呼気相に関する、バイレベル式手段で制御される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び吸気時間、及び、前記呼吸ガスのフローレベルは、HFVに関するユーザ設定及びユーザ操作によって決定されるような方法で制御される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
高頻度陽圧支持システムであって、当該システムは:
圧力発生システム;
前記圧力発生システム及び患者に作動連結される患者回路;
前記圧力発生システムに作動連結された制御装置;
を含み、
前記制御装置は:
呼吸ガスのフローを、前記患者回路を介して前記患者へと供給するよう制御し、前記呼吸ガスのフローは、第1の陽圧レベル及び第2の陽圧レベルを有し、前記第1の陽圧レベル及び前記第2の陽圧レベルは、ある周波数及びある振幅を有して、前記呼吸ガスのフローにおける、複数のサイクルで、互いに交互に起こり、前記呼吸ガスのフローは、ある平均気道内圧を有する、ように;
前記患者が自発的に呼吸しているのか又は自発的に呼吸しようとしているのかどうかを、又は、高頻度換気に関するユーザ設定に変化があるかどうかを、決定するように;及び
前記患者が自発的に呼吸しているのか又は自発的に呼吸しようとしているのか、又は、前記ユーザが、前記患者に、ある副生理的又は生理的換気量を提供したいという、前記の決定に応答して、前記平均気道内圧を調節するように、前記呼吸ガスのフローの周波数及びデューティーサイクルを調節するように若しくは前記呼吸ガスの振幅を調節するように、又は、それらの2つ以上を行うように;
適合される、
陽圧支持システム。
【請求項8】
前記平均気道内圧は、能動的呼気バルブを調節することによって制御される、請求項7に記載の陽圧支持システム。
【請求項9】
前記平均気道内圧が調節される、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクルが調節される、及び前記呼吸ガスの前記振幅が調節される、請求項7に記載の陽圧支持システム。
【請求項10】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクル、及び、前記呼吸ガスのフローレベルが、自発呼吸パターンに比例的に制御される、請求項7に記載の陽圧支持システム。
【請求項11】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクル、及び、前記呼吸ガスのフローレベルが、自発呼吸パターンの吸気相及び呼気相に関する、バイレベル方式で制御される、請求項7に記載の陽圧支持システム。
【請求項12】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクル、及び、前記呼吸ガスのフローレベルが、HFVに関するユーザ設定及びユーザ操作によって決定されるような、バイレベル方式で制御される、請求項7に記載の陽圧支持システム。
【請求項13】
患者に高頻度陽圧換気を供給する方法であって、当該方法は:
前記患者に呼吸ガスのフローを供給するステップであって、前記呼吸ガスのフローは、設定された一回換気量、測定された一回換気量、第1の陽圧レベル及び第2の陽圧レベルを有し、前記第1の陽圧レベル及び前記第2の陽圧レベルは、ある周波数及びある振幅を有して、前記呼吸ガスのフローにおける、複数のサイクルで、互いに交互に起こり、前記患者への前記呼吸ガスのフローは、ある平均気道内圧を生成する、ステップ;及び
前記平均気道内圧を調節するステップ、前記呼吸ガスのフローの周波数及びデューティーサイクルを調節するステップ若しくは前記呼吸ガスのフローを調節するステップ、又は、それらの2つ以上を行うステップ;
を含む、患者に高頻度陽圧換気を供給する方法。
【請求項14】
前記患者の前記平均気道内圧は、能動的呼気バルブを調節することによって制御される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記平均気道内圧が調節される、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクルが調節される、及び前記呼吸ガスのフローが調節される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクル、及び、前記呼吸ガスのフローレベルが、前記患者の呼吸パターンに比例的に制御される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクル、及び、前記呼吸ガスのフローレベルが、前記患者の呼吸パターンの吸気相及び呼気相に関する、バイレベル方式で制御される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記能動的呼気バルブ、前記呼吸ガスのフローの前記周波数及び前記デューティーサイクル、及び、前記呼吸ガスのフローレベルが、HFVに関するユーザ設定及びユーザ操作によって決定されるような方法で制御される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
患者に高頻度陽圧換気を供給する方法であって、当該方法は:
前記患者に呼吸ガスのフローを供給するステップであって、前記呼吸ガスのフローは、第1の陽圧レベル及び第2の陽圧レベルを有し、前記第1の陽圧レベル及び前記第2の陽圧レベルは、ある周波数及びある振幅を有して、前記呼吸ガスのフローにおける、複数のサイクルで、互いに交互に起こり、前記患者への前記呼吸ガスのフローは、ある平均気道内圧を生成する、ステップ;及び
前記平均気道内圧を断続的に調節することによって、高頻度副生理的換気量が介在する生理的換気量を供するステップ;
を含む、方法。
【請求項20】
前記平均気道内圧は、呼気抵抗を断続的に変更することによって調節される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記平均気道内圧は、フロー振幅を断続的に変更することによって調節される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記平均気道内圧は、周波数を変更することによって調節される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記平均気道内圧は、デューティーサイクルを変更することによって調節される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記平均気道内圧は、呼気抵抗、フロー振幅、周波数若しくはデューティーサイクル又はそれらの2つ以上を断続的に変更することによって調節される、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記平均気道内圧を調節することは、自発呼吸を供するために、生理的換気量を達成するように意図される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記平均気道内圧を調節することは、圧力支持を伴う自発呼吸を供するために、生理的換気量を達成するよう意図される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記平均気道内圧を調節することは、自発呼吸なしでの生理的換気量を供するために意図される、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
高頻度支持システムであって、当該システムは:
圧力発生システム;
前記圧力発生システム及び患者に作動連結される患者回路;及び
前記圧力発生システムに作動連結された制御装置;
を含み、
前記制御装置は:
呼吸ガスのフローを、前記患者回路を介して前記患者へと供給するよう制御し、前記呼吸ガスのフローは、第1の陽圧レベル及び第2の陽圧レベルを有し、前記第1の陽圧レベル及び前記第2の陽圧レベルは、ある周波数及びある振幅を有して、前記呼吸ガスのフローにおける、複数のサイクルで、互いに交互に起こり、前記呼吸ガスのフローは、ある平均気道内圧を有する、ように;及び
前記平均気道内圧を断続的に調節することによって、高頻度副生理的換気量が介在する生理的換気量を供する、ように;
適合される、
高頻度支持システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2013−513449(P2013−513449A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543938(P2012−543938)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055537
【国際公開番号】WO2011/073839
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】