鳥類忌避装置
【課題】鳥類の習性と体の構造を利用し、鳥類が止まって欲しくない場所に設置することにより、鳥類が落とす糞や鳥類の鳴き声による害を阻止するようにした鳥類忌避装置を提供する。
【解決手段】棒材により構成された回動体4と、該回動体4に設けられた突起5から成り、該回動体4は、長手方向の両端に設けられた取付部材2、3に回動自在に支持され、上記突起5は、回動体4の長手方向全体に亘って設けられていると共に、複数設けられ、上記複数の突起のうち、隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合と、鳥類が止まることができる表面が存在しない場合があり、上記隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合には、その表面の幅が、鳥類の開いた足の指の幅よりも小さい。
【解決手段】棒材により構成された回動体4と、該回動体4に設けられた突起5から成り、該回動体4は、長手方向の両端に設けられた取付部材2、3に回動自在に支持され、上記突起5は、回動体4の長手方向全体に亘って設けられていると共に、複数設けられ、上記複数の突起のうち、隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合と、鳥類が止まることができる表面が存在しない場合があり、上記隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合には、その表面の幅が、鳥類の開いた足の指の幅よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類の習性と体の構造を利用し、鳥類が止まって欲しくない場所に設置することにより、鳥類が落とす糞や鳥類の鳴き声による害を阻止するようにした鳥類忌避装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、公共交通機関である鉄道や飛行場、あるいは公共施設の外部構造物の上に、鳩などの鳥類が飛来して止まり,下をとおる通行人の衣服や頭髪に糞を落として汚すという害が発生している。また、群れをなした鳥類の鳴き声は騒音となり、鳥類が群れをなす近傍を通行したり公共機関を利用する利用者の迷惑になっている。
【0003】
そのための対策としては、農作物への影響や、集合住宅のベランダへの侵入を回避するために、従来さまざまな器具が考案され実用化されてきた。
【0004】
例えば、農家では、猛禽類の目を強調した、文様を風船や樹脂の円盤に印刷し、更に太陽光線を反射してきらきらと光る鳥よけの器具を今でも使用している。また、鳥類が羽に異物が接触したり目視しにくいものを嫌う性質を利用することにより、テグス糸を張って鳥類の接近を防ぐ手段が、例えば実開平4−80379号公報に開示されている。
【0005】
しかし、これらの手段は、鳥類が直ちに慣れてしまって近づかなくなり、以下の問題には対処できない。
【0006】
例えば、都市部では、集合住宅のベランダや物干しなどに、鳩などが集まり、その場に糞や羽を落として汚して困るという問題が生じている。また、同様に、公共交通機関の乗客があつまるプラットホームの上にある電光掲示板や行先標示板の上に鳩などが巣を作ったり、止まって上から糞を落とすという問題が多く発生している。
【0007】
そこで、これらの問題に対処するために、鳩などの鳥類が、見慣れぬものを嫌ったり、磁気で方向感覚を混乱させることを目的とした手段が、実用新案登録第3043902号公報に開示され、鳥類を近づきにくくしている。
【0008】
しかし、鳥類は、確かに地磁気を利用するが、視覚や太陽コンパスも併用しているので、これらが使える限り、方向感覚には影響を与えないことが判明している(中央農研 鳥獣害研究サブチームのレポートを参照)。従って、磁石だけで鳥類の接近を防ぐことは難しいと考えられる。
【0009】
また、同様に、鳥類が嫌う臭いや味や触感のする薬剤を塗布または散布、あるいは噴霧する方法も実施されているが、薬剤はいずれ水などで流れ、効果が希薄になると容易に推察できる。
【0010】
そこで、別の方策として、鳥類が止まろうとするとうまく止まれない構造を有する手段が、実開昭60−36084号公報(棒状の突起から成る幾つもの止まり木を長手方向に配置した回転軸)や実開昭60−49784号公報(数珠状に配置した回転体が貫通している心棒)に開示されている。
【0011】
更に、これらの手段を一層体裁良くすると共に、構造を簡単にしたものが、例えば実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報に開示され、飛来する鳥が安心して止まろうとしてその装置の上に乗ると、鳥が不意にバランスを崩し不安定になることで、危険を学習して再飛来させないようになっている。
【特許文献1】実開平4−80379号公報
【特許文献2】実用新案登録第3043902号公報
【特許文献3】実開昭60−36084号公報
【特許文献4】実開昭60−49784号公報
【特許文献5】実開平4−103484号公報
【特許文献6】実開平5−20582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報などに開示された手段について、出願明細書の図面通りに製作して鳩で実際にテストをしてみたが、鳩はいとも簡単に、回動体の上でバランスをとって静止してしまうことが判明した。
【0013】
また、厚さが0.5mm程度の薄い金属板を使った実験でも、その端面でさえ鳥は器用に尾と全身でバランスをとって静止してしまうことが判明した。
【0014】
即ち、図11に示すように、既述した実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報などに開示された回動体100は、表面が一様であり、この表面が一様な回動体100に止まろうとする場合には、鳥類101は、予め足の指を開いた状態でその回動体100に接近する(図11(A))。
【0015】
その後、鳥類101は、足の指を開いたまま、前記回動体100の表面に乗り(図11(B))、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、尾と全身でバランスをとって静止する動作を行う。
【0016】
この場合の鳥類の脚部Lと足Fの状態は、図10に示すとおりである(株式会社旺文社2003年発行、野外観察図鑑5「鳥」編の140頁参照)。
【0017】
即ち、図10において、踵Nより上部を脚部L、踵Nより下部を足Fとすれば、足Fの裏の腱Kが、一方は筋肉Mに繋がっており、他方は足の指A1、A2、A3、A4に繋がっている。
【0018】
そして、鳥類が立ったり歩いたりしている場合には、図示するように、踵Nが上がって爪先立ちしており、このとき、前記腱Kは緩んでいて足Fの指A1〜A4は開いている。
【0019】
そして、図11(B)に示すように、鳥類101がバランスをとって静止する動作を行っている場合には、既述したように、足の指A1(図10)、A2、A3、A4は開いており、そのとき、腱Kは緩んでいる。
【0020】
従って、図11(B)に示すように、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止する動作を行う限り、従来技術は効果が無い。
【0021】
換言すれば、鳥類101が足Fの指A1、A2、A3、A4(図10)を開いたまま立ったり歩いたりできる限り、従来技術における(上記実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報に開示された手段)回動体をいくら潤滑性の高いベアリングで支持しても、鳥類がその上に乗ってバランスをとって静止してしまう。
【0022】
このため、鳥類が回動体の上に乗ったまま糞を落としてしまうなどの害が発生し、従来技術(前記実開平4−103484号公報など)は、効果が無い。
【0023】
要するに、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止する図11(B)に示す動作と、鳥類101が足Fの指A1〜A4を開いたまま立ったり歩いたりできる図10に示す姿勢とは、1対1に対応していて、両者は不可分の関係にある。
【0024】
従って、図10の姿勢が可能である限り、鳥類101は(図11(B))回動体100の上でバランスをとって静止してしまい、既述したように、従来技術は効果が無い。
【課題を解決するための手段】
【0025】
そこで、本願の発明者は、鳥類が回動体の上に乗ってバランスをとって静止する動作が(図11(B))できないように、換言すれば、鳥類がその足の指A1(図10)、A2、A3、A4を開いて立ったり歩いたりできないように、鳥類が脚部L(図8、株式会社旺文社2003年発行、野外観察図鑑5「鳥」編の140頁参照)を曲げることにより、腱Kをピンと張り、足Fの指A1、A2、A3、A4を閉じて木の枝Bなどを掴む動作を行わせる手段を講じることに着眼し、上記課題を解決するために、請求項1に記載されているように、棒材により構成された回動体4と(図1)、該回動体4に設けられた突起5から成ることを特徴とする鳥類忌避装置を提供する。
【0026】
この場合、上記回動体4は、長手方向の両端に設けられた取付部材2、3に回動自在に支持され、上記突起5は、回動体4の長手方向(X軸方向)全体に亘って設けられていると共に、複数設けられており(図2、図3)、上記複数の突起5のうち、隣接する突起5間に、鳥類1が止まることができる表面11が存在する場合と、そのような表面11が存在しない場合があり、表面11が存在する場合には(例えば図4)、その表面11の幅Qが、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さく、回動体4と突起5の横断面形状は、前者が角形又は丸形、後者が角形、丸形又は扇形であって、左右対称である。
【0027】
上記本発明の構成によれば、鳥類1は(図9(A))、足の指を開いた状態で回動体4に接近し、体重をかけて該回動体4に設けられた突起5を掴もうとし、先ず、足Fの指A1、A2、A3、A4を突起5に接触させ(図9(B))、次に、その足Fの指A1〜A4を突起5の上に乗せながら脚部Lを曲げると腱K(図8)が張って指が閉じ初め(図9(C))、脚部Lを更に曲げると(図9(D))、腱Kも更に張って指A1〜A4が完全に閉じて突起5を掴むが、このとき鳥類1側から回動体4側へ力が働いてモーメントRが発生し回動体4を回そうとするので、それを阻止するために、従来どおり鳥類1に働く重力Gが(図9(E))、回動体4の重心Cを通るように、尾と全身でバランスをとって静止する動作を行うべく、図10に示すように、脚部Lを伸ばして腱Kを緩めることにより足Fの指A1〜A4を開こうとするが、鳥類1は突起5を掴んでおり、図8に示すように、脚部Lを曲げ腱Kを張って足Fの指A1〜A4を閉じ突起5を掴んでいる姿勢になっているので、図8と同時に図10の姿勢はとれず、そのため、バランスをとって静止する動作ができずに、回動体4ごと回ってしまい、鳥類1は回動体4の上に止まったまま糞を落としたりすることができず、従来発生していた害が阻止される。
【発明の効果】
【0028】
上記のとおり、本発明によれば、鳥類の習性と体の構造を利用し、鳥類が止まって欲しくない場所に設置することにより、鳥類が落とす糞や鳥類の鳴き声による害を阻止するようにした鳥類忌避装置を提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明に係る鳥類忌避装置の全体図であり、図1において、参照符号1は鳩などの鳥類、2は、3は取付部材、4は回動体、5は突起である。
【0030】
上記回動体4は、X軸方向に長い棒材により構成され、該回動体4の中心においては、回動軸6が貫通している。この回動軸6は、回動体4の両端から外側に延びており、外側に延びた部分は、取付部材2、3において、回動自在に支持されている。
【0031】
上記取付部材2、3は、共に同じ形状を有し、例えば取付部材3は(図2)、略立方体形状を有し、該取付部材3において、前記回動軸6がベアリングにより支持されている。即ち、取付部材3(図2)には、内輪7と外輪8が配置され、両者の間には、外側ベアリング9と内側ベアリング10(図3)が挿入されており、前記内輪7には既述した回動軸6が取り付けられている。このことは、もう一方の取付部材2(図1)に関しても同様である。
【0032】
上記回動体4の横断面形状としては、角形や(例えば図5(A))丸形(例えば図5(B))など種々の形状があるが、左右(Y軸方向)が対称であり、回動し易いようになっていることが好ましい。
【0033】
そのうち、角形の代表例としては、例えば正四角形があり(図4)、この正四角形の各頂点a、b、c、dに対応して突起5が設けられ、該突起5は、鳥類1が(図9)足Fの指A1、A2、A3、A4で掴むようになっている。
【0034】
上記各頂点a、b、c、dには、連結部5Bを介して略三角形の突起5が設けられ、各突起5には、空洞部5Aが形成され、軽量化が図られている。この突起5は、長手方向(X軸方向)全体に亘って設けられている。
【0035】
若し、突起5が長手方向(X軸方向)全体ではなく、途中で途切れている場合には(図1)、例えば回動体4の横断面形状が円形のときには(図5(B))、その途切れた部分は、従来どおり表面が一様な回動体100(図11(A))と同じ状態となり、既述したように、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止してしまい(図11(B))、鳥類101は、そこに止まって糞などを落とし通行人に害を及ぼす。
【0036】
そこで、鳥類101がこのような動作ができないように、前記したように、突起5を長手方向(X軸方向)全体に亘って設けることにより(図1)、常に足Fの指A1〜A4を(図9)閉じて掴むようにした。
【0037】
その他、回動体4の横断面形状としては、角形としての正三角形(図6(A))、正五角形(図6(B))、正六角形(図6(C))などがあり、左右(Y軸方向)が対称である。そして、この場合も、突起5は、長手方向(X軸方向)全体に亘って設けられている(図1)。
【0038】
一方、突起5は複数設けられていると共に(図4〜図6)、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)は、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さい。
【0039】
若し、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)が、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも大きい場合には、その鳥類は、足Fの指A1〜A4を開いたまま表面11(図4)の上に立ってしまう。
【0040】
その結果、従来どおり(図11(B))鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止してしまい(図11(B))、鳥類101は、そこに止まって糞などを落とし通行人に害を及ぼす。
【0041】
よって、既述したように、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)は、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さい。
【0042】
この条件が必要なのは、図5(A)、図5(B)、図6(A)〜図6(C)といったように、隣接する突起5間が言わば不連続であって、表面11が存在する場合であり、図5(C)のように、隣接する突起5間が言わば連続であって、表面11が存在しない場合には、上記の条件は必要が無い。
【0043】
即ち、図5(C)の場合には、隣接する突起5間には、鳥類が止まることができる表面11(例えば図5(A))が存在しない、換言すれば、鳥類が止まりにくい。
【0044】
従って、図5(C)の場合には、鳥類が足Fの指A1〜A4を開いて立ったり歩いたりして(図10、図11(B))、鳥類に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類が尾と全身でバランスをとって静止してしまうことがなく、鳥類は、そこに止まって糞などを落とし通行人に害を及ぼすことは無い。
【0045】
従って、図5(C)のように隣接する突起5が連続している場合には、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)は、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さいといった条件は、必要が無い。
【0046】
更に、鳥類の足Fの指A1〜A4は、図7に示すように、一般には4本であり、突起5を掴む場合に、前3本、後1本に分かれる場合(図7(A))と、前2本、後2本に分かれる場合(図7(B))と、全ての指A1〜A4が前向きの場合(図7(C))がある。
【0047】
若し、鳥類の全ての指A1〜A4が前向きであれば、即ち図7(C)の場合のみであれば、突起5の横断面形状は、左右(Y軸方向)が非対称でも、その非対称な突起5を鳥類は足Fの指A1〜A4で掴むことができる。
【0048】
しかし、図7で説明したように、足Fの指A1〜A4の別れ方が種々の鳥類があり、どのような鳥類が飛来するか不明である。
【0049】
従って、足Fの指A1〜A4の分かれ方がどのような鳥類にも対応できるように、突起5の横断面形状は、左右(Y軸方向)が対称であることが好ましい(図5〜図6)。
【0050】
即ち、突起5の横断面形状としては、略三角形(図5(A)、図6(A)〜図6(C))などの角形、略円形(図5(B))などの丸形、又は扇形(図5(C))があり、いずれも左右(Y軸方向)が対称である。
【0051】
以下、上記構成を有する本発明の動作を、図9に基づいて説明する。
【0052】
図9の動作を行う場合に利用される図8に示す鳥類の体の構造について、詳述する。
【0053】
即ち、鳥類の足Fの裏には、腱Kがあり、この腱Kは、筋肉Mに繋がっていると共に、指A1〜A4にも繋がっており、立ったり歩いたりしている場合には(図10)、既述したように、腱Kは緩んでいて、指A1〜A4も開いている。
【0054】
しかし、図8のように、脚部Lを曲げることにより、腱Kをピンと張ると、足Fの指A1〜A4も閉じて木の枝Bなどをしっかり掴むようになり、既述したように、本発明は、このような鳥類の体の構造を利用するものである。
【0055】
鳥類1は(図9(A))、足の指を開いた状態で回動体4に接近し、体重をかけて該回動体4に設けられた突起5を掴もうとし、先ず、足Fの指A1、A2、A3、A4を突起5に接触させ(図9(B))、次に、その足Fの指A1〜A4を突起5の上に乗せながら脚部Lを曲げる(図9(C))。
【0056】
鳥類1が脚部Lを曲げると、図8で説明したように、腱Kが張って指が閉じ初め(図9(C))、脚部Lを更に曲げると(図9(D))、腱Kも更に張って指A1〜A4が完全に閉じて突起5を掴むが、このとき鳥類1側から回動体4側へ力が働いてモーメントRが発生し回動体4を回そうとするので、それを阻止するために、従来どおり鳥類1に働く重力Gが(図9(E))、回動体4の重心Cを通るように、尾と全身でバランスをとって静止する動作を行うべく、図10に示すように、脚部Lを伸ばして腱Kを緩めることにより足Fの指A1〜A4を開こうとする。
【0057】
しかし、前記したように、鳥類1は、突起5を掴んでおり、図8に示すように、脚部Lを曲げ腱Kを張って足Fの指A1〜A4を閉じ突起5を掴んでいる姿勢になっている。
【0058】
従って、鳥類1は、図8と同時に図10の姿勢はとれず、そのため、バランスをとって静止する動作ができずに、図9(E)に示すように、回動体4ごと回ってしまい、鳥類1は回動体4の上に止まったまま糞を落としたりすることができず、従来発生していた害が阻止される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、鳥類の習性と体の構造を利用し、鳥類が止まって欲しくない場所に設置することにより、鳥類が落とす糞や鳥類の鳴き声による害を阻止するようにした鳥類忌避装置に利用され、公共交通機関である鉄道の駅ビルに設置した駅名看板などに鳩などの鳥類が飛来して止まることにより、その下方を通る通行人の衣服や頭髪に糞を落として汚すといった公害の発生が阻止され、極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る鳥類忌避装置の全体図である。
【図2】本発明による回動機構を外側から見た図である。
【図3】本発明による回動機構を内側から見た図である。
【図4】本発明を構成する回動体4と突起5を示す図である。
【図5】本発明の横断面図である。
【図6】図5の他の例を示す図である。
【図7】本発明を構成する突起5と鳥類1の足の指A1、A2、A3、A4との関係を示す図である。
【図8】本発明を構成するために利用された鳥類の構造を示す図である。
【図9】本発明の動作説明図である。
【図10】従来技術の課題の元になった鳥類の構造説明図である。
【図11】従来技術の課題説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 鳥類
2、3 取付部材
4 回動体
5 突起
6 回動軸
7 内輪
8 外輪
9 外側ベアリング
10 内側ベアリング
F 足
L 脚部
M 筋肉
K 腱
A1、A2、A3、A4 足の指
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類の習性と体の構造を利用し、鳥類が止まって欲しくない場所に設置することにより、鳥類が落とす糞や鳥類の鳴き声による害を阻止するようにした鳥類忌避装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、公共交通機関である鉄道や飛行場、あるいは公共施設の外部構造物の上に、鳩などの鳥類が飛来して止まり,下をとおる通行人の衣服や頭髪に糞を落として汚すという害が発生している。また、群れをなした鳥類の鳴き声は騒音となり、鳥類が群れをなす近傍を通行したり公共機関を利用する利用者の迷惑になっている。
【0003】
そのための対策としては、農作物への影響や、集合住宅のベランダへの侵入を回避するために、従来さまざまな器具が考案され実用化されてきた。
【0004】
例えば、農家では、猛禽類の目を強調した、文様を風船や樹脂の円盤に印刷し、更に太陽光線を反射してきらきらと光る鳥よけの器具を今でも使用している。また、鳥類が羽に異物が接触したり目視しにくいものを嫌う性質を利用することにより、テグス糸を張って鳥類の接近を防ぐ手段が、例えば実開平4−80379号公報に開示されている。
【0005】
しかし、これらの手段は、鳥類が直ちに慣れてしまって近づかなくなり、以下の問題には対処できない。
【0006】
例えば、都市部では、集合住宅のベランダや物干しなどに、鳩などが集まり、その場に糞や羽を落として汚して困るという問題が生じている。また、同様に、公共交通機関の乗客があつまるプラットホームの上にある電光掲示板や行先標示板の上に鳩などが巣を作ったり、止まって上から糞を落とすという問題が多く発生している。
【0007】
そこで、これらの問題に対処するために、鳩などの鳥類が、見慣れぬものを嫌ったり、磁気で方向感覚を混乱させることを目的とした手段が、実用新案登録第3043902号公報に開示され、鳥類を近づきにくくしている。
【0008】
しかし、鳥類は、確かに地磁気を利用するが、視覚や太陽コンパスも併用しているので、これらが使える限り、方向感覚には影響を与えないことが判明している(中央農研 鳥獣害研究サブチームのレポートを参照)。従って、磁石だけで鳥類の接近を防ぐことは難しいと考えられる。
【0009】
また、同様に、鳥類が嫌う臭いや味や触感のする薬剤を塗布または散布、あるいは噴霧する方法も実施されているが、薬剤はいずれ水などで流れ、効果が希薄になると容易に推察できる。
【0010】
そこで、別の方策として、鳥類が止まろうとするとうまく止まれない構造を有する手段が、実開昭60−36084号公報(棒状の突起から成る幾つもの止まり木を長手方向に配置した回転軸)や実開昭60−49784号公報(数珠状に配置した回転体が貫通している心棒)に開示されている。
【0011】
更に、これらの手段を一層体裁良くすると共に、構造を簡単にしたものが、例えば実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報に開示され、飛来する鳥が安心して止まろうとしてその装置の上に乗ると、鳥が不意にバランスを崩し不安定になることで、危険を学習して再飛来させないようになっている。
【特許文献1】実開平4−80379号公報
【特許文献2】実用新案登録第3043902号公報
【特許文献3】実開昭60−36084号公報
【特許文献4】実開昭60−49784号公報
【特許文献5】実開平4−103484号公報
【特許文献6】実開平5−20582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報などに開示された手段について、出願明細書の図面通りに製作して鳩で実際にテストをしてみたが、鳩はいとも簡単に、回動体の上でバランスをとって静止してしまうことが判明した。
【0013】
また、厚さが0.5mm程度の薄い金属板を使った実験でも、その端面でさえ鳥は器用に尾と全身でバランスをとって静止してしまうことが判明した。
【0014】
即ち、図11に示すように、既述した実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報などに開示された回動体100は、表面が一様であり、この表面が一様な回動体100に止まろうとする場合には、鳥類101は、予め足の指を開いた状態でその回動体100に接近する(図11(A))。
【0015】
その後、鳥類101は、足の指を開いたまま、前記回動体100の表面に乗り(図11(B))、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、尾と全身でバランスをとって静止する動作を行う。
【0016】
この場合の鳥類の脚部Lと足Fの状態は、図10に示すとおりである(株式会社旺文社2003年発行、野外観察図鑑5「鳥」編の140頁参照)。
【0017】
即ち、図10において、踵Nより上部を脚部L、踵Nより下部を足Fとすれば、足Fの裏の腱Kが、一方は筋肉Mに繋がっており、他方は足の指A1、A2、A3、A4に繋がっている。
【0018】
そして、鳥類が立ったり歩いたりしている場合には、図示するように、踵Nが上がって爪先立ちしており、このとき、前記腱Kは緩んでいて足Fの指A1〜A4は開いている。
【0019】
そして、図11(B)に示すように、鳥類101がバランスをとって静止する動作を行っている場合には、既述したように、足の指A1(図10)、A2、A3、A4は開いており、そのとき、腱Kは緩んでいる。
【0020】
従って、図11(B)に示すように、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止する動作を行う限り、従来技術は効果が無い。
【0021】
換言すれば、鳥類101が足Fの指A1、A2、A3、A4(図10)を開いたまま立ったり歩いたりできる限り、従来技術における(上記実開平4−103484号公報や実開平5−20582号公報に開示された手段)回動体をいくら潤滑性の高いベアリングで支持しても、鳥類がその上に乗ってバランスをとって静止してしまう。
【0022】
このため、鳥類が回動体の上に乗ったまま糞を落としてしまうなどの害が発生し、従来技術(前記実開平4−103484号公報など)は、効果が無い。
【0023】
要するに、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止する図11(B)に示す動作と、鳥類101が足Fの指A1〜A4を開いたまま立ったり歩いたりできる図10に示す姿勢とは、1対1に対応していて、両者は不可分の関係にある。
【0024】
従って、図10の姿勢が可能である限り、鳥類101は(図11(B))回動体100の上でバランスをとって静止してしまい、既述したように、従来技術は効果が無い。
【課題を解決するための手段】
【0025】
そこで、本願の発明者は、鳥類が回動体の上に乗ってバランスをとって静止する動作が(図11(B))できないように、換言すれば、鳥類がその足の指A1(図10)、A2、A3、A4を開いて立ったり歩いたりできないように、鳥類が脚部L(図8、株式会社旺文社2003年発行、野外観察図鑑5「鳥」編の140頁参照)を曲げることにより、腱Kをピンと張り、足Fの指A1、A2、A3、A4を閉じて木の枝Bなどを掴む動作を行わせる手段を講じることに着眼し、上記課題を解決するために、請求項1に記載されているように、棒材により構成された回動体4と(図1)、該回動体4に設けられた突起5から成ることを特徴とする鳥類忌避装置を提供する。
【0026】
この場合、上記回動体4は、長手方向の両端に設けられた取付部材2、3に回動自在に支持され、上記突起5は、回動体4の長手方向(X軸方向)全体に亘って設けられていると共に、複数設けられており(図2、図3)、上記複数の突起5のうち、隣接する突起5間に、鳥類1が止まることができる表面11が存在する場合と、そのような表面11が存在しない場合があり、表面11が存在する場合には(例えば図4)、その表面11の幅Qが、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さく、回動体4と突起5の横断面形状は、前者が角形又は丸形、後者が角形、丸形又は扇形であって、左右対称である。
【0027】
上記本発明の構成によれば、鳥類1は(図9(A))、足の指を開いた状態で回動体4に接近し、体重をかけて該回動体4に設けられた突起5を掴もうとし、先ず、足Fの指A1、A2、A3、A4を突起5に接触させ(図9(B))、次に、その足Fの指A1〜A4を突起5の上に乗せながら脚部Lを曲げると腱K(図8)が張って指が閉じ初め(図9(C))、脚部Lを更に曲げると(図9(D))、腱Kも更に張って指A1〜A4が完全に閉じて突起5を掴むが、このとき鳥類1側から回動体4側へ力が働いてモーメントRが発生し回動体4を回そうとするので、それを阻止するために、従来どおり鳥類1に働く重力Gが(図9(E))、回動体4の重心Cを通るように、尾と全身でバランスをとって静止する動作を行うべく、図10に示すように、脚部Lを伸ばして腱Kを緩めることにより足Fの指A1〜A4を開こうとするが、鳥類1は突起5を掴んでおり、図8に示すように、脚部Lを曲げ腱Kを張って足Fの指A1〜A4を閉じ突起5を掴んでいる姿勢になっているので、図8と同時に図10の姿勢はとれず、そのため、バランスをとって静止する動作ができずに、回動体4ごと回ってしまい、鳥類1は回動体4の上に止まったまま糞を落としたりすることができず、従来発生していた害が阻止される。
【発明の効果】
【0028】
上記のとおり、本発明によれば、鳥類の習性と体の構造を利用し、鳥類が止まって欲しくない場所に設置することにより、鳥類が落とす糞や鳥類の鳴き声による害を阻止するようにした鳥類忌避装置を提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明に係る鳥類忌避装置の全体図であり、図1において、参照符号1は鳩などの鳥類、2は、3は取付部材、4は回動体、5は突起である。
【0030】
上記回動体4は、X軸方向に長い棒材により構成され、該回動体4の中心においては、回動軸6が貫通している。この回動軸6は、回動体4の両端から外側に延びており、外側に延びた部分は、取付部材2、3において、回動自在に支持されている。
【0031】
上記取付部材2、3は、共に同じ形状を有し、例えば取付部材3は(図2)、略立方体形状を有し、該取付部材3において、前記回動軸6がベアリングにより支持されている。即ち、取付部材3(図2)には、内輪7と外輪8が配置され、両者の間には、外側ベアリング9と内側ベアリング10(図3)が挿入されており、前記内輪7には既述した回動軸6が取り付けられている。このことは、もう一方の取付部材2(図1)に関しても同様である。
【0032】
上記回動体4の横断面形状としては、角形や(例えば図5(A))丸形(例えば図5(B))など種々の形状があるが、左右(Y軸方向)が対称であり、回動し易いようになっていることが好ましい。
【0033】
そのうち、角形の代表例としては、例えば正四角形があり(図4)、この正四角形の各頂点a、b、c、dに対応して突起5が設けられ、該突起5は、鳥類1が(図9)足Fの指A1、A2、A3、A4で掴むようになっている。
【0034】
上記各頂点a、b、c、dには、連結部5Bを介して略三角形の突起5が設けられ、各突起5には、空洞部5Aが形成され、軽量化が図られている。この突起5は、長手方向(X軸方向)全体に亘って設けられている。
【0035】
若し、突起5が長手方向(X軸方向)全体ではなく、途中で途切れている場合には(図1)、例えば回動体4の横断面形状が円形のときには(図5(B))、その途切れた部分は、従来どおり表面が一様な回動体100(図11(A))と同じ状態となり、既述したように、鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止してしまい(図11(B))、鳥類101は、そこに止まって糞などを落とし通行人に害を及ぼす。
【0036】
そこで、鳥類101がこのような動作ができないように、前記したように、突起5を長手方向(X軸方向)全体に亘って設けることにより(図1)、常に足Fの指A1〜A4を(図9)閉じて掴むようにした。
【0037】
その他、回動体4の横断面形状としては、角形としての正三角形(図6(A))、正五角形(図6(B))、正六角形(図6(C))などがあり、左右(Y軸方向)が対称である。そして、この場合も、突起5は、長手方向(X軸方向)全体に亘って設けられている(図1)。
【0038】
一方、突起5は複数設けられていると共に(図4〜図6)、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)は、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さい。
【0039】
若し、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)が、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも大きい場合には、その鳥類は、足Fの指A1〜A4を開いたまま表面11(図4)の上に立ってしまう。
【0040】
その結果、従来どおり(図11(B))鳥類101に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類101が尾と全身でバランスをとって静止してしまい(図11(B))、鳥類101は、そこに止まって糞などを落とし通行人に害を及ぼす。
【0041】
よって、既述したように、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)は、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さい。
【0042】
この条件が必要なのは、図5(A)、図5(B)、図6(A)〜図6(C)といったように、隣接する突起5間が言わば不連続であって、表面11が存在する場合であり、図5(C)のように、隣接する突起5間が言わば連続であって、表面11が存在しない場合には、上記の条件は必要が無い。
【0043】
即ち、図5(C)の場合には、隣接する突起5間には、鳥類が止まることができる表面11(例えば図5(A))が存在しない、換言すれば、鳥類が止まりにくい。
【0044】
従って、図5(C)の場合には、鳥類が足Fの指A1〜A4を開いて立ったり歩いたりして(図10、図11(B))、鳥類に働く重力Gが、回動体100の重心Cを通るように、鳥類が尾と全身でバランスをとって静止してしまうことがなく、鳥類は、そこに止まって糞などを落とし通行人に害を及ぼすことは無い。
【0045】
従って、図5(C)のように隣接する突起5が連続している場合には、隣接する突起5間の表面11の幅Q(図4)は、鳥類の開いた足Fの指A1〜A4の幅P(図10、図11(B))よりも小さいといった条件は、必要が無い。
【0046】
更に、鳥類の足Fの指A1〜A4は、図7に示すように、一般には4本であり、突起5を掴む場合に、前3本、後1本に分かれる場合(図7(A))と、前2本、後2本に分かれる場合(図7(B))と、全ての指A1〜A4が前向きの場合(図7(C))がある。
【0047】
若し、鳥類の全ての指A1〜A4が前向きであれば、即ち図7(C)の場合のみであれば、突起5の横断面形状は、左右(Y軸方向)が非対称でも、その非対称な突起5を鳥類は足Fの指A1〜A4で掴むことができる。
【0048】
しかし、図7で説明したように、足Fの指A1〜A4の別れ方が種々の鳥類があり、どのような鳥類が飛来するか不明である。
【0049】
従って、足Fの指A1〜A4の分かれ方がどのような鳥類にも対応できるように、突起5の横断面形状は、左右(Y軸方向)が対称であることが好ましい(図5〜図6)。
【0050】
即ち、突起5の横断面形状としては、略三角形(図5(A)、図6(A)〜図6(C))などの角形、略円形(図5(B))などの丸形、又は扇形(図5(C))があり、いずれも左右(Y軸方向)が対称である。
【0051】
以下、上記構成を有する本発明の動作を、図9に基づいて説明する。
【0052】
図9の動作を行う場合に利用される図8に示す鳥類の体の構造について、詳述する。
【0053】
即ち、鳥類の足Fの裏には、腱Kがあり、この腱Kは、筋肉Mに繋がっていると共に、指A1〜A4にも繋がっており、立ったり歩いたりしている場合には(図10)、既述したように、腱Kは緩んでいて、指A1〜A4も開いている。
【0054】
しかし、図8のように、脚部Lを曲げることにより、腱Kをピンと張ると、足Fの指A1〜A4も閉じて木の枝Bなどをしっかり掴むようになり、既述したように、本発明は、このような鳥類の体の構造を利用するものである。
【0055】
鳥類1は(図9(A))、足の指を開いた状態で回動体4に接近し、体重をかけて該回動体4に設けられた突起5を掴もうとし、先ず、足Fの指A1、A2、A3、A4を突起5に接触させ(図9(B))、次に、その足Fの指A1〜A4を突起5の上に乗せながら脚部Lを曲げる(図9(C))。
【0056】
鳥類1が脚部Lを曲げると、図8で説明したように、腱Kが張って指が閉じ初め(図9(C))、脚部Lを更に曲げると(図9(D))、腱Kも更に張って指A1〜A4が完全に閉じて突起5を掴むが、このとき鳥類1側から回動体4側へ力が働いてモーメントRが発生し回動体4を回そうとするので、それを阻止するために、従来どおり鳥類1に働く重力Gが(図9(E))、回動体4の重心Cを通るように、尾と全身でバランスをとって静止する動作を行うべく、図10に示すように、脚部Lを伸ばして腱Kを緩めることにより足Fの指A1〜A4を開こうとする。
【0057】
しかし、前記したように、鳥類1は、突起5を掴んでおり、図8に示すように、脚部Lを曲げ腱Kを張って足Fの指A1〜A4を閉じ突起5を掴んでいる姿勢になっている。
【0058】
従って、鳥類1は、図8と同時に図10の姿勢はとれず、そのため、バランスをとって静止する動作ができずに、図9(E)に示すように、回動体4ごと回ってしまい、鳥類1は回動体4の上に止まったまま糞を落としたりすることができず、従来発生していた害が阻止される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、鳥類の習性と体の構造を利用し、鳥類が止まって欲しくない場所に設置することにより、鳥類が落とす糞や鳥類の鳴き声による害を阻止するようにした鳥類忌避装置に利用され、公共交通機関である鉄道の駅ビルに設置した駅名看板などに鳩などの鳥類が飛来して止まることにより、その下方を通る通行人の衣服や頭髪に糞を落として汚すといった公害の発生が阻止され、極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る鳥類忌避装置の全体図である。
【図2】本発明による回動機構を外側から見た図である。
【図3】本発明による回動機構を内側から見た図である。
【図4】本発明を構成する回動体4と突起5を示す図である。
【図5】本発明の横断面図である。
【図6】図5の他の例を示す図である。
【図7】本発明を構成する突起5と鳥類1の足の指A1、A2、A3、A4との関係を示す図である。
【図8】本発明を構成するために利用された鳥類の構造を示す図である。
【図9】本発明の動作説明図である。
【図10】従来技術の課題の元になった鳥類の構造説明図である。
【図11】従来技術の課題説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 鳥類
2、3 取付部材
4 回動体
5 突起
6 回動軸
7 内輪
8 外輪
9 外側ベアリング
10 内側ベアリング
F 足
L 脚部
M 筋肉
K 腱
A1、A2、A3、A4 足の指
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材により構成された回動体と、該回動体に設けられた突起から成ることを特徴とする鳥類忌避装置。
【請求項2】
上記回動体は、長手方向の両端に設けられた取付部材に回動自在に支持され、上記突起は、回動体の長手方向全体に亘って設けられていると共に、複数設けられている請求項1記載の鳥類忌避装置。
【請求項3】
上記複数の突起のうち、隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合と、鳥類が止まることができる表面が存在しない場合がある請求項2記載の鳥類忌避装置。
【請求項4】
上記隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合には、その表面の幅が、鳥類の開いた足の指の幅よりも小さい請求項3記載の鳥類忌避装置。
【請求項5】
上記回動体の横断面形状が、角形又は丸形であって、左右対称である請求項1記載の鳥類忌避装置。
【請求項6】
上記突起の横断面形状が、角形、丸形又は扇形であって、左右対称である請求項1記載の鳥類忌避装置。
【請求項1】
棒材により構成された回動体と、該回動体に設けられた突起から成ることを特徴とする鳥類忌避装置。
【請求項2】
上記回動体は、長手方向の両端に設けられた取付部材に回動自在に支持され、上記突起は、回動体の長手方向全体に亘って設けられていると共に、複数設けられている請求項1記載の鳥類忌避装置。
【請求項3】
上記複数の突起のうち、隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合と、鳥類が止まることができる表面が存在しない場合がある請求項2記載の鳥類忌避装置。
【請求項4】
上記隣接する突起間に、鳥類が止まることができる表面が存在する場合には、その表面の幅が、鳥類の開いた足の指の幅よりも小さい請求項3記載の鳥類忌避装置。
【請求項5】
上記回動体の横断面形状が、角形又は丸形であって、左右対称である請求項1記載の鳥類忌避装置。
【請求項6】
上記突起の横断面形状が、角形、丸形又は扇形であって、左右対称である請求項1記載の鳥類忌避装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−153445(P2009−153445A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335033(P2007−335033)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(507422862)ゼロフォー株式会社 (1)
【出願人】(594128647)株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(507422862)ゼロフォー株式会社 (1)
【出願人】(594128647)株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所 (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]