説明

鮮度維持システム及び鮮度維持装置

【課題】食品・食材の酸化を長期に防止し、いかなる輸送手段であっても使用可能で、利用者が安全に使用できる。
【解決手段】振動エネルギー発生装置2は、色料層21、触媒層22及び二重コイル層23を順に並べて二重コイル層23により生じる磁力を触媒層22及び色料層21に順に透過させることにより振動エネルギーEを発する。アルミニウム板3aと銅板3bとを積層してなる反射プレート3は、銅板3bで振動エネルギーEを引き寄せながらアルミニウム板3aで振動エネルギーEを反射する。霧吹き4で冷蔵又は冷凍する対象物F周辺の空間に噴霧状の水Wを漂わせるために水処理をする。処理した噴霧状の水Wを漂わせる過程で反射プレート3で反射された振動エネルギーEを噴霧状の水Wに通過させつつ対象物Fに照射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品・食材の鮮度を長期にわたって維持できる鮮度維持システム及び鮮度維持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、食品・食材は、冷蔵又は冷凍により低温状態にすると、物質中における微生物を起因とした腐敗や発酵、酵素による分解、生理活性作用及び物質中の酸化の進行が遅くなって鮮度が維持される。これら食品・食材の鮮度は、早い食材では数時間単位で劣化が生じるため、長期間に亘って保存する場合、従来より、冷凍することで保存期間の延長を図ってきた。
【0003】
しかし、一般的に、食品・食材を冷凍すると、0℃〜−10℃の温度領域において、食品・食材内の細胞間の水分の凍結が進行して、氷核成長という現象が起こり、氷核が周囲の水分を取り込みながら凍って大きな粒になるので、当該氷核が周りの細胞を押圧するようになり、その押圧力で周囲の細胞が破壊されてしまう。すると、破壊された細胞内から食品・食材の旨味成分である所謂ドリップが流出し、解凍後の食品・食材の味が低下してしまう。
【0004】
これに対応するために、過冷却現象を利用して食品・食材を低温保存する方法が知られている。この現象は、電場や磁場による微振動を食品や食材に与えると、通常の氷点における水分子の結晶化が阻害されることにより引き起こされ、通常の氷点よりも低い温度で食品・食材を凍らさずに保存することを可能とするものであり、例えば、特許文献1に開示されているシステムでは、プラズマ発生装置で発生させた振動エネルギーと、特許文献2で提唱されている積層体から発せられるQ−bitエネルギーと呼ばれる振動エネルギーとを用い、これら2つの振動エネルギーを銅板とアルミニウム板とからなる反射プレートで反射させて食品・食材に照射して微振動させるようにしていて、これにより、食品・食材の鮮度を長期に維持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−186171号公報(段落0007,0011欄、図2,4)
【特許文献2】国際公開2003/086616(第2頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のシステムでは、プラズマ発生装置を使用する際に発生するオゾンの酸化作用により食品・食材の酸化を進行させてしまうおそれがある。
【0007】
また、近年の食の多様化により、産地の食材を新鮮な状態で都市部で食したいという要望があるが、上記プラズマ発生装置の電源電圧は2000〜7000Vと非常に高いため、安全上、飛行機等の輸送手段では使用できない。しかも、高電圧による静電気がプラズマ発生装置を設置した場所に多量に蓄積されるので、人体に影響を及ぼすおそれがあるばかりか、設置状況によっては高電圧に起因するスパークの発生から火災が発生してしまうおそれもある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、食品・食材の酸化を長期に防止することができ、且つ、いかなる輸送手段においても使用可能で、利用者が安全に使用できる鮮度維持システム及び鮮度維持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、特許文献2で提唱されているQ−bitエネルギーと呼ばれる振動エネルギーを噴霧状の水又は蒸留水に向けて発するようにしたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、第1の発明では、色料層、一種類の元素又は無機化合物を含む薄膜を元素又は無機化合物の種類を変えながら複数枚積層した触媒層及び巻き方向が逆の2つのコイルを同軸上に配置した二重コイル層が同軸上に並べられ、当該二重コイル層により生じる磁力を上記触媒層及び上記色料層に順に透過させることにより振動エネルギーが発せられるように構成された振動エネルギー発生手段と、銅板とアルミニウム板とを積層してなり、上記振動エネルギー発生手段から発せられる振動エネルギーを上記銅板で引き寄せながら上記アルミニウム板で反射させる反射プレートと、冷蔵又は冷凍する食品・食材周辺の空間に噴霧状の水又は蒸発水を漂わせるために水処理をし、処理した噴霧状の水又は蒸発水を漂わせる過程で上記反射プレートで反射された振動エネルギーを上記噴霧状の水又は蒸発水に通過させつつ食品・食材に照射させる水処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記噴霧状の水又は蒸発水は、水酸化ドロマイト及びアルミナの混合水溶液の上澄み液からなることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、冷蔵庫又は冷凍庫内に配置されるケース本体に引き出し部材が出し入れ可能に設けられた少なくともケース表面がアルミニウム材からなる箱形ケースと、上記ケース本体内部に設けられ、色料層、一種類の元素又は無機化合物を含む薄膜を元素又は無機化合物の種類を変えながら複数枚積層した触媒層及び巻き方向が逆の2つのコイルを同軸上に配置した二重コイル層とが順に並べられ、当該二重コイル層により生じる磁力を上記触媒層及び上記色料層に順に透過させることにより振動エネルギーが発せられるように構成された振動エネルギー発生手段と、上記ケース本体内部に設けられ、上記エネルギー発生手段から発せられた振動エネルギーを引き寄せる銅板と、上記ケース本体内部に臨む開口を有し、冷蔵又は冷凍する食品・食材周辺の空間に噴霧状の水又は蒸発水を漂わせるために水処理をし、漂わせた噴霧状の水又は蒸発水を食品・食材が収納された上記箱形ケース内部に上記開口から漂わせる過程で、上記銅板で引き寄せつつ上記箱形ケース内部で反射された振動エネルギーを上記噴霧状の水又は蒸発水に通過させて食品・食材に照射させる水処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第3の発明において、上記噴霧状の水又は蒸発水は、水酸化ドロマイト及びアルミナの混合水溶液の上澄み液からなることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第3又は第4の発明において、上記ケース本体の側壁には、内外を連通する連通孔と、上記ケース本体内面から離間した位置で上記連通孔を覆う庇とが設けられていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明では、第3から第5のいずれか1つの発明において、上記箱形ケース内面には、遮熱塗料が塗布されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明では、上記Q−bitエネルギーには、水のイオン化を促進する作用があるので、上記Q−bitエネルギーの微振動により食品・食材の過冷却現象を引き起こすことで食品・食材における微生物を起因とした腐敗や発酵、酵素による分解及び生理活性作用の進行を抑制するとともに、Q−bitエネルギーが噴霧状の水又は蒸発水を通過することで水のイオン化が促進されて食品・食材が酸化し難くなり、長期に鮮度を維持できるようになる。また、特許文献1の如きプラズマ発生装置を使用しないので、システム全体を低電圧にして、いかなる輸送手段においても適用することができるとともに、利用者が安全に使用することができる。
【0017】
第2の発明では、強い還元力を有する水を使用するので、さらに食品・食材の酸化による劣化を防止できる。
【0018】
第3の発明では、コンパクトな構造で既存の冷蔵庫や冷凍庫に簡単に配置できるようになるので、既存の冷蔵庫や冷凍庫を改造する必要がなく低コストである。
【0019】
第4の発明では、強い還元力を有する水を使用するので、さらに鮮度維持装置内の食品・食材の酸化による劣化を防止できる。
【0020】
第5の発明では、冷蔵庫又は冷凍庫内の冷気を連通孔から箱形ケース内にスムーズに導くことができ、しかも、拡散反射する振動エネルギーが連通孔から箱形ケース外に出てしまうのを庇で防ぎ、効率良く箱形ケース内で振動エネルギーを拡散させることができる。
【0021】
第6の発明では、遮熱塗料によって箱形ケースの内側と外側との間で熱の移動が遮られるようになるので、箱形ケース内に食品・食材を入れた直後のように、箱形ケースの内側と外側とで温度差が生じても、箱形ケースの内側と外側との間で熱が移動することにより発生する結露を抑制し、食品・食材の鮮度を長期にわたって維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1に係る鮮度維持システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る鮮度維持装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る鮮度維持装置の引き出し部材を引き出した状態を示す斜視図である。
【図4】(a)は、図3におけるA−A線断面図であり、(b)は図3におけるB−B線断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る鮮度維持システムで実験した結果を示すデータである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る鮮度維持システム1を示す。該鮮度維持システム1は、冷蔵庫や冷凍庫に取り付けて当該冷蔵庫や冷凍庫内に収納するケーキや生魚等といった食品・食材の鮮度を長期に維持させるようにするものであり、特許文献2で提唱されているQ−bitエネルギーという振動エネルギーEが発せられる振動エネルギー発振子20を有する振動エネルギー発生装置(振動エネルギー発生手段)2を備えている。
【0024】
上記振動エネルギー発振子20は、特開2008−147503号公報にその概要が開示されていて、着色テープを積層させた色料層21と、一種類の元素又は無機化合物を含む螺旋状の薄層が表面に設けられた薄膜を元素又は無機化合物の種類を変えながら複数枚積層した触媒層22と、巻き方向が逆の2つのコイルを同軸上に配置した二重コイル層23とが順に並べられている。
【0025】
上記色料層21は、積層可能で着色されたものなら上記着色テープ以外のものでもよく、異なる色を積層することが好ましい。尚、使用する色には白や黒も含まれていて、各層の厚みは特に限定されない。
【0026】
上記触媒層22は、各元素(ナトリウム、鉄、アルミニウム、硼素、マグネシウム、カルシウム、トリウム、ウラン、チタン、ジルコニウム、鉛、イットリウム、タンタル、亜鉛、銅、炭素、珪素、コバルト、トルマリン、ゲルマニウム、セレン、銀、セリウムなど)を含むインクや樹脂組成物を、磁性や導電性のないプラスチック(又は、紙、セラミック)の薄膜上に螺旋状に印刷又は塗布、或いは樹脂成形して薄層を形成し、含有物の異なる薄層を螺旋の方向が一致するように複数貼り合わせることにより形成されている。
【0027】
上記二重コイル層23は、通常の導線を立体的に巻いたコイルや、磁性体を含むインクや樹脂組成物などを用いて印刷や塗布などの手段で薄い基材上に形成された平面コイル等であってもよく、特に形態や材料には限定されない。上記二重コイル層23に通電すると、二重コイル層23の2つのコイルが互いに逆方向に巻いてあるので、通電により発生する磁場は見かけ上は全て又は部分的に相殺されるようになっている。
【0028】
上記振動エネルギー発振子20には、DC12Vまでの電圧をかけることが可能なコントロールボックス24が接続されていて、これにより上記振動エネルギー発振子20の二重コイル層23に2mA〜300mA程度の電流が流れるようになっている。
【0029】
尚、上記二重コイル層23のコイルの材質は、通常、銅又は銅合金を用いるが、他の導電性の大きい材質であってもよい。
【0030】
また、二重コイル層23の各コイルの巻数は奇数とし、素数であることが好ましい。また、二重コイル層23の各コイルの巻数は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
そして、上記二重コイル層23に電圧をかけて磁力を発生させ、上記触媒層22及び上記色料層21に順に磁力を透過させることにより、振動エネルギーEが発せられるようになっている。
【0032】
上記鮮度維持システム1は、アルミニウム板3aと銅板3bとを積層してなる反射プレート3を備えていて、該反射プレート3は、冷蔵庫や冷凍庫の壁面に貼り付けられている。上記振動エネルギーEは、銅に引き寄せられる性質を有していて、これにより、上記銅板3bが上記振動エネルギー発振子20から発せられる振動エネルギーEを引き寄せ、上記アルミニウム板3aが上記振動エネルギーEを反射するようになっている。
【0033】
冷蔵又は冷凍する食品・食材といった対象物F周辺の空間には、噴霧状の水Wを漂わせるために霧吹き(水処理手段)4で水処理をするようになっていて、上記霧吹き4で処理した噴霧状の水Wを漂わせる過程で上記反射プレート3で反射された振動エネルギーEを上記噴霧状の水Wに通過させつつ対象物Fに照射させて過冷却現象を引き起こすようにしている。
【0034】
上記水Wは、水酸化ドロマイト及びアルミナの混合水溶液の上澄み液からなり、例えば、特開2003−300701号公報で開示されている方法で生成されるものである。
【0035】
尚、上記水Wは、上記水酸化ドロマイト及びアルミナの混合水溶液の上澄み液を希釈したものを使用するようにしてもよい。
【0036】
次に、本発明の実施形態1に係る鮮度維持システム1を用いて実験した結果について説明する。
【0037】
図5は、上記鮮度維持システム1を冷蔵庫内に取り付け、当該冷蔵庫内の温度を3℃として釜揚げしたしらすを保存した実験結果を示すデータである。
【0038】
サンプルAは、噴霧状の水Wを毎日漂わせて保存した結果を、サンプルBは、噴霧状の水Wを初日のみ漂わせて保存した結果を、サンプルCは、鮮度維持システム1を用いない通常の冷蔵庫で保存した結果を示す。
【0039】
サンプルCの結果から分かるように、通常、釜揚げしたしらすは釜揚げ後14日目には酸化作用により、臭いが発生したり、色に変化が出始める。
【0040】
しかし、サンプルA、Bの結果から分かるように、上記鮮度維持システム1を用いて保存したしらすは、釜揚げ後14日目においても酸化作用による鮮度の劣化が生じず、これにより、本発明者らは振動エネルギー発生装置2から発せられる振動エネルギーEを噴霧状の水Wに発することで水Wのイオン化傾向が高くなり、しらすの酸化を防止できることを確認した。
【0041】
以上より、本発明の実施形態1によれば、上記振動エネルギーEには、水Wのイオン化を促進する作用があるので、上記振動エネルギーEの微振動により対象物Fの過冷却現象を引き起こすことで食品・食材における微生物を起因とした腐敗や発酵、酵素による分解、生理活性作用の進行を抑制するとともに、振動エネルギーEが噴霧状の水Wを通過することで水Wのイオン化が促進されて対象物Fが酸化し難くなり、長期に鮮度を維持できるようになる。また、特許文献1の如きプラズマ発生装置を使用しないので、システム全体を低電圧にして、いかなる輸送手段においても適用することができるとともに、利用者が安全に使用することができる。
【0042】
また、水酸化ドロマイト及びアルミナの混合水溶液の上澄み液からなる水Wは、強い還元力を有するので、さらに対象物Fの酸化による劣化を防止することができる。
《発明の実施形態2》
図2及び図3は、本発明の実施形態2に係る鮮度維持装置10を示す。該鮮度維持装置10は、実施形態1の鮮度維持システム1を応用したものであり、適宜図1を参照しつつ説明する。
【0043】
上記鮮度維持装置10は、冷蔵庫又は冷凍庫に配置されるアルミニウム製箱形ケース5を備えていて、該箱形ケース5には、側壁に矩形状開口部51aを有するケース本体51と、上記開口部51aから上記ケース本体51に出し入れ可能な引き出し部材52とが設けられている。上記箱形ケース5は、奥行き400mm×幅400mm×高さ200mmのコンパクトな形状をしていて、その内面には、遮熱塗料(例えば、日進産業社製「ガイナ」)が塗布されている。
【0044】
上記ケース本体51の反開口部51a側の側壁内面には、上記振動エネルギー発振子20が取り付けられていて、該振動エネルギー発振子20に繋がるコントロールボックス24は、上記ケース本体51の外側に位置するようなレイアウトとなっている。
【0045】
上記ケース本体51の側壁には、内外を連通する横長の連通孔51bが複数形成されていて、上記ケース本体51の側壁内方には、図4(a)に示すように、上記ケース本体51の側壁内面から離間した位置で上記連通孔51bを覆う庇51cが設けられている。
【0046】
上記引き出し部材52は、矩形状の底面52aと、該底面52aの4つの端縁のうち3つの端縁から上方に延びる側壁52bと、上記底面52aの残りの1つの端縁から上記側壁52bよりも上方に延びる鏡板52cとを備えていて、上記底面52a、側壁52b及び鏡板52cで対象物Fを収納可能な断面凹状の収納部52dを形成し、上記ケース本体51に入れた状態で、上記鏡板52cが上記開口部51aを塞ぐようになっている。
【0047】
上記鏡板52cの収納部52d側及び上記底面52aの下側には、複数の銅板6が貼り付けられている。該銅板6は、上記振動エネルギー発生装置2から発せられる振動エネルギーEを引き寄せるようになっていて、特に、鏡板52cに貼り付けられた銅板6は、上記振動エネルギー発生装置2に対向する位置に設けられ、振動エネルギーEを引き寄せ易くなっている。
【0048】
上記鏡板52cに貼り付けられた銅板6の収納部52d側には、マイナスイオンが発せられるイオンプレート7が貼り付けられている。該イオンプレート7は、強アルカリ性の水酸化ドロマイトや水酸化カルシウムを無害な水溶塗料(エポキシエステル樹脂など)に混合し、当該混合物をアルミニウム板に塗布することにより形成したものであり、上記収納部52dに収納する対象物Fの制菌効果が高められるようになっている。尚、上記イオンプレート7は、例えば、特開2003−300701号公報で開示されている方法で形成されるものである。
【0049】
上記側壁52bの収納部52d側には、ケース本体51内部に臨む開口53aを有する箱形水受け部(水処理手段)53が突設されていて、該箱形水受け部53内には、上記水Wを染み込ませたスポンジSpが収容されるようになっている。そして、上記開口53aから対象物Fを収納する箱形ケース5内部に蒸発水Wを漂わせ、漂わせた蒸発水Wを対象物Fが収納された箱形ケース5内部に上記開口53aから漂わせる過程で、上記銅板6で引き寄せつつ上記箱形ケース5内部で反射された振動エネルギーEを上記蒸発水Wに通過させて対象物Fに照射させるようになっている。
【0050】
以上より、本発明の実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、上記鮮度維持装置10がコンパクトな構造であるので、既存の冷蔵庫や冷凍庫に簡単に配置できるようになり、既存の冷蔵庫や冷凍庫を改造する必要がなく低コストである。
【0051】
また、冷蔵庫又は冷凍庫内の冷気を連通孔51bから箱形ケース5内にスムーズに導くことができ、しかも、拡散反射する振動エネルギーEが連通孔51bから箱形ケース5外に出てしまうのを庇51cで防ぎ、効率良く箱形ケース内で振動エネルギーEを拡散させることができる。
【0052】
さらには、遮熱塗料によって箱形ケース5の内側と外側との間で熱の移動が遮られるようになるので、箱形ケース5内に食品・食材を入れた直後のように、箱形ケース5の内側と外側とで温度差が生じても、箱形ケース5の内側と外側との間で熱が移動することにより発生する結露を抑制し、食品・食材の鮮度を長期にわたって維持できる。
【0053】
尚、本発明の実施形態2では、箱形スポンジ受け部53から蒸発水Wを箱形ケース5内部に漂わせるようにしているが、実施形態1と同様に、霧吹き4で箱形ケース5内部に噴霧状の水Wを漂わせるようにしてもよい。
【0054】
また、本発明の実施形態2では、箱形ケース5をアルミニウム材で形成しているが、少なくともケース表面がアルミニウム材であればよく、例えば、ステンレス材からなるケース表面にアルミニウム材を積層するようにしてもよい。
【0055】
また、本発明の実施形態2では、箱形水受け部53に水Wを染み込ませたスポンジSpを収容したが、水Wを染み込ませることが可能な吸水蒸散素材を収容するようにすればよい。
【0056】
また、本発明の実施形態2では、箱形ケース5内面に遮熱塗料を塗布しているが、塗布をしない構成であってもよい。
【0057】
また、本発明の実施形態2で使用する遮熱塗料にセラミックが含まれるものを使用すれば箱形ケース5内面の帯電防止性を高めることができ、塗膜表面上の静電気の発生が抑えられ、箱形ケース5内面に汚れが付着し難くなる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、食品・食材の鮮度を長期にわたって維持できる鮮度維持システム及び鮮度維持装置に適している。
【符号の説明】
【0059】
1 鮮度維持システム
2 振動エネルギー発生装置(振動エネルギー発生手段)
3 反射プレート
3a アルミニウム板
3b 銅板
4 霧吹き(水処理手段)
5 箱形ケース
6 銅板
10 鮮度維持装置
21 色料層
22 触媒層
23 コイル
51 ケース本体
51b 連通孔
51c 庇
52 引き出し部材
53 箱形水受け部(水処理手段)
53a 開口
W 水
E 振動エネルギー
F 対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色料層、一種類の元素又は無機化合物を含む薄膜を元素又は無機化合物の種類を変えながら複数枚積層した触媒層及び巻き方向が逆の2つのコイルを同軸上に配置した二重コイル層が同軸上に並べられ、当該二重コイル層により生じる磁力を上記触媒層及び上記色料層に順に透過させることにより振動エネルギーが発せられるように構成された振動エネルギー発生手段と、
銅板とアルミニウム板とを積層してなり、上記振動エネルギー発生手段から発せられる振動エネルギーを上記銅板で引き寄せながら上記アルミニウム板で反射させる反射プレートと、
冷蔵又は冷凍する食品・食材周辺の空間に噴霧状の水又は蒸発水を漂わせるために水処理をし、処理した噴霧状の水又は蒸発水を漂わせる過程で上記反射プレートで反射された振動エネルギーを上記噴霧状の水又は蒸発水に通過させつつ食品・食材に照射させる水処理手段とを備えたことを特徴とする鮮度維持システム。
【請求項2】
請求項1に記載の鮮度維持システムであって、
上記噴霧状の水又は蒸発水は、水酸化ドロマイト及びアルミナの混合水溶液の上澄み液からなることを特徴とする鮮度維持システム。
【請求項3】
冷蔵庫又は冷凍庫内に配置されるケース本体に引き出し部材が出し入れ可能に設けられた少なくともケース表面がアルミニウム材からなる箱形ケースと、
上記ケース本体内部に設けられ、色料層、一種類の元素又は無機化合物を含む薄膜を元素又は無機化合物の種類を変えながら複数枚積層した触媒層及び巻き方向が逆の2つのコイルを同軸上に配置した二重コイル層とが順に並べられ、当該二重コイル層により生じる磁力を上記触媒層及び上記色料層に順に透過させることにより振動エネルギーが発せられるように構成された振動エネルギー発生手段と、
上記ケース本体内部に設けられ、上記エネルギー発生手段から発せられた振動エネルギーを引き寄せる銅板と、
上記ケース本体内部に臨む開口を有し、冷蔵又は冷凍する食品・食材周辺の空間に噴霧状の水又は蒸発水を漂わせるために水処理をし、漂わせた噴霧状の水又は蒸発水を食品・食材が収納された上記箱形ケース内部に上記開口から漂わせる過程で、上記銅板で引き寄せつつ上記箱形ケース内部で反射された振動エネルギーを上記噴霧状の水又は蒸発水に通過させて食品・食材に照射させる水処理手段とを備えたことを特徴とする鮮度維持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の鮮度維持装置であって、
上記噴霧状の水又は蒸発水は、水酸化ドロマイト及びアルミナの混合水溶液の上澄み液からなることを特徴とする鮮度維持システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の鮮度維持装置であって、
上記ケース本体の側壁には、内外を連通する連通孔と、上記ケース本体内面から離間した位置で上記連通孔を覆う庇とが設けられていることを特徴とする鮮度維持装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1つに記載の鮮度維持装置であって、
上記箱形ケース内面には、遮熱塗料が塗布されていることを特徴とする鮮度維持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225538(P2012−225538A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91280(P2011−91280)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(511096145)
【出願人】(511096178)
【Fターム(参考)】