説明

魚礁

【課題】魚礁を構成する木材が朽ちても、その木材が外部に流出しない魚礁を提供する。
【解決手段】本願に係る魚礁10は、複数の柱部21と複数の梁部22とを有して立体的に構成され、その内部空間と外部とが複数の開口部で連通されたコンクリート製の枠体11を備えている。また、魚礁10は、複数本の木材18を井桁状または格子状に組み付けて平面ユニット20とし、それを上記枠体11の内部空間に垂直方向に複数段積み重ねた木材の組立体12を備えている。そして、枠体11の内部空間に木材の組立体12を鋼材で固定し、木材の組立体の上に自然石14を載置している。木材18を使用することにより、集魚効果が非常に高く、魚礁を中心に食物連鎖が育まれる。また、木材の組立体12を枠体11の内部空間に鋼材13で固定しているので、木材が朽ちても、網状に形成された鋼材13により、枠体の外部に流出するのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は魚礁、詳しくは人工的に形成された魚礁の構造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚礁は、コンクリートと鋼材とで構成されている。コンクリート材と鋼材とは、魚礁を形成する強固な素材であり、耐久性においても優れている。
しかしながら、コンクリートまたは鋼材で形成された魚礁には、その素材の性質上藻が発生し難い。コンクリートの表面に藻類が付着しても、海流により付着した藻類が流されてしまう。このため、魚礁としての集魚効果が期待できない。
【0003】
近年のわが国のおける林業を取り巻く環境は、山村地域の過疎化、木材価値の低下等の要因により、厳しい状況にある。そのため、本来健全な森林を育てるために行われる間伐が行われない。また、間伐が行われていても、間伐材の有効利用がなされていない。
また、漁業を取り巻く環境についても、過疎化の問題や天然の漁場の消失による水産資源の枯渇化が大きな問題となっている。
さらに、流木または建設廃材は、パーティクルボード、紙(パルプ)または堆肥(コンポスト)にリサイクルされている。しかし、すべての流木・建設廃材についてリサイクルできていない。プラントの処理能力、コスト、木材の状態などからの理由により処理できていない。残りは、焼却による産業廃棄処理が大半である。この焼却により、大気汚染などの環境問題が生じる。
そこで、間伐材、流木、建設廃材を、魚礁の素材として有効利用することが提案されている。例えば、特許文献1に記載の発明のように、間伐材を利用した魚礁が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−137267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
間伐材を使用することにより、フナクイムシが着生し、それを餌として小型魚類が蝟集する。また、通常の魚礁よりも集魚効果が非常に高く、魚礁を中心に食物連鎖が育まれる効果を有している。
しかし、間伐材は、フナクイムシ、キクイムシの食害により、一般的に耐用年数が5年未満と短い。また、間伐材は、コンクリート材に比べて強度が低い。したがって、間伐材のみで構成された魚礁は、コンクリート材や鋼材で構成された魚礁に比べて、耐用年数が短い。
さらに、コンクリート材と比べて、比重が軽く、浮遊または流出のおそれがある。
さらに、木材単独で構成した魚礁は、その木材に突起部分が存在すると、漁網が引っ掛かりやすい構造となる。
【0006】
この発明は、上記問題を解決するためになされたもので、木材のみで構成された魚礁に比べて耐用年数を満足する魚礁を提供することを目的とする。
また、この発明は、魚礁を構成する木材が朽ちても、その木材が外部に流出しない魚礁を提供することを目的とする。
さらに、間伐材を使用しても、魚網が引っ掛かりにくい構造を有する魚礁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、海底、湖底または河川底に配設され、魚類の生息空間を人工的に形成した魚礁であって、複数の柱部と複数の梁部とを有して立体的に構成され、その内部空間と外部とが複数の開口部で連通されたコンクリート製の枠体と、複数本の木材を井桁状または格子状に組み付けることにより平面ユニットとし、その平面ユニットを上記内部空間に複数段積み重ねることにより立体的に構成された木材の組立体と、その両端がそれぞれ上記柱部または上記梁部に固定されることにより、上記木材の組立体を上記枠体の内部空間に固定する複数本の鋼材と、上記枠体の内部空間で上記木材の組立体の上方に配設された複数個の石材と、を備えた魚礁である。
上記柱部、上記梁部を構成するコンクリート材には、鉄筋が埋設されている。また、コンクリート材の太さ、断面積などは任意である。
本願発明に係る魚礁の設置場所は、例えば、海底、湖底または河川底などである。また、この魚礁全体の大きさは限定されない。
魚礁の柱部および梁部を構成するコンクリートは、セメント、水、粗骨材、細骨材などを構成材料としている。これらの組成比は限定されない。また、セメントは、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉スラグセメントなどが挙げられる。または、アルミナセメントを使用すること、さらには、プリストレスドコンクリートなどの海洋コンクリートを用いることもできる。
また、木材は、間伐材、流木または建設廃材が主として使用される。木材の種類は、限定されない。例えば、スギ、ヒノキ、マツでもよい。また、木材の形状は限定されない。例えば、丸太形状を有していてもよい。
木材を使用することにより、フナクイムシなどが着生し、それを餌として小型魚類が蝟集する。また、木材が朽ちてもコンクリート材、鋼材に海藻が着床することで魚礁としての効果が持続する。
複数本(4本、8本など)の丸太などが井桁状または格子状に組み付けられる平面ユニットは、枠体内部に収容できる大きさであれば、限定されない。丸太は長さを揃えておくと内部に4角形の空間を有する4辺形の井桁を完成できる。丸太の太さなどは適宜とする。この平面ユニットの空間には魚の生息空間または避難空間が形成される。
木材の組立体として積み重ねられる平面ユニットの段数も限定されない。
枠体の内部空間に配設される木材の組立体は、鋼材(鋼棒)で固定される。その鋼材の形状は限定されない。例えば、山形鋼、網鉄筋が用いられる。網鉄筋は、鉄筋を格子状に溶接したものである。山形鋼は、横断面を山形に圧延した棒状の鋼である。
石材は、自然石でも人工石でもよい。例えば、所定大きさに砕石された自然石が挙げられる。また、鉄分を多く含んだ石材を使用すれば、藻が発生しやすくなる。自然に鉄分を含む石を用いてもよいし、人工的に鉄分を含ませた石を用いてもよい。藻を発生させることにより、魚の生息領域を発生させることができる。
【0008】
請求項1に記載の発明にあっては、本願発明に係る魚礁は、複数の柱部と複数の梁部とを有して立体的に構成され、その内部空間と外部とが複数の開口部で連通されたコンクリート製の枠体を備えている。また、複数本の木材を井桁状または格子状に組み付けて平面ユニットとし、その平面ユニットを、上記枠体の内部空間に垂直方向に複数段積み重ねた木材の組立体を備えている。そして、枠体の内部空間に木材の組立体を鋼材で固定し、木材の組立体の上に自然石を載置する。
これにより、本願発明に係る魚礁には、枠体の内部空間に木材の組立体が配設される。枠体の内部空間に配設された木材の組立体にはフナクイムシなどが着生し、それを餌として小型魚類が蝟集する。また、木材を使用することにより、通常の魚礁よりも集魚効果が非常に高く、魚礁を中心に食物連鎖が育まれる。
また、木材の組立体が枠体の内部空間に鋼材で固定されている。よって、木材が朽ちても、鋼材により、枠体の外部に流出するのを防ぐことができる。
さらに、木材が朽ちても、木材の海藻などがコンクリート材および鋼材に着床することにより、魚礁としての効果が持続する。また、木材に加え、コンクリート材、鋼材および石材を備えているので、木材のみの魚礁に比べて耐用年数が増す。
さらに、木材の組立体の上方に石材を配設しているので、魚の生息空間に差し込む自然光を遮光し、魚がより棲みつきやすくなる。また、上部に石材を配置することで、日光照射による石材への着藻を容易にすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記枠体は、六面体を有し、その各面に所定大きさの開口部を有する請求項1に記載の魚礁である。
4本の柱部と8本の上下の梁部とで穴あきの六面体が形成される。枠体に設けられる開口部の大きさは任意とされる。
【0010】
請求項2に記載の発明にあっては、上記枠体は内部に立方体形状の空間を画成した六面体で構成されている。そして、その枠体の各面には開口部が設けられている。これにより、魚が枠体の開口部からその内部空間に入りやすくなっている。
また、正6面体の各面の開口部を有しているので、どの開口部からも魚が枠体のなかに入りやすい。また、枠体の外面から突出する突起を有していないので、網が引っ掛かりにくい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記井桁状または格子状に組み付けられた平面ユニットは、網状に形成された鋼材で封止された請求項1または請求項2に記載の魚礁である。
鋼材の素材、形状は限定されない。網目の大きさは限定されない。網目は、木材が枠体から流出しない大きさを有していればよい。
【0012】
請求項3に記載の発明にあっては、上記井桁状または格子状に組み付けられた平面ユニットは、網状に形成された鋼材(網鉄筋)で固定乃至封止されている。具体的には、上記平面ユニットは、水平な網状に形成された鋼材で、上下方向、横方向から覆われている。これにより、木材が朽ちても、網状に形成された鋼材により流出が抑えられ、その木材が枠体の外に流出しない。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、本願発明に係る魚礁は、複数の柱部と複数の梁部とを有して立体的に構成され、その内部空間と外部とが複数の開口部で連通されたコンクリート製の枠体を備えている。また、複数本の木材を井桁状または格子状に組み付けて平面ユニットとし、その平面ユニットを、上記枠体の内部空間に垂直方向に複数段積み重ねた木材の組立体を備えている。そして、枠体の内部空間に木材の組立体を鋼材で固定し、木材の組立体の上に自然石を載置する。
本願発明に係る魚礁は、木材を使用することにより、通常の魚礁よりも集魚効果が非常に高く、魚礁を中心に食物連鎖が育まれる。また、コンクリート製の枠体を使用しているので、木材のみの魚礁に比べて耐用年数が増す。さらに、突起を多く有する木材を、枠体の内部空間に配設しているので、漁網に引っ掛かりにくい構造を有している。
また、木材が朽ちても、井桁状または格子状に組み付けられた木材が網材で固定されている。よって、木材が朽ちても、網状に形成された鋼材により、枠体の外部に流出するのを防ぐことができる。
【実施例】
【0014】
以下、この発明の一実施例を、図1から図4を参照して説明する。
まず、本実施例に係る魚礁10の構成について図1〜図3を参照して説明する。本願発明に係る魚礁10は、横4m、縦4m、高さ2.4mの大きさを有している。
そして、本願発明に係る魚礁10は、複数の柱部21と複数の梁部22とを有して構成された枠体11を有している。具体的には、枠体11は、下方に設けられる正方形状のフレームである4本の梁部22と、その梁部22の各交点部から垂直方向に立設された4本の柱部21と、これらの柱部21の上端に設けられ、水平方向に配設された矩形フレーム状の4本の梁部22とで立体的に構成されている。これらはコンクリート製である。また、枠体11は、略六面体形状を有し、その各面には、所定大きさを有する開口部がそれぞれ設けられている。さらに、枠体11は、その内部に立体的な(6面体の)空間を有している。そして、枠体11の上記各開口部を介して上記内部空間は外部に連通されている。
枠体11の柱部21および梁部22は、鉄筋コンクリートで一体的に形成されている。そのコンクリート材は、セメント(普通セメントの他にアルミナセメントなどの耐海水セメントでもよい)、水、粗骨材および細骨材をその材料としている。
さらに、枠体11の上面4隅には、クレーンで吊り下げて海底に移送するための、鉄筋材などを半円形に折り曲げてなる吊り下げ部17がそれぞれ配設されている。
【0015】
枠体11の内部空間には、複数本の木材(杉丸太など)18で井桁状(または格子状でもよい)に組み付けられた平面ユニット20が、棚状に複数段積み重ねた木材の組立体12が配設される。木材の組立体12は、まず複数本の木材18で井桁状(または格子状)に平面ユニット20として構成し、その井桁状に構成した平面ユニット20を垂直方向に複数段組み立てものである。組付けはロープでもよく、ボルトナット、かすがいなどでもよい。
木材の組立体12において使用する木材18は、例えば、ヒノキ、スギなどの間伐材である。または、流木、建設廃材を用いてもよい。各木材18は同じ長さに切断した丸太で構成する。その太さは同じでも異なっていてもよい。
複数の木材18を枠体11の内部空間に配設することにより、木材18にはフナクイムシが着生する。そして、それを餌として小型魚類が蝟集する。また、木材18を使用することにより、通常の魚礁10よりも集魚効果が非常に高く、魚礁10を中心に食物連鎖が育まれる。また、間伐材の有効活用ができ、かつ、比較的大量に消費可能である。
【0016】
また、木材の組立体12の上方(または上面)には複数個の(多数の)石材14が載置されている。使用する石材14は、自然石を所定の大きさに砕石したものである。石材14は、例えば、カンラン岩、砂岩、石灰岩などが用いられる。また、石材14を木材の組立体12の上方に載置することにより、石材14が自然光の遮光材となる。これにより、遮光された魚の生息空間を形成することができ、棲みやすい生息空間を形成することができる。さらに、石材14は、鉄分を含んでいる。鉄分は、海藻を養育させる効果を有している。海草は日光の照射により成育が速くなる。枠体11の底壁部に石材18を配置するよりも天井部に配置することで、着草を速めるのである。
【0017】
これら木材18(組立体12)は、水平面および垂直面で網状に形成された鋼材(網鉄筋)15により枠体11の内部で固定される。その鋼材15による網目の大きさは限定されない。網目は、木材18が朽ちても流出しないような大きさを有している。
また、枠体11の側面を構成する4つの開口部には、その両端が上方の梁部22および下方の梁部22にそれぞれ埋設・固定された3本の鋼材がそれぞれ配設されている。この上方の梁部22から下方の梁部22にかけて垂直に配設された3本の鋼材により、木材18が枠体11の各開口部から流出しないように固定される。その鋼材は、山形鋼13が用いられている。
また、図1に示すように、上記木材の組立体12の内部には、山形鋼13で格子状に組立てられた鋼材の組立体19が配設されている。水平面で格子状に構成された鋼材の組立体19は、上記側面の各開口部に配設された上記3本の山形鋼13と両端が溶接などで連結されている。複数の鋼材の組立体19により枠体11内部に水平な棚を複数段形成し、各棚部分に複数の井桁状木材組立体12を収容固定することで、全体として、枠体11の内部空間に木材の組立体12が積み重ねられた形状で固定されることとなる。
【0018】
次に、本願発明に係る魚礁10の製造方法について説明する。
まず、コンクリート製の枠体11を作製する。4本の柱部21、8本の梁部22を構成する型枠を6面体の枠形状に形成するとともに、その型枠内に複数本の鉄筋を配置した後、これにコンクリートを打設する。コンクリートは、セメント、水、粗骨材、細骨材を混練して製造する。所定時間経過すると、コンクリートが固化する。固化した後、型枠を取り外す。なお、コンクリートの打設は下部の4角形フレームの梁部および4本の柱部を同時に行い、上側の4角形フレームである梁部は、硬化後に行うことができる。なお、枠体11の柱部21および梁部22を打設する際に3本の鋼材を各開口部に同時に立設する。
そして、これら鋼材19に水平な格子状の鋼材の両端を溶接して複数段の棚を構成することもできる。
【0019】
次に、間伐材を用いた木材の組立体12の組立方法を説明する。
図4に示すように、まず、枠体11の下端部を構成する梁部の上に、シート状であり、網状に形成された鋼材(網鉄筋)15を敷いておく。次いで、その鋼材の上に、例えば6本の(梁より短い長さの)間伐材18を2段構成にして載置する。また、これらに対して、所定間隔を有して、6本の間伐材18を2段構成にして載置する。この所定間隔を有する空間部は、魚類の生息空間・避難空間を形成するものである。そして、それらの上に網鉄筋15を敷く。複数個の間伐材で構成された木材18群は、上下の網鉄筋15で挟み込まれて固定される。また、上下の網鉄筋15に加えて、横方向にも網鉄筋15(図示せず)を配設する。上記複数の木材18群は、上下の網鉄筋15と、横方向の網鉄筋15とで封止される。これにより、木材18が朽ちても、その木材18が枠体11の外に流出しない。すなわち、木材18が朽ちても、網鉄筋15により枠体11の外への流出が抑えられる。
次いで、上記木材18群とは垂直方向に、すなわち、6本ずつ並べるとともに、所定間隔を有して平行に6本ずつ並べる。これらも、2段の構成とする。そして、その上に、網状に形成された鋼材15を敷いておく。また、図1に示すように、上段の木材18と下段の木材18とは、その端部でアンカー部材16(かすがい)により連結される。これにより、複数の木材18が平面視して井桁状の平面ユニット20が形成される。
そして、枠体11の内部空間において、この井桁状の平面ユニット20を、垂直方向に複数段棚状に積み重ねる。これにより、枠体11の空間において、魚の生息空間・避難空間が形成される。本実施例では、略120本の木材18が使用される。
【0020】
また、図1に示すように、木材の組立体12の内部には、山形鋼13で格子状に組み立てられた鋼材の組立体19が配設されている。
また、枠体11の開口部には、上方の梁部22(天井部)から下方の梁部22(床部)にかけて3本の山形鋼13が配設されている。この山形鋼13は、水平方向に配設された木材18を枠体11の外部に流出しないように構成したものである。
さらに、この3本の山形鋼13は、山形鋼13で格子状に組み立てられた上記鋼材の組立体19と連結されている。すなわち、鋼材の組立体19から枠体の開口部に向かって垂直方向に配設された山形鋼13が、上記3本の山形鋼13と枠体の開口部において連結されている。
これにより、木材の組立体12は、枠体11の内部空間において、上記3本の山形鋼13と格子状に組み立てられた山形鋼13とで固定される。
さらに、木材の組立体12を構成する平面ユニット20は、網状に形成された鋼材(網鉄筋)15により固定されている。これにより、木材18が枠体11の外部に流出しないように固定される。
【0021】
そして、所定の大きさに砕石した自然石を複数個準備する。この自然石には、鉄分が含まれている。それらを、複数段積み重ねた木材18の上に載置する。自然石を載置することにより、魚の生息空間に差し込む自然光を遮光する。自然光を遮光することにより、魚がより棲みつきやすくなる。
完成した魚礁10は、枠体11に設けられた吊り下げ部17に紐を通し、この紐をクレーンで引っ掛けることにより持ち上げられて海底に設置される。
【0022】
この結果、本願発明は、枠体11の内部空間に配設された木材18にはフナクイムシが着生し、それを餌として小型魚類が蝟集する。また、木材18を使用することにより、通常の魚礁10よりも集魚効果が非常に高く、魚礁10を中心に食物連鎖が育まれる。
また、井桁状に組み付けられた木材18は、網鉄筋15で固定されている。よって、木材18が朽ちても、網状に形成された鋼材15により、枠体11の外部に流出するのを防ぐことができる。
さらに、木材18が朽ちても、コンクリート材、鋼材に海藻が着床することで魚礁10としての効果が持続する。
さらに、本願発明に係る魚礁10は、突起物が多い木材18を枠体11の内部空間に配設しているので、漁網がその突起物に引っ掛かりにくい。
なお、魚礁の立体的な形状は上記実施例に係る6面体に限られることなく、円筒形状、多角形筒形状、球体、半球体などで構成することもできる。その際、梁や柱に相当する部材で各面に開口部を構成するものとし、その内部に木材組立体を立体的に配設し、石材をトップ部分に配置するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例に係る魚礁の全体構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の一実施例に係る魚礁の側面からみた構成を示す側面図である。
【図3】図2とは別の側面からみた魚礁の構成を示す側面図である。
【図4】この発明の一実施例に係る魚礁の木材の組立体の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10 魚礁、
11 枠体、
12 木材の組立体、
13 鋼材(山形鋼)、
14 石材、
15 鋼材(網鉄筋)、
16 アンカー部材、
18 木材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底、湖底または河川底に配設され、魚類の生息空間を人工的に形成した魚礁であって、
複数の柱部と複数の梁部とを有して立体的に構成され、その内部空間と外部とが複数の開口部で連通されたコンクリート製の枠体と、
複数本の木材を井桁状または格子状に組み付けることにより平面ユニットとし、その平面ユニットを上記内部空間に複数段積み重ねることにより立体的に構成された木材の組立体と、
その両端がそれぞれ上記柱部または上記梁部に固定されることにより、上記木材の組立体を上記枠体の内部空間に固定する複数本の鋼材と、
上記枠体の内部空間で上記木材の組立体の上方に配設された複数個の石材と、を備えた魚礁。
【請求項2】
上記枠体は、六面体を有し、その各面に所定大きさの開口部を有する請求項1に記載の魚礁。
【請求項3】
上記井桁状または格子状に組み付けられた平面ユニットは、網状に形成された鋼材で封止された請求項1または請求項2に記載の魚礁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−29267(P2008−29267A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207003(P2006−207003)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(506259092)松本建設有限会社 (1)
【Fターム(参考)】