説明

鳩目付きシート及びそれに用いる縁テープ

【課題】高強度であり、耐久性が良好であり、かつ容易に係止することが可能な鳩目付きシートを提供すること。
【解決手段】基材シート7の縁部に鳩目4を有する縁テープ1を接合してなる鳩目付きシート8であって、前記基材シート7が、厚さ50〜300μmのポリオレフィンフィルム又はポリオレフィンメッシュクロスからなり、前記縁テープ1が、高融点ポリオレフィンからなるフラットヤーンクロスの両面に低融点ポリオレフィンからなる層が積層してなる基材テープ2をテープの長手方向に平行に折り返し、折り返されて基材テープ同士が重なった部分5に鳩目4を所定間隔で形成したものであり、かつ前記基材シート7の縁部に前記縁テープ1の基材テープ2を重ねて接合してなることを特徴とする鳩目付きシート8とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳩目付きシート、特に農業用ハウス等の側面部を覆う鳩目付きシートに関する。また、そのような鳩目付きシートに接合される縁テープに関する。
【背景技術】
【0002】
農業用ハウスは、骨格部材の周囲をフィルム状のシートで被覆することにより組み立てられているが、農作物を栽培する観点から通気性が必要な場合や、農作物を収穫したり作業員が出入りする場合などには農業用ハウスの側面部を覆っている裾張りシートを巻き上げることがある。巻き上げられた裾張りシートを閉じた後にその裾張りシートの端部を固定する方法として、以下のような技術が知られている。
【0003】
例えば、特開平1−108922号公報(特許文献1)には、ハウス骨組に取付けられた溝フレームに屈曲線材からなるスプリングを、農業用フィルムを介在させた状態で係止固定することにより上記農業用フィルムを固定する農業用フィルムの展張方法について記載されている。しかし開閉操作が困難な場合があった。また、特開2004−105153号公報(特許文献2)、特開平10−248410号公報(特許文献3)には、専用の固定具を用いることによりフィルム状シートを固定することが記載されているが、薄いフィルム状シートの場合や、メッシュ状シートの場合にはシートを損傷するおそれがあった。特にシートの開閉操作を頻繁に行う場合には十分な耐久性が必要であり改善が望まれていた。また、特開平6−278221号公報(特許文献4)には、ポリオレフィン系の合成樹脂シートの周縁部に合成樹脂成形物である鳩目が適当間隔で形成された鳩目付き合成樹脂シートが記載されている。ここでは合成樹脂シートの縁部に直接鳩目が固定されている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−108922号公報
【特許文献2】特開2004−105153号公報
【特許文献3】特開平10−248410号公報
【特許文献4】特開平6−278221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、高強度であり、耐久性が良好であり、かつ容易に係止することが可能な鳩目付きシートを提供することを目的とするものである。また、そのような鳩目付きシートの好適な用途を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、基材シートの縁部に鳩目を有する縁テープを接合してなる鳩目付きシートであって、
前記基材シートが、厚さ50〜300μmのポリオレフィンフィルム又はポリオレフィンメッシュクロスからなり、
前記縁テープが、高融点ポリオレフィンからなるフラットヤーンクロスの両面に低融点ポリオレフィンからなる層を積層してなる基材テープをテープの長手方向に平行に折り返し、折り返されて基材テープ同士が重なった部分に鳩目を所定間隔で形成したものであり、かつ
前記基材シートの縁部に前記縁テープの基材テープを重ねて接合してなることを特徴とする鳩目付きシートを提供することによって解決される。
【0007】
このとき、前記縁テープが、折り返された基材テープの内面同士を熱接着して、熱接着された部分に鳩目を所定間隔で形成したものであり、かつ前記基材シートの縁部に前記縁テープの基材テープを重ねて熱接着することが好適である。前記縁テープが、前記基材テープをテープの幅方向の中心からずれた位置にある折り返し部で折り返したものであり、該縁テープの基材テープ同士が重なっていない部分において基材シートと熱接着することが好適である。前記鳩目がポリオレフィンであることが好適である。前記縁テープが、前記基材テープの折り返し部の内側にポリオレフィンからなる紐を封入したものであることが好適である。また、前記ポリオレフィンメッシュクロスが、芯鞘複合モノフィラメント又は多層複合フラットヤーンを熱圧着処理したものであることも好適である。このような鳩目付きシートの好適な実施態様は農業ハウス用裾張りシートである。
【0008】
また、上記課題は、高融点ポリオレフィンからなるフラットヤーンクロスの両面に低融点ポリオレフィンからなる層を積層してなる基材テープをテープの長手方向に平行に折り返し、折り返されて基材テープ同士が重なった部分に鳩目を所定間隔で形成した縁テープであって、厚さ50〜300μmのポリオレフィンフィルム又はポリオレフィンメッシュクロスからなる基材シートの縁部と重ねて接合するための縁テープを提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の鳩目付きシートは、高強度であり、耐久性が良好であり、かつ容易に係止することができる。したがって農業ハウス用裾張りシートに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明で用いられる縁テープの斜視図であり、図2は本発明の鳩目付きシートのA−A拡大断面図である。本発明の鳩目付きシート8は、ポリオレフィンフィルム又はポリオレフィンメッシュクロスからなる基材シート7の端部に、鳩目4が所定間隔で形成された縁テープ1を接合してなるものである。
【0011】
本発明で用いられる縁テープ1を構成する基材テープ2は、高融点ポリオレフィンからなるフラットヤーンクロスの両面に低融点ポリオレフィンからなる層が積層されてなるものである。高融点ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられ、好適には高密度ポリエチレンが用いられる。上記高融点ポリオレフィンのMFRは、0.1〜10g/10分(190℃、2160g荷重:以下同じ)の範囲にあることが好適である。また、低融点ポリオレフィンは、組み合わせて使用される上記高融点ポリオレフィンよりも融点が低いものであれば良く、その種類は限定されない。低融点ポリオレフィンの融点は、上記高融点ポリオレフィンの融点よりも5℃以上低いことが好適であり、10℃以上低いことがより好適である。具体的には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられる。上記低融点ポリオレフィンのMFRは、0.5〜20g/10分の範囲にあることが好適である。
【0012】
前記フラットヤーンクロスに用いられるフラットヤーンの繊度は、100〜3500dtの範囲にあることが好ましい。繊度が100dt未満の場合、繊維が細すぎるため耐久性が低下するおそれがあり、より好適には500dt以上である。一方、繊度が3500dtを超える場合、製織性に劣り、またクロス表面の凹凸が激しくなり熱接着において接着性が低下するおそれがあり、より好適には3000dt以下である。フラットヤーンクロスの織り方は特に限定されないが平織りが好ましい。
【0013】
上記高融点ポリオレフィンからなるフラットヤーンクロスの両面に低融点ポリオレフィンからなる層が積層される。積層方法としては、押出ラミネート法、ドライラミネート法、熱圧着ラミネート法など公知の方法が採用できるが、これらの中では、接着強度が優れた押出ラミネート法が好ましい。ラミネート被覆層の厚みは特に限定されないが、好適には10〜250μmである。被覆層の厚みが10μm未満の場合、縁テープ1を基材シート7に熱接着させる際の操作性や接着性が低下するおそれがあるとともにラミネート被覆層にピンホールが生じるおそれもあり、より好適には20μm以上である。一方、被覆層の厚みが250μmを超える場合、熱劣化によりフラットヤーンクロスの強力が低下するおそれがあり、より好適には200μm以下である。
【0014】
上記縁テープ1は、基材テープ2をテープの長手方向に平行に折り返して形成される。このとき、折り返されて基材テープ同士が重なった部分5に所定間隔で鳩目4を形成することにより強度の高い縁テープ1が得られる。
【0015】
上記縁テープ1は、基材テープ2を折り返し、折り返された基材テープ2の内面同士を熱接着してなることが好適である。これによってさらに強度の高い縁テープ1を得ることができる。さらにこのとき、基材テープ2の幅方向の中心からずれた位置にある折り返し部で折り返して、基材テープ同士が重なっていない部分6を形成することが好ましい。基材テープ同士が重なった部分5よりも基材テープ同士が重なっていない部分6の方が厚さ方向の熱伝導性が良好であるため、縁テープ1と基材シート7を容易に熱接着することが可能になるからである。
【0016】
上記縁テープ1において、折り返し部の内側に紐3を封入することが好ましい。この紐3は、基材テープ同士が重なった部分5に形成された鳩目4が外れることを防止する役割を担っているものである。折り返し部の内側に封入された紐3はモノフィラメント、フラットヤーン、マルチフィラメントなどで構成され、好適にはポリオレフィンからなるものである。ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられ、強度及びリサイクル等の観点からより好適には高密度ポリエチレン、ポリプロピレンが用いられる。上記ポリオレフィンのMFRは、0.1〜10g/10分の範囲にあることが好適である。
【0017】
また、上記縁テープ1において、基材テープ同士が重なった部分5に所定間隔で鳩目4が形成される。鳩目4の素材は特に限定されないが、好適にはポリオレフィンが用いられる。ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられ、強度及びリサイクル等の観点からより好適には高密度ポリエチレンが用いられる。上記ポリオレフィンのMFRは、0.1〜30g/10分の範囲にあることが好適である。
【0018】
本発明の鳩目付きシート8を構成し、上記縁テープ1が接合される基材シート7は、厚さ50〜300μmのポリオレフィンフィルム又はポリオレフィンメッシュクロスからなるものである。このような厚みのポリオレフィンフィルムや、ポリオレフィンメッシュクロスは強度が低いため、本発明の構成を採用する意義が大きい。
【0019】
基材シート7としてポリオレフィンフィルムを用いる場合、その厚さは50〜300μmである。厚さが50μm未満の場合、十分な強度を示さないおそれがあり、好適には70μm以上である。一方、ポリオレフィンフィルムの厚さが300μmを超える場合、目付が増し、手扱い性を悪くするおそれがあり、好適には200μm以下である。前記ポリオレフィンフィルムに用いられるポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を含む)、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられる。透明性及びリサイクル等の観点からより好適には直鎖状低密度ポリエチレンが用いられる。このとき、上記ポリオレフィンフィルムは単層であっても複層であってもよい。
【0020】
前記基材シート7として用いられるポリオレフィンメッシュクロスは、農業用ハウスの内部に空気を流通させ、害虫の侵入を防止する目的で好適に用いられる。ポリオレフィンメッシュクロスは、目ズレが起き易く強度が低いため、本発明の構成を採用する意義が大きい。ポリオレフィンメッシュクロスにおける目合いは、縦方向、横方向ともに0.3〜3mmであることが好ましい。ここで目合いとは、メッシュの縦方向又は横方向において隣接する繊維相互間の空間の幅のことをいう。目合いが0.3mm未満の場合、通気性が低下し、遮光率が大きくなりやすいことから農業用ハウスの被覆シートとして使用し難い面があり、より好適には0.4mm以上である。一方、目合いが3mmを超える場合、害虫が侵入しやすくなるとともに強度が低下するおそれがあり、より好適には2mm以下である。
【0021】
上記ポリオレフィンメッシュクロスは、モノフィラメントやフラットヤーンを用いて製造することができる。モノフィラメントを用いて得られたポリオレフィンメッシュクロスは強度が高いとともに通気性が良好であり、フラットヤーンを用いて得られたポリオレフィンメッシュクロスは平滑な表面を有するクロスを形成しやすく被覆性が良い。
【0022】
また、上記ポリオレフィンメッシュクロスは、好適には芯鞘複合モノフィラメント又は多層複合フラットヤーンを熱接着処理してなるものである。芯鞘複合モノフィラメント又は多層複合フラットヤーンからなるポリオレフィンメッシュクロスは、加熱により表面を被覆している比較的温度の低いポリオレフィンが軟化溶融されて、経緯糸の交差接着部において互いに熱融着されることにより得られる。このような目止め処理により耐久性を有する目ズレ防止が可能である。
【0023】
芯鞘複合モノフィラメントは、比較的融点の高い高融点ポリオレフィンを芯層とし、これより融点の低いポリオレフィンを芯層の表面に被覆して鞘層とした構造を有する。上記芯鞘複合モノフィラメントの芯層/鞘層の組み合わせとして、プロピレン単独重合体/プロピレン−エチレンブロック共重体、プロピレン単独重合体/プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン単独重合体/高密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体/低密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体層/直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレン−エチレンブロック共重体/直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体/低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。芯層/鞘層の組み合わせは、熱融着性、強度及びリサイクル等の観点からより好適には、高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレンが用いられる。
【0024】
上記芯鞘複合モノフィラメントは、上記芯層と上記鞘層の各層のポリオレフィン樹脂を押出機で溶融混練し、160〜300℃の溶融温度で高融点ポリオレフィンからなる芯層を供給するとともに、その外表面に低融点ポリオレフィンからなる鞘層を被覆して冷却固化した後に延伸処理を行い、さらに弛緩熱処理を行うことにより製造される。延伸倍率は、通常3〜12倍の範囲にあることが好ましい。
【0025】
前記芯鞘複合モノフィラメントの繊度は、30〜3000dtの範囲にあることが好ましい。繊度が30dt未満の場合、繊維が細すぎるため耐久性が低下するおそれがあり、より好適には50dt以上である。一方、繊度が3000dtを超える場合、製織が困難となるおそれがあり、より好適には2000dt以下である。
【0026】
また、上記芯鞘複合フィラメントの鞘層と芯層の断面積比(鞘層/芯層)は、1/9〜6/4の範囲にあることが好適である。断面積比が1/9未満の場合、鞘成分が芯層全断面を覆うことができないおそれや、接着強度が低下するおそれがあり、より好適には2/8以上である。一方、断面積比が6/4を超える場合、フィラメント糸の引張強度が低下するおそれがあり、より好適には5/5以下である。
【0027】
多層複合フラットヤーンは、高融点ポリオレフィンを内層の基材層ととして、これより融点の低い低融点ポリオレフィンを外層の表面層でサンドイッチした多層構造を有する。上記多層複合フラットヤーンの組み合わせとして、低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/低密度ポリエチレン層の複合体、直鎖状低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の複合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体層/ポリプロピレン単独重合体層/プロピレン−エチレンランダム共重合体層の複合体などが挙げられる。多層複合フラットヤーンの組み合わせは、リサイクル等の観点からより好適には、低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/低密度ポリエチレン層の複合体、直鎖状低密度ポリエチレン層/高密度ポリエチレン層/直鎖状低密度ポリエチレン層の複合体等が用いられる。
【0028】
上記多層複合フラットヤーンは、上記内層の基材層と上記外層の表面層の各層のポリオレフィン樹脂を押出機で溶融混練し、160〜300℃の溶融温度で高融点ポリオレフィンからなる基材層を供給するとともに、基材層の上下両面に低融点ポリオレフィンからなる表面層を被覆して冷却固化した後にスリットし、さらに延伸処理を行い、続いて弛緩熱処理を行うことにより製造される。延伸倍率は、通常3〜12倍の範囲にあることが好ましい。
【0029】
前記多層複合フラットヤーンの繊度は、100〜4000dtの範囲にあることが好ましい。繊度が100dt未満の場合、繊維が細すぎるため耐久性が低下するおそれがあり、より好適には200dt以上である。一方、繊度が4000dtを超える場合、製織が困難となるおそれがあり、より好適には3000dt以下である。
【0030】
また、上記多層複合フラットヤーンの表面層と基材層の断面積比(表面層/基材層)は、1/9〜6/4の範囲にあることが好適である。断面積比が1/9未満の場合、表面層が基材層を覆うことができないおそれや、接着強度が低下するおそれがあり、より好適には2/8以上である。一方、断面積比が6/4を超える場合、フラットヤーン糸の引張強度が低下するおそれがあり、より好適には5/5以下である。ここで、上記断面積比における表面層の断面積は、両側の表面層の断面積の和である。
【0031】
なお、本発明で用いられるポリオレフィンには、本発明の効果を阻害しない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、架橋剤、発泡剤、核剤等の通常用いられる添加剤を配合させることができる。
【0032】
本発明の鳩目付きシート8は、前記基材シート7の縁部に前記縁テープ1の基材テープ2を重ねて接合してなるものである。接合方法は特に限定されず、前記基材シート7の縁部と前記縁テープ1の基材テープ同士が重なった部分5を接着剤で接合してもよいし、金具等で固定してもよい。しかしながら、熱接着により両者を接合することが好ましく、このことにより簡単な操作で強度の高い鳩目付きシート8を得ることができる。
【0033】
上記基材シート7の縁部に前記縁テープ1の基材テープ2を重ねて熱接着する方法は、特に限定されず、熱板、熱ロール、熱風等を用いることができるが、(生産性や接着力)の観点から熱板を用いた接着方法が好ましい。このとき、縁テープ1の基材テープ同士が重なっていない部分6と基材シート7の縁部とを熱接着することにより、基材テープ同士が重なっていない部分6の厚さ方向の熱伝導性が良好であるため、縁テープ1と基材シート7を容易に熱接着することが可能である。
【0034】
上記基材シート7に上記縁テープ1を接合する際の接合部は前記基材シート7の縁部であるが、前記縁テープ1が接合される辺は特に限定されない。前記基材シート7の縁部の1辺にのみ縁テープ1を接合してもよいし、対向する2辺に接合してもよい。前記基材シート7の縁部の3辺及び4辺に接合することもできる。また、1辺の一部にだけ縁テープ1を接合してもよい。
【0035】
本発明の鳩目付きシート8は、農業ハウス用裾張りシートとして好適に使用される。農業ハウス用裾張りシートは、農業ハウスの側面部を覆っているシートの内側に取り付けたり、あるいは農業ハウスの側面部を覆っているシートの代わりに取り付けたりすることができる。本発明の農業ハウス用裾張りシートの端部には、鳩目4が形成されているので、鳩目4に通された紐3などと農業ハウスの骨格部材とを縛り付けて固定したり、取り外したりする開閉操作を容易に行うことができる。特に、農作物を栽培する観点から通気性が必要であったり、農作物を収穫したり作業員が出入りする場合等の裾張りシートの開閉操作を頻繁に行う際に好適に用いられる。
【0036】
本発明の鳩目付きシート8は、全ての構成部材がポリオレフィンからなるものである。したがって使用済みのシートを回収してリサイクルして利用することが容易であり、資源の有効活用や産業廃棄物の減少などに寄与することができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
(1)縁テープ1の作製
高密度ポリエチレン(MFR=1.0g/10分、密度=0.965g/cm、Tm=135℃)を用い、インフレーション法によりフィルムを形成してスリットした後に、延伸温度125℃で8倍に延伸して、繊度1100dtのフラットヤーンを形成した。このフラットヤーンを経緯糸に用いて打込密度14×14本/2.54cmの平織りのフラットヤーンクロスを得た。このフラットヤーンクロスの両面に、低密度ポリエチレン(MFR=8.0g/10分、密度=0.918g/cm、Tm=110℃)を押出コーティングして厚さ各50μmのラミネート層を設けてからテープ状に切断して、幅寸法が130mmの基材テープ2を得た。これをテープの長手方向に平行に45mm折り返して、高密度ポリエチレンフラットヤーンを片撚りした直径3mmφの紐3を折り返し部に封入しながら、熱風接着機を用いて折り返し内面同士を融着させた。さらに折り返されて基材テープ同士が重なった部分5に45cm間隔でポリエチレンからなる鳩目4を打設することにより縁テープ1を得た。
【0038】
(2)基材シート7の作製
押出機2台と複合モノフィラメント用ノズルからなる芯鞘複合モノフィラメント紡糸設備を用いて、同心円上に設けられたダイスの中心吐出孔から高密度ポリエチレン(MFR=1.0、密度=0.956g/cm、Tm=135℃)からなる芯層を供給し、その外面に直鎖状低密度ポリエチレン(MFR=2.1、密度=0.920g/cm、Tm=123℃)からなる鞘層を押出し被覆して複合モノフィラメントとし、冷却固化した後に沸騰水式延伸処理法により延伸温度98℃、延伸倍率8倍にて延伸処理して、さらにオーブンで120℃の熱処理を行うことにより芯鞘複合モノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの繊度は320dtで、芯層と鞘層の断面積比(鞘層/芯層)は、2/8であった。上記で得られた芯鞘複合モノフィラメントを経緯糸に使用して打込密度20×20/2.54cmの平織りのポリエチレンメッシュクロスを得た。得られたポリエチレンメッシュクロスを130℃に加熱して鞘層樹脂を軟化溶融させることにより経緯糸の交差接着部において鞘層樹脂同士を熱融着させて幅寸法が1800mmの基材シート7を得た。基材シート7の目合いは1.0mmであった。
【0039】
(3)鳩目付きシート8の作製
1800mm幅の前記基材シート7の縁部に、前記縁テープ1の基材テープ同士が重なっていない部分6を重ねて130℃に加熱した熱板により溶着接合して鳩目付きシート8を得た。
【0040】
(4)農業用ハウスへの鳩目付きシート8の展帳
上記で得られた鳩目付きシート8を縁テープ1側が地面に対して下向きとなるようにして農業用ハウスの側面部に展帳し、前記縁テープ1に形成された鳩目4に紐3を通して農業用ハウスの骨格部分に結びつけた。その結果、短時間で容易に鳩目付きシート8を係止することができ、シートの破れ等はなかった。
【0041】
実施例2
基材シート7を以下に示す方法により作製した以外は実施例1と同様にして鳩目付きシート8を得た。得られた鳩目付きシート8を実施例1と同様にして農業用ハウスへ展帳したところ、短時間で容易に鳩目付きシート8を係止することができ、シートの破れ等はなかった。
【0042】
基材シート7の作製
押出機2台と多層複合フラットヤーン用T−ダイを用いて、基材層に高密度ポリエチレン(MFR=0.8、密度=0.956g/cm、Tm=135℃)を供給し、表面層に直鎖状低密度ポリエチレン(MFR=2.1、密度=0.920g/cm、Tm=123℃)を押出し両面を被覆して多層複合フィルムとし、チルロールで冷却固化してスリットした後に、熱板式延伸処理法により延伸温度115℃、延伸倍率7.5倍にて延伸処理して、さらに熱板で115℃の熱処理を行うことにより多層複合フラットヤーンを得た。得られたフラットヤーンの繊度は670dt、幅が1.6mmで、表面層と基材層の断面積比(表面層/基材層)は、2/8であった。上記で得られた多層複合フラットヤーンを経緯糸に使用して打込密度8×8/2.54cmの平織りのポリエチレンメッシュクロスを得た。得られたポリエチレンメッシュクロスを127℃に加熱して表面層樹脂を軟化溶融させることにより経緯糸の交差接着部において表面層樹脂同士を熱融着させて幅寸法が1800mmの基材シート7を得た。基材シート7の目合いは1.6mmであった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明で用いられる縁テープの斜視図である。
【図2】本発明の鳩目付きシートのA−A拡大断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 縁テープ
2 基材テープ
3 紐
4 鳩目
5 基材テープ同士が重なった部分
6 基材テープ同士が重なっていない部分
7 基材シート
8 鳩目付きシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの縁部に鳩目を有する縁テープを接合してなる鳩目付きシートであって、
前記基材シートが、厚さ50〜300μmのポリオレフィンフィルム又はポリオレフィンメッシュクロスからなり、
前記縁テープが、高融点ポリオレフィンからなるフラットヤーンクロスの両面に低融点ポリオレフィンからなる層を積層してなる基材テープをテープの長手方向に平行に折り返し、折り返されて基材テープ同士が重なった部分に鳩目を所定間隔で形成したものであり、かつ
前記基材シートの縁部に前記縁テープの基材テープを重ねて接合してなることを特徴とする鳩目付きシート。
【請求項2】
前記縁テープが、折り返された基材テープの内面同士を熱接着して、熱接着された部分に鳩目を所定間隔で形成したものであり、かつ前記基材シートの縁部に前記縁テープの基材テープを重ねて熱接着してなる請求項1記載の鳩目付きシート。
【請求項3】
前記縁テープが、前記基材テープをテープの幅方向の中心からずれた位置にある折り返し部で折り返したものであり、該縁テープの基材テープ同士が重なっていない部分において基材シートと熱接着してなる請求項2記載の鳩目付きシート。
【請求項4】
前記鳩目がポリオレフィンからなる請求項1〜3のいずれか記載の鳩目付きシート。
【請求項5】
前記縁テープが、前記基材テープの折り返し部の内側にポリオレフィンからなる紐を封入したものである請求項1〜4のいずれか記載の鳩目付きシート。
【請求項6】
前記ポリオレフィンメッシュクロスが、芯鞘複合モノフィラメント又は多層複合フラットヤーンを熱接着処理してなるものである請求項1〜5のいずれか記載の鳩目付きシート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の鳩目付きシートからなる農業ハウス用裾張りシート。
【請求項8】
高融点ポリオレフィンからなるフラットヤーンクロスの両面に低融点ポリオレフィンからなる層を積層してなる基材テープをテープの長手方向に平行に折り返し、折り返されて基材テープ同士が重なった部分に鳩目を所定間隔で形成した縁テープであって、厚さ50〜300μmのポリオレフィンフィルム又はポリオレフィンメッシュクロスからなる基材シートの縁部と重ねて接合するための縁テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−259734(P2007−259734A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87641(P2006−87641)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000234122)萩原工業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】