説明

鳥インフルエンザの治療のための漢方組成物、それらの調製方法、およびそれらの適用

【課題】鳥インフルエンザの予防および治療のための漢方組成物を提供する。
【解決手段】活性成分は:ジュウヤク21.4wt.%、ニンドウ17.9wt.%、バンランコン14.3wt.%、オシダ10.7wt.%、サンズコン7.1wt.%、ビャクシ7.1wt.%、ジュウロウ7.1wt.%、セイコウ7.2wt.%、およびイリス7.2wt.%からなる。この漢方組成物は、例えば経口溶液、錠剤、カプセル、ペレット、および注射溶液等のいずれの定型的な薬剤剤形に作ることができる。この漢方組成物の修飾された調製方法、ならびに鳥インフルエンザの予防または治療のための薬剤および健康食品の調製におけるそれらの使用も提供できる。それは、より安全であり、より簡単に得られ、且つ安価な抗鳥インフルエンザ薬である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、鳥インフルエンザ(AI)の予防および治療のための漢方組成物、それらの調製方法、およびそれらの適用に関する。さらに詳細に言うと、本発明は、薬用植物から作られるAIの予防および治療のための漢方組成物、それらの調製方法、およびそれらの適用に関する。
【発明の背景】
【0002】
AIは、A型インフルエンザウイルスにより引き起こされる鳥類の急性伝染性の症状である。影響される動物には、ガチョウ、ニワトリ、アヒル、ハト、および他の野鳥が含まれる。接触伝染病についての研究は、AIV(鳥インフルエンザウイルス)が高い病原性および伝染性を有することを示している。AIは、国際獣疫事務局によってA型感染症として定義され、家禽ペストまたはヨーロッパペストとしても既知である。病原体に関して、AIには3つの型がある。これらには、高病原性、低病原性、および非病原性が含まれる。非病原性のAIによって明らかな症状は引き起こされない。しかしながら、いくつかのウイルス抗体が、感染した鳥において産生される。低病原性のAIによって引き起こされる症状には、辺縁の呼吸症状、食物摂取の減少、産卵の減少、および多少の死が含まれる。高病原性のAIは、非常に高い死亡率をともない、最も重篤な症状を引き起こし得る。ヒトは、1878年に発見された高病原性のAIに対する予防および治療のための有効な方法をまだ持たない。滅菌、隔離、および群れの屠殺が、さらなる蔓延を防止するために用いられてきた。感染した群れは、非常に高い死亡率を有し、深刻な財政的な損失をもたらしてきた。
【0003】
本来、AIとヒトのインフルエンザの間の相互関係は、ブタ、ウマ、イルカ、および他の哺乳類のような中間宿主を介して起こっていた。しかしながら、高病原性のAIVの抗原性の特性が頻繁に変化し、それは抗原不連続変異および抗原連続変異とも呼ばれる。加えて、その中間宿主は連続的に増加した。現在では、高病原性AIVは、人に直接感染しうる。種間の感染の最初のケースは、1997年の香港、中国であり、1999年に中国本土および香港で再び起こった。それはH9N2 AIVにより引き起こされ、いくらかの死亡も引き起こした。ヒトおよび他の哺乳類はH1、H2、およびH3インフルエンザウイルスにのみ感染し得るというルールが破られた。H5 およびH9はインフルエンザウイルスファミリーの最も新しいメンバーであり、公衆衛生に対して新しい話題をもたらす。鳥インフルエンザは、多くの国で起こり、ヒトの健康および世界経済の安全のための主要な脅威となっている。
【0004】
長い間、ヒトにおいて見出されるインフルエンザウイルスはH1、H2、およびH3のみであった。研究、ワクチン、および抗ウイルス薬の全てがこれら3つのウイルスに向けられていた。ヒトは、新しく発生したH5、H9、およびH7に対する免疫も有効な薬物も持っていなかった。発熱、筋痛、および悪寒を含む重篤な症状は、ヒトにおいて、高病原性のAIVに感染することにより引き起こされる可能性がある。その合併症は、死を引き起こす可能性さえある。
【0005】
現在の主要な抗インフルエンザウイルス薬には、ノイラミニダーゼ阻害剤(ザナミビル、オセルタミビルなど)、イオンチャネル遮断薬(アマンタジンおよびリマンタジンなど)、およびヌクレオチド薬(トリバビリン、すなわちリバビリンまたはビラゾール)が含まれる。イオンチャネル遮断薬は、インフルエンザウイルスの予防および治療のための最も優れた薬物であると考えられていた。
【0006】
しかしながら、上述の薬物は限界を示した:
(1)ノイラミニダーゼ阻害剤は、A型およびB型インフルエンザウイルスを効果的に抑制することができる。しかしながら、それは相対的に高価であり、その拡大を制限する。例えば、ロシュ製薬会社で製造されるタミフルは、204255-11-8のCASRNを有するリン酸オセルタミビルとも呼ばれ、すなわち、オセルタミビル(196618-13-0 のCASRNを有する(3R, 4R, 5S)-4-アセチルアミノ-5-アミノ-3(1-エチルプロポキシ)-1-シクロへキセン-1-カルボン酸エチルエステル)のリン酸塩である。この薬は1日2回、それぞれ75mgずつの用量で服用しなければならない。従って、薬に対して1日当り60RMB(人民元)が必要とされた。1回5日間の治療周期には300RMB(人民元)が必要とされた。さらに、ロシュ製薬会社は、製造の複雑性および高い品質基準の維持のような理由を持ち出して、2017年の後でさえタミフルに対する特許権を放棄することを拒否した。それ故、タミフルの製造は不足した。
【0007】
しかしながら、タミフルには、幻覚、異常行動、ならびに他の精神および神経症状を含む重要な副作用が見つかっている。薬剤耐性も患者の一部において観察されている。
【0008】
(2)イオンチャネル遮断薬は、A型インフルエンザウイルスを効果的に抑制することができる。しかしながら、それは神経系に対して有害であり、長期間服用した場合、薬剤耐性を引き起こす可能性があった。それはまた、B型インフルエンザウイルスに有効ではなかった。
【0009】
(3)トリバビリン(ビラゾール)は、RNAおよびDNAウイルスによって引き起こされた感染症を効果的に治療することができる。しかしながら、この化合物は臨床実務におけるその適用を制限する催奇形性を有する。
【0010】
インフルエンザウイルスに対する効果的且つ安全な治療を見つけるために、多くの科学者が中国の伝統的な薬用植物に助けを求めた。例えば、ニワトリ、アヒルの鳥インフルエンザを予防することができる漢方組成物は、華南農業大学からの論文CN200510011432.3において紹介された。しかしながら、この漢方組成物は、鳥インフルエンザの治療においてあまり効果を示さず、それ故AIの激増を阻止することに対する必要性を満たせない。
【0011】
それ故、鳥インフルエンザを予防するだけでなく治療も可能な、安全で、効果的で、安価な薬が非常に必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明の1つの目的は、鳥インフルエンザの予防および治療のための漢方組成物を提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、本発明の漢方組成物の調製方法を提供することである。
【0014】
さらに、本発明の他の目的は、鳥インフルエンザの予防および治療において使用される薬剤の調製における、本発明の漢方組成物の使用を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、鳥インフルエンザの予防および治療において使用される健康商品の調製における、本発明の漢方組成物の使用を提供することである。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、鳥インフルエンザを有効に予防および治療することができる漢方組成物は、活性成分および/または医学的に許容可能なキャリアを含んでなり、前記活性成分には、実質的に:ジュウヤク(herba houttuyniae) 4.7wt.%〜70.0wt.%、ニンドウ(Caulis lonicerae japonicae) 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン(radix isatidis) 2.3wt.%〜42.0wt.%、サンズコン(radix et rhizoma sophorae tonkinensis) 1.2wt.%〜35.0wt.% 、ならびに解熱および解毒のための他の薬用植物が含まれる。
【0017】
上記薬用植物は、オシダ(Male Rern Rhizome)、ビャクシ(Radix angelicae dahuricae)、センシンレン(Herba Andrographic)、セイヨウタンポポ(Dandelion)、天然藍(Natural Indigo)、ダイケットウ(Sargentgloryvine Stem)、カンゾウ(Chinese Licorice)等である。
【0018】
上記漢方組成物の活性成分には、ジュウヤク 4.7wt.%〜70.0wt.%、ニンドウ 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン 2.3wt.%〜42.0wt.%、およびサンズコン 1.2wt.%〜35.0wt.%も含まれてよい。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態において、鳥インフルエンザを効果的に予防および治療することができる漢方組成物は、活性成分および/または医学的に許容可能なキャリアを含んでなり、前記活性成分には、実質的に、ジュウヤク 4.7wt.%〜58.4wt.%、ニンドウ 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン 2.3wt.%〜42.0wt.%、サンズコン 1.2wt.%〜35.0wt.%、オシダ 1.9wt.%〜37.3wt.%、ビャクシ 1.2wt.%〜35.0wt.%、ならびに解熱および解毒のための他の薬用植物が含まれる。
【0020】
上記薬用植物は、ジュウロウ(rhizoma paridis)、セイコウ(herba artemisiae annuae)、アタンシ(Java brucea fruit)、センシンレン、セイヨウタンポポ、ハッカ(mint)、キキョウ(platycodon grandiflorus)、カンゾウ等である。
【0021】
上記漢方組成物の活性成分には、ジュウヤク 4.7wt.%〜58.4wt.%、ニンドウ 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン 2.3wt.%〜42.0wt.%、サンズコン 1.2wt.%〜35.0wt.%、オシダ 1.9wt.%〜37.3wt.%、およびビャクシ 1.2wt.%〜35.0wt.%が含まれてもよい。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態において、鳥インフルエンザを効果的に予防および治療することができる漢方組成物は、活性成分および/または医学的に許容可能なキャリアを含んでなり、前記活性成分は、ジュウヤク 9.3wt.%〜46.7wt.%、ニンドウ 9.3wt.%〜37.3wt.%、バンランコン 4.7wt.%〜35.0wt.%、オシダ 2.3wt.%〜28.0wt.%、サンズコン 2.3wt.%〜23.3wt.%、ビャクシ 2.3wt.%〜23.3wt.%、ジュウロウ 2.3wt.%〜23.3wt.%、セイコウ 2.3wt.%〜23.3wt.%、およびイリス(rhizoma iridis tectoris) 2.3wt.%〜23.3wt.%からなる。
【0023】
上記漢方組成物の活性成分の好ましい成分は、ジュウヤク 14.0wt.%〜35.0wt.%、ニンドウ 11.7wt.%〜23.3wt.%、バンランコン 9.3wt.%〜21.0wt.%、オシダ 7.0wt.%〜18.7wt.%、サンズコン 4.7wt.%〜11.7wt.%、ビャクシ 4.7wt.%〜11.7wt.%、ジュウロウ 4.7wt.%〜11.7wt.%、セイコウ 4.7wt.%〜11.7wt.%、およびイリス 4.7wt.%〜11.7wt.%である。
【0024】
上記漢方組成物の活性成分のより好ましい成分は、ジュウヤク 21.4wt.%、ニンドウ 17.9wt.%、バンランコン 14.3wt.%、オシダ 10.7wt.%、サンズコン 7.1wt.%、ビャクシ 7.1wt.%、ジュウロウ 7.1wt.%、セイコウ 7.2wt.%、イリス 7.2wt.%である。
【0025】
本発明の漢方組成物は、慣習的な方法によって、どんな薬剤剤形にも容易に作ることができる。例えば、本発明の原料は、すり砕いて粉にし、混合し、水で服用することができる。本発明の原料は、煮沸させて、濃縮し、薬剤とすることもできる。全ての原料の効果を最大にするために、ジュウヤクは、好ましくは、例えばエタノールによって抽出された。しかしながら、これらは、本発明の範囲を限定するためには用いられなかった。
【0026】
好ましい漢方組成物は、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、およびオシダ等を含んでなり、以下のステップで調製することができる:
上記4つの薬用植物を、処方量で得た。ジュウヤクは、水で10〜40分間煮沸した。その溶液をろ過し、1.05〜1.20の密度を有する透明なクリームに濃縮した。前記クリームをその後、冷却し、エタノールが50〜80%の量になるまでエタノールを加えた。その後、24〜48時間静置させ、ろ過した。回収したエタノールを濃縮し、密度が1.05〜1.25の透明なクリームを得た。ニンドウ、バンランコン、およびオシダを含む他の3つの薬用植物は、水で2時間、2回煮沸した。薬用植物をろ過し、ろ液を1.40の密度に到達するまで濃縮した。ろ過の後、得られたろ液を密度1.45の透明なクリームに再濃縮した。その後、ジュウヤクの透明なクリームを加え、混合した。その混合物を密度が1.10以上の濃厚なクリームになるまで持続的に濃縮した。最後に、濃厚なクリームおよび粉末のショ糖を1:3〜8の割合で混合した。その後、混合物をペレットにし、充填した。
【0027】
上記調製方法における原料は、オシダおよびビャクシ、またはセンシンレン、セイヨウタンポポ、天然藍、ダイケットウ、もしくはカンゾウを用いて準備することもできる。詳しい調製ステップは以下の通りである:
ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、サンズコン、オシダ、およびビャクシを処方量で得た。ジュウヤクを水で10〜40分間煮沸し、ろ過し、1.20の密度を有する透明なクリームに濃縮した。前記クリームを冷却し、エタノールの量が50〜80%になるまでエタノールを加えた。24〜48時間静置し、その後、ろ過した。ろ液からエタノールを回収し、1.25の密度を有する透明なクリームになるまで濃縮した。他の5つの薬用植物は、水で2回、それぞれ2時間ずつ煮沸した。その後、混合物をろ過し、1.08の密度まで濃縮した。再びろ過し、ろ液を密度が1.10の透明なクリームに濃縮し、得られたジュウヤクの透明なクリームと混合した。その混合物を密度が1.26以上の濃厚なクリームが得られるまで持続的に濃縮した。最後に、前記濃厚なクリームおよびショ糖の粉末を1:3〜8の割合で混合した。その後、混合物をペレットにし、充填した。
【0028】
本発明の漢方組成物は、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、サンズコン、オシダ、ビャクシ、ジュウロウ、セイコウ、およびイリスからなり、以下のステップで調製することができる:
上記の9の薬用植物全てを、処方量で得た。ジュウヤクを水で10〜40分間煮沸し、ろ過し、1.05の密度を有する透明なクリームに濃縮した。前記クリームを冷却し、エタノールの量が50〜80%になるまでエタノールを加えた。それを24時間静置し、その後ろ過した。その後、エタノールをろ液から回収し、密度が1.25の透明なクリームを得るために濃縮した。他の8の薬用植物は水で2回、それぞれ2時間ずつ煮沸した。その後、混合物をろ過し、1.20の密度まで濃縮した。再びろ過し、1.10〜1.25の密度を有する透明なクリームを得るためにろ液を濃縮し、前記ジュウヤクの透明なクリームと混合した。混合物を濃縮し、密度が1.26以上の濃厚なクリームを得た。最後に、前記濃厚なクリームおよびショ糖の粉末を、1:3〜8の割合で混合した。その後、混合物をペレットにし、充填した。
【0029】
1以上の医学的に許容可能なキャリアは、本発明の漢方組成物に加えられてもよい。例えば、定型的な補助剤には、希釈剤、賦形剤、充填剤、接着剤、加湿剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸収キャリア、滑沢剤等が含まれる。
【0030】
本発明の漢方組成物は、経口的に投与することができ、小静脈注射または粘膜を介して適用されてよい。それは、錠剤、カプセル、散剤、ペレット、トローチ、坐剤、経口的な溶液、低温殺菌された消化管の懸濁液注射、少量または多量の注射、凍結粉末注射、低温殺菌粉末注射等にすることができる。上記の薬剤は全て、当該分野において定型的な方法を用いて調製することができる。
【0031】
感染した動物を治療するためまたは鳥インフルエンザに対する動物の免疫を増強するために、本発明の漢方組成物は動物の飼料に添加物として加えることができる。
【0032】
本発明の漢方組成物または添加物の有効な適用量は、1日に体重当り20〜80mg/kgであった。好ましい適用量は、1日に体重当り30〜65mg/kgであった。
【0033】
本発明の漢方組成物の原料は、天然植物であった。前記漢方組成物は、鳥インフルエンザウイルスに有意に抵抗することができた。調製された薬剤または添加剤は、安全、効果的であり、鳥インフルエンザの予防および治療に対する新しい方法を提供した。
【本発明の実施形態の詳細な説明】
【0034】
以下の実験例は、現在存在する抗鳥インフルエンザ薬を超える本発明の漢方組成物の利点をさらに述べるものである。以下の実験例には、本発明の漢方組成物に対する細胞学的および動物学的な実験が含まれる。
【0035】
実験例1:
鳥インフルエンザに感染した群れに対する、本発明の漢方組成物の保護効果。
【0036】
この実験で使われたニワトリは、健康な50日齢のヒヨコであり、中山(Zhongshan)大学の実験ニワトリ農場から購入した。本発明の漢方組成物(例5のペレット)は、Lizhu 製薬グループ株式会社によって提供された。対照薬剤の1つであるリマンタジンは、Zhejiang Yukang 製薬会社から購入した。他の対照薬剤は、中国特許第200510011432.3号に従って調製した。ウイルスはH5血清型鳥インフルエンザウイルス(1.0×10-6)であった。
【0037】
実験方法:
190の健康な50日齢のヒヨコを無作為に5つの群に分けた。30は通常の対照群であり、他の群はそれぞれ40のヒヨコを用いた。それぞれのニワトリは、0.2mlの鳥インフルエンザウイルスをニワトリの胎芽の羊水に0.5×10-5の濃度で希釈して腹部に注射された。生理食塩水を与えた健康な対照群および感染した対照群を除いて、AIVに感染したそれぞれの群には、同じ日に薬剤を与えた。前記薬剤または生理食塩水は、1日1回、8日間継続して適用した。A群は、健康な対照群であった。B群は、10mg/日の本発明の漢方組成物を適用した。C群は、対照薬剤の1つであるリマンタジンを10mg/日で適用した。D群は、中国特許第200510011432.3号に従って調製された薬剤を10mg/日で適用した。E群は、感染した対照群であった。結果を以下の表1に示す:
【表1】

【0038】
上記の表は、感染したニワトリは、中国特許第200510011432.3号の薬剤およびリマンタジンよりも本発明の漢方組成物によって、ずっと効率的に保護されることを示す。
【0039】
実験例2:
これは、H7鳥インフルエンザウイルスによって引き起こされるウイルス性肺炎の治療に対する実験である。
【0040】
実験動物は、ハルビン(Haerbing)医科大学の実験動物研究室により提供された昆明(Kunming)マウスであった。前記マウスにH5N1 ウイルスを注射した。この実験における漢方組成物の注射は、Lizhu製薬グループ株式会社により提供された。
【0041】
実験方法:
実験群および対照群は、それぞれ17のマウスを用いた。対照群1には、15ml/kgの生理食塩水を腹部に注射した。対照群2には、15ml/kgの莪朮油(Zedoray Tumeric Oil)注射を腹部に注射した。対照群3には、肺炎の治療においてよく使われる15ml/kgのShuangSuLian注射を腹部に注射した。実験群1には、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、およびオシダから作られた15ml/kgの注射溶液を腹部に注射した。実験群2には、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、オシダ、およびカンゾウから作られた15ml/kgの注射溶液を腹部に注射した。実験群3では、ジュウヤク、ニンドウ、バンランコン、オシダ、クジン(tokin sophora root)、およびビャクシから作られた15ml/kgの注射溶液を腹部に注射した。全ての薬剤を継続して10日間適用した。全ての群のマウスを11日後に殺し、試験のために試料を集めた。結果を表2に示す:
【表2】

【0042】
注:「有意に効果あり」とは、症状が非常に軽減されたことを意味し、正常な体温および肺小胞の呼吸音の著しい減少を含む。「効果あり」とは、症状が軽減されたことを意味し、正常な体温および肺小胞の呼吸音のわずかな減少を含む。「効果なし」とは、症状が全く軽減しないかさらに悪化したことを意味する。
【0043】
表2は、実験群1、2、および3において用いられた漢方組成物は、対照群1、2、および3と比較して、ずっと陽性の効果を有することを示す。漢方組成物は、肺循環を有意に改善し、血小板の凝集を減少させ、肺感染を減少させ、肺の障害を治癒し、H7鳥インフルエンザウイルスに抵抗した。実験群3における漢方組成物は、対照群1および2よりもずっと陽性の効果を示した。
【0044】
実験例3:
この実験は、高病原性AIに対する本発明の漢方組成物の抵抗性についてのインビトロの細胞学的研究であった。
【0045】
この実験で用いられた薬剤は、例7において作られたペレットであった。対照薬物はタミフル、すなわちロシュ社によって製造されたリン酸オセルタミビルであった。この実験で用いられた細胞はMDCK細胞(イヌ腎臓細胞)であり、香港の大学の薬学部の微生物学部門によって提供された。この実験で使用されたウイルスはH5N1 (遺伝子型 E)であり、これも香港の大学の薬学部の微生物学部門によって提供された。
【0046】
実験方法:
(1)細胞毒性試験:50%の細胞で病理学的変化を引き起こす薬物濃度(CC50)を、モスマン(Mosmann)の規則(1983)に従って試験した。
【0047】
(2)抗-ウイルス試験:一定量のウイルス懸濁液を、細胞培養液を含むボトルに入れた。8のボトルを45分間平行に置き、ウイルスを細胞に接着させた。異なる濃度の薬剤を欠いているかまたは含んでいる培養溶液をボトルに入れた。その溶液を37℃で20時間インキュベートした。対照の細胞に対して、ボトル中の細胞の50%が病理学的な変化を示したときに培養を終了した。その写真を撮った。結果を表3に示す:
【表3】

【0048】
注:+は、非抵抗性を意味し、陰性対照細胞は正常細胞であった。
【0049】
表3は、漢方組成物の注射溶液は、活性成分の濃度が50 ug/ml以上になったときに、鳥インフルエンザウイルスに効果的に抵抗し得ることを示している。
【0050】
本発明の漢方組成物の調製方法を以下に示す:
例1:本発明の漢方組成物の大容量の注射の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:2000gのジュウヤク、400gのニンドウ、1500gのバンランコン、284gのオシダ、100gのサンズコン、100gのビャクシ、100gのジュウロウ、100gのセイコウ、および100gのイリス。前記薬用植物に8倍の水を加え、3時間浸漬し、その後それぞれ1時間、2回煮沸して抽出した。抽出物を合わせ、ろ過し、減圧下、65℃において、1.25の密度まで濃縮した。それらを冷却し、70%までエタノールと混合し、その後静置した。上澄みを回収し、エタノールを液体から除去した。得られた溶液を65℃で1.15の密度まで濃縮し、酢酸エチルを用いて2回向流抽出した。抽出物を混合し、酢酸エチルを除去した。50%の注射水を加えた。液体をその後煮沸し、冷却し、ろ過し、適切な量の注射水と混合した。その後、溶液を0.08%の乳化剤(T-80)と混合し、pHが8.0に到達するまで40%NaOHを加えた。溶液にNaClを加え、続いて注射水を加えて等張性の溶液にした。最後に、液体を0.22μm 微孔濾膜(microvoid filter film)を通してろ過し、密封し、低温殺菌し、ランプで検査(lamp-inspected)し、充填した。
【0051】
例2:本発明の漢方組成物の低容量の注射の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:400gの ジュウヤク、1600gのニンドウ、200gのバンランコン、100gのオシダ、1000gのサンズコン、200gのビャクシ、200gのジュウロウ、384gのセイコウ、および200gのイリス。全ての薬用植物を煮沸し、ろ過し、真空槽中で濃縮し、エタノールを加え、静置し、ろ過し、減圧下で9g薬剤/mlまで濃縮した。その溶液を水に希釈し、冷蔵庫に保存し、ろ過し、減圧下で濃縮し、水、NaOH溶液、35wt%のエタノール、および75wt%のエタノールで洗浄したマクロ孔質樹脂で分離した。溶出液を集め、水で希釈し、L-アルギナーゼと混合し、pHを7.5に達するまで調整し、活性炭を加えた。その後、溶出液を加熱し、ろ過し、同量の水で希釈し、4wt%の濃度に達するまでL-アルギナーゼを加えた。
【0052】
例3:本発明の漢方組成物の凍結乾燥粉末注射の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:584gのジュウヤク、500gのニンドウ、400gのバンランコン、300gのオシダ、500gのサンズコン、500gのビャクシ、500gのジュウロウ、500gのセイコウ、および500gのイリス。全ての薬用植物を3200mlの注射水に加え、1時間浸漬し、6400mlの注射水を加え、1.5時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。ろ液を混合し、抽出組成物を得た。10gの抽出組成物を注射水で希釈し、その後NaClを2.25g加え、250mlの容積になるまで注射水を加えた。注入炭素(Injection carbon)を加え、その溶液を20分間煮沸し、冷却し、ろ過し、低温殺菌した。最終的な凍結粉末注射は、低ホウ素(low-boro)のガラスアンプルに充填し、冷却し、乾燥した。
【0053】
例4:本発明の漢方組成物の低容量の注射の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:200gのジュウヤク、200gのニンドウ、100gのバンランコン、1279gのオシダ、1500gのサンズコン、および1500gのビャクシ。全ての薬用植物を水に加え、煮沸し、ろ過した。その混合物を減圧下で濃縮し、エタノールを加え、静置し、その後、再びろ過した。混合物を再び減圧下で濃縮し、11g薬剤/mlとした。前記薬剤を水で希釈し、冷蔵庫に保管し、3回目のろ過をし、減圧下で濃縮し、水、NaOH 溶液、55wt% エタノール、および65wt%エタノールで洗浄したマクロ孔質樹脂で分離した。溶出液を回収し、希釈し、L-アルギナーゼを加え、pHを7.0に調整し、活性炭を加え、加熱し、ろ過した。溶出液を同量の水で希釈することにより最終生成物を得た。
【0054】
例5:本発明の漢方組成物のペレットの調製
最初に、以下の薬用植物を得た:2500gのジュウヤク、1000gのニンドウ、400gのバンランコン、784gのオシダ、50gのサンズコン、および50gのビャクシ。全ての薬用植物を70wt.%のエタノールに加え、一晩浸漬し、抽出のために1.5時間ずつ2回還流し、ろ過した。残留物Iおよび溶液Iを回収した。残留物Iを減圧濃縮ポットに入れ、減圧下でエタノールがなくなるまで戻し、濃縮して濃厚なクリームにした。
【0055】
デンプンを乾燥し、ふるいにかけた。マンニトールをふるいにかけ、静置した。前記の濃厚なクリーム500gを、マンニトール500gおよびデンプン150gと混合した。その混合物を、スチールメッシュを有する造粒機でペレットにし、沸騰床(ebullated bed)上で乾燥し、8メッシュのスクリーナーで修正し、含有量および水に対する試験をし、1袋に7gずつ詰め、密封し、涼しく乾燥した場所に保管した。
【0056】
例6:本発明の漢方組成物の錠剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:3000gのジュウヤク、1134gのニンドウ、100gのバンランコン、および50gのサンズコン。全ての薬用植物に注射水3200mlを加え、1時間浸漬し、3200mlの注射水を再び加え、1時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。残留物を捨てた。溶液を三重効用エバポレーターに入れ、1.08 (70℃)の密度まで濃縮し、室温まで冷却した。エタノールの濃度が50%になるまで95%エタノールをゆっくりと加え、一晩静置した。上澄みを回収し、沈殿物を廃棄した。上澄みを濃縮し、200gの賦形剤と混合した。混合物をその後、造粒機に入れ、30wt.%のエタノールを60ml加え、ペレットを形成し、乾燥した。
【0057】
次に、50gのビタミンを120gの賦形剤と混合した。混合物を造流機に入れ、6wt.%の接着剤を35ml加え、ペレットを形成し、乾燥した。
【0058】
次に、上記の2種類のペレットを処方の比率で混合し、試験し、33回転打錠機で錠剤を形成し、包装した。
【0059】
例7:本発明の漢方組成物のペレットの調製
最初に、以下の薬用植物を得た:918gのジュウヤク、765gのニンドウ、612gのバンランコン、459gのオシダ、306gのサンズコン、306gのビャクシ、306gのジュウロウ、306gのセイコウ、および306gのイリス。ジュウヤクを水中で40分間煮沸し、ろ過し、密度が1.05の透明なクリームになるまで濃縮し、冷却し、エタノールが80%の量になるまでエタノールを加え、48時間静置し、再びろ過した。エタノールをろ液から除去し、密度が1.05の透明なクリームに濃縮した。残りの8種の薬用植物は、2時間ずつ2回、水中で煮沸し、ろ過した。ろ液を密度が1.08の透明なクリームに濃縮し、ろ過し、密度1.10まで濃縮した。前記2種類の透明なクリームを混合し、密度が1.26以上の濃厚なクリームが得られるまで持続的に濃縮した。前記濃厚なクリームおよびショ糖の粉末を1:5の割合で混合し、ペレットを形成し、充填した。
【0060】
例8:本発明の漢方組成物のカプセル剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:200gのジュウヤク、500gのニンドウ、384gのバンランコン、800gのオシダ、200gのサンズコン、200gのビャクシ、1000gのジュウロウ、1000gのセイコウ、および200gのイリス。全ての薬用植物に注射水3200mlを加え、1時間浸漬し、注射水7200mlを加え、それぞれ1時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。ろ液を混合し、エタノールがなくなるまで減圧下で戻し、1.0の密度(60℃で試験した)の濃厚なクリームになるまで濃縮した。前記クリームを減圧乾燥器に入れ、70℃、減圧下で36時間乾燥し、その後、粉砕し、60〜80メッシュでふるいにかけた。薬剤粉末をその後、補助剤と混合し、再びふるいにかけ、ペレットを形成した。前記ペレットを乾燥し、20メッシュでふるいにかけ、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル剤とした。
【0061】
例9:本発明の漢方組成物のカプセル剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:600gのジュウヤク、2000gのニンドウ、1200g のバンランコン、および484gのサンズコン。前記全ての薬用植物に3200mlの注射水を加え、1時間浸漬し、3200mlの注射水と混合し、それぞれ2.5時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。ろ液を混合し、エタノールがなくなるまで減圧下で戻し、密度が1.30の濃厚なクリームまで濃縮した。前記クリームを減圧乾燥器に入れ、80℃、減圧下で48〜96時間乾燥し、その後、粉砕し、60〜80メッシュでふるいにかけた。薬剤粉末はその後、補助剤と混合し、60メッシュで再びふるいにかけ、ペレットを形成した。ペレットをその後乾燥し、20メッシュでふるいにかけ、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル剤とした。
【0062】
例10:本発明の漢方組成物の乳製品(健康食品)の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:200gのジュウヤク、2000gのニンドウ、584gのバンランコン、および1500gのサンズコン。全ての薬用植物を注射水3200mlに加え、1時間浸漬し、3200mlの注射水と混合し、2.5時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。ろ液を混合し、エタノールがなくなるまで減圧下で戻し、密度が1.08の濃厚なクリームまで濃縮した。
【0063】
ウシのミルクが検査され、低温殺菌され、基準に従って前処理(スキムミルクにはない)された。0.5〜6mgの前記溶液の濃縮物をミルク100gごとに加えた。これにその後、あるフレーバーを加えた。ミルク混合物をろ過し、予熱し(115℃以下)、低温殺菌し、均質化し(スキムミルクにはない)、冷却し、イーストを加え(凝固してよい場合、最初に缶につめる)、発酵させた。凝固し、発酵したミルクを、その後粉砕し(凝固タイプにはない)、冷却し、缶につめ(凝固タイプにはない)、検査し、最終生成物を得た。
【0064】
例11:本発明の漢方組成物の飲料(食物)の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:600gのジュウヤク、1000gのニンドウ、1800gのバンランコン、80gのオシダ、404gのサンズコン、200gのビャクシ、100gのセイヨウタンポポ、および100gのセンシンレン。全ての薬用植物を徹底的に洗い、粉砕し、2%〜3%のNaOH(薬物の重さに基づく)および0.3%のヘキサメタリン酸ナトリウム(薬物の重さに基づく)を含む塩基溶液に加えた。溶液を85℃で5分間加熱し、中性になるまで流水で洗浄した。次に、薬剤を厚い片状に切り、電気的な液化機において濃厚な液体にし、ステンレス容器中に静置し、2%の食品用リン酸塩と混合し、75℃の水浴で70分間、一定に撹拌しながら加熱した。次に、前記濃厚溶液を食用の重炭酸ナトリウムで中和し、水浴中で一定に撹拌しながら溶液を冷却した。その後、液体をろ過し、加圧し、乾燥させた。次に、ろ液に6%の活性炭の粉末を加え、88℃の水浴で120分間インキュベートし、ろ過した。わずかに黄色または茶色がかったろ液が得られた。その後、ろ液を低温殺菌し、充填し、加水分解した薬剤、リン酸塩、およびクエン酸塩を100:3:4で混合した。薬剤に1:50の割合で水を加えた。最後に、薬剤を混合し、ボトルに詰め、密封し、低温殺菌した。
【0065】
例12:動物のための本発明の漢方組成物の薬剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:400gのジュウヤク、400gのニンドウ、200gのバンランコン、100gのオシダ、1000gのサンズコン、1000gのビャクシ、1000gのジュウロウ、1000gのセイコウ、および1000gのイリス。全ての薬用植物を粉砕し、80メッシュを通してろ過し、混合し、充填した。
【0066】
例13:本発明の漢方組成物のワクチンの調製
最初に、以下の薬用植物を得た:1500gのジュウヤク、400gのニンドウ、584gのバンランコン、800gのオシダ、および500gのサンズコン、および500gのビャクシ。全ての薬用植物を水中で煮沸し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、エタノールと混合し、ろ過し、減圧下で再び濃縮して11g薬物/mlの密度にした。その溶液を水で希釈し、冷蔵庫に保管し、ろ過し、減圧下で3回目の濃縮をし、水、NaOH、55wt.%エタノールで続けて洗浄したマクロ孔質樹脂中で分離した。薬剤を65wt.%エタノールを用いて洗浄した。溶出液を集め、水で希釈し、L-アルギナーゼと混合し、pHを7.0に調節し、活性炭と混合し、ろ過した。最終的なワクチンは、ろ液を同量の生理食塩水と混合することにより得られた。
【0067】
例14:本発明の漢方組成物のカプセル剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:2000gのジュウヤク、200gのニンドウ、400gのバンランコン、900gのサンズコン、および784gのビャクシ。全ての薬用植物を3200mlの水に1時間浸漬し、3200mlの注射水中で2.5時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。その後、ろ液を混合し、エタノールがなくなるまで減圧下で再採取し、1.30の密度を有する濃厚なクリームまで濃縮した。前記クリームを80℃で48〜96時間、減圧乾燥器中で乾燥し、粉砕し、60〜80メッシュを通してろ過した。散剤を補助剤と混合し、60メッシュを通してろ過し、ペレットを形成し、乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル剤とした。
【0068】
例15:本発明の漢方組成物の予防注射の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:484gのジュウヤク、500gのニンドウ、1800gのバンランコン、および1500gのサンズコン。全ての薬用植物を水中で煮沸し、ろ過し、減圧下で濃縮し、エタノールと混合し、再びろ過した。ろ液を減圧下で密度が11g薬物/mlになるまで濃縮し、水で希釈し、冷蔵庫中に保管し、ろ過し、減圧下で3回目の濃縮をした。濃縮物を、水、NaOH、および55wt%エタノールで続けて洗浄したマクロ孔質樹脂中で分離した。薬剤は、65wt.%エタノールを用いて洗い落とした。溶出液を回収し、水で希釈し、L-アルギナーゼと混合し、pHを7.0に調節し、活性炭と混合し、ろ過した。最終的な薬剤は、ろ液を同量の生理食塩水と混合することにより得られた。
【0069】
例16:本発明の漢方組成物のカプセル剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:1600gのジュウヤク、800gのニンドウ、800gのバンランコン、600gのサンズコン、および484gのセンシンレン。全ての薬用植物を3200mlの注射水に1時間浸漬し、3200mlの注射水中で2.5時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。その後、ろ液を混合し、エタノールがなくなるまで減圧下で戻し、密度が1.30の濃厚なクリームになるまで濃縮した。前記クリームを80℃で48〜96時間、減圧乾燥器中で乾燥し、粉砕し、60〜80メッシュを通してろ過した。粉末の薬剤を補助剤と混合し、60メッシュを通してろ過し、ペレットを形成し、乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル剤とした。
【0070】
例17:本発明の漢方組成物のカプセル剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:1700gのジュウヤク、1000gのニンドウ、400gのバンランコン、500gのサンズコン、および684gのアタンシ。全ての薬用植物を3200mlの注射水に1時間浸漬し、3200mlの注射水中で2.5時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。その後、ろ液を混合し、エタノールがなくなるまで減圧下で戻し、密度が1.20の濃厚なクリームまで濃縮した。前記クリームを80℃で48〜96時間、減圧乾燥器中で乾燥し、粉砕し、60〜80メッシュを通してろ過した。粉末の薬剤を補助剤と混合し、60メッシュを通してろ過し、ペレットを形成し、乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル剤とした。
【0071】
例18:本発明の漢方組成物のカプセル剤の調製
最初に、以下の薬用植物を得た:1500gのジュウヤク、1000gのニンドウ、100gのバンランコン、800gのオシダ、500gのサンズコン、および384gのビャクシ。全ての薬用植物を3200mlの注射水に1時間浸漬し、7200mlの注射水中で1時間ずつ2回煮沸し、ろ過した。その後、ろ液を混合し、エタノールがなくなるまで減圧下で戻し、密度が1.0(60℃で試験)の濃厚なクリームに濃縮した。前記クリームを70℃で36時間、減圧乾燥器中で乾燥し、粉砕し、60〜80メッシュを通してろ過した。粉末の薬剤を補助剤と混合し、20メッシュを通してろ過し、ペレットを形成し、乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル剤とした。
【0072】
例19:本発明の漢方組成物のシロップの調製
最初に、以下の薬用植物を得た:200gのジュウヤク、200gのニンドウ、1800gのバンランコン、および1500gのサンズコン。蒸気によりナフサを薬用植物から抽出した。その後、薬用植物を6〜8倍の量の水で、1時間ずつ3回煮沸した。その溶液を混合し、ろ過し、減圧下(40℃)で濃縮し、低温で24時間沈殿させた。上澄みをナフサ、単シロップ、保存剤(安息香酸ナトリウム)と混合し、1000mlまで水で希釈した。溶液を混合し、充填し、蒸気を流しながら30分間低温殺菌した。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、実験例3における対照群の細胞の光学顕微鏡写真を示し、細胞の培養は止まっていた。図1Aは、薬剤なしの陽性対照群を示す。図1Bは、0.284ug/mlのタミフルを適用した対照群を示し、多量の細胞が感染している。図1Cは、2.84ug/mlのタミフルを適用した対照群を示し、ほとんどの細胞が感染している。図1Dは、28.4ug/mlのタミフルを適用した対照群を示し、ウイルスは死んだが、多くの無関係な細胞も死んだ。
【図2】図2は、実験例3における対照群の細胞の光学顕微鏡写真を示し、細胞の培養は止まっていた。図2Aは、薬剤なしの陽性対照群を示す。図2Bは、本発明の漢方組成物を12.5ug/ml適用した場合の写真を示し、多数の細胞が感染している。図2Cは、本発明の漢方組成物を25ug/ml適用した場合の写真を示し、多数の細胞が感染している。図2Dは、本発明の漢方組成物を50ug/ml適用した場合の写真を示し、ウイルスは死に、ほんのわずかの細胞が感染している。図2Eは、本発明の漢方組成物を100ug/ml適用した場合の写真を示し、全てのウイルスが死んでおり、無関係な細胞の死は少ない。図2Fは、本発明の漢方組成物を200ug/ml適用した場合の写真を示し、全てのウイルスが死んでいるが、いくつかの細胞も死んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥インフルエンザの治療および予防のための漢方組成物であって、活性成分および/または医学的に許容可能なキャリアを含んでなり、前記活性成分には、以下の原料が含まれる組成物:ジュウヤク 4.7wt.%〜70.0wt.%、ニンドウ 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン 2.3wt.%〜42.0wt.%、サンズコン 1.2 wt.%〜35.0wt.%、ならびに解熱および解毒のための他の薬用植物。
【請求項2】
請求項1に記載の漢方組成物であって、前記解熱および解毒のための薬用植物がオシダ、ビャクシ、センシンレン、セイヨウタンポポ、天然藍、ダイケットウ、およびカンゾウである組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の漢方組成物であって、前記活性成分が、ジュウヤク 4.7wt.%〜70.0wt.%、ニンドウ 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン 2.3wt.%〜42.0wt.%、およびサンズコン 1.2wt.%〜35.0wt.%からなる組成物。
【請求項4】
鳥インフルエンザの治療および予防のための漢方組成物であって、活性成分および/または医学的に許容可能なキャリアを含んでなり、前記活性成分に以下の原料が含まれる組成物:ジュウヤク 4.7wt.%〜58.4wt.%、ニンドウ 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン 2.3wt.%〜42.0wt.%、サンズコン1.2wt.%〜35.0wt.%、オシダ 1.9wt.%〜37.3wt.%、ビャクシ 1.2wt.%〜35.0wt.%、ならびに解熱および解毒のための他の薬用植物。
【請求項5】
請求項4に記載の漢方組成物であって、前記解熱および解毒のための薬用植物が、ジュウロウ、セイコウ、アタンシ、センシンレン、セイヨウタンポポ、ハッカ、キキョウ、およびカンゾウである組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の漢方組成物であって、前記活性成分が、以下の原料からなる組成物:ジュウヤク 4.7wt.%〜58.4wt.%、ニンドウ 4.7wt.%〜46.7wt.%、バンランコン 2.3wt.%〜42.0wt.%、サンズコン 1.2wt.%〜35.0wt.%、オシダ 1.9wt.%〜37.3wt.%、ビャクシ 1.2wt.%〜35.0wt.%。
【請求項7】
鳥インフルエンザの治療および予防のための漢方組成物であって、活性成分および/または医学的に許容可能なキャリアを含んでなり、前記活性成分が以下の原料からなる組成物:ジュウヤク 9.3wt.%〜46.7wt.%、ニンドウ 9.3wt.%〜37.3wt.%、バンランコン 4.7wt.%〜35.0wt.%、オシダ 2.3wt.%〜28.0wt.%、サンズコン 2.3wt.%〜23.3wt.%、ビャクシ 2.3wt.%〜23.3wt.%、ジュウロウ 2.3wt.%〜23.3wt.%、セイコウ 2.3wt.%〜23.3wt.%、イリス(rhizoma iridis tectoris) 2.3wt.%〜23.3wt.%。
【請求項8】
請求項7に記載の漢方組成物であって、前記活性成分が以下の原料からなる組成物:ジュウヤク 14.0wt.%〜35.0wt.%、ニンドウ 11.7wt.%〜23.3wt.%、バンランコン 9.3wt.%〜21.0wt.%、オシダ 7.0wt.%〜18.7wt.%、サンズコン 4.7wt.%〜11.7wt.%、ビャクシ 4.7wt.%〜11.7wt.%、ジュウロウ 4.7wt.%〜11.7wt.%、セイコウ 4.7wt.%〜11.7wt.%、イリス(rhizoma iridis tectoris)4.7wt.%〜11.7wt.%。
【請求項9】
請求項8に記載の漢方組成物であって、前記活性成分が以下の原料からなる組成物:ジュウヤク 21.4wt.%、ニンドウ 17.9wt.%、バンランコン 14.3wt.%、オシダ 10.7wt.%、 サンズコン 7.1wt.%、ビャクシ 7.1wt.%、ジュウロウ 7.1wt.%、セイコウ 7.2wt.%、イリス(rhizoma iridis tectoris) 7.2wt.%。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の漢方組成物であって、前記漢方組成物がいずれの薬剤剤形である組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の漢方組成物であって、前記漢方組成物がペレットである組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の漢方組成物の調製方法であって、前記方法に以下のステップが含まれる方法:
(1)全ての原料の重さを量ることと;
(2)ジュウヤクを水中で10〜40分間煮沸し、ろ過し、その後、ろ液を濃縮して密度が1.05の透明なクリームとし、冷却することと;
(3)ステップ2で得られた透明なクリームに、エタノールが50〜80%の量になるまでエタノールを加え、24時間静置してろ過し、その後、ろ液からエタノールを除去し、濃縮して1.25の密度を有する透明なクリームを得ることと;
(4)他の原料を水中で2時間ずつ2回煮沸し、ろ過し、その後、ろ液を1.20の密度まで濃縮し、ろ過し、再び濃縮して密度が1.10〜1.25の透明なクリームを得ることと;
(5)ステップ3およびステップ4で得られた透明なクリームを混合し、持続的に混合して密度が1.26以上の濃厚なクリームとし、補助剤を加えること。
【請求項13】
鳥インフルエンザの予防または治療のための薬剤の調製における、請求項1〜11のいずれか1項に記載の漢方組成物の使用。
【請求項14】
鳥インフルエンザの予防または治療のための健康食品の調製における、請求項1〜11のいずれか1項に記載の漢方組成物の使用。
【請求項15】
前記鳥インフルエンザが高病原性鳥インフルエンザである、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
前記高病原性鳥インフルエンザがH5N1によって引き起こされる、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記鳥インフルエンザがヒト-鳥インフルエンザである、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
前記鳥インフルエンザが動物-鳥インフルエンザである、請求項13に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−207895(P2011−207895A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−111841(P2011−111841)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【分割の表示】特願2007−11635(P2007−11635)の分割
【原出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(507023175)
【Fターム(参考)】