説明

鰐エキス及びその製造方法、並びに鰐エキスを含む食品

【課題】鰐の肉及び/又は骨由来の鰐エキス及びその製造方法、並びに鰐エキスを含む食品を提供する。
【解決手段】鰐の肉及び/又は骨から得られるコラーゲンを含む鰐エキス、また、鰐の骨を超微細に粉砕した骨粉末をさらに含む鰐エキス、さらに、鰐エキスを含む食品を提供する。また、鰐の肉及び/又は骨に対して蒸し処理を行う蒸し工程と、該蒸し工程後の鰐の肉及び/又は骨に水を加えて加熱加圧処理する加熱加圧工程と、該加熱加圧工程後の液体に対し濾過処理を行い、抽出液を得る濾過工程と、を備える鰐エキスの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鰐エキス及びその製造方法、並びに鰐エキスを含む食品に関する。
【背景技術】
【0002】
鰐は、肉食性水棲爬虫類の俗称であり、大きくアリゲーター科、クロコダイル科、ガビアル科の3科に分けられる。現生種は熱帯から亜熱帯にかけて23種が分布し、河川や湖沼等の淡水域及び一部の海域に棲息する。
【0003】
鰐の肉は鶏肉に似た淡白な味であり、脂肪分が少なく有用な蛋白質を豊富に含むことで知られている。日本国内において消費量は少ないが、東南アジア、例えばタイにおいては鰐の肉は食用肉として流通しており、一般的に食されている。鰐は強力な免疫機構を持つことが知られ、その血液中には抗生物質が循環しているという報告(Comp Biochem Physiol B Biochem Mol Biol. 2005 Jul;141(3):281-8.)もなされており、その肉等は無菌状態に近いとされている。鰐の肉は焼く、揚げる、煮る等、様々な調理方法によって調理されるが、刺身として食してもよい。
【0004】
近年、鰐の肉及び/又は骨の栄養成分中に含まれる豊富なコラーゲンに特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンが医薬品やバイオ素材の原料として注目されており、鰐の肉及び/又は骨が有効活用されることが期待されている。従って、コラーゲンを含む有用成分を失わずに鰐の肉及び/又は骨を有効活用する方法の確立が早急に求められている。コラーゲンを製造する方法として、例えば特許文献1は、サメ皮を利用したコラーゲン製造方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−92997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、硫化ナトリウムまたは水酸化ナトリウム、塩酸または酢酸でサメ皮を処理する工程を有するコラーゲン製造方法であり、製造されたコラーゲンを食品に使用することは好ましくない。
【0007】
鰐は頸部から背部にかけて硬い頸鱗板、背鱗板で覆われており、解体し加工することは容易ではなく、また鰐の肉及び/又は骨からコラーゲンを含む有用成分を得る方法は確立されていない。本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、本発明の鰐の肉及び/又は骨を使用し、コラーゲンを含む有用成分を含有する鰐エキス及びその製造方法、並びに鰐エキスを含む食品について想到し、本発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の鰐エキスは、鰐の肉及び/又は骨から得られるコラーゲンを含む。
(2)(1)に記載の鰐エキスは、鰐の骨を超微細に粉砕した骨粉末をさらに含む。
(3)本発明の食品は、(1)又は(2)に記載の鰐エキスを含む。
(4)本発明の鰐エキスの製造方法は、
鰐の肉及び/又は骨に対して蒸し処理を行う蒸し工程と、
該蒸し工程後の鰐の肉及び/又は骨に水を加えて加熱加圧処理する加熱加圧工程と、
該加熱加圧工程後の液体に対し濾過処理を行い、抽出液を得る濾過工程と、
を備える。
(5)(4)に記載の鰐エキスの製造方法は、
前記蒸し工程後の鰐の肉及び/又は骨に対して、さらに微細孔を穿設する穿設工程を備える。
(6)(4)又は(5)に記載の鰐エキスの製造方法は、
前記加熱加圧工程後の鰐の骨を粉砕機で超微細に粉砕した骨粉末に対して、さらに加熱加工処理を施す再加熱加圧処理工程を備える。
(7)(4)から(6)のいずれかに記載の鰐エキスの製造方法は、
前記鰐の肉及び/又は骨として鰐の尾部を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鰐エキスは、鰐の肉及び/又は骨から得られるコラーゲンを豊富に含むため、医薬品、化粧品、食品等の多方面に利用することが可能である。また、鰐の骨を超微細に粉砕した骨粉末をさらに含むため、鰐の骨に含まれる良質な蛋白質及びカルシウムを効率的に摂取可能にすることができる。
【0010】
本発明の鰐エキスの製造方法は、鰐の肉及び/又は骨からコラーゲンを含む有用成分を含有する鰐エキスを得るために、蒸し工程、加熱加圧工程、濾過工程を備えることから高収率で鰐エキスを回収することが可能である。また、蒸し工程後の鰐の肉及び/又は骨に対して、さらに微細孔を穿設する穿設工程を備えることで、鰐の肉及び/又は骨の内部から有用成分を効率よく回収することができる。さらに、加熱加圧工程後の鰐の骨を粉砕機で超微細に粉砕した骨粉末に対して、さらに加熱加工処理を施す再加熱加圧処理工程を備えることで、鰐の骨に含まれる良質な蛋白質及びカルシウムを効率的に摂取可能にすることができる。
【0011】
また、本発明の鰐エキスの製造方法は、コラーゲンの含有割合が高い鰐の尾部を使用することから、高収率で鰐エキスを回収することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の鰐エキスの製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態により、本発明を説明するが、以下の実施例は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施例を通じて説明される特徴が本発明を限定するものでもない。
【0014】
本発明の鰐は正鰐亜目に属するものであり、大きくアリゲーター科、クロコダイル科、ガビアル科の3科に分けられる。アリゲーター科(Alligatoridae)の例として、アメリカアリゲーター(A. mississippiensis)、ヨウスコウアリゲーター(A. sinensis)、クロコダイル科(Crocodylidae)の例として、メガネカイマン(C. crocodilus)、パラグアイカイマン(C. yacare)、ガビアル科(Gavialidae)の例として、インドガビアル(G. gangeticus)が挙げられ、特に限定されないが、入手し易さという観点からイリエワニ(C. porosus)及びシャムワニ(C. siamensis)が好ましい。本発明の鰐の肉及び/又は骨とは、鰐の腹部、背部、肢部、尾部等のどの部位を用いても構わないが、コラーゲン等の有用成分が豊富に含まれる尾部を用いることが好ましい。さらに、部位によっては強固な鱗板に覆われているため、鱗板を含む表層部をあらかじめ除去してもよい。なお、本発明において鰐の尾部とは、鰐の尾部の先端から約50cm程度の箇所を切り離した、鰐の肉と骨が一体となっているものをいう。また、以下の実施例には示されないが、鰐の肉と骨が生の状態のものの他、冷凍したものや乾燥後粉末化したもの、また鰐の肉と骨を分離し、肉又は骨のみを使用する実施態様、鰐の肉又は骨を粉砕し、粉末状にしたものを使用する実施態様等も本発明の技術的範囲に属する。
【0015】
あらかじめ鰐の肉及び/又は骨に対して、微細孔を穿設する穿設工程を施すことで鰐の肉及び/又は骨の内部から有用成分を回収することができる。微細孔によって鰐の肉及び/又は骨の表面積を大きくすることができ、高収率で鰐エキスを回収することが可能となる。微細孔の穿設方法は特に限定されるものではなく、鰐の肉及び/又は骨の表面に、例えば多数の針状体を突出させたローラーを圧着させて微細孔を穿設することにより行うことができる。針状体は1cm〜5cm程度の長さで、鰐の肉及び/又は骨に微細孔を穿設することができる相当程度の強度を有していることが好ましい。また、例えばプレス機により多数の針状体を鰐の肉及び/又は骨にプレスすることにより微細孔を穿設する等、微細孔を穿設することができる公知の手段を用いても構わない。
【0016】
本発明のコラーゲンとは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成する蛋白質のひとつで、多細胞動物の細胞外基質の主成分であり、加水分解等の方法にてコラーゲンを低分子化して得られるコラーゲンペプチドを含む。
【0017】
鰐の肉及び/又は骨に対して蒸し処理を行う蒸し工程とは、鰐の尾部に蒸気を接触させ熱する工程であり、公知の方法で行ってよい。例えば、蒸し器を使用し、約100℃で、数分間蒸気で蒸される方法により行われる。尾部の形状や大きさによりその加熱時間や条件は適宜選択される。この工程により鰐の肉表層部を柔らかくし、加熱加圧工程に供される鰐の肉及び/又は骨から効率よくコラーゲンを含む有用成分を得ることができる。また、高温蒸気により熱することで鰐の尾部を滅菌処理することもできる。
【0018】
続いて、該蒸し工程後の鰐の肉及び/又は骨に水を加えて、加熱加圧処理を施す。加熱加圧処理の方法は特に限定されないが、例えば圧力鍋を用いて短時間の加熱加圧処理を施すことが好ましい。加熱温度は、80℃〜150℃が好ましい。この工程により鰐の肉及び/又は骨から水中にコラーゲンを含む有用成分を溶出させることができる。同時に、コラーゲンに含まれる臭い成分を消失させることが可能となる。この脱臭の観点を考慮すると、加熱は、80℃〜150℃の温度で、10分間〜20分間加熱することが好ましい。さらに、120℃〜150℃の温度で15分間〜20分間で加熱加圧処理を施すことがより好ましい。
【0019】
上記処理に続いて、鰐の肉及び/又は骨を圧力鍋から取り出し、鰐の骨に鰐の肉が付着している場合は鰐の肉を削ぎ落とし、鰐の骨を粉砕機で超微細に粉砕した骨粉末を圧力鍋へ投入し、再加熱加圧処理を行うことができる。なお、鰐の肉のみを使用する場合は、当該工程から新たに前記加熱加圧工程後の鰐の骨を投入することが可能である。加熱加圧処理と同様、120℃〜150℃の温度で15分間〜20分間、再加熱加圧処理を行うことが好ましい。超微細に粉砕した骨粉末を鰐エキスに加えることで、鰐エキス中において鰐の骨の存在を気付かせることなく、鰐の骨に含まれる良質な蛋白質及びカルシウムを効率的に摂取可能にすることができる。また、通常であれば廃棄処分される鰐の骨を有効利用することができる。鰐の骨を粉砕する手段は特に限定されないが、一般的に食品等に使用される粉砕機を用いればよい。好ましくは、鰐の骨をあらかじめ細かく切断した後にミキサー等を使用し、粗く粉砕した後、ホモジナイザーのような微細化する装置を用いて超微細に粉砕し骨粉末とすることが好ましい。食品に添加する際には、骨粉末の粒子が小さいほど食感に与える影響が小さいため、粒度は小さいほど好ましい。骨粉末の粒子の大きさは添加する食品によるが、直径50μm以下が好ましく、滑らかな食感が必要な食品に添加する場合は直径20μm以下がより好ましい。
【0020】
次に、加熱処理後の液体に対し、減圧処理を行ってもよい。これにより、液体中に含まれる臭い成分であり、揮発性成分である物質を、例えば真空ポンプ等で減圧状態にすることにより蒸発させることができる。
【0021】
濾過処理においては、目の細かい濾紙等を使用し、濾紙に加熱加圧処理後の液体を通して濾過を行う。この際に、鰐の肉等の固体物は極力排除するようにすることが好ましい。濾過処理は、最初にガーゼや濾紙等の目の粗い素材による濾過を施し、フィルター等による再度の濾過を施すことがより好ましい。
【0022】
上記処理で得られたコラーゲンを含む抽出液を、タンパク加水分解酵素で処理してコラーゲンをペプチド化してもよい。タンパク加水分解酵素は特に限定されるものではなく、各種プロテアーゼ、例えば酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、或いはそれらを含有する酵素液等を用いることができる。酵素の添加量、反応時間及び処理温度は適宜設定することができるが、通常、酵素の添加量は抽出液に対して0.1質量%〜3質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。反応時間は0.5時間〜3時間が好ましく、0.5時間〜1時間がより好ましい。また、反応温度は30℃〜70℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。酵素反応条件が上記範囲外である場合、コラーゲンを十分に加水分解することができず、また逆に加水分解が進行し過ぎるため、収率が低下するおそれがある。なお、酵素反応終了後は、加熱処理を施す等して酵素を失活させることが好ましい。
【0023】
さらに、上記処理で得られたコラーゲンを含む抽出液に、用途に応じて脱臭処理を行ってもよい。脱臭の方法は、作業性及び経済性の観点から固体吸着剤を用いることが簡便であり好ましい。固体吸着剤としては、活性炭、アルミナ、シリカゲル等を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、コラーゲンを含む抽出液に、0.5質量%〜10質量%の活性炭を加え、50℃〜90℃で1時間程度撹拌した後、濾過して液部を回収すればよい。また、活性炭等を充填したカラムに通液することによって脱臭処理を行うこともできる。
【0024】
このようにして得られた抽出液を鰐エキスとしてそのまま使用してもよく、また他の成分と混合して使用してもよい。鰐エキスは、医薬品、化粧品、食品等の多方面に利用することが可能である。医薬品としては、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることも可能である。食品としては、種々の食品(例えばハム、ソーセージ、ベーコン、パン、バター、菓子等)に添加したり、水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用してもよい。鰐エキスをこれらの食品に対し配合する量は、特に限定されないが、好ましくは1重量%〜50重量%がその効果を得る上で好ましい。
【0025】
次に、本発明の鰐エキスを含む食品について、実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0026】
イリエワニの尾部の先端から約50cm程度の箇所を切り離した、鰐の肉と骨が一体となっているものを20本用意し、蒸し器を使用して、約100℃で、15分間蒸気で蒸す。なお、鰐の尾部(骨含まず)の成分分析を行った結果、下記表1の分析結果を得た。表1が示す通り、鰐の尾部はコラーゲン特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンを豊富に有している。また、鰐の骨について蛍光X線回析分析を行った結果、下記表2の分析結果を得た。分析は、鰐の骨を焼成し粉末状にした測定サンプルを用いて3回行った。鰐の骨の成分化合物として、カルシウム及びリンを主成分としたハイドロキシアパタイト(Ca5(PO4)3(OH))が検出された。
【表1】

【表2】

【0027】
続いて、該蒸し工程後の鰐の肉及び骨を水1000ccと共に圧力鍋に加えて、加熱温度150℃で20分間、加熱加圧処理を施す。この工程により鰐の肉及び骨から水中にコラーゲンを含む有用成分を溶出させることができる。
【0028】
鰐の肉及び骨を圧力鍋から取り出し、鰐の骨から鰐の肉を削ぎ落とし、更に150℃で10分間加熱加圧処理を施す。骨内部からより多くのコラーゲンを含む有用成分を溶出させるためである。
【0029】
上記で得られた液体を濾過処理する。濾過処理においては、目の細かい濾紙を使用し、鰐の肉等の固体物を排除する。使用される濾紙は例えば孔径が100μmのものを使用することが好ましい。なお、濾紙は濾過面積を確保するために蛇腹状に折り畳むことが好ましい。
【0030】
上記で得られた抽出液を冷却し、鰐エキスとして使用する。この鰐エキスを含むパイ菓子について説明する。
【0031】
本発明の鰐エキスを含むパイ菓子の材料となるパイ生地材料の配合は以下の通りである。
パイ生地材料の配合
強力粉 125g
薄力粉 125g
塩 5g
醗酵バター(折り込み用) 200g
アーモンドプードル 40g
粉糖 40g
全卵 50g
ショートニング 60g
鰐エキス 100cc
【0032】
本実施例においては、上記の通り強力粉及び薄力粉を使用するが、パイ生地の原料としては、これ以外にもパイに一般的に使用される原料が広く使用できる。例えばパイ生地には小麦粉、ライ麦粉、米粉等の穀粉、澱粉、砂糖、麦芽糖、ブドウ糖、乳糖等の糖類、牛乳、チーズ、ホエー、全粉乳、脱脂粉乳、カゼイン等の乳製品、重曹、炭酸アンモニウム、ベーキングパウダー等の膨化剤、香料等が使用でき、油脂としてマーガリン等が使用できる。
【0033】
上記材料の強力粉、薄力粉、塩、アーモンドプードル、粉糖、ショートニングを容器に入れて約5分間混ぜ合わせる。その後、鰐エキス、全卵を加え更に混練し、パイ生地とする。該パイ生地を約3cm程度の厚みにして、ラップをかけ容器を密閉状態にし、冷蔵庫の冷蔵室に入れて30分〜1時間冷却し寝かせる。冷却したパイ生地を、強力粉を広げた台に乗せ、更に引き伸ばして折り込み用の醗酵バターを折り込む。その後パイ生地を、再び冷蔵庫に入れて30分〜1時間冷却する。
【0034】
冷蔵庫からパイ生地を取り出し、強力粉を広げた台に冷却したパイ生地を乗せ、三つ折りする工程を5回繰り返し行う。この際、3回は強力粉を広げた台の上で折り、2回はグラニュー糖を広げた台の上で折る。パイ生地は、縦15cm、横15cm、厚さ9mmの大きさに延ばす。仕上げに、パイ生地の両面にグラニュー糖を振り、冷蔵庫で1時間程度寝かしたものを、縦15cm、横9mmの幅で切り分ける。
【0035】
上記で得られたパイ生地を約40℃に保持された発酵器内に約10分間〜15分間静置し、このパイ生地を常温程度にまで戻す間に、照り付け液(はちみつ90g、お湯30cc、焦がしバター30ccを混合した液)を用意する。パイ生地を冷却状態のままオーブンにて焼成を行うと、パイ生地表面の澱粉質がオーブンの熱により短時間で硬化し、パイ生地内部に熱が通らないまま焼成が進むことになり、パイ菓子の風味に悪影響を及ぼすため好ましくない。あらかじめオーブン内部の温度を180℃に設定し、パイ生地をオーブンに入れ、10分間焼成を行う。一度取り出してパイ生地表面に照り付け液をはけで塗り、160℃に下げて更に5分間焼成を行い、表面に焼き色をつける。
【0036】
本発明の鰐エキスを含むパイ菓子は、パイ生地のみを焼成してもよいし、パイ生地にフィリングを挟んだものを焼成してもよいし、デニッシュ、シュー、ケーキ、クラッカー、クッキー、ビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー生地とパイ生地を組み合わせて焼成することもできる。
【0037】
さらに、上述の通り、鰐エキスはそのまま使用してもよく、また他の成分と混合して使用してもよい。鰐エキスは、医薬品、化粧品、食品等の多方面に利用することが可能である。医薬品としては、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることも可能である。食品としては、種々の食品(例えばハム、ソーセージ、ベーコン、パン、バター、菓子等)に添加したり、水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の鰐エキスは、鰐の肉及び/又は骨から得られるコラーゲンを豊富に含むため、医薬品、化粧品、食品等の多方面に利用することが可能である。また、鰐の骨を超微細に粉砕した骨粉末をさらに含むため、鰐の骨に含まれる良質な蛋白質及びカルシウムを効率的に摂取可能にすることができ、産業上の利用可能性は非常に高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鰐の肉及び/又は骨から得られるコラーゲンを含む鰐エキス。
【請求項2】
鰐の骨を超微細に粉砕した骨粉末をさらに含む、請求項1に記載の鰐エキス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鰐エキスを含む食品。
【請求項4】
鰐の肉及び/又は骨に対して蒸し処理を行う蒸し工程と、
該蒸し工程後の鰐の肉及び/又は骨に水を加えて加熱加圧処理する加熱加圧工程と、
該加熱加圧工程後の液体に対し濾過処理を行い、抽出液を得る濾過工程と、
を備える鰐エキスの製造方法。
【請求項5】
前記蒸し工程後の鰐の肉及び/又は骨に対して、さらに微細孔を穿設する穿設工程を備える請求項4に記載の鰐エキスの製造方法。
【請求項6】
前記加熱加圧工程後の鰐の骨を粉砕機で超微細に粉砕した骨粉末に対して、さらに加熱加工処理を施す再加熱加圧処理工程を備える請求項4又は請求項5に記載の鰐エキスの製造方法。
【請求項7】
前記鰐の肉及び/又は骨は、鰐の尾部を使用することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の鰐エキスの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−50382(P2012−50382A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195726(P2010−195726)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(510236416)株式会社クロコダイルジャパン (1)
【Fターム(参考)】