説明

魚油及びプロバイオティクスの組合せを含む飲料

本発明は、水中油型エマルジョン中の魚油及びプロバイオティクスを含む安定していて味の良い飲料に関する。前記プロバイオティック細菌は、好ましくはアシドフィルス菌である。該飲料を調製する方法もまた開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚油及びプロバイオティクスを含む飲料、並びにその調製法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚油は、長鎖ω−3ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)の最も豊富な食物供給源である。ω−3PUFAの酸化に対する安定化は、食品加工における重要な課題である。
【0003】
脂肪酸は、食物脂肪の構成単位である。人体は、かかる食物脂肪を実質的にトリグリセリドの形で貯蔵している。ω−3脂肪酸を含有するトリグリセリドは主として魚に見出される。
【0004】
ω−3脂肪酸は、生命にとってはいかなる段階でも、誕生前でさえも、必須である。それらは体内のあらゆる細胞の膜の必須の構成単位であり、その存在は適切な細胞膜の維持のためには不可欠である。それらは、また、心血管系、生殖系、免疫系及び神経系の機能を含む殆どの生物学的機能の調節に寄与する。
【0005】
人に対するω−3の栄養的価値は、よく知られており、世界中の科学者及び医療従事者により認められている。いくつかの研究がこの分野では実施されており、脳の発達支援及び神経系に関わる免疫系に関して、ω−3についての大きな利点が明らかにされている。その他の研究は、喘息又は湿疹に罹患しているときのω−3の摂取の利点を裏付けている。現在、ADHD又はその他の精神の集中の問題に悩んでいる子供に対するω−3の役割に焦点が合わされている。
【0006】
今日の一般的な食事はω−3の不足を生じさせている。ノルウェーの保健機関マートティルスィーネ(Mattilsynet)は、現在活発に、1週間に4回は夕食に魚を食べるように市民に勧めている。
【0007】
魚油調製の仕事をすると、脂肪酸の酸化を防ぐことが極めて困難であることがわかる。加工及び貯蔵を考慮した試験を不活性雰囲気中で行い、生成物を気密にした1食分単位で詰めても、酸化を完全に防ぎ、魚臭い風味を排除又は十分に隠し、不快な後味がもはや存在しない製品を提供することは困難な状況にある。
【0008】
魚臭い味覚/臭覚をごまかすか魚油の酸化を防ぐ、即ち酸化防止剤などを添加する多くの様々な方法が使用される。
【0009】
先行技術のノルウェー国特許出願第2004−4542号は、脂肪酸の酸化が許容できる程度まで減少されるクリーム状の水中油型エマルジョンを提供している。
【0010】
プロバイオティック細菌は、哺乳動物の胃腸管に対して有益であることが知られている。ストレス、食事、年令、環境因子、抗生物質、疾患、早産、及び粉ミルク組成は、ミクロフローラの細菌構成を好ましくない方向に変更し得る。研究計画は、現在プロバイオティクス及びプレバイオティクスの使用を介して腸内細菌叢を修復することに集中している。健康食品への新たな一般市民の関心に伴って、製造業者はプロバイオティクスの乳酸菌及びビフィズス菌を含有するいくつかの新規な乳製品の製造を開始している。これらの健康に良い細菌培養物は、現在、ミルクの市場価格を高めるために、ヨーグルト、朝食用加工食品、チーズ、飲料、及びスプレッドに組み込まれている。
【0011】
現在、多くの魚油製剤が入手できる。しかし、味の良い飲料として入手できる魚油調製品は存在しない。更にプロバイオティクスを含有する様々な機能性食品調製品が入手できる。
【0012】
したがって、健康増進効果のため及び喉が渇いた時の両方に最適な飲料である魚油及びプロバイオティクスの利点を組み合わせた安定した味の良い飲料に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、
a)脂肪酸、特に生命に必須のω−3脂肪酸と、
b)腸のミクロフローラに対して有益なプロバイオティクスと、
c)体の水分平衡を維持するための水と
を合わせる新規な飲料を提供する。
【0014】
本発明を介して意外にも魚油の水中油型エマルジョンへのプロバイオティクスの添加が脂肪酸の酸化を安定化させ、より安定していて、味がよく、利用しやすい製品を生み出すことが分かった。かくして本発明は、魚油とプロバイオティクスとを含有する新規な味の良い飲料を提供する。本発明が味の良い飲料を提供するという事実によって、それは水分均衡の維持に寄与し、喉の渇いた人々にとって最適な飲料である。
【0015】
本発明による飲料は、非ミルク系製品である。そのためそれはミルクアレルギー又はラクトース不耐症に悩む人々にとって最適な製品である。現在、プロバイオティクスを含有する非ミルク系飲料は入手することができない。
【0016】
本発明の1つの目的は、調製品に魚油、ω−3脂肪酸及びプロバイオティクスを含み魚臭い味覚又は後味のない新規な口に合う飲料を提供することである。口に合うという用語は、本明細書では快い風味、味覚及び後味を有する飲料を意味する。前記飲料中の魚油の量は、水中油型エマルジョン中に5%から20%までである。
【0017】
本発明の更なる目的は、脂肪酸の酸化の進行が最低限に低下されている安定した飲料を提供することである。プロバイオティック細菌が酸化を防ぎ安定性を促進する重要な役割を果たす。アシドフィルス菌は、望ましくない微生物にとって適さない環境にする乳酸、過酸化水素及びその他の副産物を生成する。アシドフィルス菌は、7〜12%の範囲のアスコルビン酸塩自動酸化の阻害割合を有する抗酸化作用、金属イオンキレート能、活性酸素種の除去、酵素阻害、及び乳酸菌の細胞内の無細胞抽出液の活性の減少を含むメカニズムを明示する。培養物によるこの活性は、食物抗酸化剤の源を提供する。
【0018】
本発明の更なる目的は、ω−3脂肪酸及びプロバイオティクスの推奨される1日の服用量を含有する1日量単位の飲料を提供することである。
【0019】
これら及び更なる目的は、本発明により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、魚油及びプロバイオティクスを含む新規な飲料に関する。その魚油は、適切な乳化剤の使用により乳化して水中油型エマルジョンとする。プロバイオティクスの活性が食物抗酸化剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の1つの好ましい実施形態は、前記魚油が約5〜20%、好ましくは5〜10%存在する飲料を提供する。その魚油は、適切な品質の任意の魚油調製品から選択することができる。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態は、プロバイオティック細菌が乳酸菌属から選択される、好ましくはアシドフィルス菌である飲料を提供する。しかし、魚油の酸化を安定化させるために適切であり体に有益な任意のプロバイオティック細菌を使用することができる。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態は、甘味料、着香料、酸化防止剤及び保存料を更に含む飲料を提供する。そのようなものであるこの飲料には任意の望ましい味覚を与えることができる。
【0024】
本発明の一態様において、その適切な乳化剤は、乳固形分、好ましくはGrindsted FF1125である。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態は、前記保存料がソルビン酸カリウムである飲料を提供する。
【0026】
本発明の別の好ましい実施形態は、前記甘味料がキシリトールである飲料を提供する。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態は、1日量単位で、好ましくは気密瓶に充填されている飲料を提供する(しかし、該飲料は任意の適切な容器を適用することもできる)。
【0028】
本発明の1つの特に好ましい実施形態は、
【表1】


を含む飲料である。
【0029】
この飲料は、所望の味覚を与える任意の適切な着香料を加えて調製することができる。
【0030】
更に、本発明は、
a)不活性雰囲気の下で5〜20%の魚油を含む(液体の)水中油型エマルジョンを形成するステップと、
b)プロバイオティクスを、乳化前に魚油若しくは水に直接かそれとも形成されたエマルジョンに加えるステップと、
c)前記飲料を適切な気密容器に充填するステップと
を含む飲料を調製するための方法に関する。
【0031】
その容器は、好ましくはいつでも使用することができる小瓶であることができる。成人、子供及び幼児の推奨される1日量に調整した様々な量の脂肪酸及びプロバイオティクスを含有する瓶が可能である。加工及び包装は、0〜10℃の温度の不活性雰囲気下で行う。その製品は、0〜10℃の温度で貯蔵する。
【0032】
本発明を、ここで以下の非限定の実施例を参照して更に説明する。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
ジャックフルーツ飲料の調製
【表2】

【0034】
飲料を、
a)不活性雰囲気の下で5〜20%の魚油を含む水中油型エマルジョンを形成するステップと、
b)プロバイオティクスを、乳化前に魚油若しくは水に直接かそれとも形成されたエマルジョンに加えるステップと、
c)得られた飲料を適切な気密容器に充填するステップと
により調製する。
【0035】
その容器は、好ましくはいつでも使用することができる小瓶であることができる。成人、子供及び幼児の推奨される1日量に調節した様々な量の脂肪酸及びプロバイオティクスを含有する瓶が可能である。加工及び包装は、0〜10℃の温度の不活性雰囲気下で行う。その製品は、0〜10℃の温度で貯蔵する。
【0036】
魚油は、ノルウェーのMaritex ASにより製品番号43−10が提供される。その他のすべての成分は、Danisco A/S、Langebrogade 1、DK−1001コペンハーゲンにより市販されている。
【0037】
GRINDSTED(登録商標)FF1125安定剤系(E1422、乳固形分、E1442、E415)
ジャックフルーツ香味料T10729(NI、液体)
GRINDOX商標TOCO50酸化防止剤(E306、菜種油)
GUARDIAN商標ローズマリー抽出液201(天然ローズマリー抽出液)
アシドフィルス菌NCFM(登録商標)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中油型エマルジョン中の魚油及びプロバイオティクスの組合せを含む飲料。
【請求項2】
適切な乳化剤、甘味料、着香料、酸化防止剤及び保存料を更に含む、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
魚油の含量が約5〜20%である、請求項1に記載の飲料。
【請求項4】
前記プロバイオティクスが乳酸菌属から選択される、請求項1に記載の飲料。
【請求項5】
乳酸菌株がアシドフィルス菌である、請求項4に記載の飲料。
【請求項6】
前記適切な乳化剤が乳固形分である、請求項2に記載の飲料。
【請求項7】
前記乳固形分がGrindsted FF1125である、請求項6に記載の飲料。
【請求項8】
前記保存料がソルビン酸カリウムである、請求項2に記載の飲料。
【請求項9】
前記甘味料がキシリトールである、請求項2に記載の飲料。
【請求項10】
前記飲料が1日量単位で、好ましくは気密瓶に充填されている、請求項1に記載の飲料。
【請求項11】
【表1】


を含む、請求項1に記載の飲料。
【請求項12】
飲料を調製するための方法であって、
a)不活性雰囲気の下で5〜20%の魚油を含む(液体の)水中油型エマルジョンを形成するステップと、
b)プロバイオティクスを、乳化前に魚油若しくは水に直接か、形成されたエマルジョンに加えるステップと、
c)前記飲料を適切な気密容器に充填するステップと
を含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の飲料を含有する密封容器。

【公表番号】特表2008−543348(P2008−543348A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519198(P2008−519198)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/NO2006/000238
【国際公開番号】WO2007/001185
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507132651)ファーマロジカ エーエス (3)
【Fターム(参考)】