説明

魚介すり身製品の保存におけるアルカリ金属ラクテートの使用

本発明は、保存処理された魚介すり身製品の調製の為の方法であって:生の魚介すり身を用意すること;該生のすり身を、アルカリ金属ラクテートと0.1〜10%(w/w)の量で、及び所望の場合には追加成分と、混合すること;生の魚介すり身、乳酸カリウム、及び追加成分の該混合物を保存処理すること;そして任意的に、該保存処理されたすり身製品をさらに加工することを含む前記方法を開示する。該アルカリ金属ラクテートは、好ましくは、乳酸カリウムである。該アルカリ金属ラクテートは、該保存処理された魚介すり身製品のテクスチャーを改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存処理された魚介すり身製品の調製の為の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保存処理された魚介すり身製品、例えばカマボコ、カニスティック(crab-stick)、及び魚肉団子など、は典型的に、高い弾性及び弾力的なテクスチャーを要求する。そのゲル構造が、該すり身製品のテクスチャーの強度及び弾力性の原因となり、並びに、水、脂肪、及び他の食品成分の捕捉の原因となる。
【0003】
保存処理されたすり身魚介製品の調製の為の一次材料は、生の魚介すり身であり、これは高度に濃厚な筋原繊維魚介筋肉タンパク質、主としてアクトミオシンから構成される。鮮度、漁獲方法、季節、サイズ、及び種類が、魚介筋肉タンパク質のゲル形成能力を決定する要因のいくつかである。或る生のすり身から調製されたすり身製品のテクスチャーは、該生のすり身の水分含有量、添加された成分(例えば塩、凍結保護剤、デンプン、タンパク質)の水準、アクトミオシン可溶化の程度、pH、及び加熱パラメータによりさらに影響される。
【0004】
生のすり身は、いくつかのクラスの新鮮に捕らえられえた海洋魚介のフィレから調製される。すり身の為の魚のフィレは、低い脂肪含有量を有すべきであり、且つ、高い密度を有すべきであり、そして、その肉は白くあるべきであり、好ましくは暗い肉が無いべきである。それが、なぜ全てのクラスの魚介がすり身の調製の為に理想的ではないのかの理由である。最高の品質のすり身は、タラ(スケトウダラ(Alaska Pollack)、ヘイク(hake)、及びホワイティング(whiting))から並びにいくつかの熱帯の魚(ブリーム(bream)、クローカー(croaker))から製造される。パシフィックホースマケレル(pacific horse mackerel)、イワシ(pilchard)、ダイオウイカ、エソ(spotted tail grinner)なども、すり身調製にとって適している。しかしながら、これらの魚介クラスから作られたすり身は、より少ないゼリー状になる能力を有し又はより暗い色を有する。
【0005】
魚介は好ましくは、それが捕まえられた後6〜10時間よりも前に生のすり身へと処理されるべきである。しばしば、該魚介は、クルージングの間に船上で処理される。
【0006】
生のすり身の調製の為に、魚介肉、例えば魚介フィレの形にある魚肉が、望ましくない臭いを除去する為に水によって数回リンスされる。該肉は、叩かれて及び粉砕されて(刻まれて)、ミンチにされた魚介の塊を形成する。凍結保護剤が、魚介タンパク質の特性を保存する為に添加される。低温保護の技術は、低分子量の炭水化物、例えばスクロース、ソルビトール、及び/又はトレハロースなど、の冷凍の前に、脱水された筋原繊維タンパク質への添加を含む。また、リン酸ナトリウムが、すり身のpHを改善する為に及び金属をキレートする為に、凍結保護剤と混合されてもよい。生のすり身の調製の間に、該魚介フィレは、熱処理を受けず、その結果、すり身の全てのビタミン及び微量元素は無傷のままである。冷凍した生のすり身は次に、すり身製品の種々の製造者へ、−20℃の常に制御された温度を有する冷凍コンテナー中で輸送される。
【0007】
特開平10−146172号公報は、生の冷凍した挽かれた魚介肉の品質の悪化の問題を解決する為に、該冷凍した挽かれた魚介肉が、糖類、アルカリ金属ラクテート、及び重合したホスフェートの混合物を、冷凍する前に挽かれた魚介肉に添加することにより製造される。
【0008】
国際公開第2005−032264号パンフレットは、魚介製品産業の為の出発材料としての使用の為に適した、白身魚の生の冷凍した魚介塊の調製の為の方法であって、該魚肉原料は、冷凍の前に有機酸又はその塩及び低温保存料の混合物の添加により、改善された結合特性及び粘度形成特性を与える。
【0009】
欧州特許出願公開第1 051 919号明細書及び米国特許第6,001,398号明細書は、魚介、貝類、甲殻類、家禽又は動物の肉から作られる食用すり身材料を開示し、該材料は、100重量部の該肉に1.0〜6.0重量部のエタノール及び0.2〜1.0重量部のアルカリ性物質を添加すること、そして、該混合物を真空において挽くことによる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは、今、驚くべきことに、生の魚介すり身から保存処理された魚介すり身製品を調製する為の方法におけるアルカリ金属ラクテートの添加であって、該アルカリ金属ラクテートが保存処理工程の直前に該生のすり身と混合されるところの前記添加が、ゲル強度の増加により測定されたときに、該保存処理されたすり身製品のテクスチャーを有意に増加することを発見した。
【発明の効果】
【0011】
それにより、従来技術により教示されるとおりの、該生のすり身を冷凍する前に凍結保護剤と一緒に該アルカリ金属ラクテートを添加することが必要ないことが発見された。保存処理されたすり身製品の増加したゲル強度の一つの利点は、高価なスケトウダラすり身の量が、より安価な品質のすり身ベースにより部分的に置き換えられうることである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
すなわち、一つの局面において、生の魚介すり身から保存処理された魚介すり身製品を調製する為の方法が開示され、該方法は、アルカリ金属ラクテートの存在下において該生のすり身を保存処理することを含み、ここで、従来技術の教示と異なり、該アルカリ金属ラクテートは、該生のすり身の保存処理のプロセスの直前に該生のすり身と混合されて、保存処理されたすり身製品を形成する。
【0013】
好ましくは、該アルカリ金属ラクテートは、好まれる特定のすり身製品を調製する為に必要である追加成分と同時に該生のすり身と混合される。
【0014】
特に、該方法は:
生の魚介すり身を用意すること;
該生のすり身を、0.1〜10%(w/w)の量のアルカリ金属ラクテートと、及び、所望の場合には追加成分と、混合すること;
生の魚介すり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の混合物を保存処理すること;
任意的に、該保存処理されたすり身製品をさらに加工すること
を含む。
【0015】
好ましいアルカリ金属ラクテートは、乳酸カリウム又は乳酸ナトリウムである。乳酸カリウムが特に好ましく、なぜなら、乳酸カリウムは、乳酸ナトリウムが用いられるときよりも高いゲル強度を有するすり身製品を与えるからである。
【0016】
本明細書において記載されたとおりの方法の為の出発材料として、生のすり身が用いられる。語「生のすり身」は、筋原繊維魚介筋肉タンパク質を主に含み且つ生の調理されていない形にある魚介タンパク質製品を定義することが意味される。生のすり身の全タンパク質含有量は典型的には、10〜20 % (w/w)、例えば12〜18% (w/w)である。生のすり身中の全タンパク質に対する機能的筋原繊維の割合は典型的には、その調製直後で、約80%でありうる。該割合は、該機能的タンパク質の変性に起因して、貯蔵条件、例えば温度及び凍結保護剤の存在など、に依存して、貯蔵の間に減少しうる。通常、該生のすり身は冷凍した形で保存される。
【0017】
生のすり身を調製する為に、魚肉、例えば魚介フィレの形にある魚肉が、水により数回、望ましくない臭いを排除する為に及び非繊維タンパク質を除去する為にリンスされる。該肉は、叩かれて及び粉砕されて(刻まれて)ミンチにされた魚介塊を形成する。塩及び/又は凍結保護剤のような添加物が添加される。該ミンチにされた魚介塊は最もしばしばブロックへと形づくられ、そして冷凍され、該生のすり身が最もしばしば冷凍された形で用意されることを関係づける。
【0018】
本明細書内において記載されたとおりの方法において、該生のすり身が、所望の場合には水及び/又は1又はそれより多い追加成分と混合される。該混合の前及び/又は間に、該生のすり身は、冷凍した形で用意されるときに、解凍される。該生のすり身はまた、混合の前に、簡単にホモジナイズされてもよい。水の量及び追加成分の種類は、該保存処理されたすり身製品の所望のテクスチャー及びフレーバーに依存しうる。適切な追加成分は、デンプン、卵白、塩、植物油、保湿剤、ソルビトール、糖、大豆タンパク質、酵素、例えばトランス−グルタミナーゼなど、シーズニング、魚介フレーバー、及び味増強剤、例えばグルタミン酸一ナトリウム(MSG)など、を含みうる。
【0019】
アルカリ金属ラクテートは、該生のすり身と、保存処理に付される該生のすり身組成物の全重量に基づき、0.1〜10%(w/w)、好ましくは0.5〜5%(w/w)、より好ましくは1〜4%(w/w)の量で、混合される。該アルカリ金属ラクテートは、別個の材料として添加されてよいが、好ましくは上記で言及されたとおりの該追加成分と一緒に添加される。
【0020】
該生のすり身、アルカリ金属ラクテート及び追加成分を混合することは、任意の適切な混合装置、例えばサイレントボールカッター(a silent bowl cutter)など、を用いて行なわれうる。好ましくは、該混合することは、10℃未満の温度で、均質な混合物を得るために適切な時間、例えば5〜20分間、行なわれる。
【0021】
生のすり身、アルカリ金属ラクテート及び追加成分の得られた混合物は、保存処理され、そして次にさらに、所望のときに、加工される。
【0022】
生のすり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物の保存処理は、熱処理、及び、任意的に、該熱処理の前に固める工程を含む。生のすり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物はさらに、所望の形に、好ましくは該固める工程の前に、成形されてよい。
【0023】
固めることは、比較的低い温度で、例えば5〜40℃で、ゲル硬化を得るために適した時間、例えば少なくとも約30分間、実施される。該固める時間の上限は、重要でなくてよく、及び、約24時間まででありうる。
【0024】
生のすり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物を、任意的に所望の形に形作られた及び/又は任意的に上記で記載されたとおりの固めることに付された、冷蔵された又は冷凍された形で、半仕上げされた製品として維持し及び/又は販売する為に、貯蔵することも一つの選択肢である。該半仕上げされた製品は次に、任意の適切な後の段階で、熱処理に付されうる。
【0025】
任意的に上記で記載されたとおりの固められ及び/又は任意的に所望の形に形作られた、生のすり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物の熱処理は、保存処理されたすり身製品を得る為の当技術分野で既知の条件下で行なわれる。
【0026】
簡潔には、生のすり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物は、約70〜約100℃の温度で、保存処理された製品を得るために適した時間、加熱される。それに関して、該加熱時間は、適用される温度及び保存処理されるべき製品の直径に依存しうる。典型的には、該加熱時間は、約5秒〜約30分でありうる。熱処理後、該保存処理されたすり身はさらに加工されてよく、例えば所望のサイズへと切ること、さらに成形すること、着色料により処理することなど、によって加工されうる。
【0027】
さらなる局面において、保存処理された魚介すり身製品のテクスチャーの改善の為の方法が開示され、ここで該保存処理されたすり身製品が前の局面の方法に従い調製される。それに関して、本明細書内において記載されたとおりに測定されたすり身製品のゲル強度は、典型的には、該製品のテクスチャーの指標となる。
【0028】
本明細書内において記載されたとおりのアルカリ金属ラクテートを魚介すり身製品の調製中に含めることは、有利には、該魚介すり身製品の品質への有益な貢献を有する。改善されたテクスチャーへ貢献することの次に、アルカリ金属ラクテートの抗菌的及び保存的特性が、該魚介すり身製品に、増大した保存性及び貯蔵寿命を与える。
【0029】
実験
【0030】
材料
【0031】
スケトウダラすり身、American Seafoodsにより製造された
グレードA(ゲル強度=825+)
仕様:
91.49 % 魚肉(スケトウダラ(Alaska Pollock)、Theragra chalcogramma)
0.14 % トリポリリン酸ナトリウム
0.14 % ピロリン酸テトラナトリウム
4.57 % ソルビトール
3.66 % 糖
北東太平洋、エリア76、トリップ2008-02、において捕らえられた
製造日:2008年2月10日
分析:72.4 % 水、0.1 % 脂肪、14 % タンパク質、5 % 糖類(単糖類及び二糖類)、0.17 %ナトリウム

イトヨリすり身、Multiprosur (スペイン)により頒布された
グレードA(ゲル強度=500+)
仕様:
94. 5 % 魚肉(Threadfin bream、Nemipterus Spp)
5 % 糖
0.2 % トリポリリン酸ナトリウム
0.1 % ピロリン酸テトラナトリウム
0.2 % 卵白パウダー
太平洋、catch FAOゾーンNr 71において捕らえられた、バッチVN/286/IV
製造日:2007年9月2日
分析:77.5 %水、0.2 %脂肪、14.8 %タンパク質、8.9 %糖類(単糖類及び二糖類)
水、Nestle Aquarel springwater/氷、 脱塩水
コムギデンプン、CerestarバッチWY 7909
トリポリリン酸ナトリウム (M212)、Haifa ロット491193
塩;Fischer S/3120/65、バッチ: 0570876.
グルタミン酸一ナトリウム、Euroma、30-08-2001
PURASAL HiPure P Plus、Purac、バッチナンバー0707001072 (乳酸カリウム)
PURASAL S、Purac、バッチナンバー0708002166 (乳酸ナトリウム)
【0032】
方法
【0033】
保存処理されたすり身を有するケーシングの調製
【0034】
1.冷凍された生のすり身を−4℃で一晩の間、解凍する(クライミットキャビネット(climate cabinet))。
2.該すり身をカッター(Robot coupe r10 vv)により混合する。
3.すべての成分(塩、msg、水、デンプン、ラクテート)を添加し、そして、再度混合する。温度は、該すり身のタンパク質機能の損傷を防ぐ為に、最大で10℃である。
4.ゲルマトリックス中のエアポケット形成を防ぐ為に該ペーストを真空化する。
5.該混合物を、3cmのPVCフィルムケーシング中につめる。
6.1時間、10℃で貯蔵する。
7.88℃で30分間加熱する(ウォーターバス、Memmert)。
8.水氷中で10分間冷却する。
9.測定まで0℃で貯蔵する。
10.ゲル強度を測定する。
【0035】
ゲル強度の測定
【0036】
ゲル強度を決定する為に、パンチ貫入試験(the punch penetration test)が用いられる。この試験は、すり身産業において、「ゲル強度」を評価するために用いられる最も一般的なゲル測定技術である。この試験において、パンチプローブが、シリンダー中に置かれたゲルシリンダーの表面を押す為に用いられる。破断のときの記録されたピーク強度及び貫入の深さが、ゲル特性を説明する為に用いられる。これらの2つの値は掛け算されて、グラム・センチメートルにおけるゲル強度を与える。破断のときの記録されたピーク強度及び貫入の深さが、テクスチャーアナライザー(ブランドStable Micro Systems、タイプTA-XT2i)により測定された。
【0037】
TA-XT2iの設定
モード:圧縮における力を測定する(Measure Force in Compression)
オプション:Return to Start
試験前スピード:1.0 mm/s
試験スピード:1.1 mm/s
試験後スピード:10.0 mm/s
距離:15 mm
引き金強さ(Trigger Force):オート(Auto) - 1Og
データ取得速度:200 pps
【0038】
付属物:5kg負荷セルを用いる5mmの球形プローブ
【0039】
試料調製:一定の寸法(30mm直径、25mm高さ)の円柱へと該すり身試料を切る。内部温度が20℃になるまで、試料を貯蔵から20℃へ移す。製品を室温(20℃)で測定する。
【0040】
試験手順:該試料を該プローブ下に直径方向に配置し、そして、貫入試験を開始する。
【0041】
観察:10gの引き金強さが得られたら、該プローブが、該試料を、15mmの距離へ貫入することが続く。該すり身へ穴をあける為の力(破壊強度)及び該ボールプローブが該すり身へと入ったときの距離(破壊距離)が両方とも重要な値である。伝統的に、すり身は、3つのパラメータ(最大強度(破壊する強度)、破断距離、及び「ゲル強度」)に従い測定される。「ゲル強度」は、センチメートルにおける破断距離を掛け算された、グラムにおけるピーク強度である。
【実施例1】
【0042】
アルカリ金属ラクテート塩の不在下又は存在下におけるスケトウダラすり身のゲル強度
対照スケトウダラすり身製品は、表1に言及されたとおりの組成を有する。すり身製品バッチが調製され、そして、該バッチのゲル強度が実験の部に従い測定された。該バッチのpHは7〜7.1であった。表2は、該バッチの組成及びゲル強度を与える。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
結果は、乳酸ナトリウムが、スケトウダラすり身のゲル強度を改善すること、及び、乳酸カリウムがさらにより高い増加を与えることを示す。2倍より高い濃度の乳酸カリウム(3.12%)は、1.56%乳酸カリウムを有する製品と比べて、ゲル強度におけるさらなる増加をもたらさないが、いくぶんより低いゲル強度を与える。
【実施例2】
【0046】
乳酸カリウムによる高い及びより低い品質のすり身の混合物のゲル強度の増加
すり身製品バッチが調製され、そして、該バッチのゲル強度が、実験の部に従い測定された。
【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
結果は、イトヨリ及びスケトウダラの生のすり身の混合物から調製されたすり身製品が、イトヨリの生のすり身だけから作られたすり身製品のものと比較して、わずかにより高いゲル強度だけを与えることを示す。しかしながら、イトヨリ及びスケトウダラすり身の混合物への乳酸カリウムの添加が、得られたすり身製品のゲル強度を有意に増加する。乳酸カリウムを有する組成は、凍結解凍サイクル後のすべての試料のゲル強度の最も低い減少をさらに示した(ゲル強度は124g・cmだけ低下される)。すなわち、乳酸カリウムの添加は、凍結/解凍の影響に対して、すり身製品を保護する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存処理された魚介すり身製品の調製の為の方法であって:
生の魚介すり身を用意すること;
該生のすり身を、0.1〜10%(w/w)の量の乳酸カリウムと、及び、所望の場合には追加成分と、混合すること;
生の魚介すり身、乳酸カリウム、及び追加成分の該混合物を保存処理すること;そして
任意的に、該保存処理されたすり身製品をさらに加工すること
を含む前記方法。
【請求項2】
該生のすり身が冷凍された形で用意され、且つ、該方法が、該冷凍された生のすり身を、混合の前に及び/又は間に解凍することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該追加成分が、デンプン、ホスフェート、卵白、塩、植物油、保湿剤、ソルビトール、糖、大豆タンパク質、酵素、シーズニング、魚介フレーバー、及び味増強剤からなる群から選ばれるものである、請求項1又は2に記載された方法。
【請求項4】
該保存処理が、熱処理、及び、任意的に、熱処理の前に生の魚介すり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物を固めることを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載された方法。
【請求項5】
該保存処理の前に、生の魚介すり身、乳酸カリウム、及び追加成分の該混合物を、所望の形に成形することが行なわれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載された方法。
【請求項6】
魚介すり身製品が、請求項1〜5のいずれか1項に記載された方法に従い調製される、魚介すり身製品のテクスチャーを改善する為の方法。
【請求項7】
保存処理された魚介すり身製品の調製の為の半仕上げされた製品を調製する為の方法であって;
生の魚介すり身を用意すること;
該生のすり身を、0.1〜10%(w/w)の量の乳酸カリウムと、及び、所望の場合には追加成分と、混合すること;そして
生の魚介すり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物を、半仕上げ製品として、冷蔵又は冷凍条件下で、貯蔵すること
を含む前記方法。
【請求項8】
該生のすり身が冷凍された形で用意され、且つ、該方法が、該冷凍された生のすり身を、混合の前に及び/又は間に解凍することを含む、請求項7に記載された方法。
【請求項9】
生の魚介すり身、アルカリ金属ラクテート、及び追加成分の該混合物が、該混合物を貯蔵する前に、固められ、そして、任意的に、所望の形に成形される、請求項7又は8に記載された方法。

【公表番号】特表2012−520065(P2012−520065A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553443(P2011−553443)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053040
【国際公開番号】WO2010/103043
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(306003419)ピュラック バイオケム ビー.ブイ. (40)
【Fターム(参考)】