説明

髪ケア装置

【課題】髪ケア装置において、イオン発生部に対する視認性を向上させるとともに、イオン発生部の掃除のし易さを向上させる。
【解決手段】イオンを発生するイオン発生部10をケース3内に収容した髪ケア装置1において、イオン発生部10を照明する照明部21を設けた。これにより、イオン発生部10に対する視認性を向上させるとともに、イオン発生部10の掃除のし易さを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の髪ケア装置としてのヘアドライヤとして、イオン発生部を備えたものが知られている(特許文献1)。イオン発生部は、一対の電極間に高電圧を印加することでイオンを発生すようになっている。
【特許文献1】特開2008−29813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高電圧が印加されるイオン発生部は、その高電圧による電気的影響によってダストが集まり易い環境となり、イオン発生部にはダストが付着し易い。イオン発生部に付着したダストは、綿棒や専用掃除棒などで掃除することが望ましいのであるが、イオン発生部はカバー内に配置されて暗い環境下にあるため、使用者がイオン発生部の状態を視認し難いという問題がある。また、イオン発生部を掃除する場合にも、イオン発生部がカバー内に配置されて暗い環境下にあるため掃除がし難いという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、髪ケア装置において、イオン発生部に対する視認性を向上させるとともに、イオン発生部の掃除のし易さを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、イオンを発生するイオン発生部をケース内に収容した髪ケア装置において、前記イオン発生部を照明する照明部を設けたことを特徴とする。
【0006】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様の髪ケア装置において、前記イオン発生部は、複数設けられ、前記照明部は、前記複数のイオン発生部に対して等距離に配置されている
本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様の髪ケア装置において、前記照明部は、光を発光する光源と、この光源の光を前記イオン発生部とは別の被照明対象に出射する導光部材とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の第4の態様は、前記第1又は第2の態様の髪ケア装置において、前記照明部は、光を発光する光源と、この光源の光を当該装置の外部へ出射する導光部材とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の第5の態様は、前記第4の態様の髪ケア装置において、空気を送出する送風口を備え、前記導光部材は、前記送風口の空気の送出方向に前記光源の光を導出することを特徴とする。
【0009】
本発明の第6の態様は、前記第1ないし第5のいずれか一つの態様の髪ケア装置において、前記照明部は、発光可能な色を複数有しており、前記複数の色のうち選択部によって選択された色を発光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の前記第1の態様によれば、照明部がイオン発生部を照明するので、イオン発生部に対する視認性を向上させるとともに、イオン発生部の掃除のし易さを向上させることができる。
【0011】
本発明の前記第2の態様によれば、照明部が複数のイオン発生部に対して等距離に配置されていることにより、複数のイオン発生部を一つの照明部によって均等に照明することができるので、照明部の数の増加を抑制しつつ、複数のイオン発生部に対する視認むらが発生することを抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、導光部材が、光源の光をイオン発生部とは別の被照明対象に導くことにより、その別の被照明対象も照明部の光によって照明することができるので、その別の照明対象だけを照明する別の照明部を設ける構造に比べて、照明部の数を少なくすることができる。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、光源の光を導光部材が装置外へ導出することにより、この光を例えば人体の肌や毛髪に供給することができるので、光が有する様々な効果を人体の肌や毛髪に与えることができる。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、導光部材が、送風口の空気の送出方向に光源の光を導出することにより、送風口を頭髪に向けて当該髪ケア装置を使用することで、光源の光が導光部材によって頭髪に向けて照射されるので、頭髪に対する送風と光の照射とを同時に行うことができ、髪ケア装置の使い勝手が向上する。
【0015】
本発明の第6の態様によれば、選択部によって、照明部の発光色を選択することができる。よって、前記第4又は第5の態様の導光部材が設けられている場合、使用者は、所望する光の効果を奏する色を選択部によって選択してその色の光を自身に照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の複数の実施形態ならびに変形例には同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素に共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図、図2は、ヘアドライヤを送風口側から見た正面図、図3は、ヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す平面図である。
【0018】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤ1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bとを備えており、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では略T字状)の外観を呈するように構成されている。把持部1aの突出端部からは、電源コード2が引き出されている。また、把持部1aは、本体部1b側の根元部1cと先端部1dとに分割されており、これら根元部1cと先端部1dとが、連結部1eを介して回動可能に連結されている。先端部1dは、本体部1bに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0019】
ヘアドライヤ1の外壁をなすケース3は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。ケース3の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0020】
本体部1bの内部には、その長手方向(図1の左右方向)の一方側(右側)の入口開口4aから、送風口4bに至る風洞4が形成されており、この風洞4内に収容されたファン5を回転させることによって空気流Wが形成される。すなわち、空気(空気流W)は、外部から入口開口4aを介して風洞4内に流入し、当該風洞4内を通って送風口4bから外部に送出される。
【0021】
また、本体部1bにおいて、ケース3の外筒3aの内部には、略円筒状の内筒6が設けられており、空気流Wはこの内筒6の内側を流れるようになっている。内筒6の内側では、最も上流側にファン5が配置され、その下流側にファン5を駆動するモータ7が配置され、モータ7のさらに下流側に加熱機構としてのヒータ8が配置されている。ヒータ8を作動させたときには、送風口4bから温風が吹き出されることになる。なお、本実施形態では、ヒータ8は、帯状かつ波板状の電気抵抗体を内筒6の内周に沿って巻回して配置したものとして構成されているが、かかる構成には限定されない。
【0022】
そして、本体部1b内で、ケース3と内筒6との間に形成された空洞9に、金属微粒子生成部10や、ミスト生成部11、ミスト生成部11に電圧を印加する第一の電圧印加回路12等が収容されている。即ち、ケース3内に金属微粒子生成部10およびミスト生成部11が収容されている。また、把持部1aの根元部1c内の空洞13には、金属微粒子生成部10に電圧を印加する第二の電圧印加回路14や、動作モードの切り換え等を行うスイッチ部15が収容されている。さらに、把持部1aの先端部1d内の空洞には、電源のONとOFFとの切り換えや動作モードの切り換え等を行う別のスイッチ部16が収容されている。これら電気部品同士は、金属導体等からなる芯線を絶縁性樹脂等で被覆したリード線17によって接続されている。なお、スイッチ部15,16は、ケース3の表面に露出した操作子18,19を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。
【0023】
第一の電圧印加回路12および第二の電圧印加回路14は、図1に示すように、把持部1a内、または本体部1b内で把持部1aの延長線上となる領域に配置するのが好適である。使用者が把持部1aを持ったときに、第一の電圧印加回路12および第二の電圧印加回路14に作用する重力による回転モーメント(のモーメントアーム)を小さくして、使用者の手に作用する負荷を小さくするためである。
【0024】
また、図1に示すように、本実施形態では、これら第一の電圧印加回路12および第二の電圧印加回路14を、内筒6を挟んで相互に反対側となる位置に配置している。すなわち、第一の電圧印加回路12と第二の電圧印加回路14との間に内筒6を介在させることで、第一の電圧印加回路12と第二の電圧印加回路14との相互干渉による電圧の低下や不安定化等の不具合を抑制している。
【0025】
内筒6は、筒状部6aと、筒状部6aから径方向外側に向けて伸びて周方向に分散して配置された複数の支持リブ6b(図1では一箇所のみ図示)と、支持リブ6bを介して筒状部6aに接続され当該筒状部6aの軸方向と略直交する方向に張り出すフランジ部6cと、を有している。筒状部6aとフランジ部6cとの間には間隙g1が形成されており、この間隙g1を介して空洞9内に空気流Wの一部が分岐されて流入し、分岐流Wpが形成されている。なお、分岐流Wpの空洞9内への導入口となる間隙g1は、ファン5の下流でありかつヒータ8の上流側となる位置に設けられている。したがって、分岐流Wpは、ヒータ8によって加熱される前の、比較的冷たい空気流となる。
【0026】
また、図3に示すように、金属微粒子生成部10に繋がるリード線17aと、ミスト生成部11に繋がるリード線17bとは、相互に交叉させることなく極力離間させて配索するのが好適である。リード線17a,17bを流れる電流の相互干渉によって、金属微粒子生成部10あるいはミスト生成部11で所望の電圧が得られなくなったり、電圧が不安定になったりするのを抑制するためである。本実施形態では、金属微粒子生成部10をミスト生成部11に対して内筒6の周方向一方側(図3では上側)に離間して配置するとともに、リード線17aを内筒6と外筒3aとの間で金属微粒子生成部10に対して内筒6の周方向一方側となる領域に配索し、かつ、リード線17bを内筒6と外筒3aとの間でミスト生成部11に対して内筒6の周方向他方側(図3では下側)となる領域に配索している。
【0027】
ケース3には、図2に示すように、空洞9の送風口4b側となる位置に、楕円形の貫通孔3bが形成されており、この貫通孔3bを絶縁性の合成樹脂材料からなるカバー20で塞いである。カバー20には、排出口としての金属微粒子排出口20aと同じく排出口としてのミスト排出口20bとが形成されている。カバー20は、金属微粒子あるいはミストによる帯電を抑制するため、ケース3よりも導電性を低くするのが好適である。カバー20が帯電すると、その電荷によって、金属微粒子生成部10やミスト生成部11から電荷を帯びた金属微粒子やミストが放出されにくくなるからである。なお、この部分では、カバー20がヘアドライヤ1の外壁を成している。
【0028】
金属微粒子生成部10は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極10aおよびグラウンド電極10bを有しており、これら放電極10aとグラウンド電極10bとの間に第二の電圧印加回路14によって高電圧を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、その放電作用によって放電極10aやグラウンド電極10b等から金属微粒子(金属の分子やイオン等)を放出させるものである。金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子(金属の分子やイオン等)は、金属微粒子排出口20aから装置1の外部へ放出される。
【0029】
この金属微粒子生成部10は、箱状の筐体10cを備えており、放電極10aは、筐体10c内で、当該筐体10cに固定された基台部(例えばプリント基板等、図示せず)に、例えばはんだ付けやかしめ等によって固定されている。
【0030】
放電極10aは、極細の線材として構成することができ、その幅(直径)を、10〜400[μm](好適には30〜300[μm]、より一層好適には50〜200[μm])に設定することができる。その場合、断面形状としては、円形、楕円形、多角形形状等、各種採用することができる。なお、放電極10aは、尖端を有する針状に形成してもよい。
【0031】
グラウンド電極10bは、例えば、放電極10aの先端側に離間させて当該放電極10aの延伸方向と略直交して配置される環状かつ板状の部材として設けることができる。
【0032】
また、放電極10aは、例えば、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材等として構成することができる。金属微粒子生成部10で生成され放出された金属の微粒子に、金や、銀、銅、亜鉛等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。なお、金属微粒子の放出をさせない部分(例えばグラウンド電極10b等)は、ステンレススチールや、タングステン等を用いて構成することができる。
【0033】
また、金属微粒子生成部10は、放電作用によってイオン(例えばマイナスイオン、例えばNO、NO等)を生じさせ、このイオンを、放電極10aや、グラウンド電極10b、他の金属材料や金属成分を含む部材等に衝突させることで、金属微粒子を生成するものであってもよい。すなわち、グラウンド電極10bや上記他の部材を、上記遷移金属を含む材料によって構成し、これらから金属微粒子を放出させるようにしてもよい。
【0034】
ミスト生成部11は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極11aおよびグラウンド電極11bを有しており、これら放電極11aとグラウンド電極11bとの間に第一の電圧印加回路12によって高電圧を印加することで放電(コロナ放電等)を生じさせるものである。具体的には、例えば、放電極11aは針状に形成し、グラウンド電極11bは放電極11aの先端側に離間配置した環状かつ板状の部材として形成することができる。また、ミスト生成部11は、冷却機構としてのペルチェ素子(図示せず)および熱伝導性を有する部材(例えば金属部材等)からなる冷却板11cとを含んでおり、ペルチェ素子によって冷却された冷却板11cの表面に空気中の水分を結露させ、結露水を生じるようになっている。かかる構成では、供給された水、すなわち結露水が、放電作用によって微粒化され、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミスト)が生成される。このミスト生成部11で生成されたミストは、ミスト排出口20bから装置1の外部へ放出される。本実施形態では、ペルチェ素子および冷却板11cが水供給部に相当する。
【0035】
本実施形態では、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11ともに、イオンを発生するイオン発生部に相当するものである。なお、ミスト生成部としては、水を加熱してスチームを発生させるスチーム発生機構を搭載してもよいし、金属微粒子生成部としては、金属の溶液を霧化して金属微粒子を生成する金属溶液霧化機構を搭載してもよい。
【0036】
また、本実施形態では、図2に示すように、金属微粒子排出口20aを、ミスト排出口20bより小さく形成してある。すなわち、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部11のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行わせるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や、異物等の誤進入を抑制してある。
【0037】
さらに、本実施形態にかかるヘアドライヤ1は、図1ないし図3に示すように、イオン発生部である金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を照明する照明部21を備えている。
【0038】
照明部21は、並設された金属微粒子生成部10およびミスト生成部11の中間に配置されて、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対して等距離に配置されている。別の言い方をすると、照明部21は、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11の中間位置に位置する仮想中立面上に位置している。この照明部21は、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を同時に照明するようにようになっている。照明部21は、金属微粒子生成部10の放電極10aおよびグラウンド電極10bと、ミスト生成部11の放電極11aおよびグラウンド電極11bとの近傍に位置しており、それらの各電極を特に明るく照明するようになっている。また、この照明部21は、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11とともに、それら金属微粒子生成部10およびミスト生成部11の周囲も照明するようになっている。
【0039】
具体的には、照明部21は、空洞9内に配置され光を発光する光源21aと、透過性を有し光源21aの光を導光する導光部材21bと、を有している。導光部材21bは、例えば、ポリカーボネートやアクリル等の合成樹脂材料やガラス等によって板状に形成されている。図2に示すように、カバー20の、金属微粒子排出口20aとミスト排出口20bとの間には、縦長の長円状の孔20cが形成されており、導光部材21bの光源21aと反対側の出射端部21cが、この孔20cに嵌挿されて、カバー20の外に露出している。したがって、光源21aの光は導光部材21bによって導光され、出射端部21cからカバー20の外に出射される。このとき、導光部材21bは、送風口4bの空気の送出方向に光源21aの光を出射する。即ち、導光部材21bは、光源21aの光を当該装置1の外部へ出射するようになっている。別の言い方をすると、導光部材21bは、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11とは別の被照明対象として当該装置1の外部空間に光源21aの光を出射するようになっている。かかる構成では、ヘアドライヤ1の使用時には、出射端部21cが使用者の頭部に対向して配置されることになる。
【0040】
光源21aは、発光可能な色を複数有しており、複数の色のうち選択部としてのスイッチ部23(図2)によって選択された色を発光するようになっている。具体的には、光源21aは、複数のLED(発光ダイオード)を有しており、発光させるLEDの組み合わせに応じて種々の色を選択的に照射することができるようになっている。例えば、複数のLEDとしては、色の三原色(赤、緑、青)のうちの赤色を発光する赤色LED、緑色を発光する緑色LED、青色を発光する青色LEDである。この場合、光源21aは、赤色LEDだけを発光させることで赤色を発光し、緑色LEDだけを発光させることで緑色を発光し、青色LEDだけを発光させることで青色を発光する。また、赤色LED、緑色LED、青色LEDから出射された光の混合によって任意の色を発光させることができる。
【0041】
スイッチ部21は、図2に示すように、本体部1bにおいて把持部1aに近接する位置に設けられている。スイッチ部23は、照明部21を制御する回路を有するとともに、リード線によって照明部21に接続されている。このスイッチ部23は、使用者による操作が可能にケース3の表面に露出した操作子23aを有しており、操作子23aを操作することことで内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。スイッチ部23は、操作子23aの位置に応じて、光源21aの点灯と消灯との切り替えおよび発光色の切り替えを行う。
【0042】
ここで、照明部21からの光によって、人体に所定の効果を与えることが可能である。例えば、光源21aとして波長415[nm]の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される青色光により、細菌の破壊による殺菌効果や、毛孔の縮小や皮脂の分泌低下等によるざ瘡(にきび)の予防効果などが得られることが確認されている。また、光源21aとして波長630[nm]程度の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される赤色光により、血行促進、血管新生による新陳代謝の活性、コラーゲンやエラスチンの生成を促進するなどの効果が得られることが確認されている。さらに、赤色光の照射回数を重ねた場合には、小じわ、しみ、くすみ、開大毛孔などの光老化皮膚やざ瘡後の瘢痕の改善に有効であることが確認されている。なお、これらの効果は、人によって異なるものとなる。
【0043】
この照明部21は、ヘアドライヤ1の動作モードの表示手段として利用することができる。例えば、ヒータ8を使用していて温風が吹き出されている状態では赤色、ヒータ8を使用せず冷風が吹き出されている状態では緑色、金属微粒子生成部10が稼動していて金属微粒子が放出されている状態では黄色、ミスト生成部11が稼動していてミストが放出されている状態では青色、など、動作状態に応じて色を変化させるようにすることができる。この場合、例えば第一の電圧印加回路12等と同じ基板上に実装された制御回路(図示せず)が各部の動作状態に応じて光源21aの発光を制御することができる。なお、制御回路によって光源21aを点滅させたり、その点滅間隔を制御したり、発光強度を変化させたりすることも可能であり、これら発光形態を、種々の動作モードに対応づけて設定することも可能である。
【0044】
また、ヘアドライヤ1は、図1および図2に示すように、第二照明部24を備えている。第二照明部24は、送風口4bを縦断するように送風口4bに配置されており、光をヘアドライヤ1の手前の前方へ向けて照射するようになっている。したがって、使用者の頭部に対してヘアドライヤ1が使用された時には、第二照明部24は、使用者の頭部に向けて光を照射する。この第二照明部24の光源は、例えばLEDなどである。
【0045】
上述したように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤ1は、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を同じ空洞9内に収容しているのであるが、ミスト生成部11で生じたミストが金属微粒子生成部10に到達すると、金属微粒子生成部10が帯電して電圧や電界が変化して金属微粒子の生成が不安定化したり、金属微粒子生成部10の金属部分が水分によって腐食したりする虞がある。
【0046】
そこで、本実施形態では、金属微粒子生成部10を、ミスト生成部11で生成されたミストが通過するミスト通過領域Amiから外して配置してある。具体的には、図3に示すように、金属微粒子生成部10を、ミスト生成部11に対して、ミスト通過領域Amiでミストが通過する方向Dpと略直交する方向Dnに、離間して配置してある。ミストは、ミスト生成部11から方向Dpに向けて流出するため、ミスト生成部11に対して当該方向Dpと直交する方向Dnに配置される金属微粒子生成部10には到達し難くなる。したがって、かかる構成により、金属微粒子生成部10は、ミスト生成部11から流出したミストによる影響を受け難くなる。
【0047】
また、本実施形態では、空洞9内では、金属微粒子生成部10を、金属微粒子排出口20aに比較的近い位置で、当該金属微粒子排出口20aに対向させて配置し、ミスト生成部11を、ミスト排出口20bに比較的近い位置で、当該ミスト排出口20bに対向させて配置している。さらに、ミスト生成部11とカバー20との距離D1を、ミスト生成部11と金属微粒子生成部10との距離D2より短くしてある。さらに、空洞9内では、間隙g1から流入した分岐流Wpは、金属微粒子排出口20aおよびミスト排出口20bから外部に排出される。
【0048】
したがって、本実施形態では、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子は、比較的スムーズに金属微粒子排出口20aから排出されるとともに、ミスト生成部11で生成されたミストは、比較的スムーズにミスト排出口20bから排出される。すなわち、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子はミスト生成部11側には流れにくく、かつミスト生成部11で生成されたミストは金属微粒子生成部10側には流れにくい構成となっている。なお、分岐流Wpは、金属微粒子およびミストの排出に貢献しているが、分岐流Wpが無い場合でも、金属微粒子およびミストは対応する排出口20a,20bから排出される。
【0049】
さらに、本実施形態では、空洞9内に遮蔽壁を設けることで、ミストが金属微粒子生成部10に到達するのをより一層確実に抑制している。本実施形態では、導光部材21bと、金属微粒子生成部10を内筒6に取り付ける取付部材6dとを、遮蔽壁として利用している。
【0050】
導光部材21bは、板状に形成され、その厚み方向が内筒6の周方向に沿う姿勢で、金属微粒子生成部10の放出端部側(図3の左側)とミスト生成部11の放出端部側との間に配置されており、空洞9内で、金属微粒子通過領域(すなわち金属微粒子生成部10に対して図3の左側の領域)Ame側と、ミスト通過領域(すなわちミスト生成部11に対して図3の左側の領域)Ami側とを区画する遮蔽壁となっている。
【0051】
取付部材6dは、内筒6の筒状部6aから径外方向に向けて突設されており、金属微粒子生成部10を内筒6に取り付ける部材である。そして、金属微粒子生成部10側から金属微粒子排出口20a側に向けて延びる遮蔽壁部6eを有している。この遮蔽壁部6eは、取付部材6dに設けられているため必然的に金属微粒子生成部10に近接して配置されることとなり、比較的小さな構成でミストが金属微粒子生成部10側に到達するのを効率よく抑制することができる。
【0052】
また、取付部材6dの遮蔽壁部6eとカバー20との間には間隙g2を設け、カバー20に滞留した電荷が遮蔽壁部6eを介して金属微粒子生成部10側へ到来して金属微粒子生成部10における金属微粒子の生成を阻害するのを抑制してある。なお、間隙g2を設けるのに替えて、取付部材6dとカバー20との間に導電性の低いあるいは絶縁性の部材を介在させてもよい。
【0053】
そして、遮蔽壁として機能するこれら導光部材21bおよび取付部材6dは、図3に示すように、空洞9内で並列にミストが通過する方向Dpと略平行に配置されて、二重の遮蔽壁となっており、ミストが金属微粒子生成部10に到達するのをより一層効果的に抑制してある。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態では、照明部21が金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を照明する。したがって、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対するの視認性を向上させることができ、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対するダストの付着状況を容易に視認することができる。よって、使用者は、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11の掃除の要否を容易に判断することができる。また、このように照明部21の照明によって金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対するの視認性が向上するので、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11の掃除のし易さを向上させることができる。ここで、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に付着したダストは、例えば綿棒や専用掃除棒などの掃除具で掃除することができる。掃除具は、例えば、金属微粒子排出口20aやミスト排出口20bに挿入されるのであるが、掃除用の別の開口(図示せず)をケース3に設けて、この開口から掃除具によって金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を掃除可能としても良い。
【0055】
また、本実施形態では、照明部21が、複数(具体的には2つ)のイオン発生部としての金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対して等距離に配置されていることにより、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を一つの照明部21によって均等に照明することができるので、照明部21の数の増加を抑制しつつ、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対する視認むらが発生することを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、導光部材21bが、光源21aの光を金属微粒子生成部10およびミスト生成部11とは別の被照明対象(装置1の外部空間)に導くことにより、その別の被照明対象も照明部21の光によって照明することができるので、その別の照明対象だけを照明する別の照明部を設ける構造に比べて、照明部21の数を少なくすることができる。このように、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11とは別の被照明対象を照明部21の光源21aによって照明する手段として、導光部材21bを用いたので、導光部材21bを用いずに光源21aでその別の被照明対象を直接照明する構造に比べて、光源21aの配置の自由度が増大する。また、LEDが発する光は、直線性が強いのであるが、このように導光部材21bを用いることで、所望の被照明対象に光源21aの光を容易に導くことができる。なお、導光部材21bによって、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11以外の装置1の構成部材を照明しても良い。
【0057】
また、本実施形態では、光源21aの光を導光部材22bが装置1外へ導出することにより、この光を例えば人体の肌や毛髪に供給することができるので、光が有する様々な効果を人体の肌や毛髪に与えることができる。
【0058】
また、本実施形態では、導光部材21bが、送風口4bの空気の送出方向に光源21aの光を導出することにより、送風口4bを頭髪に向けて当該髪ケア装置1を使用することで、光源21aの光が導光部材21bによって頭髪に向けて照射されるので、頭髪に対する送風と光の照射とを同時に行うことができ、髪ケア装置1の使い勝手が向上する。
【0059】
また、本実施形態では、スイッチ部23によって、照明部21の発光色を選択することができる。よって、使用者は、所望する光の効果を奏する色をスイッチ部23によって選択してその色の光を自身に照射することができる。
【0060】
(照明部の変形例)図4は、上記第1実施形態の変形例にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図を示すものである。本変形例の照明部21では、導光部材21bが、出射端部21cに加えて第二出射端部21dを有している。導光部材21bは、光源21aからケース3の外筒3aの上面部に至る形状に形成されており、外筒3aに形成された孔3dに第二出射端部21dが嵌挿されてケース3の外に露出している。したがって、光源21aの光は導光部材21bによって導光され、出射端部21cからカバー20の外に出射されるとともに、第二出射端部21dからケース3の外に出射される。即ち、導光部材21bは、第二出射端部21dによって、光源21aの光をイオン発生部である金属微粒子生成部10やミスト生成部11のとは別の被照明対象として装置1の外部空間へ出射する。
【0061】
(第2実施形態)図5は、本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【0062】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシ1Aは、棒状に形成されており、使用者が把持部1fを持って本体部1gに設けられたブラシ部25を髪に当てて整髪する(髪を梳かす)ものである。把持部1fと本体部1gとは回動連結部1hによって回動可能に連結されており、把持部1fは、本体部1gに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。ブラシ部25には、複数のブリッスル25aが突設されている。
【0063】
外壁をなすケース3Aは、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されており、その内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0064】
また、把持部1fのブラシ部25に近い部分のケース3には空洞9Aが形成されており、この空洞9A内に、ミスト生成部11と金属微粒子生成部10(図5では図示せず)とが収容されている。ケース3Aには、ブリッスル25aに向けて開放された排出口3eが形成され、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子ならびにミスト生成部11で生成されたミストは、この排出口3eから外部に放出され、髪や地肌に作用することになる。なお、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11には、回路部26から電圧が印加される。
【0065】
また、ヘアブラシ1Aには、第1の実施形態と同様に、照明部21が設けられており、照明部21の光源21aが空洞9A内に配置されている。この照明部21は、第1の実施形態と同様に、金属微粒子生成部10とミスト生成部11とを照明する。照明部21は、金属微粒子生成部10の放電極10aおよびグラウンド電極10bと、ミスト生成部11の放電極11aおよびグラウンド電極11bとの近傍に位置しており、それらの各電極を特に明るく照明するようになっている。また導光部材21bAは、排出口3eに嵌挿されている。導光部材21bAには貫通孔21eが形成されており、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子ならびにミスト生成部11で生成されたミストは、排出口3eにおいて導光部材21bAの貫通孔21eを通って外部に放出される。
【0066】
したがって、本実施形態によっても、照明部21が金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を照明するので、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対する視認性を向上させるとともに、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11の掃除のし易さを向上させることができる。
【0067】
(第3実施形態)図6は、本発明の第3実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロンの側面図である。
【0068】
図6に示すように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロン1Bは、回動連結部1kを介して略V字状に拡開可能な二つのアーム部1i,1jを備えており、それらアーム部1i,1jの先端側の挟持部27に髪を挟み込んで加熱部28で加熱して整髪するものである。
【0069】
外壁をなすケース3Bの内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0070】
アーム部1iのケース3Bの、挟持部27に対して回動連結部1k側に隣接する部分には、空洞9Fが形成されており、この空洞9F内に、ミスト生成部11と金属微粒子生成部10(図6では図示せず)とが収容されている。ケース3Bには、排出口3eが形成され、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子ならびにミスト生成部11で生成されたミストは、この排出口3eから外部に放出され、髪や地肌に作用することになる。なお、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11には、回路部29から電圧が印加される。
【0071】
また、ヘアアイロン1Bには、第1の実施形態と同様に、照明部21が設けられており、照明部21の光源21aが空洞9B内に配置されている。この照明部21は、第1の実施形態と同様に、金属微粒子生成部10とミスト生成部11とを照明する。照明部21は、金属微粒子生成部10の放電極10aおよびグラウンド電極10bと、ミスト生成部11の放電極11aおよびグラウンド電極11bとの近傍に位置しており、それらの各電極を特に明るく照明するようになっている。また導光部材21bBは、排出口3eに嵌挿されている。導光部材21bBには貫通孔21eが形成されており、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子ならびにミスト生成部11で生成されたミストは、排出口3eにおいて導光部材21bBの貫通孔21eを通って外部に放出される。
【0072】
したがって、本実施形態によっても、照明部21が金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を照明するので、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11に対する視認性を向上させるとともに、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11の掃除のし易さを向上させることができる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、イオン発生部である金属微粒子生成部およびミスト生成部は、上記各実施形態および変形例と左右逆転して配置することができる。また、イオン発生部は、2つに限ることなく、一つであってもよいし3つ以上であっても良い。また、イオン発生部の種類としては、金属微粒子生成部だけであっても良いしミスト生成部だけであっても良い。また、ミスト生成部の取付部材に遮蔽壁部を一体化させてもよい。また、排出口をケースと別体のカバーに設けることは必須ではなく、排出口をケースに設けてもよい。さらに、外壁と遮蔽壁との間に間隙を形成するのに替えて、それらの間に絶縁部材を介在させてもよい。また、照明部の光源はLEDに限ることなく、例えば電球などであっても良い。また、照明部は、1つに限ることなく複数設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤを送風口側から見た正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第一の変形例にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロンの側面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 ヘアドライヤ(髪ケア装置)
1A ヘアブラシ(髪ケア装置)
1B ヘアアイロン(髪ケア装置)
3,3A,3B ケース
4b 送風口
10 金属微粒子生成部(イオン発生部)
11 ミスト生成部(イオン発生部)
21 照明部
21a 光源
21b,21bA,21bB 導光部材
23 スイッチ部(選択部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを発生するイオン発生部をケース内に収容した髪ケア装置において、
前記イオン発生部を照明する照明部を設けたことを特徴とする髪ケア装置。
【請求項2】
前記イオン発生部は、複数設けられ、
前記照明部は、前記複数のイオン発生部に対して等距離に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項3】
前記照明部は、光を発光する光源と、この光源の光を前記イオン発生部とは別の被照明対象に出射する導光部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の髪ケア装置。
【請求項4】
前記照明部は、光を発光する光源と、この光源の光を当該装置の外部へ出射する導光部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の髪ケア装置。
【請求項5】
空気を送出する送風口を備え、
前記導光部材は、前記送風口の空気の送出方向に前記光源の光を導出することを特徴とする請求項4に記載の髪ケア装置。
【請求項6】
前記照明部は、発光可能な色を複数有しており、前記複数の色のうち選択部によって選択された色を発光することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の髪ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−125146(P2010−125146A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304334(P2008−304334)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】