説明

鶏卵用コンベア組立体

【課題】 安定滑走を確保するとともに、金属同士のこすれの起きるであろう確率をより低くし、さらに、所望に応じて短時間で簡単な作業によって、メインテナンスを完了し得る鶏卵コンベアを提供する。
【解決手段】 連結状態における長さにたるみが形成し得るように構成されたチェーン組立体5と、該チェーン組立体5の一部に連結され鶏卵0を受けるに適切な隙間を備えた鶏卵コンベア6と、該チェーン組立体5の荷重を受け且つ滑走させる平面的な滑走面4aを具え、該滑走面4aを形成する幅よりも小さな幅の支持要素4bを備えるプラスチックガイドレールと、該支持要素4aを揺動なく受け支持する支持体1とから成る、鶏卵用コンベア組立体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線のみならず自由な曲線軌道を可能にする、チェーン組立体と、該チェーン組立体に連結する複数本の連結棒で形成される鶏卵コンベアが、支持体側に設けられたプラスチック製の滑走面上をすべりながら、静かに鶏卵搬送可能にした、鶏卵用コンベア組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鶏卵用コンベアは、その移送方向の自由度を確保するために、伸縮性の高いリング状を組み合わせた形状のチェーン組立体を利用することが従来技術として存在する。また、そのチェーン組立体は、流動的な移動をするために、スプロケット周辺を除いて、長い移動面は滑走状態として利用していた。例えば下記特許文献1に見られるように、チェーンは、チェーン案内部材64(同文献第19図参照)によって、摺動的に支持されている。
【0003】
【特許文献1】特公平8−32217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、より質の高い鶏卵供給が望まれている状況下において、上述のような金属同士の摺動によって滑走するような構成では、擦れによって発生する金属片がある確率で鶏卵に付着することを回避できない。一方、コンベアの長時間運転をする環境下において、メインテナンスをするタイミングを得ることが困難になってきている別の課題があり、従って、長時間の運転においてもコンベアの安定動作(滑走)を確保するとともに、金属同士のこすれの起きるであろう確率をより低くする工夫が望まれている。さらに、所望に応じて短時間で簡単な作業によって、メインテナンスを完了し得る構造が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1で定義される、鶏卵用コンベア組立体は、連結状態における長さにたるみが形成し得るように構成されたチェーン組立体と、該チェーン組立体の一部に連結され鶏卵を受けるに適切な隙間を備えた鶏卵コンベアと、該チェーン組立体(5)の荷重を受け且つ滑走させる平面的な滑走面を具え、該滑走面を形成する幅よりも小さな幅の支持要素を備えるプラスチックガイドレールと、該支持要素(4b)を揺動なく受け支持する支持体とから成ることを特徴としている。
【0006】
さらに、請求項2で定義される、鶏卵用コンベア組立体は、請求項1の特徴に加えて、該チェーン組立体の荷重により該支持要素に対して下方向の力が加わった時に、該支持要素の下面と該ホルダとが2筋で接触して該支持要素を支えるように構成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1で定義される鶏卵用コンベア組立体は、鶏卵を受けるに適切な隙間を備えた鶏卵コンベアと、このコンベアが接続され、しかも連結状態における長さにたるみが形成し得るように構成されたチェーン組立体を必須の構成としている。以上の構成により、該チェーン組立体に対してギヤ等の長さ方向に制限の強い送り装置には適合しない形態であり、従って、該チェーン組立体の荷重を受け且つ滑走させる平面的な滑走面を具えていることを必須の要件としている。また、この滑走面を備えた、該滑走面を形成する幅よりも小さな幅の支持要素を備える構造的な特徴のプラスチックガイドレールと、さらにこのプラスチックガイドレールの支持要素を揺動なく受け支持する支持体とから構成された発明である。このように構成されているので、鶏卵コンベアは鶏卵が上記適切な隙間に乗って無用な転動をすることがなく、且つたるみ形成があるように連結されたチェーン組立体によって緩やかなコーナは自由に設計でき、その緩やかなコーナにおいても自由に摺動できるプラスチックレールによって上記チェーン組立体が滑走する。また、上記チェーン組立体に連結される鶏卵コンベアも必然的に自由な摺動が達成される。また、プラスチックガイドレールに対して接触するチェーン組立体は、リングを縦横に繰り返し組み合わされた形態をしているために、プラスチックガイドレールには荷重を支えるための面状で平面的な滑走面が必要とする上に、そのプラスチックガイドレールの支持部が、チェーン組立体の縦側のリングに対して接触しない構成が求められている。従って、該滑走面を形成する幅よりも小さな幅の支持要素を備えるプラスチックガイドレールとすることにより、その要件を達成している。以上を総合して、自由な曲線が可能でしかも荷重を受ける面と左右方向に移動するチェーン組立体との接触に対しても、円滑な滑走が可能となる効果を奏するものである。また、この構成により従来のような金属片の発生する悪条件を発生しにくい形態を提供できる。
【0008】
請求項2では、該チェーン組立体の荷重により該支持要素に対して下方向の力が加わった時に、該支持要素の下面と該ホルダとが2筋で接触して該支持要素を支えるように構成している。このことにより、チェーン組立体の荷重は、2筋に分散し、なおかつ、左右方向に振れる際の応力も左右も分散して荷重がかかることで、プラスチックガイドレールに対する応力が分散して、割れやひびなどによって、破損に至る確率を減らすことが可能となる。
また、上記の環境下においてプラスチックガイドレールは摩擦熱がこもりやすい。加熱したプラスチック素材は軟化し、経年変化を助長する。また、単純に摩滅するのみならず、軟化し且つ変形し離脱に至る場合もあり、その場合には、プラスチックによる摺動面を突然変形によって失うことになる。ところが、プラスチックガイドレールを挟み込むように、金属製のホルダによって挟み込む構成としている本発明においては、プラスチックガイドレールの摩擦等で帯びた熱が、このホルダを介して、素早く冷却される。またさらに、プラスチックガイドレールが仮に軟化した場合においても、金属製のホルダによってはさみ込むように構成され、プラスチック素材自身のかたさに依存することなく、プラスチックガイドレールが、ホルダ上に安定して着座し続けることが可能である。
また、上述のように大きな接触面積でプラスチックガイドレールとホルダとが接触していると、その接触面によってもプラスチックガイドレールに印加される様々な応力が部分的な面積で受けることなく、すなわち、プラスチック素材に亀裂などの発生がしにくい状況とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本考案の一実施例を説明する。
図1は第1実施例を示し、同図中における(b)は鶏卵用コンベア組立体の全景を概略的に示し、また同図中における(a)は、上記(b)中に指示したサンプル長1e部分を拡大して示している。
また、(a)は(b)で示した実際の幅1eよりも狭くして描いている。また、狭くした状態に適合するように、鶏卵コンベアの構成する部品も短く描いている。また、(a)における梁部分1fは省略して描いている。以上の部分的な短縮や省略したことは、単に図面の作成上における作図手法に過ぎないものである。
また、(a)において、図面上における左側半分は組立てられた状態を示し、右側半分について、各部品は離して図示している。
【0010】
図2は図1(a)と同一図面を、下方から見た状態を示している。さらに図2(b)は図1(a)の点線(い)で示した範囲を拡大した部分拡大正面図であり、部品の詳細が判るように陰影を施している。
以上の図中において0は鶏卵、1は支持体、1aは側壁部、1bは梁部材(大)、1cは梁部材(小)、1dはホルダ(主として金属製素材)、1eは幅、1fは梁部材、2は緩衝部材、2aは空洞部、2bは嵌合部、3は連結用治具、4はプラスチックガイドレール、5はチェーン組立体、5aは連結用リング、5bは支持用リング、6は鶏卵コンベア、6aは直線棒、6bは湾曲棒である。
【0011】
支持体1は上端部1eがベルトコンベア側である内側方向に向いて角度が付けられており、その直下において梁部材1b(大)が同じくベルトコンベアの内側方向に向かって突出し、支持体1に対して片持ち梁を形成している。
上記の梁部材1b、1cの各々にはホルダ1c、1dが設けられ、さらにホルダ1c、1dにはプラスチックガイドレール4が嵌合されている。以下詳細にプラスチックガイドレールとホルダとの関係を説明する。まず、プラスチックガイド4は概略の断面形状がT字型をしており、その上面は滑走面4aを備え、さらに垂直方向には支持要素4bが設けられている。また、支持要素4bの中間よりやや下方の位置には凹部で形成される係合要素4cが具備されている。さらに、滑走面4aで受ける荷重の主たる行き先は、その滑走面4aの直下にある下面4dであり、この下面4dは支持要素4bを挟んで2面備えている。受け側であるホルダ1c、1dは略U字状の内法形状を備える受け部分cd1を備えている。さらにホルダ1cおよび1dが共通して以下の構成を備えている。すなわち、受け部分cd1を構成する2つの壁面部分cd2と、該壁面部分cd2の中腹より下側に設けられた係合要素cd3と、該壁面部分cd2の頂部の面cd4で形成されている。
【0012】
ホルダは、上述の通り2つの壁面部分であるcd2で挟まれるようにして構成される受け部分cd1を備えている。この受け部cd1の内法の幅はプラスチックガイドレール4の支持要素4bの外形幅にほぼ一致する幅を備えている。さらに、支持要素4bの備える係合要素4cと嵌合し得る突出量と位置関係を備えた係合要素cd3を備える。そして、プラスチック製の可撓性部材の特徴によって、ホルダ1cおよび1dに対して、プラスチックガイドレール4は上から押し込むことにより、両方の係合要素4c、cd3とが嵌合して固定される。あるいはホルダ1c、1dの長手方向からプラスチックガイドレール4を差し込むことにより同様に両方の係合要素4b、cd3とは互に一致して同様に固定される。
以上のように固定されたプラスチックガイドレール4(上側)の上に支持用リング5bの下面が接触し、支持用リング5bは自由にレール方向に沿って滑走し得る。また、支持用リング5bとプラスチックガイドレール4との接触する範囲は図2(b)の5bの位置から仮想線で示したcd5の範囲で接触する。同様の状態で梁部材(小)1cの延長上に設けられた下側のプラスチックガイドレール4上で接触する支持用リング5bは、図2(b)における接触面5eに相当する場所が接触し滑走する(図3の部分拡大図参照)。なお、この接触面5eは、鶏卵コンベア6が無端ベルト状に構成され、その結果として接触面5eが下側のプラスチックガイドレール4上における滑走面4aの上を支持用リング5bにおける接触面5eとが接触して滑走する。
【0013】
さて、以上のように支持用リングは上下左右(合計4本)のプラスチックガイドレール4上に対して滑走する。
また、鶏卵コンベアに乗る鶏卵数に応じた重量ならびに、コンベアを構成する直線棒5c、湾曲棒5dの重量を加算した分の力が支持用リング5bを介して上記滑走面4aに対して荷重が印加する。この荷重はプラスチックガイドレール4の下面4dを介して2箇所のホルダ1dの面cd4で受けられる。また、係合要素cd3ならびに係合要素4cとで嵌合した接触面においても上記コンベアの荷重は受けられ、合計4箇所(4ライン)における接触面によって荷重が受けられ得る。
【0014】
以上、コンベアの荷重による下向きの力に関して説明してきたが、さらに、コンベアの揺れやコンベアの方向変えなどによって生じる横方向の力がどのように、プラスチックガイドレール4に印加されているのかを説明する。まず、横方向の揺れは、チェーン組立体5の構成要素である連結用リング5aにおける位置(ろ)並びに(は)が、プラスチックガイドレール4の側面(に)ならびに側面(ほ)に当たることによって横揺れは停止し、その力によって鶏卵コンベアが希望する軌道に沿って稼働する。この詳細を説明する。鶏卵コンベア6の揺れは左右(へ)、(と)の両方向に振られる。この横揺れの(へ)の方向に関しては、図2(b)において、プラスチックガイドレール4の面(ほ)と、連結用リング5aの面(ろ)とが接触および滑走して、横方向の動きが停止しつつ鶏卵コンベア6が稼働する。この逆方向の動き(と)に関しては、図1(a)ならびに図2(a)の左側に示された、全く同一構成且つ対称側の構造によって、横方向の動きが止められ且つ鶏卵コンベアが稼働する{この逆側の構造ならびに作用は、左右同一(対称)であるため省略をする}。
【0015】
再び図2(b)における説明に戻る。プラスチックガイドレール4の側面(ほ)に対して連結用リングの面(ろ)が当たる条件としては、ホルダ1dの幅cd6を、プラスチックガイドレール4の幅4eが超える幅を備えることが必要になっている。したがって、この両幅の差は、多いほど、摩滅した場合でも、連結用リング5bが、ホルダ1dもしくは1cの側面に当たる確率が少なくなる。以上のように適度に上記差は多くあるべきである{滑走面4aに印加される力に比較すると、側方(に)または(ほ)に接触する力は少ないために、極端に多くの余裕は材料の無駄であり、梁形状を肥大化させるために好ましくない}。
このように、チェーン組立体5に装着された鶏卵コンベア6が支持体1に対して、スムーズに稼働できる構造を示した。また、緩衝部材2は、鶏卵0が鶏卵コンベアの側方にこぼれないようにするための緩衝部材である。
【0016】
以上のように構成したプラスチックガイドレール4は、ホルダ1dに対して挿入固定するだけであるために、接着剤や熱溶着などの特別な接着手段をもちいらずに、簡単に脱着ができ、しかも上述の通り構造上4筋で力を分散して鶏卵コンベアで生じる下向きの力を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1(a)は、本発明の第1実施例を示す部分斜視図であり、図1(b)は、本発明の全体の様子を示す部分断面斜視図である。
【図2】図2(a)は、前記第1実施例の別の角度から描いた斜視図であり、図2(b)は点線(い)で示した範囲を拡大した部分拡大正面図である。
【図3】図3は、梁部材(小)1c周辺における部分拡大正面図である。
【符号の説明】
【0018】
0:鶏卵、
1:支持体
1a:側壁部
1b:梁部材(大)
1c:梁部材(小)
1d:ホルダ
1e:幅
1f:梁部材
2:緩衝部材
2a:空洞部
2b:嵌合部
3:連結用治具
4:プラスチックガイドレール
5:チェーン組立体
5a:連結用リング
5b:支持用リング
6:鶏卵コンベア
6a:直線棒
6b:湾曲棒
cd1:受け部分
cd2:壁面部分
cd3:係合要素
cd4:頂部の面
5e:接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結状態における長さにたるみが形成し得るように構成されたチェーン組立体(5)と、該チェーン組立体(5)の一部に連結され鶏卵(0)を受けるに適切な隙間を備えた鶏卵コンベア(6)と、該チェーン組立体(5)の荷重を受け且つ滑走させる平面的な滑走面(4a)を具え、該滑走面(4a)を形成する幅よりも小さな幅の支持要素(4b)を備えるプラスチックガイドレールと、該支持要素(4b)を揺動なく受け支持する支持体(1)とから成る、鶏卵用コンベア組立体。
【請求項2】
該チェーン組立体(5)の荷重により該支持要素(4b)に対して下方向の力が加わった時に、該支持要素(4b)の下面と該ホルダ(1d)とが2筋で接触して該支持要素(4b)を支えるように構成される、請求項1に記載の鶏卵用コンベア組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−306598(P2006−306598A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133480(P2005−133480)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(390030661)東洋システム株式会社 (22)
【出願人】(505161600)ルービン マシーネンファブリーク ゲゼルシヤフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】