説明

髪ケア装置

【課題】使い勝手が良く、髪の手入れに適した霧を生成することが可能な髪ケア装置を得る。
【解決手段】液体を霧化する霧化機構1Mを備えたヘアードライヤー1において、霧化機構1Mは、気体を圧縮するコンプレッサ2と、コンプレッサ2で圧縮された気体を噴射するノズル3と、ノズル3を通過する気体中に液体を供給する液体供給部4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の髪ケア装置として、グリップ部に手動ポンプおよびタンクを内蔵し、タンク内の液体を手動ポンプによってスプレーノズルから噴霧するようにしたヘアードライヤーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭48−48878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の髪ケア装置では、手動ポンプによって液体を霧化するのであるが、手動ポンプは使い勝手が良くない上、噴霧径が大きく、また噴霧径のばらつきも大きくなって、髪の手入れに適した霧が得られにくいという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、使い勝手が良く、かつ髪の手入れに適した霧を生成しやすい髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にあっては、液体を霧化する霧化機構を備えた髪ケア装置において、上記霧化機構は、気体を圧縮するコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された気体を噴射するノズルと、ノズルを通過する気体中に液体を供給する液体供給部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明にあっては、液体供給部は、霧化する液体を貯留するタンクであることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明にあっては、液体供給部は、冷却により空気中の水分を結露する水滴生成部であることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明にあっては、送風用のファンを備え、上記コンプレッサをファンの駆動源から動力分配して駆動するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、コンプレッサによって手動操作によらずに空気を圧縮して、当該圧縮された空気によって液体を霧化するため、手間をかけることなく、また噴霧の粒径を小さくでき、また粒径のばらつきも小さくすることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、液体供給部をタンクとしたため、当該液体供給部の構成を簡素化することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、液体供給部を冷却により空気中の水分を結露する水滴生成部としたため、液体供給部への液体の補給が不要となって、使い勝手を向上することができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、送風用のファンとコンプレッサとで駆動源を共用できるため、別個に駆動源を設ける場合に比べて装置構成を簡素化でき、髪ケア装置をよりコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素について共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。この図1に示すように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアードライヤー1は、霧化機構1Mと加熱送風機構10とを備えている。
【0015】
霧化機構1Mは、気体を圧縮するコンプレッサ2と、コンプレッサ2で圧縮された気体を噴射するノズル3と、ノズル3を通過する気体中に液体を供給する液体供給部4と、を備えている。これらコンプレッサ2、ノズル3および液体供給部4はケースC内に収納される。なお、本実施形態では、気体は空気であり、液体は水であるが、これには限定されない。
【0016】
コンプレッサ2は、手動の押圧操作によらず、例えば電気的な動力で空気を圧縮する装置であり、例えば公知のターボ圧縮機や容積圧縮機等として構成することができる。コンプレッサ2は、電動モータ部と圧縮部とを内蔵しており、図示省略したスイッチのON/OFFの切換操作に応じて駆動制御されるようになっている。
【0017】
ノズル3は、コンプレッサ2から延在する細長い管状部材によって構成されており、コンプレッサ2で圧縮された空気を先端噴射口3aから所定方向に噴射するようになっている。本実施形態では、噴射方向を加熱送風機構10による送風方向と略平行に設定してある。
【0018】
液体供給部4は、霧化しようとする液体、つまり、本実施形態では水を貯留するタンク5である。このタンク5の底部が連通管5aを介してノズル3の先端部分に連通されている。ここで、このタンク5からノズル3に所望の流量で液体が供給されるよう、連通管5aあるいはタンク5には、適宜に通流抵抗が設定してある。
【0019】
かかる構成の霧化機構1Mでは、コンプレッサ2によって圧縮された空気がノズル3から噴射され、そのとき、ノズル3を通過する空気中に液体供給部4から水が供給される。よって、微細化された噴霧が、圧縮空気とともにノズル3から噴出することになる。
【0020】
加熱送風機構10には、外郭11c内に、一端部(図中右方)の空気吸込口11aから他端部(図中左方)の空気吹出口11bに至る送風路11が形成されており、この送風路11の内部にファン12およびヒータ13を直列に配置してある。
【0021】
ファン12は、ステー14を介して外郭11cの内側に取り付けたモータ15の回転軸15Sに取り付けてある。モータ15の駆動によってファン12が回転することにより、空気吸込口11aから吸い込んだ空気を空気吹出口11bから吹き出すようになっている。なお、本実施形態ではファン12を軸流ファンとして構成した場合を開示したが、もちろん、これに限ることなくシロッコファンや遠心ファン等の送風可能なファン形状であればよい。
【0022】
ヒータ13は、雲母等の耐熱薄板13aを十字状に組み付けて、その外周にニクロム線等の電気抵抗発熱線13bを巻回して構成されている。
【0023】
送風路11内で、ファン12は送風の上流側に配置され、ヒータ13はファン12より下流側に配置されている。ヒータ13を作動させた状態では、ファン12で発生した送風がヒータ13で加熱され、空気吹出口11bから温風が吹き出される。
【0024】
以上の本実施形態によれば、コンプレッサ2によって空気を圧縮するため、手動機構で圧縮する場合に比べて容易にしかも精度良く噴出圧力を所望の値に高めることができる。したがって、より微細にしかもより均一化された噴霧を形成することができる。また、手動操作によって空気を圧縮する場合に比べて、使用者の手間を大幅に減らし、使い勝手の良いヘアードライヤー1を得ることができる。
【0025】
また、液体供給部4をタンク5としたため、当該液体供給部4の構成を簡素化することができる。
【0026】
(第2実施形態)図2,図3は本発明の第2実施形態を示している。このうち、図2は、髪ケア装置の断面図、図3は、図2中A部の拡大断面図である。
【0027】
図2に示すように、本実施形態にかかるヘアードライヤー1Aは、上記第1実施形態と全く同様の加熱送風機構10を備えるとともに、基本構成が類似する霧化機構1MAを備えている。
【0028】
ただし、本実施形態では、霧化機構1MAの液体供給部4として、冷却により空気中の水分を結露するペルチェユニット6(水滴生成部)を備えている。
【0029】
ペルチェユニット6は、図3に示すように、熱電素子6aを挟んで一対の電極板6b,6cを配置して概ね構成してある。そして、両電極板6b,6c間を通電することにより、一方の電極板6bが冷却されるとともに、他方の電極板6cが加熱され、その電極板6cの熱を放熱フィン6dによって逃がすようになっている。このとき、冷却側の電極板6bを全体的にノズル3に接触させて配置し、ノズル3のうち当該電極板6bが接触する部分を冷却して、当該部分の内側(内面)に結露(水滴)dが生じるようにしてある。こうして、ノズル3の内側に生じた結露(水滴)dが高圧の空気とともにノズル3から噴射され、これにより微細な噴霧が形成される。
【0030】
以上の本実施形態によれば、液体供給部4を、冷却により空気中の水分を結露dするペルチェユニット6で構成したので、液体供給部4に水を補給することなくノズル3側への水分の供給が可能となり、より一層使い勝手の良いヘアードライヤー1Aを得ることができる。
【0031】
(第3実施形態)図4は、本発明の第3実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。この図4に示すように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアードライヤー1Bは、上記第1実施形態と全く同様の加熱送風機構10を備えるとともに、基本構成が類似する霧化機構1MBを備えている。
【0032】
ただし、本実施形態では、霧化機構1MBのコンプレッサ2を、送風用のファン12の駆動源であるモータ15から動力分配して駆動している。
【0033】
すなわち、モータ15の動力分配は、モータ15の回転軸15Sおよびコンプレッサ2の駆動軸2Sにそれぞれプーリ20,20aを設け、それらプーリ20,20a間にベルト21を周回させ、これによりモータ15の回転軸15Sの回転をコンプレッサ2の駆動軸2Sに伝達するものである。したがって、かかる構成では、モータ15は、ファン12を回転するとともに、プーリ20,20aおよびベルト21を介してコンプレッサ2を駆動することになる。
【0034】
以上の本実施形態によれば、コンプレッサ2は、ファン12を駆動するモータ15から動力分配して駆動されるため、別個に駆動源を設ける場合に比べてヘアードライヤー1Bの装置構成を簡素化して、よりコンパクトに構成することができる。
【0035】
なお、液体供給部4は、上記第2実施形態のヘアードライヤー1Aと同様にペルチェユニット6(図3参照)として構成してもよい。
【0036】
(第4実施形態)図5は、本発明の第4実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。この図5に示すように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアーアイロン100は、グリップ部101の先端部101aから突出した巻付け胴部102と、この巻付け胴部102の基部102aに回動支持部103を介して回動可能かつ閉じ方向に付勢して連結した押え板104と、を備えて概ね構成してある。104Lは押え板104を開く際に握持するレバーである。
【0037】
そして、巻付け胴部102は中空状に形成し、その内部にヒータ105を設置して、巻付け胴部102と押え板104との間に髪を挟んで、それらの外側に髪を巻き付けて加熱することにより、髪にカールを付けることができるようになっている。
【0038】
ここで、本実施形態にかかるヘアーアイロン100は、第1実施形態に示したものと同様の霧化機構1Mを内蔵している。すなわち、グリップ部101内を空洞状に形成して、その空洞部101S内にコンプレッサ2、ノズル3、および液体供給部4を配設してある。
【0039】
コンプレッサ2は、上記第1実施形態と同様に空気を圧縮する。また、ノズル3は、先端噴射口3aをグリップ部101の先端部101aに開口してあり、その先端噴射口3aからコンプレッサ2で圧縮された空気を巻付け胴部102の近傍に噴出させるようになっている。さらに、液体供給部4は、水を貯留するタンク5とし、連通管5aを介してノズル3の先端部分に連通させてある。
【0040】
よって、本実施形態にかかるヘアーアイロン100では、巻付け胴部102と押え板104との間に髪を挟んで加熱して髪にカールを付ける際に、霧化機構1Mを作動させ、ノズル3から微粒化された噴霧を噴射することができる。したがって、巻付け胴部102に巻回した髪を矯正しやすくなる。
【0041】
そして、本実施形態によれば、コンプレッサ2を含む霧化機構1Mを設けたため、手動操作によって空気を圧縮する場合に比べて、使用者の手間を大幅に減らし、使い勝手の良いヘアーアイロン100を得ることができる。
【0042】
なお、このヘアーアイロン100において、霧化機構は、上記第2または第3実施形態にかかる霧化機構1MA,1MBとして構成してもよい。
【0043】
(第5実施形態)図6は、本発明の第5実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。この図6に示すように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアーブラシ200は、ブリスル群201を突設した胴部202と、この胴部202を取り付けたグリップ部203と、によって概ね構成してあり、胴部202内を空洞部202Sとしてある。
【0044】
そして、本実施形態のヘアーブラシ200は、第1実施形態に示したものと同様の霧化機構1Mを内蔵している。すなわち、グリップ部101の空洞部202S内にコンプレッサ2、ノズル3、および液体供給部4を配設してある。
【0045】
コンプレッサ2は、上記第1実施形態と同様に空気を圧縮する。また、ノズル3は、先端噴射口3aを胴部202のブリスル群201を配置した側の基部に開口してあり、その先端噴射口3aからコンプレッサ2で圧縮された空気をブリスル群201に向けて噴出させるようになっている。さらに、液体供給部4は、水を貯留するタンク5とし、連通管5aを介してノズル3の先端部分に連通させてある。
【0046】
よって、本実施形態にかかるヘアーブラシ200では、ブリスル群201で毛髪を梳かす際に、霧化機構1Mを作動させ、ノズル3から微粒化された噴霧を噴射することができる。したがって、ブリスル群201で梳かす髪を矯正しやすくなる。
【0047】
そして、本実施形態によれば、コンプレッサ2を含む霧化機構1Mを設けたため、手動操作によって空気を圧縮する場合に比べて、使用者の手間を大幅に減らし、使い勝手の良いヘアーブラシ200を得ることができる。
【0048】
なお、このヘアーブラシ200において、霧化機構は、上記第2または第3実施形態にかかる霧化機構1MA,1MBとして構成してもよい。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、種々に変形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。
【図3】図2中A部の拡大断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態にかかる髪ケア装置の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1,1A,1B ヘアードライヤー(髪ケア装置)
1M,1MA,1MB 霧化機構
2 コンプレッサ
3 ノズル
4 液体供給部
5 タンク
6 ペルチェユニット(水滴生成部)
10 ドライヤー(髪ケア装置)
15 モータ
100 髪巻きアイロン(髪ケア装置)
200 ヘアーブラシ(髪ケア装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を霧化する霧化機構を備えた髪ケア装置において、
前記霧化機構は、
気体を圧縮するコンプレッサと、
コンプレッサで圧縮された気体を噴射するノズルと、
ノズルを通過する気体中に液体を供給する液体供給部と、
を備えることを特徴とする髪ケア装置。
【請求項2】
液体供給部は、霧化する液体を貯留するタンクであることを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項3】
液体供給部は、冷却により空気中の水分を結露する水滴生成部であることを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項4】
送風用のファンを備え、前記コンプレッサをファンの駆動源から動力分配して駆動するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の髪ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−106363(P2009−106363A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279279(P2007−279279)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】