説明

髪ケア装置

【課題】金属微粒子生成部の放電極とミスト生成部の放電極のうち、金属微粒子生成部の放電極に対して、外部からの異物等がより到達し難くなるようにした髪ケア装置を得る。
【解決手段】金属微粒子排出口20aを、ミスト排出口20bより小さく形成した。このため、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部11のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行うことができるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や、道具、異物等の誤進入を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の髪ケア装置としてのヘアドライヤとして、放電極とグラウンド電極とを有し当該放電極とグラウンド電極との間に電圧を印加して放電させることにより金属微粒子を生成する金属微粒子生成部を備えたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、ヘアドライヤとして、放電極とグラウンド電極とを有し当該放電極とグラウンド電極との間に電圧を印加して放電させることにより供給された水を微粒化してミストを生成するミスト生成部を備えたものが知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2008− 23063号公報
【特許文献2】特開2008−126139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の髪ケア装置では、金属微粒子生成部では、放電極から金属微粒子が放出されるため、当該放電極は、ミスト生成部の放電極に比べて、異物等の付着に対する影響をより大きく受けやすいということができる。また、放電極が徐々に消失して小さくなった状態でも放電性を確保するために比較的細長く形成すると、その分、変形しやすくなってしまう。逆に、ミスト生成部の放電極については、綿棒等の道具を用いてメンテナンスを行わせるような場合もある。
【0005】
そこで、本発明は、金属微粒子生成部の放電極とミスト生成部の放電極のうち、金属微粒子生成部の放電極に対して、外部からの異物等がより到達し難くなるようにした髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、ケース内に、放電極とグラウンド電極とを有し当該放電極とグラウンド電極との間に電圧を印加して放電させることにより金属微粒子を生成する金属微粒子生成部と、放電極とグラウンド電極とを有し当該放電極とグラウンド電極との間に電圧を印加して放電させることにより供給された水を微粒化してミストを生成するミスト生成部と、を収容した髪ケア装置であって、上記髪ケア装置の外壁に、上記金属微粒子生成部で生成された金属微粒子が排出される金属微粒子排出口と上記ミスト生成部で生成されたミストが排出されるミスト排出口とを形成し、上記金属微粒子生成部を上記金属微粒子排出口に対向させて設け、上記ミスト生成部を上記ミスト排出口に対向させて設け、上記金属微粒子排出口を、上記ミスト排出口より小さく形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、上記金属微粒子生成部の上記放電極を線材によって構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記金属微粒子生成部のグラウンド電極に金属微粒子を通過させる開口部を形成し、上記開口部を、上記金属微粒子排出口と同じ大きさかまたはより小さく形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、上記金属微粒子排出口に、金属微粒子の放出方向に向けてラッパ状に拡開する拡開部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、金属微粒子排出口をミスト排出口より小さくしたので、異物等が外部から金属微粒子排出口を介して金属微粒子生成部の放電極に到達するのを抑制することができる。また、ミスト生成部に対してメンテナンスを行う場合に、誤って金属微粒子排出口から道具等を進入させてしまうのを抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、金属微粒子が放出されて放電極が徐々に消失しても、先端部の形状をほぼ同じ形状に維持しやすくなるため、放電性能ひいては金属微粒子の放出性能の経時劣化を抑制することができる。そして、比較的小さく形成された金属微粒子排出口から異物等が進入し難くなって、当該異物等による放電極の変形等が生じにくくなるため、放電極を線材にしやすくなり、当該線材とすることによる上記効果を得やすくなっている。
【0012】
請求項3の発明によれば、金属微粒子生成部のグラウンド電極の開口部をより小さくすることで、金属微粒子生成部のグラウンド電極が遮蔽壁となって、外部からの異物等が放電極により一層到達し難くなる。
【0013】
請求項4の発明によれば、拡開部によって、金属微粒子の拡散性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の複数の実施形態ならびに変形例には同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素に共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図、図2は、ヘアドライヤを出口開口側から見た正面図、図3は、ヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す平面図、図4は、金属微粒子排出口およびミスト排出口を拡大して示した正面図である。
【0016】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤ1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bとを備えており、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では略T字状)の外観を呈するように構成されている。把持部1aの突出端部からは、電源コード2が引き出されている。また、把持部1aは、本体部1b側の根元部1cと先端部1dとに分割されており、これら根元部1cと先端部1dとが、連結部1eを介して回動可能に連結されている。先端部1dは、本体部1bに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0017】
ヘアドライヤ1の外壁をなすケース3は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。ケース3の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0018】
本体部1bの内部には、その長手方向(図1の左右方向)の一方側(右側)の入口開口4aから出口開口4bに至る風洞4が形成されており、この風洞4内に収容されたファン5を回転させることによって空気流Wが形成される。すなわち、空気流Wは、外部から入口開口4aを介して風洞4内に流入し、当該風洞4内を通って出口開口4bから外部に排出される。
【0019】
また、本体部1bにおいて、ケース3の外筒3aの内部には、略円筒状の内筒6が設けられており、空気流Wはこの内筒6の内側を流れるようになっている。内筒6の内側では、最も上流側にファン5が配置され、その下流側にファン5を駆動するモータ7が配置され、モータ7のさらに下流側に加熱機構としてのヒータ8が配置されている。ヒータ8を作動させたときには、出口開口4bから温風が吹き出されることになる。なお、本実施形態では、ヒータ8は、帯状かつ波板状の電気抵抗体を内筒6の内周に沿って巻回して配置したものとして構成されているが、かかる構成には限定されない。
【0020】
そして、本体部1b内で、ケース3と内筒6との間に形成された空洞9に、金属微粒子生成部10や、ミスト生成部11、ミスト生成部11に電圧を印加する第二の電圧印加回路12等が収容されている。また、把持部1aの根元部1c内の空洞13には、金属微粒子生成部10に電圧を印加する第一の電圧印加回路14や、動作モードの切り換え等を行うスイッチ部15が収容されている。さらに、把持部1aの先端部1d内の空洞には、電源のONとOFFとの切り換えや動作モードの切り換え等を行う別のスイッチ部16が収容されている。これら電気部品同士は、金属導体等からなる芯線を絶縁性樹脂等で被覆したリード線17によって接続されている。なお、スイッチ部15,16は、ケース3の表面に露出した操作子18,19を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。
【0021】
第一の電圧印加回路14および第二の電圧印加回路12は、図1に示すように、把持部1a内、または本体部1b内で把持部1aの延長線上となる領域に配置するのが好適である。使用者が把持部1aを持ったときに、第一の電圧印加回路14および第二の電圧印加回路12に作用する重力による回転モーメント(のモーメントアーム)を小さくして、使用者の手に作用する負荷を小さくするためである。
【0022】
また、図1に示すように、本実施形態では、これら第一の電圧印加回路14および第二の電圧印加回路12を、内筒6を挟んで相互に反対側となる位置に配置している。すなわち、第一の電圧印加回路14と第二の電圧印加回路12との間に内筒6を介在させることで、第一の電圧印加回路14と第二の電圧印加回路12との相互干渉による電圧の低下や不安定化等の不具合を抑制している。
【0023】
内筒6は、筒状部6aと、筒状部6aから径方向外側に向けて伸びて周方向に分散して配置された複数の支持リブ6b(図1では一箇所のみ図示)と、支持リブ6bを介して筒状部6aに接続され当該筒状部6aの軸方向と略直交する方向に張り出すフランジ部6cと、を有している。筒状部6aとフランジ部6cとの間には間隙g1が形成されており、この間隙g1を介して空洞9内に空気流Wの一部が分岐されて流入し、分岐流Wpが形成されている。なお、分岐流Wpの空洞9内への導入口となる間隙g1は、ファン5の下流でありかつヒータ8の上流側となる位置に設けられている。したがって、分岐流Wpは、ヒータ8によって加熱される前の、比較的冷たい空気流となる。
【0024】
また、図3に示すように、金属微粒子生成部10に繋がるリード線17aと、ミスト生成部11に繋がるリード線17bとは、相互に交叉させることなく極力離間させて配索するのが好適である。リード線17a,17bを流れる電流の相互干渉によって、金属微粒子生成部10あるいはミスト生成部11で所望の電圧が得られなくなったり、電圧が不安定になったりするのを抑制するためである。本実施形態では、金属微粒子生成部10をミスト生成部11に対して内筒6の周方向一方側(図3では上側)に離間して配置するとともに、リード線17aを内筒6と外筒3aとの間で金属微粒子生成部10に対して内筒6の周方向一方側となる領域に配索し、かつ、リード線17bを内筒6と外筒3aとの間でミスト生成部11に対して内筒6の周方向他方側(図3では下側)となる領域に配索している。
【0025】
ケース3には、図2に示すように、空洞9の出口開口4b側となる位置に、楕円形の貫通孔3bが形成されており、この貫通孔3bを絶縁性の合成樹脂材料からなるカバー20で塞いである。カバー20には、金属微粒子排出口20aとミスト排出口20bとが形成されている。カバー20は、金属微粒子あるいはミストによる帯電を抑制するため、ケース3よりも導電性を低くするのが好適である。カバー20が帯電すると、その電荷によって、金属微粒子生成部10やミスト生成部11から電荷を帯びた金属微粒子やミストが放出されにくくなるからである。なお、この部分では、カバー20がヘアドライヤ1の外壁を成している。
【0026】
金属微粒子生成部10は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極10aおよびグラウンド電極10bを有しており、これら放電極10aとグラウンド電極10bとの間に第一の電圧印加回路14によって高電圧を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、その放電作用によって放電極10aやグラウンド電極10b等から金属微粒子(金属の分子やイオン等)を放出させるものである。
【0027】
この金属微粒子生成部10は、箱状の筐体10cを備えており、放電極10aは、筐体10c内で、当該筐体10cに固定された基台部(例えばプリント基板等、図示せず)に、例えばはんだ付けやかしめ等によって固定されている。
【0028】
放電極10aは、極細の線材として構成することができ、その幅(直径)を、10〜400[μm](好適には30〜300[μm]、より一層好適には50〜200[μm])に設定することができる。その場合、断面形状としては、円形、楕円形、多角形形状等、各種採用することができる。なお、放電極10aは、尖端を有する針状に形成してもよい。
【0029】
グラウンド電極10bは、例えば、放電極10aの先端側に離間させて当該放電極10aの延伸方向と略直交して配置される環状かつ板状の部材として設けることができる。
【0030】
また、放電極10aは、例えば、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材等として構成することができる。金属微粒子生成部10で生成され放出された金属の微粒子に、金や、銀、銅、亜鉛等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。なお、金属微粒子の放出をさせない部分(例えばグラウンド電極10b等)は、ステンレススチールや、タングステン等を用いて構成することができる。
【0031】
また、金属微粒子生成部10は、放電作用によってイオン(例えばマイナスイオン、例えばNO、NO等)を生じさせ、このイオンを、放電極10aや、グラウンド電極10b、他の金属材料や金属成分を含む部材等に衝突させることで、金属微粒子を生成するものであってもよい。すなわち、グラウンド電極10bや上記他の部材を、上記遷移金属を含む材料によって構成し、これらから金属微粒子を放出させるようにしてもよい。
【0032】
ミスト生成部11は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極11aおよびグラウンド電極11bを有しており、これら放電極11aとグラウンド電極11bとの間に第二の電圧印加回路12によって高電圧を印加することで放電(コロナ放電等)を生じさせるものである。具体的には、例えば、放電極11aは針状に形成し、グラウンド電極11bは放電極11aの先端側に離間配置した環状かつ板状の部材として形成することができる。また、ミスト生成部11は、冷却機構としてのペルチェ素子(図示せず)および熱伝導性を有する部材(例えば金属部材等)からなる冷却板11cとを含んでおり、ペルチェ素子によって冷却された冷却板11cの表面に空気中の水分を結露させ、結露水を生じるようになっている。かかる構成では、供給された水、すなわち結露水が、放電作用によって微粒化され、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミスト)が生成される。本実施形態では、ペルチェ素子および冷却板11cが水供給部に相当する。
【0033】
本実施形態では、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11ともに、イオンを発生させるイオン発生部に相当するものである。
【0034】
また、本実施形態にかかるヘアドライヤ1は、発光部21を備えている。発光部21は、空洞9内に配置されたLED(発光ダイオード)等の光源21aと、光源21aの光を導光するアクリル等の透光性を有する合成樹脂材料で形成される導光部材21bと、を有している。図2に示すように、カバー20の、金属微粒子排出口20aとミスト排出口20bとの間には、縦長の長円状の孔20cが形成されており、導光部材21bの光源21aと反対側の出射端部21cが、この孔20cに嵌挿されて、カバー20の外に露出している。したがって、光源21aの光は導光部材21bによって導光され、出射端部21cからカバー20の外に出射される。かかる構成では、ヘアドライヤ1の使用時には、出射端部21cが使用者の頭部に対向して配置されることになる。
【0035】
この発光部21は、ヘアドライヤ1の動作モードの表示手段として利用することができる。例えば、ヒータ8を使用していて温風が吹き出されている状態では赤色、ヒータ8を使用せず冷風が吹き出されている状態では緑色、金属微粒子生成部10が稼動していて金属微粒子が放出されている状態では黄色、ミスト生成部11が稼動していてミストが放出されている状態では青色、など、動作状態に応じて色を変化させるようにすることができる。この場合、例えば第二の電圧印加回路12等と同じ基板上に実装された制御回路(図示せず)が各部の動作状態に応じて光源21aの発光を制御することができる。この場合、各色に対応する光源21aが複数実装され、制御回路がこれら複数の光源21aの発光を制御することになる。なお、制御回路によって光源21aを点滅させたり、その点滅間隔を制御したり、発光強度を変化させたりすることも可能であり、これら発光形態を、種々の動作モードに対応づけて設定することも可能である。
【0036】
また、発光部21からの光によって、人体に所定の効果を与えることも可能である。例えば、光源21aとして波長415[nm]の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される青色光により、細菌の破壊による殺菌効果や、毛孔の縮小や皮脂の分泌低下等によるざ瘡(にきび)の予防効果などが得られることが確認されている。また、光源21aとして波長630[nm]程度の高輝度LEDを用いた場合には、当該光源21aから出射される赤色光により、血行促進、血管新生による新陳代謝の活性、コラーゲンやエラスチンの生成を促進するなどの効果が得られることが確認されている。さらに、赤色光の照射回数を重ねた場合には、小じわ、しみ、くすみ、開大毛孔などの光老化皮膚やざ瘡後の瘢痕の改善に有効であることが確認されている。なお、これらの効果は、人によって異なるものとなる。
【0037】
さらに、発光部21を、金属微粒子生成部10あるいはミスト生成部11を照らす照射手段として利用することができる。こうすれば、金属微粒子生成部10やミスト生成部11の状態を視認しやすくなるとともに、掃除等のメンテナンスを行う場合にも視認性が高まって作業効率が向上するという効果が得られる。
【0038】
上述したように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤ1は、金属微粒子生成部10およびミスト生成部11を同じ空洞9内に収容しているのであるが、ミスト生成部11で生じたミストが金属微粒子生成部10に到達すると、金属微粒子生成部10が帯電して電圧や電界が変化して金属微粒子の生成が不安定化したり、金属微粒子生成部10の金属部分が水分によって腐食したりする虞がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、金属微粒子生成部10を、ミスト生成部11で生成されたミストが通過するミスト通過領域Amiから外して配置してある。具体的には、図3に示すように、金属微粒子生成部10を、ミスト生成部11に対して、ミスト通過領域Amiでミストが通過する方向Dpと略直交する方向Dnに、離間して配置してある。ミストは、ミスト生成部11から方向Dpに向けて流出するため、ミスト生成部11に対して当該方向Dpと直交する方向Dnに配置される金属微粒子生成部10には到達し難くなる。したがって、かかる構成により、金属微粒子生成部10は、ミスト生成部11から流出したミストによる影響を受け難くなる。
【0040】
また、本実施形態では、空洞9内では、金属微粒子生成部10を、金属微粒子排出口20aに比較的近い位置で、当該金属微粒子排出口20aに対向させて配置し、ミスト生成部11を、ミスト排出口20bに比較的近い位置で、当該ミスト排出口20bに対向させて配置している。さらに、ミスト生成部11とカバー20との距離D1を、ミスト生成部11と金属微粒子生成部10との距離D2より短くしてある。さらに、空洞9内では、間隙g1から流入した分岐流Wpは、金属微粒子排出口20aおよびミスト排出口20bから外部に排出される。
【0041】
したがって、本実施形態では、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子は、比較的スムーズに金属微粒子排出口20aから排出されるとともに、ミスト生成部11で生成されたミストは、比較的スムーズにミスト排出口20bから排出される。すなわち、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子はミスト生成部11側には流れにくく、かつミスト生成部11で生成されたミストは金属微粒子生成部10側には流れにくい構成となっている。なお、分岐流Wpは、金属微粒子およびミストの排出に貢献しているが、分岐流Wpが無い場合でも、金属微粒子およびミストは対応する排出口20a,20bから排出される。
【0042】
さらに、本実施形態では、空洞9内に遮蔽壁を設けることで、ミストが金属微粒子生成部10に到達するのをより一層確実に抑制している。本実施形態では、導光部材21bと、金属微粒子生成部10を内筒6に取り付ける取付部材6dとを、遮蔽壁として利用している。
【0043】
導光部材21bは、板状に形成され、その厚み方向が内筒6の周方向に沿う姿勢で、金属微粒子生成部10の放出端部側(図3の左側)とミスト生成部11の放出端部側との間に配置されており、空洞9内で、金属微粒子通過領域(すなわち金属微粒子生成部10に対して図3の左側の領域)Ame側と、ミスト通過領域(すなわちミスト生成部11に対して図3の左側の領域)Ami側とを区画する遮蔽壁となっている。
【0044】
取付部材6dは、内筒6の筒状部6aから径外方向に向けて突設されており、金属微粒子生成部10を内筒6に取り付ける部材である。そして、金属微粒子生成部10側から金属微粒子排出口20a側に向けて延びる遮蔽壁部6eを有している。この遮蔽壁部6eは、取付部材6dに設けられているため必然的に金属微粒子生成部10に近接して配置されることとなり、比較的小さな構成でミストが金属微粒子生成部10側に到達するのを効率よく抑制することができる。
【0045】
また、取付部材6dの遮蔽壁部6eとカバー20との間には間隙g2を設け、カバー20に滞留した電荷が遮蔽壁部6eを介して金属微粒子生成部10側へ到来して金属微粒子生成部10における金属微粒子の生成を阻害するのを抑制してある。なお、間隙g2を設けるのに替えて、取付部材6dとカバー20との間に導電性の低いあるいは絶縁性の部材を介在させてもよい。
【0046】
そして、遮蔽壁として機能するこれら導光部材21bおよび取付部材6dは、図3に示すように、空洞9内で並列にミストが通過する方向Dpと略平行に配置されて、二重の遮蔽壁となっており、ミストが金属微粒子生成部10に到達するのをより一層効果的に抑制してある。
【0047】
ここで、本実施形態では、図4に示すように、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成してある。具体的には、金属微粒子排出口20aおよびミスト排出口20bともに断面円形の孔として、金属微粒子排出口20aの孔径Daをミスト排出口20bの孔径Dbより小さくしてある(Da<Db)。
【0048】
また、本実施形態では、金属微粒子生成部10のグラウンド電極10bに金属微粒子を通過させる開口部10dを形成し、開口部10d(孔径:d)を、金属微粒子排出口20aと同じ大きさかまたはより小さく形成してある(d<Da)。
【0049】
さらに、本実施形態では、金属微粒子排出口20aには、金属微粒子の放出方向に向けてラッパ状に拡開する拡開部20eを設けてある。
【0050】
以上、説明したように、本実施形態では、金属微粒子排出口20aを、ミスト排出口20bより小さく形成した。このため、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部11のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行うことができるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や、道具、異物等の誤進入を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、金属微粒子生成部10を金属微粒子排出口20aに対向させるとともにミスト生成部11をミスト排出口20bに対向させて設けたため、金属微粒子およびミストの排出効率を高めることができる。金属微粒子生成部10を金属微粒子排出口20aに対向配置させた場合、当該金属微粒子排出口20aから放電極10aに対して比較的アクセスしやすくなる分、その影響が懸念されるのであるが、本実施形態では、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成したことで、金属微粒子排出口20aから異物等が進入し難くなるため、上記対向配置したことによる効果を得やすくなる。
【0052】
また、本実施形態では、金属微粒子生成部10の放電極10aを線材によって構成した。線材は、長さ方向の位置によらず直径が同じである。よって、金属微粒子が放出されて放電極10aが徐々に消失しても、放電極10aの先端部の形状をほぼ同じ形状(曲率半径)に維持しやすくなって、放電性能ひいては金属微粒子の放出性能の経時変化(経時的な増減)を抑制することができる。また、異物等が進入しやすい状況では、線材としての放電極10aに変形が生じて性能の維持に支障を来す虞があるが、本実施形態では、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成したことで、金属微粒子排出口20aから異物等が進入し難くなるため、放電極10aを線材にすることよる上記効果を得やすくなる。
【0053】
また、本実施形態では、金属微粒子生成部10のグラウンド電極10bに金属微粒子を通過させる開口部10dを形成し、開口部10dを、金属微粒子排出口20aと同じ大きさかまたはより小さく形成してある。したがって、グラウンド電極10bが遮蔽壁となって、外部からの異物等が放電極10aにより一層到達し難くなる。
【0054】
また、本実施形態では、金属微粒子排出口20aには、金属微粒子の放出方向に向けてラッパ状に拡開する拡開部20eを設けた。このため、この拡開部20eによって、金属微粒子の拡散性を高めることができる。
【0055】
(第2実施形態)図5は、本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【0056】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシ1Dは、棒状に形成されており、使用者が把持部1fを持って先端部1gに設けられたブラシ部23を髪に当てて整髪する(髪を梳かす)ものである。ブラシ部23には、複数のブリッスル23aが突設されている。
【0057】
外壁をなすケース3Dは、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されており、その内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0058】
また、把持部1fのブラシ部23に近い部分には、膨出した形状の外壁をなすカバー20Dが取り付けられており、このカバー20Dとケース3Dとによって形成される空洞9D内に、金属微粒子生成部10とミスト生成部11とが収容されている。カバー20Dには、ブリッスル23aに向けて開放された排出口20dが形成され、金属微粒子生成部10で生成された金属微粒子ならびにミスト生成部11で生成されたミストは、この排出口20dから外部に放出され、髪や地肌に作用することになる。なお、金属微粒子生成部およびミスト生成部11には、回路部24から電圧が印加される。
【0059】
さらに、本実施形態では、使用者の帯電によって金属微粒子の放出が阻害されるのを抑制するため、把持部1fの表面にチャージ部25を露出させてある。チャージ部25は、放出される金属微粒子およびミストの極性と逆の極性(例えば金属微粒子およびミストのマイナスイオンが放出される構成の場合にはプラス)に帯電され、使用者は、このチャージ部25を握ることで、当該逆の極性に帯電される。なお、チャージ部25の少なくとも最外層は絶縁性材料で構成されている。
【0060】
また、遮蔽壁22Dを設け、ミスト生成部11で生成されたミストが金属微粒子生成部10に到達するのを抑制している。
【0061】
以上の本実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、金属微粒子排出口20aを、ミスト排出口20bより小さく形成した。このため、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部11のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行うことができるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や、道具、異物等の誤進入を抑制することができる。
【0062】
そして、本実施形態でも、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成したことで、金属微粒子排出口20aから異物等が進入し難くなるため、金属微粒子生成部10を金属微粒子排出口20aに対向させるとともにミスト生成部11をミスト排出口20bに対向させて設けたことによる上記効果を得やすくなるとともに、放電極10aを線材にすることよる上記効果を得やすくなる。
【0063】
また、本実施形態でも、金属微粒子生成部10のグラウンド電極10bに形成した開口部10dを、金属微粒子排出口20aと同じ大きさかまたはより小さく形成することで、当該グラウンド電極10bが遮蔽壁となって、外部からの異物等が放電極10aにより一層到達し難くなる。
【0064】
(第3実施形態)図6は、本発明の第3実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【0065】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシ1Eは、基本的には上記第2実施形態にかかるヘアブラシ1Dと同様の構成要素を備えている。
【0066】
ただし、本実施形態では、空洞9Dに空気流Wを生じさせるファン5Eおよびこのファン5Eを回転させるモータ7Eを設け、金属微粒子生成部10で生成した金属微粒子ならびにミスト生成部11で生成したミストを、分岐流Wpに乗せて排出できるようにした点が、上記第2実施形態と相違している。
【0067】
本実施形態では、送風機構としてのモータ7Eおよびファン5Eは、ケース3E内に形成される空洞内に収容されている。モータ7Eは回路部24に含まれる駆動回路によって回転駆動される。ケース3Eの基端側(図6では下側)には空気の導入口となる開口部1hが形成されており、ファン5Eが回転すると、空気が外部から開口部1hを介して空洞9D内に流入し、当該空洞9D内を通って排出口20dからブラシ部23に向けて排出される空気流Wが形成されるとともに、ブラシ部23のブリッスル23aの根元に形成された吹出孔23bからも空気が吹き出される。なお、本実施形態では、電源コード2を介して電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0068】
以上の本実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(第4実施形態)図7,図8は、本発明の第4実施形態を示しており、このうち、図7は、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロンの側面図、図8は、図7のVIII−VIII断面図である。
【0070】
図7に示すように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロン1Fは、回動連結部1kを介して略V字状に拡開可能な二つのアーム部1i,1jを備えており、それらアーム部1i,1jの先端側の挟持部26に髪を挟み込んで加熱部27で加熱して整髪するものである。
【0071】
図8に示すように、外壁をなすケース3Fの内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0072】
アーム部1iのケース3Fの、挟持部26に対して回動連結部1k側に隣接する部分には、相反する方向(図8の左右方向)に張り出す外壁をなす一対のカバー20F1,20F2が取り付けられており、このカバー20F1,20F2とケース3Fとによって形成される空洞9F内に、金属微粒子生成部10とミスト生成部11とが収容されている。金属微粒子生成部10は、カバー20F1内に収容されており、金属微粒子はカバー20F1に形成された金属微粒子排出口20aから放出される。一方、ミスト生成部11は、カバー20F2内に収容されており、ミストはカバー20F2に形成されたミスト排出口20bから放出される。
【0073】
金属微粒子生成部10およびミスト生成部11は、同一空間としての空洞9F内に配置されているものの、互いに離間して配置されている上、ミスト生成部11は、カバー20F2のミスト排出口20bに比較的近接した位置で対向して配置されており、しかもミストの排出方向を、空洞9Fの中心部から離間する方向に設定しているため、図7からも明らかとなるように、金属微粒子生成部10は、ミスト生成部11からのミスト通過領域Amiから外した位置に比較的容易に配置することができる。すなわち、本実施形態では、アーム部1iの中心部を挟む両側に金属微粒子生成部10とミスト生成部11とを配置するという比較的簡素な構成によって、金属微粒子生成部10に対してミスト生成部11で生成されたミストによる悪影響が及ぶのを抑制することができる。
【0074】
以上の本実施形態でも、上記実施形態と同様に、金属微粒子排出口20aを、ミスト排出口20bより小さく形成した。このため、ミスト排出口20bを介してのミスト生成部11のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行うことができるとともに、金属微粒子排出口20aを介しての手指や、道具、異物等の誤進入を抑制することができる。
【0075】
そして、本実施形態でも、金属微粒子排出口20aをミスト排出口20bより小さく形成したことで、金属微粒子排出口20aから異物等が進入し難くなるため、金属微粒子生成部10を金属微粒子排出口20aに対向させるとともにミスト生成部11をミスト排出口20bに対向させて設けたことによる上記効果を得やすくなるとともに、放電極10aを線材にすることよる上記効果を得やすくなる。
【0076】
また、本実施形態でも、金属微粒子生成部10のグラウンド電極10bに形成した開口部10dを、金属微粒子排出口20aと同じ大きさかまたはより小さく形成することで、当該グラウンド電極10bが遮蔽壁となって、外部からの異物等が放電極10aにより一層到達し難くなる。
【0077】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、金属微粒子排出口およびミスト排出口ともに、断面円形孔であることは必須ではなく、楕円形や矩形等、他の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤを出口開口側から見た正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる髪ケア装置を出口開口側から見た正面図であって、金属微粒子排出口およびミスト排出口を拡大して示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロンの側面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ヘアドライヤ(髪ケア装置)
1D,1E ヘアブラシ(髪ケア装置)
1F ヘアアイロン(髪ケア装置)
10 金属微粒子生成部
10a 放電極
10b グラウンド電極
10d 開口部
11 ミスト生成部
11a 放電極
11b グラウンド電極
20,20D,20F1,20F2 カバー(外壁)
20a 金属微粒子排出口
20b ミスト排出口
20e 拡開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に、放電極とグラウンド電極とを有し当該放電極とグラウンド電極との間に電圧を印加して放電させることにより金属微粒子を生成する金属微粒子生成部と、放電極とグラウンド電極とを有し当該放電極とグラウンド電極との間に電圧を印加して放電させることにより供給された水を微粒化してミストを生成するミスト生成部と、を収容した髪ケア装置であって、
前記髪ケア装置の外壁に、前記金属微粒子生成部で生成された金属微粒子が排出される金属微粒子排出口と前記ミスト生成部で生成されたミストが排出されるミスト排出口とを形成し、
前記金属微粒子生成部を前記金属微粒子排出口に対向させて設け、前記ミスト生成部を前記ミスト排出口に対向させて設け、
前記金属微粒子排出口を、前記ミスト排出口より小さく形成したことを特徴とする髪ケア装置。
【請求項2】
前記金属微粒子生成部の前記放電極を線材によって構成したことを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項3】
前記金属微粒子生成部のグラウンド電極に金属微粒子を通過させる開口部を形成し、
前記開口部を、前記金属微粒子排出口と同じ大きさかまたはより小さく形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の髪ケア装置。
【請求項4】
前記金属微粒子排出口に、金属微粒子の放出方向に向けてラッパ状に拡開する拡開部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の髪ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−125170(P2010−125170A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304795(P2008−304795)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】