鳥類において増強された免疫応答
本発明は、鳥類のその種において非抗原特異的免疫応答を誘起するために有効である免疫活性化の方法に関する。該方法は、感染症から鳥類のその種を保護および感染症を発症した動物を処置するために特に有効である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類における免疫活性化の方法に関する。特に、本発明は、呼吸器系および全身系の、非特異的および抗原特異的免疫応答を誘起するための方法を包含し、これは動物の免疫付与、ワクチン接種、および感染症に対する処置に有用である。
【0002】
ワクチンは、感染症を予防するため、および確立された疾患を処置するために使用される。感染症は、例えば、ウイルス、細菌、寄生体、および他の菌類などを含む感染物質が原因となって引き起こされる。多くの試薬および方法は、哺乳類、鳥、魚、および霊長類を含む全ての種についての感染症を予防および処置するために開発されてきた。
【背景技術】
【0003】
ワクチン接種プログラムは、食品産業において使用される商業飼育される動物に対して特に重要である。鳥は、多くの感染型に対する第一の標的である。畜産家および商業用のニワトリ、七面鳥、および他の家禽類は、病原体にさらされた環境から守るために日常的にワクチン接種される。鶏肉産業に対して最も経済的に重要な疾患は、マレック病であり、これはニワトリにおいて自然発症するリンパ球増殖疾患である。該疾患は、水平伝搬する高い接触伝染性のヘルペスウイルスが原因となって引き起こされ、鶏肉産業への大きな経済的損失に関与している。マレック病の兆候は、感染した鳥の神経、外性器、内部器官、眼および皮膚にわたり広範囲に現れ、運動麻痺、低下される器官機能、および最終的に死をもたらす慢性的な栄養不良を引き起こす。
【0004】
孵化する鳥は、誕生直後に病原性の微生物に晒される。これらの鳥は、母性由来の抗体により病原体に対して初期には保護されるが、この保護はほんの一時的なものに過ぎず、鳥自身の未熟な免疫系は、病原体に対して該鳥を保護するために始動せねばならない。鳥が最も感染し易い時期である幼鳥の感染を予防することがしばしば望まれる。また、老鳥の感染予防は、接近して鳥が飼育される場合には疾患を急速に蔓延させるために、特に望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最も商業的な家禽類において、新たに孵化した雛は、孵化時に非経口で特定のワクチンが与えられる。病原体への暴露が非常に幼い年齢で頻繁に起こるために、それらの雛は、飼育または育雛小屋に入る前にワクチン接種を受ける。かかるワクチン接種のスキームは、個別に鳥を取り扱うことを必要とし、場合により誤って自己注射するというリスクを包含する。さらに、これらのワクチンが常に有効であるというわけではない。この幼雛は、幼雛が十分な保護免疫を獲得する機会を持つ前に、ワクチン接種後直ぐに疾患の病原型(virulent form)に暴露されることとなる。
【0006】
幾つかの生のウイルスワクチンを、鳥が孵化する前に卵内に投与できる。この方法は、「ワクチン卵内接種」と言われる。このワクチン卵内接種された鳥は、標的疾患に対して耐性を獲得する。しかしながら、孵化後の鳥に使用される多くのワクチンは、ワクチン剤の胚病原性を理由に、ワクチン卵内接種に使用できない。遅い段階の胚は、試験された殆どのワクチンウイルスによる感染に高い感受性がある。新たに孵化した雛に非病原性であるワクチンウイルスの全てが、後の段階の胚にとって安全というわけではない。例えば、新たに孵化した雛における新生児ワクチンとして日常的に使用される伝染性気管支炎ウイルス(IBV)およびニューカッスル病ウイルス(NDV)のワクチン株は、卵内接種後の胚にとって致死的である。これらのウイルスは、卵内の使用に安全となるように改変される。ウイルスの修飾は、誘起される免疫応答を減弱させるので、後の段階の胚を保護する場合に有効性が低いワクチン薬剤である。
【0007】
感染症および経済的損失防止を提供するのに必要なこのような異なるワクチンから生じるワクチン接種プログラムは複雑である。従って、感染症からの鳥の保護を増強し、かつ容易に投与できる非抗原特異的免疫応答を誘起する方法についての必要性が存在する。さらに、1以上の感染物質についての保護機能を提供する免疫応答を誘起する方法を含むことが望ましい。さらに、長期耐性を示すかまたはワクチンのブースター注射を必要としない免疫応答を誘起する方法についての必要性が存在する。本発明は、群れの罹患率をも低下する鳥類における非抗原特異的免疫応答を誘起する方法を提供し、1以上の感染物質についての保護機能を提供し、ならびに当分野で既知の他の製品よりも長期間の保護を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、示差的に処置されたニワトリの孵化卵の群間の孵化率を図示する。分析した試験群は次のものを包含する:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図2】図2は、日平均死亡率/囲い(pen)/孵化後の日を図示する。注:T1、0μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図3】図3は、孵化卵の最初の数を基準とした囲いあたりの任意の特定試験日に生存している鳥の割合を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図4】図4は、孵化後の鳥の生存率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図5】図5は、試験日7日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図6】図6は、試験日14日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図7】図7は、試験日21日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図8】図8は、試験日28日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図9】図9は、試験日35日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図10】図10は、試験日45日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図11】図11は、18日目から試験日45日目にわたる胚の累積死亡率/群を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図12】図12は、孵化後の試験日0日目から試験日45日目にわたる累積死亡率/群を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図13】図13は、試験0日から7日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図14】図14は、試験の0日から14日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図15】図15は、試験0日目から21日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図16】図16は、試験の0日目から28日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図17】図17は、試験の0日から35日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図18】図18は、試験0日から45日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図19】図19は、ニワトリの孵化卵の試験群あたりに孵化したニワトリの数を図示する。分析した試験群は後記を包含する:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図20】図20は、試験7日目の、ニワトリの生存数/群を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図21】図21は、試験7日目の、群あたりに生存しているニワトリと死亡したニワトリとの比較を示す。
【図22】図22は、試験7日にわたり、試験群あたりの死亡率%を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図23】図23は、死亡した胚、死亡したニワトリ、および生存しているニワトリ(緑)を含めた各群について、試験終了時(7日)に生存している鳥の数を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図24】図24は、ニワトリの孵化卵の試験群あたりの孵化したニワトリの%を図示する。分析した試験群は、表4に示したものを包含する。
【図25】図25は、試験7日にわたり、孵化後にE. coliによる抗原投与していない試験群についての死亡率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図26】図26は、試験7日にわたり、孵化後にE. coliによる抗原投与した試験群についての死亡率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図27】図27は、試験7日にわたり、孵化後の各試験群についての死亡率%を図示する。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図28】図28は、試験7日にわたり、各試験群についての孵化後の生存率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図29】図29は、試験7日にわたり、各試験群についての生存率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図30】図30は、試験7日および14日にわたり、各試験群についての週毎の死亡率を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図31】図31は、試験の週間1における脾臓細胞内のHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図32】図32は、試験の週間1におけるPMBC内のHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図33】図33は、試験の週間1における脾臓細胞内のSB-1のMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図34】図34は、試験の週間1におけるPMBC内のSB-1のMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図35】図35は、試験の週間2における脾臓細胞内のHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図36】図36は、試験の週間2におけるPMBCにおけるHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図37】図37は、試験の週間2における脾臓細胞内のSB-1のMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図38】図38は、試験の週間2におけるPMBC内のSB-1のMDワクチンの複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図39】図39は、卵中にて免疫修飾剤を受容し、NDに対するワクチン接種を行い、ならびに抗原投与された雛における気嚢炎(air sacculities)の低下を図示する。分析した試験群は、表7に挙げたものを包含する。
【図40】図40は、表7に挙げた試験群26日目のELISAを図示する。
【図41】図41は、表8に挙げた試験群の雛の生存率を図示する。
【図42】図42は、表8に挙げた試験群におけるマレック病の発症率を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細な説明
鳥類種において免疫応答を誘起する本発明の方法は、該鳥類種における免疫応答を誘起するために有効量の免疫修飾剤組成物を該鳥類種に投与することを包含する。該免疫修飾剤組成物は、リポソーム送達ビヒクルおよび少なくとも一の核酸分子を包含する。特に、該免疫修飾剤は、少なくとも一の生物学的薬剤、例えば、ワクチンの投与によりさらに増強される非抗原特異的免疫応答を誘起する。
【0010】
該方法は、感染症から鳥類を保護するため、および感染症を有する集団を処置するための新規の処置方法を提供する。さらに、本発明の該免疫修飾剤組成物を使用することにより、該免疫修飾剤を卵中に投与した場合に、孵化率または孵化後の生存率の低下がなく、またワクチンと共投与した場合に、孵化率または生存率の低下がない。また、ワクチンの投与前の該免疫修飾剤の前投与により、非抗原特異的免疫応答がさらに増強される。本発明の方法はまた、卵中で使用されるように、孵化後の投与にのみ利用できる従前のワクチンを安全に使用することを可能とする。さらに、本発明の方法は、1以上のワクチンと該免疫修飾剤組成物との組合せを可能にする。最後に、該免疫修飾剤をワクチンと組み合わせて使用する場合に、本発明の方法は、疾患に対する長期的な保護を提供する。
【0011】
I.組成物
a.免疫修飾剤
本発明の一実施態様において、該免疫修飾剤組成物は、米国特許第6,693,086号に記述されたとおりにリポソーム送達ビヒクルおよび少なくとも一の核酸分子を包含し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
好適なリポソーム送達ビヒクルは、処置対象の組織に核酸分子を送達することができる脂質組成物を含む。リポソーム送達ビヒクルは、対象における核酸分子および/または生物学的薬剤を送達するのに十分な時間安定性を維持できるのが好ましい。一実施態様において、リポソーム送達ビヒクルは、少なくとも約30分間レシピエント対象において安定である。別の実施態様において、リポソーム送達ビヒクルは、少なくとも約1時間レシピエント対象において安定である。また別の実施態様において、リポソーム送達ビヒクルは、少なくとも約24時間レシピエント対象において安定である。
【0013】
本発明のリポソーム送達ビヒクルは、核酸分子を細胞に送達するために細胞の原形質膜と融合することができる脂質組成物を含む。一実施態様において、核酸を送達する場合:本発明の核酸リポソーム複合体は、少なくとも約 1ピコグラム(pg)の発現タンパク質/全組織タンパク質の1ミリグラム(mg)/送達される核酸の1マイクログラム(μg)である。別の実施態様において、核酸:リポソーム複合体のトランスフェクション効率は、少なくとも約10 pgの発現タンパク質/全組織タンパク質1mg/送達される核酸1μgである;ならびに、また別の実施態様においては、少なくとも約50 pgの発現タンパク質/全組織タンパク質1mg/送達される核酸1μgである。該複合体のトランスフェクション効率は、上記の量がより好ましいが、1フェムトグラムの発現タンパク質/全組織タンパク質1mg/送達される核酸1μg程度低くてもよい。
【0014】
本発明の好ましいリポソーム送達ビヒクルは、約100〜500 ナノメートル(nm)であり、別の実施態様においては、直径が約150〜450 nmであって、また別の実施態様においては、約200〜400 nmである。
【0015】
好適なリポソームは、任意のリポソーム、例えば当業者には既知の遺伝子送達方法などの一般的に使用されるリポソームを包含する。好ましいリポソーム送達ビヒクルは、多重膜小胞(MLV)脂質および押出された脂質を含む。MLVの製造方法はよく知られている。より好ましいリポソーム送達ビヒクルは、ポリカチオン脂質組成物(即ち、カチオン性リポソーム)および/またはポリエチレングリコールに対合したコレステロールバックボーンを有するリポソームを含む。例示的なカチオン性リポソーム組成物は、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびコレステロール、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTAP)およびコレステロール、1-[2-(オレイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウム塩化物(DOTIM)およびコレステロール、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)およびコレステロール、ならびにその組合せ物を包含するが、これらに限定するものではない。送達ビヒクルとしての用途に最も好ましいリポソーム組成物は、DOTIMおよびコレステロールを包含する。
【0016】
好適な核酸分子は、任意の核酸配列、例えばコードまたは非コード配列、およびDNAまたはRNAを包含する。コード化核酸配列は、少なくともタンパク質またはペプチドの一部をコードするが、一方で非コード配列は、タンパク質またはペプチドのいずれの部分もコードしない。本発明に従って、「非コード」核酸は、転写ユニット、例えばプロモーター領域の調節領域を包含し得る。該用語「エンプティーベクター」は、前記用語「非コード」と互換的に使用することができ、また特にタンパク質のコード部分、例えば遺伝子挿入体を含まないプラスミドベクターが存在しない核酸配列をいう。核酸分子によりコードされたタンパク質の発現は、非抗原特異的免疫応答の誘起には必要とされない;従って、該核酸分子は、転写制御配列に作動可能に連結されることを必ずしも必要とはしない。しかしながら、さらなる利点が、該組成物に免疫原および/またはサイトカインをコードする核酸配列(DNAまたはRNA)を含むことにより得られ得る(即ち、抗原特異的免疫および増強された免疫)。
【0017】
リポソームと核酸分子との複合体は、当分野では標準的な方法を用いるか、または米国特許第6,693,086号に記述したとおりに得られ、出典明示により本明細書に組み込まれる。リポソームに加えるために好適な核酸分子の濃度は、全身免疫応答が誘起されるような対象に十分な量の核酸分子を送達するのに有効な濃度を包含する。該核酸分子が免疫原またはサイトカインをコードする場合、リポソームに添加するのに好適な核酸分子の濃度は、細胞が所望の方法にてエフェクター細胞の免疫を調整するために十分な免疫原および/またはサイトカインタンパク質を生成できるような、十分量の核酸分子を細胞に送達するために有効な濃度を包含する。一実施態様において、約0.1μg〜約10μg の核酸分子が、約8 nmol リポソームと組合される、別の実施態様においては、約0.5 μg〜約5 μg の核酸分子が、約8 nmol リポソームと組み合わされる、そしてまた別の実施態様においては、約1.0 μg の核酸分子が約8 nmolリポソームと組み合わされる。一実施態様においては、組成物中の核酸と脂質(μg 核酸: nmol 脂質)の割合は、重量あたり少なくとも 約1:1 核酸:脂質であり(即ち、1 μg 核酸:1 nmol 脂質)、そして別の実施態様においては、少なくとも 約1:5であり、そしてまた別の実施態様においては、少なくとも約1:10であり、さらに実施態様において、少なくとも約1:20である。本明細書にて表現される割合は、該組成物中のカチオン性脂質の量に基づいており、該組成物中の脂質全量に基づくものではない。別の実施態様においては、本発明の組成物中の核酸と脂質との割合は、重量あたり、約1:1〜約1:64の核酸:脂質であり、別の実施態様においては、重量あたり、約1:5〜約1:50の核酸:脂質であり、さらなる実施態様において、重量あたり、約1:10〜約1:40 の核酸:脂質であり、およびまた別の実施態様において、重量あたり、約1:15〜約1:30 の核酸:脂質である。核酸:脂質の他の割合は、約1:8〜1:16であり、約1:8〜1:32 が好ましい。
【0018】
b.生物学的薬剤
本発明の別の実施態様において、該免疫修飾剤は、リポソーム送達ビヒクル、核酸分子、および少なくとも一の生物学的薬剤を包含する。
【0019】
好適な生物学的薬剤とは、鳥類の疾患を予防または処置する際に有効な薬剤である。かかる生物学的薬剤は、免疫増強剤タンパク質、免疫原、ワクチンまたはその任意の組合せを包含する。好適な免疫増強剤タンパク質は、免疫を増強することが知られているそれらのタンパク質である。非限定的な例を挙げると、タンパク質のファミリーを包含するサイトカインは、既知の免疫増強タンパク質ファミリーである。好適な免疫原は、体液性および/または細胞性免疫応答を誘起するタンパク質である。対象への免疫原の投与により、対象の組織内で起こる同一または類似のタンパク質に対する免疫原特異的免疫応答が開始される。免疫原は、細菌、ウイルス、宿主または菌類により発現された病原性抗原を包含し得る。好ましい抗原は、対象において感染症を引き起こす抗原を包含する。本発明に従って、免疫原は、体液性および/または細胞性免疫応答を誘起する天然または合成により得られたタンパク質の任意の部分であってもよい。そのままで、抗原または免疫原のサイズは、約5-12個のアミノ酸程度小さくてもよく、また完全長タンパク質程度大きいものであってもよく、中間のサイズも含め得る。該抗原は、マルチマータンパク質または融合タンパク質であってもよい。該抗原は、ネイティブまたは組み換え細胞から得られた精製ペプチド抗原であってもよい。免疫増強剤タンパク質および免疫原の核酸配列は、該免疫原を対象の組織において発現することにより、対象における免疫原-特異的免疫応答に加えて非特異的免疫応答を誘起するように転写制御配列に作動可能に連結される。
【0020】
本発明の別の実施態様において、該生物学的薬剤はワクチンである。該ワクチンは、生の伝染性ウイルスワクチンまたは死菌の不活化ウイルスワクチンを包含する。一実施態様において、1以上の生ワクチンまたは不活化ウイルスワクチンは、本発明の該免疫修飾剤組成物と組み合わせて使用され得る。好適なワクチンは、鳥類用として当業者には既知の方法を包含する。例示的なワクチンは、限定はしないが、マレック病ウイルス(MDV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、鶏貧血ウイルス(CAV)、感染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、感染性気管支炎ウイルス(IBV)、七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)、感染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、鶏脳脊髄炎ウイルス(AEV)、鶏痘ウイルス(FPV)、家禽コレラ、鳥類のインフルエンザウイルス(AIV)、レオウイルス、鶏白血病ウイルス(ALV)、網膜内皮症ウイルス(REV)、鶏アデノウイルスおよび出血性腸炎ウイルス(HEV)、コクシジウム、および当分野では既知の他の疾患に対する保護のために当分野で使用されるものを包含する。別の例では、ワクチンは、米国特許番号第5,427,791号、第6,048,535号、および第6,406,702号に記述されたとおりのワクチンであり得る。例示的な実施態様において、マレック病の保護のためのワクチンを、本発明の該免疫修飾剤組成物と組合せて使用することができる。
【0021】
II.方法
a.免疫刺激の方法
本発明の一実施態様において、免疫応答は、有効量の免疫修飾剤組成物を鳥類種に投与することにより該鳥類種において誘起される。有効量は、該鳥類種において免疫応答を誘起するのに十分である。該免疫修飾剤は、リポソーム送達ビヒクルおよび核酸分子を包含する。
【0022】
一実施態様において、有効量の該免疫修飾剤は、約0.05 μg〜約10 μgである。別の実施態様において、有効量の該免疫修飾剤は、約0.1 μg〜約5 μgである。
【0023】
本発明の別の実施態様において、免疫応答は、リポソーム送達ビヒクル、単離した核酸分子、および生物学的薬剤を包含する有効量の免疫修飾剤組成物を投与することにより、鳥類のその種において誘起される。該生物学的薬剤は、該免疫修飾剤と共に共投与されるか、またはそれとは独立して共投与され得ると考えられる。独立投与は、該免疫修飾剤の投与の前または後であってもよい。また、1以上の免疫修飾剤または生物学的薬剤の投与を用いて、増強された免疫を拡大し得ることも検討される。さらに、1以上の生物学的薬剤は、本明細書の実施例において記述されるように、該免疫修飾剤と共に、該免疫修飾剤の前に、または該免疫修飾剤の投与後に共投与され得る。一実施態様において、有効量の該免疫修飾剤は、約0.05 μg〜約5 μgのリポソーム送達ビヒクルであり、単離した核酸分子および約300 〜約30000 TCID50ウイルス生物学的薬剤であってもよい。別の実施態様において、有効量の免疫修飾剤は、約0.1 μg〜約3 μgのリポソーム送達ビヒクルおよび単離した核酸分子および約100〜約1000 EID50 ウイルス生物学的薬剤である。
【0024】
b.疾患
本発明の方法は、対象を免疫応答の誘起の影響を受けやすい疾患から保護できるように、対象における免疫応答を誘起する。本明細書にて使用されるとおり、句「疾患から保護される」とは、疾患の兆候低下;疾患の発症低下、および疾患の重症度の低下をいう。対象を保護することとは、疾患の発症から保護するために、および/または該疾患の兆候、症候または原因を治癒または緩和するために該対象に投与された場合の本発明の治療用組成物の能力を指すことができる。そのため、鳥類種を疾患から保護することとは、疾患発症を防止すること(予防的処置)ならびに疾患を有する鳥類種を処置すること(治療的処置)の両方を包含する。特に、疾患から対象を保護することは、いくつかの例においてはさらなる抑制、低減、阻害または過剰または有害な免疫応答を遮断することができる有価な免疫応答または保護的免疫応答を誘導することにより、該鳥類種における免疫応答を誘起することによって達成される。該用語「疾患」とは、鳥類種の正常な健康状態からのあらゆる逸脱をいい、疾患の兆候が存在する場合および兆候がまだ顕在化していないが該逸脱が起こっている(例えば、感染、遺伝子変異、遺伝子欠陥等)場合の状態を含む。
【0025】
本発明の方法は、疾患の予防、疾患に対するエフェクター細胞の免疫刺激、疾患の排除、疾患の緩和、および一次疾患の発症から生じる二次疾患の予防のために使用され得る。
【0026】
本発明の方法は、広範囲の病原体の感染に対して保護するために組成物を投与することを包含する。投与された組成物は、特異的応答を誘起するために、特異的抗原を包含してもしなくてもよい。本発明の方法は、感染性の微生物物質から得られる疾患からレシピエント対象を保護することが意図される。感染性の微生物物質にはウイルス、細菌、菌類、および寄生虫を含むが、これらに限定しない。例示的なウイルス感染症は、ニワトリの感染性貧血ウイルス(CIAV)、マレック病ウイルス(MDV)、鶏ヘルペスウイルス(HCV)、七面鳥ヘルペスウイルス(HTV)、感染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、感染性気管支炎ウイルス(IBV)、感染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、パラミクソウイルス・タイプ3、鶏脳脊髄炎(AEV)、鶏痘ウイルス(FPV)、家禽コレラ、鳥インフルエンザウイルス(AIV)、レオウイルス、鶏白血病ウイルス(ALV)、網膜内皮症ウイルス(REV)、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス(HEV)、肺炎ウイルス、鳩痘ウイルス、その組み換え体、および当業者には既知の他のウイルスによる感染から生じる疾患を包含するが、これらに限定しない。例示的な細菌感染には、グラム陽性または陰性細菌および真菌類、例えば、Escherichia coli、Mycoplasma gallisepticum、Mycoplasma meleagridis、Mycoplasma synoviae、Bordetella Sp、Pasteurella multocida、Clostridium perfringens、Clostridium colinum、Campylobacter jejuni、Salmonella sp、Salmonella enteritidis、Salmonella pullorum、Salmonella gallinarum、Clostridium botulinum、Hemophilus gallinarum、Erysipelothrix insidiosa、riemerella anatipestifer (RA)、および当業者には既知の他の細菌を包含するが、これらに限定しない。例示的な真菌類またはカビの感染による感染には、Aspergillus fumigates、Aspergillus flavus、Candida albicans、および他の感染性真菌類または当業者には既知のカビによる感染から生じるものを包含するが、これに限定するものではない。例示的な疾患症状には、グラム陽性または陰性細菌および真菌類由来の毒素、例えば、clostridium perfringesns 毒素、clostridium botulinum 毒素、E.coli enterotoxin、staphylococcus 毒素、pasteurella leukotoxin、および fusarium mycotoxinsおよび当業者には既知の他の毒素から得られるものを包含するが、これらに限定しない。例示的な寄生虫には、Eimeria meleagridis、coccidia sp、Ascaridia galli、Heterakis gallinae、Capillaria annulata、Capillaria contorta、Capillaria obsignata、Syngamus trachea、および当業者には既知の他の寄生虫を包含するが、これらに限定するものではない。
【0027】
c.対象
本発明の方法は、屋内または野外いずれでも任意の対象または鳥類種に投与され得る。特に、繁殖、食肉または卵の製造のために商業的に飼育されたそれらの対象に投与されてもよい。好適な鳥類の対象は、ニワトリ、七面鳥、ガチョウ、アヒル、キジ、ウズラ、ハト、ダチョウ、愛玩鳥、動物学上の収集物および鳥小屋にいる鳥などを包含するが、これらに限定しない。一実施態様において、該鳥類種は、ニワトリまたは七面鳥からなる群から選択される。本発明の方法が、高密度の育雛小屋において飼育される鳥、例えば、ブロイラーおよび卵を生むニワトリのために非常に有益であることは、かかる鳥が感染物質に対する環境的暴露に特に弱いことから、当業者には理解されるであろう。
【0028】
d.投与
多様な投与経路は利用可能である。選択された特定の様式は、もちろん、選択される特定の生物学的薬剤、および対象の年齢や一般的な健康状態、処置される特定の症状、治療効果に必要な用量に依存する。本発明の方法は、臨床学的に認められない副作用を引き起こさずに免疫応答の有効なレベルを生み出す任意の投与様式を用いて実施され得る。該組成物は、単位用量形態にて従来的に提示され、当業者には十分既知のいずれかの方法により製造され得る。
【0029】
鳥のワクチン接種は、任意の年齢で行われ得る。通常、ワクチン接種を、生存微生物に対しては18日齢およびそれ以上の胚(卵内)、そして不活化した微生物または他のタイプのワクチンに対しては3週齢以上の胚に行われる。ワクチン卵内接種のために、ワクチン接種は、胚発生の第四半期に行われ得る。該ワクチンは、スプレー、経口、眼球内、気管内、経鼻、卵内によるか、または当業者には既知の他の方法により、皮下的に羽嚢(feather follicle)投与されてもよい。経口ワクチンは、飲用水中にて投与されてもよい。さらに、本発明の方法は常法のワクチン接種スケジュールに基づいて使用されてもよいと考えられる。一実施態様において、本発明の該免疫修飾剤組成物は卵内投与される。別の実施態様において、該免疫修飾剤組成物は、E. coliにて抗原投与後にスプレーとして投与される。
【0030】
他の送達系は、時間放出、遅延放出または徐放送達系を包含し得る。かかる系は、該組成物の反復投与を回避することができるので利便性が高い。多くの放出送達系のタイプは、当業者に利用可能であり公知である。それらは、ポリマー基剤系、例えば、ポリ(ラクチド-グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物を包含する。物質を含有する前記ポリマーのマイクロカプセルは、例えば、米国特許第5,075,109号に記述されている。また、送達系は非ポリマー系も含む、すなわちコレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸などのステロールまたはモノ-ジおよびトリ-グリセリドなどの中性脂肪を含む脂質;ヒドロゲル放出系;サイラスティック(シリコン剤)系(sylastic system);ペプチドを基とした系;ワックスコーティング;通常の結合剤及び賦形剤を使用した圧縮錠剤;部分的に融合したインプラント;その他である。特定の例示は、本発明の物質が米国特許第4,452,775号、第4,452,775、4,675,189号、及び第5,736,152号に記載されているようなマトリックス内の形態に含有されている浸食系、ならびに米国特許第3,854,480号、第5,133,974号および第5,407,686号に記載されているように、活性化合物が制御された速度で透過する拡散系を含む。さらに、ポンプを基にしたハードウェア送達系を使用でき、これらの幾つかは移植に好適である。
【0031】
様々な変化は、本発明の範囲を逸脱することなしに上記組成物、製品および方法において為され、上記記載および後記実施例に含まれる全ての事柄は、限定する意味を含まずに例示として理解されることを意図するものである。
【0032】
定義
用語「有効量」とは、所望の生物学的効果を実現するために必要または十分な量をいう。例えば、感染症を処置または予防するための有効量の免疫修飾剤とは、微生物への暴露による抗原特異的免疫応答を生じさせるために必要な量、即ち対象における微生物の量を低下させる量、好ましくは微生物を撲滅させる量である。特定用途のための有効量は、処置される疾患または症状として、かかる因子、対象のサイズ、または疾患または条件の重症度に依存して変更できる。当業者は、過度な実験を必要とせずに有効量の免疫修飾剤を経験的に決定できる。
【0033】
用語「サイトカイン」とは、免疫増強タンパク質ファミリーをいう。サイトカインファミリーは、造血成長因子、インターロイキン、インターフェロン、イムノグロブリンスーパーファミリー分子、腫瘍壊死因子ファミリー分子およびケモカイン(即ち、細胞、特に食細胞の遊走および活性化を調節するタンパク質)を包含する。例示的なサイトカインは、限定しないが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、インターフェロン-α(IFNα)、インターフェロン-α(IFNα)、およびインターフェロン-α(IFNα)を包含する。
【0034】
用語「誘起する」とは、活性化する、刺激する、生成するまたは上方調節するなる用語と互換的に使用され得る。
【0035】
対象において「免疫応答を誘起する」なる用語は、免疫応答の活性を特異的に制御または影響することをいい、免疫応答を活性化すること、免疫応答を上方調節すること、免疫応答を増強すること、および/または免疫応答を改変すること(例えば、有害であるかまたは有効でないものから、価値があるかまたは保護的であるものへと、対象における免疫応答の既往タイプを変える免疫応答のタイプを誘起することにより)を包含し得る。
【0036】
用語「作動可能に連結された」とは、分子が宿主細胞中へ形質移入された(即ち、形質転換、形質導入、または形質移入された)場合に発現できるような様式にて、核酸分子を転写制御配列と連結することをいう。転写制御配列は、開始、伸張、および転写終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、転写開始を制御するもの、例えばプロモーター、エンハンサー、オペレーターおよび抑制配列である。多様なかかる転写制御配列は当業者には知られている。好ましい転写制御配列には、鳥、魚、哺乳類、細菌、植物、および昆虫細胞において機能するものを包含する。あらゆる転写制御配列を本発明にて使用できるが、該配列は免疫原または免疫刺激タンパク質をコードする配列と関連する天然の転写制御配列を包含してもよい。
【0037】
用語「核酸分子」および「核酸配列」とは、互換的に使用でき、DNA、RNA、またはDNAまたはRNAいずれかの誘導体を包含する。また、該用語は、オリゴヌクレオチドおよびより大きな配列を包含しており、両核酸分子には、タンパク質またはその断片をコードする核酸分子、ならびに調節領域、イントロン、または他の非コードDNAまたはRNAをコードする核酸分子を含む。一般的に、オリゴヌクレオチドは、約1〜約500 ヌクレオチドの核酸配列を有しており、より一般的には少なくとも約5のヌクレオチド長である。該核酸分子は、哺乳類、魚、細菌、昆虫、ウイルス、植物、または合成の起源を含めたあらゆる起源から得られる。核酸分子は、当業者には既知の方法、例えば組換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、増殖、クローニング)または化学合成により製造され得る。核酸分子は、天然の核酸分子およびそのホモログ、例えば天然の対立遺伝子の変異体および改変した核酸分子を包含し、ここで本発明の方法において有用である免疫原または免疫刺激タンパク質をコードする核酸分子の能力と実質的に干渉しないような様式にて該ヌクレオチドは挿入、欠失、置換、または逆転されている。核酸ホモログを、当業者には既知の様々な方法を用いて(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloing:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Labs Press, 1989を参照されたい)製造でき、出典明示により本明細書一部に組み込む。免疫原性、例えば、病原体の抗原の免疫原性またはサイトカイン活性についてスクリーニングする技術は、当業者には知られており、多様なイン・ビトロおよびインビボアッセイもまた包含する。
【0038】
実施例
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を示すものである。
【0039】
実施例1. 材料および方法
免疫修飾剤
この試験で使用した免疫修飾剤は、カチオン性脂質および非コードDNAを含む組成物であった。該合成免疫修飾剤脂質成分[1-[2-[9-(Z)-オクタデセノイルオキシ]]-2-[8](Z)-ヘプタデセニル]-3-[ヒドロキシエチル]イミダゾリニウムクロライド(DOTIM)および合成の天然脂質コレステロールを製剤して、約200 nm の直径のリポソームを製造した(米国特許第6,693,086号を参照されたい)。該DNA成分は、E.coliで産生される4292塩基対の非コードDNAプラスミド(pMB 75.6)であって、これは陰性電荷を持ち、陽性電荷(カチオン)リポソーム(米国特許第6,693,086号を参照されたい)と会合する。
【0040】
表1. 600個の卵/群に投与される用量について免疫修飾剤の希釈スキーム
【表1】
【0041】
試験動物
市販購入し得るニワトリの卵(食肉用ブロイラー)に光を当てて、インキュベーション18日目の生存能を決定した。健康な胚を試験に含め、無精胚、死亡胚、および不健康な胚を廃棄した。雛を、一般的なカリフォルニアスタイルの片側がカーテンの(curtain-sided)鶏舎で飼育した。各囲いに、直留で50匹の鳥を0日目に置いた。この雛を、試験動物の年齢および体重についてのMRC推奨基準に応じた食餌を与え、雛は、囲い毎に水道と繋がったベル型給水器から随意に水を摂水した。
【0042】
実験的感染および抗原投与
雛を、免疫応答の効率を決定するために生物により抗原投与した。抗原投与または実験的感染は、生物体の接種材料、例えばEscherichia coli (E.coli)への暴露を含む。該生物体を、2.63X105 の濃度で使用し、各孵化卵に接種材料(0.15 mL)をスプレーすることにより孵化トレイ内にて投与した。
【0043】
実施例2. 該免疫修飾剤の投与が孵化能力を増強する
実施例1に記載した免疫修飾剤の効果を決定するための試験を、18日齢のニワトリの卵に投与し、その後Escherichia coli (E. coli)に暴露して行った。この試験には2群が含まれ(表2)、一群はE. coli (T1-4)により抗原投与したもので、もう一方は抗原投与していないものである(T5およびT6)。E. coli 抗原投与した群内には、なし(T1)、0.1 μg (T2)、1.0 μg (T3)、および10.0 μg (T4)の用量を含む免疫修飾剤の様々な用量を各々投与した4つの下位群がある。非抗原投与群は、免疫修飾剤を投与してないか(T5)または1.0 μg の免疫修飾剤を投与した(T6)2つの下位群を含む。
【0044】
表2. 試験処置群
【表2】
【0045】
試験0日目に、該免疫修飾剤を受容する18日齢の孵化卵に卵内注射を行った。抗原投与される群(T1-T4)において、1日目、19日齢の孵化卵に、2.63X105の濃度でE. coliを含む接種材料(0.15 mL)を用いて各々スプレーした。
【0046】
全ての群の分析は、孵化卵の孵化率に対して統計学的に有意な処置効果を示した。抗原投与していない2つのコントロール群 (T5、91 %にて0 μg/kg 対 T6、89 %にて1.0 μg/kg)の間には、有意差はなかった。さらに、2つの非処置群(T1-抗原投与およびT5-非抗原投与)の比較から、非抗原投与群(85 % 対91 %、各々)において孵化卵の孵化がより高い結果となった。即ち、抗原投与モデルは、孵化率を評価するための有効なモデルとして認められた。
【0047】
該免疫修飾剤で処置したそれらの群について、T3 (1.0 μg/kg-処置された卵)は、非処置/抗原投与したT1(84.5 %) または T4 (10.0 μg/kg-処置された卵(85 %)よりも、多い鳥を孵化した(91.5 %)(図1)。類似の差違は、非処置/非抗原投与したコントロール群(T5)とこれらの同じ2つの処置群(上記したようなT1およびT4)との間で見られた。その他の顕著な知見は、いずれの残余ペアワイズ群間の比較(図1)でも示されなかった。
【0048】
鳥の死亡/囲い/群/試験日の比率に対して顕著な差違はなかった(図2)。任意の特定の試験日に生存している鳥の比率は、処置および時間との間に統計学的に有意な相関はなかったが、有意な処置効果を示した(図3)。群T3、T5、およびT6の鳥は、群T1、T2、およびT4と比較した場合、いずれの日に対しても有意に多い鳥の数を示した。さらに、T5の鳥はまた、T3よりも有意に多く生存している鳥の数を示した。孵化後の鳥の生存率を評価することにより、上記のとおり、類似した有意な知見を得た(図4〜図12)。
【0049】
7、14、21または28日目に観察された囲いの重量では顕著な差違はなかった(図13〜図16)。35日目の全ての囲いの重量の分析から、T5およびT2の群間(各々平均87 kg 対 75 kg)で有意な差違が得られた(図17)。試験終了時 (45日目) の囲いの重量は、T1(105 kg)と比較した場合に群T5 (120 kg)およびT6 (117 kg)が重く、T2(106 kg)およびT4 (105 kg)(図18)と比較した場合にT5が重かった。
【0050】
つまり、商業用ブロイラーではE. coli 感染前に卵内投与した場合の該免疫修飾剤の効果を評価した。該免疫修飾剤で処置したそれらの群について、T3群は、非処置/抗原投与したT1群(85 %) または T4群(85 %)よりも、より多くの鳥(92 %)を孵化した。同様の差違が、非処置/非抗原投与コントロール群(T5)と同一の処置群T1およびT4との群間で示された。死亡率(図2〜図12)および体重(図13〜図18)における有意な差違はなかった。この試験では、該免疫修飾剤は、孵化の前にE. coliを用いて、特に免疫修飾剤投与群の中で増強された免疫を示す1.0 μgの用量にて抗原投与した商業用ブロイラーの卵の孵化率を増加させる場合に有効であった。
【0051】
実施例3.免疫修飾剤の投与が非抗原特異的免疫を増加する
実施例1に記載したとおり、E. coliに暴露されるマレック病ワクチン接種したニワトリにおける免疫修飾剤の効果を決定するために試験を行った。試験には、E. coliにて抗原投与した一群(T1-T4)および抗原投与していない別の一群(T5およびT6)の二群を含める。E.coli 抗原投与群の中には、なし(T1)、0.1 μg (T2)、1.0 μg (T3)、1.0 μg+1 用量のマレックワクチン(T4)を含む各々異なる用量の免疫修飾剤を投与した4つの下位群がある(表3)。非抗原投与群には、免疫修飾剤を投与していないか(T5)、または1.0 μgの免疫修飾剤を投与した(T6)2つの下位群が含まれる。
【0052】
表3.試験処置群
【表3】
【0053】
商業用ブロイラーの卵を、18日間インキュベートし、生存能力について光を当てて調べ、次いで免疫修飾剤を受容する18日齢の孵化卵に卵内注射した。次に、抗原投与群において19日齢の孵化卵に、E. coliを2.8X107/mlの濃度にて含有する接種材料(0.15 mL)を用いて各々スプレーした。卵は0日目に孵化し、試験は45日間継続した。
【0054】
孵化した孵化卵の数を、各群(n=1000/群または孵化トレイ)について記録した(図19)。孵化した雛の中で、孵化後7日目に残っている生存している雛の数を記録した(図20)。孵化後7日目の生存/死亡している雛/群の数も記録した(図21)。死亡率%は、抗原投与した群は免疫修飾剤の増加と共に低下し、また免疫修飾剤と共にマレックワクチンを共投与した群はさらに死亡率%が低下した(図22)。
【0055】
このデータは、E. coliにて抗原投与しなかった免疫修飾剤処置群および非処置群の群間で、孵化率の低下がないことを示す(図23)。孵化率は、E. coliにて抗原投与した免疫修飾剤処置群および非処置群の間では有意に高かった。該免疫修飾剤およびマレックワクチンの一用量を受容する孵化卵の孵化率は、非処置のコントロール群および非抗原投与のコントロール群のものと類似していた。要するに、該免疫修飾剤は、抗原投与条件下で孵化率を増加させ、そして該免疫修飾剤の保護応答はマレックワクチンの共投与により増強される。この結果は、該免疫修飾剤の投与か、または該免疫修飾剤とマレックワクチンの投与により、非抗原特異的免疫応答が誘起されることを示す。
【0056】
実施例4.免疫修飾剤の投与は、生物学的薬剤の追加投与により増強される非抗原特異的免疫応答を誘起する
試験を、E. coliに暴露されるマレック病ワクチン投与したニワトリにおける免疫修飾剤の効果を決定するために行った。この試験は、表4に示したように示差的に処置された9つの群を含む。
【0057】
表4. 試験群処置
【表4】
【0058】
商業用ブロイラーの卵を、18日間インキュベートし、生存能について光を当てて確認し、その後免疫修飾剤を受容する18日齢の孵化卵に卵内にて注射した。次いで、抗原投与群において19日齢の孵化卵に、2.63 x 105/mlの濃度にてE. coliを含有する接種材料(0.15 mL)を各々スプレーした。卵は試験0日目に孵化し、試験は45日間継続した。
【0059】
孵化した孵化卵の%を、各群について計算した(図24)。孵化した雛のうち、抗原投与群(図26)および非抗原投与群(図25)の両群の死亡率%を、孵化後7日目に計算した。抗原投与群は、同じように処置した非抗原投与群(図27)よりも高い死亡率%を示した。生存している雛/群の%を、孵化から7日目まで(図28)、ならびに3日目(18日間生存の胚)から7日目まで(図29、n=400)計算した。抗原投与前に免疫修飾剤で処置した鳥についての生存率 (>98.2 %、図28)は、抗原投与されたコントロール群(82.2 %、図28)と比較して有意に高かった。また、抗原投与されたコントロール群(82.2 %、図28)と比べて、抗原投与する前および後に免疫修飾剤で孵化時に処置した鳥についての7日目の生存率(95%、図28)は、有意に高かった。これらの結果を、400個の卵/群を含むセットを用いて繰り返した(図29)。コントロール群(67.0 %、図29)と比べて、抗原投与前に処置された胚(400セット)についての7日目の生存率は高かった(>94.3 %、図29)。同様に、抗原投与されたコントロール群(81.9 %、図30)と比べて、卵内で免疫修飾剤により処置された鳥の生存率(97.4 %、図30、二次処置せず、14日目)は有意に高かった。コントロール群81.9 % (図30)と比較して、抗原投与後1日齢において免疫修飾剤により処置された最初の処置を行わなかった群において14日目に生存している鳥93.9 % (図30、一次処置なし)は有意に高かった。また、卵内およびその後1日齢に免疫修飾剤により処置された群において14日目に生存している鳥は(95.8 %,(図30)、コントロール群81.9 % (図30)と比較して有意に高かった。図30は、様々な処置による抗原投与群および抗原投与群の週間死亡率を示す。
【0060】
データは、E. coliにより抗原投与していない免疫修飾剤処置群(1回または2回の処置)および非処置群との間の孵化率の低下がないことを示す。孵化率は、E. coliによる抗原投与前に免疫修飾剤で処置された群では高かった。この効果は、免疫修飾剤をマレックワクチンと共投与した場合に増強された。また、免疫修飾剤の処置は、非抗原投与群における死亡率の低下と相関した。死亡率は、さらに、マレックワクチンの共投与およびマレックワクチンと免疫修飾剤の投与前に免疫修飾剤による事前処置にて低下した。これらの結果を抗原投与群において概括した。要するに、免疫修飾剤は抗原投与条件の下で孵化率を増加させ、そして免疫修飾剤の保護応答はマレックワクチンの共投与により増強された。この結果は、免疫修飾剤の投与がマレックワクチンを伴う場合に、免疫修飾剤の投与により誘起した非抗原特異的免疫応答が増強されるということを示す。免疫修飾剤とマレックワクチンとの共投与は、非抗原特異的免疫応答をさらに増強する。
【0061】
実施例5. 生物学的薬剤の追加投与により増強される非抗原特異的免疫応答を誘起する感染後の免疫修飾剤の投与
抗原投与したコントロール群(82.2 %、図28)と比較して、抗原投与後に免疫修飾剤により処置した鳥についての生存率(95 %、図28)は有意に高かった。これらの結果を、400個の卵/群を含むセットを用いて概括した(図29)。
【0062】
この結果は、免疫修飾剤の投与がマレックワクチンを伴う場合に、E.coli 抗原投与後の免疫修飾剤の投与により誘起した非抗原特異的免疫応答が、増強されたことを示す。マレックワクチン投与後の免疫修飾剤の後投与は、非抗原特異的免疫応答を増強した。
【0063】
実施例6. 二価の生物学的薬剤と免疫修飾剤との投与は、二価の生物学的薬剤の早期複製を阻害しない
試験を、免疫修飾剤がマレック病の二価ワクチンの早期複製に負の影響を与えるかどうかを決定するために行った。マレック病の二価ワクチンは、HVT(七面鳥ヘルペスウイルス)およびSB1(ニワトリのヘルペスウイルス)を包含する。
【0064】
商業用ブロイラーの卵を18日間インキュベートし、生存能力について光を当てて調べた。その卵を、20個の卵/群により、A-Cの3群に分けた。各卵に表5に示したようにワクチン接種した。
【0065】
表5:処置
【表5】
【0066】
インビボでのワクチンウイルス複製に対する免疫修飾剤の効果を評価するために、ウイルスの再単離を、7および14日後に脾臓細胞(SPC)および末梢血単核球細胞(PBMC)の双方から行った。
【0067】
MDワクチンウイルス感染はウイルス複製レベルにおいて鳥間の変異が知られるので、3つのニワトリのプール(2匹ニワトリ/プール、3つのプール/サンプル採取時)を用いて行った。
【0068】
プールでの生存能力にもかかわらず、免疫修飾剤の存在下ではHVTおよびSB-1の複製において明確な傾向があった。このデータは、第一週の間ではSB-1の複製に対して最も顕著であったが、HVTおよびSB-1についての全体的な傾向は、双方の時点で(孵化後7および14日)両組織について類似していた。該データを図31から図38にまとめた。図31は、週間1での脾臓細胞におけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図32は、週間1でのPBMCにおけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図33は、週間1での脾臓細胞におけるSB-1のMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図34は、週間1でのPBMCにおけるSB-1のMDワクチンの複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図35は、週間2での脾臓細胞におけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図36は、週間2でのPBMCにおけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図37は、週間2での脾臓細胞におけるSB-1のMDワクチン複製に免疫修飾剤の効果を示す。図38は、週間2でのPBMCにおけるSB-1のMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。
【0069】
該免疫修飾剤は、MDワクチン複製に対する負の影響を与えない。該免疫修飾剤が、感染後最初の2週間でHVTおよびSB-1の複製を増加させるアジュバント効果を有することが判る。このデータは、該免疫修飾剤がMDワクチン効果に対して正の影響を与えることを示唆している。
【0070】
実施例7. 修飾された生の生物学的薬剤と免疫修飾剤との投与は、修飾された生の生物学的薬剤と干渉する
試験を、ニューカッスル病に暴露される、修飾された生のニューカッスル病ワクチン接種されたニワトリによる、免疫修飾剤の効果を決定するために行った。この試験には、表6に示したとおりに示差的に処置された9つの群が包含される。
【0071】
表6. 試験群の処置
【表6】
【0072】
商業用ブロイラーの卵を、18日間インキュベートして、生存能力について光を当てて調べた。この卵を、60個の卵/群にてT1-T9の9つの群に分けた。群T9は、孵化後一日目の夜に害虫の攻撃を受け、試験の経過中に原因不明により数匹死亡した。選抜時点でのトリの匹数/群を表7に示した。
【0073】
表7. 鳥/群
【表7】
【0074】
群T4-T6における18日齢の孵化卵を、免疫修飾剤を用いて卵内注射した。群T1-T3およびT7-T9を、生理食塩水を用いて注射した。0日目に、群T1-T2において孵化した卵および雛を生理食塩水によりスプレーし、群T3-T6にはニューカッスルワクチンであるIntervet/Schering-Plough Animal Healthにて製造された Newhatch-C2を与え、群T7-T9には免疫修飾剤によりスプレーおよびワクチン接種した。
【0075】
血清を、孵化後7、14および21日目に抗NDV力価測定のために得た。21日目に、雛の群T2-T9を、長潜伏期性ニューカッスル病ウイルスを用いて抗原投与した。26日目に、雛を選別し、採血し、気嚢炎(air sacculitis)について全体的な病変を試験し、血清分析を行った。
【0076】
このデータは、7、14および21日目の群の間には血清学的に有意な差違がないということを示す。しかし、抗原投与後の5日目にあたる26日目に、免疫修飾剤を卵内投与された鳥は、ワクチン単独を含めたその他の全ての群よりも抗NDV力価の劇的な増加を示した(図 40)。
【0077】
気嚢炎は、T2-T5、即ち卵内で該修飾剤を受容した雛(図39)の間で劇的に低下した。この結果は、免疫修飾剤の卵内投与がNDVワクチン接種と干渉しないことを示す。
【0078】
実施例8. 毒性抗原投与において生物学的薬剤と共に免疫修飾剤を投与する有効性
試験を、18日齢の孵化卵において、通常のマレック病ワクチン接種と1回用量の免疫修飾剤との干渉を評価するためにおこなった。この試験により、毒性抗原投与に対するマレック病ワクチン接種の有効性を比較した。
【0079】
総計160個の孵化卵を8つの群に分けた。孵化時に、各保菌対象である鳥(shedder bird)に、マレック病ウイルスを接種した、即ち試験0日目。孵化した保菌対象である鳥の数は、160匹の内148匹であった(開始時の卵/鳥の数と括弧内の試験終了時の実際の鳥の数については下記表8を参照されたい)。3週間後に、80匹以上の、即ち15匹のワクチン接種していない非処置の鳥(接触)および65匹の処置済みの鳥(ワクチン接種)(各群の処置については以下の表8を参照されたい)の鳥を各群に加えた。
【0080】
表8:処置
【表8】
【0081】
試験の42日目に、生存している保菌対象である鳥を取り出して解剖した。試験63日目に(接触およびワクチン接種については42日目)、生存試験の鳥を取り出して、解剖した。
【0082】
図41は、接種された保菌対象である鳥、ワクチン接種されていない接触鳥、ワクチン接種のみされた鳥、ワクチン接種/免疫修飾剤の鳥に関する生存曲線を示す。ワクチン接種されていない接触データは、8つの囲いの平均値であるが、各々ワクチン接種された群は、4つの囲い毎の平均値である。認められるとおり、ワクチン接種単独の鳥とワクチン接種/免疫修飾剤の鳥について生存曲線の勾配に類似性がある。
【0083】
図42は、接種された保菌対象である鳥、ワクチン接種されていない接触鳥、ワクチン接種のみされた鳥、ワクチン接種/免疫修飾剤の鳥におけるマレック病の平均発症率を示す。保菌対象および接触のデータ双方は、8つの囲いの平均値であるが、ワクチン接種された群は4つの囲いの平均値である。認められるとおり、ワクチン接種単独群およびワクチン接種/免疫修飾剤群は、非常に低いマレック病発生率を示した。ワクチン接種/免疫修飾剤群は、ワクチン単独接種した群よりもマレック病の発症率が低かった。
【0084】
図41から図42に見られるとおり、免疫修飾剤は、マレック病ワクチン保護に対して悪影響を示さない。事実、ワクチンの有効性における増加を誘起した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類における免疫活性化の方法に関する。特に、本発明は、呼吸器系および全身系の、非特異的および抗原特異的免疫応答を誘起するための方法を包含し、これは動物の免疫付与、ワクチン接種、および感染症に対する処置に有用である。
【0002】
ワクチンは、感染症を予防するため、および確立された疾患を処置するために使用される。感染症は、例えば、ウイルス、細菌、寄生体、および他の菌類などを含む感染物質が原因となって引き起こされる。多くの試薬および方法は、哺乳類、鳥、魚、および霊長類を含む全ての種についての感染症を予防および処置するために開発されてきた。
【背景技術】
【0003】
ワクチン接種プログラムは、食品産業において使用される商業飼育される動物に対して特に重要である。鳥は、多くの感染型に対する第一の標的である。畜産家および商業用のニワトリ、七面鳥、および他の家禽類は、病原体にさらされた環境から守るために日常的にワクチン接種される。鶏肉産業に対して最も経済的に重要な疾患は、マレック病であり、これはニワトリにおいて自然発症するリンパ球増殖疾患である。該疾患は、水平伝搬する高い接触伝染性のヘルペスウイルスが原因となって引き起こされ、鶏肉産業への大きな経済的損失に関与している。マレック病の兆候は、感染した鳥の神経、外性器、内部器官、眼および皮膚にわたり広範囲に現れ、運動麻痺、低下される器官機能、および最終的に死をもたらす慢性的な栄養不良を引き起こす。
【0004】
孵化する鳥は、誕生直後に病原性の微生物に晒される。これらの鳥は、母性由来の抗体により病原体に対して初期には保護されるが、この保護はほんの一時的なものに過ぎず、鳥自身の未熟な免疫系は、病原体に対して該鳥を保護するために始動せねばならない。鳥が最も感染し易い時期である幼鳥の感染を予防することがしばしば望まれる。また、老鳥の感染予防は、接近して鳥が飼育される場合には疾患を急速に蔓延させるために、特に望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最も商業的な家禽類において、新たに孵化した雛は、孵化時に非経口で特定のワクチンが与えられる。病原体への暴露が非常に幼い年齢で頻繁に起こるために、それらの雛は、飼育または育雛小屋に入る前にワクチン接種を受ける。かかるワクチン接種のスキームは、個別に鳥を取り扱うことを必要とし、場合により誤って自己注射するというリスクを包含する。さらに、これらのワクチンが常に有効であるというわけではない。この幼雛は、幼雛が十分な保護免疫を獲得する機会を持つ前に、ワクチン接種後直ぐに疾患の病原型(virulent form)に暴露されることとなる。
【0006】
幾つかの生のウイルスワクチンを、鳥が孵化する前に卵内に投与できる。この方法は、「ワクチン卵内接種」と言われる。このワクチン卵内接種された鳥は、標的疾患に対して耐性を獲得する。しかしながら、孵化後の鳥に使用される多くのワクチンは、ワクチン剤の胚病原性を理由に、ワクチン卵内接種に使用できない。遅い段階の胚は、試験された殆どのワクチンウイルスによる感染に高い感受性がある。新たに孵化した雛に非病原性であるワクチンウイルスの全てが、後の段階の胚にとって安全というわけではない。例えば、新たに孵化した雛における新生児ワクチンとして日常的に使用される伝染性気管支炎ウイルス(IBV)およびニューカッスル病ウイルス(NDV)のワクチン株は、卵内接種後の胚にとって致死的である。これらのウイルスは、卵内の使用に安全となるように改変される。ウイルスの修飾は、誘起される免疫応答を減弱させるので、後の段階の胚を保護する場合に有効性が低いワクチン薬剤である。
【0007】
感染症および経済的損失防止を提供するのに必要なこのような異なるワクチンから生じるワクチン接種プログラムは複雑である。従って、感染症からの鳥の保護を増強し、かつ容易に投与できる非抗原特異的免疫応答を誘起する方法についての必要性が存在する。さらに、1以上の感染物質についての保護機能を提供する免疫応答を誘起する方法を含むことが望ましい。さらに、長期耐性を示すかまたはワクチンのブースター注射を必要としない免疫応答を誘起する方法についての必要性が存在する。本発明は、群れの罹患率をも低下する鳥類における非抗原特異的免疫応答を誘起する方法を提供し、1以上の感染物質についての保護機能を提供し、ならびに当分野で既知の他の製品よりも長期間の保護を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、示差的に処置されたニワトリの孵化卵の群間の孵化率を図示する。分析した試験群は次のものを包含する:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図2】図2は、日平均死亡率/囲い(pen)/孵化後の日を図示する。注:T1、0μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図3】図3は、孵化卵の最初の数を基準とした囲いあたりの任意の特定試験日に生存している鳥の割合を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図4】図4は、孵化後の鳥の生存率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図5】図5は、試験日7日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図6】図6は、試験日14日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図7】図7は、試験日21日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図8】図8は、試験日28日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図9】図9は、試験日35日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図10】図10は、試験日45日にわたる生存率、孵化死亡率、および孵化後の死亡率を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図11】図11は、18日目から試験日45日目にわたる胚の累積死亡率/群を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図12】図12は、孵化後の試験日0日目から試験日45日目にわたる累積死亡率/群を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図13】図13は、試験0日から7日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図14】図14は、試験の0日から14日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図15】図15は、試験0日目から21日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図16】図16は、試験の0日目から28日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図17】図17は、試験の0日から35日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図18】図18は、試験0日から45日にわたり観察された全平均体重増加を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、10.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図19】図19は、ニワトリの孵化卵の試験群あたりに孵化したニワトリの数を図示する。分析した試験群は後記を包含する:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図20】図20は、試験7日目の、ニワトリの生存数/群を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図21】図21は、試験7日目の、群あたりに生存しているニワトリと死亡したニワトリとの比較を示す。
【図22】図22は、試験7日にわたり、試験群あたりの死亡率%を示す。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図23】図23は、死亡した胚、死亡したニワトリ、および生存しているニワトリ(緑)を含めた各群について、試験終了時(7日)に生存している鳥の数を図示する。注:T1、0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T2、0.1 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T3、1.0 μg 免疫修飾剤/卵およびE. coli抗原投与;T4、1.0 μg 免疫修飾剤/卵+1用量のマレックワクチンおよびE. coli抗原投与;T5、0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず;およびT6、1.0 μg 免疫修飾剤/卵および抗原投与せず。
【図24】図24は、ニワトリの孵化卵の試験群あたりの孵化したニワトリの%を図示する。分析した試験群は、表4に示したものを包含する。
【図25】図25は、試験7日にわたり、孵化後にE. coliによる抗原投与していない試験群についての死亡率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図26】図26は、試験7日にわたり、孵化後にE. coliによる抗原投与した試験群についての死亡率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図27】図27は、試験7日にわたり、孵化後の各試験群についての死亡率%を図示する。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図28】図28は、試験7日にわたり、各試験群についての孵化後の生存率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図29】図29は、試験7日にわたり、各試験群についての生存率%を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図30】図30は、試験7日および14日にわたり、各試験群についての週毎の死亡率を示す。分析した試験群は、表4に挙げたものを包含する。
【図31】図31は、試験の週間1における脾臓細胞内のHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図32】図32は、試験の週間1におけるPMBC内のHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図33】図33は、試験の週間1における脾臓細胞内のSB-1のMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図34】図34は、試験の週間1におけるPMBC内のSB-1のMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図35】図35は、試験の週間2における脾臓細胞内のHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図36】図36は、試験の週間2におけるPMBCにおけるHVTのMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図37】図37は、試験の週間2における脾臓細胞内のSB-1のMDワクチン複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図38】図38は、試験の週間2におけるPMBC内のSB-1のMDワクチンの複製に対する該免疫修飾剤の効果を図示する。分析した試験群は、表5に挙げたものを包含する。
【図39】図39は、卵中にて免疫修飾剤を受容し、NDに対するワクチン接種を行い、ならびに抗原投与された雛における気嚢炎(air sacculities)の低下を図示する。分析した試験群は、表7に挙げたものを包含する。
【図40】図40は、表7に挙げた試験群26日目のELISAを図示する。
【図41】図41は、表8に挙げた試験群の雛の生存率を図示する。
【図42】図42は、表8に挙げた試験群におけるマレック病の発症率を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細な説明
鳥類種において免疫応答を誘起する本発明の方法は、該鳥類種における免疫応答を誘起するために有効量の免疫修飾剤組成物を該鳥類種に投与することを包含する。該免疫修飾剤組成物は、リポソーム送達ビヒクルおよび少なくとも一の核酸分子を包含する。特に、該免疫修飾剤は、少なくとも一の生物学的薬剤、例えば、ワクチンの投与によりさらに増強される非抗原特異的免疫応答を誘起する。
【0010】
該方法は、感染症から鳥類を保護するため、および感染症を有する集団を処置するための新規の処置方法を提供する。さらに、本発明の該免疫修飾剤組成物を使用することにより、該免疫修飾剤を卵中に投与した場合に、孵化率または孵化後の生存率の低下がなく、またワクチンと共投与した場合に、孵化率または生存率の低下がない。また、ワクチンの投与前の該免疫修飾剤の前投与により、非抗原特異的免疫応答がさらに増強される。本発明の方法はまた、卵中で使用されるように、孵化後の投与にのみ利用できる従前のワクチンを安全に使用することを可能とする。さらに、本発明の方法は、1以上のワクチンと該免疫修飾剤組成物との組合せを可能にする。最後に、該免疫修飾剤をワクチンと組み合わせて使用する場合に、本発明の方法は、疾患に対する長期的な保護を提供する。
【0011】
I.組成物
a.免疫修飾剤
本発明の一実施態様において、該免疫修飾剤組成物は、米国特許第6,693,086号に記述されたとおりにリポソーム送達ビヒクルおよび少なくとも一の核酸分子を包含し、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
好適なリポソーム送達ビヒクルは、処置対象の組織に核酸分子を送達することができる脂質組成物を含む。リポソーム送達ビヒクルは、対象における核酸分子および/または生物学的薬剤を送達するのに十分な時間安定性を維持できるのが好ましい。一実施態様において、リポソーム送達ビヒクルは、少なくとも約30分間レシピエント対象において安定である。別の実施態様において、リポソーム送達ビヒクルは、少なくとも約1時間レシピエント対象において安定である。また別の実施態様において、リポソーム送達ビヒクルは、少なくとも約24時間レシピエント対象において安定である。
【0013】
本発明のリポソーム送達ビヒクルは、核酸分子を細胞に送達するために細胞の原形質膜と融合することができる脂質組成物を含む。一実施態様において、核酸を送達する場合:本発明の核酸リポソーム複合体は、少なくとも約 1ピコグラム(pg)の発現タンパク質/全組織タンパク質の1ミリグラム(mg)/送達される核酸の1マイクログラム(μg)である。別の実施態様において、核酸:リポソーム複合体のトランスフェクション効率は、少なくとも約10 pgの発現タンパク質/全組織タンパク質1mg/送達される核酸1μgである;ならびに、また別の実施態様においては、少なくとも約50 pgの発現タンパク質/全組織タンパク質1mg/送達される核酸1μgである。該複合体のトランスフェクション効率は、上記の量がより好ましいが、1フェムトグラムの発現タンパク質/全組織タンパク質1mg/送達される核酸1μg程度低くてもよい。
【0014】
本発明の好ましいリポソーム送達ビヒクルは、約100〜500 ナノメートル(nm)であり、別の実施態様においては、直径が約150〜450 nmであって、また別の実施態様においては、約200〜400 nmである。
【0015】
好適なリポソームは、任意のリポソーム、例えば当業者には既知の遺伝子送達方法などの一般的に使用されるリポソームを包含する。好ましいリポソーム送達ビヒクルは、多重膜小胞(MLV)脂質および押出された脂質を含む。MLVの製造方法はよく知られている。より好ましいリポソーム送達ビヒクルは、ポリカチオン脂質組成物(即ち、カチオン性リポソーム)および/またはポリエチレングリコールに対合したコレステロールバックボーンを有するリポソームを含む。例示的なカチオン性リポソーム組成物は、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびコレステロール、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTAP)およびコレステロール、1-[2-(オレイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウム塩化物(DOTIM)およびコレステロール、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)およびコレステロール、ならびにその組合せ物を包含するが、これらに限定するものではない。送達ビヒクルとしての用途に最も好ましいリポソーム組成物は、DOTIMおよびコレステロールを包含する。
【0016】
好適な核酸分子は、任意の核酸配列、例えばコードまたは非コード配列、およびDNAまたはRNAを包含する。コード化核酸配列は、少なくともタンパク質またはペプチドの一部をコードするが、一方で非コード配列は、タンパク質またはペプチドのいずれの部分もコードしない。本発明に従って、「非コード」核酸は、転写ユニット、例えばプロモーター領域の調節領域を包含し得る。該用語「エンプティーベクター」は、前記用語「非コード」と互換的に使用することができ、また特にタンパク質のコード部分、例えば遺伝子挿入体を含まないプラスミドベクターが存在しない核酸配列をいう。核酸分子によりコードされたタンパク質の発現は、非抗原特異的免疫応答の誘起には必要とされない;従って、該核酸分子は、転写制御配列に作動可能に連結されることを必ずしも必要とはしない。しかしながら、さらなる利点が、該組成物に免疫原および/またはサイトカインをコードする核酸配列(DNAまたはRNA)を含むことにより得られ得る(即ち、抗原特異的免疫および増強された免疫)。
【0017】
リポソームと核酸分子との複合体は、当分野では標準的な方法を用いるか、または米国特許第6,693,086号に記述したとおりに得られ、出典明示により本明細書に組み込まれる。リポソームに加えるために好適な核酸分子の濃度は、全身免疫応答が誘起されるような対象に十分な量の核酸分子を送達するのに有効な濃度を包含する。該核酸分子が免疫原またはサイトカインをコードする場合、リポソームに添加するのに好適な核酸分子の濃度は、細胞が所望の方法にてエフェクター細胞の免疫を調整するために十分な免疫原および/またはサイトカインタンパク質を生成できるような、十分量の核酸分子を細胞に送達するために有効な濃度を包含する。一実施態様において、約0.1μg〜約10μg の核酸分子が、約8 nmol リポソームと組合される、別の実施態様においては、約0.5 μg〜約5 μg の核酸分子が、約8 nmol リポソームと組み合わされる、そしてまた別の実施態様においては、約1.0 μg の核酸分子が約8 nmolリポソームと組み合わされる。一実施態様においては、組成物中の核酸と脂質(μg 核酸: nmol 脂質)の割合は、重量あたり少なくとも 約1:1 核酸:脂質であり(即ち、1 μg 核酸:1 nmol 脂質)、そして別の実施態様においては、少なくとも 約1:5であり、そしてまた別の実施態様においては、少なくとも約1:10であり、さらに実施態様において、少なくとも約1:20である。本明細書にて表現される割合は、該組成物中のカチオン性脂質の量に基づいており、該組成物中の脂質全量に基づくものではない。別の実施態様においては、本発明の組成物中の核酸と脂質との割合は、重量あたり、約1:1〜約1:64の核酸:脂質であり、別の実施態様においては、重量あたり、約1:5〜約1:50の核酸:脂質であり、さらなる実施態様において、重量あたり、約1:10〜約1:40 の核酸:脂質であり、およびまた別の実施態様において、重量あたり、約1:15〜約1:30 の核酸:脂質である。核酸:脂質の他の割合は、約1:8〜1:16であり、約1:8〜1:32 が好ましい。
【0018】
b.生物学的薬剤
本発明の別の実施態様において、該免疫修飾剤は、リポソーム送達ビヒクル、核酸分子、および少なくとも一の生物学的薬剤を包含する。
【0019】
好適な生物学的薬剤とは、鳥類の疾患を予防または処置する際に有効な薬剤である。かかる生物学的薬剤は、免疫増強剤タンパク質、免疫原、ワクチンまたはその任意の組合せを包含する。好適な免疫増強剤タンパク質は、免疫を増強することが知られているそれらのタンパク質である。非限定的な例を挙げると、タンパク質のファミリーを包含するサイトカインは、既知の免疫増強タンパク質ファミリーである。好適な免疫原は、体液性および/または細胞性免疫応答を誘起するタンパク質である。対象への免疫原の投与により、対象の組織内で起こる同一または類似のタンパク質に対する免疫原特異的免疫応答が開始される。免疫原は、細菌、ウイルス、宿主または菌類により発現された病原性抗原を包含し得る。好ましい抗原は、対象において感染症を引き起こす抗原を包含する。本発明に従って、免疫原は、体液性および/または細胞性免疫応答を誘起する天然または合成により得られたタンパク質の任意の部分であってもよい。そのままで、抗原または免疫原のサイズは、約5-12個のアミノ酸程度小さくてもよく、また完全長タンパク質程度大きいものであってもよく、中間のサイズも含め得る。該抗原は、マルチマータンパク質または融合タンパク質であってもよい。該抗原は、ネイティブまたは組み換え細胞から得られた精製ペプチド抗原であってもよい。免疫増強剤タンパク質および免疫原の核酸配列は、該免疫原を対象の組織において発現することにより、対象における免疫原-特異的免疫応答に加えて非特異的免疫応答を誘起するように転写制御配列に作動可能に連結される。
【0020】
本発明の別の実施態様において、該生物学的薬剤はワクチンである。該ワクチンは、生の伝染性ウイルスワクチンまたは死菌の不活化ウイルスワクチンを包含する。一実施態様において、1以上の生ワクチンまたは不活化ウイルスワクチンは、本発明の該免疫修飾剤組成物と組み合わせて使用され得る。好適なワクチンは、鳥類用として当業者には既知の方法を包含する。例示的なワクチンは、限定はしないが、マレック病ウイルス(MDV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、鶏貧血ウイルス(CAV)、感染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、感染性気管支炎ウイルス(IBV)、七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)、感染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、鶏脳脊髄炎ウイルス(AEV)、鶏痘ウイルス(FPV)、家禽コレラ、鳥類のインフルエンザウイルス(AIV)、レオウイルス、鶏白血病ウイルス(ALV)、網膜内皮症ウイルス(REV)、鶏アデノウイルスおよび出血性腸炎ウイルス(HEV)、コクシジウム、および当分野では既知の他の疾患に対する保護のために当分野で使用されるものを包含する。別の例では、ワクチンは、米国特許番号第5,427,791号、第6,048,535号、および第6,406,702号に記述されたとおりのワクチンであり得る。例示的な実施態様において、マレック病の保護のためのワクチンを、本発明の該免疫修飾剤組成物と組合せて使用することができる。
【0021】
II.方法
a.免疫刺激の方法
本発明の一実施態様において、免疫応答は、有効量の免疫修飾剤組成物を鳥類種に投与することにより該鳥類種において誘起される。有効量は、該鳥類種において免疫応答を誘起するのに十分である。該免疫修飾剤は、リポソーム送達ビヒクルおよび核酸分子を包含する。
【0022】
一実施態様において、有効量の該免疫修飾剤は、約0.05 μg〜約10 μgである。別の実施態様において、有効量の該免疫修飾剤は、約0.1 μg〜約5 μgである。
【0023】
本発明の別の実施態様において、免疫応答は、リポソーム送達ビヒクル、単離した核酸分子、および生物学的薬剤を包含する有効量の免疫修飾剤組成物を投与することにより、鳥類のその種において誘起される。該生物学的薬剤は、該免疫修飾剤と共に共投与されるか、またはそれとは独立して共投与され得ると考えられる。独立投与は、該免疫修飾剤の投与の前または後であってもよい。また、1以上の免疫修飾剤または生物学的薬剤の投与を用いて、増強された免疫を拡大し得ることも検討される。さらに、1以上の生物学的薬剤は、本明細書の実施例において記述されるように、該免疫修飾剤と共に、該免疫修飾剤の前に、または該免疫修飾剤の投与後に共投与され得る。一実施態様において、有効量の該免疫修飾剤は、約0.05 μg〜約5 μgのリポソーム送達ビヒクルであり、単離した核酸分子および約300 〜約30000 TCID50ウイルス生物学的薬剤であってもよい。別の実施態様において、有効量の免疫修飾剤は、約0.1 μg〜約3 μgのリポソーム送達ビヒクルおよび単離した核酸分子および約100〜約1000 EID50 ウイルス生物学的薬剤である。
【0024】
b.疾患
本発明の方法は、対象を免疫応答の誘起の影響を受けやすい疾患から保護できるように、対象における免疫応答を誘起する。本明細書にて使用されるとおり、句「疾患から保護される」とは、疾患の兆候低下;疾患の発症低下、および疾患の重症度の低下をいう。対象を保護することとは、疾患の発症から保護するために、および/または該疾患の兆候、症候または原因を治癒または緩和するために該対象に投与された場合の本発明の治療用組成物の能力を指すことができる。そのため、鳥類種を疾患から保護することとは、疾患発症を防止すること(予防的処置)ならびに疾患を有する鳥類種を処置すること(治療的処置)の両方を包含する。特に、疾患から対象を保護することは、いくつかの例においてはさらなる抑制、低減、阻害または過剰または有害な免疫応答を遮断することができる有価な免疫応答または保護的免疫応答を誘導することにより、該鳥類種における免疫応答を誘起することによって達成される。該用語「疾患」とは、鳥類種の正常な健康状態からのあらゆる逸脱をいい、疾患の兆候が存在する場合および兆候がまだ顕在化していないが該逸脱が起こっている(例えば、感染、遺伝子変異、遺伝子欠陥等)場合の状態を含む。
【0025】
本発明の方法は、疾患の予防、疾患に対するエフェクター細胞の免疫刺激、疾患の排除、疾患の緩和、および一次疾患の発症から生じる二次疾患の予防のために使用され得る。
【0026】
本発明の方法は、広範囲の病原体の感染に対して保護するために組成物を投与することを包含する。投与された組成物は、特異的応答を誘起するために、特異的抗原を包含してもしなくてもよい。本発明の方法は、感染性の微生物物質から得られる疾患からレシピエント対象を保護することが意図される。感染性の微生物物質にはウイルス、細菌、菌類、および寄生虫を含むが、これらに限定しない。例示的なウイルス感染症は、ニワトリの感染性貧血ウイルス(CIAV)、マレック病ウイルス(MDV)、鶏ヘルペスウイルス(HCV)、七面鳥ヘルペスウイルス(HTV)、感染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、感染性気管支炎ウイルス(IBV)、感染性喉頭気管炎ウイルス(ILTV)、パラミクソウイルス・タイプ3、鶏脳脊髄炎(AEV)、鶏痘ウイルス(FPV)、家禽コレラ、鳥インフルエンザウイルス(AIV)、レオウイルス、鶏白血病ウイルス(ALV)、網膜内皮症ウイルス(REV)、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス(HEV)、肺炎ウイルス、鳩痘ウイルス、その組み換え体、および当業者には既知の他のウイルスによる感染から生じる疾患を包含するが、これらに限定しない。例示的な細菌感染には、グラム陽性または陰性細菌および真菌類、例えば、Escherichia coli、Mycoplasma gallisepticum、Mycoplasma meleagridis、Mycoplasma synoviae、Bordetella Sp、Pasteurella multocida、Clostridium perfringens、Clostridium colinum、Campylobacter jejuni、Salmonella sp、Salmonella enteritidis、Salmonella pullorum、Salmonella gallinarum、Clostridium botulinum、Hemophilus gallinarum、Erysipelothrix insidiosa、riemerella anatipestifer (RA)、および当業者には既知の他の細菌を包含するが、これらに限定しない。例示的な真菌類またはカビの感染による感染には、Aspergillus fumigates、Aspergillus flavus、Candida albicans、および他の感染性真菌類または当業者には既知のカビによる感染から生じるものを包含するが、これに限定するものではない。例示的な疾患症状には、グラム陽性または陰性細菌および真菌類由来の毒素、例えば、clostridium perfringesns 毒素、clostridium botulinum 毒素、E.coli enterotoxin、staphylococcus 毒素、pasteurella leukotoxin、および fusarium mycotoxinsおよび当業者には既知の他の毒素から得られるものを包含するが、これらに限定しない。例示的な寄生虫には、Eimeria meleagridis、coccidia sp、Ascaridia galli、Heterakis gallinae、Capillaria annulata、Capillaria contorta、Capillaria obsignata、Syngamus trachea、および当業者には既知の他の寄生虫を包含するが、これらに限定するものではない。
【0027】
c.対象
本発明の方法は、屋内または野外いずれでも任意の対象または鳥類種に投与され得る。特に、繁殖、食肉または卵の製造のために商業的に飼育されたそれらの対象に投与されてもよい。好適な鳥類の対象は、ニワトリ、七面鳥、ガチョウ、アヒル、キジ、ウズラ、ハト、ダチョウ、愛玩鳥、動物学上の収集物および鳥小屋にいる鳥などを包含するが、これらに限定しない。一実施態様において、該鳥類種は、ニワトリまたは七面鳥からなる群から選択される。本発明の方法が、高密度の育雛小屋において飼育される鳥、例えば、ブロイラーおよび卵を生むニワトリのために非常に有益であることは、かかる鳥が感染物質に対する環境的暴露に特に弱いことから、当業者には理解されるであろう。
【0028】
d.投与
多様な投与経路は利用可能である。選択された特定の様式は、もちろん、選択される特定の生物学的薬剤、および対象の年齢や一般的な健康状態、処置される特定の症状、治療効果に必要な用量に依存する。本発明の方法は、臨床学的に認められない副作用を引き起こさずに免疫応答の有効なレベルを生み出す任意の投与様式を用いて実施され得る。該組成物は、単位用量形態にて従来的に提示され、当業者には十分既知のいずれかの方法により製造され得る。
【0029】
鳥のワクチン接種は、任意の年齢で行われ得る。通常、ワクチン接種を、生存微生物に対しては18日齢およびそれ以上の胚(卵内)、そして不活化した微生物または他のタイプのワクチンに対しては3週齢以上の胚に行われる。ワクチン卵内接種のために、ワクチン接種は、胚発生の第四半期に行われ得る。該ワクチンは、スプレー、経口、眼球内、気管内、経鼻、卵内によるか、または当業者には既知の他の方法により、皮下的に羽嚢(feather follicle)投与されてもよい。経口ワクチンは、飲用水中にて投与されてもよい。さらに、本発明の方法は常法のワクチン接種スケジュールに基づいて使用されてもよいと考えられる。一実施態様において、本発明の該免疫修飾剤組成物は卵内投与される。別の実施態様において、該免疫修飾剤組成物は、E. coliにて抗原投与後にスプレーとして投与される。
【0030】
他の送達系は、時間放出、遅延放出または徐放送達系を包含し得る。かかる系は、該組成物の反復投与を回避することができるので利便性が高い。多くの放出送達系のタイプは、当業者に利用可能であり公知である。それらは、ポリマー基剤系、例えば、ポリ(ラクチド-グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物を包含する。物質を含有する前記ポリマーのマイクロカプセルは、例えば、米国特許第5,075,109号に記述されている。また、送達系は非ポリマー系も含む、すなわちコレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸などのステロールまたはモノ-ジおよびトリ-グリセリドなどの中性脂肪を含む脂質;ヒドロゲル放出系;サイラスティック(シリコン剤)系(sylastic system);ペプチドを基とした系;ワックスコーティング;通常の結合剤及び賦形剤を使用した圧縮錠剤;部分的に融合したインプラント;その他である。特定の例示は、本発明の物質が米国特許第4,452,775号、第4,452,775、4,675,189号、及び第5,736,152号に記載されているようなマトリックス内の形態に含有されている浸食系、ならびに米国特許第3,854,480号、第5,133,974号および第5,407,686号に記載されているように、活性化合物が制御された速度で透過する拡散系を含む。さらに、ポンプを基にしたハードウェア送達系を使用でき、これらの幾つかは移植に好適である。
【0031】
様々な変化は、本発明の範囲を逸脱することなしに上記組成物、製品および方法において為され、上記記載および後記実施例に含まれる全ての事柄は、限定する意味を含まずに例示として理解されることを意図するものである。
【0032】
定義
用語「有効量」とは、所望の生物学的効果を実現するために必要または十分な量をいう。例えば、感染症を処置または予防するための有効量の免疫修飾剤とは、微生物への暴露による抗原特異的免疫応答を生じさせるために必要な量、即ち対象における微生物の量を低下させる量、好ましくは微生物を撲滅させる量である。特定用途のための有効量は、処置される疾患または症状として、かかる因子、対象のサイズ、または疾患または条件の重症度に依存して変更できる。当業者は、過度な実験を必要とせずに有効量の免疫修飾剤を経験的に決定できる。
【0033】
用語「サイトカイン」とは、免疫増強タンパク質ファミリーをいう。サイトカインファミリーは、造血成長因子、インターロイキン、インターフェロン、イムノグロブリンスーパーファミリー分子、腫瘍壊死因子ファミリー分子およびケモカイン(即ち、細胞、特に食細胞の遊走および活性化を調節するタンパク質)を包含する。例示的なサイトカインは、限定しないが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、インターフェロン-α(IFNα)、インターフェロン-α(IFNα)、およびインターフェロン-α(IFNα)を包含する。
【0034】
用語「誘起する」とは、活性化する、刺激する、生成するまたは上方調節するなる用語と互換的に使用され得る。
【0035】
対象において「免疫応答を誘起する」なる用語は、免疫応答の活性を特異的に制御または影響することをいい、免疫応答を活性化すること、免疫応答を上方調節すること、免疫応答を増強すること、および/または免疫応答を改変すること(例えば、有害であるかまたは有効でないものから、価値があるかまたは保護的であるものへと、対象における免疫応答の既往タイプを変える免疫応答のタイプを誘起することにより)を包含し得る。
【0036】
用語「作動可能に連結された」とは、分子が宿主細胞中へ形質移入された(即ち、形質転換、形質導入、または形質移入された)場合に発現できるような様式にて、核酸分子を転写制御配列と連結することをいう。転写制御配列は、開始、伸張、および転写終結を制御する配列である。特に重要な転写制御配列は、転写開始を制御するもの、例えばプロモーター、エンハンサー、オペレーターおよび抑制配列である。多様なかかる転写制御配列は当業者には知られている。好ましい転写制御配列には、鳥、魚、哺乳類、細菌、植物、および昆虫細胞において機能するものを包含する。あらゆる転写制御配列を本発明にて使用できるが、該配列は免疫原または免疫刺激タンパク質をコードする配列と関連する天然の転写制御配列を包含してもよい。
【0037】
用語「核酸分子」および「核酸配列」とは、互換的に使用でき、DNA、RNA、またはDNAまたはRNAいずれかの誘導体を包含する。また、該用語は、オリゴヌクレオチドおよびより大きな配列を包含しており、両核酸分子には、タンパク質またはその断片をコードする核酸分子、ならびに調節領域、イントロン、または他の非コードDNAまたはRNAをコードする核酸分子を含む。一般的に、オリゴヌクレオチドは、約1〜約500 ヌクレオチドの核酸配列を有しており、より一般的には少なくとも約5のヌクレオチド長である。該核酸分子は、哺乳類、魚、細菌、昆虫、ウイルス、植物、または合成の起源を含めたあらゆる起源から得られる。核酸分子は、当業者には既知の方法、例えば組換えDNA技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、増殖、クローニング)または化学合成により製造され得る。核酸分子は、天然の核酸分子およびそのホモログ、例えば天然の対立遺伝子の変異体および改変した核酸分子を包含し、ここで本発明の方法において有用である免疫原または免疫刺激タンパク質をコードする核酸分子の能力と実質的に干渉しないような様式にて該ヌクレオチドは挿入、欠失、置換、または逆転されている。核酸ホモログを、当業者には既知の様々な方法を用いて(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloing:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Labs Press, 1989を参照されたい)製造でき、出典明示により本明細書一部に組み込む。免疫原性、例えば、病原体の抗原の免疫原性またはサイトカイン活性についてスクリーニングする技術は、当業者には知られており、多様なイン・ビトロおよびインビボアッセイもまた包含する。
【0038】
実施例
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を示すものである。
【0039】
実施例1. 材料および方法
免疫修飾剤
この試験で使用した免疫修飾剤は、カチオン性脂質および非コードDNAを含む組成物であった。該合成免疫修飾剤脂質成分[1-[2-[9-(Z)-オクタデセノイルオキシ]]-2-[8](Z)-ヘプタデセニル]-3-[ヒドロキシエチル]イミダゾリニウムクロライド(DOTIM)および合成の天然脂質コレステロールを製剤して、約200 nm の直径のリポソームを製造した(米国特許第6,693,086号を参照されたい)。該DNA成分は、E.coliで産生される4292塩基対の非コードDNAプラスミド(pMB 75.6)であって、これは陰性電荷を持ち、陽性電荷(カチオン)リポソーム(米国特許第6,693,086号を参照されたい)と会合する。
【0040】
表1. 600個の卵/群に投与される用量について免疫修飾剤の希釈スキーム
【表1】
【0041】
試験動物
市販購入し得るニワトリの卵(食肉用ブロイラー)に光を当てて、インキュベーション18日目の生存能を決定した。健康な胚を試験に含め、無精胚、死亡胚、および不健康な胚を廃棄した。雛を、一般的なカリフォルニアスタイルの片側がカーテンの(curtain-sided)鶏舎で飼育した。各囲いに、直留で50匹の鳥を0日目に置いた。この雛を、試験動物の年齢および体重についてのMRC推奨基準に応じた食餌を与え、雛は、囲い毎に水道と繋がったベル型給水器から随意に水を摂水した。
【0042】
実験的感染および抗原投与
雛を、免疫応答の効率を決定するために生物により抗原投与した。抗原投与または実験的感染は、生物体の接種材料、例えばEscherichia coli (E.coli)への暴露を含む。該生物体を、2.63X105 の濃度で使用し、各孵化卵に接種材料(0.15 mL)をスプレーすることにより孵化トレイ内にて投与した。
【0043】
実施例2. 該免疫修飾剤の投与が孵化能力を増強する
実施例1に記載した免疫修飾剤の効果を決定するための試験を、18日齢のニワトリの卵に投与し、その後Escherichia coli (E. coli)に暴露して行った。この試験には2群が含まれ(表2)、一群はE. coli (T1-4)により抗原投与したもので、もう一方は抗原投与していないものである(T5およびT6)。E. coli 抗原投与した群内には、なし(T1)、0.1 μg (T2)、1.0 μg (T3)、および10.0 μg (T4)の用量を含む免疫修飾剤の様々な用量を各々投与した4つの下位群がある。非抗原投与群は、免疫修飾剤を投与してないか(T5)または1.0 μg の免疫修飾剤を投与した(T6)2つの下位群を含む。
【0044】
表2. 試験処置群
【表2】
【0045】
試験0日目に、該免疫修飾剤を受容する18日齢の孵化卵に卵内注射を行った。抗原投与される群(T1-T4)において、1日目、19日齢の孵化卵に、2.63X105の濃度でE. coliを含む接種材料(0.15 mL)を用いて各々スプレーした。
【0046】
全ての群の分析は、孵化卵の孵化率に対して統計学的に有意な処置効果を示した。抗原投与していない2つのコントロール群 (T5、91 %にて0 μg/kg 対 T6、89 %にて1.0 μg/kg)の間には、有意差はなかった。さらに、2つの非処置群(T1-抗原投与およびT5-非抗原投与)の比較から、非抗原投与群(85 % 対91 %、各々)において孵化卵の孵化がより高い結果となった。即ち、抗原投与モデルは、孵化率を評価するための有効なモデルとして認められた。
【0047】
該免疫修飾剤で処置したそれらの群について、T3 (1.0 μg/kg-処置された卵)は、非処置/抗原投与したT1(84.5 %) または T4 (10.0 μg/kg-処置された卵(85 %)よりも、多い鳥を孵化した(91.5 %)(図1)。類似の差違は、非処置/非抗原投与したコントロール群(T5)とこれらの同じ2つの処置群(上記したようなT1およびT4)との間で見られた。その他の顕著な知見は、いずれの残余ペアワイズ群間の比較(図1)でも示されなかった。
【0048】
鳥の死亡/囲い/群/試験日の比率に対して顕著な差違はなかった(図2)。任意の特定の試験日に生存している鳥の比率は、処置および時間との間に統計学的に有意な相関はなかったが、有意な処置効果を示した(図3)。群T3、T5、およびT6の鳥は、群T1、T2、およびT4と比較した場合、いずれの日に対しても有意に多い鳥の数を示した。さらに、T5の鳥はまた、T3よりも有意に多く生存している鳥の数を示した。孵化後の鳥の生存率を評価することにより、上記のとおり、類似した有意な知見を得た(図4〜図12)。
【0049】
7、14、21または28日目に観察された囲いの重量では顕著な差違はなかった(図13〜図16)。35日目の全ての囲いの重量の分析から、T5およびT2の群間(各々平均87 kg 対 75 kg)で有意な差違が得られた(図17)。試験終了時 (45日目) の囲いの重量は、T1(105 kg)と比較した場合に群T5 (120 kg)およびT6 (117 kg)が重く、T2(106 kg)およびT4 (105 kg)(図18)と比較した場合にT5が重かった。
【0050】
つまり、商業用ブロイラーではE. coli 感染前に卵内投与した場合の該免疫修飾剤の効果を評価した。該免疫修飾剤で処置したそれらの群について、T3群は、非処置/抗原投与したT1群(85 %) または T4群(85 %)よりも、より多くの鳥(92 %)を孵化した。同様の差違が、非処置/非抗原投与コントロール群(T5)と同一の処置群T1およびT4との群間で示された。死亡率(図2〜図12)および体重(図13〜図18)における有意な差違はなかった。この試験では、該免疫修飾剤は、孵化の前にE. coliを用いて、特に免疫修飾剤投与群の中で増強された免疫を示す1.0 μgの用量にて抗原投与した商業用ブロイラーの卵の孵化率を増加させる場合に有効であった。
【0051】
実施例3.免疫修飾剤の投与が非抗原特異的免疫を増加する
実施例1に記載したとおり、E. coliに暴露されるマレック病ワクチン接種したニワトリにおける免疫修飾剤の効果を決定するために試験を行った。試験には、E. coliにて抗原投与した一群(T1-T4)および抗原投与していない別の一群(T5およびT6)の二群を含める。E.coli 抗原投与群の中には、なし(T1)、0.1 μg (T2)、1.0 μg (T3)、1.0 μg+1 用量のマレックワクチン(T4)を含む各々異なる用量の免疫修飾剤を投与した4つの下位群がある(表3)。非抗原投与群には、免疫修飾剤を投与していないか(T5)、または1.0 μgの免疫修飾剤を投与した(T6)2つの下位群が含まれる。
【0052】
表3.試験処置群
【表3】
【0053】
商業用ブロイラーの卵を、18日間インキュベートし、生存能力について光を当てて調べ、次いで免疫修飾剤を受容する18日齢の孵化卵に卵内注射した。次に、抗原投与群において19日齢の孵化卵に、E. coliを2.8X107/mlの濃度にて含有する接種材料(0.15 mL)を用いて各々スプレーした。卵は0日目に孵化し、試験は45日間継続した。
【0054】
孵化した孵化卵の数を、各群(n=1000/群または孵化トレイ)について記録した(図19)。孵化した雛の中で、孵化後7日目に残っている生存している雛の数を記録した(図20)。孵化後7日目の生存/死亡している雛/群の数も記録した(図21)。死亡率%は、抗原投与した群は免疫修飾剤の増加と共に低下し、また免疫修飾剤と共にマレックワクチンを共投与した群はさらに死亡率%が低下した(図22)。
【0055】
このデータは、E. coliにて抗原投与しなかった免疫修飾剤処置群および非処置群の群間で、孵化率の低下がないことを示す(図23)。孵化率は、E. coliにて抗原投与した免疫修飾剤処置群および非処置群の間では有意に高かった。該免疫修飾剤およびマレックワクチンの一用量を受容する孵化卵の孵化率は、非処置のコントロール群および非抗原投与のコントロール群のものと類似していた。要するに、該免疫修飾剤は、抗原投与条件下で孵化率を増加させ、そして該免疫修飾剤の保護応答はマレックワクチンの共投与により増強される。この結果は、該免疫修飾剤の投与か、または該免疫修飾剤とマレックワクチンの投与により、非抗原特異的免疫応答が誘起されることを示す。
【0056】
実施例4.免疫修飾剤の投与は、生物学的薬剤の追加投与により増強される非抗原特異的免疫応答を誘起する
試験を、E. coliに暴露されるマレック病ワクチン投与したニワトリにおける免疫修飾剤の効果を決定するために行った。この試験は、表4に示したように示差的に処置された9つの群を含む。
【0057】
表4. 試験群処置
【表4】
【0058】
商業用ブロイラーの卵を、18日間インキュベートし、生存能について光を当てて確認し、その後免疫修飾剤を受容する18日齢の孵化卵に卵内にて注射した。次いで、抗原投与群において19日齢の孵化卵に、2.63 x 105/mlの濃度にてE. coliを含有する接種材料(0.15 mL)を各々スプレーした。卵は試験0日目に孵化し、試験は45日間継続した。
【0059】
孵化した孵化卵の%を、各群について計算した(図24)。孵化した雛のうち、抗原投与群(図26)および非抗原投与群(図25)の両群の死亡率%を、孵化後7日目に計算した。抗原投与群は、同じように処置した非抗原投与群(図27)よりも高い死亡率%を示した。生存している雛/群の%を、孵化から7日目まで(図28)、ならびに3日目(18日間生存の胚)から7日目まで(図29、n=400)計算した。抗原投与前に免疫修飾剤で処置した鳥についての生存率 (>98.2 %、図28)は、抗原投与されたコントロール群(82.2 %、図28)と比較して有意に高かった。また、抗原投与されたコントロール群(82.2 %、図28)と比べて、抗原投与する前および後に免疫修飾剤で孵化時に処置した鳥についての7日目の生存率(95%、図28)は、有意に高かった。これらの結果を、400個の卵/群を含むセットを用いて繰り返した(図29)。コントロール群(67.0 %、図29)と比べて、抗原投与前に処置された胚(400セット)についての7日目の生存率は高かった(>94.3 %、図29)。同様に、抗原投与されたコントロール群(81.9 %、図30)と比べて、卵内で免疫修飾剤により処置された鳥の生存率(97.4 %、図30、二次処置せず、14日目)は有意に高かった。コントロール群81.9 % (図30)と比較して、抗原投与後1日齢において免疫修飾剤により処置された最初の処置を行わなかった群において14日目に生存している鳥93.9 % (図30、一次処置なし)は有意に高かった。また、卵内およびその後1日齢に免疫修飾剤により処置された群において14日目に生存している鳥は(95.8 %,(図30)、コントロール群81.9 % (図30)と比較して有意に高かった。図30は、様々な処置による抗原投与群および抗原投与群の週間死亡率を示す。
【0060】
データは、E. coliにより抗原投与していない免疫修飾剤処置群(1回または2回の処置)および非処置群との間の孵化率の低下がないことを示す。孵化率は、E. coliによる抗原投与前に免疫修飾剤で処置された群では高かった。この効果は、免疫修飾剤をマレックワクチンと共投与した場合に増強された。また、免疫修飾剤の処置は、非抗原投与群における死亡率の低下と相関した。死亡率は、さらに、マレックワクチンの共投与およびマレックワクチンと免疫修飾剤の投与前に免疫修飾剤による事前処置にて低下した。これらの結果を抗原投与群において概括した。要するに、免疫修飾剤は抗原投与条件の下で孵化率を増加させ、そして免疫修飾剤の保護応答はマレックワクチンの共投与により増強された。この結果は、免疫修飾剤の投与がマレックワクチンを伴う場合に、免疫修飾剤の投与により誘起した非抗原特異的免疫応答が増強されるということを示す。免疫修飾剤とマレックワクチンとの共投与は、非抗原特異的免疫応答をさらに増強する。
【0061】
実施例5. 生物学的薬剤の追加投与により増強される非抗原特異的免疫応答を誘起する感染後の免疫修飾剤の投与
抗原投与したコントロール群(82.2 %、図28)と比較して、抗原投与後に免疫修飾剤により処置した鳥についての生存率(95 %、図28)は有意に高かった。これらの結果を、400個の卵/群を含むセットを用いて概括した(図29)。
【0062】
この結果は、免疫修飾剤の投与がマレックワクチンを伴う場合に、E.coli 抗原投与後の免疫修飾剤の投与により誘起した非抗原特異的免疫応答が、増強されたことを示す。マレックワクチン投与後の免疫修飾剤の後投与は、非抗原特異的免疫応答を増強した。
【0063】
実施例6. 二価の生物学的薬剤と免疫修飾剤との投与は、二価の生物学的薬剤の早期複製を阻害しない
試験を、免疫修飾剤がマレック病の二価ワクチンの早期複製に負の影響を与えるかどうかを決定するために行った。マレック病の二価ワクチンは、HVT(七面鳥ヘルペスウイルス)およびSB1(ニワトリのヘルペスウイルス)を包含する。
【0064】
商業用ブロイラーの卵を18日間インキュベートし、生存能力について光を当てて調べた。その卵を、20個の卵/群により、A-Cの3群に分けた。各卵に表5に示したようにワクチン接種した。
【0065】
表5:処置
【表5】
【0066】
インビボでのワクチンウイルス複製に対する免疫修飾剤の効果を評価するために、ウイルスの再単離を、7および14日後に脾臓細胞(SPC)および末梢血単核球細胞(PBMC)の双方から行った。
【0067】
MDワクチンウイルス感染はウイルス複製レベルにおいて鳥間の変異が知られるので、3つのニワトリのプール(2匹ニワトリ/プール、3つのプール/サンプル採取時)を用いて行った。
【0068】
プールでの生存能力にもかかわらず、免疫修飾剤の存在下ではHVTおよびSB-1の複製において明確な傾向があった。このデータは、第一週の間ではSB-1の複製に対して最も顕著であったが、HVTおよびSB-1についての全体的な傾向は、双方の時点で(孵化後7および14日)両組織について類似していた。該データを図31から図38にまとめた。図31は、週間1での脾臓細胞におけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図32は、週間1でのPBMCにおけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図33は、週間1での脾臓細胞におけるSB-1のMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図34は、週間1でのPBMCにおけるSB-1のMDワクチンの複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図35は、週間2での脾臓細胞におけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図36は、週間2でのPBMCにおけるHVTのMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。図37は、週間2での脾臓細胞におけるSB-1のMDワクチン複製に免疫修飾剤の効果を示す。図38は、週間2でのPBMCにおけるSB-1のMDワクチン複製に対する免疫修飾剤の効果を示す。
【0069】
該免疫修飾剤は、MDワクチン複製に対する負の影響を与えない。該免疫修飾剤が、感染後最初の2週間でHVTおよびSB-1の複製を増加させるアジュバント効果を有することが判る。このデータは、該免疫修飾剤がMDワクチン効果に対して正の影響を与えることを示唆している。
【0070】
実施例7. 修飾された生の生物学的薬剤と免疫修飾剤との投与は、修飾された生の生物学的薬剤と干渉する
試験を、ニューカッスル病に暴露される、修飾された生のニューカッスル病ワクチン接種されたニワトリによる、免疫修飾剤の効果を決定するために行った。この試験には、表6に示したとおりに示差的に処置された9つの群が包含される。
【0071】
表6. 試験群の処置
【表6】
【0072】
商業用ブロイラーの卵を、18日間インキュベートして、生存能力について光を当てて調べた。この卵を、60個の卵/群にてT1-T9の9つの群に分けた。群T9は、孵化後一日目の夜に害虫の攻撃を受け、試験の経過中に原因不明により数匹死亡した。選抜時点でのトリの匹数/群を表7に示した。
【0073】
表7. 鳥/群
【表7】
【0074】
群T4-T6における18日齢の孵化卵を、免疫修飾剤を用いて卵内注射した。群T1-T3およびT7-T9を、生理食塩水を用いて注射した。0日目に、群T1-T2において孵化した卵および雛を生理食塩水によりスプレーし、群T3-T6にはニューカッスルワクチンであるIntervet/Schering-Plough Animal Healthにて製造された Newhatch-C2を与え、群T7-T9には免疫修飾剤によりスプレーおよびワクチン接種した。
【0075】
血清を、孵化後7、14および21日目に抗NDV力価測定のために得た。21日目に、雛の群T2-T9を、長潜伏期性ニューカッスル病ウイルスを用いて抗原投与した。26日目に、雛を選別し、採血し、気嚢炎(air sacculitis)について全体的な病変を試験し、血清分析を行った。
【0076】
このデータは、7、14および21日目の群の間には血清学的に有意な差違がないということを示す。しかし、抗原投与後の5日目にあたる26日目に、免疫修飾剤を卵内投与された鳥は、ワクチン単独を含めたその他の全ての群よりも抗NDV力価の劇的な増加を示した(図 40)。
【0077】
気嚢炎は、T2-T5、即ち卵内で該修飾剤を受容した雛(図39)の間で劇的に低下した。この結果は、免疫修飾剤の卵内投与がNDVワクチン接種と干渉しないことを示す。
【0078】
実施例8. 毒性抗原投与において生物学的薬剤と共に免疫修飾剤を投与する有効性
試験を、18日齢の孵化卵において、通常のマレック病ワクチン接種と1回用量の免疫修飾剤との干渉を評価するためにおこなった。この試験により、毒性抗原投与に対するマレック病ワクチン接種の有効性を比較した。
【0079】
総計160個の孵化卵を8つの群に分けた。孵化時に、各保菌対象である鳥(shedder bird)に、マレック病ウイルスを接種した、即ち試験0日目。孵化した保菌対象である鳥の数は、160匹の内148匹であった(開始時の卵/鳥の数と括弧内の試験終了時の実際の鳥の数については下記表8を参照されたい)。3週間後に、80匹以上の、即ち15匹のワクチン接種していない非処置の鳥(接触)および65匹の処置済みの鳥(ワクチン接種)(各群の処置については以下の表8を参照されたい)の鳥を各群に加えた。
【0080】
表8:処置
【表8】
【0081】
試験の42日目に、生存している保菌対象である鳥を取り出して解剖した。試験63日目に(接触およびワクチン接種については42日目)、生存試験の鳥を取り出して、解剖した。
【0082】
図41は、接種された保菌対象である鳥、ワクチン接種されていない接触鳥、ワクチン接種のみされた鳥、ワクチン接種/免疫修飾剤の鳥に関する生存曲線を示す。ワクチン接種されていない接触データは、8つの囲いの平均値であるが、各々ワクチン接種された群は、4つの囲い毎の平均値である。認められるとおり、ワクチン接種単独の鳥とワクチン接種/免疫修飾剤の鳥について生存曲線の勾配に類似性がある。
【0083】
図42は、接種された保菌対象である鳥、ワクチン接種されていない接触鳥、ワクチン接種のみされた鳥、ワクチン接種/免疫修飾剤の鳥におけるマレック病の平均発症率を示す。保菌対象および接触のデータ双方は、8つの囲いの平均値であるが、ワクチン接種された群は4つの囲いの平均値である。認められるとおり、ワクチン接種単独群およびワクチン接種/免疫修飾剤群は、非常に低いマレック病発生率を示した。ワクチン接種/免疫修飾剤群は、ワクチン単独接種した群よりもマレック病の発症率が低かった。
【0084】
図41から図42に見られるとおり、免疫修飾剤は、マレック病ワクチン保護に対して悪影響を示さない。事実、ワクチンの有効性における増加を誘起した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の鳥類種における免疫応答を誘起するための方法であって、該鳥類種における免疫応答を誘起するために、有効量の免疫修飾剤組成物を該鳥類種に投与することを含み、ここで
該免疫修飾剤組成物が下記の
a. カチオン性リポソーム送達ビヒクル、および
b. 核酸分子、
を含む、方法。
【請求項2】
該リポソーム送達ビヒクルが、多重膜小胞脂質および押出脂質(extruded lipid)からなる群から選択される脂質を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
該リポソーム送達ビヒクルが、DTMAおよびコレステロール、DOTAPおよびコレステロール、DOTIMおよびコレステロール、ならびにDDABおよびコレステロールからなる群から選択される一対の脂質を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
該核酸分子が、遺伝子挿入体またはその断片を含まない単離された細菌から得られた核酸ベクターである、請求項1の方法。
【請求項5】
該鳥類種が、ニワトリ、七面鳥、ガチョウ、アヒル、キジ、ウズラ、ハトおよびダチョウからなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項6】
該投与が、皮下、羽嚢(feather follicle)、スプレー、経口、眼球内、気管内、経鼻、および卵内からなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項7】
該免疫修飾剤組成物が、さらに生物学的薬剤を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
該生物学的薬剤が、免疫原、免疫刺激剤、ワクチンおよびその組合せからなる群から選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
該生物学的薬剤が、マレック病、ニューカッスル病、ヒヨコ貧血(chick anemia)、感染性滑液嚢炎疾患、感染性気管支炎、七面鳥ヘルペスウイルス、感染性喉頭気管炎、鶏脳脊髄炎、鶏痘、家禽コレラ、鳥インフルエンザ、レオウイルス、鶏白血病、網膜内皮症、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス、およびその組合せからなる群から選択される疾患のためのワクチンである、請求項7の方法。
【請求項10】
鳥類種の一種において免疫応答を誘起するための方法であって、該鳥類種における免疫応答を誘起するために、該鳥類種に有効量の免疫修飾剤組成物を投与することを含み、ここで
該免疫修飾剤組成物が、下記の
a. カチオン性リポソーム送達ビヒクル、
b. 核酸分子、ここで該核酸分子は、遺伝子挿入体またはその断片を含まない単離された細菌から得られた核酸ベクターである、および
c. 生物学的薬剤、
を含む、方法。
【請求項11】
該リポソーム送達ビヒクルが、DTMAおよびコレステロール、DOTAPおよびコレステロール、DOTIMおよびコレステロール、ならびにDDABおよびコレステロールからなる群から選択される一対の脂質を含む、請求項10の方法。
【請求項12】
該鳥類種が、ニワトリ、七面鳥、ガチョウ、アヒル、キジ、ウズラ、ハトおよびダチョウからなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項13】
該投与が、皮下、羽嚢、スプレー、経口、眼球内、気管内、経鼻、および卵内からなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項14】
該投与が、抗原投与の前である、請求項10の方法。
【請求項15】
該投与が、抗原投与の後である、請求項10の方法。
【請求項16】
該生物学的薬剤が、免疫原、免疫刺激剤、ワクチンおよびその組合せからなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項17】
該生物学的薬剤が、マレック病、ニューカッスル病、ヒヨコ貧血、感染性滑液嚢炎疾患、感染性気管支炎、七面鳥ヘルペスウイルス、感染性喉頭気管炎、鶏脳脊髄炎、鶏痘、家禽コレラ、鳥インフルエンザ、レオウイルス、鶏白血病、網膜内皮症、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス、およびその組合せからなる群選択される疾患に対するワクチンである、請求項16の方法。
【請求項18】
鳥類種の一種における非抗原特異的免疫応答を誘起するための方法であって、該鳥類種における免疫応答を誘起するために有効量の免疫修飾剤組成物を該鳥類種に投与することを含み、ここで
該免疫修飾剤組成物が下記の
a. カチオン性リポソーム送達ビヒクル、および
b. 核酸分子、
を含む、方法。
【請求項19】
該カチオン性リポソーム送達ビヒクルが、DOTIMおよびコレステロールの組合せである、請求項18の方法。
【請求項20】
該核酸分子が、遺伝子挿入体またはその断片を含まない単離された細菌から得られた核酸ベクターである、請求項18の方法。
【請求項21】
該免疫修飾剤が生物学的薬剤をさらに含んでおり、ここで該生物学的薬剤が、マレック病、ニューカッスル病、ヒヨコ貧血、感染性滑液嚢炎疾患、感染性気管支炎、七面鳥ヘルペスウイルス、感染性喉頭気管炎、鶏脳脊髄炎、鶏痘、家禽コレラ、鳥インフルエンザ、レオウイルス、鶏白血病、網膜内皮症、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス、およびその組合せからなる群から選択される疾患に対するワクチンである、請求項18の方法。
【請求項22】
該投与が卵内である、請求項21の方法。
【請求項1】
少なくとも一種の鳥類種における免疫応答を誘起するための方法であって、該鳥類種における免疫応答を誘起するために、有効量の免疫修飾剤組成物を該鳥類種に投与することを含み、ここで
該免疫修飾剤組成物が下記の
a. カチオン性リポソーム送達ビヒクル、および
b. 核酸分子、
を含む、方法。
【請求項2】
該リポソーム送達ビヒクルが、多重膜小胞脂質および押出脂質(extruded lipid)からなる群から選択される脂質を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
該リポソーム送達ビヒクルが、DTMAおよびコレステロール、DOTAPおよびコレステロール、DOTIMおよびコレステロール、ならびにDDABおよびコレステロールからなる群から選択される一対の脂質を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
該核酸分子が、遺伝子挿入体またはその断片を含まない単離された細菌から得られた核酸ベクターである、請求項1の方法。
【請求項5】
該鳥類種が、ニワトリ、七面鳥、ガチョウ、アヒル、キジ、ウズラ、ハトおよびダチョウからなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項6】
該投与が、皮下、羽嚢(feather follicle)、スプレー、経口、眼球内、気管内、経鼻、および卵内からなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項7】
該免疫修飾剤組成物が、さらに生物学的薬剤を含む、請求項1の方法。
【請求項8】
該生物学的薬剤が、免疫原、免疫刺激剤、ワクチンおよびその組合せからなる群から選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
該生物学的薬剤が、マレック病、ニューカッスル病、ヒヨコ貧血(chick anemia)、感染性滑液嚢炎疾患、感染性気管支炎、七面鳥ヘルペスウイルス、感染性喉頭気管炎、鶏脳脊髄炎、鶏痘、家禽コレラ、鳥インフルエンザ、レオウイルス、鶏白血病、網膜内皮症、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス、およびその組合せからなる群から選択される疾患のためのワクチンである、請求項7の方法。
【請求項10】
鳥類種の一種において免疫応答を誘起するための方法であって、該鳥類種における免疫応答を誘起するために、該鳥類種に有効量の免疫修飾剤組成物を投与することを含み、ここで
該免疫修飾剤組成物が、下記の
a. カチオン性リポソーム送達ビヒクル、
b. 核酸分子、ここで該核酸分子は、遺伝子挿入体またはその断片を含まない単離された細菌から得られた核酸ベクターである、および
c. 生物学的薬剤、
を含む、方法。
【請求項11】
該リポソーム送達ビヒクルが、DTMAおよびコレステロール、DOTAPおよびコレステロール、DOTIMおよびコレステロール、ならびにDDABおよびコレステロールからなる群から選択される一対の脂質を含む、請求項10の方法。
【請求項12】
該鳥類種が、ニワトリ、七面鳥、ガチョウ、アヒル、キジ、ウズラ、ハトおよびダチョウからなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項13】
該投与が、皮下、羽嚢、スプレー、経口、眼球内、気管内、経鼻、および卵内からなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項14】
該投与が、抗原投与の前である、請求項10の方法。
【請求項15】
該投与が、抗原投与の後である、請求項10の方法。
【請求項16】
該生物学的薬剤が、免疫原、免疫刺激剤、ワクチンおよびその組合せからなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項17】
該生物学的薬剤が、マレック病、ニューカッスル病、ヒヨコ貧血、感染性滑液嚢炎疾患、感染性気管支炎、七面鳥ヘルペスウイルス、感染性喉頭気管炎、鶏脳脊髄炎、鶏痘、家禽コレラ、鳥インフルエンザ、レオウイルス、鶏白血病、網膜内皮症、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス、およびその組合せからなる群選択される疾患に対するワクチンである、請求項16の方法。
【請求項18】
鳥類種の一種における非抗原特異的免疫応答を誘起するための方法であって、該鳥類種における免疫応答を誘起するために有効量の免疫修飾剤組成物を該鳥類種に投与することを含み、ここで
該免疫修飾剤組成物が下記の
a. カチオン性リポソーム送達ビヒクル、および
b. 核酸分子、
を含む、方法。
【請求項19】
該カチオン性リポソーム送達ビヒクルが、DOTIMおよびコレステロールの組合せである、請求項18の方法。
【請求項20】
該核酸分子が、遺伝子挿入体またはその断片を含まない単離された細菌から得られた核酸ベクターである、請求項18の方法。
【請求項21】
該免疫修飾剤が生物学的薬剤をさらに含んでおり、ここで該生物学的薬剤が、マレック病、ニューカッスル病、ヒヨコ貧血、感染性滑液嚢炎疾患、感染性気管支炎、七面鳥ヘルペスウイルス、感染性喉頭気管炎、鶏脳脊髄炎、鶏痘、家禽コレラ、鳥インフルエンザ、レオウイルス、鶏白血病、網膜内皮症、鳥アデノウイルス、出血性腸炎ウイルス、およびその組合せからなる群から選択される疾患に対するワクチンである、請求項18の方法。
【請求項22】
該投与が卵内である、請求項21の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
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【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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【図25】
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【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
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【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公表番号】特表2012−526734(P2012−526734A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510144(P2012−510144)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002809
【国際公開番号】WO2010/130374
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(508270727)バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】BAYER ANIMAL HEALTH GMBH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002809
【国際公開番号】WO2010/130374
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(508270727)バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】BAYER ANIMAL HEALTH GMBH
【Fターム(参考)】
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