説明

髪ケア装置

【課題】髪ケア効果をより高めることのできる髪ケア装置を得る。
【解決手段】髪ケア装置は、電荷を帯びたミストを生成するミスト生成部50と、マイナスイオンを生成する複数のマイナスイオン生成部30,40と、ミスト生成部50によって生成されたミストが通過するミスト吹出口20cと、マイナスイオン生成部30,40によって生成されたマイナスイオンが通過する複数のイオン吹出口20a,20bと、を備えている。また、ミスト吹出口20cの周辺部20dは、ミスト吹出口20cを正面から視た状態で、ミスト吹出口20cを通る任意の仮想線Lによって第1の領域R1と第2の領域R2とに区画されている。そして、複数のイオン吹出口20a,20bは、第1の領域R1に形成されたイオン吹出口20aと第2の領域R2に形成されたイオン吹出口20bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髪ケア装置として、電荷を帯びたミストを生成するミスト生成部と、金属微粒子およびマイナスイオンを生成する金属微粒子生成部と、を備えたヘアドライヤが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、ミスト生成部を左側、金属微粒子生成部を右側に並列に配置し、電荷を帯びたミストおよびマイナスイオンを吹き出して髪にあてることで髪ケア効果の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−098104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ミストもマイナスイオンも電荷を帯びているため、上記従来の構成では、マイナスイオンの影響によりミストが直進性を失って離散してしまい、髪に届きにくくなってしまうおそれがある。このように、ミストが髪に届きにくくなると、髪ケア効果が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、髪ケア効果をより高めることのできる髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、電荷を帯びたミストを生成するミスト生成部と、マイナスイオンを生成する複数のマイナスイオン生成部と、前記ミスト生成部によって生成されたミストが通過するミスト吹出口と、前記マイナスイオン生成部によって生成されたマイナスイオンが通過する複数のイオン吹出口と、を備える髪ケア装置であって、前記ミスト吹出口の周辺部は、当該ミスト吹出口を正面から視た状態で、ミスト吹出口を通る任意の仮想線によって第1の領域と第2の領域とに区画されており、複数の前記イオン吹出口は、前記第1の領域に形成されたイオン吹出口と第2の領域に形成されたイオン吹出口とを有することを要旨とする。
【0008】
本発明の第2の特徴は、前記第1の領域に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口と前記第2の領域に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口とが、前記ミスト吹出口が中心となるように並設されていることを要旨とする。
【0009】
本発明の第3の特徴は、前記ミスト吹出口の下流側に第1の整流部が設けられていることを要旨とする。
【0010】
本発明の第4の特徴は、前記ミスト生成部と、当該ミスト生成部と隣り合う前記マイナスイオン生成部との間には、仕切部が設けられていることを要旨とする。
【0011】
本発明の第5の特徴は、前記ミスト吹出口の上流側に第2の整流部が設けられていることを要旨とする。
【0012】
本発明の第6の特徴は、前記ミスト生成部は、放電極と、当該放電極を冷却する冷却装置と、当該冷却装置によって前記放電極を冷却する際に発生する熱を放熱する放熱フィンと、を備える静電霧化装置であり、前記放熱フィンには、分流手段が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ミスト吹出口の周辺部におけるミスト吹出口を通る任意の仮想線によって区画される第1の領域と第2の領域とに、少なくとも1つのイオン吹出口がそれぞれ形成されるようにしている。そのため、第1の領域に形成されたイオン吹出口および第2の領域に形成されたイオン吹出口から吹き出されるマイナスイオンの電荷によって、ミストが離散してしまうのを抑制することができる。その結果、ミストの直進性が向上してミストが髪に届きやすくなり、髪ケア効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの側面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤを吹出口側から見た正面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を示す平面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの本体部内で金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を吹出口側から見た正面図である。
【図7】図6の金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す正面図である。
【図8】図4のミスト生成部が設けられる部分を拡大して示す断面図である。
【図9】金属微粒子生成部とミスト生成部からマイナスイオンおよびミストが吹き出す状態を模式的に示す説明図である。
【図10】図4のミスト生成部が設けられる部分の変形例を示す拡大断面図である。
【図11】図5の金属微粒子生成部とミスト生成部が設けられる部分の変形例を示す平面図である。
【図12】金属微粒子生成部とミスト生成部の他の配置方法を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤ1は、使用者が手で握る部分としての把持部1aと、把持部1aと交差する方向に結合された本体部1bとを備えており、使用時には把持部1aと本体部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では略T字状)の外観を呈するように構成されている。把持部1aの突出端部からは、電源コード2が引き出されている。また、把持部1aは、本体部1b側の根元部1cと先端部1dとに分割されており、これら根元部1cと先端部1dとが、連結部1eを介して回動可能に連結されている。先端部1dは、本体部1bに沿う位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0017】
ヘアドライヤ1の外壁をなすケース3は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。ケース3の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0018】
本体部1bの内部には、その長手方向(図4の左右方向)の一方側(右側)の入口開口4aから出口開口4bに至る風洞4が形成されており、この風洞4内に収容されたファン5を回転させることによって空気流W1が形成される。すなわち、空気流W1は、外部から入口開口4aを介して風洞4内に流入し、当該風洞4内を通って出口開口4bから外部に排出される。
【0019】
また、本体部1bにおいて、ケース3の外筒3aの内部には、略円筒状の内筒6が設けられており、空気流W1はこの内筒6の内側を流れるようになっている。内筒6の内側では、最も上流側にファン5が配置され、その下流側にファン5を駆動するモータ7が配置され、モータ7のさらに下流側に加熱機構としてのヒータ8が配置されている。ヒータ8を作動させたときには、出口開口4bから温風が吹き出されることになる。なお、本実施形態では、ヒータ8は、帯状かつ波板状の電気抵抗体を内筒6の内周に沿って巻回して配置したものとして構成されているが、かかる構成には限定されない。
【0020】
そして、本体部1b内で、ケース3と内筒6との間に形成された空洞9に、2つ(複数)の金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)30,40や、ミスト生成部50、ミスト生成部50に電圧を印加する電圧印加回路12等が収容されている。また、空洞9の電圧印加回路12が収容された部位とは別の部位には、金属微粒子生成部30,40に電圧を印加する電圧印加回路(図示せず)が収容されている。
【0021】
電圧印加回路12および金属微粒子生成部30,40に電圧を印加する電圧印加回路(図示せず)は、把持部1a内、または本体部1b内で把持部1aの延長線上となる領域に配置するのが好適である。使用者が把持部1aを持ったときに、電圧印加回路12および電圧印加回路(図示せず)の質量に起因する回転モーメントを小さくして、使用者の手に作用する負荷を小さくするためである。
【0022】
また、これら電圧印加回路12および電圧印加回路(図示せず)を、内筒6を挟んで相互に反対側となる位置に配置するのが好適である。こうすれば、電圧印加回路12と電圧印加回路(図示せず)との相互干渉による電圧の低下や不安定化等の不具合を抑制することができる。
【0023】
さらに、本実施形態では、空洞9の側面部分(空洞9の電圧印加回路12が収容された部位とは別の部位)に、温風と冷風の切り換えや動作モード等を行うスイッチ部(図示せず)が収容されている。
【0024】
また、把持部1aの先端部1d内の空洞には、電源のONとOFFとの切り換え等を行う別のスイッチ部16が収容されている。これら電気部品同士は、金属導体等からなる芯線を絶縁性樹脂等で被覆したリード線17によって接続されている。なお、金属微粒子生成部30に繋がるリード線17、金属微粒子生成部40に繋がるリード線17およびミスト生成部50に繋がるリード線17は、相互に交叉させることなく極力離間させて配索するのが好適である。それぞれのリード線17を流れる電流の相互干渉によって、金属微粒子生成部30,40あるいはミスト生成部50で所望の電圧が得られなくなったり、電圧が不安定になったりするのを抑制するためである。
【0025】
また、温風と冷風の切り換えや動作モード等を行うスイッチ部(図示せず)は、ケース3の表面を切り欠いて一体に形成した操作子19を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。そして、操作子19の上方には、現在選択されているモードを表示する表示部14が形成されている。
【0026】
また、スイッチ部16は、ケース3の表面に露出した操作子18を操作することで、内部接点の開閉状態を切り換えることができるように構成されている。
【0027】
内筒6は、筒状部6aと、筒状部6aから径方向外側に向けて伸びて周方向に分散して配置された複数の支持リブ6b(図4では一箇所のみ図示)と、支持リブ6bを介して筒状部6aに接続され当該筒状部6aの軸方向と略直交する方向に張り出すフランジ部6cと、を有している。筒状部6aとフランジ部6cとの間には間隙g1が形成されており、この間隙g1を介して空洞9内に空気流W1の一部が分岐されて流入し、分岐流W2が形成されている。なお、分岐流W2の空洞9内への導入口となる間隙g1は、ファン5の下流でありかつヒータ8の上流側となる位置に設けられている。したがって、分岐流W2は、ヒータ8によって加熱される前の、比較的冷たい空気流となる。
【0028】
そして、分岐流W2の一部はさらに分岐されて分岐流W3となっている。この分岐流W3は、後述する金属微粒子吹出口20a,20bやミスト吹出口20cを通過せず、内筒6とケース3との間を通って出口開口4bの外周部分から吹き出す比較的冷たい空気流となっている。
【0029】
ケース3には、空洞9の出口開口4b側となる位置に、楕円形の貫通孔3bが形成されており、この貫通孔3bを絶縁性の合成樹脂材料からなるカバー20で塞いである。カバー20には、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a,20bとミスト吹出口20cとがそれぞれ独立して形成されている。カバー20は、金属微粒子あるいはミストによる帯電を抑制するため、ケース3よりも導電性を低くするのが好適である。カバー20が帯電すると、その電荷によって、金属微粒子生成部30,40やミスト生成部50から電荷を帯びた金属微粒子およびマイナスイオンやミストが放出されにくくなるからである。カバー20の帯電を抑制するためには、帯電を起こしにくい材料、例えば、PC(ポリカーボネート)樹脂を用いてカバー20を形成し、カバー20の材質を帯電を起こしにくい材質とするのが好ましい。なお、この部分では、カバー20がヘアドライヤ1の外壁を成している。
【0030】
また、本実施形態では、金属微粒子吹出口20a,20bの孔径を、ミスト吹出口20cの孔径より小さくしてある。すなわち、ミスト吹出口20cを介してのミスト生成部50のメンテナンスや状態の確認等をより容易に行わせるとともに、金属微粒子吹出口20a,20bを介しての手指や道具等の誤進入を抑制してある。
【0031】
また、カバー20の内側にはリブ(突部)21が設けられており、このリブ(突部)21を後述するミスト生成部50の放電対向電極(第2電極)52に当接させることで、カバー20の除電を行うようにしている。
【0032】
本実施形態では、カバー20を組み付ける際に、リブ(突部)21に放電対向電極(第2電極)52を圧入することで、放電対向電極(第2電極)52の前面52gおよび側面52hにリブ(突部)21を面接触させている。
【0033】
金属微粒子生成部30,40は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(第1電極)32,42および放電対向電極(第2電極)33,43を有している。そして、これら放電極32,42と放電対向電極33,43との間に電圧印加回路(図示せず)によって高電圧(本実施形態では、−1kV〜−3kV)を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、その放電作用によって放電極32,42や放電対向電極33,43等から金属微粒子(金属の分子やマイナスイオン等)を放出させるものである。
【0034】
この金属微粒子生成部30,40は、本実施形態では、ほぼ同一の形状に形成されているが、金属微粒子生成部30,40の形状がそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0035】
放電極32,42は、極細の線材として構成され、その幅(直径)を、10〜400[μm](好適には30〜300[μm]、より一層好適には50〜200[μm])に設定してある。なお、断面形状としては、円形、楕円形、多角形形状等、各種採用することができる。
【0036】
また、放電極32,42は、例えば、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材等として構成することができる。金属微粒子生成部30,40で生成され放出された金属の微粒子に、金や、銀、銅等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。また、金属微粒子生成部30,40は、放電作用によってイオン(例えばマイナスイオン、例えばNO2−、NO3−等)を生じさせ、このイオンを、放電極32,42や、放電対向電極33,43、他の金属材料や金属成分を含む部材等に衝突させることで、金属微粒子を生成するものであってもよい。すなわち、放電対向電極33,43や上記他の部材を、上記遷移金属を含む材料によって構成し、これらから金属微粒子を放出させるようにしてもよい。
【0037】
放電対向電極33,43は、図7に示すように、略矩形状の基体部33a,43aと、基体部33a,43aから突設される端子部33b,43bとを有している。
【0038】
基体部33a,43aの略中央位置には、金属微粒子の放出口となる円形状の開口部33c,43cが形成されている。図7に示すように、正面視では、放電極32,42は、開口部33c,43cのほぼ中心に配置される。一方、端子部33b,43bには、リード線17を挿通して結線するための貫通孔33d,43dが穿設されている。
【0039】
上記構成の金属微粒子生成部について発明者らが鋭意研究を重ねた結果、白金微粒子を毛髪等に供給して毛髪に抗酸化作用を付与し、毛髪等のダメージを回復させる際に、白金微粒子に加えて亜鉛微粒子を毛髪等に供給すると毛髪等のダメージをより効果的に回復できることが判明した。
【0040】
そこで、本実施形態では、金属微粒子生成部30の放電極32に含まれる金属を白金、金属微粒子生成部40の放電極42に含まれる金属を亜鉛とした。なお、白金を放電極42に、亜鉛を放電極32に含ませるようにしてもよい。
【0041】
ミスト生成部50は、導電性を有する金属材料によって形成される放電極(第1電極)51および放電対向電極(第2電極)52を有している。そして、これら放電極51と放電対向電極52との間に電圧印加回路12によって高電圧(本実施形態では、−3kV〜−5kV)を印加することで放電(コロナ放電等)を生じさせるものである。
【0042】
本実施形態では、放電極51は針状に形成されており、放電対向電極52は放電極51の先端側に離間配置した環状かつ板状の部材として形成されている。
【0043】
また、ミスト生成部50として、放電極51を冷却するための冷却装置53と、当該冷却装置53によって放電極51を冷却する際に発生する熱を放熱する放熱フィン54と、を備える静電霧化装置を用いている。
【0044】
具体的には、ミスト生成部50は、冷却装置53としてのペルチェ素子53aおよび熱伝導性を有する部材(例えば金属部材等)からなる冷却板53bとを含んでおり、ペルチェ素子53aによって冷却された冷却板53bの表面に空気中の水分を結露させ、結露水を生じるようになっている。そして、ミスト生成部50の上流側には、冷却板53bを冷却する際に発生する熱を放熱する放熱フィン54が設けられている。かかる構成では、供給された水、すなわち結露水が、放電作用によって微粒化され、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミスト)が生成される。
【0045】
また、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50は、内筒6の上壁6fから突設された固定リブ(固定部材)6gに載置することで、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50が内筒6の上方に固定されている。
【0046】
なお、固定リブ6gの形状や突出位置を様々に設定することで、空洞(分岐流路)9を流れる風の風向や風量を所望の量とすることが可能である。すなわち、固定リブ6gは、空洞(分岐流路)9を流れる風の風向や風量を制御する制御手段として利用することができる。
【0047】
ここで、本実施形態では、ミスト吹出口20cの周辺部20dに、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a,20bを形成している。
【0048】
具体的には、ミスト吹出口20cの周辺部20dを、正面視(ミスト吹出口20cを正面から視た状態)で、ミスト吹出口20cを通る任意の仮想線(本実施形態では、ヘアドライヤ1の上下方向に延在する線)Lによって第1の領域R1と第2の領域R2とに区画している。
【0049】
そして、2つ(複数)の金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a,20bが、第1の領域R1に形成された金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20aと第2の領域R2に形成された金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20bとを有するようにしている。
【0050】
すなわち、ミスト吹出口20cの周辺部20dにおけるミスト吹出口20cを通る任意の仮想線Lによって区画される第1の領域R1に金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20aを形成している。そして、ミスト吹出口20cの周辺部20dにおけるミスト吹出口20cを通る任意の仮想線Lによって区画される第2の領域R2に金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20bを形成している。
【0051】
さらに、金属微粒子吹出口(第1の領域R1に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口)20aと金属微粒子吹出口(第2の領域R2に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口)20bとを、ミスト吹出口20cが中心となるように並設している。
【0052】
すなわち、カバー20には、金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cが、ヘアドライヤ1の幅方向(図3の左右方向)に、金属微粒子吹出口20a、ミスト吹出口20c、金属微粒子吹出口20bの順に並ぶように形成されている。
【0053】
さらに、ミスト吹出口20cの下流側には、第1の整流部が設けられている。本実施形態では、ミスト吹出口20cの下流側かつ下方に、ミストの吹き出し方向に延在するように設けた壁部20eを第1の整流部としている。
【0054】
また、金属微粒子生成部30,40およびミスト生成部50は、空洞9内でヘアドライヤ1の幅方向(図7の左右方向)に、金属微粒子生成部30、ミスト生成部50、金属微粒子生成部40の順に並列に配置されている。
【0055】
そして、ミスト生成部50と、当該ミスト生成部50と隣り合う金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)30、40との間には、遮蔽板(仕切部)6dが設けられている。そして、図5および図7に示すように、遮蔽板6dを、ヘアドライヤ1の上下方向およびミストの吹き出し方向(図7の左右方向)に延在するように配置することで、金属微粒子やミストが金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cから吹き出される前に混合してしまうのを抑制している。
【0056】
以上、説明したように、本実施形態では、ミスト吹出口20cの周辺部20dにおけるミスト吹出口20cを通る任意の仮想線Lによって区画される第1の領域R1と第2の領域R2とに、少なくとも1つのイオン吹出口がそれぞれ形成されるようにしている。
【0057】
すなわち、ミスト吹出口20cの周辺部20dにおけるミスト吹出口20cを通る任意の仮想線Lによって区画される第1の領域R1に金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20aを形成している。そして、ミスト吹出口20cの周辺部20dにおけるミスト吹出口20cを通る任意の仮想線Lによって区画される第2の領域R2に金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20bを形成している。
【0058】
そのため、第1の領域R1に形成された金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20aおよび第2の領域R2に形成された金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20bから吹き出されるマイナスイオンの電荷によって、ミストが離散してしまうのを抑制することができる。具体的には、ミストはマイナスに帯電しているため、図9に示すように、ミスト吹出口20cの周辺部20dに形成された金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a、20bから吹き出されるマイナスイオンによって、ミストが外側へ拡散(離散)してしまうのが抑制される。
【0059】
その結果、ミストの直進性が向上してミストが髪に届きやすくなり、髪ケア効果をより高めることができる。
【0060】
また、本実施形態では、金属微粒子吹出口(第1の領域R1に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口)20aと金属微粒子吹出口(第2の領域R2に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口)20bとを、ミスト吹出口20cが中心となるように並設している。すなわち、ミスト吹出口20cの両端に、ミスト吹出口20cを挟むように金属微粒子吹出口20a、20bが形成されている。そのため、ミストが外側へ拡散(離散)してしまうのをより一層抑制することができ、髪ケア効果をより一層高めることができる。
【0061】
また、本実施形態では、ミスト吹出口20cの下流側かつ下方に、ミストの吹き出し方向に延在するように壁部(第1の整流部)20eを設けている。そのため、ミスト吹出口20cから吹き出されたミストが下方に拡散(離散)してしまうのを抑制することができる。その結果、ミストが外側へ拡散(離散)してしまうのをより一層抑制することができ、髪ケア効果をより一層高めることができる。
【0062】
さらに、本実施形態では、ミスト生成部50と、当該ミスト生成部50と隣り合う金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)30、40との間に、遮蔽板(仕切部)6dを設けることで、金属微粒子やミストが金属微粒子吹出口20a、20bおよびミスト吹出口20cから吹き出される前に混合してしまうのを抑制している。その結果、ミストとマイナスイオンとが空洞9内部で電気的な影響を受け合ってしまうのを抑制することができ、それぞれの吹出し量が減少してしまうことを抑制することができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0064】
例えば、図10に示すように、ミスト吹出口20cの上流側に第2の整流部としての延設壁部20fを設けるようにしてもよい。
【0065】
図10では、延設壁部20fは、ミスト吹出口20cの下方からミスト生成部50の下方にかけて、延在するように設けられている。
【0066】
こうすれば、ミスト吹出口20cの下方を通過した分岐流W2がカバー20や固定リブ(固定部材)6gにあたり、ミスト吹出口20cの下方で乱流が生じてしまうのを抑制することができる。したがって、ミスト吹出口20cの下方で生じた乱流によって、ミストが上方に拡散してしまうのを抑制することができ、ミストの吹出し量が減少してしまうのを抑制することができる。また、ミスト吹出口20cから吹き出したミストが乱流によって、ミストが上方に拡散してしまうのを抑制することもでき、ミストの直進性が向上してミストが髪に届きやすくなり、髪ケア効果をより高めることができるようになる利点もある。また、延設壁部20fを設けることで、分岐流W2と分岐流W3との分岐もよりスムーズに行うことができるようになる。
【0067】
なお、延設壁部20fは、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a、20bの上流側にも設けるのが好適である。
【0068】
また、図11に示すように、放熱フィン54に分流手段としての凸部54aを設けるようにしてもよい。本実施形態では、凸部54aは、上流側に突出する三角形状となるように形成されている。また、凸部54aは、放熱フィン54の複数の板部のそれぞれに形成されている。このように、放熱フィン54の複数の板部のそれぞれに、上流側に突出する三角形状の凸部54aを形成することで、放熱フィン54による放熱効果を損なうことなく、分岐流W2を、ヘアドライヤ1の幅方向両側に均等に分流させることができる。その結果、金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)30、40へ送られる風量が増大して、ミストの直進性をより一層向上させることができるようになる。
【0069】
なお、放熱フィン54の各板ごとに凸部を形成するのではなく、放熱フィン54の上流側全体に三角柱状の凸部(別体に形成したもの)を取り付けることで、分岐流W2を左右に分流させるようにしてもよい。
【0070】
また、凸部54aの形状を適宜設定することで、金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)30、40へ送られる風量を調整することが可能となる。図11では、同じ形状の金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)30、40を用い、凸部54aの形状を、左右対称となるように形成している。こうすることで、分岐流W2を両サイドに適切に別れさせて、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a、20bから吹き出される風のバランスをとり、ミストの直進性を維持できるようにしている。
【0071】
また、上記実施形態では、仮想線Lを上下方向に延在するように引いて、ミスト吹出口20cの左右に金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a、20bが形成されたものを例示したが、仮想線Lを横に引いて上下に領域を分割し、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)20a、20bをミスト吹出口20cの上下に形成するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ミスト吹出口や金属微粒子吹出口(イオン吹出口)の形状が円形のものを例示したが、円形のものに限らず、楕円形、半円形、長孔形状等様々な形状とすることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、マイナスイオン生成部として、金属微粒子およびマイナスイオンを生成する金属微粒子生成部を例示したが、金属微粒子は生成せず、単にマイナスイオンを生成するものを用いてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ミスト生成部およびマイナスイオン生成部として放電極(第1電極)と対向する放電対向電極(第2電極)を有するものを例示したが、第2電極を放電極(第1電極)と対向しない位置に設けたものを用いてもよいし、第2電極を設けないものを用いてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)を2つ形成したものを例示したが、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)を3つ以上形成することも可能である。例えば、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)を3つもしくは4つ形成する場合、図12に示すように、配置させることができる。なお、金属微粒子吹出口(イオン吹出口)を3つ以上形成する場合、それぞれの金属微粒子吹出口(イオン吹出口)を、ミスト吹出口の周囲に形成するのが好適である。
【0076】
また、上記実施形態では、分岐流によって、金属微粒子およびミストを吹き出すようにしたものを例示したが、分岐流がない場合でも、金属微粒子およびミストを対応する吹出口から吹き出すことができる。
【0077】
また、ヘアブラシ、ヘアアイロン等他の髪ケア装置にあっても、本発明を実施することができる。
【0078】
また、カバーやケース、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 ヘアドライヤ(髪ケア装置)
6d 遮蔽板(仕切部)
20a ミスト吹出口
20b,20c 金属微粒子吹出口(イオン吹出口)
20d 周辺部
20e 壁部(第1の整流部)
20f 延設壁部(第2の整流部)
30,40 金属微粒子生成部(マイナスイオン生成部)
50 ミスト生成部
51 放電極
53 冷却装置
54 放熱フィン
54a 凸部(分流手段)
L 仮想線
R1 第1の領域
R2 第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷を帯びたミストを生成するミスト生成部と、マイナスイオンを生成する複数のマイナスイオン生成部と、前記ミスト生成部によって生成されたミストが通過するミスト吹出口と、前記マイナスイオン生成部によって生成されたマイナスイオンが通過する複数のイオン吹出口と、を備える髪ケア装置であって、
前記ミスト吹出口の周辺部は、当該ミスト吹出口を正面から視た状態で、ミスト吹出口を通る任意の仮想線によって第1の領域と第2の領域とに区画されており、
複数の前記イオン吹出口は、前記第1の領域に形成されたイオン吹出口と第2の領域に形成されたイオン吹出口とを有することを特徴とする髪ケア装置。
【請求項2】
前記第1の領域に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口と前記第2の領域に形成されたイオン吹出口のいずれか1つのイオン吹出口とが、前記ミスト吹出口が中心となるように並設されていることを特徴とする請求項1に記載の髪ケア装置。
【請求項3】
前記ミスト吹出口の下流側に第1の整流部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の髪ケア装置。
【請求項4】
前記ミスト生成部と、当該ミスト生成部と隣り合う前記マイナスイオン生成部との間には、仕切部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【請求項5】
前記ミスト吹出口の上流側に第2の整流部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。
【請求項6】
前記ミスト生成部は、放電極と、当該放電極を冷却する冷却装置と、当該冷却装置によって前記放電極を冷却する際に発生する熱を放熱する放熱フィンと、を備える静電霧化装置であり、
前記放熱フィンには、分流手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の髪ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−81645(P2013−81645A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223756(P2011−223756)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】