説明

鳥インフルエンザに対するワクチンおよび使用方法

本発明は、インフルエンザワクチン、特に鳥インフルエンザワクチン(AIV)に関するものである。本発明は、特異的な相同性を有し、ワクチン組成物を調製するのに用いられる公知のHA1ポリペプチドを発現するトランスジェニック植物細胞を調製するための方法、ならびに個々の動物、哺乳動物またはヒトにおける感染防御免疫を誘導するための方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年4月21日付提出の米国仮出願第60/793,804号の利益を主張し、全ての図面、表およびアミノ酸もしくは核酸配列を含むその全体を出典明示により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
ベトナムH5N1株由来のヘマグルチニン(HA)について公表された配列の最近の研究は、これらの高い病原性株がこれまで観察されたものよりより可変的であることを示す。それゆえ、誘発株に対して90%より低い相同性を有するワクチンが症状をコントロールするか、または流出を減少させるのに有効であることは期待されていなかった。
【0003】
我々は、完全アミノ酸配列の公表記録を検討し、H5血清型におけるヘマグルチニン(HA)ウイルスタンパク質のHA1フラグメントの配列相同性が、アミノ酸レベルにおいて、シチメンチョウウィスコンシン(Turkey Wisconsin)68株に対して100から83%の相同性であることを見出した。Swaynerらによる最近の文献(Vet Micro, 2000, 74:165-172)では、鶏痘により運搬されるHAに基づいたAIVワクチンが、免疫ワクチンと比較して87%またはそれ以上のアミノ酸相同性を有するHA1を含有したAIV株を用いた異型誘発実験において、感染を予防できることが示された。著者らは、「病原性HA1に対して90%未満の相同性を有するワクチンが、AI誘発における不合理な減少または気道からのウイルス流出の減少を引き起こす可能性が最も高い。」と結論付ける。
【0004】
本発明の簡単な要約
本発明は、動物または人において鳥インフルエンザウイルス(AIV)株に対する免疫感染防御応答を誘導する方法であって;
a)植物細胞において、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%から約90%の間の相同性を有する公知のHA1可変領域ポリペプチドを含む核酸配列を発現させ;
b)前記植物細胞で発現された公知のHA1可変領域ポリペプチドを用いてワクチン組成物を調製し、次いで;
c)前記ウイルス組成物を動物またはヒトに投与して、感染防御免疫を前記動物またはヒトにおいて誘導すること
を含む方法を提供する。
【0005】
本発明は、さらに、前記方法を実施するためのベクター、宿主細胞、および新規ワクチン組成物を提供する。かかるワクチン組成物は、動物または人に投与される場合、誘発株と比較して90%より低い相同性レベルで感染防御免疫を提供する植物で作成された公知のHA1ポリペプチド配列を含む。
【0006】
配列の簡単な説明
インフルエンザA/シチメンチョウ/ウィスコンシン/68配列の鳥インフルエンザHAタンパク質が以下に示される。このHAタンパク質は、568アミノ酸を含み、シグナルペプチド(アミノ酸1−16);フラグメントH1の可変先端領域(アミノ酸17−323[本明細書ではHA1とも称される]);フラグメントH2の定常基部領域(アミノ酸324−527);膜貫通ドメイン(アミノ酸528−557);および細胞内チオエステル脂質フラグメント(アミノ酸558−568)を含む5個の異なるドメインを示す。
【0007】
全長配列および上記の同定されたフラグメントは以下に示される:
全長鳥インフルエンザHAタンパク質(配列番号:1):
MERIVIALAIISVVKGDQICIGYHANNSTKQVDTIMEKNVTVTHAQDILEKEHNGKLCSLKGVRPLILKDCSVAGWLLGNPMCDEFLNVPEWSYIVEKDNPTNGLCYPGDFNDYEELKYLMSNTNHFEKIQIIPRNSWSNHDASSGVSSACPYNGRSSFFRNVVWLIKKSNAYPTIKRTYNNTNVEDLLILWGIHHPNDAAEQTELYQNSNTYVSVGTSTLNQRSIPEIATRPKVNGQSGRIEFFWTILRPNDAISFESNGNFIAPEYAYKIVKKGDSAIMRSELEYGNCDTKCQTPVGAINSSMPFHNVHPLTIGECPKYVKSDKLVLATGLRNVPQRETRGLFGAIAGFIEGGWQGMVDGWYGYHHSNEQGSGYAADKESTQKAIDGITNKVNSIIDKMNTQFEAVGKEFNNLERRIENLNKKMEDGFLDVWTYNAELLVLMENERTLDFHDSYVKNLYDKVRLQLRDNAKELGNGCFEFYHKCDNECMESVRNGTYDYPQYSEESRLNREEIDGVKLESMGTYQILSIYSTVASSLALAIMVAGLSF WMCSNGSLQCRICI;
シグナルペプチド(配列番号:2):MERIVIALAIISVVKG;
H1可変先端領域フラグメント(HA1)(配列番号:3):
DQICIGYHANNSTKQVDTIMEKNVTVTHAQDILEKEHNGKLCSLKGVRPLILKDCSVAGWLLGNPMCDEFLNVPEWSYIVEKDNPTNGLCYPGDFNDYEELKYLMSNTNHFEKIQIIPRNSWSNHDASSGVSSACPYNGRSSFFRNVVWLIKKSNAYPTIKRTYNNTNVEDLLILWGIHHPNDAAEQTELYQNSNTYVSVGTSTLNQRSIPEIATRPKVNGQSGRIEFFWTILRPNDAISFESNGNFIAPEYAYKIVKKGDSAIMRSELEYGNCDTKCQTPVGAINSSMPFHNVHPLTIGECPKYVKSDKLVLATGLRNVPQRETR;
H2基部定常フラグメント(配列番号:4):
GLFGAIAGFIEGGWQGMVDGWYGYHHSNEQGSGYAADKESTQKAIDGITNKVNSIIDKMNTQFEAVGKEFNNLERRIENLNKKMEDGFLDVWTYNAELLVLMENERTLDFHDSYVKNLYDKVRLQLRDNAKELGNGCFEFYHKCDNECMESVRNGTYDYPQYSEESRLNREEIDGVKLESMGTY;
膜貫通アンカー(配列番号:5):QILSIYSTVASSLALAIMVAGLSFWMCS;および
細胞内チオエステル脂質フラグメント(配列番号:6):NGSLQCRICI。
【0008】
別の鳥インフルエンザHAタンパク質配列、A/マガモ(Mallard Duck)/ペンシルバニア/10218/84(H5N2;受託番号AAF04720)が以下に示される。全長配列および上記の同定されたフラグメントが以下に示される:
全長HAタンパク質(配列番号:7):
MERIVIALAIISVVKGDQICIGYHANNSTEQVDTIMEKNVTVTHAQDILEKEHNGKLCSLKGVRPLILKDCSVAGWLLGNPMCDEFLNVPEWSYIVEKDNPVNGLCYPGDFNDYEELKHLMSSTNHFEKIQIIPRSSWSNHDASSGVSSACPYNGRSSFFRNVVWLIKKNNAYPTIKRTYNNTNVEDLLILWGIHHPNDATEQTKLYQNSNTYVSVGTSTLNQRSIPEIATRPKVNGQSGRMEFFWTILRPNDAISFESNGNFIAPEYAYKIVKKGDSAIMKSELEYGNCNTKCQTPVGAINSSMPFHNVHPLTIGECPKYVKSDKLVLATGLRNVPQRETRGLFGAIAGFIEGGWQGMVDGWYGYHHSNEQGSGYAADKESTQKAIDGITNKVNSIIDKMNTQFEVVGKEFNNLERRIENLNKKMEDGFLDVWTYNAELLVLMENERTLDFHDSNVRNLYDKVRLQLRDNAKELGNGCFEFYHKCDNECMESVRNGTYDYPQYSEESRLNREEIDGVKLESMGTYQILSIYSTVASSLALAIMVAGLSFWMCSNGSLQCRICI;
シグナルペプチド(配列番号:8):MERIVIALAIISVVKG;
H1可変先端領域フラグメント(HA1)(配列番号:9):
DQICIGYHANNSTEQVDTIMEKNVTVTHAQDILEKEHNGKLCSLKGVRPLILKDCSVAGWLLGNPMCDEFLNVPEWSYIVEKDNPVNGLCYPGDFNDYEELKHLMSSTNHFEKIQIIPRSSWSNHDASSGVSSACPYNGRSSFFRNVVWLIKKNNAYPTIKRTYNNTNVEDLLILWGIHHPNDATEQTKLYQNSNTYVSVGTSTLNQRSIPEIATRPKVNGQSGRMEFFWTILRPNDAISFESNGNFIAPEYAYKIVKKGDSAIMKSELEYGNCNTKCQTPVGAINSSMPFHNVHPLTIGECPKYVKSDKLVLATGLRNVPQRETR;
H2基部定常フラグメント(配列番号:10):
GLFGAIAGFIEGGWQGMVDGWYGYHHSNEQGSGYAADKESTQKAIDGITNKVNSIIDKMNTQFEVVGKEFNNLERRIENLNKKMEDGFLDVWTYNAELLVLMENERTLDFH
DSNVRNLYDKVRLQLRDNAKELGNGCFEFYHKCDNECMESVRNGTY;
膜貫通アンカー(配列番号:11):QILSIYSTVASSLALAIMVAGLSF;および
細胞内チオエステル脂質フラグメント(配列番号:12):NGSLQCRICI。
【0009】
発明の詳細な開示
従来のワクチンに対する期待は、それらがワクチンを調製するのに用いられるポリペプチド配列と比較して90%から100%相同であるインフルエンザ株由来の感染からの保護を提供することである。植物で作成されたワクチンの場合、約70%から約90%の間の相同性を有するより広い範囲のインフルエンザ株をコントロールする予想外の特性は、結果としてより異なるインフルエンザ型をコントロールし、ワクチンの効果を改善させる能力を生じる。
【0010】
植物で作成されたワクチンのサブユニット抗原は、それらが植物の膜の細胞マトリックスおよび炭水化物成分に組み込まれてアジュバント特性が提供されることから、慣用的に調製されたサブユニット抗原より優れていると考えられる。植物で作成された抗原はまた、非植物で作成された抗原と比較してユニークな植物炭水化物糖鎖付加パターンを含む。
【0011】
かかる植物のグリカン構造が干渉効果の増大に寄与し、植物細胞または植物細胞マトリックス成分から完全に精製されていない抗原の使用がまた、本明細書で開示されるHA1ポリペプチドに約90%から約70%の間の相同性を有するAIVによる感染から個体を保護する能力に一部関連すると考えられる。認識されるごとく、約70.0%および約90.0%の間の相同性のパーセンテージが、特に本発明により意図される。それゆえ、公知のHA1可変領域ポリペプチドは、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに少なくとも70%の相同性であって、Y%より低い相同性を有することができ、ここで、Yは、87.0%、86.5%、86.0%、85.5%、85.0%、84.5%、84.0%、83.5%、83.0%、82.5%、82.0%、81.5%、81.0%、80.5%、80.0%、79.5%、79.0%、78.5%、78.0%、77.5%、77.0%、76.5%、76.0%、75.5%、75.0%、74.5%、74.0%、73.5%、73.0%、72.5%、72.0%、71.5%または71.0%から選択される。代替的に、公知のHA1可変領域ポリペプチドは、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに70%ないし71.0%、71.5%、72.0%、72.5%、73.0%、73.5%、74.0%、74.5%、75.0%、75.5%、76.0%、76.5%、77.0%、77.5%、78.0%、78.5%、79.0%、79.5%、80.0%、80.5%、81.0%、81.5%、82.0%、82.5%、83.0%、83.5%、84.0%、84.5%、85.0%、85.5%、86.0%、86.5%または87.0%の相同性を有することができる。
【0012】
本発明によるHA1ポリペプチドは、出典明示により全体を本明細書に援用するUS 2004/0268442およびWO 2004/098533に記載されるごとく、それらの発現系から完全にまたは部分的に精製することができる。それゆえ、部分的に精製されたHA1ポリペプチドは、ポリペプチドが作成された植物細胞発現系の様々な部分または一部を含む組成物中に存在することができる。例えば、植物発現系がHA1ポリペプチドの生成に用いられる場合、本明細書で同定された精製HA1ポリペプチドを含む組成物は、植物細胞成分(例、細胞壁、植物細胞膜の細胞マトリックスおよび炭水化物、等)または植物細胞マトリックス成分を含むことができる
【0013】
単離された植物破砕物(homogenates)中の組み換え植物で作成された抗原は、細胞壁物質、小分子炭水化物、膜、脂質成分、タンパク質、核酸ならびに小分子生合成中間体および二次代謝物を含むが、これらだけに限定されない様々な植物構成要素を含んでもよい。かかる植物で作成されたワクチン調製物は、従来の方法で均一になるまで精製または調製された同一の抗原より一般的により高い力価を伴う免疫応答を活性化する。製剤化された粗物質または従来法により調製されたワクチン抗原と比較して、製剤化され、濃縮された植物細胞生成抗原により抗体陽転を引き起こす予想外のより高い応答は、抗原の免疫系細胞への独特な提示ならびに処理、製剤化および保存中の抗原の改善された安定性によると考えられる。
【0014】
抗原活性における植物マトリックスまたは構成成分の相乗またはアジュバント様効果は、植物発現様式に独特な特性である。この改善された特性は、より低い用量の抗原を投与する能力を提供し、病気の誘発からのより良好な保護を提供する。
【0015】
本明細書に記載される調製物中に含まれる植物で作成された抗原および植物細胞マトリックスは、特異的に標的とする専門の抗原提示細胞(APC)により、動物の細胞性および液性免疫応答において有意な効果を示すと考えられる。この特異的な標的化は、植物マトリックスおよび/または植物で作成された抗原、特に、直接的にAPC上のマンノース受容体および関連するC−型レクチン受容体を伴う植物糖鎖付加抗原の相互作用を介して起きる。これらのAPCは、それらの表面上の他の受容体(例えば、クラスII主要組織適合性複合体)を介して、免疫系の他の成分に対してこれらの抗原を処理し、提示することができ、液性および細胞性の両方を介在する免疫応答を促進できる。クラス1および2のTヘルパー(Th)細胞の増殖は、植物細胞マトリックスの不可欠な部分としておよび/または植物糖鎖付加抗原として提示される際に、直接APC細胞と相互作用できる抗原により大きく促進される。それらのMRまたは関連するレクチン受容体を介したこれらのAPCとの標的とする相互作用は、強力な細胞性および液性免疫応答に関連する。CD8+T細胞免疫に付随する細胞性免疫は、生きた弱毒化病原体でワクチン接種されることによってのみ活性化される。この免疫は、リーシュマニア種およびウイルスのごとく細胞内病原体のコントロールに重要な要件である(D. M. Pardoll, Nat Med. 1998. 4, 525-531)。
【0016】
多数の公知HAポリペプチドの可変領域のアミノ酸位置は、配列番号:1および配列番号:7のHA1領域のアミノ酸位置と異なる;しかしながら、かかる領域は、当業者によって容易に理解することができる(例えば、全体を本明細書に援用するDe BK; Brownlee GG; Kendal AP; Shaw MW. 1988, Nucleic Acids Res., 16, 4181-4182を参照)。自然感染において、不活性なHAは、気管支上皮細胞により分泌される1つまたはそれ以上のトリプシン様、アルギニン特異的エンドプロテアーゼにより細胞外でHA1およびHA2へと成熟する。このプロセスに関して同定された1つのプロテアーゼがトリプターゼクララである。宿主生物への感染の程度はHAにより調べられる。インフルエンザウイルスは、分極した上皮細胞(気管支上皮細胞)の先端表面から肺の内腔へ流出し、それゆえ通常肺に向かう(pneumotropic)。HA1フラグメントは、細胞表面上のシアル酸含有受容体に結合し、細胞へのウイルス粒子の結合を引き起こす。それはまた、宿主範囲の制限および病原性の決定において主要な役割を担う。HA1フラグメントは、クラスIウイルス融合タンパク質であり、取り込まれたウイルス粒子の膜とエンドソーム膜との融合を介在することによるウイルスの細胞質への侵入に関連する。エンドソームにおける低pHは、HA2において不可逆的な構造変化を誘導し、融合疎水性ペプチドを解離する。数種の三量体は、適合な融合細孔を形成するために必要とされる。
【0017】
用語「鳥インフルエンザウイルスに相同な」または「鳥インフルエンザウイルス株に相同な」は、植物で作成されたサブユニットワクチン抗原のアミノ酸配列に対して約70%から約90%の配列相同性を示す相同なまたは関連したHA1ポリペプチドを示す鳥インフルエンザウイルス(もしくは株)として理解されるものとする。
【0018】
ワクチンがインフルエンザの異型株による感染からの防御に対して有しうるスペクトル活性を調べるために、アミノ酸配列相同性の比較が行われる。この相同性解析は、アミノ酸17から323までの配列を用いて、H1の可変先端フラグメントの相同性をBLAST解析により比較することで行われる。blast解析は以下のとおりに行われる:NCBI非重複タンパク質データベースは、nr.gz.としてftpサイト(ftp.ncbi.nih.gov/blast/db/FASTA)からLinux(Red Hat Enterprise Linux 3.2)またはUNIX(Solaris 8)のどちらかを実行するコンピュータにダウンロードされる。圧縮されているこのファイルは、実用的なgunzipで圧縮されておらず、BLAST設定を搭載するプログラムフォーマットdbと一緒にBLASTの使用用に初期化される。初期化されたnrデータベースに対するクエリー配列のblastp検索(UNIXにおけるバージョン2.2.4またはLinuxにおけるバージョン2.2.13)は、ウェブインターフェイスを通して、あるいは探索が500以上の有意なヒット(ウェブ制限)をリターンするかどうかによるコマンドライン上およびBLAST解析後の構文解析上のいずれかでBLASTプログラムのローカルインスタンス(local instance)を用いて行われる。配列データベースにおけるインフルエンザウイルスの登録数は現在、数千のタンパク質が存在する。
【0019】
その結果の解析は、対照配列に対して統計的に有意な相同性を有する配列を報告する。統計的な有意性は、用いられるマトリックスのスコアおよび選択される期待値、ならびにギャップ(gap)を開いて拡張するコスト、ならびにミスマッチに対するペナルティのごときパラメーターの設定に依存する。用いられるパラメーターは、BLASTプログラムの初期設定パラメーターであった。
【0020】
本明細書に記載される公知のHA1フラグメントを含むポリペプチドはまた、1つまたはそれ以上の異種性ポリペプチド配列、例えば、本発明のポリペプチド精製を容易にするタグ(例えば、出典明示により本明細書に全体を援用する、U.S. Patent No. 6,342,362;それぞれを出典明示により本明細書に全体を援用する、Altendorf et al. [1999-WWW, 2000] “Structure and Function of the Fo Complex of the ATP Synthase from Escherichia Coli,” J. of Experimental Biology 203:19-28, The Co. of Biologists, Ltd., G.B.; Baneyx [1999] “Recombinant Protein Expression in Escherichia coli,” Biotechnology 10:411 21, Elsevier Science Ltd.; Eihauer et al. [2001] “The FLAGTM Peptide, a Versatile Fusion Tag for the Purification of Recombinant Proteins,” J. Biochem Biophys Methods 49:455 65; Jones et al. [1995] J. Chromatography 707:3 22; Jones et al. [1995] “Current Trends in Molecular Recognition and Bioseparation,” J. of Chromatography A. 707:3 22, Elsevier Science B.V.; Margolin [2000] “Green Fluorescent Protein as a Reporter for Macromolecular Localization in Bacterial Cells,” Methods 20:62 72, Academic Press; Puig et al. [2001] “The Tandem Affinity Purification (TAP) Method: A General Procedure of Protein Complex Purification,” Methods 24:218 29, Academic Press; Sassenfeld [1990] “Engineering Proteins for Purification,” TibTech 8:88 93; Sheibani [1999] “Prokaryotic Gene Fusion Expression Systems and Their Use in Structural and Functional Studies of Proteins,” Prep. Biochem. & Biotechnol. 29(1):77 90, Marcel Dekker, Inc.; Skerra et al. [1999] “Applications of a Peptide Ligand for Streptavidin: the Strep-tag”, Biomolecular Engineering 16:79-86, Elsevier Science, B.V.; Smith [1998] “Cookbook for Eukaryotic Protein Expression: Yeast, Insect, and Plant Expression Systems,” The Scientist 12(22):20; Smyth et al. [2000] “Eukaryotic Expression and Purification of Recombinant Extracellular Matrix Proteins Carrying the Strep II Tag”, Methods in Molecular Biology, 139:49-57; Unger [1997] “Show Me the Money: Prokaryotic Expression Vectors and Purification Systems,” The Scientist 11(17):20を参照)、あるいはSTRATAGENE(カリフォルニア州、ラホーヤ)、NOVAGEN(ウィスコンシン州、マディソン)、QIAGEN社(カリフォルニア州、バレンシア)、またはInVitrogen(カリフォルニア州、サンディエゴ)のごとき製造業者から市販されているタグに結合されうる。例えば、異種性配列は、リボソーム結合およびmRNAの安定性のごとく転写およびmRNAプロセッシングにおいて役割を果たしうる転写、非翻訳の配列を含む。異種性配列は、代替的に、さらなる機能を提供する付加コーディング配列を含んでもよい。それゆえ、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、結合されたポリペプチドの精製または検出を容易にするペプチドをコードする配列のごときタグ配列に結合されていてもよい。本発明のこの態様の一定の具体例では、タグアミノ酸配列は、pQEベクター(QIAGEN)、または多くのさらに市販されているベクターのいずれかで提供されるタグのごとき、ヘキサ−ヒスチジンペプチドである。例えば、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の利便的な精製を提供する(その出典明示により全体を援用して開示する、Gentz et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA Feb; 86(3):821-4を参照)。本発明のポリペプチドはまた、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常領域、またはその部分(CH1、CH2、CH3、その全体のドメインと一部の両方を含むそれらのいずれかの組み合わせ)と結合されてキメラポリペプチドを生じてもよい。これらの融合タンパク質は精製を容易にし、インビボにおける半減期の上昇を示す。他の具体例では、本明細書に記載され、用いられるHAポリペプチドは、アジュバント活性を有する異種性ポリペプチド配列(ポリペプチドアジュバント)に結合されうる。かかるポリペプチドの非限定的な例は、熱ショックタンパク質(hsp)を含む(例えば、出典明示により本明細書に全体を援用する米国特許第6,524,825号を参照)。
【0021】
前記組成物の調製に有用なアジュバントまたは免疫促進成分は、アルミニウム塩、ミネラルオイル、マイコバクテリア産物(例、フロインド完全または不完全アジュバント)、あるいはケージ状構造上で数種のタンパク質の提示のためのビヒクルを提供する植物グリコシドサポニン、コレステロールおよびホスファチジルコリンの混合物のごときビヒクルを含むが、これらだけに限定されない。本明細書では、アジュバントは、免疫原または抗原に対する免疫応答を増強し、増加させ、調節し、または高める物質である。アジュバントは、典型的に、液性および細胞性免疫応答の両方を高めるが、一方の存在しない中でどちらかに対する応答の上昇もまたアジュバントの定義を満たす。さらに、アジュバントおよびそれらの使用は、免疫学者に周知であり、典型的には、免疫原の用量が限られる時、免疫原の免疫原性が乏しい時、または投与経路が準最適である時に免疫応答を高めるために用いられる。それゆえ、用語「アジュバント量」は、所定の免疫原または抗原に対する免疫応答を高めることができるアジュバントの量である。「アジュバント量」に同等な量は変動し、免疫原の性質、投与される免疫原の量、宿主種、投与経路、および免疫原を投与するためのプロトコルを含むが、これらだけに限定されない種々の因子に依存する。「アジュバント量」は、個々の状況に応じて一般的な手法により容易に定量することができる。このことは十分に当業者の範囲内であり、典型的には、投与される免疫原およびアジュバントの様々な量に対する通常用量応答測定の使用に用いる。応答は、酵素免疫吸着測定法、放射性免疫アッセイ、赤血球凝集アッセイ、およびこれらに類似する方法を用いて、免疫原に対して上昇された血清抗体力価または細胞介在応答を調べることにより測定される。
【0022】
ワクチンおよびワクチン接種は、宿主に、免疫原性調製物、免疫因子の免疫防御粒子、または免疫原性調製物、あるいは非病原性形態またその一部を接種することであって、宿主免疫系が活性化し、引き続き生じる病原体への曝露に対する宿主応答に付随した後の望ましくない病状を予防または弱毒化させるように接種することにより病原に対する防御を提供するための手段として定義される。本発明において、本発明の組成物によるワクチンは、死亡もしくは死および気道からのウイルス流出における減少を生じる。
【0023】
投与または投与するとは、人を含む動物の体への物質の誘導として定義され、経口、鼻腔内、眼内、直腸内、膣内および非経口の経路を含む。組成物は、皮下(SQ)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)、腹腔内(IP)、皮内(ID)を含むが、これらだけに限定されないいずれかの投与経路を介して、鼻腔、眼もしくは口腔粘膜を介して(IN)、または経口的に、単独または他の治療剤との組み合わせで投与されてもよい。
【0024】
本発明はまた、公知の単離された組み換えおよび/または精製ポリヌクレオチド配列であって:
a)誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%から約90%の間の相同性を有する公知のHA1可変領域ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列;
b)(a)に記載のポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチド;
c)(a)または(b)に記載されるようなポリヌクレオチド配列を含む遺伝学的な構築物;
d)(a)、(b)または(c)に記載されるようなポリヌクレオチドまたは遺伝学的な構築物を含むベクター;あるいは
e)(a)、(b)、(c)または(d)に記載されるようなポリヌクレオチド、遺伝学的な構築物、またはベクターを含む宿主細胞
を含むポリヌクレオチド配列の使用方法を提供する。
【0025】
用語「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、相互に同じ意味で用いることができ、本発明において、二本鎖DNA、一本鎖DNAまたは前記DNAの転写産物(例、RNA分子)のうちのいずれかを意味することと理解される。本発明は、自然環境または自然状態におけるポリヌクレオチド配列に関連しないとも理解されるべきである。本発明の核酸、ポリヌクレオチド、もしくはヌクレオチド配列は、イオン交換クロマトグラフィー、分子サイズ排除クロマトグラフィー、または増幅、減法ハイブリダイゼーション、クローニング、サブクローニングもしくは化学合成のごとき遺伝学的技術方法により、あるいはこれらの遺伝学的技術方法の組み合わせを含むが、これらだけに限定されない分離方法により、単離、精製(または部分的に精製)することができる。
【0026】
タンパク質および核酸配列の両方の相同性は、当業者間で公知であり、公的にアクセス可能なデータベース(例えば、ワールドワイドウェブサイト:ebi.ac.uk/fasta33/index.html (European Biotechnology Institute);またはncbi.nlm.nih.gov/BLAST/(National Center for Biotechnology Information))で利用できるいずれかの種類の配列比較アルゴリズムおよびプログラムを用いて調査されてもよい。かかるアルゴリズムおよびプログラムは、TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTA、およびCLUSTALWを含むが、これらの手段に限定されない(Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85(8):2444-2448; Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol., 215(3):403-410; Thompson et al., 1994, Nucleic Acids Res., 22(2):4673-4680; Higgins et al., 1996, Methods Enzymol., 266:383-402; Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol., 215(3):403-410; Altschul et al., 1993, Nature Genetics, 3:266-272)。配列比較は、典型的に、製造業者により提供される初期設定パラメーターを用いて、あるいは出典明示により全体を本明細書に援用する上記に同定される引用文献に記載されるパラメーターを用いて行われる。
【0027】
本明細書で用いられるごとく、「相補的な」ポリヌクレオチド配列は、一般に、二本鎖核酸分子(DNA−DNA、DNA−RNA、またはRNA−RNA)において特定のプリンおよび特定のピリミジンの間の水素結合から生じる配列を意味する。主な特異的対合は、グアニンとシトシン、およびアデニンとチミンもしくはウラシルである。「相補的な」ポリヌクレオチド配列はまた、「アンチセンス」ポリヌクレオチド配列または「アンチセンス」と称されてもよい。
【0028】
配列相同性および配列同一性はまた、高ストリンジェント、中ストリンジェント、および/または低ストリンジェントな条件下におけるハイブリダイゼーション実験により調べることができる。ハイブリダイゼーションのストリンジェントな各種の程度を用いることができる。条件が厳密であるほど、二本鎖の形成のためのより高い相補性が必要とされる。条件の厳密さは、温度、プローブ濃度、プローブの大きさ、イオン強度、時間、およびこれらに類似する条件により調整することができる。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、例えば、Keller, G.H., M.M. Manak (1987) DNA Probes, Stockton Press, New York, NY., pp. 169-170に記載されるごとく当該技術分野で周知な技術により、低、中、または高ストリンジェントな条件下において行われる。
【0029】
例えば、サザンブロットにおける固定化されたDNAと32P−標識遺伝子特異的なプローブとのハイブリダイゼーションは、一般的な方法により実施することができる(Maniatis et al., 1982, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York)。一般に、ハイブリダイゼーションおよび後の洗浄は、例示されるポリヌクレオチド配列に対して相同性を有する標的配列の検出を可能とする中から高ストリンジェントな条件下で行うことができる。二本鎖DNA遺伝子プローブでは、ハイブリダイゼーションは、6XSSPE、5Xデンハート溶液、0.1%SDS、0.1mg/ml変性DNA中において、DNAハイブリッドの融点(Tm)より20−25℃低い温度で一晩行われうる。融点は、以下の式により記載される(Beltz et al., 1983, Methods of Enzymology, R. Wu, L. Grossman and K. Moldave, eds. Academic Press, New York, 100:266-285)。
【0030】
Tm=81.5℃+16.6Log[Na]+0.41(%G+C)−0.61(%ホルムアミド)−600/塩基対における二本鎖の大きさ。
【0031】
洗浄は、典型的に以下のとおりに行われる:
(1)1XSSPE、0.1%SDS中において室温で15分間を2回(低ストリンジェントな洗浄);
(2)0.2XSSPE、0.1%SDS中においてT−20℃で15分間を1回(中ストリンジェントな洗浄)。
【0032】
オリゴヌクレオチドプローブでは、ハイブリダイゼーションは、6XSSPE、5Xデンハート溶液、0.1%SDS、0.1mg/ml変性DNA中において、ハイブリッドの融点(T)より10−20℃低い温度で一晩行うことができる。オリゴヌクレオチドプローブのTは以下の式により調べることができる:
(℃)=2(T/A塩基対数)4(G/C塩基対数)(Suggs et al., 1981, ICN-UCLA Symp. Dev. Biol. Using Purified Genes, D.D. Brown, ed., Academic Press, New York, 23:683-693)
【0033】
洗浄は、以下のとおりに行うことができる:
(1)1XSSPE、0.1%SDS中において室温で15分間を2回(低ストリンジェントな洗浄);
(2)1XSSPE、0.1%SDS中においてハイブリダイゼーション温度で15分間を1回(中ストリンジェントな洗浄)。
【0034】
一般に、塩および/または温度は、ストリンジェントを変化させるために変えることができる。標識されたDNAフラグメント>70または同等の塩基長と一緒に、以下の条件を用いることができる:
低: 1または2XSSPE、室温
低: 1または2XSSPE、42℃
中: 0.2Xまたは1XSSPE、65℃
高: 0.1XSSPE、65℃。
【0035】
別の非限定的な例によると、高ストリンジェントな条件を用いる手順はまた、以下のとおりに行うことができる:DNAを含むフィルターのプレ−ハイブリダイゼーションは、6XSSC、50mM Tris−HCl(pH=7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% フィコール、0.02% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中において65℃で8時間から一晩の間行われる。フィルターは、100μg/ml変性サケ精子DNAおよび5−20x10cpmの32P−標識プローブを含むプレ−ハイブリダイゼーション混合物中において、65℃、好ましくはハイブリダイゼーション温度で48時間ハイブリダイズされる。代替的に、ハイブリダイゼーション工程は、SSC緩衝液、0.15M NaClおよび0.05M Naクエン酸に相当する1XSSCの存在下において65℃で実施することができる。続いて、フィルターの洗浄は、2XSSC、0.01% PVP、0.01% フィコール、および0.01% BSAを含む溶液中において37℃で1時間行われ、次いで0.1XSSC中において50℃で45分間洗浄することができる。代替的に、フィルターの洗浄は、2XSSCおよび0.1% SDS、または0.5XSSCおよび0.1% SDS、または0.1XSSCおよび0.1% SDSを含む溶液中において68℃で15分の間隔で行うことができる。洗浄工程後、ハイブリダイズされたプローブは、オートラジオグラフィーにより検出できる。用いられうる高ストリンジェントな他の条件は、当該技術分野で周知であり、その全体を本明細書に援用するSambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Press, N.Y., pp. 9.47-9.57;およびAusubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.中で引用されるごとくである。
【0036】
中ストリンジェントな条件を用いる手順の別の非限定的な例は、以下のとおりである:DNAを含むフィルターがプレ−ハイブリダイズされ、次いで5XSSC緩衝液および標識プローブの存在下において60℃の温度でハイブリダイズされる。次いで、フィルターの洗浄は、2XSSCを含む溶液中において50℃で行われ、ハイブリダイズされたプローブはオートラジオグラフィーにより検出される。用いられうる中ストリンジェントな他の条件は、当該技術分野で周知であり、その全体を本明細書に援用するSambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Press, N.Y., pp. 9.47-9.57;およびAusubel et al., 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.中で引用されるごとくである。
【0037】
二本鎖の形成および安定性は、ハイブリッドの二本鎖間の実質的な相補性に依存し、上に記載されるごとく、ある程度のミスマッチは許容されうる。それゆえ、本発明のプローブ配列は、記載される配列の変異(単一および複数の両方)、欠失、挿入、およびそれらの組み合わせを含み、前記変異、挿入および欠失は、目的の標的ポリヌクレオチドとの安定なハイブリッドの形成を許容する。変異、挿入および欠失は、多くの方法で所定のポリヌクレオチド配列において生成することができ、これらの方法は当業者に知られている。他の方法が将来周知になってもよい。
【0038】
制限酵素を目的DNA配列の機能的なフラグメントを得るために用いることができることは、当該技術分野において周知である。例えば、Bal31エクソヌクレアーゼは、DNAの時間制御制限消化(一般的に「erase−a−base」法と称される)に利便的に用いることができる。例えば、Maniatis et al., 1982, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York; Wei et al., 1983, J. Biol. Chem., 258:13006-13512を参照。
【0039】
本発明はまた、a)誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%から約90%の間の相同性を有する公知のHA1可変領域ポリペプチドを含む(またはからなる)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む遺伝学的な構築物を提供する。本発明の遺伝学的な構築物はまた、プロモーターおよびエンハンサーのごとき付加的な調節エレメント、ならびに任意選択的に選択マーカーを含む。
【0040】
本明細書に記載されるごとき遺伝学的構築物を含むベクターまたは発現カセット、あるいは調節エレメントに作動可能に連結された上に記載されるごとくポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明の範囲内である。ベクターおよび発現カセットもまた、付加的な転写制御配列を含んでもよい。ベクターおよび発現カセットは、さらに選択マーカーを含んでもよい。発現カセットは、生物に共形質転換されるように、調節エレメントに作動可能に連結された少なくとも1つの付加的な遺伝子を含んでもよい。代替的に、付加的な遺伝子および調節エレメントは、複数の発現カセット上において提供することができる。かかる発現カセットは、調節領域の転写調節下にある本発明の配列の挿入のための複数の制限酵素部位とともに提供される。発現カセットは、さらに調節エレメントに作動可能に連結された選択マーカー遺伝子を含んでもよい。
【0041】
発現カセットは、転写の5’−3’方向において、転写および翻訳開始領域、本発明のDNA配列、ならびに転写および翻訳終結領域を含む。転写開始領域、プロモーターは、宿主細胞に内在性もしくは類似性であってもよく、あるいは外因性もしくは異種性であってもよい。さらに、プロモーターは、自然配列または代替的に合成配列であってもよい。「外因性」であるとは、転写開始領域が、転写開始領域が導入された本来の植物で見出されないことを意味する。本明細書で用いられるごとく、キメラ遺伝子は、コーディング配列に異種性である転写開始領域に作動可能に連結されたコーディング配列を含む。
【0042】
本発明の別の態様は、本明細書中で教示されるポリヌクレオチド配列のクローニングおよび/または発現のためのベクターを提供する。ワクチンベクターを含む本発明のベクターはまた、一定の宿主細胞における前記ヌクレオチド配列を発現および/または分泌させるのに必須なエレメントを含むことができる。ベクターは、プロモーター、翻訳の開始もしくは終結用シグナル、ならびに転写調節のための適切な領域を含むことができる。一定の具体例において、ベクターは、宿主細胞内において安定に維持され得、任意選択的に、翻訳されたタンパク質の分泌の方向付けを行うシグナル配列を含むことができる。これらの異なるエレメントは、使用される宿主細胞により選択される。ベクターは、宿主ゲノムに組み込まれ得、あるいは、任意選択的に、自律的に複製するベクターに組み込まれうる。
【0043】
本発明はまた、ポリペプチドの発現を可能にする条件下において、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞の培養を含む、本明細書に開示されるポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの発現、ならびに、任意選択的に、発現されたポリペプチドを回収することを提供する。
【0044】
開示されたポリヌクレオチド配列はまた、タンパク質またはペプチドが組み換えDNA分子で形質転換された宿主で発現されうるように、第2の核酸配列により調節されうる。例えば、タンパク質またはペプチドの発現は、当該技術分野において知られるいずれかのプロモーター/エンハンサーにより制御されてもよい。発現を制御するために用いられ得るプロモーターは、CMV−IEプロモーター、SV40初期プロモーター領域(Bernoist and Chambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3’末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamoto, et al., 1980, Cell, 22:787-797)、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., 1982, Nature, 296:39-42);β−ラクタマーゼプロモーターのごときプロモーターを含む原核生物ベクター(Villa-Kamaroff, et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 75:3727-3731)、またはtacプロモーター(DeBoer, et al., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 80:21-25);Scientific American, 1980, 242:74-94中の“Useful proteins from recombinant bacteria”も参照のこと;ノパリン合成酵素プロモーター領域(Herrera-Estrella et al., 1983, Nature, 303:209-213)またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardner, et al., 1981, Nucl. Acids Res., 9:2871)を含む植物発現ベクター、および光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella et al., 1984, Nature, 310:115-120);Gal4プロモーター、ADC(アルコール脱水素酵素)プロモーター、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、および/またはアルカリホスファターゼプロモーターのごとき酵母または真菌由来のプロモーターエレメントを含むが、これらだけに限定されない。
【0045】
本発明によるベクターは、例えば、プラスミドまたはウイルス起源のベクターである。特定の具体例において、ベクターは、開示されたポリヌクレオチド配列内に含まれるタンパク質もしくはペプチドをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター、1つ以上の複製開始点、ならびに、任意選択的に、1つ以上の選択マーカー(例、抗生物質耐性遺伝子)を含んで用いられる。発現ベクターは、望ましい宿主細胞における遺伝子発現を含む、遺伝子発現を制御する調節配列を含む。本発明のポリペプチドの発現のための典型的なベクターは、pET型プラスミドベクター(Promega)もしくはpBADプラスミドベクター(Invitrogen)または以下の実施例で提供されるベクターを含む。さらに、本発明によるベクターは、本発明のポリヌクレオチド配列をクローン化または発現させるために宿主細胞を形質転換するのに有用である。
【0046】
トランスジェニック植物
前記組成物または免疫プロトコルの産生に有用なポリペプチドは、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%から約90%の間の相同性を有する公知のHA1可変領域ポリペプチドを含むか(またはからなる)ポリペプチドを発現するように遺伝学的に設計されたトランスジェニック植物細胞に由来しうるか、得ることができる。
【0047】
トランスジェニック植物は、本明細書において、形質転換された植物細胞またはプロトプラストに由来する、植物細胞培養物、植物細胞株、植物組織培養物、下等植物、コケ植物、単子葉植物、双子葉植物、またはそれらの子孫であって、形質転換された植物のゲノムが、元々の同一種のトランスジェニックでない植物細胞に存在しない、研究室の技術により導入された外因性DNAを含むものとして定義される。用語「トランスジェニック植物」および「形質転換された植物」は、当該技術分野において、DNAが外因性DNA分子を含む植物を定義する同義語として用いられることもある。トランスジェニック植物および形質転換植物は、さらに、米国特許第5,550,360号;第5,846,795号;第4,885,248号;第5,173,410号;第5,602,242号;第5,627,060号;第5,804,439号;WO05/049839;WO03/020938;WO02/101006;WO02/101060;WO02/096192;WO02/088369;WO02/08386;WO02/29068;WO02/46440;およびWO02/068664に記載されるごとく、ゲノムが安定に形質転換されないか、組み換えウイルスベクターを一過的に発現する方法および植物を含む。
【0048】
植物において免疫防御抗原を発現させるための遺伝子カセットの構築は、Sambrook et al. (1989);およびAusubel et al., (1987) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, New York, NYに記載されるごとく、周知な方法を用いて容易に行われる。本発明はまた、免疫防御抗原をコードする開示された配列と相同な実質的な配列を有するDNA配列を含み、それらは発現において開示された効果を示すことができる。本出願で用いられるように、用語「相同な実質的な配列」は、(DNAまたはRNAの場合には)ヌクレオチド配列または(タンパク質またはポリペプチドの場合には)アミノ酸配列が、別のヌクレオチドまたはアミノ酸配列と実質的、機能的または構造的に同等であることを示すのに用いられる。相同な実質的な配列を有する配列間の機能的または構造的な相違は、些細なことであり;すなわち、それらは、本出願で示されるように機能する配列の能力に影響しない。本明細書で開示される配列と相同な実質的な配列を有する配列は、通常、変異のごとき開示された配列の変異型であり、合成配列であってもよい。
【0049】
本発明の構築物を調製する際に、正しい方向で、かつ適切に正しい読み枠でDNA配列を提供するように、様々なDNAフラグメントが操作されてもよい。アダプターまたはリンカーは、DNAフラグメントを繋ぐために用いられてもよく、あるいは他の操作は、利便的な制限酵素部位、過剰なDNAの除去、制限酵素部位の除去、またはそれらに類似することを提供することに関連していてもよい。
【0050】
様々な工程を行う際に、クローニングは、後に望ましい宿主細胞への導入用の目的のプロモーター/遺伝子を含むベクターを増幅させるために用いられる。多種多様なクローングベクターが利用でき、クローニングベクターは、E.coliで機能する複製系および形質転換された細胞の選択が可能なマーカーを含む。具体的なベクターは、pBR322、pUCシリーズ、pACYC184、Bluescriptシリーズ(Stratagene)などを含む。それゆえ、配列が適切な制限酵素部位でベクターに挿入され、生じたプラスミドがE.coli宿主(例、E.coli株HB101、JM101およびDH5α)に形質転換するのに用いられ、E.coliが適切な培地で増殖され、細胞が回収され、溶解され、次いでプラスミドが回収されてもよい。解析は、配列解析、制限酵素解析、電気泳動、またはそれらに類似する解析であってもよい。各操作後、最終構築物に用いられるDNA配列は、切断され、隣の配列に繋がれてもよく、部分的な構築物の各々が同一または異なるプラスミドにクローン化されてもよい。
【0051】
ベクターは、植物細胞の形質転換に利用可能であるか、または容易に調製することができる。一般に、プラスミドまたはウイルスベクターは、一定の宿主における異種性DNA配列の維持および発現の両方に必須な全てのDNA制御配列を含むべきである。かかる制御配列は、一般的に、翻訳開始シグナルコドン、翻訳終結コドンをコードするリーダー配列およびDNA配列、ならびにメッセンジャーRNAプロセッシングを制御する3’UTRシグナルをコードするDNA配列を含む。いずれかの特定な種における発現を最適化するための適切なエレメントの選択は、この開示の教示により当該分野における一般的な技術的事項である。最終的に、ベクターは、望ましくは、ベクターを含む宿主細胞の同定を可能にする表現型の特性を提供できるマーカー遺伝子を有するべきである。
【0052】
植物細胞に挿入された外因性コーディング配列の活性は、挿入部位に隣接する内在性植物DNAの作用に依存する。一般に、異種性遺伝子の挿入は、いずれの形質転換技術を用いて無作為であるようだが;現在、植物細胞へのDNAの部位特異的組み換えを用いて植物を産生するための技術が存在する(WO91/09957を参照)。プロモーターの制御における望ましい配列または配列の発現を生じるいずれかの方法または方法の組み合わせが好ましい。
【0053】
本発明は、植物細胞を形質転換させるいずれかの特定の方法に限定されない。植物細胞にDNAを導入するための技術は、当業者に周知である。植物細胞に外因性DNAを送達するための4つの基本的な方法が報告されている。化学的方法(Graham and van der Eb, Virology, 54(02):536-539, 1973;Zatloukal, Wagner, Cotten, Phillips, Plank, Steinlein, Curiel, Birnstiel, Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:136-153, 1992);マイクロインジェクション(Capecchi, Cell, 1980, 22(2):479-488)、エレクトロポレーション(Wong and Neumann, 1982, Biochim. Biophys. Res. Commun., 107(2):584-587;Fromm, Taylor, Walbot, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82(17):5824-5828;U.S. Pat. No. 5,384,253)および遺伝子ガン(Johnston and Tang, 1994, Methods Cell. Biol., 43(A):353-365;Fynan, Webster, Fuller, Haynes, Santoro, Robinson, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90(24):11478-11482)を含む物理的方法;ウイルス法(Clapp, 1993, Clin. Perinatol., 20(1):155-168;Lu, Xiao, Clapp, Li, Broxmeyer, 1993, J. Exp. Med., 178(6):2089-2096;Eglitis and Anderson, 1988, Biotechniques, 6(7):608-614;Eglitis, Kantoff, Kohn, Karson, Moen, Lothrop, Blaese, Anderson, 1988, Avd. Exp. Med. Biol., 241:19-27);ならびに受容体介在法(Curiel, Agarwal, Wagner, Cotten, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88(19):8850-8854;Curiel, Wagner, Cotten, Birnstiel, Agarwal, Li, Loechel, Hu, 1992, Hum. Gen. Ther., 3(2):147-154;Wagner et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89 (13):6099-6103)。
【0054】
エレクトロポレーションによるDNAの植物細胞への導入は当業者に周知である。ペクチン分解酵素のごとき植物細胞壁分解酵素は、受容細胞を未処理細胞よりエレクトロポレーションによる形質転換に対してより感受性とするのに用いられる。エレクトロポレーションによる形質転換をもたらすために、細胞の懸濁培養液、または胚発生カルス、または未熟胚のごとき脆弱な組織あるいは他の構築された組織を用いてもよい。一般に、調節された手段におけるペクチン分解酵素または機械的損傷により標的植物物質である細胞壁を部分的に分解することが必要である。このように処理された植物物質は、エレクトロポレーションによる外因性DNAを受け入れる用意ができている。
【0055】
外因性形質転換DNAを植物細胞に送達するための別の方法は、微粒子照射(bombardment)によるものである。この方法において、微粒子は、外因性DNAによりコートされ、推進力により細胞に送達される。かかる微粒子は、典型的には、タングステン、金、プラチナ、および同様の金属からなる。微粒子照射の利点は、プロトプラストの単離(Cristou et al., 1988, Plant Physiol., 87:671-674)もアグロバクテリウム感染に対する感受性も必要とされない点である。加速(acceleration)によりトウモロコシ細胞にDNAを送達するための方法の例示的な具体例は、Biolistic Particle Delivery Systemであり、これは、懸濁状態で培養したトウモロコシ細胞で覆われたフィルター表面上にスクリーンを通じてDNAまたは細胞でコートされた粒子を推進するのに用いることができる。前記スクリーンは、粒子が大きな凝集体中の受容細胞に送達されないように粒子を散布する。前記照射において、懸濁状態の細胞は、好ましくはフィルター上または固体培地上で濃縮される。代替的に、未熟胚または他の標的細胞は、固体培地上で準備されてもよい。照射形質転換において、前照射培養条件および照射パラメーターを最適化することにより安定な形質転換体の最大数を得てもよい。照射のための物理学的および生物学的パラメーターの両方は、この技術において重要である。物理学的な因子は、DNA/微粒子の沈殿物を操作することに関するものまたは微粒子のどちらの飛行(flight)および速度に影響するものである。生物学的な因子は、照射前および直後における細胞の操作、照射に伴う外傷の軽減を補助する標的細胞の浸透圧調節、ならびに直鎖状DNAまたは無傷のスーパーコイル状プラスミドのごとき形質転換DNAの形状に関する全ての工程を含む。
【0056】
アグロバクテリウム介在導入は、プロトプラストから無傷な植物を再生する必要がある場合を除いて、外因性DNAが全植物組織に導入されうるため、植物細胞へ外因性DNAを導入するための広範囲に適用可能なシステムである。植物細胞にDNAを導入するためのアグロバクテリウム介在植物組み込みベクターの使用は、当該技術分野でよく知られている。例えば、Fraley et al., 1985, Biotechnology, 3:629; Rogers et al., 1987, Meth. in Enzymol., 153:253-277に記載される方法を参照。さらに、Ti−DNAの組み込みは、ほとんど再構築を生じない比較的正確なプロセスである。導入されるDNAの領域は、境界配列により定められ、介在するDNAは、通常、Spielmann et al., 1986, Mol. Gen. Genet., 205:34;Jorgensen et al., 1987, Mol. Gen. Genet., 207:471に記載されるごとき植物ゲノムに挿入される。
【0057】
最新のアグロバクテリウム形質転換ベクターは、アグロバクテリウムと同様にE.coliにおいて複製することができ、利便的な操作が可能である。さらに、アグロバクテリウム介在遺伝子導入用ベクターにおける最近の技術進歩は、ベクターにおける遺伝子および制限酵素部位の構成を改善することにより、様々なタンパク質またはポリペプチドを発現できるベクターの構築を容易にした。挿入されたポリペプチドをコードする遺伝子の直接発現のためのプロモーターおよびポリアデニル化部位に隣接する利便的な多リンカー領域は、本発明の目的に適する。加えて、連結(armed)および連結されていない(disarmed)Ti遺伝子の両方を含むアグロバクテリウムは、形質転換に用いることができる。
【0058】
植物プロトプラストの形質転換は、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション、およびこれらの処理の組み合わせに基づく方法を用いて行うことができる(例、Potrykus et al., 1985, Mol. Gen. Genet., 199:183;Marcotte et al., 1988, Nature, 335:454を参照)。これらの系の異なる植物種への適用は、プロトプラストから特定の種を再生する能力に依存する。
【0059】
一度植物細胞が形質転換され、選択され、抗原発現を確認されると、いくつかの例では、稔性植物全体を再生することが可能である。このことは、選択される植物種に大きく依存する。多くの植物種を再生するための方法は、文献に報告され、当業者によく知られている。本発明の実施に関して、一般的に長期の再生工程を避けることにより急速に培養させ、成長させることができる植物細胞株を形質転換することが好ましい。さらに、植物細胞培養の使用は、屋外の農場生産を回避し、遺伝子エスケープと食物汚染の機会を大いに減らす。NT−1およびBY−2(An, G., 1985, Plant Physiol., 79:568-570)のごときタバコの懸濁細胞培養は、これらの株が培養中に操作するのに特に適し、容易に形質転換され、安定に組み込まれたイベント(event)を提供し、凍結保存に適することから好ましい。
【0060】
タバコ懸濁細胞株、NT−1は、本発明の実施に適する。NT−1細胞は元々、タバコBY−2(Nicotiana tabacum L.cv. bright yellow 2)から開発された。NT−1細胞株は広く使用され、容易に利用可能である;しかし、いずれのタバコ懸濁細胞株であっても本発明に適合する。下記の実施例の使用に適するNT−1細胞は、アメリカンタイプカルチャーコレクションから受託番号ATCC第74840号で入手できる。また、出典明示により全体を本明細書に援用する米国特許第6,140,075号を参照のこと。
【0061】
研究室規模の振蘯フラスコから何千リットルのバイオリアクター容器までの範囲の多くの植物細胞培養技術および系は、植物細胞培養の技術において公表され、よく知られている。例えば、Fischer, R. et al, 1999, Biotechnol. Appl. Biochem., 30, 109-112およびDoran, P., 2000, Current Opinions in Biotechnology, 11:199-204を参照。形質転換された植物細胞が望ましい量まで培養された後、それらは回収され、穏やかに洗浄され、破砕に適した緩衝液中に置かれる。多くの異なる緩衝液が本発明に適合する。一般に、緩衝液は、中和pH値またはその近似値の等張緩衝塩水溶液であって、膜を可溶化するのに用いられ得る粗い界面活性剤を含まない。好ましい緩衝液は、1mM EDTAを含むダルベッコリン酸緩衝食塩水およびPBSを含む。
【0062】
一の具体例では、細胞は、超音波処理により破砕することができる。洗浄された細胞は、約0.01gm/mlから約5.0gm/mlの範囲、好ましくは約0.1gm/mlから約0.5gm/mlまで(緩衝液の体積あたりの洗浄された湿重量細胞)の範囲で緩衝液中に置かれる。多くの市販されている破砕機器は本発明に適合し、破砕の時間は約5から約20秒、好ましくは約15から約20秒の範囲である。結果物は、数ミクロンから数百ミクロンの大きさの範囲であり、HA1ポリペプチドまたはその免疫原性フラグメントを露出していてもよい。
【0063】
用語「含む」、「からなる」および「必須としてなる」は、それらの一般的な意味に従って定義される。前記用語は、各用語に関する特定の意味を付随させるために、本出願を通して相互に置き換えられてもよい。用語「単離」または「生物学的に純粋」は、その自然状態で見出されるごとく物質を通常伴う構成要素から物質が実質的または本質的に解離されることを意味する。それゆえ、本発明による単離ペプチドは、好ましくは、それらの生体内の環境でペプチドに通常付随する物質を含まない。
【0064】
本明細書で参照されるか、または引用される全ての特許、特許出願、および刊行物は、本明細書の明白な教示に矛盾しない程度に、全ての図および表を含む全体を出典明示により援用される。本明細書に記載される実施例および具体例は例示のためのみであり、それを踏まえて様々な改良または変化が当業者により推定され、本出願の精神と範囲および添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解されるべきである。さらに、本明細書で開示される発明またはその具体例のいずれかの構成要素または限定は、いずれかのおよび/または全ての他の構成要素または限定(個々にまたはいずれかの組み合わせで)、あるいは本明細書で開示される他のいずれかの発明またはその具体例と結びつくことができ、全てのかかる組み合わせは、それに限定されることなく本発明の範囲内として考慮される。
【0065】
本明細書は、鳥インフルエンザの可変性異型株の従来調製されたワクチンよりより広い交叉防御を記載する一方、本明細書に記載される植物で作成されたワクチンの構成基盤および概念は、それらの抗原性決定因子を変化させる能力を有する他の病原体により引き起こされる疾病を制御することに適用できる。
【0066】
本明細書で参照されるか、または引用される全ての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、本明細書の明白な教示に矛盾しない程度に、全ての図および表を含む全体を出典明示により援用される。
【0067】
以下は、本発明を実施するための手順を例示する実施例である。これらの実施例は限定するものとして解釈されるべきではない。特に記載がない限り、全ての百分率は重量であり、全ての溶媒混合物の比率は容量である。
【0068】
実施例1−マウスの異種性誘発における植物細胞生成H5の防御効果
異種性(<90%相同性)誘発に対して防御するための植物細胞で生成された鳥インフルエンザウイルス(AIV)H5抗原の能力を確認し、さらに理解するために、マウスワクチンおよびAIV誘発実験を行った。出典明示により全体を本明細書に援用する米国特許第7,132,291号の教示に実質的に従って、AIVのシチメンチョウウィスコンシン68株のH5抗原遺伝子を植物コドンに最適化し、NT−1植物細胞に形質転換させ、培養した。
【0069】
細胞溶解
H5抗原を発現するように形質転換されたNT−1植物細胞を、200mM Tris pH8、5mM EDTA pH8、2mM ジチオスレイトールおよび2% デオキシコール酸(Doc)Na中で(氷上でBiospec(登録商標)ビーズ撹拌器を用いて)100gの一定分量に溶解させた。溶解物を4℃で一晩撹拌させてH5抽出を助長し、遠心分離、続いてろ過(0.45μm)により清澄し、さらに下記のとおりに精製した。一部をH5用に定量化し、凍結乾燥させ、−20℃で保存した。
【0070】
Mabクロマトグラフィー
精製されたバルクH5抗原を、溶解した形質転換NT−1植物細胞から下記のとおりに調製した。上記で調製された植物細胞溶解物をMilli−Q(登録商標)水で4から1倍に希釈してDco濃度を0.5%まで下げた。希釈した植物細胞溶解物を、約125ml H5 Mabを50mM Tris pH8で溶出したアフィニティーカラムに通した。カラムを50mM Tris pH8でベースラインまで洗浄し、結合したタンパク質を50mM Tris pH8、2M NaSCNで溶出した。溶出したH5タンパク質を凍結乾燥の前に2倍量の10.5mM重炭酸アンモニウム(揮発性緩衝液)に対して透析を行った。
【0071】
抗原の調製
1.実験ワクチン:約129.5μgのH5抗原を含む凍結乾燥された形質転換NT−1細胞溶解ケークを3.5mlの蒸留水を用いて再水和させ、37μg/mlのバルクH5抗原保存溶液の濃度を有する植物細胞溶解保存溶液を得た。バルクH5抗原保存溶液を6000XGで20分間の遠心分離、次いで0.22ミクロンフィルターを通す滅菌ろ過により清澄化させた。次に、この滅菌ろ過されたバルクH5抗原を最終的な実験ワクチン集合物のために保持した。
【0072】
2.精製ワクチン:Mabクロマトグラフィーにより精製されたH5抗原の凍結乾燥されたバイアルを用いて精製ワクチンを調製した。凍結乾燥されたバイアルの各々は、500μgのH5抗原を含有した。各バイアルを5mlの滅菌水で再水和させて100μg/mlの最終濃度を得た。この物質は清澄または滅菌ろ過を必要とせず、次いでこれを最終的な精製ワクチン集合物用に保持した。
【0073】
3.NT−1ブランク対照:形質転換されていないNT−1植物細胞を、H5抗原を発現する形質転換NT−1細胞の代わりに用いることを除いて、上記実験ワクチン(1)で用いられるごとく同一の手順を用いてNT−1ブランク対照を調製した。
【0074】
製剤
最終ワクチンの各々を以下の手順を用いて26.7ng/mlの最終的なH5濃度とした。実験ワクチン抗原、精製ワクチン抗原またはNT−1ブランク対照溶解物を滅菌済みの50ml円錐底遠心分離チューブに添加した。滅菌ろ過されたQuil A 保存(滅菌水中に50mg/ml、デンマークのBrenntag)溶液の必要量を、40μg/用量の最終濃度までチューブに添加し、滅菌ローター固定子型ホモジェナイザーを用いて1分間混合させた。コレステロール保存溶液(EtOH中に18mg/ml)の必要量を10μg/用量の最終濃度までチューブに添加し、滅菌ローター固定子型ホモジェナイザーを用いて1分間混合させた。レシチンおよびアクリルポリマーの前もって調製し、オートクレーブをかけた混合物の必要容量(3:2 レシチン:カルボポル)を、1mg/用量の最終濃度まで添加し、1分間ホモジェナイズした。滅菌水の必要量をチューブに添加し、混合させた。
【0075】
次いで、集めたワクチンを滅菌血清バイアルに無菌的に移し、密封し、標識した。集めたワクチンのバイアルを、臨床的な治験実験施設で必要とされて輸送されるまで4℃で保存した。
【0076】
ワクチン
65匹のBALB/cマウス(雌;5−6週齢)を表1に記載されるごとく処理グループ1、処理グループ2、処理グループ3または処理グループ4に割り当てた。実験日0、14および21において、マウスを表1に記載されるごとく150μl用量の処方された処置でワクチン接種した。ワクチンを皮下投与した。グループ4のマウスにはワクチン接種しなかった。
【0077】
ワクチン接種後解析
35日目に、全てのマウスをABSL3施設に移動させ、1週間新しい施設に慣れさせた。42日目に、グループ1、グループ2およびグループ3の各々から5匹のマウスを無作為に選択し、鎮静状態で放血させた。血液を血清に処理し、血清学的分析用に≦−20℃で保存した。さらに、42日目に、グループ1、グループ2およびグループ3の各々から残りの15匹のマウスを、50μLの約1.5x10のTCID50鳥インフルエンザウイルスA/ベトナム/1203/04で誘発した。グループ4の5匹のマウスをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で偽誘発させた。全ての誘発をケタミンによる麻酔状態下で行った。
【0078】
実験45日目に、グループ1から5匹のマウス、グループ2から5匹のマウス、グループ3から5匹のマウスおよびグループ4(5匹のマウス)の全マウスを解剖し、肺および脳を取り出した。肺および脳をホモジェナイズし、TCID50定量により生存ウイルスを試験した。
【0079】
グループ1、グループ2およびグループ3における残り10匹のマウスを、実験56日目の終結まで疾患の臨床的徴候についてモニターした。
【0080】
血清学的分析
AIVのシチメンチョウウィスコンシン68株に対する赤血球凝集抑制およびA/ベトナム/1203/04に対する血清中和を、実験42日目のグループ1および2のマウスから採血した血液において行った。
【0081】
血球凝集抑制アッセイ
赤血球凝集抑制(HAI)血清学的アッセイを、尿膜腔液中で調製された不活性化AIVのシチメンチョウウィスコンシン68株に対して42日目に採取された血清サンプルについて行った。不活性化されたウイルスを希釈して50μlあたり8から16の間の赤血球凝集(HA)単位にした。血清サンプルをPBSで2倍連続希釈した。希釈血清サンプルに同体積の希釈ウイルスを添加した。次いで、血清−ウイルス混合物を室温で60分間インキュベートした。ニワトリ赤血球(cRBC)の1%溶液を血清−ウイルス混合物に添加し、2−7℃で24時間インキュベートした。次に、プレートを赤血球凝集(陽性結果)またはペレット状のcRBC(陰性結果)について視覚的に検査した。HAI力価は、cRBCの赤血球凝集を生じるウイルスの能力を抑制できる血清の逆希釈を表す。
【0082】
血清中和アッセイ
血清中和アッセイをABSL−3実験室で行った。中和用量50力価(ND50)を、下記のとおり血清サンプルについて調べた。各サンプルの連続2倍希釈液を、イーグル最小必須培地(EMEM)を用いて調製した。鳥インフルエンザウイルス(ベトナム/1203/04)を希釈血清サンプルに添加し、この混合物を37℃で1時間インキュベートした。次いで、MDCK細胞で少なくとも90%コンフルエント(confluent)である96ウェルプレートを、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で洗い、ウェルを100μlの各血清ウイルス希釈液で5倍量において接種した。次に、プレートを加湿インキュベーター中において約37℃および5% COで96±6時間インキュベートした。プレートを細胞変性効果(CPE)について顕微鏡下で認定した。ND50を、接種したウェルの50%におけるCPE非存在を生じる希釈率として示し、スピアマンカルバー(spearman Karber)法を用いて算出した。
【0083】
肺および脳由来の生存可能なウイルス力価
グループ1、2および3の各々における5匹のマウスに由来する脳および肺をCMF−PBS中に取り出し、ホモジェナイズした。ホモジェナイズ物を微量遠心器チューブに分注し、≦−70℃で保存した。脳および肺のホモジェナイズサンプルをTCID50を用いて生存ウイルスについて試験した。肺および脳を取り出し、1% 抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン)と一緒に調製した1mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で≦−70℃中に無傷で凍結した。解凍後、肺および脳をホモジェナイズし、サンプルを組織培養感染量50(TCID50)により生存ウイルスについて試験した。簡潔に説明すると、各サンプルの連続5倍希釈を、EMEMを用いて調製した。希釈シリーズもまた、陽性対照サンプル(PC、公知のTCID50力価を有する陽性サンプル)および陰性対照サンプル(NC、ウイルス未処理である)について調製した。次いで、MDCK細胞で少なくとも90%コンフルエント(confluent)である96ウェルプレートを、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で洗い、ウェルを100μlの各血清ウイルス希釈液で5倍量において接種した。次に、一連の少なくとも5つの細胞培養コントロール(CC)ウェルを100ml EMEMで接種した。続いて、PCおよびNCサンプルの希釈シリーズを、別々の96ウェルプレート上に5倍量で接種した。陽性および陰性対照プレートの両方は各々、最低5つのCCウェルを含有した。次いで、プレートを加湿インキュベーター中において約37℃および5% COで96±6時間インキュベートした。プレートを細胞変性効果(CPE)について顕微鏡下で技術者により認定した。有効と認められるアッセイのためには、混入(contamination)があり得ず、各プレート上の少なくとも5つのCCウェルが健常なコンフルエント(>80%)の単層であることが必要とされた。TCID50は、接種されたウェルの50%のCPEを生じる希釈率であり、スピアマンカルバー(spearman Karber)法を用いて算出された。
【0084】
結果
グループ1、グループ2およびグループ3の各々に由来する5匹のマウスを、血清学的検査のために出血させた。血清学的結果(赤血球凝集抑制および血清中和)を表2に示す。グループ1(実験ワクチン)に由来する5匹のマウスのうちの5匹は、赤血球凝集抑制血清学(HAI)により証明されるごとく(ワクチン中におけるH5抗原に相同である)シチメンチョウウィスコンシン68に対する抗体を発生させた。グループ1の幾何平均力価(GMT)は388であった。グループ2(精製ワクチン)に由来する5匹のマウスのうちの3匹は、HAI力価が上昇した。グループ2のGMTは60.7であった。
【0085】
グループ3(NT−1ブランク対照)に由来する5匹のマウスは、シチメンチョウウィスコンシン68に対するHAI抗体を発生させなかった。グループ1(実験ワクチン)に由来する5匹のうちの3匹は、血清中和血清学(SN)により証明されるごとく、(ワクチン中のHAに相同性のある)ベトナム/1203/04に対する抗体を発生させた。グループ1の幾何平均力価(GMT)は34.0であった。グループ2に由来する5匹のうちの1匹は、SN力価(GMT=3.1)を発生させ、グループ3に由来する5匹のうちのいずれもがベトナム/1203/04に対するSN抗体を発生させなかった。
【0086】
生存可能な鳥インフルエンザウイルスを、実験45日目(誘発3日後)におけるグループ1、2、3および4の各々に由来する5匹のマウスの肺および脳から単離した。グループ4の5匹のマウス全てを、上記のごとく屠殺し、それゆえ表4に記載されていない。ウイルス単離の結果を表3に表す。4つのグループ全てにおいて、脳組織から生存ウイルスを単離できなかった。グループ1(実験ワクチン)では、5匹のマウスのうちの1匹は、無菌の肺組織を示した(ウイルスを単離できなかった)。グループ1マウスの肺に由来する生存ウイルスのGMTは、3.31x10TCID50/mLであった。グループ2(精製ワクチン)マウスでは、5匹のマウスのうちの5匹から生存ウイルスを単離できた。グループ2のマウスの肺に由来する生存ウイルスのGMTは、2.19x10TCID50/mlであった。グループ3(NT−1ブランク対照)のマウスは、グループ1のマウスより、肺組織における生存する鳥インフルエンザウイルスの1ログ(log)より大きい値を示した。グループ3では、5匹のマウスのうちの5匹が陽性単離を示し、該グループのGMTは、8.72x10TCID50/mlであった。グループ4(非ワクチンおよびPBSのみによる誘発)のマウスは、肺組織からのウイルス単離を示さなかった。
【0087】
グループ1、グループ2およびグループ3の各々における10匹のマウスを、誘発の日(42日)から誘発2週間後(56日)まで臨床的にモニターした。表4は、グループ1、グループ2およびグループ3の誘発後の死亡日を示す。実験の生活相の終結(実験日56;誘発14日後)までに、グループ1(実験ワクチン)における100%のマウスが誘発に対して生き残った。グループ2(精製ワクチン)では、10%のマウスが誘発に対して生き残った。グループ3(ブランク対照)では、100%のマウスが誘発で死亡した。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

* HAI GMT計算値<8を7として表した
** SN GMT計算値0を1として表した
【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
本明細書で記載される実施例および具体例は、例示の目的のみであって、その目的における様々な修飾または変化が当業者によって推測され、それは本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解されるべきである。さらに、本明細書中に記載されるいずれかの発明またはその具体例のいずれかの構成要素および限定は、本明細書中で開示されるいずれかのおよび/または全ての他の構成要素または限定(個別にまたはいずれかの組み合わせで)あるいはいずれか他の発明またはその具体例と組み合わせることができ、かかる組み合わせの全ては、それらに限定されることなく本発明の範囲内と意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物またはヒトにおける鳥インフルエンザウイルス(AIV)株に対する免疫防御応答を誘導する方法であって;
a)植物細胞において、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%から約90%の間の相同性を有する公知のHA1可変領域ポリペプチドを含むDNA配列を発現させ;
b)前記植物細胞で発現される公知のHA1可変領域ポリペプチドを用いてワクチン組成物を調製し;次いで、
c)前記ワクチン組成物を動物またはヒトに投与して、感染防御免疫応答を前記動物またはヒトにおいて誘導すること
を含む方法。
【請求項2】
植物で作成されたAIVワクチンを調製するための方法であって;
a)植物細胞を、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%から約90%の間の相同性を有する公知のHA1可変領域ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクターで形質転換させ;
b)前記植物細胞を該公知のポリペプチドの発現に適切な条件下で培養し;
c)該公知のポリペプチドを回収し;次いで
d)該公知のポリペプチドを医薬上許容される賦形剤および希釈剤と混合すること
を含む方法。
【請求項3】
誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%から約90%の間の相同性を有する公知のヘマグルチニン1(HA1)可変領域ポリペプチドを含む植物で作成されたAIVワクチンであって、該植物で作成されたワクチンの動物またはヒトへの投与が、前記約70%から約90%相同性である誘発株に対する前記動物またはヒトの感染防御免疫応答を誘発する、植物で作成されたAIVワクチン。
【請求項4】
前記公知のHA1可変領域ポリペプチドが、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに少なくとも70%の相同性であって、87.0%、86.5%、86.0%、85.5%、85.0%、84.5%、84.0%、83.5%、83.0%、82.5%、82.0%、81.5%、81.0%、80.5%、80.0%、79.5%、79.0%、78.5%、78.0%、77.5%、77.0%、76.5%、76.0%、75.5%、75.0%、74.5%、74.0%、73.5%、73.0%、72.5%、72.0%、71.5%または71.0%より低い相同性を有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記公知のHA1可変領域ポリペプチドが、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%ないし約71.0%、71.5%、72.0%、72.5%、73.0%、73.5%、74.0%、74.5%、75.0%、75.5%、76.0%、76.5%、77.0%、77.5%、78.0%、78.5%、79.0%、79.5%、80.0%、80.5%、81.0%、81.5%、82.0%、82.5%、83.0%、83.5%、84.0%、84.5%、85.0%、85.5%、86.0%、86.5%または87.0%の間の相同性を有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
前記公知のHA1可変領域ポリペプチドが、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに70%ないし71.0%、71.5%、72.0%、72.5%、73.0%、73.5%、74.0%、74.5%、75.0%、75.5%、76.0%、76.5%、77.0%、77.5%、78.0%、78.5%、79.0%、79.5%、80.0%、80.5%、81.0%、81.5%、82.0%、82.5%、83.0%、83.5%、84.0%、84.5%、85.0%、85.5%、86.0%、86.5%または87.0%の間の相同性を有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
前記公知のHA1可変領域ポリペプチドが、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに少なくとも70%の相同性であって、87.0%、86.5%、86.0%、85.5%、85.0%、84.5%、84.0%、83.5%、83.0%、82.5%、82.0%、81.5%、81.0%、80.5%、80.0%、79.5%、79.0%、78.5%、78.0%、77.5%、77.0%、76.5%、76.0%、75.5%、75.0%、74.5%、74.0%、73.5%、73.0%、72.5%、72.0%、71.5%または71.0%より低い相同性を有する、請求項3記載の植物で作成されたAIVワクチン。
【請求項8】
前記公知のHA1可変領域ポリペプチドが、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに約70%ないし約71.0%、71.5%、72.0%、72.5%、73.0%、73.5%、74.0%、74.5%、75.0%、75.5%、76.0%、76.5%、77.0%、77.5%、78.0%、78.5%、79.0%、79.5%、80.0%、80.5%、81.0%、81.5%、82.0%、82.5%、83.0%、83.5%、84.0%、84.5%、85.0%、85.5%、86.0%、86.5%または87.0%の間の相同性を有する、請求項3記載の植物で作成されたAIVワクチン。
【請求項9】
前記公知のHA1可変領域ポリペプチドが、誘発株HA1可変領域ポリペプチドに70%ないし71.0%、71.5%、72.0%、72.5%、73.0%、73.5%、74.0%、74.5%、75.0%、75.5%、76.0%、76.5%、77.0%、77.5%、78.0%、78.5%、79.0%、79.5%、80.0%、80.5%、81.0%、81.5%、82.0%、82.5%、83.0%、83.5%、84.0%、84.5%、85.0%、85.5%、86.0%、86.5%または87.0%の間の相同性を有する、請求項3記載の植物で作成されたAIVワクチン。

【公表番号】特表2009−535306(P2009−535306A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506790(P2009−506790)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/067069
【国際公開番号】WO2008/060669
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.UNIX
【出願人】(390039192)ダウ・アグロサイエンス・エル・エル・シー (20)
【氏名又は名称原語表記】Dow AgroSciences LLC
【Fターム(参考)】