説明

髪ケア装置

【課題】加湿性能をより高めることが可能な髪ケア装置を得る。
【解決手段】ヘアドライヤー1には、送風ファン2により空気吸込口3aから導入した空気を空気吹出口3bから吹き出す送風路3が形成され、送風路3内の送風を加湿する加湿ユニット4を設けてある。そして、加湿ユニット4を複数の筒状加湿体5とタンク6とによって構成し、筒状加湿体5の筒状部5aの内周面に加湿部5bを取り付け、タンクで貯留した水Lを加湿部5bに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿機能を備えた髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアドライヤーなどの髪ケア装置において、加湿機能を付加したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭62−199003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示される髪ケア装置では、送風路またはフードの内面に加湿材を設けるとともに、加湿する際には加湿材を一旦取り外し、水に浸した後に再度取り付けて、加湿可能な状態を得るようになっていた。このため、手間がかかり、使い勝手が悪いものとなっていた。
【0004】
さらに、上記特許文献1には、加湿材に水分を供給する加水容器を設けた例も開示されるが、かかる加水容器を設けた場合にも加湿材自体が送風路やフードの内面に沿った環状であるため、加湿性能が当該内面の大きさに依存することになり、加湿性能を高めるのに限界があった。
【0005】
そこで、本発明は、加湿性能をより高めることが可能な髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、空気吸込口から空気吹出口に至る送風路が形成され、上記送風路内に設置され上記空気吸込口から吸い込んだ空気を上記空気吹出口から吹き出すファンと、上記送風路内の送風を加湿する加湿ユニットと、を備えた髪ケア装置において、上記加湿ユニットは、筒状部と、当該筒状部の内周面および外周面のうち少なくともいずれか一方に設けられる加湿部と、を有する筒状加湿体を複数備えるとともに、当該加湿部に液体を供給する液体供給部を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、上記送風路内に、当該送風路内の送風を加熱するとともにその作動を切換可能なヒータを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、上記複数の筒状加湿体を、送風路の内周に沿って配列したことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、上記複数の筒状加湿体のうち少なくとも一つに、その側壁の内外を貫通する空気通過孔を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、上記複数の筒状加湿体を、それぞれから吐出された空気が所定範囲内に集束するように配列したことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、上記複数の筒状加湿体を、断面を正六角形状に形成して相互に密接配置してハニカム構造を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、上記液体供給部は、空気を冷却して水分を結露させる液体生成部を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、上記加湿ユニットを、上記送風路から分岐した分岐通路内に配置したことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、上記送風路の空気吹出口に、上記複数の筒状加湿体のうちいずれかの空気出口を閉塞する閉塞体を設けた着脱部材を着脱自在に取り付けたことを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、空気と接触する上記加湿部の外面が蒸気透過膜で覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、内周面および外周面のうち少なくともいずれか一方に加湿部を有する筒状加湿体を複数設けたため、加湿部の空気との接触面積を大きく確保しやすくなって、加湿性能を高めやすくなる。
【0017】
請求項2の発明によれば、ヒータの作動を切り換えて得られる温風状態と冷風状態の双方について、加湿状態を得ることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、複数の筒状加湿体を送風路の内周に沿って配列したので、筒状加湿体の数をより多くして加湿量を増大できるとともに、送風路内で送風を加湿できる範囲を拡大することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、空気が空気通過孔を通過して筒状加湿体の内外側を通過する空気が互いに混じる分、加湿効率を向上することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、加湿された送風が拡散するのを抑制して、加湿したい毛髪部分を集中的に加湿することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、筒状加湿体と空気との接触面積を増大して加湿効率をより向上することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、液体を補給することなく加湿部に水分を供給できるので、使い勝手を向上することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、送風路から吹き出す加湿されない送風と、分岐通路から吹き出す加湿された送風と、を適宜に使い分けることができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、着脱部材の着脱によって加湿量を比較的容易に調節することができる。
【0025】
請求項10の発明によれば、蒸気透過膜によって加湿部から気化した成分のみを通過させつつ、加湿部から液体が漏れるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素について共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0027】
(第1実施形態)図1〜図4は、本発明の第1実施形態を示しており、図1は、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図、図2は、送風路の空気吹出口側の側面図、図3は、図1中III−III線に沿った断面図、図4は、加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の髪ケア装置としてのヘアドライヤー1には、送風ファン2により空気吸込口3aから導入した空気を空気吹出口3bから吹き出す送風路3が形成されている。また、送風路3内の送風を加湿する加湿ユニット4を設けてある。
【0029】
送風路3は、所定長さの円筒状外郭3cの内方に形成してあり、その一端側(図中右側)に空気吸込口3aを形成し、他端側(図中左側)に空気吹出口3bを形成してある。また、空気吸込口3a近傍の送風路3内には、送風ファン2を配置してある。なお、各図では、円筒状外郭3c部分のみを示しているが、当該円筒状外郭3cの下側には図示省略したグリップを設けてある。このグリップには送風ファン2やヒータ等の作動を切り換えたり、風量を調節したりするスイッチを設けてある。
【0030】
送風ファン2は、図示省略したステーによって円筒状外郭3cに支持したファンモータ2aと、このファンモータ2aによって送風路3のほぼ中心軸上で回転するファンブレード2bと、を備え、所謂軸流式ファンとして構成されている。
【0031】
加湿ユニット4は、複数の筒状加湿体5と液体供給部としてのタンク6とを含んでいる。筒状加湿体5は、図4に示すように、筒状部5aと、この筒状部5aの内周面に取り付けた加湿部5bと、を含んでいる。
【0032】
複数の筒状加湿体5は、中心軸が送風路3内を通過する送風方向とほぼ平行となる姿勢で配置してある。空気は、空気入口5cから筒内に入り空気出口5dから出る。
【0033】
また、加湿部5bは、保水性に富む材料、例えば、フェルト、スポンジ、不織布、織布、紙、多孔質のセラミック、発泡金属などの材料によって形成される。
【0034】
タンク6は、図1に示すように、円筒状外郭3cの上側外面に設置した密閉容器6aを備えており、この密閉容器6a内に液体としての水Lを貯留するようになっている。密閉容器6aの上側面には、図4に示すように注水口6bを取り付けてあり、この注水口6bには着脱自在にキャップ6cを設けて密閉してある。
【0035】
また、密閉容器6aの底面には、上述した筒状加湿体5の筒状部5aの空気入口5c側端部と連結する厚肉の連結部7を突設してある。そして、連結部7の肉厚内部には、加湿部5bの空気入口5c側端部に連通する隙間7aを形成し、その隙間7aに保水材8を挿入してある。
【0036】
保水材8は、例えば、加湿部5bと同様に、フェルト、スポンジ、不織布、織布、紙、多孔質のセラミック、発泡金属などの材料によって形成することができる。この保水材8は、一端部を密閉容器6a内に突出して貯留した水L中に浸漬するとともに、他端部を加湿部5bの空気入口5c側端に接触させてある。
【0037】
したがって、タンク6内に貯留した水Lは保水材8に含浸され、そして、水Lの自重や毛細管現象によって保水材8に接触した筒状加湿体5の加湿部5bへと浸透し、当該加湿部5bに保水される。
【0038】
このとき、加湿部5bの、空気と接触する外面、つまり、本実施形態では加湿部5bの内周面は、蒸気透過膜5eで覆ってある。ここで、蒸気透過膜5eとは、水Lなどの液体の液相状態での通過を遮断しつつ、空気や蒸気などの気相状態での通過を許容する膜である。
【0039】
さらに、本実施形態では、図2および図3に示すように、複数の筒状加湿体5を送風路3の内周に沿って配列してある。すなわち、複数の筒状加湿体5は、互いに隣接する筒状部5aを相互に連結して全体的に円筒状外郭3cの内周に沿った環状に形成してある。
【0040】
各筒状加湿体5は、タンク6の連結部7に結合しており、各筒状加湿体5の加湿部5bと連結部7の隙間7aに挿入した保水材8とを接触させてある。したがって、一つのタンク6から各筒状加湿体5の加湿部5bに水分供給できるようになっている。
【0041】
上記構成のヘアドライヤー1では、送風ファン2を作動することにより送風路3内に送風が発生し、その送風は空気吹出口3bから吹き出す。このとき、送風路3内を通過する送風の一部は筒状加湿体5を通過し、その筒状加湿体5を通過した空気は、内周面の加湿部5bから気化した水分を取り込んで送風を加湿する。したがって、空気吹出口3bから吹き出す送風を加湿することができ、その加湿した送風で毛髪を整髪することができる。
【0042】
ここで、本実施形態によれば、加湿ユニット4を複数の筒状加湿体5とタンク6とを備えて構成してあり、筒状加湿体5は、内周面に加湿部5bを有する筒状となっている。こうすることで、加湿部5bの空気との接触面積を大きく確保しやすくなって、加湿性能を高めやすくなる。
【0043】
また、タンク6は、これに貯留した水L中に浸漬した保水材8を介して筒状加湿体5の加湿部5bに水分を供給できるので、加湿部5bを比較的長期に亘って湿潤状態に保持でき、これによって十分な加湿状態を持続させることができる。
【0044】
さらに、本実施形態では複数の筒状加湿体5を送風路3の内周に沿って配列したので、筒状加湿体5の数をより多くして加湿量を増大できるとともに、送風路3内で送風を加湿できる範囲を拡大することができる。
【0045】
さらにまた、筒状加湿体5の加湿部5bが空気と接触する外面(内周面)を蒸気透過膜5eで覆ったので、その蒸気透過膜5eによって加湿部5bから気化した成分のみを通過させつつ、加湿部5bから液体が漏れるのを防止することができる。
【0046】
(第2実施形態)図5は、本発明の第2実施形態にかかる加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【0047】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーは、上記第1実施形態と基本的には同様の構成を備えている。
【0048】
すなわち、本実施形態にかかる加湿ユニット40は、筒状加湿体50と液体供給部としてのタンク6とを備え、筒状加湿体50の加湿部5bに保持した水分の気化によって、送風路3内を通過する送風を加湿するものである。
【0049】
ただし、筒状部5aの内周面のみならず外周面にも加湿部5b′を取り付けた点が、上記第1実施形態と相違している。
【0050】
もちろん、外周面に取り付けた加湿部5b′についても、内周面の加湿部5bと同様に、その空気入口5c側端がタンク6の水L中に浸漬した保水材8と接触しており、この保水材8から水分の供給を受けるようになっている。
【0051】
また、本実施形態にあっても、筒状部5aの内周面および外周面にそれぞれ取り付けた加湿部5b、5b′の空気と接触する外面、つまり、加湿部5bの内周面と加湿部5b′の外周面をそれぞれ蒸気透過膜5eで覆ってある。
【0052】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、筒状加湿体5の内周面および外周面を加湿部5b、5b′で覆ったので、筒状加湿体5の内外側を通過する空気が内周面の加湿部5bのみならず外周面の加湿部5b′にも接触する。したがって、送風と加湿部5b、5b′との接触面積が増大して加湿効率をさらに向上することができる。
【0053】
(第3実施形態)図6は、本発明の第3実施形態にかかる加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【0054】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーも、上記第1実施形態と基本的には同様の構成を備えている。
【0055】
すなわち、本実施形態にかかる加湿ユニット41は、筒状加湿体51と液体供給部としてのタンク6とを備え、筒状加湿体51の加湿部5bに保持した水分の気化によって、送風路3内を通過する送風を加湿するものである。
【0056】
ただし、筒状加湿体51の側面に内外を連通する複数の空気通過孔5fを設けた点が、上記第1実施形態と相違している。
【0057】
また、筒状加湿体51には、第2実施形態と同様に、筒状部5aの内周面および外周面に加湿部5b、5b′を設けてあり、また、それら加湿部5b、5b′の空気と接触する外面を蒸気透過膜5eで覆ってある。このため、空気通過孔5fは、筒状部5aと加湿部5b、5b′と蒸気透過膜5eとをそれぞれ貫通しており、加湿部5b、5b′および蒸気透過膜5eに形成した空気通過孔5fの内周を、筒状部5aから突出した薄肉筒状部5a′によって留めてある。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、筒状加湿体51の内周面および外周面に加湿部5b、5b′を設けたことにより、第2実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、さらに、筒状加湿体51の側面に複数の空気通過孔5fを設けたので、それら空気通過孔5fを空気が通過して筒状加湿体51の内外側を通過する空気が互いに混じる分、加湿効率を向上することができる。
【0059】
なお、空気通過孔5fは複数設けた筒状加湿体5の全てに形成することは必須ではない。また、空気通過孔5fは一つの筒状加湿体5に対して複数形成することも必須ではない。
【0060】
(第4実施形態)図7は、本発明の第4実施形態にかかる加湿ユニットの複数の筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【0061】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーは、上記第1実施形態と基本的には同様の構成を備えている。
【0062】
すなわち、本実施形態にかかる加湿ユニット42は、筒状加湿体52と液体供給部としてのタンク6とを備え、筒状加湿体52の内周面に設けた加湿部5bに保持した水分の気化によって、送風路3内を通過する送風を加湿するものである。
【0063】
ただし、複数の筒状加湿体52を、それぞれから吐出された空気が所定範囲内に集束するように配列した点が、上記第1実施形態と相違している。具体的には、複数の筒状加湿体52の空気出口5d側(の中心軸)を所定範囲A内に向けて指向させてある。
【0064】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、複数の筒状加湿体52を、それぞれから吐出された空気が所定範囲内に集束するように配列したので、加湿された送風が拡散するのを抑制して、加湿したい毛髪部分を集中的に加湿することができる。
【0065】
なお、本実施形態にあっても筒状加湿体52は、第2実施形態に示すように内周面および外周面に加湿部5b、5b′を設けることが好ましく、また、第3実施形態に示すように空気通過孔5fを設けることが好ましい。
【0066】
(第5実施形態)図8は、本発明の第5実施形態にかかる送風路の空気吹出口側の側面図である。
【0067】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーも、上記第1実施形態と基本的には同様の構成を備えている。
【0068】
すなわち、本実施形態にかかる加湿ユニット43は、筒状加湿体53と液体供給部としてのタンク6とを備えている。
【0069】
ただし、本実施形態では、複数の筒状加湿体53の断面を正六角形として相互に密接配置し、ハニカム構造とした点が、上記第1実施形態とは相違している。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、複数の筒状加湿体53の断面を正六角形としてハニカム構造を形成したので、筒状加湿体53と空気との接触面積を増大して加湿効率をより向上することができる。
【0071】
なお、本実施形態にあっても、加湿部5bの外面に蒸気透過膜5e(図4参照)を設けることができるし、筒状加湿体53に空気通過孔5f(図6参照)を設けることができる。
【0072】
(第6実施形態)図9および図10は本発明の第6実施形態を示しており、図9は、ヘアドライヤーの送風路の断面図、図10は、加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【0073】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤー1Aも、上記第1実施形態と基本的には同様の構成を備えている。加湿ユニット44は、複数の筒状加湿体54と液体供給部とを備えている。
【0074】
ただし、本実施形態では、液体供給部が空気を冷却して空気中の水分を結露させる液体生成部としてのペルチェユニット60を含んでいる点が、上記第1実施形態とは相違している。ペルチェユニット60は送風路3内に配置されるとともに、筒状加湿体54に対して送風の上流側に配置してある。
【0075】
ペルチェユニット60は、図10に示すように、熱電素子60aを挟んで一対の電極板60b,60cを配置して概ね構成してあり、両電極板60b,60c間に通電することにより、一方の電極板60bが冷却されるとともに、他方の電極板60cが加熱され、その電極板60cの熱を放熱フィン60dによって逃がすようになっている。
【0076】
そして、結露部60eを冷却側の電極板60bから一体に突設して、その先端部を連結部7の隙間7aに挿入した保水材8に挿入してある。
【0077】
したがって、ペルチェユニット60を作動させると、冷却側の電極板60bによって結露部60eが冷却され、その結露部60eに空気中の水分が水滴dとなって結露する。すると、結露部60eに結露した水滴dは送風によって下流側に順次押しやられて保水材8に含浸し、この保水材8から加湿部5bへと浸透していくことになる。
【0078】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、液体供給部を冷却して空気中の水分を結露させるペルチェユニット60によって構成したので、水分を補給することなく加湿部5bに水分を供給できるので、使い勝手を向上することができる。
【0079】
なお、本実施形態にあっても、筒状加湿体54は、第2実施形態に示すように内周面および外周面に加湿部5b、5b′を設けることが好ましく、また、第3実施形態に示すように空気通過孔5fを設けることが好ましい。
【0080】
(第7実施形態)図11は本発明の第7実施形態にかかるヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【0081】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤー1Bには、送風ファン2により空気吸込口3aから導入した空気を空気吹出口3bから吹き出す送風路3が形成されるとともに、当該送風路3内の送風を加湿する加湿ユニット4を備えている。
【0082】
本実施形態にかかるヘアドライヤー1Bも、基本的には上記第1実施形態と同様の構成を備えるが、送風路3内に、当該送風路3内の送風を加熱するとともにその作動(作動/非作動、作動状態など)を切換可能なヒータ9を設けた点が、上記第1実施形態と相違している。
【0083】
ヒータ9は、送風路3のほぼ中心軸上に配置した耐熱絶縁筒9aと、この耐熱絶縁筒9aの外周に螺旋状に巻回したニクロム線などの電熱線9bと、を有し、ヘアドライヤー1Bの図示省略したグリップにヒータ9のONおよびOFFを切り換えるスイッチを設けてある。したがって、そのスイッチをONすることによりヒータ9が作動して空気吹出口3bから温風を吹き出すとともに、スイッチをOFFすることによりヒータ9が作動停止して空気吹出口3bから冷風を吹き出すようになっている。
【0084】
このとき、本実施形態では、ヒータ9を送風ファン2と加湿ユニット4の筒状加湿体5との間、つまり、送風ファン2の下流側で筒状加湿体5の上流側に配置し、そのヒータ9で加熱した送風を筒状加湿体5に当てるようにしてある。
【0085】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、送風路3内にヒータ9を設けて送風路3内の送風を加熱するようにしたので、温風状態と冷風状態でそれぞれの状況に応じて加湿することができるようになり、整髪効果を増すことができる。
【0086】
図12は、第7実施形態の変形例にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【0087】
すなわち、本変形例のヘアドライヤー1Cは、送風ファン2の下流側にヒータ9を配置するのは第7実施形態と同様であるが、加湿ユニット4の筒状加湿体5をヒータ9の外周から適宜間隔を設けて同心状に配置してある。
【0088】
したがって、本変形例によれば、ヒータ9で加熱した送風が直接筒状加湿体5に当たるのを抑制できるため、第7実施形態に比較して筒状加湿体5の耐久性を向上することができる。
【0089】
なお、第7実施形態およびその変形例では第1実施形態と同様の加湿ユニット4を用いたが、これに限ることなく第2実施形態〜第5実施形態に示した加湿ユニット40〜44のいずれかを用いてもよい。
【0090】
(第8実施形態)図13は本発明の第8実施形態にかかるヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【0091】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤー1Dには、送風ファン2により空気吸込口3aから導入した空気を空気吹出口3bから吹き出す送風路3が形成されるとともに、当該送風路3内の送風を加湿する加湿ユニット4を設けてある。
【0092】
ただし、本実施形態では、加湿ユニット4を、送風路3から分岐した分岐通路31内に配置した点が、上記第1実施形態と相違している。
【0093】
具体的には、送風路3の円筒状外郭3cの上側に分岐通路31を形成し、加湿ユニット4の複数の筒状加湿体5を分岐通路31の内側に配置するとともに、タンク6を分岐通路31の上側外面に設置してある。
【0094】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、加湿ユニット4を、送風路3から分岐した分岐通路31内に配置したので、送風路3から吹き出す加湿されない送風と、分岐通路31から吹き出す加湿された送風と、を適宜に使い分けることができる。
【0095】
なお、本実施形態では第1実施形態と同様の加湿ユニット4を用いたが、これに限ることなく第2実施形態〜第5実施形態に示した加湿ユニット40〜44のいずれかを用いてもよい。
【0096】
(第9実施形態)図14は本発明の第9実施形態にかかるヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【0097】
本実施形態の髪ケア装置としてのヘアドライヤー1Eには、送風ファン2により空気吸込口3aから導入した空気を空気吹出口3bから吹き出す送風路3が形成されるとともに、当該送風路3内の送風を加湿する加湿ユニット4が設けてある。
【0098】
ただし、本実施形態では、送風路3の空気吹出口3bに、筒状加湿体5の空気出口5dを閉塞する閉塞体10を設けた着脱部材11を着脱自在に取り付けた点が、上記第1実施形態と相違している。
【0099】
着脱部材11は、送風路3の空気吹出口3bの形状に沿って環状に形成して、その空気吹出口3bに着脱自在に取り付けてある。他方、閉塞体10は、先端部が筒状加湿体5の空気出口5dに嵌合する棒状に形成してあり、その閉塞体10を着脱部材11から送風路3内方に向かって突設してある。
【0100】
このとき、閉塞体10は複数の筒状加湿体5の全てに対応した本数を設けてもよいが、本実施形態では複数の筒状加湿体5のうちのいくつかに対応させて設けてあり、少なくとも一つの筒状加湿体5に対応させて設ければ足りる。
【0101】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するのはもちろんのこと、送風路3の空気吹出口3bに、複数の筒状加湿体5のうちいずれかの空気出口5dを閉塞する閉塞体10を設けた着脱部材11を着脱自在に取り付けたため、着脱部材11を空気吹出口3bに装着した場合には、閉塞体10によってそれに対応した筒状加湿体5を閉塞できるので、その筒状加湿体5による加湿機能を停止することができる。したがって、着脱部材11を着脱することによりヘアドライヤー1Eの加湿量を調節することができる。
【0102】
図15は、第9実施形態の変形例にかかるヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【0103】
すなわち、本変形例にかかるヘアドライヤー1Fは、送風路3の空気吹出口3bに着脱自在に装着するノズル12を着脱部材として利用し、そのノズル12に閉塞体10を設けてある。
【0104】
したがって、本変形例によれば、ノズル12を装着して送風路3から吹き出す送風を集中させた際には、加湿量を減少させて調整することができ、整髪をより良好に行うことができる。
【0105】
なお、第9実施形態およびその変形例では第1実施形態と同様の加湿ユニット4を用いたが、これに限ることなく第2実施形態〜第5実施形態に示した加湿ユニット40〜44のいずれかを用いてもよい。
【0106】
(第10実施形態)図16は本発明の第10実施形態にかかるヘアブラシの送風路の断面図である。
【0107】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシ1Gは、ブリスル群100を突設した胴部101と、この胴部101から突設するグリップ部102と、によって概ね構成してあり、グリップ部102から胴部101に亘って送風路となる連続した空洞部103を形成してある。
【0108】
空洞部103は、グリップ部102の先端部に空気吸込口103aを形成するとともに、胴部101のブリスル群100を突設した中腹部に空気吹出口103bを形成してある。また、胴部101とグリップ部102との境界部近傍に設けた隔壁104の開口部104aに送風ファン2を取り付けて、その送風ファン2を作動することにより、空気吸込口103aから導入した空気を空気吹出口103bから吹き出すようになっている。
【0109】
そして、胴部101の空洞部103内に加湿ユニット4を配置してあり、加湿ユニット4は、第1実施形態と同様に複数の筒状加湿体5と液体供給部としてのタンク6とによって構成してある。複数の筒状加湿体5は胴部101の長さ方向に配列して送風ファン2と空気吹出口103bとの間に配置してあるとともに、タンク6は、ヘアブラシ1Gを図示する縦状態で使用することを前提として胴部101の空洞部103の先端部に配置してある。筒状加湿体5およびタンク6は第1実施形態と同様に構成してあり、その詳細な説明は省略する。
【0110】
したがって、本実施形態のヘアブラシ1Gによれば、送風ファン2の作動により空洞部103内に空気吸込口103aから空気吹出口103b方向に送風が発生し、その送風は空気吹出口103bの手前側で複数の筒状加湿体5を通過する。このため、空気吹出口103bから吹き出す送風を加湿することができ、毛髪を梳かす際に効果的に整髪することができる。
【0111】
もちろん、本実施形態にあっても第1実施形態と同様の加湿ユニット4を用いたが、これに限ることなく第2実施形態〜第5実施形態に示した加湿ユニット40〜44のいずれかを用いてもよい。
【0112】
(第11実施形態)図17は本発明の第11実施形態にかかるヘアアイロンの送風路の断面図である。
【0113】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロン1Hは、一対の挟み部200,201を回動部202を中心として回動自在に連結して構成してあり、それら両挟み部200,201の対向面200a,201aには、それぞれアイロン板203,204を設けてある。そして、一方の挟み部200に設けたアイロン板203をヒータ205によって加熱するようになっている。
【0114】
したがって、両方の挟み部200,201を開いた状態で、毛髪を一対のアイロン板203,204の間に挟み、その後、挟み部200,201を閉じて両アイロン板203,204間に毛髪を挟むことにより整髪することができる。
【0115】
ここで、本実施形態では、少なくとも一方の挟み部200に送風路となる空洞部206を形成し、その空洞部206の回動部202側端部に空気吸込口206aを形成するとともに、アイロン板203に空気吹出口206bを形成してある。そして、空洞部206内には、空気吸込口206a側近傍に送風ファン2を配置するとともに、空気吹出口206bを形成したアイロン板203の近傍に加湿ユニット4を配置してある。
【0116】
加湿ユニット4は、第1実施形態と同様に複数の筒状加湿体5と液体供給部としてのタンク6とによって構成してある。複数の筒状加湿体5は空気吹出口206bから吐出する送風方向に沿って配置してある。また、タンク6は、空洞部206内の先端部に配置してある。これら筒状加湿体5およびタンク6は第1実施形態と同様に構成してあり、その詳細な説明は省略する。
【0117】
したがって、本実施形態のヘアアイロン1Hよれば、送風ファン2の作動により空洞部103内に送風が発生すると、その送風は筒状加湿体5を通過した後に空気吹出口103bから一対のアイロン板203,204間に吹き出す。これにより、アイロン板203,204間に吹き出す送風は加湿状態となり、両アイロン板203,204間に挟んだ毛髪を効率良く整髪することができる。
【0118】
また、本実施形態にあっても第1実施形態と同様の加湿ユニット4を用いたが、これに限ることなく第2実施形態〜第5実施形態に示した加湿ユニット40〜44のいずれかを用いてもよい。
【0119】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、ヘアドライヤー、ヘアブラシおよびヘアアイロン以外の髪ケア装置にあっても、もちろん、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の側面図である。
【図3】図1中III−III線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置に含まれる加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置に含まれる加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる髪ケア装置に含まれる加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる髪ケア装置に含まれる加湿ユニットの複数の筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる髪ケア装置に形成される送風路の空気吹出口側の側面図である。
【図9】本発明の第6実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態にかかる髪ケア装置に含まれる加湿ユニットの一つの筒状加湿体と液体供給部とを示す拡大断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態の変形例にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【図13】本発明の第8実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【図14】本発明の第9実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【図15】本発明の第9実施形態の変形例にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤーの送風路の断面図である。
【図16】本発明の第10実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの送風路の断面図である。
【図17】本発明の第11実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロンの送風路の断面図である。
【符号の説明】
【0121】
1,1A〜1F ヘアドライヤー(髪ケア装置)
1G ヘアブラシ(髪ケア装置)
1H ヘアアイロン(髪ケア装置)
2 送風ファン
3 送風路
3a 空気吸込口
3b 空気吹出口
31 分岐通路
4,40〜44 加湿ユニット
5,50〜54 筒状加湿体
5b,5b′ 加湿部
5c 空気入口
5d 空気出口
5e 蒸気透過膜
5f 空気透過孔
6 タンク(液体供給部)
60 ペルチェユニット(液体生成部、液体供給部)
9 ヒータ
10 閉塞体
11 着脱部材
12 ノズル(着脱部材)
103,206 空洞部(送風路)
103a,206a 空気吸込口
103b,206b 空気吹出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸込口から空気吹出口に至る送風路が形成され、前記送風路内に設置され前記空気吸込口から吸い込んだ空気を前記空気吹出口から吹き出すファンと、前記送風路内の送風を加湿する加湿ユニットと、を備えた髪ケア装置において、
前記加湿ユニットは、筒状部と、当該筒状部の内周面および外周面のうち少なくともいずれか一方に設けられる加湿部と、を有する筒状加湿体を複数備えるとともに、当該加湿部に液体を供給する液体供給部を備えることを特徴とする髪ケア装置。
【請求項2】
前記送風路内に、当該送風路内の送風を加熱するとともにその作動を切換可能なヒータを設けたことを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項3】
前記複数の筒状加湿体を、送風路の内周に沿って配列したことを特徴とする請求項1または2に記載の髪ケア装置。
【請求項4】
前記複数の筒状加湿体のうち少なくとも一つに、その側壁の内外を貫通する空気通過孔を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つ記載の髪ケア装置。
【請求項5】
前記複数の筒状加湿体を、それぞれから吐出された空気が所定範囲内に集束するように配列したことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の髪ケア装置。
【請求項6】
前記複数の筒状加湿体を、断面を正六角形状に形成して相互に密接配置してハニカム構造を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の髪ケア装置。
【請求項7】
前記液体供給部は、空気を冷却して水分を結露させる液体生成部を含むことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一つに記載の髪ケア装置。
【請求項8】
前記加湿ユニットを、前記送風路から分岐した分岐通路内に配置したことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の髪ケア装置。
【請求項9】
前記送風路の空気吹出口に、前記複数の筒状加湿体のうちいずれかの空気出口を閉塞する閉塞体を設けた着脱部材を着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の髪ケア装置。
【請求項10】
空気と接触する前記加湿部の外面が蒸気透過膜で覆われていることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一つに記載の髪ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−136548(P2009−136548A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317091(P2007−317091)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】