説明

魚類レオウイルス免疫原性組成物

本発明は、動物において魚類レオウイルスに対する免疫応答を誘導するための免疫原性組成物、及びその方法に関する。別の態様において、本発明は、魚類レオウイルスポリペプチドに結合する抗体に関する。更なる別の態様において、本発明は、動物におけるPRV感染を予防又は軽減する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本特許の開示は、著作権保護の対象となる資料を含む。著作権の所有者は、米国特許商標庁特許ファイル又は記録で開示された特許書類又は特許開示を何者かがファクシミリ複製することに対して異議はないが、それ以外は全ての著作権を保有する。
【0002】
[0002]本願は、2009年10月2日出願の米国仮特許出願第61/248,058号、2010年4月16日出願の米国仮特許出願第61/325,047号及び2010年9月7日出願の米国仮特許出願第61/380,594号の利益及びこれらに対する優先権を主張し、これら全ての開示全体は全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本明細書に言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に引用される特許及び科学文献は、当業者が入手可能な知識を明らかにする。本明細書に引用される発行済の特許、出願、及び他の刊行物は、あたかも各々が特定的に及び個別に参照により組み込まれることを示されると同一の範囲にて、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が存在する場合、本開示が優先する。
【背景技術】
【0004】
[0004]魚は、食物源および収入源として益々重要になっており、世界年間消費量は、2010年の1.1億トンから、2030年の2億トン越に増大すると予想されている。野生魚の捕獲率は横ばいであるか、又は乱獲及び生息地の喪失により減少している一方、全世界の海洋牧場の収穫高は、年間8%を上回る速度で増大している。しかしながら、水産養殖における感染性疾病の出現は生産を脅かし、また野生魚の集団にも影響を与え得る。大西洋サケ(Salmo salar L.)は、最も人気のある養殖魚の一つであり、100万トンを越える年間生産量を計上している。大西洋サケの海洋牧場は、局所的生産のみでなく、海洋の囲い込みに極接近する野生魚、又はそこから逃れる魚も脅かす感染性疾病の流行に関連している。心臓及び骨格筋炎症(HSMI)は、度々致命的となる養殖大西洋サケの疾病である。HSMIは、最初に1999年にノルウェー内の一養殖場で認められ(Kongtorp et al., J Fish Dis 27, 351-358 (2004))、続いてノルウェー及び英国内の他の養殖場内での大発生に関与した(Ferguson et al., J Fish Dis 28, 119-123 (2005))。病態及び疾病伝達の研究により感染性であることが示されたが、原因物質を特定する試みは不成功であった。
【0005】
[0005]HSMIは伝染性であるが、病因はこれまで特定されていない。HSMIは、水産養殖を脅かす重要な疾病である。PRV感染を予防及び阻止するのに好適な、またHSMIを有する動物の処置に好適な免疫原性組成物及びワクチンが必要とされる。本発明は、これらの必要性に対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kongtorp et al., J Fish Dis 27, 351-358 (2004)
【非特許文献2】Ferguson et al., J Fish Dis 28, 119-123 (2005)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006]本発明は、魚類レオウイルス(PRV)、サケHSMIに関連した新規なオルトレオウイルス様ウイルス、並びにその単離された核酸配列及びペプチドに関する。本発明は、PRV由来の抗原に対する抗体、及びそれらの抗体を生成する方法にも関する。本発明は、動物におけるPRVに対抗する免疫応答を誘導するための免疫原性組成物にも関する。
【0008】
[0007]一態様において、本発明は、PRV核酸を含有するPRV免疫原性組成物を提供する。一実施形態において、PRV核酸は、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列である。別の実施形態では、PRV核酸は、配列番号1〜10のいずれかの最小24の連続核酸を含む。尚別の実施形態において、PRV核酸は、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列と実質的に同一である。尚更なる別の態様において、PRV核酸は、配列番号1〜10に対して少なくとも約85%の同一性を有する、配列番号1〜10のいずれかの変異体である。一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。
【0009】
[0008]更なる別の態様において、本発明は、PRVポリペプチドを含有するPRV免疫原性組成物を提供する。一実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号1〜10のいずれかによりコードされるポリペプチドである。更なる別の実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号1〜10のいずれかの最小24の連続核酸を含む核酸によりコードされるポリペプチドである。尚更なる別の実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列と実質的に同一の核酸によりコードされるポリペプチドである。尚更なる別の実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号1〜10に対して少なくとも約85%の同一性を有する、配列番号1〜10のいずれかの変異体である核酸によりコードされるポリペプチドである。尚更なる別の実施形態において、変異体は、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。更なる別の実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号29〜40のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。更なる別の実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号29〜40のいずれかの最小8の連続アミノ酸を含むポリペプチドである。尚更なる別の実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号29〜40のいずれかのアミノ酸配列と実質的に同一である。尚別の実施形態において、PRVポリペプチドは、配列番号29〜40のいずれかの変異体であり、配列番号29〜40に対して少なくとも約85%の同一性を有する。尚更なる別の実施形態において、変異体は、配列番号29〜40のいずれかのアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。
【0010】
[0009]別の態様において、本発明は、PRV又はPRVポリペプチドに結合し、PRV又はPRVポリペプチドの機能又は活性を阻害、中和又は低減する抗体を提供する。一実施形態において、抗体はポリクローナル抗体である。別の実施形態において、抗体はモノクローナル抗体である。尚更なる別の態様において、抗体は、硬骨魚類抗体である。更なる別の実施形態において、抗体はサケ抗体である。尚別の実施形態において、抗体はIgM抗体である。更なる別の実施形態において、抗体はキメラ抗体である。
【0011】
[0010]別の態様において、本発明は、PRVポリペプチドを含む死菌ウイルスを含有する免疫原性組成物を提供する。尚別の態様において、本発明は、PRVポリペプチドを含む弱毒ウイルスを含有する免疫原性組成物を提供する。一実施形態において、本明細書に記載する任意の免疫原性組成物は、少なくとも一種の賦形剤、添加剤又は補助剤を更に含有する。一実施形態において、本明細書に記載する任意の免疫原性組成物は、追加のウイルス由来の少なくとも一種のポリペプチド、又はその断片を更に含有する。
【0012】
[0011]別の態様において、本発明は、融合ポリペプチドを含有する免疫原性組成物を提供し、ここで融合ポリペプチドは、PRVポリペプチド、その断片または変異体(fragement)、及び追加のウイルス由来の少なくとも一種のポリペプチド、又はその断片を含む。一実施形態において、追加のウイルスは、睡眠病ウイルス(SDV);サケ膵臓病ウイルス(SPDV);感染性サケ貧血(ISAV);ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV);伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV);伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV);コイの春ウイルス血症(SVC);ブチナマズウイルス(CCV);アエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas Salmonicida);魚類の細菌性腎臓病菌(Renibacterium Salmoninarum);モリテーラ・ビスコーシス(Moritella viscosis)、エルシニア感染症;パスツレラ症;ビブリオ・アンギラルム(Vibro anguillarum);ビブリオ・ロゲイ(Vibrio logei);ビブリオ・オルダリイ(Vibrio ordalii);ビブリオ・サルモニシダ(Vibrio Salmonicida);エドワージエラ・イクタルリ(Edwardsiella ictaluri);エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda);魚類のカラムナリス病菌(Cytophaga columnari);又はピスシリケッチア・サルモニス(Piscirickettsia salmonis)からなる群から選択される。
【0013】
[0012]別の態様において、本発明は、本明細書に記載する任意のPRV免疫原性組成物を投与することを含む、動物における免疫応答の誘導方法を提供する。
【0014】
[0013]別の態様において、本発明は、本明細書に記載する任意のPRV免疫原性組成物を投与することを含む、動物におけるPRV感染の予防又は軽減のための方法を提供する。
【0015】
[0014]別の態様において、本発明は、本明細書に記載する任意の抗体を動物に投与することを含む、動物におけるPRV感染の予防又は軽減のための方法を提供する。
【0016】
[0015]一実施形態において、本明細書に記載する方法における任意の投与方法は、経口投与、浸漬投与又は注入投与である。
【0017】
[0016]更なる別の態様において、本発明は、動物におけるPRV感染状態の処置のためのワクチンの製造における、本明細書に記載する任意の免疫原性組成物の使用を提供する。
【0018】
[0017]更なる別の態様において、本発明は、動物におけるPRV感染状態の予防又は軽減のためのワクチンの製造における、本明細書に記載する任意の免疫原性組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[0018]
【図1】パイロシークエンシングにより得た魚類レオウイルス(PRV)配列。PRVの連鎖状配列に対してマッピングした組み立て配列データ。BLASTN、BLASTX、FASTX及びFASDにより特定したゲノム領域を、各々、赤色、青色、緑色、及び/又は橙色で示す。
【0020】
[0019]
【図2】レオウイルス科のRNA−依存性RNA−ポリメラーゼの系統発生解析。完全長アミノ酸配列を、MEGAソフトウエア上で実行されるClustalX14を使用して整列化し(Tamura et al., Mol Biol Evol 24, 1596-1599 (2007))、T−Coffeeを使用して洗練させて(Notredame et al., J Mol Biol 302, 205-217 (2000))タンパク質構造データを組み込んだ。レオウイルス科ファミリーの解析のためのICTVにより実行されるようなアミノ酸置換のモデルとしてp−距離を使用して系統発生解析を行った(Mertens et al., T. Family Reoviridae. 447-454 (Elsevier Academic Press, 2005))。MEGAを使用して系統樹を生成し、近隣結合(NJ)法により再構成した。特定のツリートポロジーの統計的有意性を、配列の1000回のブートストラップ再標本化により評価した。
【0021】
[0020]
【図3】サケ宿主遺伝子に対して正規化したウイルス負荷の対数比における集団差のグラフ。ノンパラメトリック法を用いて、健康な養殖魚とHSMIに罹患した養殖魚との間の相対的なウイルス負荷を比較する統計的有意性を決定した。対数変換は、対数比分布を正規化しなかったにも関わらず、L1(ウイルス)/EF1A(ハウスキーピング)比を計算した後、全サンプルに関して行い、グラフ表示に利用した。図3Aは、健康な養殖魚及びHSMIを有する養殖魚からの混合された心臓及び腎臓サンプルにおける調整対数比の比較を示す;*:p<0.0001(Mann−Whitney U)。図3Bは、HSMIを有さない養殖魚(健康な養殖魚)、HSMI大発生の初期、HSMI大発生の中間期、及びHSMI大発生のピーク中における調整対数比の比較を示す;**:p<0.0005;*:p<0.01(個々のMann−Whitney U)。調整対数比はまた、4つの全養殖魚群に亘って有意に異なっていた(p<0.0001;Kruskal−Wallis)。
【0022】
[0021]
【図4】魚類レオウイルスのL2セグメントを標的とする固定核酸(LNA)プローブを使用して、インサイツハイブリダイゼーションを行った。プロテイナーゼKを使用して切片を透過処理した後、ジゴキシゲニン(DIG)−標識LNAプローブによりハイブリダイズした。切片をマウスモノクローナル抗−DIG−西洋ワサビペルオキシダーゼと共にインキュベートし、Tyramide Signal Amplification Systemを使用して染色した。切片をMeyerのヘマトキシリン溶液により対比染色した。図4Aは、HSMI−感染魚からの心臓を示す(10x)。図4Bは、HSMI−感染魚からの心臓を示す(40x)。図4Cは、非感染魚からの心臓を示す(40x)。図4Dは、サケ膵臓病ウイルスに感染した魚からの心臓を示す。
【0023】
[0022]
【図5】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのラムダ−1 ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色:種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0024】
[0023]
【図6】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのラムダ−2 ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色:種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0025】
[0024]
【図7】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのラムダ−3 ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色:種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0026】
[0025]
【図8】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのミュー−1 ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色:種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0027】
[0026]
【図9】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのミュー−2 ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色:種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0028】
[0027]
【図10】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのミュー−3 ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色:種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0029】
[0028]
【図11】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのシグマ−2 ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス 及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000遺伝子について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0030】
[0029]
【図12】アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのシグマ−NS ORFの系統発生解析。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσ3は、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた。色付きの四角は、異なるレオウイルス属又は種の代表を示す。緑色:アクアレオウイルス属;青色:種I(哺乳類オルトレオウイルス);赤色:種II(鳥類オルトレオウイルス);紫色:種III(Nelson Bayオルトレオウイルス);橙色:種IV(爬虫類オルトレオウイルス)及び薄青色:種V(ヒヒオルトレオウイルス)。
【0031】
[0030]
【図13】S1の推定ORFは、FASTタンパク質と同様の特徴を有する。プログラムTopPred(http://mobyle.pasteur fr/cgibin/portal.py?form=toppredにて入手可能)で実行されるKyle−Doolittleアルゴリズムを使用して得られたARV(赤色)及びPRV(青色)の疎水性プロット。配列解析は、PRVがFASTタンパク質の主成分:疎水性領域(HP)、膜貫通ドメイン(TM)及び塩基性領域(BR)を含むことを示す。
【0032】
[0031]
【図14】PRV感染の病態は、肝臓変色、心膜血腫、脂肪組織内の鬱血、及び膨張脾臓を含み得る。
【0033】
[0032]
【図15】パイロシークエンシングによる適用範囲。
【0034】
[0033]
【図16】PRV、オルトレオウイルス及びアクアレオウイルスの系統発生解析。
【0035】
[0034]
【図17】心外膜の浸潤と、心筋の重篤な炎症とを示す、HSMIの診断。
【0036】
[0035]
【図18】σ1、σ3及びμ1Cに対する抗体の生成方法の概略図。図18Aは、外部カプシドタンパク質σ1、σ3、λ2、μ1c並びに内部カプシドタンパク質λ1、σ2、μ2、及びλ3を示す。図18Bは、PCRによるσ1、σ3及びμ1C完全長セグメントの増幅を示す。図18Cは、増幅されたセグメントを発現ベクターにクローン化して発現コンストラクトを作製できることを示す。発現は発現系(例えば、大腸菌)内での抗原の発現に使用され得る。次いで、抗原を精製し、ウサギの免疫化に使用し得る。
【0037】
[0036]
【図19】ペプチド抗原。図19Aは、S4によりコードされるFAST(融合関連小膜貫通タンパク質)を示す。図19Bは、アミノ酸位置の関数としての抗原性指標の変動を示す。抗原性指標が増大するほど、抗体がそれらの残基群を「見つける」可能性が高まる。
【0038】
[0037]
【図20】抗血清は、大腸菌His−tag融合タンパク質のウェスタンブロットにて見出されるように、μ1Cタンパク質を認識する。ライン11〜13:精製タンパク質の溶出物;ライン14〜15:誘導細菌のペレットの希釈物、ライン16〜L17:非誘導細菌のペレット。
【0039】
[0038]
【図21】抗血清は、大腸菌His−tag融合タンパク質のウェスタンブロットにて見出されるように、σ2タンパク質及び異なる陰性対照を認識する。ライン2〜4:精製タンパク質の溶出物;ライン5〜6:誘導細菌のペレットの希釈物:ライン7〜L8、非誘導細菌のペレット。
【0040】
[0039]
【図22】PRVの図解。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0040]単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が特に明らかに指示しない限り、複数の言及を含む。
【0042】
[0041]本明細書で用語「約」は、およそ、又は領域内の、又は大体、又は前後の、を意味する。「約」という用語が数値範囲と共に使用される場合、該用語は、示される数値の上方又は下方の境界までその範囲を延長することにより変更する。一般に、本明細書で用語「約」は、言及される値の20%の差異にて数値を上方及び下方に変更するのに使用される。
【0043】
[0042]本明細書で使用される際、「PRV」は、本明細書に記載する魚類(Piscine)レオウイルスの単離物を指す。
【0044】
[0043]本明細書で使用される際、用語「動物」は、硬骨魚類(例えば、サケ)を含むが、これらに限定されない脊椎動物を指す。
【0045】
[0044]本明細書で使用される際、用語「PRV」ポリペプチドは、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片又はPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドを含む。
【0046】
[0045]本明細書で使用される際、用語「抗体」は、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片又はPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドに結合し、PRVポリペプチド又はPRVの活性又は機能を阻害、中和又は低減する抗体を指す。抗体という用語は、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片又はPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドに結合し、ポリペプチド又はPRVの活性又は機能を阻害、中和又は低減しない診断用抗体を特に除外する。
【0047】
[0046]海洋環境内の水産養殖である海洋牧場は、益々、ヒト消費用の食事タンパク質の重要な供給源となっている。HSMIは、魚が新鮮な水から海の囲い込み(ocean pen)に移動されてから5〜9ヶ月後に出現するが(Kongtorp et al., J Fish Dis 27, 351-358 (2004))、大発生は海水の移動から14日後という早期に記録されている。罹患した魚は食欲不振であり、異常な遊泳行動を示す。剖検所見は、一般に、蒼白心臓(pale heart)、黄色肝臓(yellow liver)、腹水、膨張脾臓及び内臓周囲脂肪中の点状出血を含む。病態は更に、心外膜炎、心内膜炎及び心筋炎、心筋壊死、筋炎及び赤色筋の壊死、並びに20%迄の死亡率により特徴付けられる(Kongtorp et al., Dis Aquat Organ 59, 217-224 (2004))。死亡率は様々である一方(20%迄)、罹患率は、罹患したケージ内で非常に高い場合がある。HSMIは、病理組織診断に基づいて診断される。主な病理学的変化は心筋及び赤色筋内で生じ、筋細胞の広範な炎症及び多巣性壊死が明らかである。
【0048】
[0047]疾病は、HSMIに罹患した魚の組織ホモジネートの実験的注入、又はHSMIを有する魚との共存により、未処置の魚に誘導され得る(Kongtorp et al., J Fish Dis 27, 351-358 (2004))。ウイルス様粒子が観察されているが(Watanabe, K. et al., Dis Aquat Organ 70, 183-192 (2006));培養、減法クローニング及びコンセンサスポリメラーゼ連鎖反応を用いることによる感染性因子を関連づける試みは、不成功であった。
【0049】
[0048]一態様において、本発明は、HSMIが魚類レオウイルス(PRV)と称される新規なレオウイルスによる感染に関連することを示す。PRVは、実験的に感染させた魚の血清及び心臓のハイスループットパイロシークエンシングにより、新規な頻度解析方法と、標準的な整列化方法とを用いて同定された。別の態様では、本発明はPRV核酸配列を提供する。
【0050】
[0049]別の態様において、本発明は、発現コンストラクト、例えばプラスミド及びベクターと、配列番号1〜10のPRV核酸配列を含む単離された核酸、その断片、相補的な配列、及び/又は変異体に関する。
【0051】
[0050]本明細書に記載する核酸配列及びポリペプチドは、抗体の産生及び免疫原性組成物の生成を含むが、これらに限定されない多数の用途に有用であり得る。例えば、一態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれかのPRV核酸配列(nucleic sequence acid)によりコードされるポリペプチドを含有する免疫原性組成物に関する。
【0052】
[0051]別の態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれか一つのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含有する免疫原性組成物に関する。
【0053】
[0052]一態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれかの配列を有する、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。
【0054】
[0053]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれかからなる群から選択される配列を有する連続ヌクレオチドを含む、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。
【0055】
[0054]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれかの変異体から選択される配列を有する連続ヌクレオチドを含む、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10、又はその断片に対して少なくとも約85%の同一性を有する。本発明の上記の態様の一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10のいずれか、又はその断片に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。
【0056】
[0055]一態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列に相補的な、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。
【0057】
[0056]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列に相補的な連続ヌクレオチドを含む、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。
【0058】
[0057]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列に相補的な連続ヌクレオチドを含む、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10、又はその断片に対して少なくとも約85%の同一性を有する。本発明の上記の態様の一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10のいずれか、又はその断片に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。
【0059】
[0058]別の態様において、本発明は、配列番号:1〜10のいずれか内のPRV核酸配列と実質的に同一の配列を有する、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。
【0060】
[0059]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列に相補的な配列と実質的に同一の配列を有する、単離されたPRV核酸、又はその断片を提供する。
【0061】
[0060]本明細書に記載するPRV核酸配列は、とりわけ、PRVによりコードされるタンパク質又はその断片、変異体若しくは誘導体の発現、PRVタンパク質に対する抗体の産生、魚類レオウイルスに対するワクチンの生成、及び本明細書に記載するような魚類レオウイルスに有効な薬物のスクリーニングに有用であり得る。
【0062】
[0061]一態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0063】
[0062]一実施形態において、PRVポリペプチド断片は、本明細書に記載するPRVポリペプチドの約8個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、本明細書に記載するPRVポリペプチドの約10個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、本明細書に記載するPRVポリペプチドの約14個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、本明細書に記載するPRVポリペプチドの約16個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、本明細書に記載するPRVポリペプチドの約18個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、本明細書に記載するPRVポリペプチドの約20個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、本明細書に記載するPRVポリペプチドの約21個又はそれ以上の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。
【0064】
[0063]更なる別の態様において、PRVポリペプチド断片は、PRVポリペプチドからの約8〜約50、約8〜約100、約8〜約200、約8〜約300、約8〜約400、約8〜約500、約8〜約600、約8〜約700、約8〜約800、約8〜約900又はそれ以上の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。
【0065】
[0064]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列から選択される配列を有する連続ヌクレオチドを含む核酸によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0066】
[0065]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列の変異体から選択される配列を有する連続ヌクレオチドを含む核酸によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10、又はその断片に対して少なくとも約85%の同一性を有する。本発明の上記の態様の一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10のいずれか、又はその断片に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。
【0067】
[0066]一態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列に相補的な核酸によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0068】
[0067]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内の連続ヌクレオチドPRV核酸配列を含む核酸によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0069】
[0068]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列と実質的に同一の配列を有する核酸によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0070】
[0069]別の態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列に相補的な配列と実質的に同一の配列を有する核酸によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0071】
[0070]一態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれかの配列を有する、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0072】
[0071]別の態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれかからなる群から選択される配列を有する連続アミノ酸を含む、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0073】
[0072]別の態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれかの変異体から選択される配列を有する連続アミノ酸を含む、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。一実施形態において、変異体は、配列番号29〜40、又はその断片に対して少なくとも約85%の同一性を有する。本発明の上記の態様の一実施形態において、変異体は、配列番号1〜10のいずれか、又はその断片に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。
【0074】
[0073]
別の態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれか内のPRVアミノ酸配列と実質的に同一の配列を有する、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0075】
[0074]本明細書に記載するPRVポリペプチド(polypepetide)及びアミノ酸配列は、とりわけ、PRVによりコードされるタンパク質又はその断片、変異体若しくは誘導体の発現、及び魚類レオウイルスに対抗するワクチンの生成に有用であり得る。
【0076】
[0075]一態様において、本発明は、配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列によりコードされる、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0077】
[0076]一実施形態において、単離されたPRVポリペプチド断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約8個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約10個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約14個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約16個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約18個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約20個の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約21個又はそれ以上の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。
【0078】
[0077]更なる別の態様において、単離されたPRVポリペプチド断片は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列の約8〜約50、約8〜約100、約8〜約200、約8〜約300、約8〜約400、約8〜約500、約8〜約600、約8〜約700、約8〜約800、約8〜約900又はそれ以上の連続アミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。
【0079】
[0078]別の態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれかのPRVアミノ酸配列から選択される配列を有する連続アミノ酸を含む、単離されたPRVポリペプチドを提供する。
【0080】
[0079]別の態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれかの変異体PRVアミノ酸配列から選択される配列を有する連続ヌクレオチドを含む、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。一実施形態において、変異体は、配列番号29〜40のいずれか、又はその断片に対して少なくとも約85%の同一性を有する。本発明の上記の態様の一実施形態において、変異体は、配列番号29〜40のいずれか、又はその断片に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する。
【0081】
[0080]別の態様において、本発明は、配列番号29〜40のいずれかの変異体アミノ酸配列と実質的に同一である、単離されたPRVポリペプチド、又はその断片を提供する。
【0082】
[0081]二つの核酸又はポリペプチドの文脈における「実質的に同一」は、以下の配列比較アルゴリズムの一つを用いて、又は目視検査により測定して、最大一致に関して比較及び整列化した際に、少なくとも98%、少なくとも99%又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基の同一性を有する、二つ又はそれ以上の配列又はサブ配列を指す。従って、所定の実施形態では、本明細書に記載するPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドも、本明細書に記載するPRVポリペプチドに結合する抗体の生成に使用することができる。
【0083】
[0082]二つ又はそれ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈における「同一性パーセント」は、同一の二つ又はそれ以上の配列又はサブ配列を含むヌクレオチド又はアミノ酸の百分率を指す。アミノ酸残基又はヌクレオチドの特定の百分率は、以下の配列比較アルゴリズムの一つを用いて又は手動アラインメント及び目視検査により測定して、比較ウィンドウ又は指定された領域に亘って最大一致に関して比較及び整列化した際に、特定の領域に亘って特定の同一性を有し得る。一態様において、本発明は、PRVポリペプチドの変異体であり、配列番号29〜40に示すPRVポリペプチドに対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有するPRVポリペプチドを提供する。
【0084】
[0083]本明細書に記載する特定のPRVポリペプチドに関して、個々のPRV株間で天然の異形が存在し得ることを理解するであろう。これらの異形は配列全体におけるアミノ酸の相違又は前記配列内のアミノ酸の欠失、置換、挿入、反転若しくは付加により示され得る。生物学的及び免疫学的活性を本質的に変更しないアミノ酸置換が、例えばNeurath et alにより「The Proteins」Academic Press New York (1979)に記載されている。関連する15のアミノ酸間のアミノ酸交換、又は進化において頻繁に生じてきた交換は、とりわけ、Ser/Ala、Ser/Gly、Asp/Gly、Asp/Asn、Ile/Valである(Dayhof, M. D., Atlas of protein sequence and structure, Nat. Biomed. Res. Found., Washington D.C., 1978, vol. 5, suppl. 3参照)。他のアミノ酸置換20には、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Thr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Leu/Ile、Leu/Val及びAla/Gluがある。この情報に基づいて、Lipman及びPearsonは、急速かつ高感度のタンパク質比較の方法を開発し(Science, 227, 1435-1441, 1985)、相同タンパク質の間の機能的類似性を決定した。本発明の例示的な実施形態のそのようなアミノ酸置換、並びに欠失及び/又は挿入を有する異形は、結果として得られたタンパク質が、それらの免疫反応性を維持する限り本発明の範囲内に含まれる。参照ポリペプチドと比較して一つ又はそれ以上のアミノ酸配列異形を有するポリペプチド配列は、参照ポリペプチドに結合する抗体を生成するのに依然として有用であり得ることが公知である。従って、所定の実施形態において、PRVポリペプチドと、それに関連した抗体及び抗体産生方法とは、少なくとも約90%の配列同一性レベルを有すると共に、依然として同一の免疫学的特徴を有する同一のPRVタンパク質に相当する、異なるウイルスの単離物から単離されたPRVポリペプチドを包含する。
【0085】
[0084]配列同一性は、配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査により決定することができる。タンパク質及び/又は核酸の配列同一性(相同性)は、当技術分野にて公知の多様な配列比較アルゴリズム及びプログラムを使用して評価することができる。
【0086】
[0085]配列比較では、一般に一つの配列が参照配列として機能し、該配列に対して試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する際には、試験配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要であればサブ配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用してもよく、又は代替的パラメータを指定してもよい。次いで、配列比較アルゴリズムがプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。核酸及びタンパク質の配列比較では、以下に論じるBLAST及びBLAST2.2.2.又はFASTAバージョン3.0t78アルゴリズム及びデフォルトパラメータを使用してもよい。
【0087】
[0086]パーセント配列同一性及び配列類似性の決定に好適なアルゴリズムの例は、Pearson, W. R. & Lipman, D. J., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85: 2444, 1988に記載されているFASTAアルゴリズムである。W. R. Pearson, Methods Enzymol. 266: 227-258, 1996も参照されたい。DNA配列のFASTAアラインメントに使用されてパーセント同一性を計算する例示的なパラメータが最適化される。BL50 Matrix 15:−5、k−タプル=2;連結ペナルティ=40、最適化=28;ギャップペナルティ−12、ギャップ長ペナルティ=−2;及び幅=16。
【0088】
[0087]パーセント配列同一性及び配列類似性の決定に好適なアルゴリズムの別の例は、各々Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402, 1977;及びAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410, 1990に記載されているBLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST及びBLAST 2.0は、本明細書に記載するパラメータと共に使用されて、本発明の核酸及びタンパク質に関する配列同一性パーセントを決定する。BLAST解析を実行するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information (http://www ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に入手可能である。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、整列化の感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(expectation)(E)、M=5、N=−4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長、及び10の期待値(E)、及び50のBLOSUM62スコアリングマトリクス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:10915, 1989参照)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、及び両鎖の比較を使用する。
【0089】
[0088]BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計的解析も実行する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:5873-5787, 1993参照)。BLASTアルゴリズムで提供される類似性の1つの尺度は最小合計確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間での一致が偶然生じる確率の指標を提供する。例えば、試験核酸の参照核酸との比較において最小合計確率が約0.2未満、約0.01未満、及び約0.001未満の場合、核酸は参照配列に類似すると見なされる。
【0090】
[0089]有用なアルゴリズムの別の例は、PILEUPである。PILEUPは、漸進的なペアワイズ・アラインメントを使用して、関連する配列のグループから多数の配列アラインメントを作製して関連性及びパーセント配列同一性を示す。PILEUPはまた、アラインメントの作製に使用されるクラスタリング関係を示すツリー又は樹状図もプロットする。PILEUPは、Feng & Doolittle, J. Mol. Evol. 35:351-360, 1987の漸進的アラインメント方法の単純化を用いる。使用する方法は、Higgins & Sharp, CABIOS 5:151-153, 1989により記載された方法と類似している。プログラムは各々5,000ヌクレオチド又はアミノ酸の最大長の、300迄の配列を整列化することができる。マルチプル・アラインメント手順は、2つの最も類似した配列のペアワイズ・アラインメントから開始し、整列化された2つの配列のクラスターを生成する。次いで、このクラスターを、次に最も関連する配列又は整列化された配列のクラスターに整列化する。配列の2つのクラスターを、2つの個々の配列のペアワイズ・アラインメントの単純伸長により整列化する。最終的なアラインメントは、一連の漸進的なペアワイズ・アラインメントにより達成される。プログラムは、特定の配列と、配列比較の領域に関する、該配列のアミノ酸又はヌクレオチド座標を指定し、またプログラムパラメータを指定することにより実行される。PILEUPを使用して参照配列を他の試験配列と比較し、以下のパラメータを用いてパーセント配列同一性を決定する:デフォルトギャップ荷重(3.00)、デフォルトギャップ長荷重(0.10)、及び荷重末端ギャップ。PILEUPは、GCG配列解析ソフトウエアパッケージ、例えば、バージョン7.0から得ることができる(Devereaux et al., Nuc. Acid Res. 12:387-395, 1984。
【0091】
[0090]複数のDNA及びアミノ酸の配列アラインメントに好適なアルゴリズムの別の例は、CLUSTALWプログラム(Thompson, J. D. et al., Nucl. Acids. Res. 22:4673-4680, 1994)である。ClustalWは、配列のグループ間の多重ペアワイズ比較を実行し、相同性に基づいてそれらを多重アラインメントに組み立てる。ギャップ開始及びギャップ伸長ペナルティは、各々10及び0.05であった。アミノ酸アラインメントに関しては、タンパク質重量マトリクスとしてBLOSUMアルゴリズムを使用し得る(Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:10915-10919, 1992)。
【0092】
[0091]また更なる態様において、本発明は、(i):配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列;配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列と実質的に同一の配列;配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列の配列変異体:からなる群から選択される核酸配列;又は(ii)配列番号1〜10のいずれか内のPRV核酸配列からなる群から選択される核酸配列によりコードされるアミノ酸配列、配列番号1〜10いずれか内のPRV核酸配列と実質的に同一の配列によりコードされるアミノ酸配列;配列番号1〜10いずれか内のPRV核酸配列の配列変異体によりコードされるアミノ酸配列を格納しているコンピュータ可読媒体を提供する。
【0093】
[0092]本明細書に記載するポリペプチドは、抗体の産生に使用され得る(例えば、ワクチン接種を目的として)。一態様において、本発明は、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片若しくはPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドに結合する抗体を提供し、この抗体は、ポリペプチド又はPRVの活性又は機能を阻害、中和又は低減するワクチン抗体である。いくつかの実施形態において、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、硬骨魚類抗体又はキメラ抗体である。硬骨魚類由来のイムノグロブリンの精製方法も、当技術分野にて公知である。例えば、Havarstein et al, Dev Comp Immunol 1988, 12(4):773-85; Al-Harbi et al, Bull Eur Ass Fish Pathol 1993,13:40-4; Itami et al, Nippon Suisan Gakkaishi 1988, 54(9):1611-7を参照されたい。
【0094】
[0093]尚更なる態様において、本発明は、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片若しくはPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドを含有するPRV免疫原性組成物を提供する。
【0095】
[0094]本明細書で使用される際、「免疫原性ポリペプチド」という用語は、脊椎動物宿主(例えば、硬骨魚類)において免疫応答を誘導することができるPRVポリペプチド、又はPRVポリペプチドの断片を指す。「免疫原性ポリペプチド」という用語は、ハイブリドーマ、ファージディスプレイ及びリボソームディスプレイ技術を含むがこれらに限定されない、当技術分野にて公知の他の抗体産生技術を使用してPRVポリペプチド又はPRVポリペプチドの断片に対する抗体を産生させるのに使用することができるPRVポリペプチド又はPRVポリペプチドの断片も指す。
【0096】
[0095]尚更なる態様において、本発明は、PRV核酸、PRV核酸断片若しくはPRV核酸変異体、PRV核酸と実質的に同一の核酸、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片若しくはPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドを含有するPRVワクチン組成物を提供する。
【0097】
[0096]当業者は、ポリペプチドが抗体の産生に使用される場合、完全なポリペプチドを使用して完全長ポリペプチドを認識できる抗体を産生させる必要はないことを認識するであろう。所定の態様では、本発明は、本明細書に記載するポリペプチドの断片に結合する抗体を産生させることによる、本明細書に記載するPRVポリペプチドに結合する抗体の産生方法に関する。従って、一態様において、本発明は、PRVポリペプチドのタンパク質又は免疫原性断片を含む、PRV感染に対抗するためのワクチンに関する。本発明の尚別の実施形態は、ワクチン中で使用するための、本明細書に記載するPRVタンパク質又はその免疫原性断片に関する。尚別の実施形態において、本発明は、PRV感染に対抗するためのワクチンの製造用の、本明細書に記載するPRVタンパク質又はその免疫原性断片の使用に関する。
【0098】
[0097]一実施形態において、本明細書に記載するPRV免疫原性組成物及びPRVワクチンは、PRV感染の症状を寛解し、及び/又は、PRV感染の持続期間を短縮することができる。別の実施形態において、免疫原性組成物は、PRV感染に対抗する防御免疫を誘導することができる。本発明の免疫原性組成物は、本明細書に開示したPRVに有効であり得、PRVの多数の異なるクレイド及び株並びに他のレオウイルスと交差反応し、またPRVの多数の異なるクレイド及び株並びに他のレオウイルスに有効であり得る。
【0099】
[0098]別の態様において、本発明は、PRV核酸配列、PRV核酸断片若しくはPRV核酸変異体、又はPRV核酸と実質的に同一の核酸を含む核酸ベクターを提供する。
【0100】
[0099]別の態様において、本発明は、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片若しくはPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドをコードする核酸ベクターを提供する。ベクターの非限定的な例としては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レンチウイルス及び水胞性口炎ウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
[0100]更なる別の態様において、本発明は、PRVポリペプチド、PRVポリペプチド断片若しくはPRVポリペプチド変異体、又はPRVポリペプチドと実質的に同一のポリペプチドをコードする核酸ベクターを含む宿主生物を提供する。一実施形態において、宿主生物は、原核生物、真核生物又は真菌である。別の実施形態では、生物は硬骨魚類(例えば、サケ)である。
【0102】
[0101]別の態様において、本発明は、動物(例えば、サケ)における免疫応答の誘導方法を提供し、該方法は、PRV核酸、PRVポリペプチド又はPRV免疫原性組成物を動物に投与することを含む。ポリペプチドを動物(例えば、硬骨魚類)に投与する方法、及び免疫原性的に有効な量で免疫原性ペプチドを投与することによる動物(例えば、硬骨魚類)における免疫応答の生成方法は、当技術分野にて公知である。
【0103】
[0102]硬骨魚類は骨髄又はリンパを欠き、B−細胞リンパ球新生は、頭腎(前腎)及び脾臓内に生じる。硬骨魚類における免疫前多様化(preimmune diversification)及び抗体産生の考察には、Solem and Stenvik, Developmental and Comparative Immunology 30 (2006) 57-76)を参照されたい。循環内にいくつかのクラスのイムノグロブリン(例えば、特にIgG、IgE及びIgA)が存在する哺乳類とは異なり、硬骨魚類においては、構造的に不均一なIgMテトラマーが、最も広く行き渡るイムノグロブリンである(Warr G.W. (1995): Developmental and Comparative Immunology, 19, 1-12; Koumansvandiepen et al, (1995) Developmental and Comparative Immunology, 19, 97-108; Kaattari et al, 1998. Immunol. Rev. 166:133-142; Evans et al, 1998. J. Theor. Biol. 195:505-524)。硬骨魚類においてはIgD、IgZ、IgT及びIgHイムノグロブリンも確認されている(Hordvik et al, (1999) Scandinavian Journal of Immunology, 50, 202-210l; Hirono et al, (2003) Fish & Shellfish Immunology, 15, 63-70; Danilova et al, (2000) Immunogenetics, 52, 81-91; Hansen et al, (1994) Molecular Immunology, 31, 499-501; Savan et al, (2005) European Journal of Immunology, 35, 3320-3331)。
【0104】
[0103]本明細書に記載するポリペプチドをPRV免疫原性組成物の形態で使用して、当技術分野にて公知の任意の方法に従って動物(例えば、硬骨魚類)にワクチン接種することができる。例えば、Veseley et al, Veterinarni Medicina, 51, 2006 (5): 296-302; Engelbrecht et al, Acta Vet Scand 1997, 38(3):275-82; Ingram et al, J Fish Biol 1979, 14(3):249-60を参照されたい。ワクチン接種に使用される免疫原性組成物は、弱毒生ウイルスワクチン、不活性化(殺傷)ウイルスワクチン、及びサブユニットワクチンを含んでもよい。所定の実施形態において、PRVは、PRV感染に関連した疾病及び症状の原因となる、又は該疾病及び症状に寄与するウイルス配列を除去又は破壊し、ウイルス複製に必要な配列を無傷のまま残すことにより弱毒されてもよい。このようにして、動物において免疫応答を誘導するが、通常PRV感染に関連する有害な疾病及び症状は誘導しない、動物内で複製する弱毒PRVを生成することができる。当業者は、除去又は破壊できる、又は除去又は破壊されるべきPRV配列と、無傷のまま残されるべき配列とを決定して、ワクチンとして使用するのに好適な弱毒PRVを生成することができる。PRVワクチンは、もはや動物において複製し又は疾病の原因となることはできないが、動物(例えば、サケ)において依然として免疫応答を誘導するように、例えば化学的処理によってウイルスを「殺滅」することにより不活性化されたPRVも含むことができる。当技術分野にて公知の多数の好適なウイルス不活性化方法が存在し、当業者は、好適な方法を容易に選択し、ワクチンとして使用するのに好適な不活性化「殺滅」PRVを生成することができる。
【0105】
[0104]ポリペプチドの精製方法、及び不活性化ウイルスの精製方法は、当技術分野にて公知であり、例えば勾配遠心分離法、超遠心分離法、連続フロー超遠心分離法、並びにイオン交換クロマトグラフィー法、サイズ排除クロマトグラフィー法、及び液体親和性クロマトグラフィー法等のクロマトグラフィー法のうちの一つ又はそれ以上を含み得る。精製の追加の方法としては、限外濾過法及び透析濾過法が挙げられる。Pharmazeutische Biotechnology (eds. O. Kayser and R H Mueller) Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft, Stuttgart, 2000のJ P Gregersen 「Herstellung von Virussimpfstoffen aus Zellkulturen」Chapter 4.2を参照されたい。またO’Neil et al., 「Virus Harvesting and Affinity Based Liquid Chromatography. A Method for Virus Concentration and Purification」, Biotechnology (1993) 11:173-177; Prior et al., 「Process Development for Manufacture of Inactivated HIV-1「, Pharmaceutical Technology (1995) 30-52;及びMajhdi et al., 「Isolation and Characterization of a Coronavirus from Elk Calves with diarrhea」Journal of Clinical Microbiology (1995) 35(11): 2937-2942を参照されたい。
【0106】
[0105]本発明で使用するのに好適な精製方法の別の例としては、ポリエチレングリコール又は硫酸アンモニウム沈殿法(Trepanier et al., 「Concentration of human respiratory syncytial virus using ammonium sulfate, polyethylene glycol or hollow fiber ultrafiltration」Journal of Virological Methods (1981) 3(4):201-211; Hagen et al., 「Optimization of Poly(ethylene glycol) Precipitation of Hepatitis Virus Used to prepare VAQTA、Highly Purified Inactivated Vaccine」Biotechnology Progress (1996) 12:406-412;及びCarlsson et al., 「Purification of Infectious Pancreatic Necrosis Virus by Anion Exchange Chromatography Increases the Specific Infectivity」Journal of Virological Methods (1994) 47:27-36参照)並びに限外濾過法及び精密濾過法(Pay et al., Developments in Biological Standardization (1985) 60:171-174; Tsurumi et al., 「Structure and filtration performances of improved cuprammonium regenerated cellulose hollow fiber (improved BMM hollow fiber) for virus removal」 Polymer Journal (1990) 22(12):1085-1100;及びMakino et al., 「Concentration of live retrovirus with a regenerated cellulose hollow fiber, BMM」, Archives of Virology (1994) 139(1-2):87-96参照)が挙げられる。
【0107】
[0106]ポリペプチド及びウイルスは、例えばイオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーを用いて精製することができる。色精製により、大容量のウイルス含有縣濁液を生産することができる。関心対象のウイルス生成物は単純な吸着/脱着機構により色媒体と相互作用することができ、大容量のサンプルは単回負荷にて処理され得る。吸着剤に対して親和性を有さない汚染物質は、カラムを通過する。次いで、ウイルス材料を濃縮された形態で溶出することができる。
【0108】
[0107]使用し得るイオン交換樹脂としては、DEAE、EMD TMAEが挙げられる。陽イオン交換樹脂は、スルホン酸修飾表面を含んでもよい。ウイルスは、第一の工程のための強力な陰イオン交換樹脂(例えば、EMD TMAE)及び第二の工程のためのEMD−SO(陽イオン交換樹脂)を含むイオン交換クロマトグラフィーを用いて精製されてもよい。更なる精製のために、場合により金属結合親和性クロマトグラフィー工程が含まれ得る(例えば、国際公開第97/06243号参照)。
【0109】
[0108]Fractogel EMD等の樹脂も使用することができる。この合成メタクリレートベースの樹脂は、共有結合された長い線状のポリマー鎖を有し、大量の立体的に接近可能なリガンドが、いずれの立体障害もなく生体分子に結合することを可能にする。
【0110】
[0109]カラムベースの液体親和性クロマトグラフィーは、本発明に使用できる別の精製方法である。精製方法に使用される樹脂の一例は、Matrex Cellufine Sulfate(MCS)である。MCSは3,000ダルトンの排除限界(その細孔構造が巨大分子を除外する)の剛性球状(直径約45〜105μm)セルロースマトリクスからなり、セルロースの6位に低濃度の硫酸エステル官能基を有する。官能性リガンド(硫酸エステル)は比較的高度に分散されているため、不十分な陽イオン電荷密度を示して、殆どの可溶性タンパク質をビーズ表面に吸着させる。従って、典型的なウイルスプール(細胞培養上清、例えば発熱物質及び殆どの汚染タンパク質、並びに核酸及びエンドトキシン)中に見出されるタンパク質のバルクがカラムから洗浄され、結合したウイルスのある程度の精製が達成される。
【0111】
[0110]不活性化ウイルスは、勾配遠心分離法、又は密度勾配遠心分離法により更に精製されてもよい。商業的規模の操作においては、連続フローショ糖勾配遠心分離法は選択肢の一つであろう。この方法は、抗ウイルスワクチンの精製に使用することができ、当業者に公知である。
【0112】
[0111]本発明のウイルスの精製に使用できる追加の精製方法としては、核酸分解剤、DNase及びRNase活性を有するヌクレアーゼ等の核酸分解酵素、又は例えばSerratia marcescens由来のエンドヌクレアーゼ、陰イオン官能基を有する膜吸着剤、又は陰イオン官能基による追加のクロマトグラフィー工程(例えば、DEAE又はTMAE)の使用が挙げられる。精製方法には、限外濾過法/透析濾過法及び最終的な滅菌濾過工程も加えることができる。
【0113】
[0112]本明細書に記載する精製された免疫原性製剤は、細胞又は細胞培養液由来の汚染タンパク質を実質的に含まない可能性があり、ウイルス抗原1μg当たり約1000、500、250、150、100又は50pg未満の細胞核酸、および1用量当たり約1000、500、250、150、100又は50pg未満の細胞核酸を含み得る。
【0114】
[0113]一態様において、動物のワクチン接種は、PRVポリペプチド、その断片又は変異体を動物に直接注入して、免疫原性応答を生成することにより実行されてもよい。所定の実施形態では、PRVポリペプチドは単独で注入され、又は例えば、賦形剤、添加剤及び補助剤を含む他の成分を含有する免疫原性PRV組成物として注入されてもよい。
【0115】
[0114]本明細書に記載する免疫原性製剤を製造するためには、本発明のPRV核酸配列を、例えばPRV核酸配列を含むプラスミド若しくは発現ベクターを培養細胞にトランスフェクトし、又はPRV核酸配列を含む組み換えウイルスで培養細胞を感染させることにより培養細胞に送達してもよい。次いで、宿主細胞内又は発現系内でPRVポリペプチドを発現させ、精製してもよい。宿主細胞は細菌起源の細胞、例えばpBR322のような細菌ベースのプラスミド、又はpGEXのような細菌発現ベクター、又はバクテリオファージとの組み合わせにおける大腸菌、Bacillus subtilis及びLactobacillus種であってもよい。宿主細胞はまた、真核生物起源のもの、例えば酵母特異的なベクター分子との組み合わせにおける酵母細胞、又は、ベクター若しくは組み換えバキュロウイルスとの組み合わせにおける、昆虫細胞のようなより高度な真核生物細胞(Luckow et al; Bio-technology 6: 47-55 (1988))、例えばTi−プラスミドベースのベクター若しくは植物ウイルスベクターとの組み合わせにおける植物細胞(Barton, K. A. et al; Cell 32: 1033 (1983)、同様に適切なベクター若しくは組み換えウイルスを伴う、Hela細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)若しくはネコ腎細胞細胞のような哺乳類細胞であってもよい。インビトロ転写及びインビトロ翻訳系等のインビトロ発現系を使用して、本明細書に記載するPRVポリペプチドを生成してもよい。次いで、精製したタンパク質を動物に投与するのに好適な組成物中に組み込んでもよい。組み換えタンパク質の発現及び精製の方法及び技術は当技術分野にて周知であり、そのような好適な任意の方法を使用してもよい。
【0116】
[0115]ワクチン接種はまた、PRVポリペプチドをコードするDNAを用いて、直接ワクチン接種により実行されてもよい。そのようなワクチンを使用する際、核酸は動物に投与され、核酸によりコードされる免疫原性ポリペプチドが動物内で発現されることによって、タンパク質又はペプチドに対抗する免疫応答が動物内で生成される。サブユニットワクチンは、ウイルスタンパク質若しくはそれら自体のサブユニット、又はこれらのタンパク質若しくはサブユニットの一部分を含むタンパク質性ワクチンであってもよい。ポリペプチドの発現を駆動可能な任意の好適なプラスミド又は発現ベクターを使用することができる。プラスミド及び発現ベクターは、核酸の転写を指示するプロモーターを含み得る。PRVポリペプチドをコードする核酸配列は、動物に投与するための好適な組み換えウイルスに組み込むこともできる。好適なウイルスの例としては、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本発明のPRV核酸配列を送達するための好適なプラスミド、発現ベクター又は組み換えウイルスを選択することができるであろう。タンパク質をコードするDNAを用いた直接ワクチン接種は、多数の異なるタンパク質に関して成功している。(例えばDonnelly et al. Immunologist 2: 20-26 (1993)に考察されるように)。
【0117】
[0116]本明細書に記載するPRV核酸及びポリペプチドによるワクチン接種は、本明細書に記載するポリペプチドを発現可能な生きた組み換え担体を使用して行うこともできる。生きた組み換え担体は、その内部で追加の遺伝子情報、例えばPRVポリペプチド又はその断片をコードする核酸配列がクローン化されている微生物又はウイルスである。そのような生きた組み換え担体で感染された魚は、担体の免疫原に対してのみでなく、PRVポリペプチド又はPRVポリペプチド断片に対する免疫応答も生じるであろう。本明細書に記載する方法で使用するのに好適な生きた組み換え担体の非限定的な例としては、Vibrio anguillarum(Singer, J. T. et al. New Developments in Marine Biotechnology, p. 303-306, Eds. Le Gal and Halvorson, Plenum Press, New York, 1998)、及びアルファウイルス−ベクター(Sondra Schlesinger and Thomas W. Dubensky Jr. Alphavirus vectors for gene expression and vaccines. Current opinion in Biotechnology, 10:434439 (1999)が挙げられる。
【0118】
[0117]代替的に、そのような抗体(精製又は未精製形態)を第二の動物種(例えば、硬骨魚類)に投与するに先だって、第一の動物種(例えば、ウサギ)内で抗体産生細胞ラインから、又はインビトロ技術によりPRV抗体を産生させることによって受動ワクチン接種を行うことができる。このタイプの受動ワクチン接種は、第二の動物が既にPRVで感染されている場合に用いることができる。場合により、受動ワクチン接種は、第二の動物における感染が、感染に対する免疫応答を開始できず、又は開始するのに十分な時間を有さなかった場合に有用であり得る。
【0119】
[0118]硬骨魚類のワクチン接種のための多数の方法が当技術分野にて公知である。例えば本明細書に記載するPRV核酸及びポリペプチドを用いたワクチン接種は、注入、浸漬、液浸(dipping)又は経口投与により硬骨魚類に行うことができる。投与プロトコルは、標準的なワクチン接種の実践に従って最適化することができる。
【0120】
[0119]硬骨魚類の経口ワクチン接種の場合、本明細書に記載するPRV核酸、ポリペプチド又は免疫原性組成物を餌と共に混合し、又は餌上に被覆し、又は被包された形態で投与してもよい。所定の実施形態において、ワクチン接種は、Artemia nauplii、橈脚類又は輪虫類等の生きた餌を、動物(例えば、硬骨魚類)に給餌するに先立って、生きた餌の消化がワクチン接種を受けている動物の消化管内でPRVワクチンを蓄積させるように、PRVワクチン縣濁液中でインキュベートすることにより行ってもよい。当業者は、これらの投与方法が抗原を潜在的な分解又は変性に暴露し得ることを理解し、従って、このワクチン接種の方法は、選択された抗原に適していることを理解するであろう。経口ワクチン接種の場合、ワクチンはまた一種又はそれ以上の担体と混合されてもよい。経口ワクチン接種に使用するのに好適な担体としては、代謝可能な及び代謝可能でない物質の両方が挙げられる。
【0121】
[0120]硬骨魚類のワクチン接種は、浸漬プロトコルにより行うこともできる。魚の皮膚及び鰓は、抗原を吸着することにより病原体の認識に寄与する粘膜表面を有する。吸着は次に、免疫応答の一部として抗体産生細胞の活性化をもたらす。従って、一実施形態において、本明細書に記載するポリペプチドによる魚のワクチン接種は、PRVワクチン組成物を含む水中に魚を浸漬することにより行うことができる。少なくとも二つのタイプの浸漬ワクチン接種を、本明細書に記載するポリペプチドと共に使用することができる。液浸ワクチン接種では、魚を、水を含む濃縮ワクチン溶液(例えば、ワクチン1部、水9部)中に短時間(例えば、約30秒間)浸漬する。槽(bath)ワクチン接種では、より低いワクチン濃度を含む水中に、より長時間(例えば、数時間)浸漬する。当業者は、浸漬プロトコルにおいて、免疫反応を誘導するのに十分なPRVワクチンの希釈及び浸漬持続時間を容易に決定することができるであろう。
【0122】
[0121]本明細書に記載するPRV核酸及びポリペプチドを用いた硬骨魚類のワクチン接種の別の方法は、注入ワクチン接種による。注入ワクチン接種では、ワクチンを魚の腹腔内に注入する。当業者は、適切な注入点を容易に決定することができるが、サケの針挿入の通常の部位は、腹部の正中、腹びれ基部の前方の一つの腹びれの長さである。所定の実施形態において、PRV核酸、ポリペプチド又は免疫原性組成物は、油エマルション中で、又は免疫応答を増強し及び/若しくは延長させる他の補助剤若しくは添加剤中で、魚の体腔内に送達され得る。腹腔内注入に加えて、注入ワクチン接種は筋内注入によっても行うことができる。当業者は、不適切な取り扱い及び針挿入が魚を死亡させる場合があるため、ワクチン接種過程中に浅麻酔を用いて緊張を軽減し、また動物に対する機械的外傷を軽減し得ることを理解するであろう。当業者は、適切なワクチン接種を確実にすると共に、感染、炎症又は組織損傷による二次合併症を避けるために適切な長さ及び太さの針が重要であり得ることも理解するであろう。
【0123】
[0122]本明細書に記載するPRV核酸、ポリペプチド又は免疫原性組成物は、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガス等の好適な噴射剤を使用して、加圧パック又は噴霧器からのエアゾル噴霧提示の形態でも送達することができる。加圧エアゾルの場合、投与量単位は、計量した量を供給するための弁を提供して決定することができる。カプセル剤及びカートリッジは、化合物と乳糖又は澱粉等の好適な粉末ベースとの粉末混合物を含んで処方され得る。
【0124】
[0123]本明細書に記載するPRV核酸、ポリペプチド又は免疫原性組成物は、動物において免疫応答を引き起こすのに十分な、免疫学的に有効な任意の量で投与されてもよい。ある場合に、この量は、動物当たり約0.01〜約1000ミリグラムのPRV核酸、ポリペプチド又は免疫原性組成物であってもよい。
【0125】
[0124]本明細書で使用される際、用語「免疫学的に有効な量」は、動物において所望の免疫応答を誘導し、又は免疫応答の誘導を強化することが可能な量を指す。所望の応答としては、とりわけ、抗体若しくは細胞介在性免疫応答の誘導、又はこれらの両方を挙げることができる。所望の応答は、PRV感染の症状を寛解する、PRV感染の持続期間を短縮する、及び/又はPRVによる後のチャレンジに対抗する防御免疫を動物に提供するのに十分な免疫応答の誘導でもあり得る。免疫学的に有効な量は、PRV感染に対する実際の「保護」を誘導する量であってもよく、これは動物におけるPRV感染から生じる任意の症状又は病状の予防を意味する。免疫学的に有効な量は、感染に関連した症状及び病状の発生を遅延させる、感染の程度又は速度を低減する、感染から生じる任意の疾病又は症状の重篤さを軽減する、及び、感染した動物のウイルス負荷を低減するのに十分な量でもあり得る。
【0126】
[0125]当業者は、必要以上のいかなる実験をも行うことなく、「免疫学的に有効な量」の本発明の組成物が何であるかを容易に決定することができる。有効量は、低用量から開始した後、免疫学的効果を監視しながら投与量を増大させる従来の手段により決定することができる。投与する最適量を決定する際、動物のサイズ、年齢、及び全身の状態、動物内の他の薬物の存在、動物がそれに対抗してワクチン接種されている特定のPRVの病原性等を含む、多数の因子を考慮に入れ得る。実際の投与量は、様々な動物試験の結果を考慮した後選択され得る。
【0127】
[0126]免疫学的に有効な量の免疫原性組成物は、単一用量で、分割用量で、又は「プライム・ブースト」投与計画を用いて投与されてもよい。組成物は、経口、浸漬、非経口、皮内、経皮、皮下、筋内、静脈内、腹腔内、経口、若しくは眼内経路を含むがこれらに限定されない任意の好適な経路により、又は経路の組み合わせにより投与されてもよい。当業者は、選択経路に従ってワクチン組成物を処方することができるであろう。
【0128】
[0127]ワクチン接種技術に加えて、本明細書に記載するPRVポリペプチドに結合する抗体は、インビトロでの例示的な代替的抗体産生技術、トランスジェニック動物技術及びハイブリドーマ技術を含むが、これらに限定されない当技術分野にて公知の任意の他の方法によっても産生させることができる。例えば、Ausubel, et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., NY, N.Y. (1987-2001); Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989); Colligan, et al., eds., Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, Inc., NY (1994-2001); Colligan et al., Current Protocols in Protein Science, John Wiley & Sons, NY, N.Y., (1997-2001)を参照されたい。
【0129】
[0128]PRV結合抗体の産生に好適なインビトロでの技術としては、リボソームディスプレイ、酵母ディスプレイ及び細菌ディスプレイ法が挙げられるが、これらに限定されない。リボソームディスプレイは、そのタンパク質をRNAに付着した状態に保ちながら、mRNAをそれらの同族タンパク質に翻訳する方法である。核酸コード配列はRT−PCRにより回収される(Mattheakis, L. C. et al. 1994. Proc Natl Acad Sci USA 91, 9022)。酵母ディスプレイは、接合型システムの一部である、膜−結合α−アグルチニン酵母接着受容体、aga1及びaga2の融合タンパク質の構築に基づいている(Broder, et al. 1997. Nature Biotechnology, 15:553-7)。細菌ディスプレイは、細胞膜又は細胞壁と関連する搬出細菌タンパク質への標的の融合に基づいている(Chen and Georgiou 2002. Biotechnol Bioeng, 79:496-503)。ハイブリドーマ法と比較すると、ファージ及び他の抗体ディスプレイ法は、インビトロで、抗原に対する宿主効果の制限、又はその逆の可能性を有することなく、抗原標的に対する選択を操作する機会を提供する。
【0130】
[0129]例えば、PRVポリペプチドに結合する抗体は、ライブラリ、例えばファージライブラリから選択することにより得ることができる。ファージライブラリは、ランダムオリゴヌクレオチドのライブラリ、又は免疫化動物のB−細胞由来のもの等の対象とする配列を含むポリヌクレオチドのライブラリを挿入することにより作製することができる(Smith, G. P. 1985. Science 228: 1315-1317)。抗体ファージライブラリは、1つのファージ内に重(H)鎖及び軽(L)鎖可変領域対を含み、単鎖Fv断片又はFab断片の発現を可能にする(Hoogenboom, et al. 2000, Immunol Today 21(8) 371~10)。ファージミドライブラリの多様性を、ライブラリのモノクローナル抗体の免疫特異性を増大させ及び/又は変更するよう操作して、追加の、所望の硬骨魚類抗体を産生させ、続いて特定することができる。例えば、重(H)鎖及び軽(L)鎖イムノグロブリン分子をコードする遺伝子を無作為に混合して、新しいHL対を組み立てられたイムノグロブリン分子に形成することができる。加えて、H鎖及びL鎖のいずれか一方又は両方をコードする遺伝子をイムノグロブリンポリペプチドの可変領域の相補性決定領域(CDR)内に変異誘発し、続いて所望の親和性と中和能力に関してスクリーニングしてもよい。抗体ライブラリは、一つ又はそれ以上のフレームワーク配列を選択し、抗体レパートリー由来のCDRカセットの収集物を導入し、又は設計された異形により合成的に作製することもできる(Kretzschmar and von Ruden 2000, Current Opinion in Biotechnology, 13:598-602)。多様性の位置はCDRsに限定されず、可変領域のフレームワークセグメントも含み得、又は抗体可変領域以外の、例えばペプチド等を含み得る。
【0131】
[0130]本明細書に記載するPRVポリペプチド、又はPRVポリペプチドの断片に対する抗体の生成に好適な別の抗体産生技術には、Geysen et al(国際特許出願公開第84/03564号、国際特許出願公開第86/06487号、米国特許第4,833,092号、Proc. Natl. Acad. Sci. 81: 3998-4002 (1984), J. Imm. Meth. 102, 259-274 (1987)に記載されているPEPSCAN法がある。
【0132】
[0131]PRVポリペプチドに結合する全抗体のペプシン又はパパイン消化を用いて、PRVポリペプチドに結合する抗体断片を生成することができる。詳細には、Fab断片は、抗体分子の一価抗原結合断片からなり、抗体分子全体を酵素パパインで消化して無傷軽鎖と重鎖の一部分とからなる断片を提供することにより生成され得る。抗体の(Fab’)2断片は、全抗体分子を酵素ペプシンで処理し、続いて還元を行わず得ることができる。抗体分子のFab’断片は、(Fab’)2から、チオール還元剤を用いた還元により得ることができ、無傷軽鎖と重鎖の一部分とからなる分子が提供される。この方法で処理した抗体分子当たり2つのFab’断片が得られる。
【0133】
[0132]抗体は、(合成手段又はポリペプチドをコードする核酸の発現により生成された)選択分子の化学的架橋により、又はポリペプチドのインビトロ発現若しくは細胞発現と組み合わせた組み換えDNA技術と、続くオリゴマー化により生成することができる。抗体は、組み換え技術及び発現、異なるエピトープ特異性を有する抗体を産生するハイブリドーマの融合、又は異なるエピトープ特異性を有する抗体可変鎖をコードする多数の核酸の単一細胞内での発現により、同様に生成することができる。
【0134】
[0133]抗体は、例えばマルチマー化ドメインを介した共有又は非共有結合により直接又は間接的に連結されてマルチマーを生成し得る。「マルチマー化ドメイン」は、非共有結合的タンパク質−タンパク質相互作用を仲介する。特定の例としては、コイルドコイル(例えば、ロイシンジッパー構造)及びα−螺旋タンパク質配列が挙げられる。ファンデルワールス力、水素結合又は電荷−電荷結合によりタンパク質−タンパク質結合を仲介する配列も、マルチマー化ドメインとして使用することができる。追加の例としては、塩基性ヘリックスループヘリックスドメイン、及び核酸結合タンパク質(例えばTAFs等のDNA結合転写因子)間のヘテロマー又はホモマータンパク質−タンパク質相互作用を仲介する他のタンパク質配列が挙げられる。マルチマー化ドメインの1つの特定の例は、テトラマー形成を仲介するp53残基319〜360である。別の例は、テトラマーに自己組み立てするヒト血小板因子4である。更なる別の例は、ペンタマーを形成し得る細胞外タンパク質TSP4、トロンボスポンジンファミリーの一員である。追加の特定の例は、jun、fos、及び酵母タンパク質GCN4のロイシンジッパーである。
【0135】
[0134]抗体は、化学的架橋剤を介して互いに直接接合してもよく、又はリンカー配列(例えばペプチド配列)を介して接続されてマルチマーを形成してもよい。
【0136】
[0135]本明細書に記載する抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであってもよい。抗体はまた、キメラであってもよい(即ち、2つ以上の種からの配列の組み合わせ、例えば、キメラのマウス−サケイムノグロブリン)。種特異的抗体は、他の種由来の可変領域及び/又は定常領域を所有する抗体に関連した所定の問題を回避する。そのような他の種由来のタンパク質配列の存在は、抗体の急速な排除をもたらす場合があり、又は抗体による前記抗体に対する免疫応答の生成をもたらし得る。
【0137】
[0136]本明細書に記載する抗体は、重鎖及び軽鎖可変ドメイン、各々V及びVを介して他の分子(抗原)に結合する抗体であってもよい。本明細書に記載する抗体には、IgY、IgY(ΔFc))、IgG、IgD、IgA、IgM、IgE及びIgLが挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、無傷イムノグロブリン分子、ジスルフィド結合により2つの完全長軽鎖に結合された2つの完全長重鎖、及び、抗原のエピトープに結合する、定常領域を有する若しくは有さないイムノグロブリン分子のサブ配列(即ち、断片)、又は抗原のエピトープに結合する、定常領域を有する若しくは有さないイムノグロブリン分子のサブ配列のサブ配列(即ち、断片)であってもよい。抗体は、完全長の重鎖及び軽鎖可変ドメイン、V及びVを、個別に又は任意の組み合わせにて含み得る。
【0138】
[0137]基本的なイムノグロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含み得る。各テトラマーは、2つの同一のポリペプチド鎖対から構成されてもよく、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)と1つの「重」鎖(約50〜70kD)とを有する。各鎖のN−末端は抗原認識の役割を主に担う、約100〜110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を画定する。可変軽鎖(V)及び可変重鎖(V)という用語は、各々、これらの軽鎖及び重鎖を指す。
【0139】
[0138]本明細書に記載する抗体は、無傷イムノグロブリンとして、又は様々なペプチダーゼで消化されることにより生成される、よく特徴付けられた多数の断片として存在し得る。詳細には、ペプシンは抗体をヒンジ領域内のジスルフィド結合下方で消化して、F(ab)’、Fabのダイマーを生成し、該ダイマー自体は、ジスルフィド結合によりV−C1に連結される軽鎖である。F(ab)’は、穏やかな条件下で還元されてヒンジ領域内のジスルフィド結合が切断されて、F(ab)’ダイマーがFab’モノマーに変換し得る。Fab’モノマーは、本質的にヒンジ領域の一部を有するFabである(更なる抗体断片の専門用語に関しては、Fundamental Immunology, W. E. Paul, ed., Raven Press, N.Y. (1993)を参照)。Fab’ドメインは無傷抗体の消化の観点から定義されているが、一当業者は、そのようなFab’断片が化学的に又は組み換えDNA方法論を用いてデノボ合成され得ることを理解するであろう。Fab’領域は、動物又はヒト起源の抗体に由来してもよく、又はキメラであってもよい(両方とも参照により本明細書に組み込まれるMorrison et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851~10855 (1984))(両方とも参照により本明細書に組み込まれるJones et al., Nature 321, 522-525 (1986)、及び発行された英国特許出願第8707252号)。
【0140】
[0139]本明細書に記載する抗体は、非限定的に魚、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、齧歯類、霊長類、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意の哺乳類を含み、又は該哺乳類に由来してもよく、単離された魚、ヒト、霊長類、齧歯類、哺乳類、キメラ、ヒト化、及び/又はCDR−移植若しくはCDR−適合抗体、イムノグロブリン、切断生成物、並びにそれらの他の部分及び変異体を含む。一実施形態において、抗体は精製される。
【0141】
[0140]本明細書に記載する抗体は、完全長抗体、サブ配列(例えば、単鎖形態)、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、ヘキサマー、又はモノマーの少なくとも一部の抗原結合活性を保持する任意の他のより高次のオリゴマーを含む。マルチマーは、本明細書に示されかつ当業者に公知の非修飾の又は修飾された完全長抗体、サブ配列のヘテロマー又はホモマーの組み合わせを含み得る。抗体マルチマーは多数の抗原結合部位を有するため、モノマーと比較して抗原結合力を増大させるのに有用である。抗体マルチマーは、異なる抗体のオリゴマー(例えば、ダイマー、トリマー、テトラマー等)の組み合わせを生成して、多機能性(例えば、二機能性、三機能性、四機能性等)の抗体の組成物を生成するのにも有用である。
【0142】
[0141]抗体サブ配列の具体的な例としては、例えば、Fab、Fab’、(Fab’)、Fv、又は単鎖抗体(SCA)断片(例えば、scFv)が挙げられる。サブ配列は、完全長配列の少なくとも一部の機能又は活性を保持する部分を含む。例えば、抗体サブ配列は、該サブ配列の結合親和性が完全長抗体の結合親和性よりも大きいか又は小さいが、抗原に選択的に結合する能力を保持するであろう。
【0143】
[0142]Fv断片は、2つの鎖として発現される、軽鎖Vの可変領域と重鎖Vの可変領域とを含む断片である。会合は、化学的架橋剤又は分子間ジスルフィド結合等、非共有結合又は共有結合であってもよい(Inbar et al., (1972) Proc. Natl. Acad Sci. USA 69:2659; Sandhu (1992) Crit. Rev. Biotech. 12:437)。
【0144】
[0143]重鎖を分離して一価軽鎖−重鎖断片を形成する、更に断片を切断する、又は他の酵素的、化学的若しくは遺伝学的技術等の、抗体サブ配列を生成する他の方法を使用してもよいが、但し、無傷抗体が結合する抗原にサブ配列が結合することを条件とする。
【0145】
[0144]単鎖抗体(「SCA」)は、軽鎖Vの可変領域と重鎖の可変領域とを含み、場合によりポリペプチド配列等の可撓性リンカーにより、V−リンカー−V配向又はV−リンカー−V配向のいずれかにて結合された遺伝子改変され又は酵素的に消化された抗体である。代替的に、単鎖Fv断片は、2つの可変ドメインを、2つのシステイン残基間にてジスルフィド結合で結合することにより生成されてもよい。scFv抗体の生成方法は、例えばWhitlow et al.による(1991):Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2:97;米国特許第4,946,778号;及びPack et al., (1993) Bio/Technology 11:1271に記載されている。
【0146】
[0145]本明細書に記載するPRV核酸、ポリペプチド及び免疫原性組成物を使用して、ポリペプチド又はPRVの活性又は機能を阻害、中和又は低減する抗体を産生させることができる。所定の態様において、本発明は、動物(例えば、サケ)の処置方法に関し、該方法は、PRV核酸、ポリペプチド及び免疫原性組成物を動物に投与し、又はPRVポリペプチドに特異的に結合することによりPRVポリペプチド又はPRVの活性又は機能が阻害、中和又は低減される抗体を動物に投与することを含む。
【0147】
[0146]別の態様において、本明細書に記載する発明は、PRVポリペプチド又はPRV核酸を含有するPRV免疫原性組成物に関する。いくつかの実施形態において、PRV免疫原性組成物は、更に担体、補助剤、賦形剤等を含有してもよい。本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、活性化合物を、当技術分野にて公知の免疫原性的に許容され得る担体と組み合わせることにより容易に処方することができる。本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、免疫原性応答の誘導に使用できる製剤中の活性化合物の加工を容易にする賦形剤及び補助剤を含む、一種又はそれ以上の生理学的に許容され得る担体を使用して、従来の方法で処方することができる。そのような担体を使用して、好適な錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ剤、スラリー、縣濁液等を処方することができる。一実施形態において、免疫原性組成物は固体賦形剤により得ることができ、得られた混合物を粉砕し、所望であれば好適な補助剤を加えた後、顆粒混合物を加工して錠剤又は糖衣錠コアを得る。
【0148】
[0147]本明細書に記載する免疫原性組成物は、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠形成、微粒子化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスにより、それ自体公知の方法で製造することができる。適切な処方は、選択される投与経路に依存する。
【0149】
[0148]免疫遺伝学的に有効な量のPRV免疫原性組成物が動物に投与される際、組成物は、発熱物質を含有しない、経口的に許容され得る水性溶液の形態を有し得る。pH、等張性、安定性等を十分に考慮した、それらの非経口的に許容され得るタンパク質又は他の活性成分溶液の調製は、当業者の技術の範疇にある。例えば、本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、本発明のタンパク質又は他の活性成分に加えて、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖(Dextrose)及び塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンゲル液等の等張等浸透圧のビヒクル、又は当技術分野にて公知の他のビヒクルを含有してもよい。本発明の免疫原性組成物は、安定剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、又は当業者に公知の他の添加剤も含有し得る。PRV免疫原性組成物は、水性溶液、ハンクス溶液、リンゲル溶液、又は生理的食塩水緩衝液等の生理学的に適合性の緩衝液中に処方されてもよい。経粘膜投与では、浸透される障壁に適した浸透剤を処方物中に使用する。そのような浸透剤は、概して当該技術分野で公知である。
【0150】
[0149]PRV免疫原性組成物が経口投与される際、本発明のタンパク質又は他の活性成分は、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤又はエリキシル剤の形態を有してもよい。錠剤形態で投与される際、本発明の免疫原性組成物は、更にゼラチン等の担体又は補助剤を含有してもよい。
【0151】
[0150]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、動物に対して免疫原性を有する、本明細書に記載するPRVタンパク質若しくはペプチド、又はその任意の部分、断片、誘導体若しくは変異体のいずれかをコードし又は含有することができる。当業者は、本明細書に記載するPRVタンパク質及びペプチドの免疫原性を容易に試験することができ、またサブユニットワクチンに使用するのに好適なタンパク質又はペプチドを選択することができる。
【0152】
[0151]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、本明細書に記載するもの等の、少なくとも一種のPRVアミノ酸又はポリペプチドを含有する。組成物は、薬学的に許容され得る一種又はそれ以上の担体、緩衝液、安定剤、希釈剤、保存剤、可溶化剤、リポソーム又は免疫調節剤が挙げられるがこれらに限定されない、一種又はそれ以上の添加剤も含有し得る。好適な免疫調節剤としては、補助剤、サイトカイン、サイトカインをコードするポリヌクレオチド、及びPRV由来免疫原性成分の細胞取り込みを促進する薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
[0152]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、補助剤と称される免疫賦活性物質も含有し得る。補助剤は一般に、宿主の免疫応答を非特異的に増加させる物質を含む。多数の異なる補助剤が当技術分野にて公知である。魚及び甲殻類の養殖にて頻繁に使用される補助剤の例は、ムラミルジペプチド、リポ多糖類、いくつかのグルカン及びグリカン並びにカルボポール(登録商標)(ホモポリマー)である。魚及び甲殻類ワクチンに好適な補助剤の広範な概説は、Jan Raaによる総説(Reviews in Fisheries Science 4(3): 229-288 (1996))に提供されている。
【0154】
[0153]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、通称「ビヒクル」も含有し得る。ビヒクルは、共有結合することなく、タンパク質が接着する化合物である。そのようなビヒクルは、例えばバイオマイクロカプセル、マイクロ−アルギン酸塩、リポソーム及びマクロゾル(macrosol)であり、これら全て当技術分野にて公知である。抗原がビヒクル中に部分的に埋入されているそのようなビヒクルの特別な形態は、通称ISCOM(欧州特許第109.942号、欧州特許第180.564号、欧州特許第242.380号)である。加えて、ワクチンは一種又はそれ以上の好適な表面活性化合物又は乳化剤、例えばスパン(Span)又はツイーンを含有してもよい。ジメチルスルホキシド等の所定の有機溶媒を使用してもよい。
【0155】
[0154]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、安定剤と混合されて、例えば分解し易いタンパク質の分解を防止し、ワクチンの貯蔵寿命を高め、又は凍結乾燥効率を改善することができる。有用な安定剤は、即ちSPGA(Bovarnik et al; J. Bacteriology 59: 509 (1950))、炭水化物、例えばソルビトール、マンニトール、トレハロース、澱粉、ショ糖、デキストラン又はブドウ糖、アルブミン若しくはカゼイン等のタンパク質、又はその分解生成物、及びアルカリ金属リン酸塩等の緩衝剤である。
【0156】
[0155]液体形態で投与される際、水、石油、ピーナッツ油、鉱油、大豆油若しくはゴマ油等の動物若しくは植物起源の油、又は合成油等の液体担体を加えてもよい。免疫原性組成物の液体形態は更に、生理的食塩水、右旋糖若しくは他の糖類溶液、又はエチレングリコール、プロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール等のグリコールを含有してもよい。液体形態で投与される際、免疫原性組成物は、約0.5〜90重量%の本発明のタンパク質又は他の活性成分、及び約1〜50%の本発明のタンパク質又は他の活性成分を含有する。
【0157】
[0156]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、ゼラチンから形成される押し込み型カプセル剤、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤から形成される軟密封カプセル剤を含む。押し込み型カプセル剤は、活性成分を乳糖等の充填剤、澱粉等の結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、及び場合により安定剤との混合物にて含有し得る。軟カプセル剤中では、活性化合物は脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコール等の好適な液体に溶解し又は該液体中に懸濁されていてもよい。加えて、安定剤を加えてもよい。
【0158】
[0157]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、注入、例えばボーラス注入又は連続注入による非経口投与用に処方することもできる。注入用の処方物は添加された保存剤と共に単位剤形、例えばアンプル内又は多用量容器中で提供してもよい。組成物は油性又は水性ビヒクル中の縣濁剤、液剤又は乳剤等の形態をとってもよく、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤等の処方薬剤を含有してもよい。
【0159】
[0158]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、本発明のタンパク質(一種又は複数種)又は他の活性成分と、タンパク質又はペプチド抗原との複合体の形態であってもよい。
【0160】
[0159]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、非経口投与に好適に作製されてもよく、水溶性形態を有するPRV核酸又はポリペプチドを含有する水性溶液を含んでもよい。加えて、活性化合物の懸濁液を、適切な油性注入縣濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、ゴマ油等の脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、又はリポソームが挙げられる。水性注入縣濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストラン等の、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有してもよい。場合により、縣濁液は、好適な安定剤、又は化合物の溶解度を上昇させる薬剤も含有して、高濃縮溶液の調製を可能にしてもよい。代替的に、活性成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば無菌発熱物質フリー水と共に構成されるよう粉末形態を有してもよい。
【0161】
[0160]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、リポソームの形態を有してもよく、該形態では本発明のタンパク質が他の許容可能な担体に加えて、水性溶液中のミセル、不溶性単分子層、液晶、又はラメラ層のような塊状形態で存在する脂質等の両親媒性剤と組み合わされる。リポソーム処方物に好適な脂質としては、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸等が挙げられるがこれらに限定されない。そのようなリポソーム処方物の調製は、例えば、全て参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号;米国特許第4,837,028号;及び米国特許第4,737,323号に開示されているように、当業者の水準の範囲内である。
【0162】
[0161]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物は、移植(例えば皮下又は筋内)又は筋内注入により投与される長時間作用型処方物として処方することもできる。組成物は、治療薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクス等の持続放出システムを使用して送達されてもよい。様々なタイプの持続放出材料が確立されており、当業者に周知である。持続放出カプセル剤は、その化学的性質に応じて、化合物を数週間から100日超まで放出し得る。治療試薬の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、タンパク質又は他の活性成分の安定化のための追加の戦略が用いられ得る。従って、例えば、化合物は好適なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルションとして)若しくはイオン交換樹脂と共に、又は難溶性誘導体、例えば、難溶性塩として処方され得る。
【0163】
[0162]本明細書に記載するPRV免疫原性組成物と共に使用される担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、及び水性相を含む共溶媒系であってもよい。共溶媒系は、VPD共溶媒系であってもよい。VPDは、無水エタノール中である容積に作製される3%w/vのベンジルアルコール、8%w/vの非極性界面活性剤ポリソルベート80、及び65%w/vのポリエチレングリコール300からなる溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W)は、水溶液中5%右旋糖により1:1に希釈されたVPDからなる。この共溶媒系は、疎水性化合物をよく溶解し、それ自体が全身投与後に低い毒性を生じる。共溶媒系の割合は、その溶解性及び毒性の特徴を損なうことなく相当変化し得る。共溶媒成分が何であるかも変化し得る:例えば、ポリソルベート80の代わりに他の低毒性の非極性界面活性剤を使用してもよく;ポリエチレングリコールの割合の大きさが変更されてもよく;他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンがポリエチレングリコールを代替してもよく;また他の糖又は多糖類が右旋糖を置き換えてもよい。
【0164】
[0163]免疫原性組成物は、好適な固相若しくはゲル相担体又は賦形剤も含有し得る。そのような担体又は賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコール等のポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の活性成分の多数が、免疫原性的に適合性の対イオンとの塩として提供されてもよい。そのような免疫原性的に許容され得る塩基付加塩は、遊離酸の生物学的有効性及び特性を維持し、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、アンモニア、トリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノアルキルアミン、二塩基性アミノ酸、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、トリエタノールアミン等の無機又は有機塩基との反応により得られる塩である。
【0165】
[0164]本明細書に記載する免疫原性組成物中で使用するのに好適な賦形剤としては、乳糖、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールを含む糖;例えば、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース製剤、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)等の充填剤が挙げられる。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸、若しくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩等の錠剤崩壊剤を添加してもよい。糖衣錠コアに好適なコーティングが提供される。この目的のために、濃縮糖溶液を使用してもよく、該溶液は、場合によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有してもよい。活性化合物用量の異なる組み合わせを識別又は特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに染料又は色素を添加してもよい。
【0166】
[0165]本明細書に記載する免疫原性組成物及びワクチンは、他のウイルス由来の追加のポリペプチド又は追加のポリペプチドをコードする核酸配列を更に含有する多価免疫原性組成物であってもよい。
【0167】
[0166]本明細書に記載する免疫原性組成物及びワクチンは、他のウイルス由来の追加のポリペプチド断片又は追加のポリペプチド断片(fragement)をコードする核酸配列を更に含有する多価免疫原性組成物であってもよい。
【0168】
[0167]本明細書に記載する免疫原性組成物及びワクチンは、追加のウイルス(例えば、弱毒、死菌又は別様に不活性化されたウイルス)又は追加のウイルス(例えば、弱化、死菌又は別様に不活性化されたウイルス)をコードする核酸配列を更に含有する多価免疫原性組成物であってもよい。
【0169】
[0168]本明細書に記載する免疫原性組成物及びワクチンは、PRVポリペプチド又はその断片、及び他のウイルス由来のポリペプチド又はそのポリペプチド断片を含む融合タンパク質、又は融合タンパク質をコードする核酸を含有してもよい。
【0170】
[0169]免疫原性組成物に含まれてもよい他のウイルス、他のウイルスのウイルスポリペプチド又はその断片の例としては、睡眠病ウイルス(SDV)、又はSDVウイルスポリペプチド又はその断片;サケ膵臓病ウイルス(SPDV)、又はSPDVウイルスポリペプチド又はその断片;感染性サケ貧血(ISAV)、又はISAVウイルスポリペプチド又はその断片;ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)、又はVHSVウイルスポリペプチド又はその断片;伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)、又はIHNVウイルスポリペプチド又はその断片;伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV)、又はIPNVウイルスポリペプチド又はその断片;コイの春ウイルス血症(SVC)、又はSVCウイルスポリペプチド又はその断片;ブチナマズウイルス(CCV)、又はCCVウイルスポリペプチド又はその断片;アエロモナス・サルモニシダ、又はアエロモナス・サルモニシダポリペプチド又はその断片;魚類の細菌性腎臓病菌、又は魚類の細菌性腎臓病菌ポリペプチド又はその断片;モリテーラ・ビスコーシス、又はモリテーラ・ビスコーシスポリペプチド又はその断片;エルシニア感染症、又はエルシニア感染症ポリペプチド又はその断片;パスツレラ症、又はパスツレラ症ポリペプチド又はその断片;ビブリオ・アンギラルム、又はビブリオ・アンギラルムポリペプチド又はその断片;ビブリオ・ロゲイ、又はビブリオ・ロゲイポリペプチド又はその断片;ビブリオ・オルダリイ、又はビブリオ・オルダリイポリペプチド又はその断片;ビブリオ・サルモニシダ、又はビブリオ・サルモニシダポリペプチド又はその断片;エドワージエラ・イクタルリ、又はエドワージエラ・イクタルリポリペプチド又はその断片;エドワージエラ・タルダ、又はエドワージエラ・タルダポリペプチド又はその断片;魚類のカラムナリス病菌、又は魚類のカラムナリス病菌ポリペプチド又はその断片;又はピスシリケッチア・サルモニス、又はピスシリケッチア・サルモニスポリペプチド又はその断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
[0170]例えば、感染性サケ貧血ウイルス(ISAV)の構造タンパク質−1をコードするcDNAは、米国特許第6,471,964号に記載されている。ISAV抗原は国際公開第01/10469号にも記載されている。SPDV抗原は、国際公開第99/58639号に開示されている。ピー・サルモニス(P.salmonis)抗原は、国際公開第01/68865号に開示されている。ホワイトスポットウイルス(Whitespot Virus)抗原は、国際公開第01/09340号に開示されている。
【0172】
[0171]本明細書に記載する免疫原性組成物中で使用するのに好適な他のウイルスポリペプチド及び核酸配列は、Tucker et al. (2000) 「Assessment of DNA vaccine potential for juvenile Japanese flounder Paralichthys olivaceus, through the introduction of reporter genes by particle bombardment and histopathology」Vaccine 19(7-8):801-809; Corbeil et al. (1999) 「Evaluation of the protective immunogenicity of the N, P, M, NV, G proteins of infectious hematopoietic necrosis virus in rainbow trout Oncorhynchus mykiss using DNA vaccines」Dis. Aquat. Organ 39(1):29-26; Nusbaum et al. (2002) 「Protective immunity induced by DNA vaccination of channel catfish with early and late transcripts of the channel catfish herpes virus (IHV-1)」Vet Immunol. Immunopathol 84(3-4):151-168; Clark et al. (1992) 「Developmental expression of surface antigen genes in the parasitic cilate Ichtyophthirius multifiliis」Proc. Natl. Acad. Sci. 89(14):6363-6367;及びSato et al. (2000) 「Expression of YAV proteins and vaccination against viral ascites among cultured juvenile yellowtail」Biosci. Biotechnol. Biochem. 64(7):1494-1497に論じられている。魚病原体抗原の多数の核酸及びアミノ酸配列が公知であり、ジェンバンクデータベース及び他の供給源を介してアクセス可能である。
【0173】
[0172]ワクチン処方物中で有用な他の添加剤は公知であり、当業者には明白であろう。
【0174】
[0173]以下の実施例は、本発明を説明し、本発明の理解を補助するために示され、後続する特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲を如何様にも限定するものと解釈するべきではない。
【実施例】
【0175】
[0174]実施例1:PRV断片の単離
[0175]哺乳類オルトレオウイルスに対してアミノ酸レベルでおよそ50%相同な200nt断片を、ノルウェー内のHSMIを有する養殖サケから得たサンプルのハイスループットシークエンシングにより得た。HSMIを有するサケ及び正常なサケ由来の筋組織の定量的PCRアッセイは、HSMIを有するサケ内のより高いウイルス負荷を明らかにする。
【0176】
[0176]実施例2:養殖サケの心臓及び骨格筋炎症は、新規なレオウイルスによる感染に関連する
[0177]実験的に誘導したHMSIを有するサケの心臓から抽出したRNAをパイロシークエンスして(Margulies, M. et al., Nature 437, 376-380 (2005))、598ヌクレオチド迄のサイズ範囲の106,073の読み取りを得た(平均=349.7、標準偏差=149.5)。ヌクレオチドレベルにおけるデータベースアラインメント解析は、感染の証拠を全く明らかにしなかったが、1つの265ヌクレオチド読み取りの予測されたアミノ酸配列は、哺乳類オルトレオウイルス3(AF378009)のコアスパイクタンパク質λ2と49%類似していた。この配列に基づくリアルタイムPCRアッセイを用いて、自発的大発生(n=20)又は実験的感染(n=20)に関連したHSMIを有するサケ、及び非感染対照魚(n=20)から得た心臓及び血清のRNA抽出物中の候補ウイルスの存在に関して試験した。HSMIを有するサケの全サンプルが候補配列を含んでいた。HSMIを有さない対照サケには配列が全く見出されなかった。
【0177】
[0178]PCRによる最高遺伝的荷重(3.0×106ゲノムコピー/μl)を有するHSMI血清サンプルを追加のパイロシークエンシングのために選択し、120,705の読み取りを得た。バイオインフォマティクスツールのパッケージソフトを使用して、ウイルス配列を識別した。解析の第一の段階では、BLASTN及びBLASTX(Altschul et al., J Mol Biol 215, 403-410 (1990))が各々、1.5%及び53.9%の予測ウイルスゲノムを検出し、セグメントL1、L2、L3、M1、M2及びM3の特定を可能にした(図1)。FASTX(Pearson et al., Genomics 46, 24-36(1997))の実行により追加の5.5%のゲノムを得、S1セグメント内のモチーフと、L2及びM3セグメント内の追加の配列とを検出した。配列データの頻度解析(FASD)(Trifonov et al、(提出されている))、配列アラインメントではなくヌクレオチド頻度及び順序に基づいて分類を予測するプログラムは、追加の11.8%の最終ウイルスゲノムアセンブリーを含むS1、S2、S3及びS4セグメント(図1)を表す新しい配列を検出した。合計でおよそ17キロ塩基の配列(72.8%の遺伝子ゲノム)をパイロシークエンシングにより得た(図1)。断片と遺伝子セグメントの末端との間のギャップはPCRクローニングにより完了した。ドラフト配列に沿って設計したプライマーを使用して、古典的なジデオキシシークエンシングにより全配列を検証した。
【0178】
[0179]レオウイルス科のメンバーのゲノム構成の特徴と矛盾せず、PRVのゲノムは、少なくとも10個のRNAセグメントを含む(ジェンバンク受入番号GU994013−GU994022)。レオウイルスは10〜12セグメントを含む二本鎖RNAゲノムを有する、エンベロープを有さない20面体ウイルスである。12の属は、宿主域、ゲノムセグメントの数、G/C含有量、及び抗原関連性に基づいて定義される。公知のレオウイルスのL遺伝子セグメント配列を使用して構成された系統発生ツリーは、PRVが魚及び甲殻類、爬虫類、鳥及び哺乳類のウイルスであるアクアレオウイルス及びオルトレオウイルス属の祖先から分岐した異なる遺伝系統を示すことを示す(図2)。10個の全PRV遺伝子セグメントの解析により、他のレオウイルスに対するPRV配列の分岐が確認された(図5〜12)。全PRV遺伝子セグメントがオルトレオウイルス及びアクアレオウイルス内に見出される3’末端ヌクレオチド(UCAUC−3’)を含んだが(Attoui et al., J Gen Virol 83, 1941-1951 (2002));5’末端ヌクレオチド(5’−GAUAAA/U)は独特であった。
【0179】
[0180]オルトレオウイルスは、S1又はS4のいずれか内にポリシストロニックなセグメントを有する。アクアレオウイルス種CはS7(オルトレオウイルスS1相同体)内にてポリシストロニックである一方、他のアクアレオウイルス種は、そうではない(Attoui et al., J Gen Virol 83, 1941-1951 (2002))。PRVはS2の5’−末端内に推定オープンリーディングフレーム(ORF)(71aa、pI=8.8、8kDa)、及びS1の5’−末端内に推定ORF(124aa、pI=4.8、13kDa)を有する。PRVのλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσNS配列の相同体がオルトレオウイルス及びアクアレオウイルス内に見出されるが、σ1及びσ3配列と、S2及びS1内に観察される小さい推定オープンリーディングフレームは異なるように見える。後者の構造は、融合関連小膜貫通(FAST)レオウイルスタンパク質と類似している(Shmulevitz et al., EMBO J 19, 902-912 (2000))(図13)。レオウイルスFASTタンパク質は、細胞−細胞融合及び合胞体形成を誘導する非構造性シングル−パス膜タンパク質である(Shmulevitz et al., EMBO J 19, 902-912 (2000))。これらのデータを総合すると、PRVはオルトレオウイルス及びアクアレオウイルス属に対して同様に隔たっている新しいレオウイルス属の原型であるという強力な証拠が提供される。
【0180】
[0181]ゲノムセグメントL1、L2、M3及びS4を標的とするリアルタイムPCRアッセイを用いて、養殖サケ及び野生サケにおけるPRV感染の有病率を調べた。L1に対するMGBアッセイを用いてウイルスRNAレベルを定量化し、結果をPfafflによる式を用いて伸長因子1A(EF1A)に正規化した(Pfaffl et al., Nucleic Acids Res 29, e45 (2001))。3つの異なるHSMI大発生を示す29のサケからの心臓及び腎臓サンプルと、健康養殖魚からの10サンプルとを試験した(表1)。29の既知のHSMIサンプルのうちの28(96.5%)がL1/EF1A遺伝子対数比≧5.00により定義して陽性であり、10の健康サケサンプルのいずれも陽性ではなかった(0%)。29のHSMIサンプルのうちの1つのみが陰性であり;このサンプルは、魚の死亡開始前の、HSMIの初期におけるサケネット避難(harboring)魚を起源とした(図3)。異常な遊泳挙動、拒食症、並びに汎心炎及び筋炎の組織学的エビデンスを含む、重篤な疾病の徴候を有する魚において(Kongtorp et al., J Fish Dis 29, 233-244 (2006))、中央値調整L1/EF1A遺伝子対数比は、10.36(IQR、0.94)であった。L1/EF1A遺伝子対数比は、HSMIの存在又は不在のみでなく、サンプリング時の疾病の重篤さとも相関していた。対数比は健康養殖サケで最も小さく(対数比範囲、−0.23〜3.89;n=10)、HSMI大発生の初期に収集したサケでより大きく(範囲、4.34〜7.66;n=10)、HSMI大発生のピークで得たサケで最も大きかった(範囲、8.52〜11.90;n=10)。異なる地理的位置からの健康野生サケにおける有病率及びPRVの相対的なレベルを研究するために、ノルウェー内の9つの沿岸河川から得た66のサンプルを試験した。PRVはこれらのサンプルのうちの16のみにて検出した(24.2%)。これらの16サンプルのうちの2つが、養殖サケに関して確立したカットオフにより、相対的な対数比6.70及び7.58で陽性であり;他の14は、5.00カットオフを遙かに下回るL1/EF1A対数比を有した(範囲、−0.20〜4.57)。PRV転写産物は、残りの野生サケサンプルのいずれにも検出されなかった(n=50)。
表1 ウイルス負荷データ。
【0181】
【表1−1】

【0182】
【表1−2】

【0183】
【表1−3】

【0184】
【表1−4】

【0185】
【表1−5】

【0186】
a=ウイルス負荷の比(L1ウイルス遺伝子により定量化)、サケハウスキーピング遺伝子(EF1A)を用いて正規化、及び因数108により調整。b=調整比L1/EF1Aの対数変換。c=リアルタイムRT−PCRによるウイルス検出。d=統計的解析のために、サンプルは、調整対数比が5.00を越えた場合は常に、陽性と見なされた。
【0187】
[0182]病態に関連したPRVの解剖学上の分布を、L2遺伝子RNAに対するプローブを用いたインサイツハイブリダイゼーションにより試験した。PRV RNAはHSMIを有するサケの心筋及び心内膜の全体に分布していた(図4A、4B)が、正常なサケ又はサケ膵臓疾病ウイルスに感染していたサケには検出されなかった(図4C、4D)。
【0188】
[0183]Kochの仮定を介した、疾病における微生物の関与は、因子がその疾病に特異的であり、また罹患した宿主から単離した後、培養液中で増殖した因子を接種することによって未処置宿主内で疾病が再現されることの証明を必要とする。この仮定の実現は因果関係の有力な証拠であるが、判断基準は必要以上に厳しいものではない。いくつかの因子は、培養することができない。加えて、発病には、遺伝的要因及び他の要因が寄与し得る。PRVは培養されていない。更に、PRVはHSMIの臨床的徴候を有さない養殖魚に見出されている。また、PRVは野生大西洋サケに少量検出されている。にも関わらず、PRVの組織分布及び負荷は、天然に感染した、及び実験的に感染させたサケにおいて疾病と相関を有する。商業的な家禽類生産と大西洋サケ水産養殖との間の類似性は、情報的に有益であり得る。レオウイルスは、腸炎、心筋炎及び肝炎を含む、家禽類の多数の疾病にも関与している。(Jones, Rev Sci Tech 19, 614-625 (2000))。家禽類生産及び水産養殖の両方は、動物を感染性因子の伝染に伝導される条件下にて高密度で閉じ込め、ストレスの誘導により疾病に対する耐性を低下させ得る。
【0189】
[0184]同一の種又は密接に関連した種の家畜と野生動物との接触が容易に監視及び管理できる陸生動物飼育とは異なり、海洋ベースの水産養殖は、養殖魚がふ化し、感染性因子を既に減少している野生魚の系統に感染させ得る開放系である。PRVは細胞培養液中で単離され、疾病の予防又は変更は特定の薬物又はワクチンの使用を介して行われるであろう。にも関わらず、本明細書に記載する結果は、因果関係が存在し得、PRVが養殖サケ生産を脅かし、また野生サケ集団に感染させる可能性があるため、PRVを制御する処置を採り得ることを示す。
【0190】
[0185]実施例3:PRVの同定及び配列決定
[0186]HSMIを有する魚からの心臓及び腎臓抽出物を接種し、又はHSMIを有する魚と共存させることによって、正常な大西洋サケにHSMIを実験的に誘導した。実験的に誘導したHSMIを有する大西洋サケの心臓組織から抽出したRNAを、ハイスループットパイロシークエンシングの鋳型として使用した。GreenePortalウェブサイト(http://tako.cpmc.columbia edu/Tools)にて入手可能な、未知の配列セット内のオリゴヌクレオチド頻度の統計分布が、既知の配列セットに関して計算された頻度と比較される方法を含む、FASDを含むバイオインフォマティクスアプリケーションのパッケージソフトを使用して配列を解析した。新規なレオウイルス、魚類レオウイルス(PRV)の10個のセグメントのうちの7つを、アラインメント及びモチーフに基づくプログラムを使用して同定し;3つの追加のセグメントはFASDを使用して同定した。収集されたHSMI大発生中の魚由来のサンプルと、実験的に誘導したHSMIを有する魚由来のサンプルとの定量的リアルタイムPCRアッセイは、PRVとHSMIとの間の関連性を確認した。インサイツハイブリダイゼーションは、HSMIを有する魚の心臓内のPRV配列の存在を確認した。
【0191】
[0187]ハイスループットシークエンシングによるPRVの同定。実験施設(VESO、Vikan;ナムソス、ノルウェー)で生み出された平均体重50gの健康な大西洋サケに、HSMIのフィールド大発生からの心臓組織を接種し、該サケはハイスループットシークエンシングの材料用のドナーとしての役割を果たした。非接種魚は陰性の対照としての役割を果たした(Kongtorp and Taksdal, J Fish Dis 32, 253-262 (2009))。3つの心筋生検をHBSS中で1:10に希釈し、0.22μmフィルターを通して濾過し、トリゾールLS試薬中で不活性化させた。7つの血清サンプルをトリゾールLS中で直接不活性化させた。全RNA抽出物をDNase Iで処理し、恣意的に規定した17−merプライマー配列に結合されたランダムオクタマーにより刺激した、逆転写用のSuperscript IIシステムを使用することによりcDNAを生成した(Palacios et al., Emerg Infect Dis 13, 73-81 (2007))。得られたcDNAをRNase Hで処理した後、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により無作為に増幅し;各々、規定した17−mer配列に対応するプライマーと、ランダムオクタマー−結合17−merプライマーとの9:1混合物を適用した(Palacios et al., Emerg Infect Dis 13, 73-81 (2007))。70塩基対(bp)を超える生成物をカラム精製により選択し、454ゲノムシークエンサーFLX上でのシークエンスのために、cDNAの断片化なしで、特定のリンカーに連結した(Margulies, M. et al., Nature 437, 376-380 (2005); Palacios et al. N Engl J Med 358, 991-998 (2008); Cox-Foster et al., Science 318, 283-287 (2007))。
【0192】
[0188]プライマー配列の除去、重複性フィルタリング、及び配列組み立てを、GreenePortalウェブサイト(http://156.145.83 115/Tools)の解析アプリケーションを介してアクセス可能なソフトウエアプログラムにより実行した。伝統的なBLASTN、BLASTX及びFASTX解析が配列読み取りの起源の同定に失敗した際、オリゴヌクレオチド頻度の統計分布に基づく新規な方法であるFASDを適用した(Trifonov et al、(提出済み))。所定のセグメントがウイルスのクラスに属する確率は、それらのオリゴヌクレオチド頻度の分布を、他のセグメントに関する計算と比較して算出された。統計的尺度を開発して、セグメント間の関係の有意性を評価した。p値は、オリゴヌクレオチド分布が異なるものに由来する可能性を見積もる。従って、高度に相関する分布は、高いp値を示す。
【0193】
[0189]従来のPCRを、PTC−200サーモサイクラー上でHotStarポリメラーゼを用いて行った。予想されるアンプリコンサイズに応じて95℃での5分間の酵素活性化工程の後、95℃での1分間の45サイクルの変性、55℃での1分間のアニーリング、及び72℃での3分間の伸長が継続した。増幅生成物を1%アガロースゲル上に流し、精製し、ABI PRISM Big Dye Terminator 1.1 Cycle Sequencingキットを用いてABI PRISM 3700 DNA Analyzers上で両方向に直接配列決定した。
【0194】
[0190]実施例4:配列解析
[0191]配列組み立て及び解析のためにGeneiousパッケージ(Biomatters、ニュージーランド)のプログラムを使用した。配列をジェンバンクからダウンロードし、MEGAソフトウエア(Tamura et al., Mol Biol Evol 24, 1596-1599 (2007))上で実行するClustalX (Thompson et al., Curr Protoc Bioinformatics Chapter 2, Unit 23 (2002))を使用して整列化した。得られたアミノ酸アラインメントを、T−Coffee(Notredame et al., J Mol Biol 302, 205-217 (2000))を使用してタンパク質構造データをアラインメント上に組み込むことにより更に洗練させた。この手法の頑健性を評価するために、レオウイルス科間で保存されたと以前に同定されたモチーフを見出し、整列化する能力をマーカーとして使用した。レオウイルス科の解析のために、ICTVにより認められるように、アミノ酸置換のモデルとしてp距離を使用して、系統発生解析を行った。MEGAを使用して系統樹を生成し、近隣結合(NJ)法により再構成した。
【0195】
[0192]特定のツリートポロジーの統計的有意性を、配列の1000回のブートストラップ再標本化により評価した。セグメントλ1、λ2、λ3、μ1、μ2、μ3、σ2及びσ3(アクアレオウイルス及びオルトレオウイルスのσ1及びσNSは、異なるゲノム構成を有した)間の配列差のBayesian系統発生解析を、BEAST、BEAUti及びTracer解析ソフトウエアパッケージを使用して行った。
【0196】
[0193]Dayhoffアミノ酸置換モデルを用いて10,000,000世代について予備解析を行って、各ORFに最も適した時計及び個体群統計学モデルを選択した。周辺尤度の解析は、緩和正規対数型分子時計と一定個体数モデルとが全データセットに選択されたことを示した。最終的なデータ解析は、1000状態毎にサンプリングして、5,000,000〜30,000,000世代のMCMC鎖長を含んでいた(図5〜12)。
【0197】
[0194]実施例5:リアルタイムPCR
[0195]数個のレオウイルスセグメントの高スループット配列決定から得たウイルス特異的配列に基づいて、定量的アッセイを確立した。ゲノム断片L1、L2及びM3(SYBRグリーン)並びにL1及びS4(MGBアッセイ)を標的とする6つの異なるリアルタイムアッセイを設計した(プライマーのリストに関しては、表2を参照)。実験的に感染させた魚の異なる器官からのサンプルは陽性であった一方、非感染対照魚からのサンプルは陰性であった。更なるスクリーニングのために、QIAGEN OneStepキットを使用してセグメントL1に関するリアルタイムPCRを行った。6μlの鋳型RNAを変性させた(95℃/5分)。以下の濃度を用いて反応を行った:400nMプライマー、300nMプローブ及び1.25mM MgCl。Stratagene Mx3005PリアルタイムPCR機器(Stratagene)内で、以下のサイクルパラメータを用いて増幅を行った:50℃で30分(逆転写)、94℃で15分(RT不活性化及びPCRポリメラーゼ活性化)、94℃/15秒、54℃/30秒及び72℃/15秒の45サイクル。高いウイルス負荷を有する3匹の魚から貯えたRNAを使用して、標準曲線を作製した。標準曲線はMGBアッセイ及びEF1Aアッセイの両方に関して2つ作製し(Olsvik et al., BMC Mol Biol 6, 21 (2005))、フィールドサンプルに関する相対的なウイルスRNA負荷を、EF1Aに対する正規化を用いて計算した。
【0198】
[0196]表2:ゲノム断片L1、L2及びM3(SYBRグリーン)並びにL1及びS4を標的とするリアルタイムアッセイ用のプライマー。
【0199】
【表2】

【0200】
[0197]実施例6:インサイツハイブリダイゼーション
[0198]L2を標的とするLNAプローブを使用して、GeneDetect(オークランド、ニュージーランド)のプロトコルを幾分変更して、それに従い、インサイツハイブリダイゼーションを実行した。TE緩衝液中の40μg ml−1プロテイナーゼKを使用して切片を37℃で15分間透過処理した後、二つの5’及び3’二重DIG標識LNAプローブ(5’−CACCATCAGTGAACTTAGGAGCAAC−3’及び5’−CATACTCCAAGATCATCGCCAGCA−3’)(各々、配列番号28及び配列番号41)(各々250nM)の混合物を用いて50℃で18時間ハイブリダイズさせた。60℃でストリンジェンシー洗浄を行った。
【0201】
[0199]切片をマウスモノクローナル抗−DIG−HRPと共に4℃で一晩インキュベートし、Tyramide Signal Amplification System(パーキンエルマー、マサチューセッツ州、米国)を使用して製造業者のプロトコルに従って染色した。切片をMeyerのヘマトキシリン溶液により対比染色した。陰性対照に含まれるのは、実験からの非感染魚由来のサンプル、免疫細胞源としての非感染魚由来の前腎サンプル、膵臓疾病を有するサケ(HSMIに対する鑑別診断)、及び診断に取り寄せた材料からの無作為サンプルであった。
【0202】
[0200]実施例7:統計的解析
[0201]Windows用のStatViewバージョン5.0.1ソフトウエア(SAS Institute、ケーリー(Cary)、ノスカロライナ州、米国)を全ての統計的解析に使用した。検出可能なL1ウイルス遺伝子転写産物を有さないサンプルを、統計的解析から除外した。L1/EF1A比の計算後(因数108により調整)、全ての他のサンプルに対数変換を実行した。対数変換データを維持して集団差のグラフ表示を容易にしたが、分布はこの方法により正規化されなかった;従って、ノンパラメトリック解析法を用いた(健康魚とHSMI魚との比較のためのMann−WhitneyU検定;健康魚と、初期、中間及びピーク段階のHSMI魚との比較のためのKruskal−Wallis)。全ての試験に関して、p<0.05の場合、統計的有意性を想定した。
【0203】
[0202]実施例8:細胞培養液中のウイルスの増殖
[0203]コイ上皮性細胞株(epithelioma paplosum cyprini)(EPC)細胞及びファット・ヘッド・ミノー(fat head minnow)(FHM)細胞を、HSMIと診断された魚由来の組織ホモジネートで感染させた後、合胞体形成及び空胞化を観察し得る。しかしながら、細胞変性効果(CPE)は、2〜4継代後、殆ど見られない。
【0204】
[0204]実施例9:大西洋サケのチャレンジ
[0205]HSMIと診断された魚由来の材料を大西洋サケに注入することによる実験的チャレンジは、HSMIと一致した病理学的変化を示した。
【0205】
[0206]実施例10:電子顕微鏡検査
[0207]HSMIと診断された壊死心筋細胞内で、直径60〜80nmのウイルス様粒子が観察される。クロロホルム感度解析(Chloroform sensitivity analysis)は、PRVが、裸のウイルスのファミリーであるレオウイルス科に属することを示す。
【0206】
[0208]実施例11:実験的チャレンジからの心臓サンプルのスクリーニング
[0209]HSMIと診断された魚由来の組織ホモジネートで大西洋サケをチャレンジした後、心臓サンプルをRT−qPCRによりスクリーニングして、ウイルスを定量化した。チャレンジから10週後(wpc)、4〜5匹の魚が、ウイルスに関して陽性であった(表3)。結果は、病理学的所見と一致する。
【0207】
[0210]表3:チャレンジ後の心臓サンプル中のウイルスの定量化。Wpc=チャレンジ後の週。
【0208】
【表3】

【0209】
[0211]実施例12:ウサギの免疫化
[0212]μ1タンパク質をコードするM2ゲノムセグメント(配列番号5)の126の第一ヌクレオチドを引いたオープンリーディングフレーム(ORF)を、pET100プラスミドにクローン化し、His−tag融合タンパク質として大腸菌内で発現させ、精製した。42aaをμ1のN−末端から除去するプロセスにおいて、μ1タンパク質を哺乳類オルトレオウイルス内で転写後に切断してμ1cとした。タンパク質をウサギの免疫化に使用してポリクローナル、μ1C−特異的抗血清を得た。大腸菌His−tag融合タンパク質と、異なる陰性対照とのウェスタンブロットにて見出されるように、抗血清はμ1cタンパク質を認識する(図20)。抗血清は、HSMIを有する魚の心臓の免疫組織化学的検査で示されているように、PRVを認識する。
【0210】
[0213]σ3タンパク質(330アミノ酸長)(配列番号39)をコードするS1ゲノムセグメント(配列番号2)のヌクレオチド29〜1018からのオープンリーディングフレーム(ORF)をpET101プラスミドにクローン化し、大腸菌内でHis−tag融合タンパク質として発現させ、精製し、ウサギの免疫化に使用してポリクローナル、σ3−特異的抗血清を得た。抗血清は、大腸菌His−tag融合タンパク質のウェスタンブロットにて見出されるように、s3タンパク質と、異なる陰性対照とを認識する。抗血清は、HSMOを有する魚の心臓の免疫組織化学的検査にて示されているように、天然PRVを認識する。
【0211】
[0214]σ1タンパク質(420アミノ酸長)(配列番号35)をコードするS2ゲノムセグメント(配列番号2)のヌクレオチド22〜1281からのオープンリーディングフレーム(ORF)をpET101プラスミドにクローン化し、大腸菌内でHis−tag融合タンパク質として発現させ、精製し、ウサギの免疫化に使用してポリクローナル、σ2−特異的抗血清を得た。抗血清は、大腸菌His−tag融合タンパク質のウェスタンブロット(図21)及びHSMOを有する魚の心臓の免疫組織化学的検査にて見出されるように、σ1タンパク質を認識する。
【0212】
[0215]σ2タンパク質(配列番号38)(315アミノ酸長)をコードするS4ゲノムセグメント(配列番号3)のヌクレオチド39〜983からのオープンリーディングフレーム(ORF)をpET100プラスミドにクローン化し、大腸菌内で発現させた。タンパク質の精製が継続中である。
【0213】
[0216]ペプチドを合成して、S1(配列番号2)(ヌクレオチド108〜479、σ3のORFに対する+1フレーム)によりコードされる融合関連小膜貫通タンパク質(FAST)タンパク質(配列番号40)からの推定抗原領域のアミノ酸配列を形成し、ウサギの免疫化に使用してポリクローナルFAST−特異的抗血清を得た。現在、この抗血清は、HSMOを有する魚の心臓の免疫組織化学的検査により試験されている。抗血清は、PRV感染細胞を認識する。
【0214】
[0217]大腸菌内で発現させた組み換えタンパク質でウサギを免疫化(3回目の追加免疫)した。外部カプシドタンパク質σ−1(配列番号35)、σ−3(配列番号37)及びμ−1C(配列番号33)を発現させ、S1(配列番号40)のFASTタンパク質の合成ペプチドに加えて注入した。FASTタンパク質を標的とする特異的抗体は、FASTタンパク質が合胞体形成に関与するため、ウイルス培養の機会を増大させ得る。
【0215】
[0218]μ1、σ3及び推定σ2タンパク質に対して産生させた血清は全て、HSMIを有するサケ由来の心臓の免疫組織化学的検査にて陽性のシグナルを与える。μ1タンパク質に対する血清が最もよく働き、免疫組織化学的検査において良好なシグナル・ノイズ比を与える。
【0216】
[0219]表4:ORFタンパク質の注釈。コンピュータ解析に基づく。
【0217】
【表4】

【0218】
[0220]実施例13:ウイルスの特徴付け及び病原性試験
[0221]PRVウイルスセグメントをクローン化し、昆虫及び魚細胞ライン内で発現させて、潜在的な病原性因子を調べた。ウイルス特徴付け及び病原性試験。ウイルスの血液凝集性も試験し、地理的に離れた範囲からのサンプルをシークエンシングして、潜在的な相違と株の異形とを試験する。
【0219】
[0222]実施例14:野生魚及び受精卵のスクリーニング
[0223]National Gene Bankからの材料を、野生サケ集団中のウイルスの存在に関してスクリーニングし、ウイルスの可能な垂直伝播を調べる。
【0220】
[0224]実施例15:同腹ストックのスクリーニング
[0225]異なる条件下で保持される同腹ストックのスクリーニング用の材料は、とりわけ、一つ又はそれ以上の商業的な飼育会社から得ることができる。
【0221】
[0226]文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
PRV核酸を含有するPRV免疫原性組成物。
【請求項2】
PRV核酸が、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
PRV核酸が、配列番号1〜10のいずれかの最小24の連続核酸を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
PRV核酸が、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列と実質的に同一である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
PRV核酸が、配列番号1〜10に対して少なくとも約85%の同一性を有する、配列番号1〜10のいずれかの変異体である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記変異体が、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する、請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
PRVポリペプチドを含有するPRV免疫原性組成物。
【請求項8】
PRVポリペプチドが、配列番号1〜10のいずれかによりコードされるポリペプチドである、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
PRVポリペプチドが、配列番号1〜10のいずれかの最小24の連続核酸を含む核酸によりコードされるポリペプチドである、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
PRVポリペプチドが、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列と実質的に同一の核酸によりコードされるポリペプチドである、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
PRVポリペプチドが、配列番号1〜10に対して少なくとも約85%の同一性を有する、配列番号1〜10のいずれかの変異体である核酸によりコードされるポリペプチドである、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記変異体が、配列番号1〜10のいずれかの核酸配列に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
PRVポリペプチドが、配列番号29〜40のアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
PRVポリペプチドが、配列番号29〜40のいずれかの最小8の連続アミノ酸を含むポリペプチドである、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
PRVポリペプチドが、配列番号29〜40のいずれかのアミノ酸配列と実質的に同一である、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
PRVポリペプチドが、配列番号29〜40のいずれかの変異体であり、配列番号29〜40に対して少なくとも約85%の同一性を有する、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
前記変異体が、配列番号29〜40のいずれかのアミノ酸配列に対して少なくとも約90%、約95.5%、約96%、約96.5%、約97%、約97.5%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%又は約99.9%の同一性を有する、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
PRV又はPRVポリペプチドに結合し、PRV又はPRVポリペプチドの機能又は活性を阻害、中和又は低減する抗体。
【請求項19】
ポリクローナル抗体である、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
モノクローナル抗体である、請求項18に記載の抗体。
【請求項21】
硬骨魚類抗体である、請求項18に記載の抗体。
【請求項22】
サケ抗体である、請求項18に記載の抗体。
【請求項23】
IgM抗体である、請求項18に記載の抗体。
【請求項24】
キメラ抗体である、請求項18に記載の抗体。
【請求項25】
PRVポリペプチドを含む死菌ウイルスを含有する免疫原性組成物。
【請求項26】
PRVポリペプチドを含む弱毒ウイルスを含有する免疫原性組成物。
【請求項27】
少なくとも一種の賦形剤、添加剤又は補助剤を更に含有する、請求項1、7、25又は26のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
追加のウイルス由来の少なくとも一種のポリペプチド、又はその断片を更に含有する、請求項1、7、25又は26のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
融合ポリペプチドを含有する免疫原性組成物であって、融合ポリペプチドがPRVポリペプチド、その断片(fragement)または変異体、及び追加のウイルス由来の少なくとも一種のポリペプチド又はその断片を含む、免疫原性組成物。
【請求項30】
追加のウイルスが、睡眠病ウイルス(SDV);サケ膵臓病ウイルス(SPDV);感染性サケ貧血(ISAV);ウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV);伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV);伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV);コイの春ウイルス血症(SVC);ブチナマズウイルス(CCV);アエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida;魚類の細菌性腎臓病菌(Renibacterium Salmoninarum);モリテーラ・ビスコーシス(Moritella viscosis、エルシニア感染症;パスツレラ症;ビブリオ・アンギラルム(Vibro anguillarum);ビブリオ・ロゲイ(Vibrio logei);ビブリオ・オルダリイ(Vibrio ordalii);ビブリオ・サルモニシダ(Vibrio salmonicida);エドワージエラ・イクタルリ(Edwardsiella ictaluri);エドワージエラ・タルダ(Edwardsiella tarda);魚類のカラムナリス病菌(Cytophaga columnari);又はピスシリケッチア・サルモニス(Piscirickettsia salmonis)からなる群から選択される、請求項28又は29に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
請求項1、7、25、又は26のいずれか一項に記載のPRV免疫原性組成物を投与することを含む、動物における免疫応答の誘導方法。
【請求項32】
請求項1、7、25又は26のいずれか一項に記載のPRV免疫原性組成物を動物に投与することを含む、動物におけるPRV感染の予防又は軽減のための方法。
【請求項33】
請求項18に記載の抗体を動物に投与することを含む、動物におけるPRV感染の予防又は軽減のための方法。
【請求項34】
投与が経口投与、浸漬投与又は注入投与である、請求項31、32又は33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
動物におけるPRV感染状態の処置のためのワクチンの製造における、請求項1、7、25又は26のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。
【請求項36】
動物におけるPRV感染状態の予防又は軽減のためのワクチンの製造における、請求項1、7、25又は26のいずれか一項に記載の免疫原性組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2013−506672(P2013−506672A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532138(P2012−532138)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/051346
【国際公開番号】WO2011/041789
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(505019998)トラスティーズ・オブ・コロンビア・ユニバーシティ・イン・ザ・シティ・オブ・ニューヨーク (7)
【出願人】(512086024)ザ・ナショナル・ベテリナリー・インスティテュート (1)
【Fターム(参考)】