説明

魚類飼育水槽の浄化装置

【課題】 水槽内の水を効率よく光触媒に接触させ、水槽内小スペースで違和感なく設置できる光触媒を用いた魚類飼育水槽の浄化装置を提供する。
【解決手段】 水循環装置12の水の吐出口14が位置する水槽11の隅部の直下に浄化装置1を設置する。浄化装置1は、光触媒坦持板2と、これを水槽11の底部に支持する支持部材3とを備える。光触媒坦持板2は、ほぼ三角形状で、水槽11の隅部の直角の内側に沿う角隅部2aを備え、側辺2b,2cは、水槽11の直交する両側面に沿って下方に傾斜して延長する。光触媒坦持板2は、上面に酸化チタンの薄膜のような光触媒層を形成して成る。水循環装置12の吐出口14から出る水は、流下して光触媒坦持板2上に広がり、光触媒層に効率よく接触し、酸化還元反応が促進される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、鑑賞用又は食用の魚類等の飼育水槽における水の浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鑑賞用又は食用の魚類等の飼育水槽における水の浄化装置として、水中のアンモニアを分解する半導体の光触媒反応を利用したものが知られている(例えば特開平7−78号公報)。これは、酸化チタンのような光触媒を坦持した坦持体を水槽内の水に浸漬させたものであり、水槽内に照射される照明光あるいは自然光により光触媒が光活性化され、これに接触する水の酸化還元反応を促進し、これにより水を浄化し、また菌類、藻類の繁殖を抑制するというものである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記従来の浄化装置は、光触媒の坦持体の具体的形状、構造あるいは配置を問題にするものではない。
従って、本考案は、水槽内の水を効率よく光触媒に接触させることができ、また水槽内の環境を物理的に大きく変更することなく設置できる光触媒を用いた魚類飼育水槽の浄化装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案においては、上記課題を解決するため、水槽11に付設された水循環装置12の水の吐出口14が位置する水槽11の隅部の直下に位置して、水槽11内の底部に設置できるように浄化装置1を構成した。浄化装置1は、光触媒坦持板2と、これを水槽11の底部に支持する支持部材3とを具備する。光触媒坦持板2は、ほぼ三角形状で、水槽11の隅部の直角の内側に沿う角隅部2aを備え、この角隅部2aから水槽11の直交する両側面11a,11bに沿って下方に傾斜して延長し、水槽11の底部に至る両側辺2b,2cを有する。光触媒坦持板2は、上面に酸化チタンの薄膜のような光触媒層2fを形成して成る。水循環装置12の吐出口14から出る水は、流下して光触媒坦持板2上に広がり、光触媒層2fに効率よく接触し、酸化還元反応が促進される。
【0005】
【考案の実施の形態】
図面を参照して本考案の実施の形態を説明する。図1は本考案に係る浄化装置の使用状態を示す説明図、図2は本考案に係る浄化装置の一実施形態を示す斜視図、図3は本考案に係る浄化装置の他の実施形態を示す斜視図、図4は光触媒坦持板の一部の断面図、図5は本考案に係る浄化装置の使用状態の平面図である。
【0006】
図1において、鑑賞用魚類の飼育水槽11は、ガラス製の箱型のものであり、水循環装置12と照明装置13とを備えている。
【0007】
浄化装置1は、水槽11の一隅の底部に設置されている。浄化装置1の真上には、水循環装置12の水の吐出口14が位置している。浄化装置1は、光触媒坦持板2と、これを水槽の底部に支持する支持部材3とを具備する。
【0008】
図2、図3、図5に示すように、光触媒坦持板2は、ほぼ三角形状のガラス板で構成され、水槽の隅部の直角の内側形状に沿う角隅部2aを備える。この角隅部2aに収束する2辺2b,2cは、水槽11の直交する両内側面11a,11bに沿って下方に傾斜して延長し、水槽の底部に至る。2辺2b,2cは、角隅部2aで接合することなく切欠辺2dによって中断している。切欠辺2dにより角隅部2aが切り欠かれているので、水槽11の隅部が合成樹脂製の連結部材で連結されており、その連結部材が隅部へ膨出している構造である場合にも隅部に馴染みよく適合する。
【0009】
図示の実施形態において、光触媒坦持板2は、透明なガラス基板2eの上面に、酸化チタンの薄膜のような光触媒層2fを形成して成る。光触媒坦持板2の基板は、ガラス板以外にセラミック板、各種金属板等で構成できる。光触媒としては、TiO2,ZnO,SrTiO3,Fe23,WO3,NiO,SnO2,SiO2,Cu2O,Bi23,CeO及びこれらにPt,Rh,RuO,Nb,Cu,Sn,NiO等の金属及び金属酸化物を坦持した従来公知の全ての光触媒材料が適応できる。光触媒層2fの形成には、蒸着(抵抗加熱、電子ビーム、スパッタリング)、ゾルゲル法によるコート、ガラスバインダとの混合焼き付け、CVD法等同じく従来公知の各種の方法を採用できる。
【0010】
支持部材3は、光触媒坦持板2を傾斜して支持できるものであればよいから、例えば図2に示すように透明ガラス板を接着して構成し、あるいは図3に示すように屈曲成形した透明合成樹脂板、ステンレススチール板で構成する等任意の具体的構造を採用できる。何れも支持部材3の上にシリコン系接着剤等で光触媒坦持板2を接着して支持する。
【0011】
水循環装置12の吐出口14から出る水は、流下して浄化装置1の光触媒坦持板2の表面上に広がり、光触媒層2fに効率よく接触する。光触媒坦持板2が光源装置からの照射光あるいは自然光を効率よく採り入れることができるように光源に対向して設置されるので、酸化還元反応が促進される。光触媒坦持板2の表面上を流下した水は、乱流を生じることなく水槽底部を移動し、効率よく循環する。水槽11の隅部に置かれるから大きなスペースを要さず、透明体で構成されることも相俟って、違和感がなく、鑑賞に支障を来すこともない。光触媒反応に必要な光は、400nm以下の紫外線波長を多く含むものが望ましく、光源装置13の電灯からの照射により、あるいは自然光の照射により得られる。
【0012】
【考案の効果】
以上のように、本考案においては、水槽11に付設された水循環装置12の水の吐出口14が位置する水槽11の隅部の直下に位置して、水槽11内の底部に設置できるように浄化装置1を構成し、浄化装置1には、光触媒坦持板2と、これを水槽11の底部に支持する支持部材3とを具備させ、光触媒坦持板2は、ほぼ三角形状に構成し、水槽11の隅部の直角の内側に沿う角隅部2aを具備させると共に、この角隅部2aから水槽11の直交する両側面11a,11bに沿って下方に傾斜して延長し、水槽11の底部に至る両側辺2b,2cを具備させ、光触媒坦持板2には、上面に酸化チタンの薄膜のような光触媒層2fを形成したため、水循環装置12の吐出口14から出る水は、流下して光触媒坦持板2上に広がり、光触媒層2fに効率よく接触し、酸化還元反応が促進されるので、長期にわたり清浄な水質を維持でき、また大きな設置スペースを取らずに、存在に違和感もないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る浄化装置の使用状態を示す説明図である。
【図2】本考案に係る浄化装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本考案に係る浄化装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図4】光触媒坦持板の一部の断面図である。
【図5】本考案に係る浄化装置の使用状態の平面図である。
【符号の説明】
1 浄化装置
2 光触媒坦持板
2a 角隅部
2b 側辺
2c 側辺
2f 光触媒層
3 支持部材
11 水槽
11a 側面
11b 側面
12 水循環装置
14 吐出口

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 水槽に付設された水循環装置の水の吐出口が位置する水槽の隅部の直下に位置して水槽内の底部に設置される浄化装置であって、水槽の隅部の直角の内側形状に沿う角隅部を備え、この角隅部から水槽の直交する両側面に沿って下方に傾斜し延長し、水槽の底部に至る両側辺を有するほぼ三角形状の光触媒坦持板と、この光触媒坦持板を水槽の底部に支持する支持部材とを具備し、前記水循環装置のからの吐出水が、光触媒坦持板の光触媒層上に流下して広がり、光触媒体に接触するようにしたことを特徴とする魚類飼育水槽の浄化装置。
【請求項2】 前記光触媒坦持板が、ほぼ三角形状のガラス板の表面に光触媒の薄膜層を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の魚類飼育水槽の浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3031029号
【登録日】平成8年(1996)8月28日
【発行日】平成8年(1996)11月12日
【考案の名称】魚類飼育水槽の浄化装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−4918
【出願日】平成8年(1996)5月9日
【出願人】(391039140)株式会社シバソン (1)