高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物
【課題】高齢者において、優れた筋タンパク質の同化促進作用をもち、骨格筋量の減少の防止・改善作用のあるアミノ酸含有組成物を得ること。
【解決手段】L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35%以上含有することを特徴とする高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物。
【解決手段】L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35%以上含有することを特徴とする高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者に起こる骨格筋量の減少を防止または改善するための、経口摂取されるアミノ酸含有組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴い、サルコペニアと呼ばれる骨格筋量の減少が起こる。骨格筋量の減少により筋力・機能の低下がおこり、高齢者が要介護状態となる大きな要因となる。骨格筋量の減少は、インスリン感受性の低下、糖尿病、骨粗鬆症などの代謝関連疾患を引き起こす要因ともなるため、超高齢化社会において医学的・社会的な問題となっている。
【0003】
骨格筋量の減少は、骨格筋のタンパク質合成速度が、タンパク質分解速度を下回ることによって起こるため、骨格筋のタンパク質合成を高めるか、タンパク質分解を抑制することにより、骨格筋タンパク質の同化を促進することがその対策となる。
【0004】
骨格筋のタンパク質代謝を改善し、同化作用を促進するために、高齢者に対してホルモン剤のなどの投与が試みられているが、副作用が問題となる(非特許文献1参照)。
【0005】
栄養療法については、総合栄養剤を高齢者に摂取させたが、大腿部筋面積の改善は認められなかった(非特許文献2参照)。しかしこのとき、栄養剤の摂取によって、通常食品の摂取が減少し、総合的な栄養摂取量がむしろ減少していた。通常の栄養摂取を妨げない栄養補助食品が必要とされる。
【0006】
高齢者の12週間のトレーニング期間中、10グラムのタンパク質、7グラムの炭水化物、3グラムの脂質を含有する栄養補助食品を、運動直後に摂取させたとき筋肥大が起こった(非特許文献3参照)。しかし運動の2時間後に摂取させた場合には、筋肥大は起こらず、運動に関係なく筋の萎縮を防止する栄養補助食品が望まれる。
【0007】
アミノ酸はタンパク質の合成材料であり、アミノ酸のタンパク質同化作用は良く知られている。高齢者においてもアミノ酸を経口摂取することで、筋タンパク質の合成が高まり、筋タンパク質の同化が促進されることが示されている(非特許文献4参照)。
【0008】
さらに、高齢者に18グラムの必須アミノ酸の混合物を摂取させることにより、骨格筋のタンパク質合成が増加したことも報告されている。つまり高齢者の筋タンパク質同化作用を期待して経口摂取するアミノ酸混合物は、必須アミノ酸のみで十分であることが確認されている(非特許文献5参照)。しかし高齢者に1回に18グラムもの大量のアミノ酸を摂取させることは現実的ではなく、より効果的なアミノ酸混合物が必要とされる。
【0009】
9種の必須アミノ酸と2種の非必須アミノ酸および脂質・炭水化物からなる組成物16.58gを、2型糖尿病を有する高齢者に16週間摂取させたところ、血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、インスリン濃度などが改善したが、体重には変化が無かったことが報告されている(非特許文献6参照)。
【0010】
必須アミノ酸については、各必須アミノ酸を特定の割合で配合した栄養組成物が、吸収性が良いことにより窒素の利用率が高く、各種の病態下などにおいて、有効な栄養物であることが知られている(特許文献1)。
【0011】
アミノ酸の中では、ロイシンにタンパク質同化を制御する作用があることが知られている(非特許文献7参照)。しかし、体タンパク質の合成を維持するためにはロイシンだけではなく、全てのアミノ酸が必要であることも報告されている(非特許文献8参照)。このような観点によりロイシンを含む分岐鎖アミノ酸の割合を増加したアミノ酸輸液製剤は多数市販されているが、外傷や疾病、手術などにより栄養素の経口摂取が不可能な場合に用いられるものであり、高齢者が日常生活において、経口摂取できるものではない。
【0012】
ロイシンを総窒素量の35%となるように市販アミノ酸輸液に追加した溶液(総必須アミノ酸に対するロイシンのモル比は69%)を、全身麻酔下の熱傷受傷ウサギに対し、5時間をかけて静脈内投与したとき、市販アミノ酸輸液(総必須アミノ酸に対するロイシンのモル比は、17%)や、ロイシンを総窒素量の25%となるように市販アミノ酸輸液に追加した溶液(総必須アミノ酸に対するロイシンのモル比は58%)を投与したときに比べ、より筋タンパク質の合成が促進されることが報告されている(非特許文献9参照)。しかしこれも高齢者が日常的に経口摂取できるものではなく、また、経口摂取した場合に効果的なアミノ酸含有組成については知られていない。
【0013】
以上のように、通常の栄養摂取を妨げることなく、継続的に経口摂取が可能で、かつ、運動に関連せず有効に骨格筋タンパク質代謝を改善するアミノ酸混合物が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,132,113号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】S. E. Borst, Age and Ageing, 2004, 33: 548-555
【非特許文献2】M. A. Fiatarone, et al., The New England Journal of Medicine, 1994, 330: 1769-1775
【非特許文献3】B. Esmarck, et al., Journal of Physiology, 2001, 535: 301-311
【非特許文献4】E. Volpi, et al., Journal of Clinical Investigation, 1998, 101: 2000-2007
【非特許文献5】E. Volpi, et al., American Journal of Clinical Nutrition, 2003, 78: 250-258
【非特許文献6】S. B. Solerte, et al., American Journal of Cardiology, 2004, 93: 23A-29A
【非特許文献7】K. S. Nair, et al, American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism, 1992, 263: E928-E934
【非特許文献8】M. Frexes-Steed, et al., American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism, 1992, 262: E925-E935
【非特許文献9】X-J. Zhang, et al., Journal of Nutrition, 2004, 134: 3313-3318
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、高齢者が容易に摂取でき、運動を伴わない場合においても、骨格筋タンパク質代謝を改善することにより、筋タンパク質の減少を防止しあるいは筋タンパク質の蓄積を促進する効果の高い経口用アミノ酸栄養組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、前項記載の課題を解決すべく鋭意研究の結果、L−ロイシンを総必須アミノ酸中に特定の割合で含む経口用アミノ酸含有組成物が、高齢者の骨格筋タンパク質代謝を良く改善し、高齢者の骨格筋量減少を防止または改善しうること、さらには同アミノ酸含有組成物が高齢者のインスリン感受性・糖尿病・糖代謝を改善しうること、あるいはまた、高齢者の高脂血症・脂肪肝・脂質代謝を改善しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、発明は以下の通りである。
(1)L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜66%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物。
(2)L−ロイシンが、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜57%含有する、(1)項の経口用アミノ酸含有組成物。
(3)L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜50%含有する、(1)項記載の経口用アミノ酸含有組成物。
(4)L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜45%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止・改善するアミノ酸含有組成物。
(5)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜66、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(6)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、(5)項記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜57、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(7)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、(5)項記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜50、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(8)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、(5)項記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(9)アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン12〜16、L−メチオニン3.0〜10、L−フェニルアラニン3.5〜8.0、L−スレオニン11〜14、L−バリン8.5〜15、L−トリプトファン0.0〜1.0、L−アルギニン0.0〜10。
(10)アミノ酸を、(1)〜(3)、(5)〜(8)のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(11)アミノ酸を、(1)〜(3)、(5)〜(8)のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(12)アミノ酸を、(1)〜(3)、(5)〜(8)のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(13)アミノ酸を、(4)又は(9)項記載の範囲内の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(14)アミノ酸を、(4)又は(9)項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(15)アミノ酸を、(4)又は(9)項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【発明の効果】
【0019】
本発明の、L−ロイシンを特定の割合で含むアミノ酸含有組成物を、高齢者が経口摂取することにより、骨格筋タンパク質の同化作用を促進し、高齢者の骨格筋量減少を防止あるいは改善することができる。
【0020】
また同組成物を、高齢者が経口摂取することにより、高齢者の骨格筋量減少に伴う、インスリン感受性の悪化や糖尿病などの糖代謝の異常を防止あるいは改善することができる。
【0021】
あるいはまた同組成物を、高齢者が経口摂取することにより、高齢者の骨格筋量減少に伴う、血液中あるいは肝臓中脂質濃度の増加などの脂質代謝の異常を防止あるいは改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】骨格筋タンパク質の合成比速度の変化を示す。
【図2】骨格筋タンパク質の蓄積量の指標としてのフェニルアラニンの下肢取り込み量を示す。2群間に有意差あり。
【図3】アミノ酸摂取開始前と比較した骨格筋量の指標としての除脂肪体重(LBM: lean body mass)の増加量を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図4】アミノ酸摂取開始前と比較した脚の最大筋力の増加量を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図5】経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示す。
【図6】経口糖負荷試験実施時の血液中インスリン濃度の推移を示す。
【図7】アミノ酸摂取開始前と比較した血液中コレステロール濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図8】アミノ酸摂取開始前と比較した血液中トリグリセリド濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図9】アミノ酸摂取開始前と比較した血液中VLDL濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図10】肝臓中脂質濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図11】骨格筋タンパク質の合成比速度を示す。アステリスクはLeu/EAA 25% TAA群に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図12】骨格筋タンパク質の合成比速度を示す。アステリスクはLeu/EAA 30%群に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図13】骨格筋タンパク質の合成比速度を示す。
【図14】経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示す。
【図15】ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値を示す。2群間に有意差あり。
【図16】肝臓中脂質含量を示す。2群間に有意差あり。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明でいう高齢者とは、60歳以上を指すものとする。
【0024】
本発明でいう必須アミノ酸とは、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−スレオニン、L−バリン、L−トリプトファンの9種とする。
【0025】
本発明のアミノ酸含有組成物は、L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜66%含有する。好ましくは、L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜57%含有する。さらに好ましくは、L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜50%含有する。また好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)として、L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜66、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0含有することを特徴とする。さらに好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)としてL−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜57、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0含有することを特徴とする。より好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)としてL−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜50、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0含有することを特徴とする。なお、これらのアミノ酸としては、その生理学的に許容できる塩や水和物も使用可能である。例えば、L−リジン塩酸塩、L−ヒスチジン塩酸塩1水和物などである。
【0026】
本発明でいうアミノ酸含有組成物は、遊離態のアミノ酸、ペプチド、あるいはたんぱく質のいずれでも良いし、それらの混合物でもよいが、総L−ロイシン含量がモル比で35%以上であることが必須である。
【0027】
本発明のアミノ酸含有組成物は、毎日連続して摂取するのが適当である。摂取量は、1回に3〜11g、1日当たり7〜22g程度が望ましい。
【0028】
これらのアミノ酸含有組成物は、これに、適当な添加物、例えば、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの他の栄養素いずれか、或いはそれらを組み合わせて配合しても良い。その際には、賦型剤、嬌味剤、色素などと組み合わせることも可能である。
このようにして製造された本発明のアミノ酸含有組成物は、そのまま、すなわち、粉体もしくは液体混合物、ゼリー、通常食品の形態で流通に置くことができる。
【0029】
本発明のアミノ酸含有組成物は、高齢者が経口的に摂取するか、あるいは、高齢者に経腸的に投与されるものであり、食品、医薬品、栄養剤あるいはサプリメントとして提供される。
【実施例】
【0030】
実施例1
表1に示すホエイタンパク質のアミノ酸組成からなる必須アミノ酸混合物を10名の高齢者(男性7名、女性3名、平均年齢66.7歳、平均体重81.7kg)に、また同じく表1に示すロイシンの配合を高めた高ロイシン必須アミノ酸を10名の高齢者(男性5名、女性5名、平均年齢66.5歳、平均体重74.5kg)に経口摂取させた。摂取させたアミノ酸の総量は、ともに6.726gとした。安定同位体標識L−フェニルアラニンを使用し、アミノ酸の摂取から3.5時間後までの筋タンパク質の合成比速度(Fractional Synthesis Rate)を求め、摂取前の合成比速度からの変化を算出した。また、動・静脈のフェニルアラニンの濃度差と血流速度を測定し、アミノ酸摂取から3.5時間のフェニルアラニンの下肢へのネットの取り込み量を、筋タンパク質の蓄積量の指標として求めた。
【0031】
【表1】
【0032】
図1に筋タンパク質の合成比速度の変化を示した。ホエイタンパク質のアミノ酸組成の必須アミノ酸を摂取させた群に比して、高ロイシン必須アミノ酸を摂取させた群において、筋タンパク質合成比速度の増加が認められた。
【0033】
図2にフェニルアラニンの下肢への取り込み量を示した。ホエイタンパク質のアミノ酸組成の必須アミノ酸を摂取させた群に比して、高ロイシン必須アミノ酸を摂取させた群において、有意なフェニルアラニンの下肢への取り込み量の増加、つまり筋タンパク質蓄積量の増加が認められた。以上のように、高ロイシン必須アミノ酸が、高齢者における筋タンパク質の同化作用促進に非常に優れた効果を持つことが示された。
【0034】
実施例2
表2に示すアミノ酸混合物を8名のインスリン抵抗性を有する高齢者(男性4名、女性4名、平均年齢66.1歳、平均体重80.1kg)に16週間摂取させた。アミノ酸は1回11gを1日2回、食間に経口摂取させた。アミノ酸摂取開始前と、開始後4週ごとに、骨格筋量の指標として除脂肪体重(LBM: lean body mass)を二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA: dual energy X-ray absorptiometry)により測定した。脚の筋力をアミノ酸摂取開始前と、開始後8週目、12週目、16週目に測定した。膝屈筋と膝伸筋それぞれの最大挙上重量(1RM: one repetition max)の和を脚の筋力とした。また、4週ごとに75gの経口ブドウ糖負荷試験(OGTT: oral glucose tolerance test)を行ない、インスリン感受性を評価するとともに、血液中脂質濃度を測定した。さらに、肝臓中脂質濃度を8週ごとに磁気共鳴画像法(MRI: magnetic resonance imaging)により測定した。
【0035】
【表2】
【0036】
図3にアミノ酸摂取開始前と比較し、骨格筋量の指標としての除脂肪体重(LBM: lean body mass)の増加量を示した。アミノ酸摂取開始前の除脂肪体重の平均は、51.54kgであった。アミノ酸摂取開始後8週目より、明確な除脂肪体重の増加が認められた。
【0037】
図4にアミノ酸摂取開始前と比較した脚の最大筋力の増加量を示した。アミノ酸摂取開始前の最大筋力の平均は、314.1lbsであった。アミノ酸摂取開始後12週目より、明確な筋力の増加が認められた。
【0038】
図5に経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示した。アミノ酸摂取は血糖値には影響しなかった。
【0039】
図6に経口糖負荷試験実施時の血液中インスリン濃度の推移を示した。アミノ酸摂取開始後8週目よりインスリン濃度は低く推移した。経口ブドウ糖負荷試験時の血糖値の推移には影響が認められなかったことから、アミノ酸摂取によりインスリン感受性が改善したことが示唆される。
【0040】
図7にアミノ酸摂取開始前と比較した血液中コレステロール濃度の変化を示した。アミノ酸摂取開始前のコレステロール濃度の平均は、191mg/dlであった。アミノ酸摂取開始後8週目、16週目で、明確な血液中コレステロール濃度の低下が認められた。
【0041】
図8にアミノ酸摂取開始前と比較した血液中トリグリセリド濃度の変化を示した。アミノ酸摂取開始前のトリグリセリド濃度の平均は、117mg/dlであった。アミノ酸摂取により、明確な血液中トリグリセリド濃度の低下が認められた。
【0042】
図9にアミノ酸摂取開始前と比較した血液中VLDL濃度の変化を示した。アミノ酸摂取開始前のVLDL濃度の平均は、23mg/dlであった。アミノ酸摂取により、明確な血液中VLDL濃度の低下が認められた。
【0043】
図10に肝臓中脂質濃度の変化を示した。アミノ酸摂取により肝臓中脂質濃度の低下が認められた。
【0044】
実施例3
10週齢のSD系雄性ラットを用い、表3に組成を示すアミノ酸の3.5%水溶液を20ml/kgの用量で経口投与した(アミノ酸の投与量は0.7g/kg)。アミノ酸の組成は、ホエイたんぱく質のアミノ酸組成を基本として構成した。つまり基本のホエイたんぱく質のアミノ酸組成であるL−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で25%であり非必須アミノ酸も含有する総合アミノ酸組成物(Leu/EAA 25% TAA)、L−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で49%である必須アミノ酸のみの組成物(Leu/EAA 49% EAA)、L−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で58%であり非必須アミノ酸も含有する総合アミノ酸組成物(Leu/EAA 58% TAA)、あるいはL−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で66%であり非必須アミノ酸も含有する総合アミノ酸組成物(Leu/EAA 66% TAA)とした。投与後30分から50分までの20分間の筋タンパク質合成比速度を、安定同位体標識フェニルアラニンを使用した大量投与法により求めた。
【0045】
【表3】
【0046】
図11に、筋タンパク質合成比速度を示した。L−ロイシン含量を総必須アミノ酸に対するモル比で、49%、58.3%、65.9%と増加した場合は、25.5%であるホエイたんぱく質のアミノ酸組成物を投与した場合に比べて、筋タンパク質合成比速度が増加した。中でも、L−ロイシン含量49%、あるいは58.3%のアミノ酸組成物を投与した場合に、筋タンパク質合成比速度が有意に高まった。
【0047】
実施例4
10週齢のSD系雄性ラットを用い、表4に組成を示すアミノ酸の3.5%水溶液を20ml/kgの用量で経口投与した(アミノ酸の投与量は0.7g/kg)。アミノ酸の組成は、ホエイたんぱく質のアミノ酸組成を基本とし、L−ロイシンの投与量が各群で同じとなるように設定した。投与後30分から50分までの20分間の筋タンパク質合成比速度を、安定同位体標識フェニルアラニンを使用した大量投与法により求めた。
【0048】
【表4】
【0049】
図12に筋タンパク質合成比速度を示した。L−ロイシンの投与量を一定にして比較した場合、L−ロイシンと総必須アミノ酸のモル比は40%である場合に、最も筋タンパク質合成比速度が高まった。
【0050】
実施例5
7週齢のSD系雄性ラットを用い、ホエイたんぱく質あるいは、表5に組成を示すアミノ酸となるようにホエイたんぱく質とアミノ酸を1:1で混合したもの、あるいは、表5のアミノ酸組成物の3.5%水溶液を20ml/kgの用量で経口投与した(投与量は0.7g/kg)。投与後30分から50分までの20分間の筋タンパク質合成比速度を、安定同位体標識フェニルアラニンを使用した大量投与法により求めた。
【0051】
【表5】
【0052】
図13に筋タンパク質合成比速度を示した。ホエイたんぱく質を投与した場合に比べ、L−ロイシンと総必須アミノ酸のモル比を42.3%としたホエイたんぱく質・アミノ酸混合物あるいは、アミノ酸のみの混合物を投与した場合に筋タンパク質合成比速度が高まった。ホエイたんぱく質・アミノ酸混合物とアミノ酸のみの混合物の効果は同等であった。
【0053】
実施例6
2型糖尿病モデルであるKK-Ayマウス雄性5週齢を、25%脂質含有高脂肪食で2週間飼育した。2週間後、14%脂質含有12%カゼイン食(Control)、あるいは表6に示すL−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物をControl食に8%添加した飼料(Leu/EAA 54%)で飼育を開始し、4週間後に1g/kg BWの経口ブドウ糖負荷試験(OGTT: oral glucose tolerance test)を行い、その後ヘモグロビンA1c(HbA1c)、肝臓中脂質含量の測定を行った。
【0054】
【表6】
【0055】
図14に経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示した。L−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物を添加した群においては、血糖値が低く推移し、耐糖能が改善することが示された。
【0056】
図15に過去の血糖値の平均を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)を示した。L−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物を添加した群においては、有意に低値を示し、実験期間中血糖値が低く維持されたことが示された。
【0057】
図16に肝臓脂質含量を示した。L−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物を添加した群においては、有意に低値を示し、脂質代謝が改善されたことが示された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者に起こる骨格筋量の減少を防止または改善するための、経口摂取されるアミノ酸含有組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴い、サルコペニアと呼ばれる骨格筋量の減少が起こる。骨格筋量の減少により筋力・機能の低下がおこり、高齢者が要介護状態となる大きな要因となる。骨格筋量の減少は、インスリン感受性の低下、糖尿病、骨粗鬆症などの代謝関連疾患を引き起こす要因ともなるため、超高齢化社会において医学的・社会的な問題となっている。
【0003】
骨格筋量の減少は、骨格筋のタンパク質合成速度が、タンパク質分解速度を下回ることによって起こるため、骨格筋のタンパク質合成を高めるか、タンパク質分解を抑制することにより、骨格筋タンパク質の同化を促進することがその対策となる。
【0004】
骨格筋のタンパク質代謝を改善し、同化作用を促進するために、高齢者に対してホルモン剤のなどの投与が試みられているが、副作用が問題となる(非特許文献1参照)。
【0005】
栄養療法については、総合栄養剤を高齢者に摂取させたが、大腿部筋面積の改善は認められなかった(非特許文献2参照)。しかしこのとき、栄養剤の摂取によって、通常食品の摂取が減少し、総合的な栄養摂取量がむしろ減少していた。通常の栄養摂取を妨げない栄養補助食品が必要とされる。
【0006】
高齢者の12週間のトレーニング期間中、10グラムのタンパク質、7グラムの炭水化物、3グラムの脂質を含有する栄養補助食品を、運動直後に摂取させたとき筋肥大が起こった(非特許文献3参照)。しかし運動の2時間後に摂取させた場合には、筋肥大は起こらず、運動に関係なく筋の萎縮を防止する栄養補助食品が望まれる。
【0007】
アミノ酸はタンパク質の合成材料であり、アミノ酸のタンパク質同化作用は良く知られている。高齢者においてもアミノ酸を経口摂取することで、筋タンパク質の合成が高まり、筋タンパク質の同化が促進されることが示されている(非特許文献4参照)。
【0008】
さらに、高齢者に18グラムの必須アミノ酸の混合物を摂取させることにより、骨格筋のタンパク質合成が増加したことも報告されている。つまり高齢者の筋タンパク質同化作用を期待して経口摂取するアミノ酸混合物は、必須アミノ酸のみで十分であることが確認されている(非特許文献5参照)。しかし高齢者に1回に18グラムもの大量のアミノ酸を摂取させることは現実的ではなく、より効果的なアミノ酸混合物が必要とされる。
【0009】
9種の必須アミノ酸と2種の非必須アミノ酸および脂質・炭水化物からなる組成物16.58gを、2型糖尿病を有する高齢者に16週間摂取させたところ、血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、インスリン濃度などが改善したが、体重には変化が無かったことが報告されている(非特許文献6参照)。
【0010】
必須アミノ酸については、各必須アミノ酸を特定の割合で配合した栄養組成物が、吸収性が良いことにより窒素の利用率が高く、各種の病態下などにおいて、有効な栄養物であることが知られている(特許文献1)。
【0011】
アミノ酸の中では、ロイシンにタンパク質同化を制御する作用があることが知られている(非特許文献7参照)。しかし、体タンパク質の合成を維持するためにはロイシンだけではなく、全てのアミノ酸が必要であることも報告されている(非特許文献8参照)。このような観点によりロイシンを含む分岐鎖アミノ酸の割合を増加したアミノ酸輸液製剤は多数市販されているが、外傷や疾病、手術などにより栄養素の経口摂取が不可能な場合に用いられるものであり、高齢者が日常生活において、経口摂取できるものではない。
【0012】
ロイシンを総窒素量の35%となるように市販アミノ酸輸液に追加した溶液(総必須アミノ酸に対するロイシンのモル比は69%)を、全身麻酔下の熱傷受傷ウサギに対し、5時間をかけて静脈内投与したとき、市販アミノ酸輸液(総必須アミノ酸に対するロイシンのモル比は、17%)や、ロイシンを総窒素量の25%となるように市販アミノ酸輸液に追加した溶液(総必須アミノ酸に対するロイシンのモル比は58%)を投与したときに比べ、より筋タンパク質の合成が促進されることが報告されている(非特許文献9参照)。しかしこれも高齢者が日常的に経口摂取できるものではなく、また、経口摂取した場合に効果的なアミノ酸含有組成については知られていない。
【0013】
以上のように、通常の栄養摂取を妨げることなく、継続的に経口摂取が可能で、かつ、運動に関連せず有効に骨格筋タンパク質代謝を改善するアミノ酸混合物が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,132,113号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】S. E. Borst, Age and Ageing, 2004, 33: 548-555
【非特許文献2】M. A. Fiatarone, et al., The New England Journal of Medicine, 1994, 330: 1769-1775
【非特許文献3】B. Esmarck, et al., Journal of Physiology, 2001, 535: 301-311
【非特許文献4】E. Volpi, et al., Journal of Clinical Investigation, 1998, 101: 2000-2007
【非特許文献5】E. Volpi, et al., American Journal of Clinical Nutrition, 2003, 78: 250-258
【非特許文献6】S. B. Solerte, et al., American Journal of Cardiology, 2004, 93: 23A-29A
【非特許文献7】K. S. Nair, et al, American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism, 1992, 263: E928-E934
【非特許文献8】M. Frexes-Steed, et al., American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism, 1992, 262: E925-E935
【非特許文献9】X-J. Zhang, et al., Journal of Nutrition, 2004, 134: 3313-3318
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、高齢者が容易に摂取でき、運動を伴わない場合においても、骨格筋タンパク質代謝を改善することにより、筋タンパク質の減少を防止しあるいは筋タンパク質の蓄積を促進する効果の高い経口用アミノ酸栄養組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、前項記載の課題を解決すべく鋭意研究の結果、L−ロイシンを総必須アミノ酸中に特定の割合で含む経口用アミノ酸含有組成物が、高齢者の骨格筋タンパク質代謝を良く改善し、高齢者の骨格筋量減少を防止または改善しうること、さらには同アミノ酸含有組成物が高齢者のインスリン感受性・糖尿病・糖代謝を改善しうること、あるいはまた、高齢者の高脂血症・脂肪肝・脂質代謝を改善しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、発明は以下の通りである。
(1)L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜66%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物。
(2)L−ロイシンが、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜57%含有する、(1)項の経口用アミノ酸含有組成物。
(3)L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜50%含有する、(1)項記載の経口用アミノ酸含有組成物。
(4)L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜45%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止・改善するアミノ酸含有組成物。
(5)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜66、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(6)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、(5)項記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜57、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(7)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、(5)項記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜50、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(8)総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、(5)項記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
(9)アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン12〜16、L−メチオニン3.0〜10、L−フェニルアラニン3.5〜8.0、L−スレオニン11〜14、L−バリン8.5〜15、L−トリプトファン0.0〜1.0、L−アルギニン0.0〜10。
(10)アミノ酸を、(1)〜(3)、(5)〜(8)のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(11)アミノ酸を、(1)〜(3)、(5)〜(8)のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(12)アミノ酸を、(1)〜(3)、(5)〜(8)のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(13)アミノ酸を、(4)又は(9)項記載の範囲内の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(14)アミノ酸を、(4)又は(9)項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
(15)アミノ酸を、(4)又は(9)項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【発明の効果】
【0019】
本発明の、L−ロイシンを特定の割合で含むアミノ酸含有組成物を、高齢者が経口摂取することにより、骨格筋タンパク質の同化作用を促進し、高齢者の骨格筋量減少を防止あるいは改善することができる。
【0020】
また同組成物を、高齢者が経口摂取することにより、高齢者の骨格筋量減少に伴う、インスリン感受性の悪化や糖尿病などの糖代謝の異常を防止あるいは改善することができる。
【0021】
あるいはまた同組成物を、高齢者が経口摂取することにより、高齢者の骨格筋量減少に伴う、血液中あるいは肝臓中脂質濃度の増加などの脂質代謝の異常を防止あるいは改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】骨格筋タンパク質の合成比速度の変化を示す。
【図2】骨格筋タンパク質の蓄積量の指標としてのフェニルアラニンの下肢取り込み量を示す。2群間に有意差あり。
【図3】アミノ酸摂取開始前と比較した骨格筋量の指標としての除脂肪体重(LBM: lean body mass)の増加量を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図4】アミノ酸摂取開始前と比較した脚の最大筋力の増加量を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図5】経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示す。
【図6】経口糖負荷試験実施時の血液中インスリン濃度の推移を示す。
【図7】アミノ酸摂取開始前と比較した血液中コレステロール濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図8】アミノ酸摂取開始前と比較した血液中トリグリセリド濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図9】アミノ酸摂取開始前と比較した血液中VLDL濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図10】肝臓中脂質濃度の変化を示す。アステリスクはアミノ酸摂取開始前に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図11】骨格筋タンパク質の合成比速度を示す。アステリスクはLeu/EAA 25% TAA群に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図12】骨格筋タンパク質の合成比速度を示す。アステリスクはLeu/EAA 30%群に比べて有意差(p<0.05)があることを示す。
【図13】骨格筋タンパク質の合成比速度を示す。
【図14】経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示す。
【図15】ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値を示す。2群間に有意差あり。
【図16】肝臓中脂質含量を示す。2群間に有意差あり。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明でいう高齢者とは、60歳以上を指すものとする。
【0024】
本発明でいう必須アミノ酸とは、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−スレオニン、L−バリン、L−トリプトファンの9種とする。
【0025】
本発明のアミノ酸含有組成物は、L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜66%含有する。好ましくは、L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜57%含有する。さらに好ましくは、L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜50%含有する。また好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)として、L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜66、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0含有することを特徴とする。さらに好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)としてL−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜57、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0含有することを特徴とする。より好ましくは、総必須アミノ酸中のモル組成比(%)としてL−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜50、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0含有することを特徴とする。なお、これらのアミノ酸としては、その生理学的に許容できる塩や水和物も使用可能である。例えば、L−リジン塩酸塩、L−ヒスチジン塩酸塩1水和物などである。
【0026】
本発明でいうアミノ酸含有組成物は、遊離態のアミノ酸、ペプチド、あるいはたんぱく質のいずれでも良いし、それらの混合物でもよいが、総L−ロイシン含量がモル比で35%以上であることが必須である。
【0027】
本発明のアミノ酸含有組成物は、毎日連続して摂取するのが適当である。摂取量は、1回に3〜11g、1日当たり7〜22g程度が望ましい。
【0028】
これらのアミノ酸含有組成物は、これに、適当な添加物、例えば、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの他の栄養素いずれか、或いはそれらを組み合わせて配合しても良い。その際には、賦型剤、嬌味剤、色素などと組み合わせることも可能である。
このようにして製造された本発明のアミノ酸含有組成物は、そのまま、すなわち、粉体もしくは液体混合物、ゼリー、通常食品の形態で流通に置くことができる。
【0029】
本発明のアミノ酸含有組成物は、高齢者が経口的に摂取するか、あるいは、高齢者に経腸的に投与されるものであり、食品、医薬品、栄養剤あるいはサプリメントとして提供される。
【実施例】
【0030】
実施例1
表1に示すホエイタンパク質のアミノ酸組成からなる必須アミノ酸混合物を10名の高齢者(男性7名、女性3名、平均年齢66.7歳、平均体重81.7kg)に、また同じく表1に示すロイシンの配合を高めた高ロイシン必須アミノ酸を10名の高齢者(男性5名、女性5名、平均年齢66.5歳、平均体重74.5kg)に経口摂取させた。摂取させたアミノ酸の総量は、ともに6.726gとした。安定同位体標識L−フェニルアラニンを使用し、アミノ酸の摂取から3.5時間後までの筋タンパク質の合成比速度(Fractional Synthesis Rate)を求め、摂取前の合成比速度からの変化を算出した。また、動・静脈のフェニルアラニンの濃度差と血流速度を測定し、アミノ酸摂取から3.5時間のフェニルアラニンの下肢へのネットの取り込み量を、筋タンパク質の蓄積量の指標として求めた。
【0031】
【表1】
【0032】
図1に筋タンパク質の合成比速度の変化を示した。ホエイタンパク質のアミノ酸組成の必須アミノ酸を摂取させた群に比して、高ロイシン必須アミノ酸を摂取させた群において、筋タンパク質合成比速度の増加が認められた。
【0033】
図2にフェニルアラニンの下肢への取り込み量を示した。ホエイタンパク質のアミノ酸組成の必須アミノ酸を摂取させた群に比して、高ロイシン必須アミノ酸を摂取させた群において、有意なフェニルアラニンの下肢への取り込み量の増加、つまり筋タンパク質蓄積量の増加が認められた。以上のように、高ロイシン必須アミノ酸が、高齢者における筋タンパク質の同化作用促進に非常に優れた効果を持つことが示された。
【0034】
実施例2
表2に示すアミノ酸混合物を8名のインスリン抵抗性を有する高齢者(男性4名、女性4名、平均年齢66.1歳、平均体重80.1kg)に16週間摂取させた。アミノ酸は1回11gを1日2回、食間に経口摂取させた。アミノ酸摂取開始前と、開始後4週ごとに、骨格筋量の指標として除脂肪体重(LBM: lean body mass)を二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA: dual energy X-ray absorptiometry)により測定した。脚の筋力をアミノ酸摂取開始前と、開始後8週目、12週目、16週目に測定した。膝屈筋と膝伸筋それぞれの最大挙上重量(1RM: one repetition max)の和を脚の筋力とした。また、4週ごとに75gの経口ブドウ糖負荷試験(OGTT: oral glucose tolerance test)を行ない、インスリン感受性を評価するとともに、血液中脂質濃度を測定した。さらに、肝臓中脂質濃度を8週ごとに磁気共鳴画像法(MRI: magnetic resonance imaging)により測定した。
【0035】
【表2】
【0036】
図3にアミノ酸摂取開始前と比較し、骨格筋量の指標としての除脂肪体重(LBM: lean body mass)の増加量を示した。アミノ酸摂取開始前の除脂肪体重の平均は、51.54kgであった。アミノ酸摂取開始後8週目より、明確な除脂肪体重の増加が認められた。
【0037】
図4にアミノ酸摂取開始前と比較した脚の最大筋力の増加量を示した。アミノ酸摂取開始前の最大筋力の平均は、314.1lbsであった。アミノ酸摂取開始後12週目より、明確な筋力の増加が認められた。
【0038】
図5に経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示した。アミノ酸摂取は血糖値には影響しなかった。
【0039】
図6に経口糖負荷試験実施時の血液中インスリン濃度の推移を示した。アミノ酸摂取開始後8週目よりインスリン濃度は低く推移した。経口ブドウ糖負荷試験時の血糖値の推移には影響が認められなかったことから、アミノ酸摂取によりインスリン感受性が改善したことが示唆される。
【0040】
図7にアミノ酸摂取開始前と比較した血液中コレステロール濃度の変化を示した。アミノ酸摂取開始前のコレステロール濃度の平均は、191mg/dlであった。アミノ酸摂取開始後8週目、16週目で、明確な血液中コレステロール濃度の低下が認められた。
【0041】
図8にアミノ酸摂取開始前と比較した血液中トリグリセリド濃度の変化を示した。アミノ酸摂取開始前のトリグリセリド濃度の平均は、117mg/dlであった。アミノ酸摂取により、明確な血液中トリグリセリド濃度の低下が認められた。
【0042】
図9にアミノ酸摂取開始前と比較した血液中VLDL濃度の変化を示した。アミノ酸摂取開始前のVLDL濃度の平均は、23mg/dlであった。アミノ酸摂取により、明確な血液中VLDL濃度の低下が認められた。
【0043】
図10に肝臓中脂質濃度の変化を示した。アミノ酸摂取により肝臓中脂質濃度の低下が認められた。
【0044】
実施例3
10週齢のSD系雄性ラットを用い、表3に組成を示すアミノ酸の3.5%水溶液を20ml/kgの用量で経口投与した(アミノ酸の投与量は0.7g/kg)。アミノ酸の組成は、ホエイたんぱく質のアミノ酸組成を基本として構成した。つまり基本のホエイたんぱく質のアミノ酸組成であるL−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で25%であり非必須アミノ酸も含有する総合アミノ酸組成物(Leu/EAA 25% TAA)、L−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で49%である必須アミノ酸のみの組成物(Leu/EAA 49% EAA)、L−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で58%であり非必須アミノ酸も含有する総合アミノ酸組成物(Leu/EAA 58% TAA)、あるいはL−ロイシン含量が総必須アミノ酸中のモル比で66%であり非必須アミノ酸も含有する総合アミノ酸組成物(Leu/EAA 66% TAA)とした。投与後30分から50分までの20分間の筋タンパク質合成比速度を、安定同位体標識フェニルアラニンを使用した大量投与法により求めた。
【0045】
【表3】
【0046】
図11に、筋タンパク質合成比速度を示した。L−ロイシン含量を総必須アミノ酸に対するモル比で、49%、58.3%、65.9%と増加した場合は、25.5%であるホエイたんぱく質のアミノ酸組成物を投与した場合に比べて、筋タンパク質合成比速度が増加した。中でも、L−ロイシン含量49%、あるいは58.3%のアミノ酸組成物を投与した場合に、筋タンパク質合成比速度が有意に高まった。
【0047】
実施例4
10週齢のSD系雄性ラットを用い、表4に組成を示すアミノ酸の3.5%水溶液を20ml/kgの用量で経口投与した(アミノ酸の投与量は0.7g/kg)。アミノ酸の組成は、ホエイたんぱく質のアミノ酸組成を基本とし、L−ロイシンの投与量が各群で同じとなるように設定した。投与後30分から50分までの20分間の筋タンパク質合成比速度を、安定同位体標識フェニルアラニンを使用した大量投与法により求めた。
【0048】
【表4】
【0049】
図12に筋タンパク質合成比速度を示した。L−ロイシンの投与量を一定にして比較した場合、L−ロイシンと総必須アミノ酸のモル比は40%である場合に、最も筋タンパク質合成比速度が高まった。
【0050】
実施例5
7週齢のSD系雄性ラットを用い、ホエイたんぱく質あるいは、表5に組成を示すアミノ酸となるようにホエイたんぱく質とアミノ酸を1:1で混合したもの、あるいは、表5のアミノ酸組成物の3.5%水溶液を20ml/kgの用量で経口投与した(投与量は0.7g/kg)。投与後30分から50分までの20分間の筋タンパク質合成比速度を、安定同位体標識フェニルアラニンを使用した大量投与法により求めた。
【0051】
【表5】
【0052】
図13に筋タンパク質合成比速度を示した。ホエイたんぱく質を投与した場合に比べ、L−ロイシンと総必須アミノ酸のモル比を42.3%としたホエイたんぱく質・アミノ酸混合物あるいは、アミノ酸のみの混合物を投与した場合に筋タンパク質合成比速度が高まった。ホエイたんぱく質・アミノ酸混合物とアミノ酸のみの混合物の効果は同等であった。
【0053】
実施例6
2型糖尿病モデルであるKK-Ayマウス雄性5週齢を、25%脂質含有高脂肪食で2週間飼育した。2週間後、14%脂質含有12%カゼイン食(Control)、あるいは表6に示すL−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物をControl食に8%添加した飼料(Leu/EAA 54%)で飼育を開始し、4週間後に1g/kg BWの経口ブドウ糖負荷試験(OGTT: oral glucose tolerance test)を行い、その後ヘモグロビンA1c(HbA1c)、肝臓中脂質含量の測定を行った。
【0054】
【表6】
【0055】
図14に経口ブドウ糖負荷試験実施時の血糖値の推移を示した。L−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物を添加した群においては、血糖値が低く推移し、耐糖能が改善することが示された。
【0056】
図15に過去の血糖値の平均を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)を示した。L−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物を添加した群においては、有意に低値を示し、実験期間中血糖値が低く維持されたことが示された。
【0057】
図16に肝臓脂質含量を示した。L−ロイシンが総必須アミノ酸中にモル比で53.5%となるように配合したアミノ酸混合物を添加した群においては、有意に低値を示し、脂質代謝が改善されたことが示された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜66%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物。
【請求項2】
L−ロイシンが、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜57%含有する、請求項1記載の経口用アミノ酸含有組成物。
【請求項3】
L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜50%含有する、請求項1記載の経口用アミノ酸含有組成物。
【請求項4】
L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜45%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物。
【請求項5】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜66、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項6】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、請求項5記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜57、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項7】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、請求項5記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜50、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項8】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、請求項5記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項9】
アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン12〜16、L−メチオニン3.0〜10、L−フェニルアラニン3.5〜8.0、L−スレオニン11〜14、L−バリン8.5〜15、L−トリプトファン0.0〜1.0、L−アルギニン0.0〜10。
【請求項10】
アミノ酸を、請求項1〜3、5〜8のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項11】
アミノ酸を、請求項1〜3、5〜8のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項12】
アミノ酸を、請求項1〜3、5〜8のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項13】
アミノ酸を、請求項4又は9記載の範囲内の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項14】
アミノ酸を、請求項4又は9記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項15】
アミノ酸を、請求項4又は9記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項1】
L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜66%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物。
【請求項2】
L−ロイシンが、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜57%含有する、請求項1記載の経口用アミノ酸含有組成物。
【請求項3】
L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜50%含有する、請求項1記載の経口用アミノ酸含有組成物。
【請求項4】
L−ロイシンを、総必須アミノ酸中のモル組成比で35〜45%含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物。
【請求項5】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜66、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項6】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、請求項5記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜57、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項7】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、請求項5記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜50、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項8】
総必須アミノ酸中の各必須アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である、請求項5記載の経口用アミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン8.0〜16、L−メチオニン2.0〜10、L−フェニルアラニン2.5〜8.0、L−スレオニン7.0〜14、L−バリン5.0〜15、L−トリプトファン0.0〜2.0。
【請求項9】
アミノ酸の組成が下記の数値範囲のモル組成比(%)である高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するためのアミノ酸含有組成物:L−ヒスチジン0.0〜3.5、L−イソロイシン5.0〜15、L−ロイシン35〜45、L−リジン12〜16、L−メチオニン3.0〜10、L−フェニルアラニン3.5〜8.0、L−スレオニン11〜14、L−バリン8.5〜15、L−トリプトファン0.0〜1.0、L−アルギニン0.0〜10。
【請求項10】
アミノ酸を、請求項1〜3、5〜8のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項11】
アミノ酸を、請求項1〜3、5〜8のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項12】
アミノ酸を、請求項1〜3、5〜8のいずれか1項記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項13】
アミノ酸を、請求項4又は9記載の範囲内の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項14】
アミノ酸を、請求項4又は9記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、インスリン感受性、糖尿病、糖代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【請求項15】
アミノ酸を、請求項4又は9記載の量で含有する、高齢者の骨格筋量減少を防止又は改善するとともに、高脂血症、脂肪肝、脂質代謝異常を防止又は改善するための経口用医薬品、食品、栄養剤またはサプリメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−131819(P2012−131819A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51891(P2012−51891)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2008−504260(P2008−504260)の分割
【原出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2008−504260(P2008−504260)の分割
【原出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】
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